gock221B

映画やドラマの感想ブログ Filmarks: https://filmarks.com/users/gock221b Letterboxd: https://letterboxd.com/gock221B/ https://vir.jp/gock221B〈Since.2015〉

『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』〈シーズン1〉(2025) 全10話/トゥームストーンの紆余曲折!


原題:Your Friendly Neighborhood Spider-Man〈Season.1〉 原案&脚本:ジェフ・トランメル 製作総指揮:ケヴィン・ファイギほか 音楽:レオ・ブレインバーグ、ザフ・ロビンソン 原作:スタン・リー&スティーヴ・ディッコ『Amaging Spider-Man』(1963) 制作スタジオ:MARVELスタジオ・アニメーション 配信サービス:Disney+ 製作国:アメリカ 上映時間:各話約30分、全10話 配信日:2025.01/25~2025.2/19 シリーズ:MARVELスタジオ・アニメーション制作のDisney+アニメ作品第5作目



MCUスタジオのDisney+アニメ・シリーズ第5作目。
「スパイダーマンのTVアニメシリーズ」という意味では第11作目になる。

2021-2022に初めて制作発表された時はシーズン1が『スパイダーマン:フレッシュ・イヤー』でシーズン2が『スパイダーマン : ソフォモア・イヤー』という仮タイトルだったが2023年に現在の『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』というタイトルに変更となった。

本作は当初、トム・ホランドが演じている実写MCU版ピーター・パーカー/スパイダーマンが、既に地元を守る新米ヒーローのスパイダーマンとして初登場した『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)以前の話として、スパイダーマンの誕生や恐らくベンおじさんの死などを描く予定だったが、それだと制約が多すぎるとして全く別アースでの話とした。MCUのトムホスパイディーの前日譚だったら本作で描かれたニコ・ミノルやオズボーン父子やドクター・オクトパスやドクター・ストレンジやデアデビル……等との面白い絡みが全部できなかったので結果的に「MCUとは違う世界」で作ったのは正解だったと思う。
しかし世界こそ違うものの本作のキャラやユニバース自体の設定は『スパイダーマン:ホーム』シリーズ(2017~)を下敷きにしたものなのでMCUしか観たことない人にも入りやすいし、MCUと本作ではどこが違うのか比べるのも楽しい。
最初に感想言うとかなり面白かったです。Disney+のMCUドラマ、MCU中編映画、MCUアニメなどの中でもベスト5には余裕で入るし、シーズン1全部観てもうシーズン2が早く観たくて仕方ない。

ネタバレあり

 

 

🕷️🕷️🕷️ 🕷️🕷️🕷️ 🕷️🕷️🕷️ 🕷️🕷️🕷️ 🕷️🕷️🕷️

 


アメリカ合衆国ニューヨーク州の治安が悪い地区クイーンズに住む15歳の高校生ピーター・パーカー(演:ハドソン・テイムズ)。
科学で優れた成績を残す彼は、夫ベンを亡くした叔母メイ・パーカー(演:カリ・ウォールグレン)と二人暮らし。
ある日、ミッドタウン高校に初日登校したピーターと同級生のニコ・ミノル(演:グレイス・ソング)は、上空に空いたポータルから出現したソーサラー・スプリーム〈至高の魔術師〉ドクター・ストレンジ(演:ロビン・アトキン・ダウンズ)とシンビオートとの戦いに巻き込まれる。シンビオートに襲われそうなニコを持ち前の正義感で救ったピーター、そんなピーターを救うストレンジ。しかしピーターはポータルから落ちてきた放射能蜘蛛に噛まれてスーパーパワーを獲得する。

ピーターはそのスーパーパワーと自らが発明したウェブ(クモ糸)発射装置を活かした地元密着型ヒーロースパイダーマン〉としての活躍、ニコやピーター憧れのフィリピン系アメリカン女生徒パール・パンガン(演:キャシー・アング)やパールの彼氏ロニー・リンカーン(演:ユージン・バード)らとの学園生活を送る。
ある日、スパイダーマンは迷惑系配信者に絡まれていた同年代のインフルエンサー、ハリー・オズボーン(演:ゼノ・ロビンソン)を救出した。
そしてピーターはハリーの父親である地元の大企業〈オズ・コープ〉社長ノーマン・オズボーン(演:コールマン・ドミンゴ)からオズ・コープのインターン・シップに招待される。
そんな感じでピーター/スパーダーマンの新しい生活が始まった――

そんな話。

 

作画は1960年代のコミック開始当時のスティーブ・ディッコ風のものになっている。3DCGで作ったモデルにディッコ風のテクスチャがされてて、それがグリグリ動くんだから凄い。3DCGといえばサム・ライミ版の三部作が公開された少し後?20数年前に初めてスパイダーマンのCGアニメがあったが、あの時はまだこんなんだった。

youtube.com

これは当時でもちょっと荒いイメージだったがこれはこれで当時は面白かった。その20数年後にまたピーターとかハリーの青春を観てるとは……我々が死んだ後もスパイダーマンやバットマンなどの強力なIP作品はキャラが変わらぬ姿のまま……スパイダーマンは10代~20代前半のまま、バットマンは永遠の三十代として自分が死んだ後も映画やアニメやゲームが作られて生き続けるんだろうなと思うといつも不思議な感覚に囚われる。(寿命が長いエルフが友達のヒューマンってこんな気持ちだろうか)。
とにかく、この作画は凄く可愛い。アクションも凄くバッチリ。キャラがいつも同じ服装してるしドアップになっても割と陰影のないのっぺりした感じを貫いてるので、スケートで滑って街にグラフィティ描くSEGAのゲーム『ジェットセットラジオ』(2000)を少し思い出した。パッと見シンプルなのだがよく観たらまるでペンで描いたかのようなイリヌキっぽい線に処理されてあって、これはこれで手間がかかってそうだと思った。
そのせいなのかどうかはわからないが、NYの街なのにどこにいっても人……モブの数が少なすぎると思ったのは僕だけでしょうか?モブだけでなく道路に走ってる車も異様に少なくない?予算や制作する人数が足りなかったのかな?とにかく作画やアクションは凄く良いんだけど「人が少ないな……」というところだけが気になった。
ストーリーに関しても1960年のコミック開始当時の雰囲気を踏襲してピーターの青春や生活と絡めて描いている。良いと思う。MCU版がクロスオーバーやマルチバースなどでまともにピーター自身のストーリーがあまり進んでないだけあって「もうこのアニメが正式なスパイダーマンでいいかもしれない」と少し思った。

感想の前に、まずこの世界全体とMCU世界との違いについて。
基本的にはピーターの周囲や『スパイダーマン』系のキャラが多く出てくる事以外はMCUと大体同じ。
MCUと大体同じような感じのトニー・スターク/アイアンマンキャプテン・アメリカなどアベンジャーズが世間に周知されて尊敬されている。
本作で描かれた「この世界の世間一般にも周知されている」MCUと同じ部分と違う部分はこう。ちなみにMCUのピーターはアイアンマンを尊敬してソコヴィア協定賛成派につき後にトニーの弟子のようなポジションになるが本作のピーターは真逆でキャップ派。ニコ曰く普段からキャップの話ばかりしているらしい。僕もMCU始まる前からずっとキャップ派なので本作のピーターには親近感湧いた。
更にMCUではトニー・スタークがピーターの家を訪問してピーターをスカウトして彼のメンターとなるが、本作ではノーマン・オズボーンがそのトニーの役割になっているので、本作のピーターとトニーは全く関わりもないし好きでもないという関係の薄さになっている。
ちなみにピーターの親友になるハリー・オズボーンもキャップ派でシビル・ウォーでのキャップについても「彼は友達(バッキー)を守りたかっただけだよ」と擁護している。
ちょっとMCU世界との類似点と本作の世間の反応をまとめてみよう(作中で登場したり言及されたことのみ)。

〈本作の世間一般にも知れ渡っているMCUと同じ出来事、と本作の世間の認識〉

★「世界にはトニー・スターク/アイアンマンやキャプテン・アメリカやソーなどのスーパーヒーローが居て、彼らがチームアップしたアベンジャーズ等のスーパーヒーローが居て尊敬されている」→世間「アイアンマンやキャップ最高!」

★「アベンジャーズがNY決戦にて宇宙人(チタウリ)の侵略から地球を救った」→世間「アベンジャーズ最高!」

★「雷神ソーやアベンジャーズがNYで倒した宇宙人など、地球外にはそういう脅威の存在がいる」→政府「アイアンマンなどのソコヴィア協定賛成派ヒーローに守らせよう」、ノーマン・オズボーン「アベンジャーズだけに任せておけない。外敵に対抗する手段を発明したい」

★「ヨハネスブルグの街中でハルクが大暴れした」→世間「ハルクは怖い……」

★「ソコヴィア協定を巡りアベンジャーズは二分されドイツの空港で戦闘。アイアンマンは政府側につきキャップは逃亡犯になった」→世間「アイアンマンは信頼できる。キャップは犯罪者」「いやキャップは親友を助けたかっただけ。逃亡犯だけどキャップを私は信じる」。本作の時系列はこの直後。キャップが旧友を守っていた事も周知されている。MCU世界や我々のいる現実世界同様に世間の評価も二分された

★本作のチンピラ「裏社会にはキングピンという大物がいるらしい(言及のみ)」

〈MCUと同じだが世間一般の人は知らないこと〉

★「至高の魔術師ドクター・ストレンジが地球外からの脅威に人知れず対処している」

★「NYヘルズキッチンを盲目のヒーロー、デアデビルが護っている」

そんな感じで、スパイダーマン周り以外は殆どMCUのままだと思っていい。

 

ピーター・パーカー/スパイダーマン
ピーターは、まぁ割とスタンダードないつものピーター。
MCU版と違うのは「アイアンマンではなくキャップ派」というところ、そしてトニーではなく原作や他作品ではグリーン・ゴブリンとなるノーマン・オズボーンがメンターとなる。ここがMCU版と一番違うところ。
通常のスパイダーマンは、パワーを得た後に自身の軽率な行動の所為でベンおじさんの死に遭い「大いなる力には大いなる責任が伴う」事を学び真のスパイダーマンが誕生する。本作ではベンおじさんはMCU版同様に最初から亡くなっている。まぁベンおじ死亡シーンは散々やったからやらなくてもいいか……とは思うものの、MCU版を思わせるベンおじ最初からいないパターンは「『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)みたいにメイおばさんが死んじゃうんじゃ……」と無用の心配をしてしまって心臓に良くない。それにしても『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)でのメイおば死亡も「三部作とクロスオーバー通しての数々のヴィランやサノスとの死闘、塵になっての復活、そしてMCU版ベンおじさんとも言うべきメンターのトニー死亡!……などを経てもメイおばさんを生贄にして『大いなる力には大いなる責任が伴う』詠唱させて、そこまでしないとMCUのピーターは成長できんのかい!」と未だに納得していない。更に第4作目、MARVELスタジオは街の悪と戦う正調スパイダーマンをやりたがってるがSONYは手っ取り早く大儲けできる実写スパイダーバースをまたやりたがってるので心配で仕方ない。トムホ演じるピーターはクロスオーバーばっかりで一体いつになったら自分だけのストーリーをできるんだい?このままクロスオーバーばかりの大人になってきたトムホ版ピーターが実写版マイルズにバトンタッチして空虚な死を迎えたりしたら虚しすぎる。4作目ではマルチバースせず正調スパイダーマンしてほしい。
話を元に戻す。
本作のピーターは、まだ15歳の子供なので普段の生活ではコミュニケーション能力や判断力や自信やメンタルなどに脆い部分は少しあるが、ベンおじさんと「大いなる……略」のくだりはないものの割と最初から正義感を持っている。正直今回は近親者の死や「大いなる……略」イベントなくても良いと思う。キャップとかも最初から正義感持ってたし「絶対に近親者を殺さないとスパイダーマンは一人前にはならない」というのは変だと思う。この近親者絶対死亡イベントは『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023)といつになるのかわからない続編で描かれてるが、多分だけどその運命に抗う話になりそうだよね?だってそんな運命おかしいもの。本作でもメイおばさん殺したりしないでおくれよ。

メイおばさん
本作のメイおばさんはMCU版のマリサ・トメイが演じた「HOTなメイおばさん」を思わせる美人メイおば。かつてメイおばさんといえばコミックや映画でも、おばさんというよりおばあさんと言った方が合ってそうな白髪の老女キャラだったが、セクシーなマリサ・トメイ版メイおばが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)で出てきた時に「うわっマリサ・トメイのかわいいメイおば……頼む、メイおばさんにオンナを感じさせないで!?」と思ったものだが、10年近く続けられたら慣れてきた。「おばさん」だから今の時代美人でも良いかもね。本作のメイおばさんは美人でスタイルも良いが目元の小ジワだけは必ず描かれている。このメイおばさんは多分アラフィフくらいかな?つまり自分と同年代か。メイおばさんと同じくらいになるとは……そしてそんなスパイダーマンを観てるとは……と感慨深いがまぁいい。とにかく今回のメイおばさんは絶対に殺さないでくれよ?

 

ニコ・ミノル
それ以外のピーター周辺のキャラクターはMCU版とは少し似てるが少しづつ違う。
「ピーターの一番の親友」、MCUではネッドとMJで、やがてMJが恋人になった。本作では孤児のニコ・ミノルがMJとネッドを合体させたようになっている。
途中までピーターに興味を持ったひねくれた陰キャとして描写されてたMCU版MJを思わせるゴス少女。本作でも少しひねくれてて陽キャが苦手な占い好きのゴス少女。MARVELコミックで「ニコ・ミノル」はランナウェイズというヒーローチームにいる日系アメリカ人の黒魔術ヒーロー。MCUではないMARVEL実写ドラマ『ランナウェイズ』(2017-2019)に出てたし(観てないけど)、ゲーム『マーベル ミッドナイト・サンズ』(2022)というゲームにも出ていた。
Steam:マーベル ミッドナイト・サンズ
これは買ってプレイした。主にオカルトや魔術系のMARVELヒーローが出てきて(でもそれだけだと地味なのでアイアンマンやキャップやスパイダーマンやウルヴァリンなどの人気者も出してる)ターン制ストラテジーのカードバトルゲームで、戦闘しない時は美少女ゲームかのように好きなヒーローとアクティヴィティしたり会話したりして親交を深めるというMARVELファンには夢のゲーム。ただグラフィックが90年代みたいなセンスでキャラが凄く野暮ったい、だがグラフィックを除けば戦闘も美少女ゲームみたいなときメモ部分も凄く面白い隠れた名作。キャップやブレイドと読書クラブを作ったり月の下で好きなヒーローと深い話したり……本当におもろい。
また脱線しました。本作のニコ・ミノルは普通の学生だけど何かがあって黒魔術を使うヒーローになる片鱗を見せていくのかな?と思っていたがシーズン後半で何度か彼女が原作コミックで使っている魔杖スタッフ・オブ・ワンを思わせる意匠のペンダントが映る。そして最終話でピーターに「もうこれで君に隠してる秘密はないよ!」と言われたことを思い出して表情が曇りまたそのペンダントを見る……という事でどうやら既に黒魔術師だけどそれをピーターに隠してるみたい。それはシーズン2で語られるのだろう。MCU版の親友ネッドも『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)で唐突に「魔術の才能がある」という設定が強引に付与された。これは本来マルチバースを横断できるアメリカ・チャベスを出す予定が狂ってチャベスは『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)に出るキャラになったので唐突にネッドが魔術を使えるようになった。ピーターの親友ネッドが魔術の才能あるというところからニコをピーターの親友にするという設定を思いついたのかな。
いわばMJとネッドを合わせたキャラが本作版のニコ・ミノル。
黒魔術うんぬんはシーズン1ではまだ描かれない、今回シーズン1では「スパイダーマンとなったピーターの親友」としての役割。ピーターはニコを巻き込みたくないためか自分がスパイダーマンである事を隠している。そのためスパイダーマン活動をしてる途中で「あっ、ニコとの待ち合わせだった」「しまった研究の発表の時間だった!」と気づいたりしてギリギリで到着したり又はすっぽかしてしまう。この「スーパーパワーを持っているのに、しかしスーパーパワーを持っているが待ち合わせに間に合わない」というのは若いピーター・パーカーのストーリーに付き物で、だからニコはイライラしたりしつつも「最強の2人」を名乗ってピーターの親友のままでいる。しかし後半、ピーターの秘密を知ってしまい、ハリーへの嫉妬のありピーターが自分に隠し事をしていたという理由で完全に立腹してしまう。そんで最終話、ピーターの大変さを目の当たりにして仲直りする。しかしそんな風に怒っていたニコにもピーターに隠していた秘密が……それはシーズン2で語られるのだろう。
そういえばハリーの車で街のバカと首都高バトルする時に『頭文字D』風のユーロビートが突然流れ出したのは笑った。MARVEL作品で『頭文字D』オマージュされるなんて誰が思いますか?

ノーマン・オズボーン、ハリー・オズボーン
MCU版のトニー・スタークの代わりにスパイダーマンのメンターとなるオズコープ社長ノーマン・オズボーン。
……なんだけど今までの調子で一人ひとりのキャラの感想書いてくと長くなる一方で疲れてきたし、これまでの文章って感想でも何でもないから早く感想が書けるとこまで飛ばすために省略飛ばしていく。
ノーマンは最初はピーターの良きメンターとして振る舞う。
彼をラボでのインターンに迎える。そして彼がピーターをインターンに迎えたのは彼の頭脳だけでhがない。息子のハリーを救ったスパイダーマンを探していたのだ。それは科学を専攻する若者に違いないというというところまで絞り込み、それで数人のインターンを集めたのだ(この他のインターン達や研究者たちも皆コミックではヒーローだったりヴィランだったりする元ネタありのキャラ達だがシーズン1では只の研究者でしかないのでここも省略)。
そしてピーターがスパイダーマンである証拠を掴む。ノーマンは、現状のアメリカを守るヒーローがソコヴィア協定によって「政府が公認したヒーロー」しか認められないことを憂いている。そのためスパイダーマンを「椅子の人」としてサポートしていく。後に息子ハリーにもバレてしまいハリーも「椅子の人」となる。ハリーは自宅学習してる超有名セレブでもあるのでカネ目当てじゃない友達がいない。それで「スパイダーマンの椅子の人」という立場もそうだが単純に「初めての本当の友達、ピーター」にも夢中になっていく。
ノーマンは、国に頼らず独自に地球外の強敵に対抗できるヒーローや武力を持ちたがっている。ノーマンはやがて、公を焦るあまりピーターのサポートから目を離してピーターを瀕死の重傷を負わせてしまったり、それを保護者メイおばさんに隠蔽したり、ライバルのドクオクを嵌めて成果を奪いとったり「大いなる力には大いなる敬意が伴う」と「力を誇示すれば皆言うこと聞く」といった危うい思想でピーターを闇落ちさせかけるなど危うい面を見せ始め「やっぱグリーンゴブリンだけあってこのオッサンについて行ったらピーター危ういぞ」と思わせる。そして最後には決定的にミスって街に大ピンチをもたらしてしまう。
しかしノーマンが「大いなる……」イベントを変わった形で消化してくれたので「これで代わりにメイを殺すなどのしょうもない運命からは回避したかな?」と安心した。しかもノーマンの傲慢な言葉でピーターは悪堕ちしかけるが、友の助けや自分の判断で「いやいや、まずいまずい」と自分でノーマンの過ちに気づき、軌道修正する。今までの近親者の死+「大いなる……」イベントとは違う、もっと新しい覚醒イベントで良いじゃん。
そんなこんなで危ういノーマンだが、グリーンゴブリンほど決定的なピュアイーヴィルになったわけではなく危ういオッサンとしてピーターから切られる。現実世界の「こいつアカンな……」と思った時に僕らがやるようなリアルな切り方で笑った(現実ではフィクションのように口論しながら殴り合ったりせず摩擦すくなくスーッと遠ざかるのがベストですからね)。
だが、そんな大失敗したり攻撃的すぎたりと問題の多いノーマンだが、一応「僕らの地球を守りたい」と思っているのもまた事実。そこに自己顕示欲とか復讐心とかもブレンドしてるが、まぁそれも現実の人間ってそういうもんですからね。
最後にシンビオートの欠片を入手したしシーズン2では又新たなろくでもない事をするのだろうが、やはり本作のメインヴィランは彼だろう。ゴブリンのグライダーも既に完成したしシーズン2ではグライダーに乗ったシンビオートゴブリンみたいなヤバいヒーローとしてデビューするんだろうな。
今回のハリーは、ピーターとニコとの友情を温めてるだけで、本格的に胎動するのはシーズン2で株式会社WEB社長としてだろうな。このハリーはゴブリンにならないでほしいな。

 

ロニー・リンカーン/トゥームストーン
で、一番話したかったのは本作の、スパイダーマンと並ぶもうひとりの主人公と言ってもいいロニー・リンカーンの話ですよ。
ロニーの話をしなきゃいけないので、MARVELで一番好きなデアデビルとか面白いドクオクについては今はまだ大した役割してないので省略します。
ピーターが片思いをしているフィリピン系お姉さんパール(ちなみにこのキャラもコミックではヒーローになる)。このパールは『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)でピーターが片思いしていた褐色のお姉さん、あのキャラと似た印象のキャラだよね。MCUしか観たことがない子が「全く違うスパイダーマンの世界」に距離感を感じないようにかMCU版と設定やキャラが被るように作ったのかな。パールは只の「明るくて優しい憧れのお姉さん」という役割のキャラでしかないんだけど、単純にこういう女の子好きなので好きでした。
このピーターが片思いしているパールに彼氏ができた、それがアメフト部のスター選手ロニー・リンカーン!
「好きな女子の彼氏、しかもアメフト」こういうキャラは「嫌な奴」だと相場が決まっている。しかしロニーは良い奴だった。ピーターと一緒の研究グループになり「パールから君は賢いって聞いたぜ。俺は勉強もしたいと思ってる。勉強教えてくれよ、よろしく!」と拳を合わせてくる。クラスの地味メンであるピーターを馬鹿にするどころか勉強できて凄い!って感じで学園のどこでも話しかけてくる。恋のライバルな上に苦手な体育会系でもあるロニーを最初はうっとうしがっていたピーターだがロニーがあまりに良い奴なのでピーターはロニーを憎むことが困難になり普通に仲良くなる。ロニーはそれを見透かしたかのように「アメフト部のスターだから嫌な奴だと思ってた?」と微笑む。フィクションの類型から彼を嫌な奴だと思い込んでたこちらの心を見透かしたようなナイスな展開だ。
前述の、完全に悪ではないノーマンやロニーが後で知り合うギャングのボスもそうだが、どのキャラも「こいつは悪だから悪い奴!」といった感じの一面的な描き方はしていない。そのおかげでどのキャラも「アニメのいち登場人物」だけではなくなり、知ってる人みたいに話が進むと共に息づいていく。
だがロニーは原作コミックではスパイダーマンのヴィラン、トゥームストーン。
キングピン配下の怪力を持った全身真っ白アルビノのギャング。だから「あぁ、このロニーが悪の道に走ってトゥームストーンになるのかな?」と第一話の時からずっと思わせられる。その上でロニーのナイスガイっぷりを見せられる。
スポーツできるし勉強にも熱心、美しく優しい恋人もあり、何よりも本人の性格が良い。明るい将来を約束された青年だ。しかし黒人であるためか電車に乗ったら隣りに座った白人が席を立ったりもする。そんな事が日常的にあるためか、寂しそうに微笑むロニー(こいつは悲しいことがあるたびに逆に寂しそうに笑うもんだから凄く胸に刺さる)。彼の家はあまり治安の良くない所にある。とはいえ両親は健在で中流家庭。中の下くらいの感じか。
しかしロニーの弟は出来の良い兄と自分を比べて軽くグレかけておりギャングに出入りしている。弟を悪の道から引き戻そうとギャングのボスに「俺が代わりになるから弟は見逃してくれ」と言う。
ロニーは、ギャングの仲間入りさせられてアメフトの練習や授業の欠席が増え、最終的には部をやめさせられるし学校の成績も落ちていく。
……という展開がピーターのスパイダーマン生活と並行して数話にわたって繰り広げられうがはっきり言って辛すぎる。今まで観たMARVEL映像作品で一番つらかったかも。だから第5話くらいで一回観るのやめたからね、辛くて。いつもなら最終話の夜に感想書いてたけど今回は半月くらい遅れたのは観るの一時停止してたからだ。
色んなグレ方あるけど、勉強もスポーツもできて性格良くて恋人や友だちもいる優しい奴が、どうしようもないギャングに入れられて凄くゆっくり落ちていくっていうのは、あまり感じたことのない本当に身を切られるような悲しさだった。普通、グレたいやつがグレたり、何か衝撃的なことが起きた奴とか脅迫された奴が仕方なくグレていったりするじゃん。ロニーの場合、すべて快調の五体満足な未来ある青年がどうしようもないチンピラにさせられるわけだからね。マジで辛い。ギャングのボスも、ロニーは見逃してやれよと思ったもん。そんでこのボスも「ロニーを痛めつけて無理やり仲間にする」とかじゃないんだよね。敵対組織にロニーの顔を覚えさせて「このギャングと一緒にいないと敵対組織に襲われて危ない」とか、そういうリアルな手段で囲い込むからね。本当に辛い。そしてボスも、ただただ悪い奴ってだけじゃなくて部下になったロニーを守ったり敬意を払うようになる。〈トゥームストーン〉と名付けられたロニーも徐々にギャングに馴染んでいく。しうかしこれはこれで辛い!絶対にアメフトで大学行ったほうが良い、ただのギャングだからね。
ロニーは、ピーターがスパイダーマンだなんて知らないし知ってても頼るような青年でもない。巻き込まないように素晴らしい彼女パールを遠ざけるロニー。涙ぐむロニー。このアニメがまた、人が泣き出す瞬間の間の取り方とか泣き方などが非常にリアルで観てるこちらの胸も痛む。
「ああ、良い奴ロニーだけど徐々にギャングに染まってきたし、やっぱ原作でのどうしようもない悪いだけのギャング、トゥームストーンになっちゃうのかな」と思わされる。
まさか、このキャラが主人公スパイダーマン並にフューチャーされるとはね……というか全編ピーターと同じかそれ異常にロニーの事しか気にならないからね。
ちなみにロニーが入れられたギャングが戦ってる敵対組織はドクオクにサソリの装備を与えられた男マック・ガーガン。そう原作でいうヴィランのスコーピオン、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)で出てきて最後にバルチャーと意味ありげな会話してたけどいつの間にか只のスコーピオンごときの出番などなくフェードアウトしていったガーガンだ。まぁ只のギャングではあるがシーズン1の中ボスみたいな感じでスパイダーマンやロニーを苦しめる。
ロニーのギャングとスコーピオンのギャングの最終決戦!(なんか本作のモブや車の数が異常に少ないせいか空き地で喧嘩する昭和のヤンキーみたいだ)。
一度はスコーピオンに完敗したスパイダーマンもロニーに加勢!だがスコーピオンは強くスパイダーマンだけでは劣勢。ロニーたちはノーマンがドクオクの施設から押収したドクオク装備を横取りしようとしてたのでロニーは「何か武器になる新兵器は……」と探していたところ不思議な薬品を吸い込んでしまう。それによりロニーは原作通り怪力を手に入れる(指先から白くなってるのでシーズン2ではアルビノになってしまうのだろう)。
そしてロニー……いやトゥームストーンはスパイダーマンと共闘!
画面の真ん中で二人の顔が合体!夢の合体ヴァリアブルクロス!これカプコンの格ゲー『MARVELvs.カプコン』(1998)のオマージュね。監督はアラフォー又はアラフィフだろう。
そしてなんやかんや色々あってスコーピオンを圧倒!スコーピオンの悪あがきでロニーが死にかける。怒り頂点のスパイダーマンはノーマンの「大いなる力には大いなる敬意が伴う」という良くない言葉を思い出し、スコーピオンを殺害しようとする。しかし、それを「だめだよスパイダーマン」と止めるトゥームストーン!怪力のギャングにはなったが元の曇りなきまなこを保ったままのロニー。
怪力になって共闘するところまではわかる、しかしさっきの攻撃で死ぬか、又は生きてても原作通りのヴィランになっちゃうんだろうなって、よくある展開ならそうなると誰もが思うと思うが、共闘→死んだ?までは予想できたがまさか悪堕ちしかけたスパイダーマンを引き戻す真の仲間レベルにまでなるなんて思わないよね?だって原作のトゥームストーンなんて只のどうしようもないヴィランだし。シーズン1ではハリー大した事してないし、何ならメインヴィラン候補のノーマンより目立って……というかあと一歩で主人公ってくらい目立ってるよね。誰がトゥームストーンがここまでスパイダーマンのアニメで目立つと思う?ドラゴンボールでいえばドドリアみたいなもんなのに……。
というかピーターは割と道なりにすくすく育っただけだったので、どうなるかわからんロニーがずっと気がかりだったシーズン1でしたわ……。

 

続く最終話は、第一話と繋がる面白い最終話だった。
そして「ノーマンさん信用ならんなぁ」と袂を分かったピーター。ニコの提案でハリーが社長となり株式会社WEBを作る。何の会社なのかはよくわからん、スパイダーマンを中心に人助けするサービスか?
WEBにはオズコープの研究所で知り合ったアマデウス・チョ(原作で二代目ハルクになる)、ワカンダの研究者アイシャ、実はデアデビルのサイドキックだったジーン、そして「ここで稼げば学校行けるかも」と指先が白くなり始めたロニーの姿も!……いや、アマデウスはWEBには向かわずオズコープに残ったのかな。
ロニーもWEBに入りそうなのが良いよね。ヴィランにならなくて済むかも?
というかスパイダーマンって信じられないほど悲惨なこと「しか」起こらないのよ。だからスパイダーマンってだけで「ああ、こいつもろくでもないことになって惨たらしく死ぬのかな」としか思えないところがある。だが本作は割と今までの(MCU版ですら避けられなかった)「スパイダーマンだからっていうだけで悲惨なことしか起こらない運命」を、チートじゃなく前向きな正攻法で乗り越えようとする明るい意志を感じた。そこが良かったです。「定型化した悲劇の運命」それを乗り越えるということは世の悲惨な運命を乗り越えることの戯画化とも言える。だからそれを観たら感動するのだろう。本作には是非どのスパイダーマン作品も叶わなかったそれを成し遂げてほしい。
まだわからないけどね。まだまだトゥームストーンや優しい先輩研究者コナーズ教授のヴィラン化、ハリーのゴブリン化なども心配し続ける事になるだろうが、しかしこんなにキャラクターたちの先行きが心配になったアニメも久々なので、そういう感じで人の心に迫る作品だったんだろうなと思った。
シーズン2はとりあえずピーターと仲間たちによる株式会社WEB、ニコの秘密、シンビオートを手に入れたノーマン、ノーマンを監視するデアデビル、ノーマンへの復讐に燃えるドクオク、そしてピーターの父……その辺を軸に進むのだろう。
楽しんだけど、割と展開がじっくりすぎた感もあるシーズン1、というかロニーが心配すぎて物凄く時の流れがゆっくりに感じた。色々と本格始動したシーズン2はもっと面白い気がする。
だが、街のモブや車は増やしておくれ。

 

次のDisney+のMCU作品は、来月の3/4から『デアデビル:ボーン・アゲイン』(2025)、MCUの中でも本命はこのデアデビル。これを迎えるためにつまんないフェイズ4以降の全作品観てきたといっても過言ではない。MARVELやファイギにとっても大事なデアデビルを駄作にするわけにはいかん、と何度も一から作り直しては延期になっており、更に「今までの映画をぶつ切りしただけのDisney+のMCUドラマ不評だからさ。普通にドラマ作る感じで作ろうぜ」という感じで作った一発目のデアデビル。きっと面白くなってると信じて。



そんな感じでした

〈ピーター・パーカー/スパイダーマンが出てくる作品〉
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)/この世に白と黒はなく灰色だけが在る事を描いたヒーローの内戦👱 - gock221B
『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)/すごく良かったがピーターが私生活で約束を破り続けるのでヒヤヒヤする 🕷 - gock221B
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)/予想を裏切り期待に応えるMCUの到達点🎨 - gock221B
『アメコミ・ヒーロー大全』(2017) 全2話/小学生みたいな邦題から繰り出された神番組!アメリカ近代史とヒーロー80年📚 - gock221B
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)/冒頭からラストまで面白くないところがなく全編面白い🕷 - gock221B
『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)/良作だと思うがライミ版スパイダーマン1やアメスパ1の繰り返しにマルチバースをトッピングでくっつけただけ感🕷 - gock221B
『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉全9話 (2021)/本編での活躍少なかったキャラの活躍が嬉しい。”行動せず観てるだけなんて気持ち悪い”というファンへのメッセージ👨‍🦲 - gock221B
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション』(2022)/20年越しのお祭りで最高に面白いが中盤以降があまりに哀しい+後日に追加版追記🕷️ - gock221B
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023)/元々スパイダーマンの運命が好きじゃなかったからマイルスが抵抗するのは嬉しい。でも情報力多くて疲れた……🕷 - gock221B

 


www.disneyplus.com

Your Friendly Neighborhood Spider-Man (TV Series 2025– ) - IMDb
Your Friendly Neighborhood Spider-Man | Rotten Tomatoes
スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド - アニメ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksアニメ

www.youtube.com

#sidebar { font-size: 14px; }