gock221B

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『ウェンズデー』〈シーズン1〉(2022) 全8話/絶妙なキャラ設定だしティム・バートン作品を20年ぶりに良いと思えた!👧🏻✋


原題:Wednesday 製作総指揮&第1-4話の監督:ティム・バートン 監督:ガンディア・モンテーロ(第5-6話)、ジェームズ・マーシャル(第7-8話) 脚本:アルフレッド・ガフ&マイルズ・ミラー(第1-2、8話)、ケイラ・アルパート(第3-4話)、エイプリル・ブレア(第5話)、アルフレッド・ガフ&マイルズ・ミラー&マット・ランパート(第7話) 原案&製作総指揮:アルフレッド・ガフ、マイルズ・ミラー 作曲:ダニー・エルフマン、クリス・ベーコン 原作:チャールズ・アダムスアダムス・ファミリー』(1930年代) 配信:Netflix 製作国:アメリカ 配信時間:各話47-59分、全8話 シリーズ:『アダムス・ファミリー』を元にしたドラマ

 

 

👧🏻1930年代にチャールズ・アダムスが描いてた一コマ漫画『アダムス・ファミリー』……の中の、思春期に成長した長女ウェンズデーを主人公にした大御所ティム・バートンによるNetflixドラマ。
アダムス・ファミリー』は過去にドラマや映画やアニメなどに何度も映像化されてた怪奇系コメディ・コミック。「死」や不気味なものを好む黒尽くめの変り者一家のギャグ漫画。そんな不気味ファミリーではあるが、互いを思いやっていたりして、むしろ普通の家庭よりも優しいファミリーという認識。僕は一番好きな漫画家が水木しげるなので『アダムス・ファミリー』のことは読んでないし詳しくないが、どことなく水木っぽくていいなと思っていた。
40代の僕はというと高校生の時に『アダムス・ファミリー』(1991)『アダムス・ファミリー2』(1993)が公開されたからそれしか観てない。この二作は『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993)同様に「ティム・バートン監督作……に見えるがそうじゃない2大映画」の一つだった。『アダムス・ファミリー1&2』(1991-1993)は正直「(本作にも出演している)クリスティーナ・リッチが演じたウェンズデーが可愛い」という事以外は特に記憶に残っていない。ウェンズデーとテーマ曲以外はあまり印象に残らないフンワリした面白さだった。
少し前に公開された3DCGアニメ映画『アダムス・ファミリー』(2019-2021)2作も観てない……が、この『ウェンズデー』が良かったので年末年始に観てみようと思う。

👧🏻で、この大御所ティム・バートン監督。僕は直撃世代の40代なので当然好きだった。彼は「陰キャ陽キャに復讐する」という流れをメジャーに持ってきて大成功した最初の監督という認識。彼の『バットマン・リターンズ』(1992)は未だに「好きな映画マイベスト10」に30年間以上入ってるし『バットマン』(1989)、『エド・ウッド』(1994)もクソ好きだし、『スリーピー・ホロウ』(1999)、『マーズ・アタック!』(1996)……などもまぁまぁ好き。だが20歳半ばになった2000年以降は嫌いではないが前ほど好きではなくなった。本作『ウェンズデー』(2022)が面白かったから2000年以降のものも再び再見しようとしてるから今はよくわからないが、彼は「中高生やデザイン専門学校に通ってる20歳前後の若者が支持する監督」という認識。本作も若者にウケてNetflix作品としては『ストレンジャー・シングス 未知の世界』並の超大ヒットになったしね。
僕もティムバートンへの興味を失って30年経つし観る気なかったんだけど、あまりに大ヒットしすぎて観ざるを得なくなった。そしてめちゃくちゃ面白かった。
「自分が興味あるもの」が大事だが、それと同じくらい「特に興味ないけど凄いウケてるもの」は観た方が良い……と思ってるけど、それが当たりました。自分だけの感覚だと充分じゃないですからね。一個人なんて愚かだから。

👧🏻主演のウェンズデー役は『X エックス』 (2022)で裏方だったのに突然ポルノ映画に出ちゃった可愛い陰キャ女子役をしてた顔芸が素晴らしかった娘。本作『ウェンズデー』一本で『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のエディ役の人同様に大ブレイクした。
ネタバレなし

 

 

 

 

Story
アダムス・ファミリー
の長女ウェンズデー・アダムス(演:ジェナ・オルテガ)は、サイコメトリー(物や人が経験したことをに触れる事で知覚できる能力)で、弟パグズリー(演:アイザック・オルドネス)をいじめた子を認識してピラニアに男性器を噛ませて高校を退学になった。
そんな問題児ウェンズデーはジェリコという街にある父ゴメス(演:ルイス・ガスマン)と母モーティシア(演:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)の母校でもある〈ネヴァーモア・アカデミー〉に入学する。〈ネヴァーモア・アカデミー〉は、あらゆる超能力者……世間に溶け込めない〈のけ者〉が集まる学園だった。
そんなネヴァーモア・アカデミーの中でも、ウェンズデーは偏屈すぎて同級生に溶け込めずルームメイトの陽キャ人狼少女イーニッド・シンクレア(演:エマ・マイヤーズ)とも仲良くなれない。
そんな彼女は謎のモンスターによる連続殺人事件に巻き込まれ、調査し始める。
――

そういう話。

 

 

👧🏻ウェンズデー
普通の高校を何度も退学になり、とうとう変り者の両親が出会った「超能力を持ったメタヒューマンを集めた学校」に入学するしかなくなった主人公ウェンズデー。
アメコミ的に言うなら「X-MENの『恵まれし子らの学園』内で連続殺人が起こった話」とも言える。
生徒や教師の99%は能力を持っている。
ウェンズデーはサイコメトリー(過去に物や人が経験したことを触れると追体験できる能力)を持っている。そして頭脳明晰でフェンシングや護身術が得意。小説家を目指している。
何の能力も持っていない人間(又は不明なの)は、アダムス夫妻の同級生だった校長・ラリッサ演:グウェンドリン・クリスティー)、「唯一人普通の人間」だと自称する植物学教師・マリリン演:クリスティーナ・リッチ)、学園があるジェリコという町の保安官・ドノバン演:ジェイミー・マクシェーン)と、その息子の〈風見鶏カフェ〉店員タイラー演:ハンター・ドゥーハン)、セラピストのヴァレリー博士(リキ・リンドホーム)くらいだ。
アダムス・ファミリー』でも御馴染みのゴス少女ウェンズデーだが、ハイティーンに成長して偏屈さは増している。幼少期に町の悪ガキのせいでペットのサソリが事故死してしまった事で偏屈さが加速したらしい。
弟をいじめた悪ガキのチンコをピラニアに噛ませて退学になり両親が通ってた学園に来たウェンズデー、会う人会う人に悪態しかつかない。全米から〈のけ者〉の子ばかり集まった学園なのに転校して数時間で〈のけ者〉中の〈のけ者〉クイーン・オブ〈のけ者〉となる。
前述の通り、ここ20年くらいティム・バートン作品への興味を失ってたし正直、最初のは怪訝な気持ちで観ていた。また、自分も捻くれていた思春期~青年期は〈のけ者〉が陽キャをやっつけるティム・バートン作品が好きだったが、さすがに中年の大人になった自分が今観ると最初の1、2話くらいは「ティム・バートンは大成功して30年以上経ってるのに、まだこういうマインドなのか……」と思ったし、そのせいもあって「この新ウェンズデー、確かに可愛いが幾らなんでも偏屈すぎるな」と、彼女に悪態をつかれる明るい人物や大人たちに同情していた。しかし3話くらい観ていくとウェンズデーは偏屈とはいっても中身は嘘はつけない正直ものだとわかる。気に入らない奴には猛然と立ち向かってボコボコにするし。そして彼女は「無口な無表情キャラ」ではあるものの思っていることが表情に出すぎる。はっきり言って「無口な無表情キャラ」どころか、他の友だち多い生徒よりも考えてることが丸出しなのだ。
そういった事がわかるとウェンズデーは確かに「無口な無表情」かつ「偏屈」ではあるものの「陰湿」や「悪意」などは全くない、むしろ他の者より「真の意味で明るい人物」だと言える。彼女は他人のために戦う「ヒーロー」ではないが自分のために戦う。ついでに身近な人が傷つけられたら倍返ししようとする。いわば「ウェンズデーはダークヒーローだな」と思った。
自分や自分の趣味や自分の行動に自信を持ってるからね、陰キャは自己肯定感が低いがウェンズデーの場合は逆に自己肯定感が高すぎる。
だから何か失敗やトラブルを起こす時も、卑屈さや嫉妬などのジメジメした感情からではなく自信ありすぎるので「私の考えや行動に間違いない!」と自信満々に行う。
しかし意外と失敗ばかりする。推理は外れるし頻繁にピンチに陥る。そんな時にも特殊な嗜好の彼女は割とワクワクしてたりするので捕まったりしてもあまり悲壮感がないのが頼もしい。
どうやって突破するのかというと、その物や人が体験した過去を見れるサイコメトリー能力でヒントを得たりする。ミステリーとして考えるとチート能力だが見れる過去が1、2秒しかないのであまり当てにならない。サイコメトリーと強引な捜査あとは仲間達の協力で真相に近づいていく。まるで怪力男が知恵の輪を力づくで解くかのようなやり方。繊細そうな見た目に反して捜査が剛腕過ぎて可笑しい。
彼女は風見鶏カフェ店員タイラーや、絵画が得意なゼイヴィアなどから好意を向けられるが、恋愛に積極的じゃない上に偏屈すぎるウェンズデーは男子たちに常に塩対応。
男子たちは普段はウェンズデーを尊重してるし、そういうとこも好きなので受け入れてるが、彼女にあまりに酷い対応されると「君って最低だよ!」と何度も怒られる。ウェンズデーは無表情のまま「う……」という感じで身体が揺れる。謝罪や反省はわかりやすく表に出さないが「今回は私が悪かったかも……」と思っていそうな顔をしたりバツが悪そうな雰囲気だけを出す。そういったウェンズデーのキャラ設定が絶妙。
こういった「無口な無表情」キャラの場合「表面的に綾波レイ的な態度のキャラを作ってるが実のところ中身は普通」というのが殆ど。ウェンズデーも前述通り、表面的には「無口な無表情」なのだが中身は自信過剰な熱血漢。
だがウェンズデーが凡百の「無口な無表情」キャラと違うところは「偏屈さのブレンドが絶妙」というところだろう。
自分は中年男性なので観ていて正直「もうちょっと普通に話そうよ……」とウェンズデーに思うことが多い。しかし彼女は思春期の、しかも〈のけ者〉の中の〈のけ者〉なので少々歪なのも当然だ。「むしろ中年のくせに彼女の態度に何か思う自分の方を心配した方がいいかもな……」などとウェンズデーを見ていたはずが、いつの間にか彼女を鏡として自分自身を見てしまう時間もあった。
そもそもウェンズデーが普通の学校の生徒達に復讐したのは弟がいじめられたからだし、幼い頃にペットが死ぬ原因になったからだし〈のけ者〉学園の生徒や教師たちも、一体誰が殺人鬼なのかわからないのだから心を開かなくて正解なんだよね。「若い少女にとって外界の者は全て信用ならざる者」。そんな風に表現してるのかも。父兄が訪れる回では「父が殺人犯?」という疑いを晴らす事になる。
そんな感じでウェンズデーは「可愛いけど、あと一歩二歩でムカついたり嫌いになってしまうかもしれない!」という絶妙のところで踏みとどまり「ウェンズデー好き」ゾーンに踏みとどまる絶妙な偏屈さ。これがウェンズデーを、急造の無表情キャラとは違い、本当に近くにいるような親近感、人間らしさを感じさせる。
このティム・バートンによるウェンズデーのキャラ設定が絶妙で、さすがゴスっ娘や〈のけ者〉や陰キャ主人公を作り続けて30年!陰キャのまま世界の頂点に立った陰キャ界の頂点、ベテラン陰キャティム・バートンの集大成だな~と感心した。最初は「どうせ今回もつまんないだろ」と意地悪な気持ちで観ていたが、そんな第3話くらいから姿勢を正し、ティム・バートンが好きだった20数年前くらいの気持ちに一瞬でスライドして観た。
だがウェンズデー役のジェナ・オルテガは「タイラーとゼイヴィアとの三角関係」を演じることに現場でいつも反対していたそうだ。彼女の解釈では「ウェンズデーはマジで、まだ男子に興味ない」というものだったようだ。そう言われてみると僕は恋愛描写を悪いとまでは思わないが「確かに三角関係でウェンズデー周りの人間関係を構築する様は少し古いな」と思った。SNSとか検索しても恋愛よりもイーニッドの女同士の友情の方が盛り上がってるし僕もそっちの方が熱かった。この辺だけはティム・バートンの古さを感じた。だけどゼイヴィアも好きなのでシーズン2では頑張ってほしい。タイラーは笑い方が最初からサイコパスだったのであまり好きじゃなかった。
もちろん加齢のせいか生徒たちより、どっちかというと教師や保安官など大人キャラに感情移入して観ていた……いや、どっちかというと完全にフォスターおじさん(演:フレッド・アーミセン)とハンド(演:ビクター・ドロバントゥ)を合体させた、でも頭髪はある中年男性が自分か。
そんな感じでウェンズデーは、同室の自分とは正反対の少女イーニッドとの友情、両親の殺人容疑を晴らす、そして学園で起きている連続殺人事件の解決……に立ち向かっていく。

 

 

🐺イーニッド
同室のイーニッドは、まだ未熟で爪しか変身できない人狼少女。ウェアウルフという点以外は、金髪をレインボーヘアに染めていたりVlogやポップミュージックが大好きな明るい少女。
イーニッドは同室のゴス少女ウェンズデーと対象的なキャラ。
明るい性善説的な思想のイーニッドは塩対応のウェンズデーに歩み寄るが毎度拒絶される。だが共に行動し、大喧嘩してそして……。という友情が展開される。
イーニッド個人のドラマとしては石化能力を持つゴーゴンの男子エイジャックス(演 - ジョージ・ファーマー)と付き合う(これは大して障害もなくスンナリくっつく)。ウェンズデーが入部した部員が一人だった養蜂クラブ会長ユージー(演:ムーサ・モスタファ)もイーニッドに想いを寄せるが最後まで全く何もなかった。ユージーンの今後も気になる。
あとイーニッドの母親が「ウチの娘は、大きくなったのに人狼に変身できないのが恥ずかしい」という態度を隠そうとしないので、母と会うたびにイーニッドは傷ついて自己評価が低いまま……という悪循環に陥っている。どうやってそれを打ち破るのかというと言うと勿論ウェンズデーとの関係性だ。
本作だとウェンズデーとイーニッドの友情が一番好きだった。
ウェンズデーと同じく全身黒尽くめの母モーティシアも全身白尽くめの校長と同室だった、しかし最後までわかりあえなかった。つまりウェンズデーは次世代のモーティシアで、イーニッドは次世代の校長。先代では果たせなかったモーティシアと校長の結びつきを今回は果たせるか?というテーマもある。
本作で一番好きなキャラもイーニッドだった。かわいい。だがそれはイーニッドが「主人公とは対象的なサブキャラ」だから魅力だけが出すぎているせい、というのもあるだろう。多くの作品ではイーニッドが主人公で陰キャのウェンズデーがサブキャラな事が多い、その場合ウェンズデーの方が好きになっていただろうなと絶対に確信している。サブキャラのウェンズデーは「可愛い顔でボソボソっと面白い事いったり男子を叩きのめしたりする」という良いところだけ出てただろうしね。逆にイーニッドが主人公だったら多分サブキャラの現在ほど可愛いと思ってないと思う。
彼女は猫じゃなくて犬……というか狼なんだけど、本作のティム・バートンが30年前に撮った、僕が30年クソ好きなままの『バットマン・リターンズ』(1992)のキャットウーマンのオマージュをボート大会でしてくれたのも嬉しかった。


✋そんな感じでウェンズデーが殺人事件や友達や家族の問題に立ち向かう楽しい話。
多くのミステリーものと同様に本作も連続殺人事件の方は割とどうでもいい。
犯人も、動機がありそうな怪しいキャラを多く用意しているが、もうキャスティングの時点で、最初に「こいつとこいつが怪しいな」と思ったやつがそのまま犯人だった。
他のキャラやアダムス・ファミリーについても一人ひとり書いていく事は出来るが、本作の肝はウェンズデー7割、イーニッド2割、他の全ては1割……って印象だったのでウェンズデーとイーニッドに語ったところで書くのはやめよう。
タイトルに偽りなく〈ウェンズデー〉を描くためのドラマで、他の全てのキャラはウェンズデーを際立たせたり対象的だったりするキャラだった印象。
それにしても大人キャラや生徒も凄い勢いで死んでいくので楽しい青春コメディの割には死人が異常に多かった。
そして、それは成功した。シーズン2はアダムス・ファミリーの出番を増やすらしい、それも良いけどイーニッドやゼイヴィアや養蜂部会長や学園のクイーン以外の目立たなかった生徒、のっぺらぼう二人組とか吸血鬼の生徒の事も見たい。今回はウェンズデーのことを描くので精一杯で時間切れって感じだった。でも僅かにあったイーニッドの恋愛とかウェンズデーと関係ないサブプロットもソープオペラ感あって楽しかった。次は色んな生徒たちを目立たせて欲しい。
そういえばモンスター「ハイド」とか人狼などのCGが異常にショボかったのだけ気になる。やはり殆どのCG制作スタジオはMARVELの制作ラッシュで疲弊してるんだなと思った。
年末年始に全話観返してみよう。ついでに2000年以降のティム・バートン映画も今観たら面白いかもしれないので観てみよう。

 

 

 

 

そんな感じでした

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ウェンズデー | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
Wednesday (TV Series 2022– ) - IMDb

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