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『ロングレッグス』(2024)/90年代サイコホラーっぽくて中盤までは傑作!と思ってたが後半に色々明らかになって解決すると一気に興味が消えた。どうせなら結末も『CURE キュア』(1997)をパクればよかったのに👩‍💼


原題:Longlegs 監督&脚本:オズ・パーキンス 制作&出演:ニコラス・ケイジ 音楽:Zilgi 撮影:Andrés Arochi 編集:Greg Ng Graham Fortin 製作会社:サターンフィルムスほか 配給:Neon 製作国:アメリカ 上映時間:101分 公開日:2024.7/12(日本は2025.3/14)

 

 

ネオンの国内最高興行収入映画となり、その年の独立系映画としては最高興行収入を記録した。なんか去年もまたアメリカで色んなホラーが話題になっててその一本(一番観たかったタイ・ウェスト監督の『MAXXXINE マキシーン』(2024)は6月にやっと公開決まったが遅すぎる)。
監督は、アルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』(1960)の主人公ノーマン・ベイツ役アンソニー・パーキンスの息子さんだそうです……が、Wikipediaに書いてるような薄い情報を『サイコ』(1960)観てない僕が語るのはやめときましょう。
主人公リーを演じるのはやはり新しい感覚のホラー映画『イット・フォローズ』(2014)で主人公をやってたマイカ・モンロー。……というか『イット・フォローズ』もう11年前なのか。僕は中年なので時間経過があまり感じられず『イット・フォローズ』から11年も経った実感が全くない(独身の中年は人生イベントが少ないので30代の感覚のまま気付いたら10~20年がスルッと経過してしまう)。まぁそれは別にいいです。

監督は全然知らない。女性主人公のホラー映画2本とドラマ『トワイライト・ゾーン』〈シーズン2〉(2020)で1話だけ監督&脚本したみたい。だが本作で人気監督の仲間入り。

公開直後ということもありネタバレ殆どなし

 

 

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1994年FBI特別捜査官リー・ハーカー(演:マイカ・モンロー)は、新人捜査官だが霊感に優れていたため、オレゴン州で過去30年間に10回起きている未解決一家連続殺人事件の捜査に抜擢される。
10の事件に共通するのは何の変哲もない家庭で、突然父親が家族を皆殺しにして自殺。全ての犯行現場には〈ロングレッグス〉という署名付きの〈暗号で書かれた手紙〉が残されていた。どの家庭も父親が凶行に及んだということの他には「誕生日が14日の娘」が居たという共通点がある。
FBIは「ロングレッグスが暗号や何かの手段を用いて各家庭の父親を狂わせている」と睨んでいる。
リーは少しづつ手がかりを解いて事件の真相に近づいていくがーー

そんな話。

冒頭。1974年、顔がよく見えない真っ白い不気味な男ロングレッグス(演:ニコラス・ケイジ)が幼女に近づく過去描写がアバン。

20年後、主人公FBI特別捜査官リー・ハーカー(演:マイカ・モンロー)は冒頭、本編とは関係ない別の初任務で”霊感”によって犯人の居場所を特定。上層部に見込まれる。
何の手掛かりもなく「あの家が怪しいと思う」と言うので先輩捜査官が一応その家をチェックすると銃を持って待ち構えていた犯人にいきなり射殺されてリーは犯人を捕まえる。衝撃的な幕開け。この冒頭、最高なので一気に期待が跳ね上がった。
家に犯人が潜んでいるだけでなく、戸口で銃口を構えて誰が来ようがブッ殺す勢いで待っているという回避不能の状態が最高だ。閑静な住宅街にも関わらず「訪ねる=即死」という死への距離の純度が高すぎる。

先輩捜査官はぶっ殺されたものの優れた第六感で難事件を解決したリーは上層部に見込まれ、本編で展開される未解決事件の担当に抜擢される。
警察の偉い人という「混じりっけのない現実そのもの」という集団が新人リーの霊感を頼るという時点で「この映画の世界はオカルト寄りの少し普通じゃない世界なんだな」とわかる。だからこれからはこちらもそういった心構えで観るべき。

映像は、異常に冷たさを感じさせる静謐さでやはり90年代の世界に充満していた、あの時に過ごした者しか知らない特有の殺伐さを感じさせて良い。撮影の専門的なことはよくわからないが美術とか撮影場所や画角や色味など、どれもめちゃくちゃ惚れ惚れするほどカッコいい。
冷たく静かで怖い雰囲気の中、猟奇的な事件を操作する女性新人捜査官は『羊たちの沈黙』(1991)や『セブン』(1995)を思わせるし、「超能力を捜査に持ち込むFBI」そして「90年代のアメリカの田舎で捜査」という事で『ツイン・ピークス』(1990-1991)っぽさもあるし「90年代で、催眠による殺人教唆」「Jホラーっぽい雰囲気」や「何の温度もなく虫が虫を殺す様を観察してるかのような殺人シーン」は黒沢清『CURE キュア』(1997)っぽい。というか犯人とか手口や色んな描写など全体的に『CURE キュア』(1997)っぽい。
羊たちの沈黙』などの90年代サイコサスペンス、『ツイン・ピークス』、黒沢清……といった僕の好きな90年代要素ばかりなので映画開始して早々すぐ気に入りました。20歳前後の時に90年代だったので映画の舞台が90年代だと少し嬉しい。
一番エンタメ作品に出てくるのは未だに80年代。あと70年代。90年代は少なめだったがアラフィフの映画監督や制作者が増えてきただろうし今後は90年代が舞台の映画も増えて欲しい(めちゃくちゃ多かった70年代が舞台の映画が減ってきたのは単純に70年代に若者だった人が老人になったためか?)。

「ロングレッグスによる未解決一家連続殺人事件」の担当になったリー捜査官を指揮する上司ウィリアム・カーター(演:ブレア・アンダーウッド)は、初日から頑張りすぎるリーを気遣ってか自宅に呼び、妻と娘を紹介して自身の温かい家庭を紹介する。
……という事は「この上司の家庭が後でロングレッグスに狙われますよ」という予告なので、可愛い幼女を観ながら緊張感が高まる。
自宅へ帰ったリー。彼女の家は林に囲まれているログハウスのような家。めちゃくちゃ素敵で住みたい。でもこんな立地、絶対ムカデとかいっぱい出るからやっぱいいや。
母親と電話で話すリーだが背後のドアが空いており奥の部屋の暗闇が画面中央に来るように撮られていて凄く気になる。たとえ何も出てこなくても主人公に何か良くないものが迫っていることを示すJホラーでよくある撮り方。
全然関係ないが女の子のグラビア写真などを保存しても、背後のドアが半開きだったり奥の暗い部屋が不自然にあったら気になって怖くなるので加工して背後の空間を潰したりよくする。
屋外の林に人影を見たリーは銃を持って観に行くが誰も居ない、自宅を振り返ると自分の家の中を誰かが歩いている!慌てて引き返すリー。
家の中には誰も居なかったが机の上には「リー・ハーカーへ。1月14日まで開けるな」と書かれた封筒が置かれていた。いきなり未解決事件犯人が殺そうと思えばいつでも殺せるリーに置き手紙を……めちゃくちゃ嫌な出来事だ。
そして、こんな奴の言う事を聞く必要はないので、すぐ開封するリー。
中には謎めいた絵と散文、そして「ロングレッグス」の署名があった。
今までの「ロングレッグス未解決一家連続殺人事件」で被害者家庭に残されていた手紙の暗号と一緒だ。
リーガ手紙をチェックする間も彼女の背後の、奥の部屋の暗闇が観客の焦点に来る位置にあり、潜んでいるかもしれないロングレッグスまたはロングレッグスの意志を感じさせてじわじわと怖い。
リーは暗号辞典を片手に散文を解くと「捜査するとお前の母親を殺す」といった感じの内容だとわかった。リーは霊感だけでなく暗号も得意だった。だが暗号とけるの早。こんなに早く解かれるならロングレッグスは最初から「捜査するとお前の母親を殺す」と書いたほうがよくないか?という気も少しした。解けないと脅しの意味もないしな。とはいえリーのことを知ってそうだしロングレッグスは暗号をリーに解かれることも含めて楽しんでいるのだろう。というか映画に対して野暮なことを言うのはやめておこう。
まだ前半だがこの前半が一番良かった。

 

 

中盤、リーと上司ウィリアムは「ロングレッグス未解決一家連続殺人事件」の捜査を本格始動。
唯一の生き残りであるキャリー・アン・キャメラ(演:キーナン・シプカ)が住んでた家屋を調べると納屋にキャリー少女を模した人形があり、その頭部には謎の金属球が入っていた。めちゃくちゃ不気味で良い。この人形とか金属球は『CURE キュア』(1997)で言うところのバッテン印や萩原聖人の問答なんだろうなと推測した。「幸せな家庭の優しいパパが突然狂って家族皆殺しにして自殺した」という事件は要するにオカルトを使った殺人催眠なのだろう。
リー達は次にキャリー本人に話を訊こうと精神病院に行く。
キャリー役のキーナン・シプカは学園のアイドルみたいなルックスだし、いつもNetflix青春作品やホラー映画に出てくる明るい美少女役ばかりやってたので、ベリーショートでPTSDになってブツブツ言ってる本作では彼女が演じてた事を今調べるまでわからなかった。
どうやらロングレッグスとリー母娘には何らかの関わりがある疑いが出てきて実家に帰省してみるリー。
別のロングレッグス事件の過去描写?などの映像や人形の描写も挟み込まれるが、どれも不気味でカッコいい。
この中盤も相変わらずカッコいい映像や不気味な描写がカッコいいし、ミステリーも興味が持続して面白かった。

後半は、主に帰省したリーの実家周辺で物語が終焉する。
リーの母ルス・ハーカー(演:アリシア・ウィット)は『デューン/砂の惑星』(1984)で主人公ポール・アトレイデスの妹アリア・アトレイデス役をしてた人らしい。よく覚えてないが黒い布かぶってた幼女か。ほとんど赤ちゃんに見えたけど実は9歳だったみたい。そして同じくデヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』(1990-1991)でドナの妹ガーステン・ヘイワード(リーランド・パーマーが子羊の唄で昏倒する時にお姫様のコスプレでピアノ弾いてた子)、ここでも幼女に見えたけど15歳だったみたい。あと同じ役で『ツイン・ピークス The Return』(2017)シェリーの娘の夫と不倫してたね。ここでも本当は中年のはずだが容姿端麗でジャージ着てたせいで30代とかに見えてた。美形で華奢だから時空が凄いバグってたんだね。アラフィフの本作ではやっと中年に見えたが。

主犯ロングレッグス、リーの母ルス、犯行の内容、顛末など、やはり全体的に『CURE キュア』(1997)を想起させるものだった。
『CURE キュア』(1997)も大好きなのでそれはいいんだが本作の場合、
「前半(最高!)→中盤(面白い)→後半(まぁいいんじゃない?)」
といった感じでどんどん楽しさが減っていった感がある。だから別につまらないわけでもないのだが開始直後の最高!という高さからどんどん下がっていって終わるせいで全体的な映画の印象も薄くなってしまった感はある。僕は特にそうなんだけど映画ってラストが最高なら途中でつまらない時間が何十分もあったとして「最高の映画」として記憶される。逆は無い。だから勿体ない感じはした。映像とかは全編カッコいいし物語も別に文句ないしね。それなのに、この右肩下がり感は何なんだろう。
まず最後に秘密をほぼ全部明かしてしまう。リーと事件の犯人たちにも全て決着がつく。これで謎がほぼなくなってしまうので映画館を出た後に「あれは何だったんだろう?」と考えを巡らせるという「映画を観た後のお土産」が無い。このお土産は要するに近年では「考察」と呼ばれるものとほぼ同じだが”考察”嫌いだからその言葉はなるべく使いたくない。とにかく、作品見た後に「お土産(=考察の余地)」があれば鑑賞後にじわじわと面白さの自己採点が後付けで上がっていくのだが本作の場合それがない。バック・トゥ・ザ・フューチャーとかインディ・ジョーンズみたいなスカッとする作品なら別にそんな余地いらないんだけど、こういったホラーとかサスペンスやミステリーはそういった「お土産(=考察の余地)」があった方が絶対に良い。
また本作は、生身の狂人がアイテムや脅迫を使って殺人教唆をしてるサイコスリラーなのが基本だがオカルトホラーっぽくも撮られている。……いや、ひょっとして謎の金属球にオカルトなパワーがあったのかな?「独特の振動によって催眠をかける」みたいなものだっけ?忘れた。なんかオカルトホラーみたいな描写が多すぎてロングレッグスが暗示で催眠かけてるのか悪魔パワーも併用してたのかイマイチ未だによくわかってない。なんとなく「殺人催眠」「悪魔パワー」どっちかにハッキリしてほしかったかもしれん。いや催眠でいけるならその方が良さそうだから最初は悪魔っぽく見せて後半で全部催眠でしたって方が良かったかも。
とにかくロングレッグスは生身の狂人だが他人を拐かして殺人をさせる”悪魔”なわけですよね。実態がどうなのではなく物語的にね。だからロングレッグスの肉体が滅びようが”悪”はこの世に残り伝播して悪を成す。……こう書くとかなり僕好みのストーリーなんだけど何なんでしょうね。この観終わった後のテンションの低さは。やはり謎を明かしすぎて解決しすぎたせいなのかな。
インタビューとか読むと「主人公が最悪のことをやらされてしまう!」という悲劇が監督の売りだったみたいだが、正直そこまで最悪とも思わなかったんですよね。バッドではあるが主人公が事件を解決してしまった感があるせいかな。
……やはり『CURE キュア』(1997)の完全なパクリになってしまうが主人公リーがロングレッグスになってしまい罪もない幸せ家族をたくさん殺す……そんな最悪のラストでもしない限り右肩下がり感は消えなかったかもしれん。
というか僕がずっと名作『CURE キュア』(1997)と比較して観てたから、どうあってもガッカリしてしまう運命だったのかもしれん。
でも、全体的には面白いし不気味でカッコいい映画だったとは思う。

 

そんな感じでした

 


 

Longlegs (2024) - IMDb
Longlegs | Rotten Tomatoes
Longlegs (2024) directed by Osgood Perkins • Reviews, film + cast • Letterboxd
ロングレッグス - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

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