
原題:Bugonia 監督&製作:ヨルゴス・ランティモス 脚本:ウィル・トレーシー 製作:エド・ギニー。アンドリュー・ロウ。エマ・ストーン。アリ・アスターほか 撮影:ロビー・ライアン 編集:ヨルゴス・マヴロプサリディス キャスティング:ジェニファー・ヴェンディッティ プロダクション・デザイン:ジェームズ・プライス 衣装デザイン:ジェニファー・ジョンソン 音楽:イェルスキン・フェンドリックス 原作:チャン・ジュヌァンの韓国映画『地球を守れ!』(2003) 制作会社:エレメントピクチャーズほか 配給会社:フォーカス・フィーチャーズLLCほか(日本はギャガ) 製作国:アイルランド/イギリス/カナダ/韓国/アメリカ 上映時間:118分 公開日:アイルランドとイギリスとアメリカは2025年10月31日、カナダは2025年10月24日、韓国は2025年11月5日(日本は2026年02月13日)
ヨルゴス・ランティモスによるチャン・ジュヌァンの韓国カルト映画『地球を守れ!』(2003)の米国リメイク、らしいけど配信にもないし元の映画観てない。
ネタバレありなので注意。
製薬会社CEOミシェル(演:エマ・ストーン)は、同社の末端社員の陰謀論者テディ(演:ジェシー・プレモンス)と自閉症の従兄弟ドン(演:エイダン・デルビス)に拉致されて「母船と連絡が取れない」ように頭髪を剃りあげられる。
テディは「ミシェルはアンドロメダ星人で、ミツバチを絶滅させて人類を支配しようとしている」という妄想をしており、ミシェルに侵略をやめるようアンドロメダ星の皇帝に伝える要求をする。また、テディの母サンディ(演:アリシア・シルヴァーストーン)は同社の臨床実験に参加して失敗し昏睡状態となっていたり、幼い頃に近所の警官に虐待されていたらしき事や日々の労働環境も辛くて私生活が大変そうなことが伺える。
映画の大半は、スキンヘッドのミシェルが地下に監禁されて、テディに「母船に連絡しろ」と要求されるが、彼の要求が金とか性的要求とか企業への要求などの実現可能な要求ではないのでミシェルは困惑して「OK、私は宇宙人よ」とか言っても「心から言ってない」と振り出しに戻ったり拷問されたり、しかし通電に耐えたら「この耐久力はアンドロメダ皇帝陛下……失礼しました」と態度が軟化して話し合ったり、という感じで殆どの時間は監禁シーン。
ここが非常にハラハラして面白い。エマ・ストーンとジェシー・プレモンスの演技が良いし映像もいつものようにかっこいい。だからこの映画は全体的に面白かったが個人的に一番良かったのはこの部分だった。
🐝 Spoiler Alert!! 🐝
張り詰めた緊張が弾けて惨事が立て続けに起こり、ミシェルが真実を語る。
その後、でも実際には”そう”ではないのか?と思わせつつ再度、秘密を明らかにして破局が訪れる。
そういう感じで三段階式どんでん返しが起きる。
なんか「オチに特徴がある」と風の噂で聞いてたし、それに加えて監督がヨルゴス・ランティモスなんだから、単なる人間ドラマや脱出するサスペンスで終わるはずない事はわかる。いつもの「筒井康隆のショートショートSF小説」みたいな肌触りを期待すれば「このオチしかないよな」と思うオチに着地する。
……いや、少し違う。ランティモスの、いつものノリならもっと「もう終わり?なんだこれ」って不条理な投げっぱなしエンドもあり得ただろうし、個人的にはそっちの方が好みだったかも。
面白かったのは、テディの陰謀論が、ざっくりした部分はデタラメなのに「剃髪で母船と交信する」「宇宙船の詳細」などピンポイントで見てきたかのように真実を射抜いていたことだ。まぁ過去の監禁で知ったんだろう。
そしてテディは「周囲に流されない堅い意思」で真実を突き止める力はあったにも関わらず、一番重要な「母を助ける方法」は他人がいう「本当であって欲しい陰謀論」を鵜呑みにしてしまい、一般人なら絶対しない事をして惨事が起きてしまう。
このバランスが絶妙で、「すごい熱意だ、でもその情熱をちゃんとした方向に使えば明日という閃光を掴めるのに……」という「陰謀論者への愛とムチなのかな」と思った。
同じ陰謀論ブラックコメディ映画のアリ・アスターの『エディントンへようこそ』(2025)より何倍も面白かったけど本作もアリ・アスターが最初撮ろうとしてたらしいな。なんか陰謀論を揶揄する映画にハマってるのだろうか……陰謀論や陰謀論いじりは大好きだが何かアリ・アスターのこの路線って浅くない?「実はミシェルの正体は……」というオチも、まぁ面白いっちゃ面白いまま終わるのだが、こういうびっくりSFオチじゃなくてブラックコメディのまま終わった方が良かった気がする。映画自体は面白かったけど、なんかアリ・アスターがこういう陰謀論テーマをいじる時って浅瀬の周縁をなぞっただけみたいな感触があるんだよね。どこか本気じゃないというか……。本作はランティモスが撮って面白かったがアリ・アスターが撮ってたらもっとクソ長い上に半端に手を出してるだけみたいな結果に終わってた気がするわ。……と、アリ・アスターの映画じゃないのにアリ・アスターが撮った架空の映画の批判になってしまっていた。なんかもはや「アリ・アスターの映画=一見の価値あり、しかしダメ」って感じになってきてるな。
それにこの「陰謀論者の言ってるデタラメだが、実は真実を射抜いていた!」っていう展開、これも地味にこの10年くらいの間で多くない?最初は面白かったが、こうのパターンもういいぜって感じもする。
すみません。映画は面白かったけど特に感想書きたいことないんで短めで終わりです。
やっぱラストのアンドロメダ星人の描写がつまんなかったですね。爆発の後に、電卓に何か打ち込んで次のカットで人類滅亡……で良かった気がする。
そんな感じでした
〈ヨルゴス・ランティモス監督作品〉
『哀れなるものたち』(2023)/赤ちゃん並の知能でSEXしか興味なかった主人公が知識を経て自由意志が芽生えて精神年齢が一気に上がる豪華客船のあたりから一気に面白くなる - gock221B
『憐れみの3章』(2024)/現代文学っぽい嫌コメディが3話。観客に安易に考えさせないよう作ってて大好きです - gock221B
Bugonia (2025) - IMDb
Bugonia | Rotten Tomatoes
Bugonia (2025) • Letterboxd
ブゴニア | Filmarks映画
