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『ミズ・マーベル』全6話 (2022)/凄くバランス悪いが最初と最後とカマラのキャラだけは良いです👩🏽⚡


原題:Ms.Marvel 制作総指揮&最終話の脚本&原案:ビシャ・K・アリ 監督:ビラル・ファラー(第1話、6話)、ミーラ・メノン(2話第3)、シャーミーン・オベイド=チノイ第4第5)、ニア・ダコスタ(最終話ポストクレジットシーン) 製作総指揮:ケヴィン・ファイギほか 原作:サナ・アマナット、G・ウィロー・ウィルソン、エイドリアン・アルフォナ『Ms. Marvel v3』#1(2014) 制作スタジオ:マーベル・スタジオ 配信局:Disney+ 製作国:アメリカ 配信時間:各話約50分、全6話 シリーズ:マーベル・シネマティック・ユニバース (Disney+ドラマシリーズ)



 

MCUのDisney+作品7本目。映画も合わせたらフェイズ4の11作目。映画もDisney+作品も全て合わせたら35作目。
2020年7月に、MCUフェイズ4の映画とDisney+作品が発表された時、ドラマで一番期待してたのはこの『ミズ・マーベル』(2022)だった。というのも原作を読んでて大好きだったしMCUフェイズ2くらいの時に「このままMCUが続くとして『Ms.Marvel』映画化もしてほしいが……それはないかぁ」とか思ってたやつが実写化ですからね。
これでMCU初期の頃に実現して欲しかった「アベンジャーズが無事に完成して、なおかつ大人気になる(無理そうだなぁ)」「キャップが大人気になる(そんな事にはならんだろ)」「Ms.Marvel実写化(これは絶対に無い)」という当初、希望してた3大おれの想いが全て実現してしまった。後はもうMCU版のブレイドX-MEN観たら思い残すことないわ。

⚡“9.11アメリカ同時多発テロ事件以降、アメリカ国内の中東系の人々やイスラム教徒への風あたりは強かった。そんな中、MARVELコミックスのイスラムアメリカ人の編集者サナ・アマナットと、イスラム教に改宗した米国人女性コミックライターのG・ウィロー・ウィルソンは2013年、イスラム教徒のパキスタンアメリカ人の女子高生ヒーロー、カマラ・カーン/ミズ・マーベルを誕生させた。カマラはパキスタンアメリカ人少女という出自だけでなくキャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベルを始めとした先輩スーパーヒーローの大ファンで二次創作小説とか書いてネットにアップしてる「スーパーヒーローのファンガール」というMARVELやDCのヒーローが好きな読者はすぐに感情移入する事ができるキャラ。ウルヴァリンスパイダーマンと会ってもスマホで2ショット撮ったり質問したりする。きっとヘイトも集めたんだろうがカマラは大人気になった。MARVELコミックは毎年新ヒーローを誕生させてるが古参ヒーローの人気が強すぎて大抵の新人ヒーローは消えちゃう事が多いので生き残っただけで凄いがカマラは若手ヒーローの中でもかなり人気。街に落書きされたイスラム教徒へのヘイトスピーチの上からカマラの絵が貼られて隠されたりした光景をドキュメンタリーで当時見て印象に残った。ただ楽しいだけでなく、MARVELキャラでたまにある「現実からの影響で生まれ現実に影響を及ぼす」というスペシャル感のあるヒーローという印象。
原作での能力は変形・変身、四肢を伸ばしたり身体を巨大化させたり……ファンタスティック・フォーのMr.ファンタスティックやONE PIECEのルフィみたいなもんか。このドラマでは少し変えられている。
原作では現キャプテン・マーベルのキャロル・ダンヴァースが初代ミズ・マーベルで、カマラは4代目かになる。でも間の人は一瞬だけ名乗ったりヴィランが成りすましてただけだったりしたので実質的にちゃんとした二代目はカマラって感じ。
日本でのカマラは個人タイトル邦訳4冊、カマラが中心メンバーの若手ヒーローチームのチャンピオンズの邦訳2冊、その他1冊のほか、クリスタル・ダイナミックス開発、スクウェア・エニックス販売のゲーム『Marvel's Avengers』(2020)このゲーム、本当は各ヒーローの能力を凄く上手く作ってて結構面白かったんだがゲームの構成とか売り方が下手でコケた。このストーリーモードの前半はアベンジャーズじゃなくカマラを主人公にして進むのだがカマラ入門として凄く出来が良かった。

⚡このドラマを製作総指揮としてまとめるのは『ロキ』〈シーズン1〉 (2021)の第1話と第3話の脚本を書いていた女性。第1話はともかく第3話がつまんなかったので少し心配だが、そこそこ面白かった『ムーンナイト』 (2022)の脚本家も過去につまんない脚本しか書いてなかった人なのに面白かった。MCUは大人数が関わるからね……。本作も監督が4人、脚本も凄いいっぱい居る、ファイギも口を出すだろうし、まぁ期待して観た。
いつもにも増して今回は完全にネタバレが多い

 

 

 

 

Story
イスラム教徒
パキスタンアメリカ人カマラ・カーン(イマン・ヴェラ―ニ)、彼女はニュージャージー州ジャージーシティに住む女子高校生両親に愛されて育ったが、学校では同じくパキンスタン系の親友ナキア(ヤスミーン・フレッチャー)と共に目立たないマイノリティ。そんなカマラはサノス襲来から地球を護ったアベンジャーズの大ファン、中でも特にキャロル・ダンバース/キャプテン・マーベルが大好きで、友達しか観てない「アベンジャーズ考察YOUTUBE」を更新する毎日。
しかしある日、親友ブルーノ(マット・リンツ)とヒーローのコミケアベンジャーズ・コン”に出かけたカマラは祖母サナから送られてきた不思議なバングルを付けた事が切っ掛けで光を硬質化できるパワーを手に入れた。
「スーパーパワーを手にする」という夢が叶ったカマラだが、周囲で次々と問題が起こり、やがてカマラは自分のルーツと向き合う事になる――

多くのDisney+製MCUドラマやSWドラマと同じく、本作もまた「カットしてない長めの映画を6つに割ったドラマ」タイプの。……個人的にはこの「カットしてない長めの映画を6つに割ったドラマ」、正直MCU映画より面白かったものは一本も無かった。唯一『ワンダビジョン』(2021)はドラマじゃないと出来ない造りだったので良かった(配信時はピエトロの扱いやショボいラストバトルでイマイチだったが時間が経つと共に自分の中で評価が上がってきてる。未だに前半のシットコムコメディドラマ部分をたまに観たりしてるし、更に『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)を観た今となってはワンダが空想の世界ではしゃげばはしゃぐほど哀しみが増してて今となってはドラマで一番好きな作品になった)。
本作もまた「良いところもあるけど2時間にまとめた方が絶対良かったタイプ」のドラマだった。まぁそんなに映画連発できないだろうしドラマに回るものもあるのは仕方ない。
話を戻して、そんなタイプの「カットしてない長めの映画を6つに割ったドラマ」である本作は、やはり映画が三幕構成なのと同じ様に大きく3つに別れている。
第1~3話が第一幕目「カマラ胎動編」、第4~5話が第二幕目「パキスタン編」、第6話(最終話)が「ミズマーベル誕生編」、こんな感じ。
今回は3つに分けて順を追って色んなことの感想を書いてみよう。
というか「カマラが好きなキャラ」というのもあるが、作品全体が「意味はわかるが交通整理が下手でボンヤリしてる」んですよね。
どういう事か書きながら解釈していくので今回はいつもより長い。

 

 

第一幕目(第1~3話)「カマラ胎動編」
カマラやスーパーパワー、家族や友達やムスリム・コミュニティ、2種類の敵……等の説明が必要なので一番長い。一番楽しい部分。

カマラが祖母に貰った不思議なバングル(筒状の腕輪)を付けたら光のパワーが発現、憧れていたスーパーパワーを手にして喜ぶカマラ。/楽しい”アベンジャーズ・コン”/インフルエンサー同級生ゾーイの命を救う/親友ブルーノとパワーの特訓。/カマラの過保護気味の家族カーン家、兄アーミルの結婚式。/ブルーノとナキアとの学園生活。ジャージーシティムスリム・コミュニティやモスク(イスラム教の礼拝堂)での生活。/地域で女性の地位が低いのでナキアが立候補して地区の代表になる。/パワーを持ったカマラを追う”ダメージ・コントロール”。/転校してきたイケメンのカムラン(リッシュ・シャー)に初恋し、ブルーノとの三角関係。/カムランや母ナジマは違う世界”ヌール・ディメンジョン”から来た長寿の危険な集団”ランデスティン”。/カマラのバングルが「ヌール・ディメンジョンへ帰れるゲート」を開けるので彼女らはバングルを狙いカマラを襲ってくる。

……こんな感じの導入。

本作の前半は、自分がカマラのファンというのもあるが「最高や!」と、いつものMCUドラマは一回観れば充分だったが今回は2、3回観るくらいお気に入りだった。
特にこの前半は空想好きのカマラの性格を反映してか、カマラの空想や友達とのメールの文面が背景に描かれたり、カマラの感情が背景にハートマークや閃きの電球となって表現されたりかなり楽しい。
ブルーノやナキアとの交友関係や、親族やムスリム・コミュニティの風習なども楽しかった。モスクでのひと時や兄アーミルの結婚式なども楽しい。
今までのドラマの中で最も楽しい前半だった。
僕は割とMARVEL、DCどのアメコミのヒーローも皆おなじように好きだが、カマラやデアデビルX-MENブレイドは僕にしては珍しく特別好きなヒーロー……推しなので、いつもより多めに考えてみる。

カマラ・カーン/ミズ・マーベル
カマラの容姿
まずカマラ役のイマン・ヴェラ―ニ氏の感想。原作でのカマラは描く人によって絵柄は違えど「あまり美少女ではない、どこにでも居そうなガリガリの褐色の少女」として描かれる事が多かった。MCU版は「あまり美少女ではない、どこにでも居そうな、ぽっちゃりした褐色の少女」。カマラは「ヒーローに憧れる冴えないパキスタン系の少女がヒーローになる」というところが重要なので「あまり美少女ではない、どこにでも居そうな褐色の少女」というところが重要。だから美少女に描かれたカマラとか見たら「わかってないな!」と、その理解力のなさに腹立つ。もちろん映像化の際もあまりに美人だと完全に解釈違いになる、その点イマン・ヴェラ―ニ氏は凄く普通っぽくて良い。これはわかっている。親友ナキアは凄く美少女なのだが、ナキア役の俳優がカマラ役だったら「え……全然わかってないじゃん、何この美人のカマラ、舐めてんの?」という感じになる(『映像研には手を出すな!』が実写化された時、浅草氏や金森氏に乃木坂の可愛いアイドルをキャスティングして台無しにした時のように)、だがMARVELスタジオはそんな文化発展途上的な旧態依然としたミスは犯さない。「イマン氏の容貌は普通っぽい」と言ったばかりだがイマン氏は愛嬌そして主人公としての顔圧が強いので主人公としてのオーラは抜群。個人的に10年くらい「カマラはガリガリの普通っぽい女の子」として慣れ親しんでいたので「ぽっちゃりした普通っぽいカマラ」である本作は、最初「えっ……違う」と思ったがカマラは「普通っぽい」というアイデンティティが大事なのであって、ガリガリかぽっちゃりかはどっちでもいい、僕が慣れればいいだけだ、そしてイマン氏が良い感じだからすぐ慣れた(10代の女の子の体型や容姿の事を長々と書いて罪悪感がある。だが私はミスコン的な品評してるわけではないので許して欲しい)。

カマラのキャラ
カマラは「アメリカ国内のパキスタン人」「勉強や運動やコミュニケーションが得意でないオタク」など、多くのマイノリティ要素によってか学校や街では小さくなって生活している。だが家庭内ではベタベタに可愛がられてるし、幼馴染のブルーノはカマラに好意を抱いているし親友のナキアも居る。そんな感じで社会に出ると自信がないが身内と居ると安心できる内弁慶ガール。
自分ではないスペシャルな存在に成りたがっているのでキャプテン・マーベルアントマンアベンジャーズも好き。私生活で自分がやりたくない時間(車の教習所や教師との会話など)ずっとヒーローの空想ばかりしている。そしてそれを母に注意される。
恐らく内気で思った事をすぐ発言できず逡巡しているのか、何か言おうとする前に口をへの字にして斜め上を見て停止する独特の表情をよくする(この表情好き)。
社交的でなく身内に甘やかされてる子供だからか、他人に自分の思ってる事を本気で伝えるのが下手。全編で、他人に説明したり説得するのが上手くいかない(殆どの場合ブルーノが読み取ってくれる)。
カマラを演じるイマン・ヴェラーニは本当にMARVELオタで匿名掲示板reddditにも書き込んでるしリアル・カマラ感も強く完璧。MCUのヒーローではキャップの次に、二番目に好きなヒーロー。

ミズ・マーベル
原作では憧れのキャロルが初代だった”ミズ・マーベル”を勝手に引き継ぐのだが、このMCU世界にミズ・マーベルは居ない、キャロルに憧れてるのは原作通りだがMCUにおいて”ミズ・マーベル”になるのはカマラが初代。
最初は人気TikTokerであるゾーイが勝手に”ナイト・ライト”と名付けてしまいコミュニティにはその名で広まってしまう。”ナイト・ライト”はダサくて恥ずかしい響きらしい。”ミズ・マーベル”の名は最終話のラストで決まるので(ここは感動的)本作の本編ではまだ誰もこの名称を知らないまま。
「祖母から送られてきたバングル」によってパワーを発言。幼馴染ブルーノの分析によると、このパワーは「バングルによってではなく、バングルを付けた事によってカマラが元々持っていたパワーが目覚めただけ」だとわかる。だからバングルを外しても多分パワーを使えると思う(ブルーノはさらっと凄い分析をしてるがMCU版の彼は物凄い天才なので全編この調子)。
原作での能力は「身体の変形や変身」。だが本作ではヌール・ディメンジョンのヌール(光)パワーを使う。……具体的に言うと「質量を持った光(ハード・ライト)を出す、その応用」って感じ。

ミス・マーベルの能力
攻撃
:巨大な拳を作ってパンチしたり敵を掴んで投げる(カマラは非力だがヌールの手は怪力)。あと波動拳のようにヌールを飛び道具として飛ばせる。
防御:ヌールを鎧のように身体に纏って銃撃も防ぐ。更に硬いバリアも張れる。
移動:空中にヌールの足場を出現させ、その上を走る。つまり女子高生が走る程度のスピードで飛行できるも同然(この足場は衝撃ですぐ壊れる)。

といった感じで割と万能。
最終話では巨大な足も作ってプチ巨大化みたいな事もしていた。恐らく、続編などでアントマンのように巨大化もできるようになる気がする。本編でやってたかどうか忘れたが「巨大なヌールの手で離れた場所を掴んで自分を引き寄せる」という移動法も多分できる。
パワーを習熟した最終話では、ヌールの巨大な手で地盤をブチ抜いたり、飛んできた乗用車を掴んだりと、もうハルク……ほどじゃないかもしれないがスパイダーマンくらいの怪力があるように見えた。最初の数話では弱そうだが最終話ではかなり強いパワー。本体のカマラは強化されてないのでスタンド使いみたいなものだと思っていいだろう。
はっきり言ってDCのグリーン・ランタンのパワーに凄く似てる。同じMARVELでは『X-MEN』の市来久子/アーマーに似てる(こりゃもうMCUX-MENが作られても久子は出ないな)。
こんな感じで、パワーの原理は原作コミックとは大きく違うが「でっかい手で殴る」というのが原作でのメインの攻撃手段と同じなので割と見た目は似ている。
原作とは変わってしまったが、僕はカマラは好きだが原作での能力には特に思い入れないので別にこれでOK。むしろ身体の一部がゴムゴムな感じで、でっかくなったりするパワーは「映像にしたら子供っぽいかも?」とか思ってたのでこれでいいかも。
能力を変えた理由はよくわからない。身体の変形は『ファンタスティック・フォー』のMr.ファンタスティックと被るからなのか、もしくは新要素”ヌール・ディメンジョン”を出したかったからなのか……わからない。

ダメージ・コントロール
『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)
で初登場したスターク・インダストリーとアメリカ政府が作った組織。『アベンジャーズ』(2012)で街に散らばった異星人チタウリの技術を回収するための組織だったが、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)の後でミステリオに奪われたスターク製ドローンを回収、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)ではミステリオを殺した容疑者としてピーターや周りの人を尋問した。
本作では、YOUTUBEにUPされた”ナイト・ライト”(カマラ)を追う。本作や来月配信される『シー・ハルク:ザ・アトーニー』(2022)予告編を観る限り、スーパーパワーを持つ危険人物を囚えて収容する役割も担い始めているようだ。
アメリカ政府がスーパーヒーローを管理する”ソコヴィア協定”は、アベンジャーズやヒーロー達がサノスからの侵略を退けた事で曖昧になってるっぽいが、それでも国の驚異となる、パワーを持つ正体不明の者は調査したりする必要がある。解体されてしまったS.H.I.E.L.D.の代わりにスーパーヴィランや超科学武器を持った犯罪者を捕まえるのがこのダメコンなんだろう。『ワンダビジョン』(2021)に出てきた地球外の驚異に対応する組織”S.W.O.R.D.”は、ワンダに侵入されたから地球内に乗り出してきたけど基本は対宇宙で、対地球内での驚異は、このダメコンが担当なんだと思われる。
とにかくカマラを追うダメコン
役割上、我々ファンが愛するピーターやカマラ達を問答無用で捕らえようとしたり子供達に圧迫尋問するので「悪役」の役割になりがちだが、要は「街で銃を撃ってる奴がいるぞ!」という時に出動する警察と一緒で、別に悪ではない。本作の最終話でもそれはよくわかる。

ヌール・ディメンジョンジンランデスティン?
「なるほど、パキスタン系の女の子がパワーを得て……ムスリム・コミュニティで……パワーを持ったカマラをダメージ・コントロール局が追って……楽しいなぁ」と楽しんでいた本作に3話から加わる要素。
ハッキリ言って、これらの要素が本作をいたずらに複雑にしている。
この要素の追加から、本作は「理屈はわかるけどモヤモヤと不明瞭だな……」という印象が増えてくる(ちなみに最初に言っとくけど最後まで観てもよくわからんまま)。
カマラが恋した転校生カムランとその母ナジマ、その数人の仲間は”ヌール・ディメンジョン”という違う次元から来た”ジン”という種族の”ランデスティン”という集団。
行方不明になったカマラの曾祖母アイシャやカマラもナジマ母子も皆”ジン”。
カマラだけがヌールの力を使えるのは「この世界(MCU世界)で生まれたから」らしい。他のジンの能力は不老だけ……かな?
数十年前、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)に出てきた犯罪組織”テンリングス”の印がある遺跡にカマラの曾祖母アイシャやナジマ達もいた、『キャプテン・マーベル』(2019)に出てきた青い腕(多分クリー人の腕)が落ちていた(こう書くと複雑)、その腕に付いてたのがカマラが今付けてるバングル。「ヌール・ディメンジョンに帰還するにはバングルは二つ必要」らしいが一個しか見つからず、ナジマと後で落ち合う約束をしてアイシャが一個付けて逃げる。
このヌール・ディメンジョンは、『ドクター・ストレンジ』(2016)に出てきた”ミラー・ディメンジョン”や”ダーク・ディメジョン”、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)に出てきた「”ター・ロー”にある”ダーク・ゲート”の先の世界」みたいなもんで、これらのディメンジョンは我々が観てるMCUの神性時間軸(アース616)の隣にある世界なんだが、MCUを観始めたばかりの人は「ちょっと待って!最近よく出てくるマルチバースとは違うの!?」と混乱しそう。自分の解釈では「マルチバース=アース616の違うバージョンの並行世界」だが「○○ディメンジョンやダークゲートの向こう側=アース616の隣にある次元」……だよね?「○○ディメンジョンのマルチバース」とかは無いと思う、ややこしいから。
……なんか分かりやすくしようとしたら余計にややこしくなったから止める。
話を元に戻すが、このヌール・ディメンジョンはナジマの話に出てくるだけで最後まで画面に出てこない。だからどうも「ヌール・ディメンジョンとは何か」は、理解はできるがイマイチ最後まで実感できない。
で、クランデスティンも、見た目は人間と一緒だが妙に変な武器持ってたり微妙にパワー持ってる感じで、よくわかんないんですよね。
そしてカムランの母ナジマ。このオバハンは本作を一番よくわからんものにしている。
ナジマや仲間達は最初、カマラに優しくする、そして「ヌール・ディメンジョンに帰るにはバングルが必要なの、だから協力してね?」とカマラにお願いする。
カマラは帰宅して「うーん、でも危険じゃないかな?それにアーミルの結婚式あるし……」と考えてカムランに「ちょっと待ってね」とだけメールする。
するとナジマはそのメールを勝手に見て「もう時間がない!強引に奪うしかない!」と突然、アーミルの結婚式に乗り込む!もう何人か殺してでも奪い取る勢いだ。だがナジマたちがこういう凶暴な人達だと思ってなかったので「え?」という戸惑いが大きかった。100何年も生きてるんだからカマラが少し考えるくらいええやろと思うし一年くらいかけてカマラの信頼を得てもいいだろう。それがメール見て「よし!殺そう!」と、急転直下すぎる。
そして人がクソいっぱいいる「結婚式」に乗り込みカマラとバトルするナジマ達。
当然、通報されてダメージ・コントロール局に全員連行されるクランデスティン。
……ちょっと短絡的すぎるだろう。こんなに単細胞な奴らなのに、カマラが遊びに来た時に襲って奪わなかったのは変だよね。こんな感じでナジマは最後まで全く誰も理解できない事ばかりする。これが本作に混乱をもたらしている。続きは後述で。

 

 

第二幕(第4~5話)「パキスタン編」

前回、カマラが闘ってる時に、カマラが放ったヌールに「列車の幻影」を見たカマラ。するとバングルを送ってくれた祖母サナから電話が、祖母サナは「列車の幻影を見たわね?じゃあパキスタンにいらっしゃい」と言う。どうやら曾祖母アイシャから繋がる女系はヌールで繋がってるらしい(ただし、それらのオカルト話を嫌うリアリストであるカマラの母ムニーバにはヌールを感じる力がないらしい)。
カマラは母ムニーバと共に祖母サナが待つ、自身のルーツであるパキスタンに向かう。
このパキスタン編を撮った監督は、パキスタンのカラチ出身で社会派の作品を多く手掛けているシャーミーン・オベイド=チノイ監督。製作者や監督達や原作者もインドやパキスタン系の人達ばかりだし、インド・パキスタンの分離を通じて「カマラのルーツ」を辿る、このパキスタン編は本作の重要な部分だったと思われる。
カマラと母ムニーバがよく衝突しているように、母ムニーバと祖母サナもまた衝突が多く、軽く疎遠になっている事がわかる。
パキスタンを散歩するカマラは多くのインド人の運命を大きく変えた駅を散歩していると「カマラのヌールを感じた」という赤いスカーフで顔を隠した少年に襲撃されて交戦する。

レッド・ダガー
彼はダガーを投げてパキスタンの街を護るヒーロー、カリーム/レッド・ダガー。彼の父ワリームもまたレッド・ダガー。他にもレッドダガー居るのかどうかはよくわからない。「レッド・ダガーズは何百年もクランデスティンと戦っている」と言う。カリームには「カマラのヌールを感知」する能力もある。
ワリームがカマラに、ヌール・ディメンジョンの事を説明する。
「ヌール・ディメンジョンは、この世界と隣接している。”ヴェール”という壁によって2つの世界は分けられている。バングルを使ってヴェールが破られてしまうとヌール・ディメンジョンはこの世界に押し寄せてきて、この世界は消滅する」と言う。
説明する時に使用したレッドダガーズの機械は明らかに進んだテクノロジーで出来ているように見える。何でこんなマシンがあるのか不思議だ。
こんな感じでヌール・ディメンジョンやジン関連は全体的にボンヤリしている。
だが5話を観ると、どうやらカマラの曾祖母アイシャがレッドダガーズの創始者らしき事がわかる(だが、はっきりとは明言されない)。
そうこうしてるとダメージ・コントロールの刑務所を脱獄してきたナジマ達クランデスティンが強襲。応戦するカマラとレッドダガーズ。カマラはナジマの刃をバングルで受ける、するとヌールが漏れ出し、カマラは過去にタイムスリップする。

 

曾祖母アイシャインド・パキスタン分離
カマラがタイムスリップしたのは1947年インド・パキスタン分離の運命の夜。
タイムスリップしたばかりでややこしいが更に5年前の回想に入る。
1942年、イギリスの植民地支配後、インドの独立運動が始まっている。
第3話のナジマの回想で語られた「遺跡でバングルを手に入れた」アイシャ、イギリスからの独立を目指すスピーチしていたバラ農園を運営するムスリムのハサン(ファワード・カーン)と知り合う。ヒンドゥー教徒とは対立している。
2人は結ばれて娘サナ(カマラの祖母)が産まれる。
そしてカマラがタイムスリップした5年後の1947年に場面が戻る。
アイシャを探し当てたナジマがバングルを要求するが、家族やこの世界を愛してしまったアイシャはそれを拒否(ヴェールを破ればこの世界が破滅してしまうから)。
パキスタンへ向かう最終列車、夫と娘を逃したアイシャはナジマに刺殺される。アイシャ、バングルを起動させ未来からカマラを召喚する。……そう「カマラがバングルで過去にタイムスリップした」のではなく「アイシャがバングルで未来の子孫を召喚した」と言う方が正しいのだろう。自分でもよくわからないが「まだ産まれても居ない子孫を呼び出して自分の娘(召喚した子孫の祖母)を助けさせる」という行動が何か……凄くエモいものを感じて理由のよくわからない感動がありました。
祖母サナにアイシャの似顔絵を見せられてたからアイシャを視認できたカマラ、死亡寸前のアイシャはカマラに家族写真を渡し死亡。
カマラ、親族に伝わる「サナは星を辿って父に辿り着いた」の言い伝え通り、幼い祖母サナをヌールの足場を歩かせて父のもとに送る。
カマラが現代に戻るとヌールのヴェールが少し開いていた。何でなのかイマイチよくわからない。「アイシャが子孫を召喚」とか大技を繰り出したから?
ナジマの仲間がヴェールを通ってヌール・ディメンジョンに帰ろうとするが通れずにチリになってしまう。
観た時「なんで?」と思ったが「ヴェールを開くとヌール・ディメンジョンが押し寄せてきて、この世界が滅びる」って事だったので、いくらヌール・ディメンジョンから来たジンといえど、今はこの世界の住人なのでヌール・ディメンジョンに接触したら消滅してしまう……ってコト?多分そう。
カマラに「カムランを助けて」と説得されたナジマは改心してヴェールに突っ込んで死亡。よくわからなかったが、どうやら「自身でヴェールを閉じた」って事らしい。そしてナジマからヌールのパワーがジャージー・シティに帰ったカムランに飛んでいく、そしてカムランもカマラのようにヌールのパワーが使えるようになる。何故かはやはりわからない。この世界で生まれたカマラがバングルでヌールを使えるようになったように、この世界で生まれたカムランも母の飛ばしたヌールを吸収して使えるようになった……んでしょうね、観たまま理解するなら。
そんな感じで色んな事がよくわからなかったが二回観て今感想書いてたら「そういう事かな?」と思えたので今わかった。
そんな感じで最後までヌールディメンジョンとジン関係の要素がわかりにくかった。……というか居るか?この「ヌールディメンジョンとジン」って要素。最終話まで観てもわかんなかった。今後の『ザ・マーベルス』とかで必要なのか?
だけど時空を超えたカマラが曾祖母アイシャ、祖母サナを救う場面は正直エモくてウルっと来ました。そして現代に戻ってきて母ムニーバも来てて母娘三代が和解。ここは良かったです。
ブルーノに助けを求めたカムランをダメージコントロール局が追う。ラストバトルだ。

 

 

第三幕(第6話)「ミズ・マーベル誕生編」
ややこしいヌール・ディメンジョンとクランデスティンが死んだので後は楽しいラストバトル。カマラや仲間達がカムランをダメージ・コントロール局から逃すという闘い。
曾祖母アイシャからバングル、ブルーノに作ってもらったドミノマスク、ワリードから貰ったベスト、カリームから貰った赤いスカーフ、母ムニーバはそれらを集めて、壊れて稲妻の形になったネックレスをトレードマークにしたカマラの衣装を作る。
一体どうやって普通の主婦が一日?でこんな凄い衣装を作れたのかよくわからないがオカンの特殊能力だと思うしかない。そういえば第一話でもハルクのコスプレ二着作ってたな。
皆で高校に集まってダメコン部隊をホームアローン感覚で迎え討つ。
カマラは喧嘩してたナキアに謝罪→和解!カマラは家族にパワーを得たことを告白→皆知ってた!第2話以降出番がなかったゾーイが突然高校に登場して、どういうわけか兄アーミルも高校に忍びこみ共に戦うことに!
何か、もうここまでの5話で時間を使いすぎて色んな人間ドラマを描いてる時間ないので、全員が速攻で和解したり数秒で心を通わせたりする。
最終回、一個恐れてたことがあって、このドラマむちゃな展開が多いから「カムランが母ナジマの死を知って悪堕ちしてヴィランになったら嫌だな」と思ってました。本作でカムランはずっと優しいキャラで来て、良い奴すぎるブルーノはコンビニ爆破されても好きなカマラがカムランに惚れても助けようとしてるわけで、ここまで皆に世話になってるカムランがヴィランになるのはちょっと……。でもこのドラマそんなんやりそうだな~と不安でした。さすがにそれはなかった「母が死んでヤケクソになったカムランがヌールパワー撒き散らしてカマラが流れヌールから市民を護る……」そんな流れで収まってホッとした。
そして、なんだかんだあってカマラの活躍で解決する。新ヒーロー誕生に浮かれるジャージー・シティ。第2話でナキアの高級スニーカー盗んで高所から落ちそうになってカマラに救われたガキも「あの時はまだ修行中だったんだね!」とか早口で言ってる。

 

 

そんな感じで、第三話の後半からは「何が起きてるかはわかるのが何でそうなるん?」みたいなボンヤリした事が続く。そして人間ドラマにかける説明や時間配分が下手すぎて、最終話は前述した通り「残った要素を全部消化しなきゃ!」と、部屋の散らかった物を急いでクローゼットに押し込むかのような性急な展開で本来感動させるべきシーン(街の人達が壁になってカマラを守ったりとかそういうの)とかで「いい場面だけど急だな……」とか色んなノイズが浮かんできたが、終わりよければ全て良しって事にしとこう。
まだ感想書いてないけどPIXARの『私ときどきレッサーパンダ』(2022)が凄い傑作だったんだけど途中まで殆ど同じ話かってくらい似てましたね。3話までは「過去最高か?」とか盛り上がってたけど。やっぱ消化する要素が多すぎたんでしょうね。何度も言ったけどヌール・ディメンジョンとかクランデスティンとか……あとついでにレッドダガーも要らん。わかりにくいから。ジャージーシティムスリム・コミュニティとパキスタンでのルーツ探し、敵はダメコンだけで良かったんじゃないか?もしくは、あと2、3話多ければ上手く整理できたのかもしれない。
最初の数話の時、本作が低評価爆撃(有色人種や女性などのマイノリティのヒーロー映画を観もせずに低評価しまくる好意)されてたから「自分は応援しなきゃ!」と応援してたけど全部観ると割とオススメできん感じに落ち着いてまいました。
でも僕は迷走した部分も含めてこのドラマ好きでした。最終話も駆け足だけど楽しかったしね。あと美術も音楽も良かった。

⚡ポスクレ後は、『マーベルズ』(2023)に繋げなきゃいけないから当然キャロルが出てくる。二個の位置を入れ替える旧キャプテン・マーベルのコミックに出てくる一対のバングルですよね?遠方のキャロルとカマラの位置が入れ替わったんでしょ、これも説明ないからわかんないよね。たまたま知ってたけどじゃないとわかんなかった。原作のカマラには変身能力もあるから実写版カマラもそのパワーに目覚めてキャロルに変身したのかとしばらく思ってた、ややこしいわ。入れ替わったカマラは宇宙?このシーンは『ザ・マーベルス』のニア・ダコスタ監督が撮ったらしい。

⚡キャロル出るのはドラマ始まる前からわかってた事だが、今回はそれよりもブルーノがカマラの遺伝子の秘密を「君の家族の中で、君の遺伝子だけが突然変異(Mutation)だ」と言う……衝撃でしたね。今までMCU観てて一番驚いたかもしれん。原作ではインヒューマンという設定のカマラがMCUでは”ミュータント”になった。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)でプロフェッサーXがミュータント第1号だけど彼が居たのはマルチバースだから神性時間軸ではカマラがミュータント第一号!?。そして、このシーンで90年代X-MENアニメの主題歌が1、2秒だけ流れるのも痺れた。
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『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)でプロフェッサーXが出た時にも一瞬流れてたよね。これは40代のアメコミ好きな人だけ気づけただろうし嬉しかった……と一瞬、思ったけど90年代のX-MENアニメのOP、日本版は日本の制作会社が作ったOPが流れてたんだった。だから僕みたいに「本国のOPはどんな曲だろう?」とわざわざYOUTUBEで検索して更に何度も聴いて覚えてた人じゃないと、この場面でビビッと来なかったはずだから、そう思うと自分は偶然かなり抽選をくぐり抜けられてたもの好きな日本人だったのかも。
まぁカマラはX-MENとかには入らず活動するだろうけど、カマラがミュータントってのは、インヒューマンズに思い入れなくてX-MEN大好きな僕は嬉しかったね。原作のMARVEL世界でミュータントといったら差別対象だから心配が増えたが。MCU版のインヒューマンとミュータントは同じ種族で、インヒューマンズが後で出てくる時もミュータント設定なのかも。ナジマとかが固まって骨になるのとかもインヒューマンっぽい描写だし……。だが「カマラはミュータント」という一発でわかりやすい結論が出るのなら、ジンとかクランデスティン等のわかりにくい設定は益々いらないな。ヌール・ディメンジョン、ジン、クランデスティン要素をカットして話をわかりやすくした方がよかった。

カマラ役イマン氏が作ってVIMEOにUPしてたメイキング動画

 

⚡そんな感じで文句を言いつつも僕はカマラ好きなので各話、最後まで2、3回づつ観て楽しんだ。でも中盤でごちゃつき過ぎたりおかしなシーンばかりで映画好きの視点で客観的に観ると失敗作だと思うんだけど、アメコミ好きとしては「僕のお気にいりのカマラがミュータント」あとマーベルズへの引き、という本編とあまり関係ない部分でめちゃくちゃ盛り上がった。第一話と最終話は盛り上がったし好きだよ。

次のMCUは来月、Disney+アニメ『アイ・アム・グルート』(2022)と、Disney+ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』(2022)。映画は11月に『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエヴァー』(2022)か。

 

 

 

 

そんな感じでした

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