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『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(2025)/前の映画同様、一時間のドラマで充分だと思った


原作:荒木飛呂彦岸辺露伴は動かない』の第1話『エピソード16:懺悔室』(1997) 監督:渡辺一貴 脚本:小林靖子 製作総指揮:豊島雅郎 撮影:山本周平/田島茂 編集:鈴木翔 音楽:菊地成孔/新音楽制作工房 制作会社:NHKエンタープライズP.I.C.S. 配給:アスミック・エース 製作国:日本 上映時間:110分 上映日:2025年05月23日 シリーズ:TVドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズの劇場版第2作目

 

 

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荒木飛呂彦の漫画『岸辺露伴は動かない』のTVドラマ化が好評で映画化された『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2023)に続く劇場化第2作目。
漫画『岸辺露伴は動かない』(1997-継続中)は、漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』(1992-1995)に登場する人気キャラ岸辺露伴を主人公にしたスピンオフ読み切り漫画『懺悔室』(1997)が発表され(これがこの映画の原作)、その後、単発的に継続されて単行本が第3巻まで出ている。90年代には『懺悔室』だけ2000年代も一話だけ発表され、2010年代以降は発表が増えた。
荒木飛呂彦もこのドラマ&映画化を気に入ったようで、一話限りの登場人物だった泉編集者も漫画でレギュラーキャラになってきた。
ちなみに露伴は現在連載中の『ジョジョの奇妙な冒険 Part9 The JOJOLands』(2023-連載中)にも一瞬ゲスト出演したが、これはあまり知られてない(ジョジョランズとか誰も……ジョジョファンですら読んでないから……)。

で、NHKでそれをドラマ化したら好評で続いてるのがこのシリーズ。

ネタバレあり

 

 

前半は原作の名作『懺悔室』ほぼ、そのまんま。
イタリアはヴェネツィアに招聘された人気漫画家岸辺露伴(演:高橋一生)は、人を本にして過去を読んだり行動を命じられる超能力「ヘヴンズ・ドアー」を持つ。
が教会で牧師と間違えられて仮面の懺悔を聞く。

若かった時の男・水尾(演:大東駿介)が作業員として働いていたが日本人差別で虐げられていた。そこへ空腹で弱った浮浪者(演:戸次重幸)が「もう4日も食べてないから食べ物をください」と言う。水尾は「働いて対価を得るものだ」と言い、自分の分の作業を浮浪者にやらせる(男の理屈は正論だが、ここでのポイントは「自分より立場が下の者が現れたので虐げる側にまわった」というところ)。浮浪者は既に体力の限界だったので階段から落ちて即死する。
浮浪者の怨霊は「俺は地獄より深い絶望の底へ落とされた。お前が幸福の絶頂に至った時、お前を絶望に叩き落とす。お前の顔は忘れないぞ」と水尾に呪いをかける。
水尾はその後、宝くじが当たったり商売が大成功を収めたり買った家の土地が高く売れたり……不自然な成功の連続で努力もせず大金持ちになる。
それは言うまでもなく、浮浪者の怨霊が「幸福の絶頂に至った時に殺す」という呪いの力で不自然に成功させている事を悟った水尾は、決して喜ばず成功を崩したり二番目に好きな女性と結婚したりと、幸福を感じないよう苦慮して暮らしていた。
しかし可愛い娘が出来た時、遂に幸福を感じてしまい浮浪者の怨霊が現れ、ポップコーンを使ったチャレンジをさせられる。
しかし失敗。水尾は呪殺されてしまうが、実はこの水尾は本物の水尾に大金で雇われて、整形手術で水尾の顔にさせられた無関係の男・田宮だった。
今や田宮の顔と名前になった元水尾の田宮(演:井浦新)は「お前の顔は忘れない」と言った怨霊の言葉を受けて顔入れ替え作戦が成功したかたちとなった。
しかし今度は「水尾に整形させられて呪殺された元田宮」も怨霊となり、浮浪者の怨霊と共に田宮に取り憑き「お前の娘が幸福の絶頂に至った時に絶望を与える」と呪いは続行される。
……というのが原作ほぼそのままの前半。露伴は聞いてるだけ。
これ、読み切りが載った当時、荒木の読み切りしかも露伴が主人公ということで活躍を期待してたので「露伴ただ話聞いてるだけ?何だろうこの小話は」とピンと来なかったのだが、年を取れば取るほど「懺悔室」の魅力が染みてきて今では荒木の全作の中でもかなり好きな部類の話になった。
特に、怨霊の呪い「恨んだ相手が幸福の絶頂に至った時に絶望に落とす。だから幸福を感じさせるために呪う相手を永遠のバカヅキ状態にさせる」というのが、本当に自分が年を取れば取るほど凄い!と思うようになった。
「お前を殺す!」でも「お前に子供が出来たら子供を殺す!」でもない、常人はこの辺に落ち着く。
「恨んだ相手が幸福の絶頂に至った時に絶望に落とす」というのが凄みを感じた。更に「復讐したいから、幸福を感じさせるために呪う相手を永遠のバカヅキ状態にさせる」という捻くれたオプションが付いているのが更に凄い。
荒木飛呂彦ってかなり若い時にジャンプの漫画家になってその後もトントン拍子に成功を続け未だに成功状態……(という風にはたからは見える)わけで、そんな感じで若い時から絶頂にい続けてる荒木がこんな呪いを思いついたのが本当に凄い(……荒木はよくパクるので小説か何かのパクリかもしれないが、仮にそうだとしても僕は元ネタ知らないので今はノーカン)。
浮浪者の怨霊は復讐したい恨みの相手に幸運をぶつけまくる、男は喜んだら復讐されてしまうので幸福を感じないようにわざと失敗したり金持ちなのに一番欲しいものではなく大して好きではないものを選んで永遠に暮らす……常に不完全燃焼の状態で生きなければならない。この状態が呪いなのだ、本当に素晴らしい設定。

 

 

そんな素晴らしい原作は映画前半で終わり。
後半は、呪われた男の(演:玉城ティナ)が怨霊達の「幸運の呪い」をどう脱するか、そして主人公の露伴も「幸運の呪い」に巻き込まれて「どうやって娘の呪いを解くか」という問題に巻き込まれる。
露伴はなんかイタリアのカルチャーイベントで担当編集者・泉京香(演:飯豊まりえ)と共にイタリアに呼ばれたのだが、呼んだイベンター(演:Andrea Bellacicco)みたいな男は、娘の婚約者だった。
娘は、父からの「幸福を感じないように二番目の小さな幸せをで我慢しなさい」という徹底的な教育で育ってきたが、一番好きな男性と結婚することになり、このままでは呪いが発動してしまうので男は邪魔しようとする。
露伴は、そんな男の邪魔や怨霊の呪いを何とかするっていうのが後半のストーリー。
露伴には漫画家としてのプライドがあるので「”幸運の呪い”で勝手に漫画が売れまくる」「大当たりの宝くじを拾う」などの「幸運」を屈辱と感じて呪いに対抗心を燃やす。
そんな感じで露伴や「男の娘」を上手く組み合わせたり、露伴が「娘の結婚を成功させた上に呪いを回避する」ことを成功させる脚本は、かなり考えたんだろうな上手いな、とは思ったものの、やはりストーリーは原作である前半で完全に落ちており、上手く考えたなとは思ったものの後半は蛇足にしか感じなかったですね。
映画一作目『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2023)もそうだったんだけど、映画にするために無駄な遅延行為で引き伸ばしてる感がありありで、せいぜい一時間が限界の話だし映画2本ともTVドラマでよかったと思うよ。
何か、長編にして映画にした方が制作費がいっぱい出るとか、なんか儲かるとか何らかの仕組みがあってそうしてるんだと思うが……。
後半でワトソン役の泉くんが「本当に死ぬことが呪いなんですかね?」と言ったのを聞いた露伴が「そうか……」と解決のヒントとなるのだが「殺されることではなく生きて幸運を受けるが喜べない状態が既に呪い本番だ」というのは原作である前半部分でもう充分語られてるんですよね。だから折角の泉くん活躍台詞も「そんなの知ってるが?むしろ天才の露伴は気づいてなかったの?」としか思えなかった。
そんなこと脚本の小林靖子さんは絶対わかってると思うので「近年、大ヒットする邦画の条件が”何でも思ったこと全部台詞で言う”作品ばかりなので、小林靖子さんはアホに向けて後半でわかりやすく台詞にしたんだろうな」と思った。
何も悪いことしてない「娘」が呪いから解放されたのは原作にないポジティブな新要素かもしれない。それに神原作を再現した前半もあるし後半も上手く露伴を絡めてたので『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2023)よりは面白かった。
だけど、このくらいなら次からはTVで良いと思う。このシリーズの原作で、岸辺露伴は敵が強大な神のような存在ばかりでヘブンズドアーを使っても逃走したり傍観する話ばかりなのでドラマなら丁度いいが映画にしても大してクライマックスが盛り上がらないと思うんですよね。映画2作ともそうだったし。映画にするならクライマックスでいつものやり過ごし露伴じゃなくてヘヴンズ・ドアーで激しいスタンドバトルするなどの工夫が必要だと思う。劇場版『ドラえもん』でだけいつもと違う活躍するジャイアンみたいに。
怨霊の呪いは、サム・ライミ『スペル』(2009)のジプシー老女の呪いは非常に似てるが、『スペル』の場合は老女が責めるだけだから本作の呪いより遥かに劣るんだけど、映画としては老女のハイテンション呪いが面白い『スペル』の方が圧倒的に上だというね。やっぱ映画だから前半、中盤、最後と三箇所で大きな盛り上がりがないと満足感がない。こういう感じなら一時間のドラマでいい。

 

 

そんな感じでした

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岸辺露伴は動かない 懺悔室 | Filmarks映画
Kishibe Rohan wa Ugokanai Zange-shitsu (2025) - IMDb
Thus Spoke Kishibe Rohan: At a Confessional (2025) • Letterboxd

www.youtube.com

岸辺露伴は動かない 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)
岸辺露伴は動かない 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)
岸辺露伴 ルーヴルへ行く (ジャンプコミックスDIGITAL)

岸辺露伴は嗤わない 短編小説集 (ジャンプジェイブックスDIGITAL)
岸辺露伴は倒れない 短編小説集 (ジャンプジェイブックスDIGITAL)
岸辺露伴は叫ばない 短編小説集 (ジャンプジェイブックスDIGITAL)

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