gock221B

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『私ときどきレッサーパンダ』 (2022)/劇場未公開なのが勿体ない名作……というか傑作ですわこれは🐼💘


原題:Turning Red 監督&脚本:ドミー・シー製作会社:ピクサー・アニメーション・スタジオ 配給&制作会社:ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ(劇場未公開) 配信サービス:Disney+ 製作国:アメリカ 配信時間:100分

 

 

PIXAR25作目の長編アニメ。劇場公開するはずだったがコロナ禍によって3作連続でDisney+の配信行きとなってしまったらしい。最初に言うけどこれは傑作だったので本国で劇場公開されなかったのが残念。
別に嫌いなわけじゃないけどPIXARもDisneyアニメも、何年も観てなかったので久々にPIXARアニメ観た。今までPIXARとDisneyアニメ合わせて一番好きだったのは『インサイド・ヘッド』(2015)だった、これはそれと同じくらい良かった。
本作のドミー・シー監督は、本作で長編デビューした若干33歳の中国系カナダ人女性監督、本作同様に「母と子」「中華料理」というテーマで仕上げたPIXAR短編映画『Bao』(2018)を手掛け、初の有色人女性としてアカデミー短編アニメ賞を始めとする色んな賞を受賞。その四年後、本作をPIXAR二番目の女性監督として制作。『Bao』(2018)と本作どっちも「中国系の食べ物」「お母さんと子供」というのが共通してるね。あと僕がPIXARで一番好きだった『インサイド・ヘッド』(2015)で絵コンテをしてたのがこのドミー氏だったみたい。
原題の「Turning Red」は何だろうと思ったけど赤面してしまうほどの感情の高まりの事らしい。映画の邦題って原題の方がカッコいい方が多いが、PIXAR作品やディズニー作品の原題は、どれも簡素すぎて邦題の方がいい……というのは昔からよく言われてる話。制作会社は違うが『くもりときどきミートボール』に似ている、僕が当時、女の子に「『くもりときどきミートボール』観に行かない?」って言ったら「随分かわいい名前の映画みるんだね笑」と笑われた名作アニメ映画(ちなみに続編はクソつまんないので1だけで観るのをやめた方がいい)。何故『くもりときどきミートボール』に寄せたのかわからないが確かに「ターニング・レッド」とするよりは良いだろう。

ネタバレあり

 

 

 

 

2002年カナダ・トロントチャイナタウンに暮らす、由緒あるお寺の家系に生まれた中学一年生13歳中国系カナダ人の少女メイ
メイは成績優秀で母親ミン自慢の娘だった。優等生で母の前では理想の良い子でいるがボーイズ・グループ「4★TOWN」に夢中な事は母に言えずにいる。
メイは、いつも女子四人の仲良しグループと一緒にいる。リーダー的存在でメイの大親友でもあるユダヤ系カナダ人ミリアム、いつもクールで真顔でギャグ言うタイプのインド系カナダ人プリヤ、いつもハイテンションの韓国系カナダ人アビー(皆いいけど僕はアビーが好きかな、いつもじゃりン子チエのキャラが叫んでるような表情で興奮しまくってて可愛い)。白人男子のタイラーはいつも女子にちょっかいかけてくる。
メイはある日、恥ずかしさのあまり翌朝、目覚めると巨大で赤いレッサーパンダに変身してしまっていた――

そんな話。

2002年の話なので皆が持ってる携帯電話はガラケー
2002年のドミー・シー監督は、本作の主人公メイ同様に中国系カナダ人の13歳……つまり監督が
自分の少女時代を思い出して描いたのだろう。
2002って自分は余裕で大人だったのに……「映画監督」とかって「自分の父や祖父」くらいの老が撮るものだったのに今ではもうドミー監督のような一回り歳下の若(33歳)が「自分の幼い時」として2002年を描く……そんな時代が来ましたか~己の加齢を感じずにはいれなかった。まぁそれはどうでもいいです。

 

 


メイがレッサーパンダになる切っ掛け。
まずはメイが、若干過保護気味の母親に従順な優等生だったというのがある。
仲良しグループの間で「ボーイズ・グループ『4★TOWN』カッコいい」「でも4★TOWNは雲の上のアイドルで手が届かん」「その点、コンビニの17歳の店員カッコよくない?いつでもタダで話せる」と盛り上がる。メイは「『4★TOWN』こそ至高、コンビニ店員なんでどーでもいいわ」とか言ってた。
……のだが夜、勉強中にコンビニ店員の落書きをノートに描いてるうちに、裸のコンビニ店員、下半身が人魚になって潤んだ瞳のコンビニ店員、美化した自分が裸のコンビニ店員にアゴクイされてキスされる寸前……そんなエッチな落書きしてたら過保護の母に見つかってしまう。
母は「コンビニ店員にこんな事されたの?」と勘違いして必死で止めるメイをコンビニに引きずっていく。そしてコンビニ店員に「うちの娘に何したの!?」と、そのナマモノ二次創作を本人に突きつける!困惑するコンビニ店員。店内にはいつもメイをからかってる男子タイラーが居たので囃し立てて二次創作を回し読みされる……。
これは恥ずかしい。はっきり言ってションベンや大便をもらした方が数倍マシ。
メイは羞恥のあまり翌朝目覚めるとレッサーパンダになっていた。
母によると「伝説の先祖である女性サン・イーは、男たちが戦に出ている間、自らが巨大なレッサーパンダに変身して悪者から子供や動物たちを護っていた」「時は流れ平和な世の中になった今、年頃になった一族の女性が感情をコントロールできなくなった時にレッサーパンダに変身してしまう」「ママもおばあちゃんもレッサーパンダになって困っていた」……という事実が明らかになる。
気持ちを落ち着けると元の人間に戻れる。
だが、喜怒哀楽などの感情の高まり……要は原題の通りTurning Red……「エモくなるとレッサーパンダに変身してしまう」体質になってしまったメイ。
「感情の高まり(Turning Red)でレッサーパンダになってしまう」のは主に若い時に現れるパワーで、一族に伝わる封印の儀式をすれば元に戻れる。そこで祖母メイおばあちゃんや封印の儀式ができる道士のおじいちゃん、親戚のおばさん軍団が封印しにやってきてくれる事になった。
だけどメイは仲良しグループで4★TOWNのライブに行くのを楽しみにしている。
友達はメイのレッサーパンダ化を知って驚くがすぐ慣れる。
そんな事よりメイが4★TOWNのライブに行くお金が足りない。4★TOWNを嫌ってるメイの母はお小遣いをくれそうもない。
そこで四人は、メイをレッサーパンダに变化させてハグしたりツーショット写真を撮ったりするファンサで金を稼ぐ。
メイは無事にレッサーパンダ化を封印して、四人で4★TOWNのライブに行けるのか?

 

 

 

子供から女性になり始める13歳の少女の、親離れ、恋愛、初潮、性欲、苛立ち、その他の思春期ゆえのごちゃごちゃした感情……色んなものがないまぜになったものをレッサーパンダで表現してる。
PIXAR初のアジア人女性監督というのもポイントだが、主人公がアジア系の女の子、しかも可愛くないのが良い。「可愛くない」というのは語弊がある、メイは凄く可愛い、そうではなくて「アニメの主人公なのに男を喜ばせうる美少女じゃない」という言い方が正しい。メイは少女だが、男を喜ばせるために作ったキャラじゃないので品行方正な優等生ではなく(序盤の母の前でのメイはそれに近いかも)欲望まみれで、男性のオタクが嫌う「自分の意思を持ってそうな女」として描かれてる。
レッサーパンダに変身する切っ掛けはコンビニ店員のエロ絵を描くこと。普通だったら、ここは「コンビニ店員に恋したから、つい彼との絡みを描いてしまう」という描写になりそうな場面、だがメイは別にコンビニ店員に恋愛感情を抱いてるわけではない。ただ身の周りで、そこそこ良い顔と良い身体してる異性がいたからセクシーな絵にしただけ……つまり「少女だって男性を性のはけ口にしてる」という表現で、だから素晴らしい。メイがコンビニ店員のエロ絵を描く時、興奮しすぎて「ウェへへ!笑」と一瞬すごく醜い性欲まみれのスケベ顔を晒す。そこが良い。メイがコンビニ店員に恋して二次創作していたんだったら本作の良さが目減りしていた。
他に出てくる男性は、メイに理解のある料理が得意な父親、一族のレッサーパンダを封印できる道士の祖父、メイ達にちょっかいばかりかけるが実はアイドル4★TOWNのファン男子のタイラー、アイドルの4★TOWN……など……。

 

🐼そんな感じでメイを一人の人間として描きつつ、仲良しグループの女同士の友情、そして最大の敵である自分のことを愛しすぎている母との対決!……を迎える。
前半とメイのキャラ造形のことしか描いてないが、あとは一目瞭然の傑作なので観てくれ。PIXARで一番好き……なのは『インサイド・ヘッド』(2015)だから……その次に良かった!
「監督が非白人の女性」「突然スーパーパワーを手にする」「アジア系アメリカ人(本作はカナダだけど)少女」。「男好きする美少女ではないけど意思がある可愛いオタク少女」。「過保護気味の母との確執」「祖母や偉大な先祖の女性との繋がり」……など、先週まで配信されてたMCU作品『ミズ・マーベル』(2022) に凄く似てる。
僕はアメコミ好きだしミズ・マーベルは原作からして好きなんだが、完成度は本作の方が高かったですね。
そういえばメイが変な顔したり仲良しグループがはしゃいだり踊ったりする様子や、お父さんが作る中華料理とかも最高でしたわ。
要チェックしといてください。

 

 

 

 

そんな感じでした

『インサイド・ヘッド』(2015)/自分にしては数少ない泣いた映画。これはやばい‥🧠 - gock221B
『リメンバー・ミー』(2017)/死の香りのする良作だったが、あまりに全て上手くいきすぎな気も‥💀 - gock221B
『インクレディブル・ファミリー』(2018)/パパの主夫活動以外は続編というよりも一作目と同じことをもう一回やったセルフリメイク👨‍👩‍👧‍👦 - gock221B

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Turning Red (2022) - IMDb

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