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『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』(2025)/曲もキャラも良いしKポップあるあるもKポップの闇も楽しく包んで表現してて最高


原題:KPop Demon Hunters 監督&脚本:マギー・カン、クリス・アップルハンズ 脚本:ダニヤ・ヒメネス、ハンナ・マクメチャン 音楽:マーセロ・ザーヴォス 制作:ミシェル・ウォン 編集:ネイサン・シャウフ 音楽:マルセロ・ザルヴォス 制作会社:ソニー・ピクチャーズ・アニメーション 配信会社:Netflix 制作国:アメリカ 上映時間:99分 配信日:2025年6月20日

 

 

「No more hiding, I’ll be shining, like I’m born to be」(本編の曲「GOLDEN」)
『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)
以降、『ミッチェル家とマシンの反乱』(2021)『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023)、そして本作と、いつの間にかDisneyやPIXARとか超えて世界一のアニメ制作になりつつあるソニー・ピクチャーズ・アニメーション新作。
あまりにアホそうなタイトルに惹かれてリスト入れてる間にNetflix史上最も観られたアニメ作品になり、配信から2ヶ月で1億3000万以上視聴、世界中で大ヒット!サントラや主題歌もBillboardやSpotifyでメガヒット。早くも2028年頃を目指しての続編や実写化や舞台化など色々展開したがってるらしい。「最初にちゃんとチェックしてたのに積んで観てない間に自分以外全員観てた」という感覚になってしまった感じ。

🎤Kポップはあまり詳しくない。TWICEとかNiziUオーディションを観てNiziU……ではなくJYPにハマってJYPを聴いてたくらいか。
でも最近、普段ミニマルテクノしか聴いてないし変化がほしいとClaudeや親友の人に最新ガールズグループを幾つか勧めてもらい悪そうな曲調が多いaespaにハマった。

note.com

まぁ、それくらい。一般人レベル。このままaespa以外も色々聴いてKPOPファンになるのか、それともaespaが好きなだけの人になるのか分岐点に居る感じ。

🎤企画、監督、脚本をつとめた中心人物マギー・カンは韓国系アメリカ人で、Kポップ大好きでそれを形にしたかったらしい。何しろ英語版Wikipediaにも居ないので何者かよくわからない。わからないといっても本作が大ヒットしたので今や人気監督だが。
もうひとりの監督&脚本クリス・アッペルハンスは20年間色んな作品でアニメーターしててテンセントが出資した中国が舞台のアニメ『ウィッシュ・ドラゴン』(2021)で監督デビューした人らしい(これも近々観てみよう)。
この座組みからして……マギー氏が作りたいKPOPアニメを、経験豊富でアジアの造形も深いクリス氏が手助けして形にしたといった感じか?推測だが、たぶん合ってるだろ。
で、こんな尖った企画はDisneyやPIXARでは無理だっただろうが、ソニー+Netflixがチャンスを与えて……そんで大成功したって感じか。
ソニーはMARVEL実写化以外では有能だからね(そのMARVEL実写化もMARVELにスパイダーマンの権利を返さなくて済むよう適当な実写化だけしてるという噂もある)。

ネタバレあり

 

 

🎤

 

 

Story

昔、デーモンは人々の魂を奪い魔王グウィマ(演:イ・ビョンホン)に捧げていた。
太古、現れた女性デーモンハンター3人組がデーモンを結界〈ホンムーン〉で封じた。
「人々の希望を高めることでホンムーンの結界を強める」ことが出来るため、代々デーモンハンターは3人組の女性歌手の形態をとってきた。
そして現代、新世代のデーモンハンターズは、年々強固になっていたホンムーンを〈黄金のホンムーン〉へと昇華させデーモンを永久に封印できそうなところまで来た――

現在のデーモンハンターは、ガールズ・アイドル・グループHuntr/x(ハントリックス)
ルミ(声:アーデン・チョー、歌:エジェ)はリードボーカル兼リーダー、
ミラ(演:メイ・ホン、歌:オードリー・ヌナ)はメインダンサー兼振り付け師、
ゾーイ(演:ユ・ジヨン、歌:レイ・アミ)はメインラッパー兼作詞家のマンネ(末っ子メンバー)。

初見の時「本当に面白いのかなぁ」といった姿勢で観ていたため頭に入ってなくて2回目観直したら冒頭の説明部分全く覚えてなかった(それだけ期待してなかったということだろう)。だが2回目観たらこの冒頭も凄く面白かった。短時間でデーモンハンターの設定と主人公ハントリックス3人とそのファンダムの性質がざっと説明される。
冒頭の説明でばばっと語られるが大昔の初代デーモンハンターは魔を祓うだけなので退魔師然とした感じだったが「デーモンを封印した結界ホンムーンは、人々の夢見る力で強固になる」という設定があるので以降のデーモンハンターは三人組歌手の形態を取って人々の人気アイドルとして活動していた。太古から80年代くらいまではクラシックな感じの韓国の歌手トリオとして、そしてルミの母や育ての親でハントリックスの師匠でもあるセリーヌ(声:キム・ユンジン、歌:レア・セロンガ) が所属していた先輩デーモン・ハンターズ「サンライト・シスターズ」が年齢的にいうと現実のKポップアイドルでいう第1世代(90年代半ば~2000年代半ば)なんだろうなと思った。そうなるとサンライト・シスターズから第5世代ハントリックスまでの間に、第2~3世代のデーモン・ハンターズが居たんだろう気もするがそれはよくわからない。
ハントリックスの説明の時に、3人の特色がそのまま出たファンが描かれ、また本作はメインキャラだけでなくファン達モブも魅力たっぷりに描かれている。単純にディズニーとかPIXARなど欧米特有のあのデザインで韓国の老若男女が描かれてるのが新鮮すぎる。色んな若者やオッサンや典型的な韓国オバチャンのファン達の顔を観てるだけで飽きない。昔『スター・ウォーズ』3部作しかなかった頃にSWファンがメインキャラだけでなくモブ(アイスクリームBOX持って逃げるオッサンとか)一人ひとりに着目したため後で色んな名前や設定が付与されて再登場したり(アイスクリームBOXまで)そーいう感じでKPOPファンのモブ一人ひとりの背景を知りたいくらいだ。これは妙に魅力的なモブを描くクリス監督の手腕だろうと思った。久々に全カットをスクショがもし出来ればしたくなるような映画だった。
中でも僕が一番好きなのは悪役サジャ・ボーイズが人々を洗脳しようと妖しい『Your Idol』をやってる時にサビ部分を観てる女の子の一人(真ん中)。

この女性が「わぁ……わあぁ!……ワアアアァ~ッ!!」と三段階でエキサイトする、そして3回目で瞳孔が開く。何か素晴らしいパフォーマンスを観て観て熱狂してる感がも物凄く出ていて、彼女の表情を観てるだけで彼女の熱狂が俺の中に入ってくるようだ。左の中年女性もいいね……この昔の髪型のアジア人がCGアニメになってるの初めて観た。

一方、人間の魅力に比べてデーモンはかなりステレオタイプで記号的な感じで、メインヴィランのサジャ・ボーイズやジヌのペット達は魅力だが、まぁ彼らは元人間だしね。魔王グウィマは炎が笑った口の形になってるだけだし他の通常やられ役デーモンは何の捻りもない鬼とか餓鬼みたいな感じで、凄く薄い。続編では鬼とかじゃなくてサジャみたいに堕ちた亡者ばかりにしてほしい。悪魔化したKポップのアンチとかサセン(KPOPストーカー)とか。

人々はハントリックスが悪魔退治をしてるデーモンハンターズだとはエージェント兼マネージャーのボビー(声:ケン・チョン)でさえ気づいていない。というか本作のそういった設定は全体的にフンワリしてるのであまり厳密に考える必要はない。作品の舞台も多分、韓国なんだろうけど「韓国だ」とは言ってない。
とにかく、ハントリックスが歌って支持されるたびに街は安全になっていく、しかし魔王グウィマは、デーモンのジヌ(声:アン・ヒョソプ、歌:アンドリュー・チョイ)を筆頭としたイケメン亡者たちで組んだボーイズ・アイドル・グループサジャ・ボーイズ〉を人間界に送り込む。
サジャ・ボーイズが人気になると街の危険度は上がっていくためハンターとして先輩アイドルとしてハントリックスは対抗する。
サジャ・ボーイズを人気で上回った上で退治しなければいけないハントリックスだが、最近ルミのの調子が悪い。
ルミは実は今は亡き先輩デーモン・ハンターだった母とデーモンの父の間に産まれた人魔ハーフだった。その事を知っているのは育ての親でハントリックスの師でもあるセリーヌのみ。ルミはセリーヌに「デーモンの血が流れていること、そしてその証であるを他人に見られてはいけない」と言われて育った。
そのためルミはメンバーと温泉にも行けず、メンバーから「ルミは私達にちょっと壁があるよね」と言われている。
ルミは日々デーモンを倒して封印しているわけだが、それは自分のことを否定しているも同じ。しかも仲間に隠している。己を恥じて仲間に嘘を吐いている負の要素はルミの体内のデーモンの血が活性化し、痣が喉にまで達して歌声が出なくなってきていた。
そしてサジャ・ボーイズのジヌは後ろめたい過去を理由に魔王グウィマに使役されている。ジヌはその辛い記憶を消してもらうという哀しい理由でデーモンのために働いていた。
2つのグループは争いつつ、誰にも言えない秘密を持ったルミとジヌは戦ったり秘密を打ち明けあう度に惹かれ合っていった。

そんな話。
設定や描写は割とゆるい。KPOPのMVとかでアイドルが戦ったりしてる感じのMVあるだろう。それを劇映画化したような感じ……というと凄くつまらなさそうだが観てみるとめちゃくちゃ面白い(実際この映画の感想書く人は必ず「つまらなさそうだが面白かった」と大勢が書いている)。
しかも最初から最後まで。

 

 

本作の硬くて生々しくてやがて癖になるディフォルメ

冒頭の設定とキャラ説明の後、ハントリックスは飛行機で移動中、食事をしている。
キンパとかラーメンや他よくわからない韓国の食べ物―キンパを知らなくて最初巻き寿司かと思った。塩と胡麻油で味付けた御飯で肉とか人参とか卵やキムチを巻いた……寿司というよりおにぎりみたいなものだと知った―この時、禁欲的なアイドルにとって食事は大っぴらに欲望を開放できる希少なものなので凄くエクスタシー状態で食べる。
本作ではコミカルなシーンなどで表情が崩れたりとか色々するが、この冒頭でめちゃくちゃそれをやっている。「このアニメはこういう感じだぞ」と振るいにかけてるわけだ。それもちょっとヨダレを垂らす程度ではなく「醜い」といってもいいくらいの塩梅の凄いアヘ顔になって食べたりする。
ここで割とギョッ!とする(いきなり振るいにかけられた状態)。
正直この最初の数十秒で「なんだろう、これは観なくてもいいかな」と少しだけ思い一時停止する、が、次に「Kポップ自体の表面的な印象は、全方位的に綺麗なものなのに初手でわざわざ醜いと思わせるほど顔を崩すって結構な賭けだな」と思い直し再び観始めた。
そして実は航空機の添乗員達がデーモンだったのでハントリックスもデーモンハンターとしての正体を表し戦闘、そしてそのままコンサート会場に降り立ちLIVEを行う。
……という感じでコミカル、戦闘、歌唱と本作のウリの3つをアバンで見せてくる。
戦闘と歌唱は作品の特色だろうと観なくてもわかるがコミカルなシーンがここまで特徴的だと思わなかったので、そこに目が行った。
曲とかは普通に良いです、ライバルのサジャ・ボーイズの曲とかも全部。でもKポップの曲の造詣が深くないし音楽を文章でどうレビューしていいかよくわからないので「曲はよかったです」と子どものような事を書いといてその評価は詳しい人に任せます。
戦闘も、非常に優れたアニメーションで戦います。退魔の武器(どれも韓国とか朝鮮の武器らしい)でデーモンを祓う……これも良い感じですが、まぁ皆が想像する通りの感じ。
だからやはり、ここでは顔が大きくディフォルメされるコミカルなシーンについて着目したい。
「食事シーンで凄く醜い顔になった、と最初思った」と書いたが、それは単純にギャグシーンのディフォルメで顔が崩れることだけの話じゃない。
キャラの表情がディフォルメされる時、凄くドラゴンボールや90年代日本アニメに影響されたかのようなコミカルな顔になる。韓国の広告やパクリゲームやバラエティ番組とかでよくみるあの絵柄だ。昔は韓国の「そういう絵」が嫌だった、本作のキャラの顔が崩れる時「その絵柄」の血を受け継いだ感じで崩れる。だから初見の時に顔が崩れる以上の「醜さ」を感じたのだろう。だが割とすぐ良いなと思うようになった。
日本アニメと違うのは、まず鼻の穴をおっぴろげたディフォルメ顔がよく出てくること。日本アニメでは鼻の穴はまず出てこない(特に女性キャラの)。本作の場合、主人公のルミもバンバン鼻の穴パンパンにするしアヘ顔になったりよく出てくる。歌唱シーンでは3人とも凄く美しいので対比となって観てるうちに効いてくる。
そしてこの韓国を描いた3DCGアニメのディフォルメの特徴は「硬い」ということ。
韓国は日本だけでなく欧米作品の影響も強いので、イケメンのサジャ・ボーイズを観たゾーイやミラの目がハートになる。あと食べてる途中にゾーイが怒ったら彼女の口の中に目一杯詰め込まれたポテトが大量に見える(ちなみに日本アニメの女性キャラの口の中の食べ物が見えることもまずない)だが口の中のポテト、そしてさっきのハート、どちらもカッチカチなのが特徴。といっても映像の「硬さ」など測りようもないが、ここで言うのは。もう見るからにカッチカチということ。
鼻の穴パンパンに開きや口内の硬い食べ物、イケメンの腹筋を見て目が硬いハート、腹筋のメタファーとして硬いパイナップル、そして目が硬い腹筋そのものになり、やがて目から硬そうなポップコーンが排出される……―これ最初、意味がわからなくなったが恐らく「感情が高まりすぎて熱くなった体内で調理されたポップコーンが出たんだな」と思った―とにかく、どれも欧米や日本の文化を吸収した韓国人の気質として非常に即物的かつ生々しい生き物の躍動を感じた。そこが新鮮だった。
「生々しい」と言っても、さすがに口の中の食べ物はぐちゃぐちゃに咀嚼されてるわけではなくカッチカチで噛み砕かれてない。見て「汚い」とは思えないようになってる。
初見では「げっ」と思ったが観ていくうちに癖になって、やがて「凄く良いじゃん」と思うようになった。
ハントリックスがサジャ・ボーイズに会って恋をしたり腹筋に性欲を抱いたりする描写は「これが普通だよな」と思えた。日本のアニメの女性キャラも80年代くらいまでは普通にイケメンに恋したり興奮してたのに90年代くらいからそれを嫌った男性ファンを気遣ってか急にそういう描写が減った。
まぁ、とにかくメインの歌唱シーンやシリアスなストーリー部分、それ以外の日常シーンや捨てシーンなどは、こういった過剰なディフォルメによるコミカルなシーンになっており、本作が最初から最後まで全編面白いと最初に言ったのはこのコミカルなシーンがあるせいだ。「げっなんじゃこのシーン!」と思う人がいてもまぁわかる(自分も思ったから)でも、それを過ぎたら凄く楽しいよ。

 

 

主人公ルミの髪型

主人公ルミのデザインが尖ってるなと思った。顔は作中で一番の美人顔なのだが、欧米の歌姫やモード界でよく見られる……日本の作品でいうと『ストリートファイターIV』(2007-2014)のクリムゾン・ヴァイパーの髪型といえば伝わりやすい。髪を中央のモヒカン部分に持ってきて太い三つ編みみたいにした……ポニーテール・ブレイドっていうの?巨大な蛇を思わせる、凄い強めの髪型。
そういう感じで強めの女性アーティストがやる昔からある髪型だが、さすがにKPOPアイドルでこういう髪型してる人は少ないだろう。
ハントリックスは擬似恋愛型のガールズ・グループではなく同性の憧れを誘発するガールズ・クラッシュ型だと思うがそれにしたって、こんな強めの髪型は……と初見の時は戸惑った。「普通に考えたら黒髪、または金髪、又はピンク髪?のロングじゃないの?顔は可愛いんだし」と最初はそんなつまらないことを思った。でもそれだと平凡だ。
セーラームーンや春麗などのように、シルエットだけで誰だかわかる「この作品のこの主人公といえばこれ!」という決定的なシルエットを作りたかったんだと思った。
その証拠に幼少時の回想でも、闇堕ちしかけて大暴れしても、果てはエピローグで温泉に入った時ですら、そんな髪を降ろした方が自然な場面でも、この髪型を崩さなかった。
だから「すごく固い意志でこのデザインにしたんだなぁ」と伝わった。
それらの場面で髪がほどけて普通のロングヘアになってしまったら「この髪型の方がいいじゃん」と半数近くの視聴者に思われてしまう。だから一度もそれを見せるわけにはいかなかった。普通のロングヘアになれば普通の美少女になってしまう。ルミはそれを超えた存在にしたいのだから、そんな「可愛いお嬢さん」みたいに思われるわけにはいかない。すごくよくわかる。
髪型で変化を出せない代わりに、デーモンの証である痣。痣が目立ってくるのでルミは上着をバッチリ着て隠している。しかしサジャ・ボーイズとの歌合戦で正体を暴かれ仲間に見捨てられデーモンになりかける。しかし最終的には仲間との絆を取り戻し、光る痣をあらわにした軽装でクライマックスを迎える姿はカッコいい。
出自に後ろめたい気持ちを抱いていたルミ(本当は何も悪くないのに)だが「GOLDEN」の歌詞の通り、ありのままの自分を表現して失った全てのものを取り戻す。
そういえばルミの育ての母でハントリックスの師であるセリーヌは「痣を隠して生きなさい!」と言ってルミを育てた。それはメタ的には「本当の貴女など誰も受け入れないから自分を偽って生きなさい」と言ってるようなものんで全てを失ったルミがセリーヌの元へ来て「自分を殺してくれ」と言っても殺すわけでもルミのデーモン部分を受け入れるわけでもなくそのまま終わった。結局セリーヌは「無理解な母」役のまま終わってしまい気まずい感じだったね。セリーヌが毒親キャラならそれでいいのだが、それではないのでモヤモヤする。続編ではセリーヌとの関係をなんか拾ってほしい。
そして正体がバレて仲間に見捨てられたルミが闇落ちする描写は、失恋や炎上で気を病んで自死してしまう女性アイドルを後で思いだした。あまりモロにやると何だからデーモン要素に包んで表現したのかなと思った。
本作は一見バカっぽいけど、デーモン要素に包んで様々なKポップの闇を遠回しに描けてるなと思った。

 

 

ジヌとサジャ・ボーイズ

デーモンのジヌは重要度がルミの次に高いほぼ主人公だった。その主人公度はハントリックスのミラとゾーイより高い。彼女たちはルミの状態を反射する鏡のような役割。
そういう意味ではジヌもまた自己嫌悪を抱えて歌う、ルミの胸像型ヴィランと言える。
辛い記憶を魔王グウィマに握られて辛いお勤めで悪事を働く悲劇のキャラ……と見せかけて過去の辛い記憶は、実は過去のジヌが私利私欲で行ったことだった。そしてそれをルミに知られたくないので自分が酷かった部分だけ隠してルミに伝えた……というのが凄くよかった。
「ジヌにも辛い過去が……」なんてのは割とヴィランあるあるなので「あぁ、そういうやつね。大変だったね」と割と心が動く余地ゼロだったのだが「本当はジヌがガチで悪い事してた。しかしルミに嫌われたくないので、その部分だけ隠して伝えた」というのは非常に人間臭い。元々魅力ある奴だが彼の魅力が更に上がった。
映画は限られた時間しかないので、まずルミのキャラとストーリーと作品世界の設定説明これだけで殆どの容量を食っている、次にジヌとミラとゾーイ、残りは他のキャラ。
だからジヌを描くのが精一杯で他のボーイズは描く時間がない。だから「ジヌとその他」みたいになってしまうのは仕方ない。だがそれでも彼らも魅力があった。まずセンターのジヌ、そしてマッチョなメンバー、ビジュアルを突き詰めた結果わけのわからない髪型になってるメンバー、ミステリアスな目隠れメンバー、そしてマンネのBABYメンバー。マッチョなメンバーが腹筋でハントリックスを魅惑するくらいしか役目がないが「彼らの過去や彼らのキャラも知りたい」と思わせるものがあった。
また後半では善と悪としてぶつかるのだが、中盤のハントリックス vs.サジャ・ボーイズみたいなくだりは、ジヌとボーイズは割と人間味のあるコミカルなアイドルのライバルとして韓国にありがちなバラエティ番組(よくわからない韓国芸人が仕切って無邪気なゲームで戦う)や合同サイン会など行い。色んなKポップあるあるを詰め込んでて最高に楽しい。


最初に韓国バラエティでサジャ・ボーイズが韓国芸人とタバスコ一気飲み対決をしている。ここでのサジャボーイズは登場してすぐだし、さっきも言ったようにジヌ以外のサジャ・ボーイズは記号的にいるだけなので当然ジヌが勝つのかなと思ったらジヌは早々に脱落、憔悴しきった顔を見せる。
これで「あっデーモンなのに超然としただけの奴じゃなくて疲れたりゲームで負けたするんだ?」と一気に魅力が上がった。
そしてタバスコ一気飲み対決は、マンネのBABYメンバーが制する。「辛いものに強い」という希少なサジャ・ボーイズ特性を見せられた幸運な奴だ。ちなみにBABYメンバーは歌ではラップを担当しててカッコいい。ジヌの次にいいかもしれん。
その名の通り小柄で可愛い系のルックスなのだがオッサンみたいなドスの利いた声質の人がラップをあててる、ギャップだね。


そしてハントリックスとサジャの合同サイン会。
ルミとジヌ、ミラと腹筋メンバー&ビジュアル髪型メンバー、ゾーイと目隠れメンバー&BABYメンバー、という組み合わせになる。
すぐさまファンダムのカプ厨たちが、彼らの名前を組み合わせたカップリングを作りSNSに投下したりファンアートを作り出す。楽しいシーン。
だがハントリックスはガール・クラッシュ型グループだから男と絡んでも炎上しなさそうだが、サジャ・ボーイズは「疑似恋愛型アイドル」の擬態してるんだから「ハントリックスは炎上せずサジャだけ炎上する」のが実際のところだろう。でもそういうのはメインストーリーにとって些細なことだから敢えて皆が喜ぶかたちにしたのだろう。
『極悪女王』(2024)も「”ブック”と言う言葉自体はプロレス関係者は使ってなかったがわかりやすいから映像作品として使った」みたいなもんで。
更に、見てるうちに魔王グウィマに弱みを握られて操られるサジャ・ボーイズはKポップのボーイズ・アイドル・グループで以前あった奴隷契約事件を思わせる。
また本作を観た海外の人がXで「400年レッスンしたのに2曲で消えるサジャ・ボーイズはKポップ界の過酷さをよく描けていた」とポストしてたのがウケましたね。
サジャ・ボーイズはこのまま終わりじゃ勿体ない気もしましたね。
地獄に落ちたサジャ・ボーイズが何とか現世に戻って来るという、
スピンオフ『Kポップボーイズ!デーモン・サバイバー』を作ってほしい。
その過程でジヌ以外のメンバーの過去やキャラも見せれるしハントリックスと共闘するのも面白い。

続編を作る、と早くも言ってたけど、

・ハントリックス vs.「愛嬌」を武器にした可愛い系アイドル・グループ(実はデーモンで偉い人の魂を枕から吸い取って自分の糧にする)

・ハントリックス vs.ファンダム(炎上、企業による計画的叩き、サセン……ストーカーとの対決)

この2つが面白そう。ミラやゾーイ深堀りやサジャ・ボーイズ加勢などもサブプロットで入れてくれたら良い。
そういう感じで凄く楽しめました。すごい久々に映画を2回続けて観たよ。
それと何度か観てるうちにハントリックスも好きだが曲単体だとサジャの『Your Idol』が一番好きになってきた。
www.youtube.comかっこいいよ~、なんかジヌが音程を次々と変化させながら歌うサビ前のパートが凄いカッコいい、なんか嬢王蜂でアヴちゃん氏が唄いそうな部分。Weekend的な高音もかっこいいですね、なんか冷房の効いたリミナルスペースに居るみたいでいいです。BABYのラップ部分もカッコいい。
サジャ・ボーイズも人気で色んな人がカバーしてることだし、これは続編でサジャ・ボーイズが黄泉の世界から『Your Idol』衣装で帰ってくるのを期待したい。デーモン衣装がカッコいいので善人の青年たちに転生とかせずデーモンのままいてほしい。

 

追記(Aug 6, 2025)
翌日、Kポップ好きの謎の女性監督マギー・カン……ではない方のベテランアニメーターのクリス・アペルハンス氏のデビュー作である中国との共同制作アニメ『ウィッシュ・ドラゴン』も観た。
こっちは悪くはないが物凄く平凡だった、でもベテランだからアニメは上手い。
ということで「マギー監督のビジョンやアイデアをクリス氏が形にして『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』が出来たのかな」という僕の読みは当たってた。

filmarks.com

追記(Aug 12, 2025)
翌日、ハントリックスが歌う『GOLDEN』がビルボードで1位を獲った。
これは
• 女性K-Popアーティストで初の1位
• ガールズグループではディスティニー・チャイルド(若きビヨンセがデビューしたグループ)以来の1位(24年ぶり?)
凄すぎん?
www.youtube.comハントリックスやサジャ・ボーイズの曲は色んなアーティストや一般人が歌ったり踊ったりしてバズっており、本作がまだ続いており3次元世界にホンムーンを広げているかのような錯覚を覚える。
この曲を実際にやってるのはTEDDYプロデューサーと彼のレーベル・THEBLACKLABELのアーティスト達らしいが最初に言ったようにaespaとTWICEとJYPしか知らないのでよく知らない。KPOPアイドル四大事務所がHYBE、SMエンターテインメント、JYPエンターテインメント、YGエンターテインメント……THEBLACKLABELはYGに居たTEDDY氏が独立して作ったものらしい。規模はともかくKPOP四天王ならぬKPOP5強だろうか。
アメリカ進出に何度も失敗してTWICEがようやく人気になってきたJYPは悔しがってるかな。Netflixアニメの主題歌という日本みたいなヒットの方法があったとは。
……と、情報通みたいな事言ってるが全く知らないので(YGに誰が居るのかも知らないし居る人の名前聞いても曲を知らない今はまだ)。
しかしNetflix公式チャンネルがMVは劇中を切り抜いてるだけなので当たり前だが、どれも1番だけで終わってる。劇中に曲があるものは最後までMV作ったらいいのに。宣伝にも使えるじゃん。『極悪女王』(2024)の時も「『かけめぐる青春』とか『炎の聖書』もっと聴きたいな」と思ったし。KPOPガールズはアニメだから後から劇中にない部分を作ろうと思えば作れるが実写は無理だから劇中で歌唱シーンあるやつは最後まで演って撮っとけばいいじゃん。

追記(Mar 16, 2026)
第98回アカデミー賞で長編アニメ賞、主題歌賞を獲得。

 

そんな感じでした

 


 

KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

KPop Demon Hunters (2025) - IMDb
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KPop Demon Hunters (2025) directed by Chris Appelhans, Maggie Kang • Reviews, film + cast • Letterboxd
KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

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