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『Red』(2020)/夏帆演じる子持ち主婦が不倫しまくる!奴隷だった妻がやりたい事して元気になったら「元の君に戻って」と泣く勝手な夫。これはこれで誠実なラスト👩🏻‍🦱


監督&脚本:三島有紀子 脚本:池田千尋 原作:島本理生『Red』(2013-2014) 製作&配給:日活 製作国:日本 上映時間:123分 初公開日:2020/02/21

 

 

なんか数年に一度の割合で夏帆が気になる時があるが、久々にそれが来たので普段なら絶対観ないようなこういった不倫恋愛映画を観たけど普段観ないせいか楽しかった。

夏帆は最初、彼女が中学生?くらいの時にデビューして20代前半までは黒髪ロングの美少女路線で、男ウケ抜群だったこの頃は主に最大公約数的に男に人気だった。この美少女期の作品は山下敦弘監督+くらもちふさこ原作『天然コケッコー』(2007)が好きだった。
しばらくして夏帆はオタ切り期に入る。”日本の人気女優”は基本的に男ウケ中心。中学生くらいから美少女として世に出て、これといって「自分の意見」や「趣味」など本音は語らず(誰にでも共感できるそれらのことは語る)「最大公約数な”意思がない”美人」を演じて大人気を博して荒稼ぎし、30代半ばくらいになってからようやく”人間”になり「本当に自分が好きなもの」を語ったり方言で話しだしたりする。日本の現役トップ女優というのは基本的にそういう感じ……あなたは広瀬すずが何を考えて何を好きか知ってますか?僕は知りません(例外は、トップ女優現役でも自分を出す橋本環奈)。
夏帆の場合ちょっと早めに20代でオタ切りした。「オタ切り」を一言で言うと「男性ウケ路線をやめること」そういった人間宣言をして”意思のある人間としての女性”となる。具体的に言うと単純に濡れ場や口汚く罵る役などを多く演じたり、男が好まず女性がしたがる髪型(ボブカットとか前髪ぱっつんとかオレンジ髪とか)にしたりする。このオタ切りで夏帆は女優への性加害報道で悪名が高まり現在干され状態の園子温の『みんな!エスパーだよ!』(2013)でパンツ丸見えのヤンキー女子を演じた。園子温のことは悪名が轟く以前の大人気だった時から苦手なので褒めたくないが、夏帆のこの役は日本で一番かわいい方言こと三河弁も相まって、めちゃくちゃ可愛かった。他にも色々な気になる事があったが活躍し続け、顔の下半身が伸びてきたのも相まってオタ切りに見事成功(このオタ切り期間は、焦った男性ファンが「夏帆完全終了のお知らせ!」みたいなまとめが連日立てられていた)。
色々なことがあり見事オタ切りに成功して”人間”になった現在では「出ていると安心感を与える女性の俳優」として女性に人気の俳優になった。
邦画や日本ドラマをあまり観ない僕だけど、夏帆氏は黒沢清作品とかホラー作品とかバカリズム作品などによく出るので比較的目にする機会が多い。別に友達なわけではないので彼女が一体どういう人間なのは未だに知らないけど一貫して好きな感じ。顔が伸びたが、今は亡き岸田今日子も好きなので「なんか岸田今日子に似てきたな」と気になる存在です。
本作の監督はNHKディレクターから映画監督になったらしき女性。

ネタバレあり

 

 

 

 

30代前半の専業主婦・村主塔子(演:夏帆)。一流商社に勤める夫・村主真(演:間宮祥太朗)との世話をして何不自由ない暮らしをしていたが、10年前に不倫していた男・鞍田秋彦(演:妻夫木聡)に再会する――

色々と家事を完ぺきにこなす夏帆演じる塔子。
家には姑も住んでおり、一人っ子の夫が帰宅すると「今夜は食べたくないな……」と塔子の飯を喰わないくせに、母の煮物は食べたりするマザコン系イケメン。
夜の生活も、夫が仕事で疲れているせいか塔子が口で処理する。ここで注目したいのは塔子はそのままうがい等せず、そのまま寝るのでギョッとした。
この間宮祥太朗演じる夫は、一人っ子挫折なしエリートのせいか「他人の気持ち」を慮るということを知らずに生きてきた感じで、最後の最後まで塔子の気持ちはわからない。僕も一人っ子なので少しわかる、でも18の時に付き合った女性に叩き直された。
こんな夫だが『ぼぎわんが来る。』(2015)とか
、その映画化『来る』(2018)の夫みたいに酷いわけでもなく、DVしたり浮気するわけではない(奇しくも本作の「女性の気持ちがわかる男役の妻夫木聡」だ)。夫は、表面上は真面目に働いて塔子にも優しく接している。だから「良くない夫」界の中では一番まともとも言える。ただ「今現在の自分たち家族の幸せは塔子が不平不満を口にせず犠牲になっているおかげで成り立っている」という事を根本的にわかっておらず、無意識に献身的な塔子の上にあぐらをかいており「家のことは妻であり母である君が全部して当然だろ?どうせ家にいるだけなんだから……」と思っていることが透けている系の夫。二人で鍋食いに行っても食べたくないものは塔子に喰わせて自分は無意識に肉をばくばく食う。後で、塔子が結婚前に言っていたという「子供が大きくなったら仕事を再開したい」という旨を告げて就職したい意思を告げると「え、なんで?」と「なんで自分のしたい事をしたがっているの?」と、妻のことを理解できない。”妻であり母”という役割にハマった塔子にも意思があって「塔子にもやりたい事がある」という事自体が理解できない。
彼はラストまで良いとこなしで悪いところだけ描かれる、まるで最初から最後までそういうキャラとして「塔子にストレスを与える」ためだけに生を受けた生物かのようで少し可哀想な部分もある。良いところといえば「生まれて初めて好きになって結婚したのが塔子なので僕は幸せ」と彼が思っているのは本当で、特に浮気したりはしない、ということくらいか。今思えば塔子が結婚前に、もっと自分の意志を以前から伝えて夫を教育していればよかった気もする。まぁ塔子は塔子で若かったので仕方ないのかもしれない。
塔子は、暮らし自体は何不自由ないものの、夫の帝国に死ぬまで隷属するしかない自分の境遇に対してボンヤリとした不安を抱きはじめていた。

ある日、夫の仕事関係のパーティで洋館?のようなところに行き、そこで10年前に付き合っていた鞍田秋彦(演:妻夫木聡)を発見。
歩き去る妻夫木聡のあとを「あっ、あの人は……」とフラフラ着いていき探す塔子、いつの間にか誰もいない棟に迷い込んだ……と思ったら物陰から殺人鬼のように高速で現れた鞍田に壁ドンされFUCKみたいなディープキスぶちかまされる。
夏帆の横顔は鼻とか上唇、下唇などが上手いこと目立ってて凹凸が多いので横から撮ったキスシーンに適してるな」と思った。
2分間くらい?貪るようなキスしてた2人がようやく唇を離すと鞍田は「久しぶり」と言う。再会してしもうた二人。

 

 

塔子はかつてデザインの仕事してたことを思い出し、夫のボンヤリした反対を押し切って鞍田が勤めている建設会社に入社。
遊び人の同僚・小鷹淳(演:柄本佑)は可愛い塔子に目をつける。
小鷹は塔子を強引に屋形船に乗せてバッティングセンターに連れて行き(どういう地理状況なんだろう)バッティングを教える流れでキスを迫る。しかし塔子は一度身をかわし、ズイと小鷹に顔を近づけ「キスするならちゃんとして?」と逆に迫る。
おとなしく可愛いだけと思ってた塔子にカマされた小鷹は「お、お前けっこうエロいな……」と気圧されつつ”ちゃんと”キスしようとするが塔子は再び身をかわし「ははは冗談だよ~笑」とからかう。小鷹は当初「おもしれー女」として塔子を味わおうとしていたのに塔子に完全に上へと行かれてしまい、おもしれー男にされてしまった!だが小鷹はちっともイヤじゃないみたいだぜ?
2人は、エロ抜きで夜の街を追いかけっこしたり自転車二人乗りしたり小鷹が塔子をおんぶして走ったりして楽しむ。
30代の男女が子どものようにはしゃい……でも別に悪くはない、楽しそうで良いのだが、30代の男女が童(わらべ)のように夜を街を駆けるのは少し、少しだけ不気味だ。昔の金麦の檀れいとか他の発泡酒など
アルコール飲料CMに出てくる大人のはしゃぐ登場人物のような薄気味悪さも同時に感じられる(もちろん何一つ悪いわけではない、違法ではないし誰にも迷惑かけてないので)。
塔子の童女のような無邪気さは「久々に友だちができて楽しんでるな」という以上に、彼女の家庭での鬱屈したストレスがふいに爆発してるな、とも感じられて痛々しくもある。子供が居るアラサー女友達とかって別に酷い夫がいるわけじゃなくても、こういう感じで溜まった何をふと爆発させる事がよくあるよね。何回か目の当たりにしましたわ。自分の母親は穏やかで優しい人だけど僕が幼少期……4歳くらいの時?に一度だけ僕が風呂に入るのを嫌がると突然キレてジャイアントスイングされた記憶がある。やはり子育てや主婦業は大変なのだろう(誰にでも言えるどうでもいいコメント)。

そして後日、鞍田の車で仕事に一緒に行った塔子は彼の家に行き、そのまま身体を重ねる。このベッドシーンは、正常位で歯を食いしばって喘ぐ塔子(演:夏帆)の顔面ドアップを延々と詳細に撮ってたのでド迫力。逆光だったり曖昧で美しい撮り方してたキスシーンとギャップがあって一番印象に残った。塔子がいかに「本当に愛する男」に対して本気で感じてるかを見せつける感じ。そんでこのシーンがまた現実のSEXのリアルタイムかってくらい長い。 
今の鞍田は離婚して一人暮らしだった。
今となっては懐かしいコンクリート打ちっぱなし系の床もコンクリートみたいな、邦画でしか見たことないお洒落な地下バーみたいな家。必要最低限の物以外何も無い。彼が塔子と不倫してた昔から読んでたというボロボロの古書しか置いてない。彼の空虚な心を表現した部屋。そんで広い窓の向こうにはお洒落なビルにしかない砂利を敷いた立入禁止の中庭がある。そこには枯れ木が立っててアーティスティックでかっこいい……のだが、これ一人で住んでて夜中にトイレで起きて見たらめちゃくちゃ怖いぞ。知らない人が立っている幻覚とか見そう。

鞍田は数年前に 血の癌こと悪性リンパ腫を患い、離婚の原因もそれに起因していた。
と、いうことは鞍田は映画のクライマックスで死ぬことが決定された。

 

 

そんで何だかんだ親友となった柄本佑演じる小鷹は「お前さ、離婚して鞍田さんと結婚しちゃえば?」と言う。柄本佑はいつ見ても老若男女誰が観ても好感が持てる俳優だ。
小鷹も、夫が女作って出ていったという塔子の母(演:余貴美子)も、いつも家庭が全く楽しくなさそうな塔子に対して「あんた、何のために生きてんの?」と言う。
塔子を縛り付ける夫の話を聞いた小鷹は「そんな、今はもう千年前じゃないんだから」と言うと、塔子は「男の人は千年経っても男でいられるでしょ?」と言う、よほど監督が言わせたいことだったのか、この台詞、文章だったら赤太大文字になってるが如く、もの凄く際立たせてた。
塔子は、彼女の浮気に感づいていた夫との電話で、最初で最後のぶつかり合いをする。
夫は「仕事始めてから塔子ちょっと変だよ、前の君に戻ってほしい?」と言う。しかし今の塔子が本当の塔子で、以前の塔子は夫と娘のために自分を殺していた塔子だった。だから夫のこの台詞は「やりたい事をして本来の楽しい君に戻ったみたいだけど、不安だから僕と娘のためにまた目が死んだ楽しくない君に戻ってよ」と言ってるも同然なので塔子は遂に心が折れる
夫は自分本位ではあるものの塔子を想う気持ちではあったものの、あまりに幼稚すぎて塔子の気持ちはわからないまま決定的に破局。「互いの」コミュニケーションを怠ったゆえの悲劇だ。
愛しているが結ばれようもない上に難病でどんどん具合が悪くなる鞍田を見てられない塔子は一旦離れるが、大雪で帰れなくなり夫とも最初で最後の喧嘩した塔子。しかし鞍田は病気の身体を押して迎えに来て再び愛し合う。他人に全く興味ないように見えた鞍田だったが、どうやら昔から塔子をずっと想っていたらしい。でもほどなくして病死。

塔子は離婚、そしてもうこの世に居ない鞍田の事だけ考えて、これからは自分を鑑みてくれない他人のためではなく自分のため生きていくことを匂わせて終わる。
鞍田の病気が本編でしらされた時は「不倫+難病の恋愛映画かぁ、興味ないわ。不倫した上に死んでこの世から消えるとかズルくないか?」と思ったが、幼く可愛い娘が「ママ行かないで」と泣きながら塔子に訴えても、塔子は首を振って幼い娘と夫の元から去る非常なラストを見たらかなり覚悟きまってると思った。
塔子は幼い娘を捨てた罰として恐らく一生幸せにはなれず、一人ぼっちの自分の母そっくりになっていきそうだし喪失感を刻み込まれた娘もそういった気持がヘレディタリー(継承)されて将来そうなる予感もする。
しかしまぁ愛とは後悔しないことですし他人がとやかく言うことでもありませぬ。
「残された娘が可哀想だろ!」とかそんな事を言っても仕方ない。フィクションですからね。というか自分も不倫してるのに他人の不倫には怒る人が異常に多いのは何なんですかね。
この手の不倫の邦画って昭和の幼少時にTVでよく観ていたが(本当に観たいわけではなくエロシーンがあるから全部観てただけ)大抵、元の家庭に戻っていったり心中したりが殆どな気がするが「死んだ男を追って一人で生きる」ラストは現代的だったかも。
さっきも言ったが幼くて可愛い罪のない娘が「ママ行かないで~!」と泣きわめいてるのを振り切るというグロいシーンを観て、この女性監督の誠実さを感じました。
多分これ観た半数以上の人は塔子を非難するだろう……から、じゃ俺は塔子サイド!

特に感動したり逆に腹立てたりなど感情は動かなかったが何だかんだ最後まで観れた。
しかし一体何がレッドなのかは最後までわからなかった。

 

 

 

 

そんな感じでした

👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱🔴👩🏻‍🦱

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