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『ブラックフォン2』(2025)/スティーブン・キングっぽさが増した青春ホラー。現代の『エルム街の悪夢』


原題:Black Phone 2 監督&脚本&制作:スコット・デリクソン 脚本&制作:C・ロバート・カーギル 制作:ジェイソン・ブラム 原作:ジョー・ヒル 『黒電話』(2004) 撮影:パー・M・エクベリ 編集:ルイーズ・フォード 音楽:アッティカス・デリクソン 製作会社:ブラムハウス・プロダクションズほか 配給会社:ユニバーサル・ピクチャーズ 製作国:アメリカ 上映時間:114分 公開日:2025年10月17日(日本は2025年11月21日) シリーズ:『ブラックフォン』シリーズ第2作目

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前作『ブラック・フォン』(2022)が制作費の10倍稼ぐ大ヒット。そして作られた続編。
最初に言っとくと、前作『ブラック・フォン』(2022)を「今観たばかりで続けて2観るぞ」って人は問題ないが、前作を数年前の公開当時に観ただけって人は復習が必要かもしれない。
本作は「ただ同じ話やキャラを使って続編作っただけ」という、よくある付け足しみたいな続編じゃなくて、前作での色んなディティールやキャラを総動員して1と2を合体させて更に大きな塊にしたって感じの、いつも真摯にホラーに取り組むこの監督らしい誠実な態度の続編。
それ自体は良いことなのだが、あまりに前作の細部を持ち出してくるので観てて「何だっけそれ?」と疑問が浮かぶ回数が多く、前作を再見……するのは面倒なので一時停止して英語版Wikipedia(映画の内容を全て書いてありがち)で全部確認しなおして観た。
The Black Phone - Wikipedia
前作同様に本作も、制作費の4倍以上の興行収入を記録した大ヒットで、更なる続編はいつでも始められるだろうがデリクソン監督は「1、2を超える脚本が書けた時にのみ3作目をスタートさせる」という誠実な姿勢のようだ。

ネタバレあり

 

 

 

 

前作『ブラック・フォン』(2022)のストーリー

1978年、アメリカ・コロラド州デンバー郊外。
母ホープが自殺して酒浸りになった父テレンスの元で暮らす気弱な13歳の少年フィニー(演:メイソン・テムズ)と霊感のある妹グウェン(演:マデリーン・マックグロウ)。
町で頻発していた連続児童誘拐事件。その犯人である殺人鬼グラバー(演:イーサン・ホーク)によってフィニーと友人ロビン地下室に監禁され、ロビンは殺害される。
そこにあった壊れた黒電話被害者の少年たちの霊から電話がかかってくる。フィニーは、ロビンを始めとする被害者少年たちの霊から教わったヒントでグラバーを殺害、グウェンの予知夢によって警察もかけつけたのだった。

前作から4年後。

連続殺人鬼グラバー(演:イーサン・ホーク)を倒した少年フィニー・ブレイク(演:メイソン・テムズ)は17歳、グウェン・ブレイク(演:マデリーン・マックグロウ)15歳になっていた。
グウェンは亡き母ホープ(演:アンナ・ロア)が若い時に働いていた1957年のワシントン州アルパイン湖キャンプ場で起きた連続児童殺人事件霊夢を視るようになる。
グウェンとフィニー、グウェンに想いを寄せるロビンの弟エルネスト(演:ミゲル・モラ)は、ホープや子供たちに何があったのか調査のためアルパイン湖キャンプ場へ向かう――

そんな話。

それなりに前作を面白く観た自分でもそうだったので、いきなり本作から観た人は更にわからないだろうし、そういう意味で本作は、前作を気に入った人が続けて連続ドラマのように観るタイプの続編だといえる。

アルパイン湖キャンプ場に着くと吹雪で閉鎖、子供たちはキャンプは来れなくなった。
グウェンたち3人の子供とキャンプ場の職員4人は雪山に閉じ込められ、つまりはこの閉鎖空間でグラバーと再戦する事になる。
霊感があり心の強いグウェンは過去の亡き母や無惨な死体となった1957年の子供たちに何があったのか突き止めようとする、前回は兄フィニーだったが今回は完全にグウェンが主役になっている。
前作主人公フィニーはグウェンが心配で付いてきた。彼は監禁されて被害者の霊に助けられ殺人鬼グラバーと対決して殺して脱出……という壮絶な体験をしたため、誘拐される前の気弱な彼とは違い強くてワイルドな少年になった。しかし恐怖の体験へのトラウマがある。今回のフィニーはグウェンをサポートしつつトラウマと戦う。
グウェンに惚れて付いてきた同級生エルネストは、フィニーと共に誘拐されて殺されたロビンの弟(と言われてもロビンの名前も記憶も完全に忘れてた)。
留守番してる兄妹の父テレンス(演:ジェレミー・デイヴィス)は前作ラストでDVを反省して禁酒中。兄妹たちが来たアルパイン湖キャンプ場は若かった頃の彼と母ホープが出会った場所らしい。

前作で黒電話は、被害者の少年たちがフィニーに通話でグラバー攻略のヒントを与えてくれる要素だったが、グウェンは霊感あるので電話じゃなくても寝てたら1957年の母と繋がったり被害者の少年たちからのHELPを受信して少しづつ真相に近づく。
しかしグウェンやフィニーに接触できるのは被害者だけでなく加害者グラバーもそう。
極寒の地獄に堕ちて悪霊となったグラバーは兄妹に自分の悪夢を見せたりして相手が恐怖すれば更なる悪夢を見せたり現実世界でも物理的な攻撃もできるようになる。

前作の原作者はスティーブン・キングの息子らしいが、そのせいか続編の本作も全体的にキングっぽさがある。
具体的に言うと少年少女の青春物語っぽさや、ホラー要素以上にメインキャラクターの人間ドラマが展開されるところ。数十年前が舞台なところ。あと単純に雪山が舞台なところとか……とにかく観ればわかるが凄くキングっぽい。良い意味で。
それと悪霊グラバーは『IT』のペニーワイズっぽいし。
それは「風船を持ってて、ふざけた態度で遊ぶように殺しに来るし幻覚を見せてくる」という恐ろしい要素が似てるわけだが、同時に「実はめちゃくちゃ弱い」というところも共通している。
とにかくペニーワイズも本作の悪霊グラバーも、彼らは「子どもの恐怖心」または「幼い時の恐怖心」をホラーアイコンへと擬人化したキャラクターなので、言い換えれば子供が勇気を出せば倒せる程度の強さでしかない。
必死に悪夢を見せて宿敵フィニーは何とか弱らせた(トラウマに苦しんで大麻に逃げている、そのためグウェンの捜査にも乗り気ではない)感あるが、グウェンは強すぎて支配しきれなかった感ある。
グラバーの攻撃手段は悪夢を見せたり、自分のことを認識した者に幻覚や幻聴でビビらせる。そしてビビらせきったら現実世界でも物理的に攻撃できるようになる。……これは映画を観ての推測だけど。そうでないといつでも子供たちを無限に殺しまくればいいだけだからね。自分のことを知ってる者にしか影響を与えられないようだ。……というか本作の悪霊グラバーは主体的な存在と言うより生前のグラバーに被害を被った者のトラウマ、その擬人化に過ぎないので文字通りグラバーなど居ないようなものなのでね。
グウェンたち生きた人間たちが被害者の少年たちの遺体を発見すればグラバーの魔力は消え去る。魔力を操っても誰一人殺すことはできなかったので魔力を失えばグラバーに勝ち目はない。「我々はか弱い」と言った『寄生獣』の寄生生物みたいなもんで、一見恐ろしいがめちゃくちゃ弱いキャラがグラバーだ。
観る前は「恐ろしい連続殺人鬼が悪霊になって魔力まで行使したら最強やん」と思ってたが、いざ観たら生きてた前作より遥かに弱かった。グラバーはグラバーを覚えてる心の中にしか居ないのでね、現実に実在していた前作より弱いのは当然か。
だが他人から見たら他人の悩みは小さな事に思えるが本人からしたら悩みや、ましてやトラウマは一生かかって戦う敵となる。その擬人化だと思えば前述とは逆の意見だが「グラバーは何よりも強い悪役」という言い方もできる。
「大勢の人の心に影を落とし一生かかっても倒せるかどうかわからない強敵」
「具体的な影響力が小さすぎて誰も殺すことができないしすぐやられる弱い敵」
この相反する要素が同居してるのがグラバーの魅力かもしれない。
どのキャラも魅力あったし、今回も面白い続編でした。ただ最初に言ったように前作を観返すか英語版Wikipediaとかでざっと細部を確認してから観ないとよくわからないところが多い。
「ヒットしたから続編でもう一稼ぎ」というよくあるホラー続編ではなく凄く真面目に取り組んだ続編と言える。この監督のホラーはどれもそういう真摯に取り組んでる印象。だから面白かった前作や主人公兄妹やグラバーを気に入った人は更に楽しめる続編でした。逆に言うと前作にピンと来なかった人は前作の数倍楽しめないので観なくていいかも。
それと誰もが観て思っただろうが、これは現代の『エルム街の悪夢』(1984)だね。

 

 

そんな感じでした

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Black Phone 2 | Rotten Tomatoes
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ブラックフォン 2 | Filmarks映画

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