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『F1®/エフワン』(2025)/トム・クルーズが命懸けで成功させてた”中年男性なろう系映画”ブラピも2時間以上頑張って脱臭に成功…が、ラスト我慢できずカッコつけすぎ!


原題:F1 Apple TV+でのタイトル: F1:ザ・ムービー 監督:ジョセフ・コシンスキー 主演&製作:ブラッド・ピット 脚本:アーレン・クルーガー 製作:ジェリー・ブラッカイマー 撮影:クラウディオ・ミランダ 音楽:ハンス・ジマー 製作会社:Appleスタジオ、ジェリー・ブラッカイマー・フィルムズ、プランBエンターテインメント 配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ、Apple TV+ 製作国:アメリカ 上映時間:155分 公開日:2025年6月27日(日本は本国アメリカと同時公開)

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“Hope is not a strategy.”(本編より)

しかし「F1」くらい読めるだろうに……と思わせる間抜けな邦題だ。『F1®』(2025)と短いほうがむしろ目立つと思うが……まぁどうでもいいです。
監督と「型破りな天才イケメン中年がチームを活性化させる」という、あらすじを見てすぐわかるように『トップガン マーヴェリック』(2022)のトム氏をブラピ、戦闘機をF1カーに変えた映画。監督はそれを期待されて作り、我々もそういった気持ちいい内容を期待して観る……良く言えば完成された世界、悪くいえば別に観なくてもいい……と言えなくもないがちょっと興味あった。F1が日本でも流行ってた若い頃は全く興味なかったが最近いいなぁと思う、全く知識ゼロだけど。単純にレース会場に行ってみたくない?モータースポーツという競技やレーサーやクルマ単体への興味はそれほどでもないけど、単純にレース全体の雰囲気というか……よく知らんけど。フワッとしたイメージだけ話させてもらうが『ヒットマン』(2016-)のレース会場が舞台になってるマイアミステージも会場とか医療エリアとかピットとか高架下とかどこも楽しいし『ローガン・ラッキー』(2017)など「レース会場が舞台の映画」とか観ると「良いなぁ!」と思わせるものがある。高架下みたいな所歩いてるとレース音が鳴っててチリが少し落ちてくる……そんでレース系の映画とか観ててピット・インしたらメカニックの人らがガチャコンて直したりして、なんかもうレース会場全体がカッコいい生き物みたいに思えて……なんかいいですよね、そのうち行きたいわ。プロ野球とかサッカーも観るのは興味ゼロで全く観ないが何度か観に行ったことある、その時は良いなぁと思った、場所が良くて試合はどうでもよかった、どうでもいいけどその場に一体化したかんおで周囲の応援してる人の真似して「めっちゃ応援してる人」の擬態を最後まで続けて満足した。ああいう場の雰囲気自体が好きなのかもね。
ジメジメしてなくて乾いてて清潔感もあるし、ちょっとした異世界も感じられそう。ビール飲んで応援してTシャツ買ってその場で即着て帰りたいわ~。
そんなここ数年だがレース映画はあまり観てないが『グランツーリスモ』(2023)観た時に面白かったのもあったけど「あれ?なんか全体的に良くない?」と思い、レース会場に漠然とした憧れを持っている自分に気づいた。
なんかサイバーパンクとかスチームパンクとかフェリッシュな良さを感じる映画の舞台って誰にもあるでしょ、他にも19世紀イギリスとか時代劇とかパーティしてるイビサとか……スター・ウォーズに出てくる汚い生活感とかホグワーツとかね、あんたもあるだろ何か(全くない人はご愁傷さま)。
フンワリした話だけしてるが映画を観る上で好きな場所が多いと楽しみが増える。

ネタバレあり

 

 

🏎️🏁

 

 


かつてF1トップレーサーだった主人公ソニー・ヘイズ(演:ブラッド・ピット)。
ソニーは身を持ち崩したあと、現在はデイトナだったり色んなレースを各地でして賞金を貰って各地を転々としながら自由気ままなレース生活している(観ている中年男性がうっとりしそうな設定だ)。
ある日、ソニーはかつてのチームメイトで現在は弱小F1チームAPX GP」のオーナーをしているルーベン・セルバンテス(演:ハビエル・バルデム)に勧誘される。
APXは優秀な若手ジョシュア・ピアス(演:ダムソン・イドリス)がいるが現在は上手くいっていない。ルーベンはくすぶっているかつての天才ソニーに賭ける。
今シーズンで1勝も出来なければルーベンは解任されチームは解散されてしまう。
ソニーをライバル視して非協力的なジョシュアと衝突しつつ、ソニーはAPXを勝利へと導くことができるのか?――

という清々しいほど、未だにイケメン過ぎる初老ブラピが弱小チームを盛り立てて勝利に導く感じのブラピ中心に全てが回っていく系の作品。
こういう作品、近年になればなるほど恥ずかしさが増大している。だから作品が持つ「中年男性のなろう系」臭を如何に消して観客にそれを忘れさせて楽しませるかが鍵となる。
『トップガン マーヴェリック』(2022)の場合は「大スターだし映画界を常に盛り上げようとしているトム・クルーズ」「自分で本物を操りノーCGで(ノーCGは嘘だが)命懸けスタントを全部こなして常にニコニコの狂人トム・クルーズ」「劇中ではオッサンが活躍するが若手をちゃんと育てても居る」「女性キャラには積極的にキツく言われて苦笑する」「映画全体が実はファンタジー映画として作られてる」……など「オッサンなろう系映画」を成立させるために幾つもクリアした段階があった。
本作の場合、トム・クルーズが得意とする高所よりもF1の方が危険なので、本作にトム・クルーズを起用する案は真っ先に排除され、自分ができるところはやるけどスタントも容認してくれるブラピになったという。
そういうことで前述の「中年男性なろう系の臭みを消す要素」の一つだった「命懸けで本当に全部やる」系スタントはない。では抜けた「狂人トム・クルーズ」の穴を埋めるのは何かというと「ブラピのイケメンぶり」だろう。
ブラピは60過ぎ、というオッサン超えて初老になってるものの「ブラピのカッコいいカタチ」は健在で、劇中、2、3回上裸になってセクシーな胸を見せまくる。これやって無理がないのは確かにブラピしかおらんだろう。
僕的には、意地悪ジャーナリストに意地悪質問されても腕組みしてニヤニヤしながら「ああ。」「ああ!」「あぁ?」「ああwww」とYESでしか返答しない記者会見シーン、ここが全編で一番カッコよかった!
その他の、トム・クルーズが脱臭していた「中年男性なろう系の臭みを消す要素」はどうか?
「映画界を常に盛り上げようとしている大スター」これもブラピなら文句ないだろう。彼はスターなだけでなく映画製作会社プランBエンターテインメントで映画製作もしてるしトム・クルーズと互角だ。
では残りはストーリー要素だけだ。
かっこよすぎる放浪生活している独身貴族ブラピがハビエル・バルデムに勧誘されてチームに入る。……いくら「元名レーサーで現在もレーサーでオーナーが親友」と幾つも小さな奇跡が乗っかってるとしても世界最高峰のF1レースに復帰するには幾らなんでもジョシュアが言うように年寄りすぎる……、ジョシュアがステージママに「ジジイが来て気に入らない、80歳くらいの」と言っていて、それは彼のチャイルディッシュな嫉妬なわけだが、しかし”F1”という舞台なのを考えると確かにソニーは”80歳みたいなもの”だ、と今書きながら思った。
しかし映画観てる最中は「そんなジジイじゃないよ、イケメンのブラピ舐めんなよ若者っ」といった感じでブラピに加担しながら観てたが、今思い出してみると「いや、いま思ってみるとジョシュアが正しいな」と正気に戻った。つまり”あまりにカッコいいブラピ”という映画のマジックによって酔って、無理のある設定を押し切られていたわけだ。
「全部自分でやるから誰も無茶なストーリーにも文句つけられないトム・クルーズ」この穴を「ブラピのイケメンさ」で埋めているのだが、ブラピのイケメン度は凄いな、と思った。
そして、それだけ色んな脱臭作業をしつつもソニーがF1チームに入ってきた時、「うわぁ結構無茶な話はじまったなぁ」と少し思った。
制作陣もそれを自覚していて、ここから脱臭作業が始まる。
具体的に言うと、ソニーはここから「レースで失敗しまくる」「レースで有利になるのも反則まがいのセコい手の数々」「ヒロインのメカニック女性をナンパしようとするが手厳しく拒絶される」「歳上らしく生意気ジョシュアを導くかと思ったら割と同レベルで喧嘩しまくる」「ジョシュア事故する、ソニーも事故る」。
そういう感じで、F1チームに入ったがとんとん拍子で上手くいくわけではなくソニーは思いのほか失敗続きで上手くいかない。
ソニーたちからすれば上手くいかないなぁってもんだが観てる側からすると「失敗続きで”中年男性なろう系映画”脱臭が上手くいってるぞ」という感じでメタ的には上手くいっている。
つまり最後に年取りすぎてるブラピを勝たせても文句が出ないように2時間近く失敗させまくる。「ブラピを茨の鞭で叩き続けるので栄光を掴んでもいいよね」という流れ。
このやり方は、なかなか上手いなと思った。
だが初対面ではあれだけソニーを拒絶してた女性メカニックのケイト・マッケンナ(演:ケリー・コンドン)だったが、ソニーがジョシュアを立ててわざとポーカーに負けた大人っぽさを見て一発でメロメロになりSEXする。SEXした後はブラピと一発SEXしたことを思い出して口に手を当てて飛び跳ねたりと……もうメロメロやん。初登場のキリッとした感じは虚勢だったかのように以降メロメロになりすぎてしまう(なんなら作中、唯一の悪人もブラピにメロメロで彼を欲しがっている)。
そして最終戦では、彼を買収しようとするオーナーに全ての悪を背負わせてソニーの善性を上げ、彼女だけでなく他のチーム皆も後半ではすっかりソニーにメロメロになる。 
ずっといがみ合っていたジョシュアも遂にソニーと手を組み栄光へと走る。
今まで2時間近く意図的に抑えてきた「ソニーの活躍」を、最終戦で一気に爆発させている。
そして「前半うまくいかなかったからタイヤが新品で最後色々な奇跡が重なって、最初いかなかった事が逆に追い風となった」という要素は、ソニーにもチームGPXにも本作全体にも重なってて素直に上手いな!と思った。脚本家の人が脳から血が出るほど考えたのだろう。
正直、後半までは「面白いけど『グランツーリスモ』(2023)の方が面白いな~」と思いながら観てたのだが、タイヤのくだりは「さすが大作映画ならではのトンチ」と思って本作が『グランツーリスモ』(2023)に並んだ感がある。
とはいえ、F1チャンピオンになるという夢も叶ったから自分にメロメロになったチーム全員を置いて再び放浪の旅に出る……というラストはちょっとカッコつけすぎ感を感じた。もう普通にチームに残ってジョシュアのサポート役で残っとけばいいじゃん!そんで続編でまたレースすればいいじゃん。西部劇よろしくまた旅に出ちゃってさ……彼女も置いて。フラフラせんと結婚せい!
ということで実に2時間もかけて脱臭したのとタイヤなどの最終戦の展開はいいと思ったがラスト10分でのブラピ上げがエグすぎた印象がある。
ソニーというキャラクターは人間を超えた「レースの妖精」みたいな雰囲気もある。だから「アクションの妖精」となったトム・クルーズ同様にかなり無茶も許される。ソニーは本当は過去の事故で死んでおり、あの時代に死んだ無念のレーサーの魂の集合体が蘇って弱小チームに風を送った……そんなファンタジー映画でもある。
だから別に最後に大活躍しても文句はない……のだが、それにしてもカッコつけすぎだと思った。そういう感じ。
ブラピには普通に好感を持ってるが心酔まではしてない自分の感想はそんな感じだったが心酔してる人が観てればもっと素直に感動するだろう。凄い映像だし。 


そういえば本作でソニーが氷風呂入ってたが、アメリカ映画でIT実業家とかアスリートがよく氷風呂入ってるよね?
よく考えたらこれ何だ?何の効果があるんだ?と思いChatGPTに訊いた。
どうやら血管をぎゅっと締めて短時間で集中する効果があるため、午前にアイデア出したい実業家などが好んでるらしい。というかサウナの冷たい版か。欧米人は「年寄りくさいしアジア人みたい」という理由でサウナ嫌いだからね。サウナの代わりが氷風呂か……僕はサウナも苦手だし氷風呂も無理だな(絶対に血管に悪すぎるから)。だけど見てるだけならカッコいいな。特にブラピが裸で入ってるとたまらないな。しかも外界の音をシャットアウトするためだけに無音の黄色いデカいヘッドホン付けて……ストイックな雰囲気が出てたまらない。どういうわけか、そこに女子メカニック(ヒロインではなくピット・クルーの人)が来て「あらごめんなさい、居るの知らなかったの」とか言って顔を赤らめていた。
そういったブラピ・ファンタジーに乗れれば良い映画という事になる。
僕は……まぁギリ乗れた?くらいの感じかな。ファンタジーに乗らせたいのなら今より更に妖精っぽさが欲しい、それが無理なら中年男性が色々頑張ってる度を高めるしかない。まぁそんな感じですね。
だが普通に若者じゃダメか?もうこのおじさんが若者が多い世界で頑張るジャンルは結構無理がある気がする。それが最も許されるであろうブラピでもギリだ。
よく考えたらブラピで一番好きな映画『マネーボール』(2011)だし彼の妖精感はあまり求めてないのかも。本作もハビエル・バルデムの方がカッコいいと思ってたし、そういう意味では本作がど真ん中に刺さる客ではなかったのだろう自分は。
しかし主人公は女性の名前をハビエル・バルデムに何度か漏らしてたが何があったのかよくわからなかったね。元妻?二人が取り合ってた女性?
あ、あと前から「幾つか映画配信サービスに入った人がついでに入るしかないAppleTVだけに、その制作映画は今とは思えんほど異常に白い(白人ばっかり、他社より白人が活躍する)」と思ってたけど本作もまた見事にAppleTV制作映画ならではの白さでした。別に批判でこう言ってるわけじゃない、それぞれの会社の狙いというものがあるのでAppleTV制作映画を見たまま事実を言ってるだけ(詳しくは数少ないAppleTVタグで)。
そしてAppleTV制作映画ってどれも白いだけでなく「手堅くまとまって面白いがあと一歩足りない……」というものが多かったが本作は、最終戦でのタイヤのくだりやサドンデスみたいな展開、あまりに突き抜けるほどにブラピがカッコつけすぎ!……等といった「突き抜け感」が「今までのAppleTV制作映画より一段上だったなぁ」と感じた。「劇場公開」というところでワーナーが「配信ならそれでいいが、これじゃ足りん!」ともっともっとと要求したのかな?配信オンリー映画は物足りないものが多く劇場公開映画は多少むちゃしても無理やり満足させるという違いがある、その件はまだ調査中なので詳細は不明だ。
とはいえ本編の9割がレース会場だったので「レース会場行きたい欲」も充分味わえて楽しかった。

追記(Mar.16 2026):第98回アカデミー賞で音響賞を獲得。

 

 

そんな感じでした

〈他のジョセフ・コシンスキー監督作〉
『トップガン マーヴェリック』(2022)/限界までわかりやすくして敵や死の香りを完全に消して気持ちいいシーンを増やした爽やかな映画🛩️ - gock221B

 


 

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