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『28年後...』(2025)/美しい画の中で色々起きる、想像以上にへんてこな映画で得した気分。ケルソン先生になりたい


原題:28 Years Later 監督&脚本:ダニー・ボイル 脚本&制作:アレックス・ガーランド 脚本:アンドリュー・マクドナルド 製作総指揮:キリアン・マーフィー 撮影:アンソニー・ドッド・マントル 編集:ジョン・ハリス 音楽:ヤング・ファーザーズ 製作&配給会社:コロンビア ピクチャーズほか 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 製作国:イギリス 上映時間:115分 公開日:2025年6月20日(イギリスと日本同時公開) シリーズ:「28◯後…」シリーズ(仮)第3作目。「28年後...」トリロジー第1作目



「memento amori(愛を忘れるな)」ケルソン先生(本編より)

ダニー・ボイル監督&アレックス・ガーランド脚本のコンビによるイギリスのゾンビ映画シリーズ『28日後...』(2002)、『28週後...』(2007)に続く3作目。
そしてこのシリーズ3作目の本作は、三部作になっており……つまり「28年後...」があと2本作られる。本作の続編は来年1月にイギリスで公開される『28 Years Later: The Bone Temple(原題)』(2026)みたい。スパンが早いから三本同時に撮ってたのかも?
A、B、という映画の後に本作C-1が公開された、このCトリロジーはC-2、C-3で完結する……と言えばわかりやすいか?まぁ、わかるだろ。

世間一般では未だに監督のダニー・ボイルの方が大物だと思うが、僕としては近年監督としてもブレイクして、どの作品でもポスト・ヒューマンっぽい内容の映画を多く描いてる脚本のアレックス・ガーランドに最近はまってるので、だから僕としては「アレックス・ガーランド脚本映画」として楽しみにしていた感じ。
ちなみに過去2作は観たの随分前だしあまり記憶がない。こんな機会でもないと観ないなと思い本作の前に過去作を観返した。

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結果としては、当時「普通におもろい」程度に思ってた『28日後...』(2002)は傑作だったのでやっぱ若い時はアホだったとわかった。『28週後...』(2007)は前作を捻って面白い続編にしようとして失敗した印象。

ネタバレあり

 

 

☣️

 

 

これまでのあらすじ

☣️推定2002年動物実験から漏れた生物凶暴化させる〈レイジ・ウイルス〉がイギリス全土を未曾有のパンデミックに陥らせた。
28日後……パンデミックを生き抜いた青年ジムは救出された――

☣️推定2003年、感染から28週後……イギリス政府はパンデミックが起きた地域をロックダウンして〈感染者〉たちを餓死させて全滅させたが〈感染しても発症しない〉体質の一家によって外部で再び致命的なパンデミックが起きた――
過去作『28日後...』(2002)、『28週後...』(2007)

 

本作のStory
感染から28年後――。
生物を凶暴化させるレイジ・ウイルスパンデミックを起こしたロンドンは、世界から見捨てられ封鎖された。
感染を逃れた僅かな人たちは本土から離れた孤島で暮らしていた。
対岸の本土にいる〈感染者たち〉から身を守るため、島の人々は見張り台を建て、武器を備え、コミュニティの中のルールに従って生活していた――

冒頭は、28年前にジミーという牧師の息子がレイジ・ウイルス・パンデミックで家族が殺される中、脱出した場面から始まる。

本編、孤島に暮らす家族、ジェイミー(演:アーロン・テイラー=ジョンソン)と息子スパイク(演:アルフィー・ウィリアムズ)、ジェイミーの妻アイラ(演:ジョディ・カマー)は病気らしく寝込んでおり意識が曖昧となったり痛みを訴えたりしている。
孤島には食べ物はあるが電化製品はない、また何と医者もいないため病気になったら自然治癒とかで頑張るしかない世界。
そもそも本当にこんな風に「ウイルスがあるかも」って事だけでイギリスという大国が放置されっぱなしになるかな?という気持ちはある、アメリカとか「要らんならもらうぞ」とばかりに絶対、感染者やウイルスを掃討しそうではあるが、このシリーズはあくまでもイギリス内部で完結してる世界なのでそーいう事を考えるのは積極的にやめた方がいいだろう。
ジェイミーはスパイクを連れて島の門を出て本土へ行く、どうやら12歳になったスパイクを「村を護る戦士」にするための通過儀礼のようだ。本土に行って変わり果てた姿の感染者たちを倒して帰って来るという度胸試しのようだ。
孤島と本土は一本道で繋がっており、潮の満潮干潮によって短時間だけ道が浮かび上がり、海に沈むと海の流れが激しくて泳いでわたることは不可能、つまり道が浮かび上がった短時間に渡る以外に行き来する方法はないようだ。孤島側の「道」の入口には櫓が立てられ、感染者が来ないように弓矢で武装した戦士が常駐している。
『28週後...』(2007)では、半年ロックダウンしただけで感染者は餓死で全滅したのに本作では28年もロックダウンしてたのに生き続けてる感染者って何なの?」という気持ちはあるが「主人公父子が最初に出会う感染者」がミミズを食ってたから「こーいう感じで感染者は生きてた、了解してくれ」というアトモスフィアを感じたので僕は了解した。『28週後...』(2007)で感染者が餓死したのは都会だったってことかな。
それにしても父子が最初に出会う感染者家族?は太ってたが1日中食べてるのかな。
肥満の感染者家族は動きがのろいのでチュートリアルにぴったりだった。
しかし、その後全速力の元気いっぱい感染者に追いかけられる。
本作の感染者は全員、全裸。そしてムキムキのアルファ以外は痩せすぎてたり肥満だったりと個性的な体型が多い。そして『28日後...』(2002)、『28週後...』(2007)では元気いっぱいに走ってた感染者たちだが本作では幼児のような変な走り方の奴が多い。……ということで本作の感染者は『進撃の巨人』の奇行種を思わせる。多分そうだと思う、外界から遮断されて知識が減ってる孤島も『進撃の巨人』の壁内っぽいし。
ジェイミーの弓矢の腕前と空き家の屋根裏部屋に隠れることで何とかやり過ごす。
屋根裏にいけたから良かったが、弓矢だけでは絶対生き残れない気がするがジェイミーは割と余裕があったのは屋根裏のことを知っていたのだろう。「この家知ってる」とか言ってた気がするし。
感染者たちはジェイミーが〈アルファ〉と呼ばれてる感染者サムソン(演:チー・ルイス・パリー)に指示されているような雰囲気。
アルファは、どういう存在かよくわからないが、ある程度知恵があり(幼児や犬程度?)またフィジカルも普通の感染者よりあるようだ。こいつは進化した感染者なのか?
ここでよくわからないのは吊るされて身体に文字を刻まれていた感染者がいて、ジェイミーは「知恵をつけた感染者の仕業」的なことを言ってた気がしたが、それってアルファのこと?こんなことできるほどの知恵があるようには思えなかったが……。
夜、人間はいないはずなのに何かが燃えているのをスパイクが尋ねるがジェイミーはごまかす。
明け方、父子は道が出てきたので帰るが後ろからアルファが全力疾走で追いかけてくる。ここは海の上で一直線に追いかけっこしてるみたいで素晴らしい画だった。

無事に父子が帰ったということで打ち上げがあるが、スパイクは父が村の若い女と不倫SEXしてるところを見てしまう。
更に、仲の良いおじさんに「本土には昔、医師だったケルソン先生(演:レイフ・ファインズ)という狂人がいて彼が火を燃やしている」と聞く。
回想の中では、多くの死体を燃やしながらこちらに手を振るケルソン先生!
スパイクは、愛する母の病を治したい気持ち、ケルソン先生のことを黙ってたし不倫してた父への不信……などから、母を連れてケルソン先生のところに行くことにする。
ちょっと足を踏み入れただけでピンチだったのに具合の悪い女性を連れて行くとか無理だろ、と思うがこのまま放っといても母は死ぬ……ということで賭けに出た。
ちなみに本作の主人公はアーロン・テイラー=ジョンソン演じるジェイミーだと思ってたけど、以降出てこないのでどうやら主人公はスパイクだったことがわかった。

 

 

中盤は母子がケルビン先生の所へ向かうくだり。
母アイラが「え、ここ本土じゃん」と正気に戻るくだりの大自然の絵が素晴らしい。
建物で寝てる時にスパイクが肥満感染者に襲われそうになるが朝二人は目覚める。どうやら母が一瞬シャキッと普段の感じに戻り倒したらしい。
その後、アイラが若い時を思い出すほどキレイな黄色いお花畑で感染者たちと遭遇するキービジュアルになってるシーンも異常にキレイなのでこの映画で要所要所に入り込む異常にキレイな風景とソリッドでゴアな感染者描写その両者のコントラストにダニー・ボイルを感じた。
アイラが「この花畑に昔来た時、未来に来たのかと思った」というが、今は正に(その時のアイラからすれば)未来のアイラが今来てるし、何だか良いセリフだなと思った。
一方、武装した部隊が上陸して奇行種っぽい感染者たちと戦闘している。
アーマー付けて銃持ってるから余裕だろと思ってたがアルファは人間の首を掴んで背骨ごと引っ張り出す怪力を持ってたので部隊はほぼ壊滅。
後にスパイクとアイラを助けた部隊の生き残りエリック(演:エドヴィン・ライディング)によると隣国の艦が偵察してたら何かにぶつかり流されて不時着してしまったらしい。メタ的に言うと、本作ではスパイクと両親とケルソン先生しか本土に出てこないので、アルファや感染者のやられ役として出てきたのだと思われる。
途中の廃列車の中で身ごもった感染者がいて、アイラは母性が目覚めたのかお産を手伝う。感染者の妊婦はアイラの手を握り出産。生まれた子は感染していない普通の赤ん坊だった。なんだかよくわからないうちに荘厳な気分になった。
しかし出産を終えると感染者母は正気を取り戻し(というか彼らの正気は狂気なのだが)アイラに襲いかかったのでエリックが射殺。しかし背後からアルファに殺されてしまう。
エリックはスマホのくだりで親近感持ってたので惜しい若者をなくした……と思った。
どうやら父親はアルファのようだ。突然変異っぽいアルファの子だから感染してなかったかどうかはよくわからない。
ピンチの母子だったがケルソン先生がアルファにモルヒネを打ち動きを止めて母子を我が家へ連れて行ってくれる。
「この際だから危険なアルファを殺せばいいのでは?」と思ったがケルソン先生は変わり者なので、危険なご近所さんとして殺さなかったのだと思った。
ケルソン先生は感染者避けだといってヨウ素を体中に塗りたくった原始人みたいな格好をしているし見た目だけでは人喰いみたいなヤバいようにしか見えないが実際は穏やかな紳士だ(それはそれで更に一段上のヤバい人にも見えるが……)。
ケルソン先生の庭にはおびただしい頭蓋骨を高く積み上げた塔がある。
健常者、感染者とわず焼いて積み上げて供養しているらしい。
妙に終始ニコニコとしたレイフ・ファインズ演じるケルソン先生が「メメント・モリ……」と呟くしケルソン先生が出てると不思議な面白みがある。
というか凄く異常な所で異常なことを25年間もし続けてるのに、いざ人と会ったら紳士的な態度だし、真のサイコ・ウォーリアー……真のポストヒューマンを感じた。
自分もこんな風な老人になりたい!
そしてお母さんは余命僅かな、がんだと診断される。
さっき赤ん坊を取り上げたかと思えば今度は愛する人の死……アルファが人を殺す場面も背骨がモロだし、どの生死の場面も隠さず映る、更に場所はケルソン先生の異常な家で行われるし、何だか何を思っていいのかよくわからないタイプの荘厳な気分にさせられた。
どこまでも優しいケルソン先生……しかしお母さんを楽にして頭蓋骨にして「お母さんだよ」って感じでニコニコしながらスパイクに手渡す速度が早すぎる!行い自体は凄く良い人なんだけど、このスピードこそがケルソン先生のポストヒューマン性だよね。
そしてさっきも言ったけど人の首を引っこ抜くほど危険なアルファを、わざと殺さず「ご近所さん」として親しむケルソン先生……これこそ本当の強さ……いや異常性か。
本当にケルソン先生のポスターを飾りたいほど良いキャラでした。
スパイクは僅かな時間で様々な生死を経験し成長した。
そして冒頭の28年前に教会から生き延びた少年が成長した姿ジミー・クリスタル卿(演:ジャック・オコンネル)としてカルト教団ジミーズを率いてスパイクを助ける。そして2作目(通すと4作目)『28 Years Later: The Bone Temple(原題)』(2026)に続く……。
ラストで『28日後...』(2002)主人公ジム(演:キリアン・マーフィー)出るかと思ったが出なかったね。どうやら次作には出るらしいので楽しみだ。

本作は。今の〈28年後のイギリスがどうなったか〉の紹介や、ドギツイ死や荘厳な誕生、異常に美しい風景、そして静かにイカれているケルソン先生などの取り合わせで凄く不思議な映画だった。
観終わってしばらく一体面白かったのか面白くなかったのか自分でもよくわからなかった。だから焦点がしぼれずあらすじ列挙型の感想になってしまった(あらすじ列挙型になるのは要点が掴めてない時に書き始めるとこうなる)。
しかし今は面白かったと思う。
最初は「父と子が本土で感染者と闘いながら冒険するのかな?」などとボンヤリ思ってたら想像してなかったおかしなものやおかしな展開が色々観られた。
今はむしろ自分が想像してた普通の面白い映画じゃなくて良かったと思える。
もうそんな普通の面白い映画とかの方が面白くないからね。
そんな気持ちにさせてくれてありがたかった。とにかく「想像してなかった」というのは宝物のようなものなのでさすが歳上の映画だと思った。
10分に一度は良い画も出てきたし。なんか旅行したような気分になった。
またケルソン先生に会えるのが楽しみだ。

 

 

そんな感じでした

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〈他のダニー・ボイル監督作〉
『スティーブ・ジョブズ』(2015)/本当は凄く面白いっぽいが終盤難しくてそれを感じる前に上滑りしていった俺の気持ち - gock221B

 

〈他のアレックス・ガーランド監督作〉
『エクス・マキナ』(2015)/面白いSF映画だけどソノヤ・ミズノ演じるキョウコが完全に主役を食ってた👩 - gock221B
『アナイアレイション -全滅領域-』(2018)/『アンダー・ザ・スキン種の捕食』っぽい。熊のシーンが秀逸🐻 - gock221B
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024)/SNSが嫌いでやっていないというガーランド監督の溜まったポストをまとめて放出したかのような映画。良かったです🗽 - gock221B
『MEN 同じ顔の男たち』(2022)/面白かったけどホラーを期待してたがSF純文学みたいな感じだったので少し肩透かし。二回目みた方が面白いだろう👩🏻 - gock221B
『DEVS/デヴス』(2020) 全8話/面白いがラスボスの結末それでいいのか感。決定論と多世界解釈とシュミレーション仮説いっぺんに扱い盛りだくさん🧒🏻 - gock221B

 


 

28 Years Later (2025) - IMDb
28 Years Later | Rotten Tomatoes
28 Years Later (2025) directed by Danny Boyle • Reviews, film + cast • Letterboxd
28年後... - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

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