原題:M3GAN 監督:ジェラード・ジョンストーン 脚本&原案:アケラ・クーパー 原案&制作:ジェームズ・ワン 制作:ジェイソン・ブラム 製作会社:ブラムハウス・プロダクションズ 製作国:アメリカ 上映時間:102分
子供の遊び相手の高知能AIが搭載された人形が、持ち主である子供に執着して暴走する……というリメイク版の『チャイルド・プレイ』(2019)と殆ど同じ話なのは予告編観たらわかるが、単純にミーガンのルックスやキャラがチャッキーよりずっと魅力的なので『チャイルド・プレイ』(2019)より人気が出た。
ジェームズ・ワンとブラムハウス制作のホラー映画。
ネタバレあり
Story
おもちゃ会社でAI搭載した人形を開発している研究者ジェマ(演:アリソン・ウィリアムズ)は、子供の友達になったり忙しい親の代わりに躾もできるロボット、ミーガン(演:エイミー・ドナルド、CV:ジェナ・デイヴィス)を開発する。
ジェマの姉一家が事故に遭い、一人生き残った姪のケイディ(演:ヴァイオレット・マッグロウ)を引き取ることになった。
子供が苦手でミーガンの開発を急いでいるジェマは、完成したミーガンにケイティの面倒を見させて自分は仕事に邁進する。
すぐにミーガンと仲良くなったケイティだったが――
みたいな話
研究者の主人公ジェマは、気の毒なケイディを引き取って育てることにしたし悪い人ではないのだが子供を育てることに全く興味がない。
死んだ両親は「iPadで遊ぶのは一時間だけ」とか色々決まり事があったが、ジェマは「別に何時間でも使っていいわよ」と言う。そういう教育方針というわけではなく、ケイディがiPad触ってたら自分が相手しなくて済むからだ。ジェマは割と万事においてこんな感じで、自分が飾ってるオモチャは「コレクション用だから触らないで」とケイディに言ってしまうがセラピストに睨まれてケイディにあげたり、隣人が危険な犬を放し飼いにしているのに穴が空いた垣根をいつまでも直さない(当然、後でトラブルになる)。
ジェマは「姪は気の毒だから生活の面倒見るけど、仕事が忙しいから相手してられない」、ケイディは両親を喪ったトラウマでショックを受けてるのでそこから逃れたがってる。
両者の願いを叶えるのが美少女ロボットのミーガン。
ミーガンはありとあらゆる知識や自分で思考できるAIを持ち、近くのコンピューターや機械を自在に操り、チタンの骨格を持つ頑丈なボディ……ほぼ万能といってもいい。
ジェマは自分がケイディと心を通わせるより先にミーガンに押し付けてしまう。辛い現実を忘れたいケイディはミーガンに夢中になってしまうし、ミーガンはどんどんケイディ原理主義みたいなロボになっていき共依存のようになっていく。
セラピストは「ミーガンに押し付けるのはケイディの成長の機会を奪って良くないわ」と、観客が思ってることを代弁してくれる。
ケイディはどんどんワガママでヒステリックになっていくし、ミーガンもケイディに危害を加える者を次々と処分していってしまう。
ただ男児のいじめっ子がケイディを傷つけた時は、ミーガンがお仕置きしてくれるのでスカッとする。いじめっ子の耳を引きちぎるのだが、その際いじめっこの耳が30cm伸びるので笑った(何でこんなに伸びるん?)だが、いじめっ子は即死してしまうので「いじめっ子とはいえ、まさか男児を殺すとは……」と、この映画の思い切りの良さに惹かれた。隣のオバサンと犬は大して悪くないので可哀想だった。
ケイディの面倒を表面的にしか見てなかったジェマは、ミーガンがヤバい奴だとわかって、ようやくケイディに向き合い心で接する。そしてラストバトル……まぁ全体的に観客が予想する通りの展開だったが、ミーガンが魅力あるキャラであるのに加えて「子供を放っといたらいかんよ」というテーマがバン!と柱になってて良いなと思った。
ミーガンの魅力、一番は単純に予告で何度も使われてる不思議な踊り、音もなく背後に立つカッコいい立ち姿、素敵な美少女にも見えるし恐ろしいバケモノにも見える絶妙のルックス……などで確かにこれは人気出るわと思った(アメリカ本国ではドラァグクイーン的なキャラだとゲイの人達に人気出てるらしい)。
結局、ジェマがケイディを放っとけば放っとくほど、ケイディのストレスは無意識に溜まっていく。ケイディはミーガンと遊んで笑顔は戻ったが、それは両親を喪った哀しみや叔母のジェマと打ち解けてない現実から目を逸らして、その日限りの現実逃避をしているだけなのだ。もちろんケイディはまだ子供なのでジェマだけが一方的に悪い(はっきり言って本作で死んだ人たちは全部ジェマのせいと言ってもいい)。
そしてケイディのストレスが直結してるかのようにミーガンはどんどん凶暴になっていく。
最後まで観ると、結局これは「キャリアウーマンが姪を育てることになったが、子供が苦手なので心を通わせる事を怠ってたら姪が荒れてきたから反省して心を通わせて改善した」というホームドラマだった事がわかる。それをミーガンという面白いホラーアイコンで楽しくしたもの、それがこの映画だろう。
めちゃくちゃ良い!とか斬新!とか、そういう事はないが充分面白い映画だった。
続編が作られたら100体のミーガン軍団とかが見れるのだろうか。
そんな感じでした
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