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『ツイスターズ』(2024)/日曜日の昼間に観るのが良いオクラホマの風のような昼映画。死と再生と全て解決するドリル


原題:Twisters 監督:リー・アイザック・チョン 脚本:マーク・L・スミス 原案:ジョセフ・コシンスキー 原作:マイケル・クライトン&アン・マリー・マーティン『ツイスター』(1996) 製作:フランク・マーシャルほか 撮影:ダン・ミンデル 編集:テリン・A・シュロップシャー 音楽:ベンジャミン・ウォルフィッシュ 製作会社:アンブリン・エンターテインメント 製作&配給会社:ユニバーサル・ピクチャーズワーナー・ブラザース・ピクチャーズ 製作国:アメリカ 上映時間:122分 公開日:Jul 19, 2024(日本は2024年8月1日) シリーズ:『ツイスター』シリーズ第2作目

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“You don’t face your fears — you ride ’em.”

1996年代の『ツイスター』(1996)の続編的な映画みたいだがストーリーもキャラクターも全く関係ない。『ツイスター』(1996)も「なんか大味そうな映画だなヤン・デ・ボンだし」とか思って観てないのでちょうど助かった。
ただ竜巻を立体的に分析できる画期的な竜巻観測装置ドロシー〉は両作に出てくる。このドロシーと竜巻でえらいことになるって要素だけが2作をかろうじて繋ぎ止めている。

リー・アイザック・チョン監督は第93回アカデミー賞にノミネートされた『ミナリ』(2020)の人らしいがこれまた観てない。『マンダロリアン』〈シーズン3〉(2023)で第19、21話を監督してたらしい。
主人公のデイジーエドガー=ジョーンズは『ザリガニの鳴くところ』(2022)が、いまいちで感想書かなかったけど綺麗な人だなと彼女のことだけ覚えた。内省的な人間ドラマばかり出てたのに突然こんなアメリカすぎる映画に出たのがギャップで良いです。実際彼女もまた「『ミナリ』(2020)の監督が何でまたこんあアメリカンすぎる映画に……」と思って出演を決めたらしい。
グレン・パウエルは説明の必要のない、ここ数年ずっと「男が友だちになりたい男No.1」で居続けてるパウエル。
あと色んな映画に出てるアンソニー・ラモス。一番最近だと『アイアンハート』(2025)にメインヴィランのフッド役で出てた……がMCUドラマなんか誰も観てないのでMCUドラマを例に出すのは適当じゃなかったね。僕も「こいつMCUドラマなんか観てるやつなのか……」とか思われそうだしあんまり表で言わないほうが良いかもですね?フッドもまた見たいがシャン・チーですら4年出番ないのにフッドなんかが再登場できるはずもなく……。
あと脇役で良い俳優がいっぱい出てた。
この組み合わせだと絶対にグレン・パウエルが主人公になりそうなものだが―いや一応彼も主人公の一人だが―メインはデイジーエドガー=ジョーンズの方。この辺が「新キャラのフュリオサが主人公でマックスはサポート役」だった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)みたいで渋い。

ネタバレあり

 

 

🌪️

 

 

Story
オクラホマ
の大学で竜巻の研究をしていたストームチェイサーケイト・カーター(演:デイジーエドガー=ジョーンズ)。
ケイトは、竜巻観測装置〈ドロシー〉を操作するハビ(演:アンソニー・ラモス)や、ケイトのボーイフレンドその他のストームチェイサー仲間と共に高吸水性高分子ポリアクリル酸ナトリウムを竜巻に吸わせて竜巻を弱体化する実験をしていた。
しかし竜巻はケイトの読みを超えておりEF5へと拡大、ケイトとハビ以外は事故死

5年後、恋人や親友たちの死のトラウマを抱えたケイトは母やハビとも連絡を取らず、気象学者として淡々と働いていた。
ケイトは竜巻リサーチ会社で働くハビと再会。ハビは竜巻追跡装置〈ドロシー改〉を試すため、空を見て竜巻発生源を読めるケイトの力を借りたがりケイトは渋々と期間限定でストームチェイサーへ復帰する。
現場ではケイト達だけでなく数多くのストームチェイサーが集まっており、破天荒な行動や特殊装備で竜巻を楽しむ竜巻系YOUTUBERタイラー・オーウェン(演:グレン・パウエル)とその仲間達も来ていた。
ケイト達とタイラー達は楽しく対立しながら竜巻を追うが――

そんな話。

 


冒頭のケイト達に戻るが、彼女たちはケイトの案で高吸水性高分子であるポリアクリル酸ナトリウムを竜巻に吸わせ、竜巻内部の湿度を下げて竜巻の被害を最小限に抑えようとする。つまり弱体化させて竜巻を手なづけようとする。
これは後半でも出てくるが、竜巻の中の水分をガンガン吸い取ることで竜巻のエネルギー源である「湿った空気の上昇気流」を弱め、結果的に竜巻の力を削いで弱体化させるって理屈。無論、理論上は可能だが現実ではちょっと難しい感じらしい。
メンバーの中に異様に可愛い子がいるなと思ったらキーナン・シプカだった。なんかNetflixとかアマプラなどの配信サービスでティーン向けドラマで主役してる凄い可愛い子。ティーン向け配信サービスでは主役級の子もメジャーエンタメ映画ではいつも脇役というのが何だかパワーバランスを感じさせますね。とにかくキーナン・シプカが眼鏡かけて地味な服着て「竜巻オタクですよ」とやっている。ハリウッド映画でよくありがちなオタク少女描写だが、世界で一番かわいい子にそんな地味少女役をやらせるもんだから異常な可愛さになる。なかなかズルい。
しかし、この時の竜巻はケイトの読みを超えておりEF5※へと進化、ケイトとハビ以外の仲間は事故死。
※竜巻が引き起こす被害の深刻度を評価する「改良藤田スケール」。EF5は時速200マイル以上で高層ビルをも破壊しかねない最高レベルの破壊力。
Enhanced Fujita scale - Wikipedia
まず「もう車で逃げ切れないし、車は真っ先に飲み込まれる」って事で車を捨てて一行は橋の下へ向かう。だが最後尾の男子がスッ……と風に持っていかれる。皆逃げてるので彼の静かな死を誰も観ていない。仲間は次々と音もなく竜巻に連れて行かれキーナン・シプカ演じる少女も「たすけて……」とか言いながら空に持っていかれる。
ケイトと彼氏は橋の下で抱き合い、彼氏はケイトを抱きしめて「俺がいる、ここでこうしていれば大丈夫(スッ……)」大丈夫と言いながら彼氏も音もなく竜巻に飲まれていった。
叫び声も爆発もない、まるで機械の電源をオフにしたかのような死に様。日本じゃなかなか見れない死に方で、これはこれで怖い……竜巻に飲まれて本当に絶命するのはいつか?などと考えるとそれも怖い。津波のように他の飛び交う車や岩に激突して死ぬのかそれとも地面に投げ飛ばされて死ぬのか……竜巻に飲まれて奇跡的に生還した人もいるので津波のように窒息するわけではなさそう。運良く風の弱いゾーンへと運ばれればいいけど「こりゃ死ぬわ」などと思いながらも5分間くらいぐるぐる飛ばされてたと思うと凄く怖い。
ケイトにしてみれば自分の計画に着いてきてくれた彼氏や親友達が、眼の前でスッ……スッ……スッ……スッ……と命のろうそくを吹き消されるが如く絶命していったのだからトラウマになるのも無理はない。
ちなみにハビだけは少し離れた位置からドロシーで観測していたため無事だった。

 

 

5年後、ケイトはニューヨークNOAA(アメリカ海洋大気庁)で天気予報の仕事をしていた。
僕からすれば「まあ、立派な仕事!」という感じだが「竜巻を乗りこなす」というライフワークを持っていたかつてのケイトからすれば正に「死んだように生活している」状態。イキイキしていた表情も無。母からの電話にも出ない。
ケイトは竜巻リサーチ会社で働いていたハビと再会。
「新型の竜巻スキャン装置のため、ストームチェイサーとして協力してくれ」というハビの再三の誘いを断るが、ハビから「竜巻で破壊された町」の画像を見せられ「竜巻からは足を洗ったが……困ってる人の役に立つなら……」と渋々引き受けるケイト。
ちなみにハビの部下役は今やDCUスーパーマン役でスターとなったデヴィッド・コレンスウェット。彼はスーパーマン以前にメジャーな映画は傑作『Pearl パール』(2022)と本作しか出てない。ジェームズ・ガンは確か『Pearl パール』(2022)でのイケメン映写技師役を見て「こいつええんちゃうか」と思ってオーディションに呼んだ気がする。
本作での彼はスーパーマン性のかけらもなく、卑屈な目つきの部下役を演じている。顔つきが全く違う、この人演技力あるよね(その割には体格はイケメンすぎるが)。
竜巻が来るとされるオクラホマ中央部に到着。
現場には竜巻系YOUTUBERタイラー・オーウェン(演:グレン・パウエル)とその仲間達も来ており。タイラーに影響されたストームチェイサー勢も集まっていた。
竜巻を追うハビの会社、そしてタイラーのチーム。
タイラーのチームは、ケイトほどではないがタイラーも竜巻をある程度予測できるし女性メンバー(演:サッシャ・レイン)がドローンを飛ばして竜巻を上空から目視したり、タイラーを記事にするため新聞記者が同乗していたり、ドリルで車体を地面に固定して竜巻の中を味わったりと、バラエティ豊かに竜巻と接してYOUTUBE動画を配信していた。
ケイトとタイラーは共に我先にと竜巻を追う爽やかなライバル関係となり、天候が読めるケイトがタイラーに嘘を教えたりと楽しい鍔迫り合いが続く。
ある夜、ケイトはタイラーに誘われロデオショーを見に行くが、そこで竜巻が発生。
多くの人が「あの時」みたいに吹き飛ばされるがタイラーと共にプールの底にしがみついて何とか助かる。
このシーンも恐ろしい、車に乗ったために車ごと吹き飛ばされて絶命する人たち、一緒にプールに避難してタイラーが何度も「立ったらダメだ!吹き飛ばされる」と言ってるにも関わらず恐怖心から立ち上がって吹き飛ばされるオッサンなど。
それにしてもこんなに竜巻が毎年来る土地とか怖すぎだろう。家とか粉々だもんね。
AIに訊いたら、こういう所に住んでる人は、竜巻だけの保険はないので火災保険に入ってるらしい。又は地下シェルターを購入しているらしい。地下シェルターが一番安全だろうね。何しろ家は基礎から吹き飛ぶのなら、もう竜巻の季節は大事な物置いたり模様替えだのする気にもならんよね。向こうの人からすれば「今この瞬間に大地震が来て絶命するかもしれない東京の方が怖いよ!」と言うかもしれないが。
ケイトはタイラーチームのことを最初は「金儲けのミーハー竜巻オタク」と軽く見ていたが、Tシャツなどのグッズ販売で得た金を竜巻被災者への支援に使っていた。
一方でハビの会社のスポンサーは被災者の破壊された家の土地を安価で買っていることを知る。ハビの会社のスポサンサーは、家が破壊されて呆然としている被災者に近づいて素早く安く土地を買うため、そのためにハビは竜巻発生をいち早く予測できるケイトを雇ったのだった。
ケイトはその事でハビと口論になり喧嘩別れ、長年帰ってなかった実家に帰るとタイラーもやって来て母も交えて3人で話すうち、ケイトは恋人や親友たちが死んだあの時に自分の心の中からも死んでしまっていた「竜巻を乗りこなして被害に遭う人を無くしたい」と思っていたかつての自分のルーツに立ち返る。
そういえばケイトのママ役調べたらジム・キャリー主演『ライアー・ライアー』(1997)のヒロイン役の人だった、懐かしい。

2人は「あの時」のようにポリアクリル酸ナトリウムを竜巻に喰わせて消滅させる実験を繰り返す。後日、ハビも「あの時は言いすぎて悪かった」と謝罪し竜巻のデータをくれる。そのデータを元に「ヨウ素銀を食わせれば竜巻を消滅できる」と仮説を立てるケイト。本当に出来るかどうかは知らないよ。多分ポリアクリル酸ナトリウム同様に「理論上は」竜巻を消せるって感じのものなんだろう。確実に消せるのなら竜巻の動線に大量のヨウ素銀を用意してブチ込めば被害がなくなるもんね。
まぁ、この映画の中ではヨウ素銀をブレンドしたケイトお手製の薬剤で竜巻を消せるってことで……。
ケイトを新メンバーとして迎えたタイラーチーム、今度は竜巻で遊ぶだけでなく「竜巻を消して竜巻の被害に遭う人をなくそう」という目的のため動き出す。
そうこうしてると「あの時」のようなEF5級の竜巻が発生し、大勢の人が暮らすオクラホマ州エルレノ市に向かう。
市民を助けるため急行するケイト&タイラーチーム。ハビも金儲けだけの会社に見切りをつけて救助に向かう。


そんなこんなで巨大竜巻から避難するタイラーチームやハビや市民のスペクタルシーン。そしてケイトvs.EF5竜巻の再戦。

結局、最初から最後まで隙のない凄く爽やかなディザスター映画だった。
ケイトという女性の挫折や後悔、そしてそれを新旧の仲間と乗り越えて打ち勝つ……という今どきありそうで無いオーソドックスな、あまりに爽やかなエンターテイメント映画で、凄く良かったです。ちょっとタイラーが何から何まで優しすぎて「マジカル彼氏」感が強すぎる気もするが、グレン・パウエルの笑顔を見ればまぁいいかと思えるものがあった。
またラストは、空港からNYに戻るケイトを引き止めろよとハビに言われるタイラー、タイラーがどうしようかと思ってたら警備員が「車を移動させろ」とうるさく言ってくる。「まぁレッカーされてもいいからケイトを引き止めて幸せなキスENDか?まぁいいか」と思ってたら、タイラーはレッカーされないように車をドリルで空港に固定!そしてケイトと結ばれる……「あぁドリルがあったか!忘れてた」と虚を突かれて楽しかった。
まぁ竜巻で飛行機が止まったのでこんなことしなくてもケイトは戻ってきてただろうが、そういう事ではなく、「あの日」ケイトの恋人は「お前を離さない、俺がいるから大丈夫だ」と言ったが竜巻に奪われてしまった、しかし今いる男タイラーにはドリルがある。何度、竜巻に襲われても吹き飛ばされないよう現在地に自分を固定してケイトを一人にしないドリルが。
なんかドリルが頻繁に劇中に出てくるなぁとは思ってた。タイラーが登場してドリルで竜巻と戯れる彼の破天荒さ、ケイトvs.EF5竜巻の再戦でのケイトの勝利もドリル、そしてケイトへの愛の告白もドリルだ。
昨今「去っていく女性を追いかけてくっつく」なんてシーンはアクション映画などでは「古い、冒険と恋愛は別だ」と言われて滅多に見れなくなってたので「ずいぶん古風なラブコメするんだな」と思ってたが、タイラーのドリルの説得力たるや。オールOKでしょう。これからもケイトや2人に困難があってもタイラーはドリルで自分たちを固定して乗り切る、そんな未来が見える。

そういえば主人公3人を描くので精一杯で活躍シーン少ないがタイラーチームも皆良かったね。先日観た『愛はステロイド』(2024)主演のマッチョ女性ケイティ・オブライエンも居たし。このケイトとハビも加わったタイラーチームの連続ドラマ観たいなと思わされた。彼らの活躍観たいし。滅多にないことです。
去年公開された時に観とけばよかったと思った。しかも劇場で。
日曜日の昼間に観た、映画ってどんなものでも全部夜観るのがふさわしいが本作に限っては日曜の昼間に観るのがピッタリだと思った。
ディザスター映画とカーレースの映画は昼間観るのが合ってるかもね。特に人間ドラマや登場人物が皆さわやかな本作は。爽やかなオクラホマの風を感じました。

 

 

そんな感じでした

〈リー・アイザック・チョン監督作〉

『マンダロリアン』〈シーズン3〉(2023) 全8話/主人公ボ=カターンとそれをサポートするディン師弟。今回も面白かったがもうやる事ないし心配だから隠居してほしい👽 - gock221B ※第19、21話を監督

 


 

Twisters (2024) - IMDb

Twisters | Rotten Tomatoes
 

Twisters (2024) directed by Lee Isaac Chung • Reviews, film + cast • Letterboxd

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