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『マダム・ウェブ』(2024)/ソニー制作の、スパイダーマンを出演させる許可がMARVELから出るのを待っているがスパイダーマンは出てこないスパイダーマン・シネマティック・ユニバース第4作目🕷


原題:Madame Web 監督&脚本:S・J・クラークソン 脚本:マット・サザマ、バーク・シャープレス、クレア・パーカー 製作:エイミー・パスカルアヴィ・アラッド、マット・トルマック 原作:MARVELコミックス 配給:ソニー・ピクチャーズ・リリーシング(日本はソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) 製作国:アメリカ 上映時間:118分 公開日:2024年2月14日(日本は2024年2月23日) シリーズ:SSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)第4作目

 


MARVELコミックのアメコミ映画……『アベンジャーズ』シリーズなどでお馴染みのシリーズMCU(MARVEL・シネマティック・ユニバース)を作っているMARVELスタジオ……ではなくSONYが制作しているシネマティック・ユニバース〈ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース、通称SSU〉本作はそれの第4作目。
レンタルで観た。
SSUは「ソニーが制作するスパイダーマンが出てこないスパイダーマン・シネマティック・ユニバース)と覚えよう。
「『スパイダーマン』と、『スパイダーマン』に登場するキャラクターの映像化の版権」はMARVELが昔、倒産の危機に陥った時に売りに出して2000年前後にSONYが購入。以降、SONYスパイダーマン実写映画をサム・ライミ版三部作(2002-2007)、マーク・ウェブ版『アメージング・スパイダーマン』二作(2012-2014)、フィル・ロード&クリストファー・ミラーのアニメ映画シリーズ『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズ(2018-継続中)など、いずれも大ヒット(アメージングだけは思ったほどヒットしなかった)。
現在では既に倒産の危機から立ち直ったばかりか映画界の覇権にまでなったMARVELスタジオとしては『スパイダーマン』の実写化権を返してほしいわけだがSONYとしては世界一の人気者であるスパイダーマンの権利を当然返したくはない。それはそうだろう。大スター……たとえばトム・クルーズブラッド・ピットは数十年後に死ぬだろうがスパイダーマンはそれ以上……僕やこれを読んでるあなたの死後も現在と変わらぬ人気を誇っている可能性が非常に高い。SONYとしては返す理由がない。
だからスパイダーマン映像化の版権はSONYが持っている。
ちなみに現在も継続中の実写版『スパイダーマン:ホーム』シリーズ(2017-)はMARVELスタジオ製作のMCU作品。これは自分たちが上手く実写化できないSONYが「スパイダーマンのキャラクターたちの実写化の権利を一時的にMARVELスタジオに『貸して』MARVELスタジオに自由に作ってもらう」そして「SONYスパイダーマンをMARVELスタジオに貸して作らせてるだけだが儲けの殆どはSONYのもの」というアパートの大家さんみたいな超有利な立場に居る。SONYは。MARVELにとってしてみれば、そうまでしてスパイダーマンを作ってもアガリを全部SONYにくれてやっても得する旨味があるのが「スパイダーマン」という超人気キャラクターだ。
僕としてはMCUがイケイケだった2020年頃までは「いいからSONYはMARVELにスパイディーの権利かえせよぉ」と思ってたが2021年のフェイズ4以降、急速にMCUがつまらなくなっていってからは「MCUというマンションにスパイダーマンも住まわせて共に火事で焼死する可能性があるから、スパイダーマンSONYという別の一軒家に住んでもらう方がいいかも!」と思うようになった。リスク分散よ。

一方、SONYは「アメコミ『スパイダーマン』の作品に出てくるサブ・キャラクターによるスパイダーマン・シネマティック・ユニバース」を2018年から展開し、そこそこヒット。
「何故、ヴェノムだけでなくスパイダーマンが出てくる映画を作らないのか?」は明らかにされていないのでわからない。
これは僕の推測だがMARVELとの契約に「SONY制作のスパイダーマン実写映画には代表的な〈スパイダーマン〉を出しちゃダメ」という項目があるのだと思う。
一番有名なスパイダーマンである〈ピーター・パーカー〉が出てこないのは勿論、スパイダーマンはピーターの次に有名な〈マイルズ・モラレス〉を始めとして無数にいる。しかしMCUにピーター・パーカー/スパイダーマンを貸し出して以降〈スパイダーマン〉が出てくる実写映画はついぞ作っていない。『ヴェノム』(2018)スパイダーマンに匹敵しうる人気キャラなので単体作を作るのはわかるが、『モービウス』(2022)や本作マダム・ウェブなんて別に長編実写映画の主役を張るほどの格はない。それらが作品的にも不評かつヒットもしていないので「やっぱ実写スパイダーマンは出したらダメなんだろうな」と思った。『モービウス』(2022)やマダム・ウェブの映画なんて作るくらいならマイルズ・モラレスのスパイダーマンとかスパイダー・グウェンとか、人気出そうなスパイダーマンは無数にいるからね。しかも映画タイトルに「スパイダーマン」と付いてるか否かで何百倍も効果が違うのは明らかですからね。
でも大人気アニメ映画シリーズ『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズとかには色んなスパイダーマン&スパイダーウーマンが登場してるので「SONY制作の実写映画にはスパイダーマンは出せないけどアニメは良いみたいだな」と思った。そうじゃないと『モービウス』(2022)とか本作みたいな中途半端な作品を作り続けてる説明がつかない。
SONYとしてはSSU一作目『ヴェノム』(2018)の時点から、ディズニー&MARVELスタジオ製作トム・ホランド『スパイダーマン:ホーム』シリーズ(2017-)といつでも共演できるように人を喰う凶暴な『ヴェノム』シリーズも人を喰う時はカメラが他所を向いて血の一滴も出ないよう心がけてるし、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)ではラストでMCU世界に一瞬だけマルチバース移動したり、『モービウス』(2022)ラストでは『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)ヴィラン、ヴァルチャーが登場したりしている。これらはSONYがなんとかしてMCUと繋げてほしがってるサインだ。だがMARVELスタジオはSONY作品にスパイダーマン作品を出すことを嫌がっており、未だにちゃんとしたピーターとヴェノムの共演はない。

ちなみに〈SSU〉というSONYスパイダーマンが出てこないスパイダーマン・シネマティック・ユニバースの名称も、しょっちゅう変わっており

2017年SMU(ソニーズ・マーベル・ユニバース)
2018年SUOM(ソニーズ・ユニバース・オブ・マーベルキャラクター)
2019年SPUOMソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター)
2021年SSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)  ←今ここ

と、僅か5年の間に4回も変わっている。コロコロ変えるなボケ。
このシネマティックユニバースの名称一つ取っても「一体SONY内部はどれだけまとまってないのか」「一体SONYとMARVELとの間でどんな綱引きが続けられてるのか」いろいろ推測できるが、とにかく今は〈SSU〉だ。
一つ言えるのは「2019年まではシネマティック・ユニバース名に〈スパイダーマン〉が入ってなかったのでMARVELスタジオの顔色を伺っていたが、「スパイダーマン」の文言が入った2021年からは若干強気になって『SONY実写SSU作品にスパイダーマン本人が出せそうになって……きた雰囲気が少し出てきた』という感じっぽいな」という推測が出来ることだけは書いておこう。

そんなスパイダーマンは出てこないがスパイダーマン世界の人が出てくる謎のシネマティック・ユニバース「SSU」は今のところ本作を合わせて公開が決まっているものは6作品ある。 

第1作目『ヴェノム』(2018)。原作で90年代に登場してスパイダーマンの宿敵でありダークヒーローでもある大人気キャラクター・ヴェノムの単体作、ディズニーのMARVELスタジオに貸し出してるMCUスパイダーマンと絡ませたいがために人を喰おうが怪我しようが血が一滴も出なかった

第2作目『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)。ヴェノムとスパイダーマンが共闘したとしても勝てるかどうかわからないほどの強敵・カーネイジを、ヴェノムとヴェノムの元カノの彼氏が共闘してあっさり倒してしまう。「カーネイジの恋人が、カーネイジの弱点となる能力を持ってる」ので、なおさらカーネイジが勝てるわけがなかった

第3作目『モービウス』(2022)。原作ではスパイダーマンの宿敵の吸血鬼・モービウスを主人公にした作品。ついに欧米でバカにされまくったが判官贔屓の僕は気の毒になった。そして、そんな言われるほど悪くなかった……というか「人気あった『ヴェノム』(2018)『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)と大差ない出来なのに『モービウス』(2022)だけ叩かれるのは可哀想」という言い方が正確。しかしポスト・クレジット・シーンで僕がMCUで一番好きだったヴィランマイケル・キートン演じるバルチャーがこんなSSUに島流しにされて哀しかった

第4作目本作『マダム・ウェブ』(2024)。「原作スパイダーマンに登場して超能力でスパイダーマンをサポートするサブキャラのおばあさん……の若い頃」を映画化

第5作目:『ヴェノム:ラストダンス』(2024)。ヴェノム3作目にして完結編。最後だからスパイダーマン来るか?

第6作目:『クレイヴン・ザ・ハンター』(2024)。原作でスパイダーマンの宿敵の一人クレイヴンを主人公にした実写映画。もう映画は完成したけど公開延期中。

実際のところ大ヒットして人気出たのは『ヴェノム』(2018)だけだし、個人的には『ヴェノム』(2018)も含めて『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)『モービウス』(2022)も本作も、はっきり言って全部パッとしなかった。……いや『ヴェノム』(2018)を初めとしてキャラクターの魅力もあって少しは面白いものもあった。正確に言うと「2000年代くらいの、まぁまぁ最後まで観れる程度には面白いアメコミ映画」くらいの感じだった。20年前ならまだしもアメコミ映画が飽和状態の現代で、SSU程度の出来栄えでは到底満足できない。
一方その頃MCUは10数年間に渡る”インフィニティ・サーガ”を『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で見事に締めくくり成功させたり、本家本元〈ピーター・パーカーが主人公のスパイダーマン〉シリーズ『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)ではMCUスパイダーマントム・ホランドが、SONYで制作したトビー・マグワイヤやアンドリュー・ガーフィールドスパイダーマン達と共闘する展開で大成功していた。
そういうわけで微妙なSSUと歴史的大覇権(だった)MCUの差がありすぎて、SSUは正直邪魔だった。この本作『マダム・ウェブ』(2024)も、「なんであのおばさんのエピソード・ゼロとか観なあかんねん!と思っていた。
……まぁ、その後、MCUの求心力もどんどん落ちていって大差なくなりつつある。
MCUもSSUも共に混迷を極めて弱体化しているMARVEL映像作品世界。
この手詰まりした盤上に欲しいのは……場を乱す混沌(カオス)、つまりそれがこのSSU、その中から放たれた「原作スパイダーマンに登場して超能力でスパイダーマンをサポートするサブキャラのおばあさん……の若い頃を描いた作品」という何でわざわざ映像化したのか全くわからない本作だ。
ドラゴンボール』で言うなら「主人公・孫悟空の師匠・亀仙人の姉……占いババを主人公に……占いババになるまでの彼女の若い頃を描いた作品」みたいなもので、もはや訳がわからない。
まぁマダム・ウェブはマルチバースを見通すキャラなので、トム・ホランドMCUスパイダーマン世界とSSUをあわよくばくっつけたい、そのためにマルチバースをいじれるマダム・ウェブを映画化したんだろう事は間違いない。それ以外に理由はない。それがようやくバレつつあり本作は評価&興行成績ともに失敗。葉に衣を着せないことでお馴染みの主演ダコタ・ジョンソンが本作のまだ公開中に「クソおもんない映画に出た。もう二度とこういうの(アメコミ映画)には出ない。というか訳がわからない。出演を決めた時の脚本と出来上がったストーリー全然違うし。クリエーターじゃない配給会社が勝手に創作に手を入れんなや」とボコボコに腐した。僕の、ダコタ・ジョンソンへの好感度は上がった。

上記の6作品以降のSSUは『エル・ムエルト(原題)』(公開日未定)が無期限延期中。これは「スパイダーマンの原作コミック62年間の中で数回出たことあるだけのプロレスラー〈エル・ムエント〉を主人公にした映画」というもので、これは本作『マダム・ウェブ』以上に期待できる。何しろマダム・ウェブはまだ「スパイダーマン」のサブ・レギュラーキャラではあったわけだがエル・ムエントとかいうやつはもはや「スパイダーマンと無関係の男を主人公にしたスパイダーマン映画」と大差ない。エル・ムエント単体作を作るくらいなら「メイおばさんやベンおじさんやJJJとかデイリービューグルやピーターのアパートの大家さんを主人公にした日常作品」の方がまだスパイダーマンと関わりがある。こうなると「SONYが制作したい普通のエンタメ映画を、客が入るという理由で後付でSSUってことにしたのでは?」と思ってしまうほど。この方式を利用すれば「スパイダーマンが住む家の近所に住む女子大生のいとこを主人公にした恋愛映画!」「スパイダーマンがよくいくメキシコ人の店員が里帰りしてギャングの抗争に巻き込まれたメキシコ犯罪映画!」など無限にSSUを作れる。がんばってほしい。
『エル・ムエルト(原題)』は何かポシャりそうな雰囲気だが頑張って公開して欲しい。面白いから。
……というか『エル・ムエルト(原題)』って本当にエル・ムエントの映画なんじゃなくて実はもっと別のキャラクターの映画で、それを隠すためのワーキングタイトル(完成した映画内容を悟らせないための仮題)なんじゃないか?と少し思う。どうでもいいけど。
ここまで来るとつまんなくなったMCUよりもSSうの方が面白いかもしれない。映画の内容こそつまらないものの映画の内容以外の全ては面白いからね。本作もつまんなかったがご覧のように前書きは無限に書ける。
もう疲れたので感想書きたくないが映画の感想ブログの体裁が保てないので嫌だけど頑張って感想書こう。

全部ネタバレあり

 

 

 

 

2003年ニューヨーク救急救命士カサンドラ・”キャシー”・ウェブ(演:ダコタ・ジョンソン)。
ある日、同僚のベン・パーカー(演:アダム・スコット)と共に救命活動中、生死を彷徨う大事故に巻き込まれたキャシーは、それ以来「少し先の未来が見える」という予知能力に覚醒し「3人の少女たちがマスクの超人に殺される」という悪夢ビジョンを見る。
……キャシーの同僚ベン・パーカーは勿論、ピーター・パーカー/スパイダーマンに「大いなる力には大いなる責任が伴う」を教えることになる〈ベンおじさん〉の若き姿ね。
本作には度々、ベンの妊娠中の義妹メアリー・パーカー(演:エマ・ロバーツ)が出てくる。彼女が妊娠しているのは当然ピーター・パーカー/後のスパイダーマンで、メアリーはピーターの母。先でどうなるかわからないが「スパイダーマン誕生に、後のベンおじさんやマダム・ウェブと3人のスパイダー少女が関わっていた」という匂わせであり、本作の舞台が2003年という中途半端に昔なのはSSUにスパイダーマンの使用許可がMARVELスタジオから出た際に「〈現代〉のスパイダーマンは21歳」と展開していくためだろう。そして「本作のメアリーが産んだピーターはどのバージョンのピーターなのか?」というのは、多分今後ピーターが出せる日が来た時に辻褄合わせるだけで今の時点ではSONY自身もわかってないので考察()しても何の意味もない。したけりゃすればいいけど。

話を戻そう。己の予知能力に気付いたキャシーは、駅のホームで3人の少女がマスクの怪人に殺されるビジョンを視る。
直後、電車にはその3人の少女が……咄嗟にキャシーは3人を救出。予知夢の怪人も襲いかかってくるがキャシーは予知を利用して逃亡に成功する。

三人の少女……内気で真面目なジュリア・コーンウォール(演:シドニー・スウィーニー)、金持ちの不良娘マティ・フランクリン(演:セレステ・オコナー)、移民の娘アーニャ・コラゾン(演:イザベラ・メルセード)。彼女たちは運命の糸で結ばれているのか全員キャシーと薄い関わりがあった。3人の少女はキャシーにとって見ず知らずの他人だが、流れで放っておけなくなる。というかキャシーは少女たちを誘拐したと警察に思われており、誤解を解くには少女たちに説明してもらう必要がある、だから彼女たちを護って行動を共にする必要があるということだ。

少女たちを追って何度も殺傷しようとする「スパイダーマンによく似た容姿の怪人」はエゼキエル・シムズ(演:タハール・ラヒム)。彼は1973年に、科学者だったキャシーの母(演:ケリー・ビシェ)の付き添いでペルーのジャングルで不思議なパワーをもたらす特殊な蜘蛛を探していた。しかし蜘蛛が見つかるとエゼキエルはパワーを独り占めするためキャシーの母たちを傷つけて蜘蛛を奪って逃げた。現代では蜘蛛からスーパーパワー(怪力壁を這う能力予知夢など)を得ている。エゼキエルは毎晩「約10年後、パワーを得てヒーローのスパイダーウーマンとなった3人の少女に殺される」という予知夢を毎晩見て憔悴していた。そこで彼は部下にNSA都市監視システムをハッキングさせ、3人を見つけ出し殺しに乗り出したのが今日、という話。
キャシーと少女たちはエゼキエルに何度か襲撃される。エゼキエルはスーパーパワーを持っていてキャシー達は現時点では只の女性達なのだがキャシーの予知能力という強力すぎるパワーを使って襲われる度に窮地を脱する。
キャシーは母が消息を絶ったペルーのジャングルへと飛び、母から自分を取り上げた現地の人に母に何があったのか詳細を聞き覚醒して自らのパワーを使いこなせるようになる。……この箇所だが、隣の部屋に行くかのようにペルーに行って次のカットではニューヨークに帰ってくるのでちょっとどうかと思った。

常人であるキャシーは予知能力を使ってエゼキエルに攻撃して、同時に少女たちを護る。覚醒によって何が起こるのか短期間なら大体分かるようで、ラストバトルとなった倉庫で、どこに発煙筒を仕掛ければどこの壁や床がいつ壊れるか、いつ看板が落ちてくるか全てわかっているので、それによってエゼキエルに対抗する。
この「予知能力以外は普通の女性たち vs.怪力の超人」という要素は、本作で僅かなオリジナリティある面白い要素だった。
キャシーたちは予知で対抗するがフィジカルは弱いため超人エゼキエルに徐々に追い詰められていく、三人の少女が同時にピンチになった時は〈同じ世界に同時に四人の自分を存在させられる〉といった感じの新たな能力で救ったりしつつ、相打ち狙いの予知能力で何とか只悪いだけの古典的で何の魅力もないヴィランであるエゼキエルを倒す。

一命を取り留めたキャシーは盲目となり下半身不随となった。だが全ての未来を常に視ている?ためか急に超然とした態度になり「今までなかった大事なもの(三人の少女という家族)」を得たため幸せそうだ。
やがて10年後に三人の少女はスパイダーウーマンとなり自分は彼女たちを率いるメンターとなる事を匂わせて本作は終わる。
何で数分前まで普通っぽい女性だったキャシーなのに、急に超然とした笑みを浮かべた超能力身体障害者になって終わるのは違和感だが、つまるところ本作は「キャシーが、スパイダーウーマン達を率いるマダム・ウェブになって終わる」という事が最初から決まっており、その結末にたどり着くためのストーリーでしか無いので「何で?」とか「この話に何のテーマがあるの?」と訊いたとしても意味はない。「(今後SSUでスパイダーマンを迎えたり実写スパイダーバースを可能とする)マダム・ウェブを誕生させるための映画」という意味しかないのだから。そして大コケした上に主演のダコタ・ジョンソンが本作をボコボコに貶してるし多分、今後出番があったとしても出たがってないし、もう続きが無さそう感が半端ない。
本作はSSU前作『モービウス』(2022)同様に大コケした上に絶不評でネットのオモチャとなって終わった。少し気の毒になり「そんなに悪く言わなくても良くない?」という気分がないわけでもないが実際、気の抜けたソーダのような出来栄えだったので言われても仕方ないだろう。個人的には『モービウス』(2022)と本作だけでなく『ヴェノム』シリーズ(2018-)も大差ない(強いて言うならヴェノムのキャラが他の主人公より魅力あるくらいか)。
具体的にああだこうだと書くのも面倒なのでやらないが本作もまたボンヤリしたパッとしない内容だった。自慢の巨乳を封印して眼鏡っ子を演じたシドニー・スウィーニーは可愛かったけど……。
面白かったとしたらキャシーの予知能力と「これを観たらブログにSSUのこといっぱい書けるぞ」という捻くれたワクワク感しかなかった。ただ観る前にハードルが地面に付ききっていたので「思ってたほど悪くないかも?」と思った。だが映画好きならわかると思うが、この「思ってたほど悪くないかも?」というのはつまらない映画を観た時に自分を慰めるためにそう思ってるだけなので、ということはつまり普通に粛々とつまらなかったのだろう。
本作の価値というのは「SSUの中の一作」というところにしかない。アメコミ映画しか観ないタイプの人は当然、本作も要チェックして観てるわけだが、つまり本作は「スパイダーマンの世界と繋がってるらしい」という一点にしか価値がない映画だ。本作がMARVELと何の関係もない予知能力おばさんと少女たちの超能力ヘンテコ映画だとしたら彼らアメコミ映画ファンは別に観てないわけで、そここそに本作そしてSSUというシネマティック・ユニバースの狙いがある。スパイダーマンという存在しない餌の匂いで客を呼んでるだけというね。さすがに6年も続けたらバレてきて成績が振るわなくなったが……次のヴェノム3とかSSUの結末がどうなるのか、観たいねぇ。 

 

 

次のSSUは11月1日にSSU第5作目『ヴェノム:ザ・ラスト・ダンス』(2024)が。
あと日本の公開日はわからないがアメリカ本国で12月13日に『クレイヴン・ザ・ハンター』(2024)が公開されるらしい。SSUが終わればもう観たり感想を書く必要もなくなるので終わって欲しい。
だが、SSUかどうかはわからないがニコラス・ケイジ主演で『スパイダーマンノワール』のドラマをアマプラでやるらしい。これはニコラス・ケイジノワール役が素直に楽しみ!しかもノワールとはいえ今まで全く作れなかった実写スパイダーマンが可能になったし。ドラマじゃなくて映画でやれよという感じはするけど。『モービウス』(2022)と本作みたいなどうでもいいキャラのどうでもいい作品を映画でやって、何でニコラス・ケイジスパイダーマン作品がドラマなのか……理解に苦しむが推移を見届けよう。

 

 

 

 

そんな感じでした
〈SSU〉
『ヴェノム』(2018)/2000年代の古いアメコミ映画みたいだったがトム・ハーディと元カノカップルの魅力が高かった⚫ - gock221B

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)/前作とほぼ同じ話だったが主人公の元カノの婚約者ダンの魅力がすごい⚫🔴 - gock221B
『モービウス』(2022)/何十回も擦ったアメコミ映画テンプレまんまの内容で2003年の映画みたいだったが本編もキャラも意外と良かった🦇 - gock221B

 

〈関連作〉
『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)/良作だと思うがライミ版スパイダーマン1やアメスパ1の繰り返しにマルチバースをトッピングでくっつけただけ感🕷 - gock221B
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション』(2022)/20年越しのお祭りで最高に面白いが中盤以降があまりに哀しい+後日に追加版追記🕷️ - gock221B
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023)/元々スパイダーマンの運命が好きじゃなかったからマイルスが抵抗するのは嬉しい。でも情報力多くて疲れた……🕷 - gock221B

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Madame Web (2024) - IMDb
Madame Web | Rotten Tomatoes

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