原題:Andor 企画&製作総指揮&脚本:トニー・ギルロイ 監督:トビー・ヘインズ、スザンナ・ホワイト 脚本:ダン・ギルロイ 原作:ジョージ・ルーカス 作曲:ニコラス・ブリテル 製作:ルーカスフィルム 配給:Disney+ 配信時間:各話38~57分、全12回 シリーズ:『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)の前日譚、『スターウォーズ』のDisney+ドラマ、『スターウォーズ』シリーズ
2022年の秋頃?から配信された本作だが、スター・ウォーズへの興味がこれで何度目かの減退していたのでスルーしていた。
多くの人もそうだと思うが、エピソード7~9のシークエルやキャスリーン・ケネディ率いるディズニーによるSW作品が、映画作りをやめてしまうほどの失敗で大規模な落胆したが『マンダロリアン』〈シーズン1〉(2019)、『マンダロリアン』〈シーズン2〉(2020) で傷が癒えた。「とりあえず、このルーカス直系のデイブ・フィローニとジョン・ファブローが作るSW作品は観よう。そして彼ら反乱軍がキャスリーン・ケネディという帝国を倒すその日まで……」という気持ちだった。
だが、そんな「デイブ・フィローニ&ジョン・ファブロー一派作品だから間違いない」と思ってた丁度、一年前の『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』 (2021-2022)が、つまらない……とまでは言わないが随分、歪な作品だった。こっちは蘇ったボバの活躍が観たかったのだが仮面を殆ど脱ぎっぱなしのボバが砂漠を歩いたり敵にやられてはポッドで寝たり、またやられては寝ての繰り返し、そしてタトゥイーンの大名となり椅子に座ってチンピラをまとめあげた。「仮面被りっぱなし」「凄腕のバウンティハンター」「一匹狼」などの、ボバを構成する(と我々が思わされていた)要素は全て覆され「これはこれで魅力のあるおじさんキャラとも言えるが、我々が知ってるボバとは全く違う新キャラだよね!?」という戸惑いがあった。ボバの回想に時間使いすぎてボバの子分たちを描く時間も無かったし、後半の数話は『マンダロリアン』シーズン2.5状態だった。勿論その数話は面白かったが、ネットの評価はこの『マンダロリアン』シーズン2.5だけが高いものとなっており、ボバ単独作としては期待を下回った失敗作と言える。しかも『マンダロリアン』〈シーズン2〉(2020) ラストで涙のお別れをしたグローグーがジェダイの修行をやめてしまい送り出したはずのマンドーも大喜びで連れ帰ってしまう。二人が幸せならそれでもいいか……という気持ちもあるが「大騒ぎしてジェダイに預けたのは一体何だったんだよ……」という肩透かし感もあり今年シーズン3があるし絶対の信頼を置いていた『マンダロリアン』への興味も若干揺らいでしまった。まぁどうせ観たら好きに戻るだろうが。
で、その後思いきりキャスリーン・ケネディ一派が主導してると思われる『オビ=ワン・ケノービ』(2022) があった。「デイブ・フィローニ&ジョン・ファブロー一派以外の作品には期待しないぞ」と思って入るものの「ユアン・マクレガーによるオビワン、ヘイデン・クリステンセン演じるダース・ベイダーが出る」と言われたら観ざるを得なかったが、やはり想像通り物凄くつまらなかった。「幼いレイア姫」だけは良かったが、それもまた別にあってもなくてもどっちでもいい程度の要素に過ぎず。
そういう感じで2022年はSWへの興味がじわじわと一歩一歩確実に下がっていった歳だった。古くは『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)で物凄くガッカリしたが後に時間をかけて回復していって今ではプリクエルの時代も好きになったが、とにかくSWは落胆と回復の連続だが僕ももう中年男性なので、そんな上がったり下がったりを繰り返すのがしんどい。「SWに落胆……」「SW再び好き!」という繰り返しは「自分の中でのSWへの信頼度」そのものにダメージを与える(コップの水が減るのではなくコップ自体が割れて元には戻らなくなるイメージ)。
そんな昨年末に始まった本作が発表されたのは……2年くらい前だっけ?『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)の登場人物の一人キャシアン・アンドーが主人公だという本作『アンドー』は発表されたものの中でもかなり興味ないタイトルだった。そもそも『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)自体も、外伝映画が珍しかった公開当時は楽しんで観たが、時間が経つと「前半丸々いらんな」とか「そもそもスカリフ空中戦とベイダー無双以外全部いらんな」という感じで印象が薄い。一部で熱狂的なファンも居るが僕は、酷い言い方すると正直いまでは観ても観なくてもどっちでもいい映画だと思っている。このローグワン、ギャレス・エドワーズ監督が撮り散らかしてたところキャスリーンにクビにされ(キャスリーンは今まで何度も有名監督をクビにしまくってる)、本作の製作者でもあるトニー・ギルロイ監督が、SWに興味ゼロにも関わらず「反抗の話だろ?」と職人的に一ヶ月位でまとめたのが『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)だった。ボーンシリーズなどで御馴染みのトニー・ギルロイ監督作は『フィクサー』(2007)がめちゃくちゃ好きだが、個人的には『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)は「まぁまぁ」な作品だった。キャスリーンの締め付けの中で素材を何とか繋ぎ合わせた印象。
で、本作の主人公〈キャシアン・アンドー〉もまた『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)の中でも、かなり居ても居なくてもどっちでもいい印象の薄いキャラだった。
だから「印象の薄いSW前日譚『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)に出てきた印象の薄い登場人物キャシアン・アンドーを主人公にした更に前日譚。前日譚の前日譚。彼が覚醒して反乱軍になるまで」という本作が如何に興味なかったか想像できるだろうか。
しかもデイブ・フィローニ&ジョン・ファブロー作品じゃないし。
「キャシアン・アンドーが立ち上がって反乱軍に入るまで」と言われても「うるせえな!知らねえよ!こっちは色々と忙しいんですけど!?そもそも最初から立ち上がっとけよ!」という気持ちにしかなかった。
で、最初の……三話まで一挙配信だったけど凄くスローペースで「3話合わせて第一話」って感じだったので三話一挙配信の理由がわかった。しかしそれでも「興味ない人たちが繰り広げる興味ない話」としか思えなかったので切ることにした。
他にも観たいものいっぱいあったし。
「サブスク戦国時代が俺を……とうとうDisney+にカネさえ払って電源さえ入れれば観れるSWドラマを切らせるとは……」と感慨深かった。
だけど残って本作を観続けた人たち(安藤一派)が本作を「これ結構おもろいぞ!?」「SW全体の中でさえ最高傑作ちゃうか!?」などと毎週毎週Twitter激褒めするので何か「そうまで言われてる、電源さえ入れれば観れるSWをスルーするのも何だな……」と思い観ることにした。なんだか「今までSWに興味なかった人ばかりが『アンドー』を誉めてるなぁ」というのは気になったが、もう最後まで観て確認しないと気がすまない〈流れ〉になってしまったので仕方ない……この〈流れ〉に乗るか、敢えて無視するか、または10年後に乗ることにして一旦忘れるか……それが映画好きの性だろう。「〈流れ〉なんて一切気にせず自分の好きなものだけ観ればいいじゃん!」という人もいるだろうが、それはそれで「映画好き」間の社会性を無視した隠居的な行動なので僕は好きではない。サブスクや自分の選択でしか映画を観なくなってしまった現在……昔のようにTVで映画をちょくちょく放映していて偶然いい作品に出会う……という事がなくなってしまった。だから時にはこだわりを捨て、恋人や友人知人、親族、知らん人……など他人のオススメは割とすぐ観た方がいいと思う今日この頃です。「自分」とか「自分の趣味」なんて一過性の不安定なものですからね……。
そんで一ヶ月ちょい前……2022年11月末くらいに第7話くらいまで観て、結構面白いし目立った悪いところもないので『オビ=ワン・ケノービ』(2022)みたいなどうしようもないドラマではないと思った。だがさっきも言ったがスローペースすぎる!本作が大好きな人は「SWっぽくない渋いドラマ」だと思うようだが、僕にはちょっと……地味でしたねぇ。
で、他にも観たいものあるので本作は一ヶ月くらい観るのやめて、『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』(2022)、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』最終シーズン全18話(2022)、『ウェンズデー』(2022)全8話、『霊媒探偵・城塚翡翠』(2022) 全5話&『invert 城塚翡翠 倒叙集』(2022) 全5話……などを速いペースで観ました。あと、あまり面白くなかったからブログに感想書かずFilmarks送りになった『ペリフェラル~接続(コネクト)された未来~』全8話、と『チェンソーマン』全10話も観た。
なんで忙しい12月にいっぱい連続ものの配信ドラマやアニメ観てたのかというと「映画は間に合わないけど配信ドラマやアニメなら年内に全部観て年内に『2022年のドラマ&アニメBEST』を書けるのでは?」と思ってわんこそばの様に観てたのだが、最後に残った本作は、一話観て「すぐ次の話観たい!」と思うようなドラマではなく箸が進まず、一日で全話観たいところ一話づつしか進まず、更に年末に『裏切りの影』(2022)全5話の配信も始まって「年内に全部観て全部感想書くの無理だわ」と諦めた。
なんか感想書くまでのストーリーが長くなってしまったが、これも感想の一部なので許してもらいたい。まぁ許したくない奴は感想TikTokとか感想Youtubeとかツイッターの感想とか見てるだろうから別に良いか。
ネタバレあり
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Story
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)、『スター・ウォーズ ep4/新たなる希望』(1977)の5年前、銀河帝国に対抗する反乱軍が創設される前の物語。
後に反乱軍のスパイとなり「帝国の惑星破壊兵器デス・スターの弱点」をレイア姫に教える秘密任務を成功させたチーム〈ローグ・ワン〉の中心人物となるキャシアン・アンドー(演:ディエゴ・ルナ)を中心とした銀河帝国に反乱する人達の群像劇――
映画のようにドラマ全12話で三幕構成のようになっていて、キャシアン中心に
1:殺人を犯し活動家にスカウトされて帝国の金を狙う〈アルダーニの強奪編〉
2:帝国に捕まり特殊な刑務所で強制労働させられる〈ナーキーナ5の牢獄編〉
3:故郷フェリックスの町に他のキャラも集結しての〈フェリックスの火花編〉
と、大きく3つに分けたストーリーが展開される。
あ、この「○○編」というのは分かりやすいように僕が勝手につけた名前ですが個人的には中盤の「牢獄編」が一番面白かった。
惑星フェリックスに住む主人公キャシアン・アンドーは、幼い頃に生き別れた妹を探していたところ絡んできた街のチンピラを弾みで殺してしまう。キャシアンは、そのせいで〈プリ=モー〉という保安監査組織に追われる。この組織は帝国軍……ではなくその下請けの警察みたいな組織みたい。
キャシアンは元々、帝国に両親を殺された孤児で反乱グループのリーダー格だった女性マーヴァ・アンドー(演:フィオナ・ショウ)に拾われて育てられた……という事が序盤で描かれたのだが、本作への興味が薄い序盤だったので「前日譚の興味薄いキャラによる前日譚の、更に前日譚……」と乗り切れないものがあった(だが最終話を思い出すと、これは必要な回想だったんだな、と最後まで観てわかった)。
プリ=モーに追われるキャシアンは「富裕層相手の古物商」という世を忍ぶ仮の姿を持つ反体制活動家ルーセン・レイエル(ステラン・スカルスガルド)にスカウトされ帝国軍の大金を強奪する。この人はMCUの『ソー』のシリーズで僕が好きなサブキャラ、セルウィグ博士を演じてる人。『ニンフォマニアック Vol.1』(2013)」、『ニンフォマニアック Vol.2』(2013)でのムッツリスケベおじの役も良かった。本作でも異常にカッコいい表情のまま暗躍したり非情な言動したり果ては空中戦まで行い、終始カッコいい。
ルーセンは、身を投げ売って帝国打倒に命を掛けてるおじ。「自分は帝国打倒までには死んでそれを見れないだろうし私がやった事は誰にも知られないだろう」という事を承知で反対制活動をしている覚悟がきまった男だ。「帝国打倒」のためには容赦なく味方を見殺しにしたり目撃者を殺害する事も厭わない過激派でもある。このルーセンがキャシアンの運命を決定づける。
なおルーセンの協力者として、後に反乱軍リーダーにまでなるモン・モスマ議員(演:ジュネヴィーヴ・オライリー)もずっと出てくる。彼女は最初から最後まで、ノンポリの夫や保守的な娘に隠れて嫌われ者の女性議員を演じており「反乱軍……を作るまでの土台作り」を孤独に進める。
最初のキャシアンによるチンピラ二人の殺害に目をつけるのが帝国直属の保安監査組織プリ=モーの士官シリル・カーン(演:カイル・ソーラー)。
このシリルというキャラクター、『ツイン・ピークス』シリーズのクーパー捜査官役のカイル・マクラクランに似た端正すぎるルックスの白人男性。イケメンなのだが、あまり人望はない、しかし大柄の部下が異常にシリルを慕って忠誠を誓い助力し続けてくれる。だがシリルにあるのは、キャシアンにいち早く目をつける観察眼と大柄の部下一人だけ……だから数話であっさりキャシアンに敗北、プリ=モーをクビになる。
その後は実家に帰り、母親に嫌味を言われたり叔父に職を紹介してもらったりという屈辱の日々を送る。
そんなシリルは、出世しようとギラギラしている帝国軍の女性デドラ・ミーロ(演:デニース・ゴフ)にキャシアンの情報提供する。しかしデドラはシリルを見下し続けている……という展開が最後まで続くのがシリルのストーリー。別に最後にキャシアンと再戦したりもしない、デドラをストーキングしてるだけ。
何度も言ったように本作の最初の7話くらい悪くもないが全く乗り切れない状態だったが、このシリルだけは第一話の時点から目が離せなかった。めちゃくちゃ端正な顔の若い白人男性なのに惨めすぎるキャラクター……今までSWに居なかったキャラだ。デドラは頑張ったり冷酷に振る舞ってみたり怯えたりして、どこか可愛い帝国軍士官。
話はキャシアンに戻り、ルーセンにスカウトされた彼が参加した作戦。それは帝国が輸送の拠点として使われている惑星アルダーニにある帝国の要塞に潜入し反政府活動の資金として金庫の大金をごっそりいただこうという強盗だった。
チームメンバーの殆どを失うが〈アルダーニの目〉という天文現象も起きる中、作戦は成功。キャシアンは一生遊んで暮らせる大金を手にして離脱する。
反体制活動家ルーセンは、正体を知られて逃げられたキャシアンを安全のため殺すことにする。ちなみに強奪を計画したルーセンは「帝国の金を分捕ること」以上に「帝国を怒らせて一般人の締め付けを強くさせ反乱の火力を上げる」という事が真の目的だった。
キャシアンは孤児だった自分を今まで育ててくれた義母マーヴァを他所の惑星に連れ出して幸せに暮らそうとする。しかしマーヴァは夫でありキャシアンの義父でもあるクレムが帝国に殺されたこの町に残って、昔のように反抗すると言う。そしてマーヴァのその気持ちが蘇ったのは皮肉なことにキャシアンが夫の名を使って〈アルダーニの強奪〉をやり遂げたことだと言う。
「安全な場所に逃げよう」と説得するキャシアンに義母マーヴァは「安全な場所なら知ってる。……私の頭の中さ」と言う。これは僕が今まで困難な出来事に遭った時に自分に言い聞かせてた言葉と同じだったのでマーヴァがそう言った時にハッとした。
だが別に帝国に歯向かいたい訳ではないキャシアンは、ここで一旦、義母マーヴァと道を違えることにする……(対象的にシリルはひたすら母親に軽んじられ罵倒され続ける)。地獄のような世界で命をかけて一生遊んで暮らせる金をGetしたのだからキャシアンを責める気はない。
しかし、キャシアンは「怪しい雰囲気でフラフラしていた」というだけで6年間の無実の罪で帝国に捕まり、水の衛星ナーキーナ5の刑務所にブチ込まれる(もちろん「キャシアン・アンドー」ではなく偽名の男として)。
刑務所では強制労働により「謎の機械の大きな部品」を作り続けさせられる。
帝国は通電によって囚人たちを管理している。
囚人たちのリーダー、キノ・ロイ(演:アンディ・サーキス)の元、謎の大きな機械の部品を作らされるキャシアン。だが脱獄する気満々でこっそりと水道管をヤスリで削る日々……。あとは警備している帝国軍の人数が知りたい、キノに訊いても脱獄を諦めている彼は教えてくれない。キノを演じてるのはアンディ・サーキスなので無駄にカッコいい。
そんな中、別の階層の囚人たちが皆殺しにされたこと、そして「刑期を終えても別の施設に送られて死ぬまで強制労働させられるだけ」という絶望的な事実を知ったキャシアンとキノ。
二人は脱獄計画を実行に移す。
本人にその気はないのに毎回、大きな炎を燃やすための火花を起こすキャシアン……というところが面白い。
脱獄の手順は、劇中で事細かく語らずアクションの過程で「どういう打ち合わせを囚人同士でしていたのか」を想像させる形なのが良かったです。
本作は全話観て「面白かったけど要らんとこ削れば7話くらいに収まったのでは?」と今でも思うが、この脱獄や最終話での作戦をクドクド語らないところは凄く良いと思いました。行動の結果を観ればわかるからね。
この獄中編は文句なく最初から最後まで面白かった。ここまで来ると幾ら興味なくても各人のキャラを理解してるからね。
脱獄したキャシアンは、各地で無意識に「火花を起こしている」ものの、まだ帝国に反抗する気はない。しかし故郷フェリックスで義母マーヴァが志半ばにして病死した事を知る。そして反政府活動していた元恋人ビックス・キャリーン(演:アドリア・アルホナ)が帝国に捕まった事を知る。キャシアンはフェリックスに二度舞い戻る。
(それにしてもキノの一旦退場の描写はおとなしすぎてわかりにくかった。最終話あたりでまた出てくるかと思ってた)
義母マーヴァは病死、元恋人ビックスは帝国のデドラに拷問されている。
マーヴァの葬式が行われる日。
ビックスを救いたいキャシアンは義父に教わった古い爆弾の蘇らせ方で爆弾を量産、デドラたち帝国軍、無職のシリルと大柄、秘密を知るキャシアンを殺したいルーセン一派も……モン・モスマ以外の登場人物たちがフェリックスに集まる。
葬式の最中、マーヴァとキャシアンが愛した老犬の様なドロイド〈ビー〉がマーヴァの遺言立体映像を再生する。言うまでもなく遺言の内容は勿論「帝国の圧政が酸のように私達を侵し、我々は眠っているように生きていた。既に死んだ私が生きてるあんた達にこう言うのもなんだが……我が物顔で居座って立ち退こうとしない帝国をブッ殺そう!」みたいな演説。信管に続く着火だ。
激昂した帝国軍は立体映像を投射するビーに布をかけて消そうとするが、却ってホログラムのマーヴァの顔が半分消えて迫力ある顔面になってしまう。同時に「死んだ後の言葉すら覆い隠そうとする帝国」を印象付けてしまい完全に魂に着火されて暴動を起こすフェリックス市民!騒ぎの陰でビックスを救出するキャシアン、暴動で殺されかけたデドラを助けるシリル。キャシアンを見逃して踵を返すルーセン……勿論この暴動は帝国打倒において何の物理的な影響もないのだが先でキャシアンが起こした〈アルダーニの強奪〉〈強制収容施設の脱獄事件〉同様に、反乱の炎を起こすための火花の一つとなった。
物理的には後に帝国を本当に倒してしまう切っ掛けとなるルーク・スカイウォーカーとレイア姫とハン・ソロや反乱軍がデス・スターを破壊する〈ヤヴィンの戦い〉……を成功に導いた〈ローグ・ワンのデス・スター設計図奪取〉……を可能にする一人のキャシアン・アンドーが反政府活動に(やっと)目覚める流れ、そして反乱同盟軍設立に向かう流れ……それを生む火花がこのフェリックス暴動か。
それにしても「キャシアンたちが強制労働施設で作ってたのが何だったのか?」がわかる最終話のポストクレジットシーンは良かったですね。
シーズン2は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)までの五年間を描くらしいので楽しみだ。……その一方「このシーズン1の全12話でシーズン2最後まで描けただろ!」とも思ったが、これがトニー・ギルロイのペースみたいなので、それは忘れよう。
そんな感じで中盤のマーヴァ、最終話のマーヴァでグッと来ました。シーズン1ではまだキャシアンは「また俺なんかやっちゃいました?」的なモラトリアム主人公だったしルーセンはカッコいいけど非情すぎるのでね。
そう思うと本作の原題が『キャシアン・アンドー』ではなく『Andor(アンドー)』だけだったのはマーヴァやその夫の事でもあったんだろうね。邦題も『アンドー』で良かったのにね。ボバやオビワンとかと違って「キャシアン・アンドーのドラマ!?観よう!」なんて人ほぼ居ないだろうし。
最後まで観ると確かにグッとくるシーン多いし渋いし、心底ひどかった『オビ=ワン・ケノービ』(2022) の数倍よかったし、とっ散らかってる『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』 (2021-2022)や『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)よりも良かった。だから観て良かったです。でもアンドー絶賛派が言う「SW最高傑作!」とまでは思わなかった。旧三部作やプリクエルや『マンダロリアン』には及びませんでした(というかSWは好きな人も嫌いな人も言うことが極端すぎるので自分で観て判断しないとわからない)。
でも、それでも2022年のドラマにしてはスローペースすぎるし「要らんとこ削れば全7話に収まったし、その方が良かっただろ」という気はしなくもない。だが本作のスチーリーテリングはトニー・ギルロイがこうしたかったみたいから、こうなる以外に道はなかったのだろう。SWにしては地味だが逆に「良くないところ」も少なかった。
良くないとこはやっぱ、スローペースすぎるしアクションが少ないところ、あと一番良くなかったところは「ヒューマノイド以外の異星人が殆ど出て来ない」とこですかね。それと「SWっぽくない現実の地球の延長みたいな機械や建物」が妙に多かったのもマイナスでした。これらはキャスリーン・ケネディが権力を握ってるディズニー製SW作品に共通してるのでキャスリーンのせいだろう多分。キャスリーンは意地になって社長業を延長してSWファンを絶望させたが、そろそろ辞めるっぽい噂を聞いたのが吉報でした。
次のSWは3月1日から『マンダロリアン』〈シーズン3〉(2023)か。何か「毎話スゴすぎるよ!」と自信満々みたいなので期待しとこう。
そんな感じでした
『スター・ウォーズ ep4/新たなる希望』(1977)/無邪気な明るさと残酷さが同居してるのが最高⭐ - gock221B
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スター・ウォーズドラマ『キャシアン・アンドー』公式サイト|ディズニープラス
Andor | StarWars.com
Andor (TV Series 2022– ) - IMDb
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