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『バイオハザード』(2026)/クレッガーの作家性とバイオあるあるを両立させてるがどっちも薄かった。『8番出口』にも似てる


原題:Resident Evil 監督&脚本&制作:ザック・クレッガー 脚本:シェイ・ハッテン 原作:カプコン『バイオハザード』シリーズ(1996~) 配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント 制作国:アメリカ 上映時間:94分 公開:2026年9月18日(日本は2026年10月9日)

 

 

カプコンのホラーサバイバルゲーム『バイオハザード』シリーズ(1996~)の8回目の映画化。
原作のゲームシリーズで最後までプレイしたのは『バイオハザード』(1996)、『バイオハザード2』(1998)、『バイオハザード CODE:Veronica』(2000)、WiiUのガンシューティングを他人ん家でやった『バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ』(2007)、『バイオハザード7 レジデント イービル』(2017)、『バイオハザード RE:2』(2019)、『バイオハザード RE:3』(2020)をやりました(ヴィレッジ、RE4、レクイエムはしてない、そろそろやりたい。3と5は途中で飽きて辞めた)。一番好きなのは7、次にRE2、思い出深いのはやはり1、タイムアタックしてた。

映像化、最初のポール・W・S・アンダーソン監督でミラ・ジョヴォヴィッチ主演の『バイオハザード』シリーズ(2002-2016)は6作作られたが、つまんない上に2でジョヴォビッチが超人になったので見るのやめた。仕切り直した7作目『バイオハザード: ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』(2021)、Netflix制作の打ち切りになったドラマ版『バイオハザード』(2022)どちらも普通に物凄くつまらなさそうなので観てない。

監督は、コメディアン兼俳優出身のザック・クレッガー、長編デビュー作、『バーバリアン』(2022)はひっそり配信されてホラー好きに知れ渡った(僕も『バーバリアン』(2022)が一番好き)。続くホラー映画『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)は大ヒットしてホラー好きだけでなく一般的に売れっ子監督になりつつある。そして3作目のステップは人気の版権もの、本作「バイオの映画化」。
これが成功して続けばランクが上がる。有名映画監督!……になる一歩手前。
クレッガー監督は制作中「レオンなどのゲームのお馴染みキャラはゲームで描かれてるので登場させず、モブみたいな一般人が主人公」と言ってて、ゲームの一部ファンから反発を受けていた(ゲームのファンの一部はキャラが好きなので)。
僕はと言うと「バイオのゲームプレイは凄く面白いがメインストーリーが特に面白いわけでもなく、またバイオの主人公たちは強すぎてホラーに向いておらず、過剰に怯えたりヘマさせるとキャラの格が落ちるし使いにくいだろうから、一般人を主人公にするのはアリっちゃアリ」だと思っていた。ちなみに監督が好きなバイオは2、3、4。
『バイオハザード7』の主人公イーサンも「顔のない一般人主人公」だがゲームは過去最高に売れて好評だったし(8でイーサンも超人になったけど)。

本作は全米で公開され大ヒット&超高評価。映画化された『バイオハザード』で評価もオープニング記録も最高……ということで本作は成功、続編も作られるだろう。

ネタバレあり

 

 

🧟🧟‍♀️🧟‍♂️

 

 

STORY
配達員ブライアン(演:オースティン・エイブラムス)は、ラクーン・シティのラクーン・シティ総合病院へと正体不明の医療品の輸送依頼を受ける。
しかしブライアンがラクーン・シティに向かう途中で謎のバイオハザードが発生。
彼は壮絶なサバイバルを余儀なくされる──


主演は『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)でジャンキー青年を演じてた彼。
どっちの役も「ヒーローとなるオーラではないが主人公足り得る雰囲気」という絶妙な感じで「バイオハザードの世界に放り込まれた一般人」キャラである本作主人公にはピッタリ。でも『オブセッション 災愛』(2025)でオドオドした主人公を演じた俳優が、実際には凄く活気のあるイケメンだし、このブライアン役の人も実際には演技の上手いイケメンなんだろうね。なにしろ『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)と本作でしか知らないのでオーラ全開の役を観たことないだけで、筋トレするだけで普通にスーパーヒーローの役できそうだし。
ブライアンは恋人と通話しており、どうやら彼女が妊娠したらしい、ブライアンは変化を恐れて子供が出来ることに躊躇して彼女と険悪な雰囲気。
本作の展開的には「ブライアンが感染者から逃げながらラクーン・シティ総合病院に向かう」というだけなのだが、どうやら「ブライアンは父親になる変化を恐れている」というのが裏テーマみたい。映画後半ではファミリーカーを見て父になることを逡巡していた事を彼女に反省するシーンがあったり「感染した産婦人科」も出てくるし、それがブライアン個人のテーマであることは明白だ。
そういう意味では「”逃避”をやめて”父になる事”への現実に向かって出口を探す」『8番出口』(2025)とストーリーが少し似ている。
車で雪道を走ってたら飛び出してきた女性を轢いてしまうブライアン。
血まみれの彼女を乗せて病院に連れて行こうとする。
彼女は当然感染している。通りかかった警官も殺されるのでブライアンは警官の拳銃を拾って彼女の頭を吹っ飛ばす。
すると女性感染者は触手を伸ばし警官の死体と合体しはじめてブライアンは逃げ出す。
どうやら、この世界の感染者は脳をふっ飛ばされて死んでも、死体が這いずったり触手を伸ばして肉片同士が合体して大きくなって追ってくる。
この「最初に轢いてしまった女性感染者」から始まった合体感染者は、中盤あたりで再登場する。他の多くの死体を取り込んで巨大な球状のクリーチャーになっていく。「西部劇などによく出てくる、乾燥地帯で乾燥した植物が球状になって転がる塊」のことを「タンブルウィード」という。この合体クリーチャーは以降も出てくるので本項ではコイツを「タンブルウィード」と表記することにする。
これらの「再生」「合体」は元のゲームには無い要素。
だが「雑魚を倒したら、合体していってボスキャラになる」というのは非常にゲーム的で、ゲーム本編に逆輸入できそうで良いと思った。
助けを求めて入った民家で感染犬に襲われる。「犬」といえば『バイオハザード』(1996)で窓をぶち破って入ってくる感染犬がゲーム初のジャンプスケア的なエポックな場面だった。ブライアンは感染犬と格闘して何とか銃殺。すると感染犬の首があった部分から触手が伸びてきてブライアンは逃走。
どうやら本作の感染生物は「脳を破壊されると活動停止」「脳を破壊されると触手を伸ばして他の死体と合体する」という設定らしい。ジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』(1982)風味を感じる。
助けを呼ぼうと民家に入るが誰もいない。そこでショットガン、ショットガンの弾をGETする。このようにハンドガン→ショットガンと「所持する武器がグレードアップする」「限られた残弾を気にして使わなければならない」といった要素はクレッガー監督が事前に言ってた「お馴染みのキャラは出てこないけど凄くバイオの要素を映画にしたよ」って部分だろう。あと「主人公が一般人なので銃撃が全く当たらない」って要素と「鍵を銃撃で破壊して進みたいが全く破壊できず、”ダイヤの鍵”などの訳のわからない鍵を探さないといけない」っていうのもゲームのバイオ要素だろう。ゲームをやってて一番思うのは「こんな鍵くらい撃って壊せばいいじゃん!」ってところだからね。ついでだから「訳のわからないパズルを解かないと進まない」「施設が広大すぎる」とか徹底してゲームのバイオっぽくして欲しかったが、本作を観る限りゲームのバイオの要素を再現するが、ホラー映画の文脈に沿った範囲内でやるだけで、あまりにありえないゲーム要素は反映しない。って塩梅だった。民家の書斎を開けると机にタイプライターがあったのはゲームのセーブポイントのタイプライター(ゲームの進捗をSAVEできる)を出しましたよっていうギャグだった。
近年のゲーム原作映画、どれも自分結構好きなんですけど、どの作品も「ゲームをした時の体感」が入ってる。そういう感じで本作もバイオやってるゲームプレイ感を盛り込んでる。これは映画観る前に聞いてたから想像はできてたけど、正直もっとやってほしかった感はある。
話を戻し、民家で感染している住民に襲われて銃で撃退。すると窓から外を見ると、自分がクラッシュさせた車のところから絶叫しながら民家に向かって走ってくる女の感染者がいる。ブライアンは震えながらショットガンの弾を込める、女感染者は民家に入って来て走り回りブライアンの居る部屋に全速力で走ってくる音がする……そして入ってきたのでショットガンでぶっ殺す。
このシーンは本作で一番良かったかも。
というか洒落怖で似た話あるよね?双眼鏡で見てたら遠くから走ってくる奴がいてドアをドンドンされる話。決まったタイトルはなく「双眼鏡」「猛スピード」「変わった趣味」など色んなタイトルになってるやつ。あれを思い出した。これインパクトあって好きな怪談だったんだよね。
【洒落怖】双眼鏡見たもの : 【洒落怖】洒落にならない怖い話まとめ

ブライアンはその後、感染女児に噛まれて感染してしまう。これでもう逃げれば済むという話ではなく治療しなくてはならなくなった。
その後、追いかけてきたタンブルウィードから逃げていると、武装した二人組に助けられる。
警備兵に護られたアンブレラ社の科学者(演:ポール・ウォルター・ハウザー)。アンブレラ社は政府向けに生物を急速に進化させる薬品を開発して、この研究者はそれを落してしまい、あっという間に被害が拡大してしまった。そこでブライアンに運ばせている荷物が必要だった。その中身は、この進化(というか単なるモンスター化)を鎮める治療薬を完成させる安定剤だった。
研究者と警備兵はタンブルウィードに殺されて取り込まれ、ブライアンは警備兵のマシンガンをGETしてタンブルウィードから逃れ、ラクーン・シティ総合病院へ向かう。
治療薬を完成させないと感染した自分も死んでしまうので行くしかない。

 

 


……というのが第二幕までで残りはラクーンシティ総合病院でのクライマックス。
あらすじ全部書いてもしょうがないのでやめるが、全体的に面白かったです。
ただ、全体的に展開がかなりゆっくりで感染者との戦闘が少なすぎるかな?
というのも映画観る前から、どんな感じで展開して終わるか大体わかるじゃん。
「人が化物に変わるバイオハザードが発生して主人公が色々サバイバルする物語。その原因はオカルトではなくアンブレラ社の薬品由来というSFホラー」って知ってるわけじゃん観る前から。その割にはブライアンが最初の感染者に遭うまで結構長いし、以降も感染者やクリーチャーにコンスタントに遭っていくのだが、もう少し頻度が多くても良かったかも。
それと「会敵が少ない」と感じた理由を今考えたけど、感染者やクリーチャーに殺されるシーンが結構少なかったからかもしれない。「既に感染している」っていう場面ばかりで、生きてる人間が「やめろ!こっち来るな!うわあ!」と、感染者やクリーチャーに殺される場面が凄く少ないんですよね。アンブレラ社の科学者くらいか襲われたの。
だからブライアンが移動中に町の人が殺されるシーン入れるとか、あるいはブライアンに配達員の同業者が居て殺されるとか、そういうやられ役が欲しかった。
それとクレッガー監督が事前に言ってた「人気キャラは出さないが、ゲームプレイでよくある要素を盛り込む」という要素。これも割と良かった。
「素人なので銃撃が命中しない(=ゲーム初心者は上手くヘッドショットできない)」「銃弾が限られているのでバンバン使ってたら無くなる」「鍵が頑丈すぎて銃撃で壊れない」「銃撃どころか車両で体当りしても車の方が壊れる」「鍵は”ダイヤの鍵”などのふざけた鍵で解錠する」「感染した少女」「民家や地下などをサバイバルしつつ最終的には研究所でラストバトル」「最後に超強力な感染者が登場」とか、上手く映画に盛り込めてました。
だけど「素人だから命中しない」とか残弾管理などのゲームプレイっぽい要素、これかなり期待してたんですけど、やはり会敵がそんなに多くないしピストル→ショットガン→マシンガンと、弾が切れる前に強力な武器をGETしていって弾が切れるのは本当に最後の敵がいなくなった後だからね。実質「最後まで弾は切れませんでした」って事になる。一度「完全な弾切れ」を見せて緊張させてほしかった。
民家あたりで「ピストル撃ち尽くしちゃって丸腰で感染者じいさんに追いかけられて包丁とか、その辺の物でじいさんを倒すが窓を見ると遠くからオバサンが走ってくる、それで震えながらショットガンの弾を込めて倒す」とか「地下道で感染ネズミにマシンガン全部使っちゃって病院まで感染者だらけの中、丸腰で行かなきゃいけない」とか、そういう丸腰になるシーンを一個でも入れて「弾は大切に」感を高めてほしかった。
一方で、クレッガー監督が入れ込んだオリジナルのビジョン、これは良いシーンが多くて良かった。
前述の、民家の2階から目が合って凄く遠くから走ってくる女感染者という洒落怖っぽいシーン。地下道に座ってる異常な白い肥満体の死体。左右のビルの屋上から次々と飛び降りてくる感染者の群れ。感染者が死体を取り込んで巨大な球体になって追いかけてくる。これらは冴えており、監督が見せたかったビジョンなんだろうなと思った。
「酸を嘔吐する感染者とその顛末」「感染者の群れを使ってタンブルウィードと戦う」この2つもゲームでありそうな場面で良かった。
そういう感じで「『バイオハザード』のゲーム要素と監督のビジョンを両立させる」というのは一応できてる気がする。
でも公開前に一部に叩かれてた「クレッガー監督は『バイオハザード』フランチャイズを使って自分が作りたいホラー映画をやりたいだけでは?」というのは本作を観て、なかなか面白いと思いつつもそう思いましたね。
何度も書いたように、確かに『バイオハザード』あるあるを作中に取り入れてる。
でも正直けっこう薄かったかも、観る前はもっと『バイオハザード』やってる感が強いと思ったけどそれほどでもなかった。過去作には本作でのバイオあるある感すら無い只のつまんないゾンビ映画でしかなかったので、過去作に比べるとかなりの前進だけどね。
またクレッガー監督は「一般市民が主人公のDCU映画」をジェームズ・ガンに売り込んでいたりして、何というか巨大IPに潜り込んで大きくなろうとしてる感じがある(もちろん面白ければ何でもOKだ)。
でも、やっぱクレッガー監督は、自分が撮りたいホラー映画を撮るにあたって『バイオハザード』を借りた、借りたからにはバイオあるあるやバイオでありがちな展開を盛り込んだ、だが「バイオ映画化」より「自分の映画を撮りたい」のが真の目的だから、その2つを両立させて「まぁまぁな映画が出来た」という印象だった、というのが僕の推測。
「バイオ映画化」としても「クレッガー監督の作家性を観る」どっちも割と中途半端だったと思う。『バーバリアン』(2022)の方が面白かったし『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)の方が作家性出てたしね。
でも怪獣映画的な結末とか、彼がやりたくて盛り込んだ新鮮な要素とか、全体的には面白かったんだけど『バーバリアン』(2022)→『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)→本作……と回を増す毎にインパクトが減ってきてて、本作に至っては割と普通にそこそこ面白いゾンビ映画でしかないよね。面白いのでそれで充分という考え方もあるがデビュー作『バーバリアン』(2022)観た時は「最高!鬼才あらわる」って感じだったのが、メジャーに近づくにつれてどんどん平凡になっていく……というホラー映画監督でありがちな流れになってますね。
また『バーバリアン』(2022)と『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)では時系列シャッフルが面白くしてたが今回はそれは封印してたな(というか飛び道具なのでもう止めたほうが良い。『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)に至っては時系列シャッフル要らなかったし)。
そういう感じで、クレッガー監督の作家性が出た独自のシーンもあるしバイオあるあるもほどほどにあって楽しく観れたんだが、観る前の期待と比べると「この程度?」って感じは否めなかった。
大ヒットしたから続編は確実なので次は前述の「被害者の増加」「弾切れシーン追加」を期待したい。というか「有名キャラ出さずにバイオあるあるを表現する」が、この程度なら、次からは普通にレオンなどの人気キャラ出した方が良い。

 

 

そんな感じでした

〈ザック・クレッガー監督作〉
『バーバリアン』(2022)/謎の隠し方と語る順番とミスリーディングが面白すぎる - gock221B
『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)/本来面白いと思うのだが『バーバリアン』を先に観てると展開が読めるのでハードル上げず観た方が…… - gock221B

 


 

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『ランタンズ』〈シーズン1〉(2026) 全8話/ジョンが数々の負の継承を断ち切り、ハルから希望の緑の光を継承する


原題:Lanterns〈Season.1〉 ショーランナー&製作総指揮&脚本:クリス・マンディ 製作総指揮&脚本:デイモン・リンデロフ、トム・キング 製作総指揮:ジェームズ・ガンほか 原作:DCコミックス『グリーンランタン』(1940-) 製作会社:DCスタジオ、HBOほか 配信サービス:HBO Max(日本はU-NEXT→Amazon Prime Video、Hulu) 制作国:アメリカ 各話約57分、全8話 配信開始日:2026年8月16日~10月4日 シリーズ:DCUのTVシリーズ第3作目

 

 

ハル「輝く太陽の下 漆黒の闇の中 いかなる悪も見逃さん 悪を崇める者よ 我が力を恐れよ グリーン・ランタンの光を」

💍ワーナーのDCコミック原作のシネマティック・ユニバース”DCU”のドラマ。
DCUは映画『スーパーマン』(2025)は高評価&ヒットしたが2本目の映画『スーパーガール』(2026)が大爆死で早くもピンチ(僕も観に行かなかった、予告が凄くつまんなそうだったので……)。来年の映画『マン・オブ・トゥモロー』(2027)が大ヒットしないとヤバい。
そんな中「『グリーン・ランタン』のドラマ、しかも『トゥルー・ディテクティブ』風の犯罪ミステリー」っていう変化球で「大丈夫かな?」という雰囲気ではあった。

💍「グリーン・ランタン」はDCコミックの中で3~5番手くらいのメジャーなヒーローなのだが、デッドプールでおなじみのライアン・レイノルズ主演の『グリーン・ランタン』(2011)が本当に真のおもんなさ……子供だましof子供だまし、しかも爆死。ってことでワーナーは「グリーン・ランタンとかダメだ!」と封印された。
「悪いのはお前らが作った映画『グリーン・ランタン』が駄作のせいだろ」と思うのだが大手映画配給会社はそういうところがある。以降も『マン・オブ・スティール』(2013)から始まった(そして人気が落ちてゴミみたいに終わった)前回のDCコミック原作のシネマティック・ユニバース「DCEU」でもグリーン・ランタンは全く出てこなかった。『ジャスティス・リーグ』(2017)(駄作)にランタンが出てこないのは勿論、ザック・スナイダーがディレクターズ・カット版に編集し直した『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(2021)(こっちは面白い)にも、ザックは本作に出てくるジョン・スチュワートを出そうとしたがワーナーに「グリーン・ランタンとか出すな!www」と没にされてしまった。だがDCEUではないアニメ映画などではグリーン・ランタンがちょいちょい出てきていた(このページ下部参照)、ワーナー上層部はアニメとか観てないので割と自由な世界だからだ。
『グリーン・ランタン』(2011)主演ライアン・レイノルズがMARVELで『デッドプール』シリーズをヒットさせたのは御存知の通り。『デッドプール2』(2018)の劇中でタイムスリップして「映画『グリーン・ランタン』(2011)の台本を受け取ったライアン・レイノルズ自身を銃殺」するなどして弄った。またDCもアニメ作品などで何度かグリーン・ランタンが「俺の映画の話はするな」と言ったり自虐ギャグに使われていた。
そんなことの繰り返しで「グリーン・ランタン=つまんない、ダサい」という感じになってしまった。つまらないのは、あくまで映画『グリーン・ランタン』(2011)だけなのに「グリーン・ランタン=つまんない、ダサい」というイメージになってしまったのは何か可哀想な気もした。

💍原作、僕はというとジェフ・ジョンズ期だけ読んでたが、凄く面白くて好きだった。
原作コミック『グリーン・ランタン』やその設定とかキャラを語ったら長くなるので「何千人もグリーン・ランタンがいる宇宙警察のうち地球圏を担当してるのがグリーン・ランタン」と、雑な一言で説明を終わらせておこう。

💍映画『グリーン・ランタン』(2011)から15年も経ったってことで、もう誰も覚えてないだろうって事で久々に実写作品が作られたのが本作。
とはいえタイトルは「ランタンズ」、内容も殆どパワーを使わない犯罪ミステリー作品という捻りが効いた作品って事は、ワーナー内で「グリーン・ランタン」はまだ鬼門なのかな?と思わせる。
……っていうことは、『スーパーガール』は今後10数年くらい単独作が制作されないだろうって事になるな。可哀想に。
そういえば本作に先駆けて映画『スーパーマン』(2025)でガイ・ガードナ-/グリーン・ランタンが活躍した。続けて『ピースメイカー』〈シーズン2〉(2025) でもガイが出た(ジェームズ・ガンはガイを事ある毎に出していきたいらしい)。

ネタバレあり

 

 

💍

 

 

STORY

宇宙の平和を護る組織グリーン・ランタンの訓練生となったジョン・スチュワートは、奔放なベテランであるハル・ジョーダンに日々振り回されていた。
2人は、アメリカの田舎町ラッシュビルで起きた殺人事件を追ううちに、地球を舞台とした巨大な陰謀へと足を踏み入れていく――

物語は、主人公のハル・ジョーダン/グリーン・ランタン(演:カイル・チャンドラー)とグリーン・ランタン訓練生、ジョン・スチュワート(演:アーロン・ピエール)が、2016年(過去)、2026年(現在)と、2つの時代、共にネブラスカ州ラッシュビルで起きた事件を追う。


2016年
ハル・ジョーダンは太陽系や地球で80年代からスーパーヒーロー活動しているグリーン・ランタンで、ハルの存在は勿論「銀河系平和維持部隊グリーン・ランタン」のことも全て地球で報道されて周知されている。この世界でハルは大御所有名人くらい有名。
ジョン・スチュワートは、グリーン・ランタン創設者である上位的存在の異星人ガーディアンズ・オブ・ザ・ユニバースによってランタン訓練生に任命されてハルに着いてきた。
何の変哲もない田舎町ラッシュビル。高校のアメフト試合で銃乱射事件が起こり、ハルは「敵性異星人が絡んでいる」と、ガーディアンズに無断で捜査を始める。
容疑者は、他人に化けることができてグリーン・ランタンの技術でも変身を探知できない異星人だったが自爆してしまった。ハルとジョンはラッシュビルに滞在し捜査を始める。面倒事を嫌う現地のケリー・ケイン保安官(演:ケリー・マクドナルド)はハルの滞在を疎ましく思う。

2026年
ジョンはケリー保安官に呼ばれて10年ぶりにラッシュビルを訪れる。
するとハルがアメフトのスタジアムの客席で頭を撃ち抜かれて死亡していた。

……というのが第1話。
2016年に何があったのか?10年後、ハルを殺したのは誰か?
そういう物語。

 

 

💍ここで、この”DCU世界”の前提となる設定

〈スーパーヒーロー〉
この世界では、18世紀頃からメタヒューマン(超人)が登場し始め、彼らに影響されて特殊能力を持たない人々も犯罪と戦う自警団ヒーローとして活動してきた長い歴史があり、スーパーヒーローやスーパーヴィラン、怪獣や怪物などは世界の常識となっている。


〈グリーン・ランタン〉

宇宙の上位的存在ガーディアンズ・オブ・ザ・ユニバースによって設立された銀河系平和維持部隊グリーン・ランタン。何千人もの異星人で形成されており本部は惑星オア。
グリーン・ランタンの武器パワーリングは意志の力で緑の光を操る。エネルギーが切れると使用不能になるためランタン型パワーバッテリーでチャージしなければならない。

グリーン・ランタンは既知の宇宙を無数のセクターに分けて護っており、ハル・ジョーダンは、セクター2814(太陽系周辺)を1980年代から30年間守護してきた地球人唯一のグリーン・ランタンだった。
2026年現在でその担当はガイ・ガードナーになっており、彼は地球のヒーローチーム”ジャスティス・ギャング”のメンバーでもある。

とはいえ、別に知らなくても視聴に問題はない気がする。

 

 


このドラマは幾つも優れた要素があるが第3話での、ジョン・スチュワートのオリジンや彼の物語が最も素晴らしい要素だった。
グリーン・ランタン地球人第一号は実はハル・ジョーダンではなかった。
グリーン・ランタンは、僅かな意思を持つパワーリングが「意志力の強い知的生命体」の元に飛来し「恐怖を感じるか?」と訊き、恐れない者をグリーン・ランタンに任命する。
地球に飛来したリングはハルの前に、ジョンの父、ジョン・スチュワート・シニア(演:J・アルフォンス・ニコルソン)の元に訪れていた。
ジョンが生まれたばかりの頃だったがジョン父は恐怖を感じてしまい、グリーン・ランタンになれず、次に選ばれたハルが「宇宙のスーパーヒーロー」として名を馳せた。
ジョン父の立場や生活だけを客観的に見ると、彼は現状維持のまま何も変わっていない。しかし「黒人男性の自分は恐怖を感じて候補から落選した」「そして次に白人男性ハルが選ばれて英雄となった」この事がジョン父の心に一生消えない深い挫折感を刻みつけた。
後日、ジョン父の妻でジョンの母、バーナデット・スチュワート(演:ジャスミン・セファス・ジョーンズ)は、グリーン・ランタン創設者ガーディアンズのリアナ(演:ローラ・リニー)に訪問される。グリーン・ランタンに漏れた地球人が精神を病むことが多いためアフターケアで訪問しているらしい。また「リングがグリーン・ランタン適格者を選ぶシステムに問題があり、ガーディアンが選ぶことになった」と言う。
ここでバーナデットが「黒人が突然、侵入されて”怖いか”と言われたらどんなに怖いか、異星人の貴女にはわからない」という台詞がパワーありすぎて素晴らしい。
ジョン父は落選だったが生まれたばかりのジョンにチャンスが与えられる。
リアナ「ジョン(父じゃなく本作主人公のジュニアの方)を”恐れを知らない者”に育てることができればジョンをグリーン・ランタンに選びましょう」
新たな呪いが生まれた。
かくしてジョン両親は、ジョンを”恐れを知らない子”に育ててグリーン・ランタンにするべく過酷に鍛え上げる。
ジョンを、兄弟2人とは別に特別扱いして基本的には愛してはいるのだが、危険地帯に置き去りにしたりウィリアム・テルごっこ(頭にリンゴを置いて銃撃)したりしてジョンを恐怖に強い子へと虐待的な教育を施す。
そして”恐れを知らない子”へと虐待まがいの鍛えられ方しているジョンが時には両親にウィリアム・テルして両親の恐怖をも試したりして……。
ジョンは恐れを知らない成人黒人兵士となりハルとの思いがけないバッティングがあったりしつつ、遂にガーディアンに選ばれる……このジョンのオリジンを描いた第3話は本当に素晴らしかった。
そしてジョンが両親から継承した訳のわからないもの、これはただジョンの素晴らしいオリジンを描いただけではなく、本作の他の優れた要素「ハルの血統」「マンハンターの血統」などの「親から子へ継承されてしまった呪いを、如何に断ち切るか」といった部分が本作の芯の部分であり最も優れた部分だった。
第7話はハルの幼少期と「ジョーダン家の男は代々、タフだが誰にも弱みを見せられず自壊する」という負の継承の話。「ハルは自殺したのか?」と思わせつつラストカットでハル少年が投げ捨てたボールを拾うカットで終わり「そうじゃない、ハルは自殺しなかったよ」と無言で示すのがめちゃくちゃオシャレ。
このドラマは面白かったが、ジョンのオリジンを描いた第3話と、このハルの内面に迫った第7話が特に素晴らしかった。
そして最終話、殺人事件の犯人と、犯人もまた「負の継承」に苛まされていたというクライマックス。ラストバトルは無く、ジョンが説得し殺人事件の犯人を見つける。
そして「負の継承」ばかりだった本作において、ジョンが犯人の「負の継承」の呪いを断ち切る。それによってハルからジョンヘと、ようやく希望に満ちた継承が成される…… 非常に静かな最終話、これも素晴らしかった。
そういえば妙にアリシアにそっくりな少女マギー(演:ハンナ・クリスティン・シェトラー)は普通のウェイトレスだった。だが彼女の表情を観て「大金じゃなくて人の心が欲しかっただけなんだ」と思った。彼女は可愛いしシーズン2で再登場して欲しい。




だが、何から何まで最高だったわけでもない。
とにかく制作費が足りないので「できるだけパワーを使わず捜査しなければならない」という制約があるので「ハルは怪獣とタイマン出来るほど強いのに何で、何回も牧場の普通のオッサンに捕まってるんだ?」「ハルは何でパワー使ってないのに常に残量数%しかないんだ?」「リングを付けたジョンが転倒してすぐ奪われるの間抜けすぎないか?」「ケリー保安官の発砲、衝動的すぎないか?」など序盤から中盤にかけて疑問が湧くことが多かった。
それらは勿論、ハルがパワー全開でゴリ押ししたら話にならないので「牧場のオッサンはマンハンターの超技術でグリーン・ランタンを封じる闇を放つ銃を手下に持たせてる」とか色々言い訳を考えてはいるのだが、それでも少し疑問が多い。
ハルもジョンも話の都合に合わせて唐突にやられてすぐ捕まるし。
それと、物語の進行に合わせて情報が少しづつ公開されていくのだが「何でシネストロ(演:ウルリッヒ・トムセン)が惑星オアで反乱を起こしてガーディアンを殺害してハルが収監したって事が地球で知れ渡ってるんだ?」とか「この世界のマンハンターは何が出来て、何が出来ないのかを最初に教えてくれないとよくわからないよ」と、観ててハテナが多かった。特にシネストロのことが知れ渡ってるのは未だによくわからない。ハルがわざわざ「オアでこんなことがあってね」とか、わざわざ地球のジャーナリストに話してたのか?それと「ゾーイ/マンハンター(演:プールナ・ジャガンナサン)はラッシュビルのために長年いいようにしてきたっぽいけど、異星人とかハルが追求してきて応戦するのはわかるけど、何で町を爆撃して皆殺しにしようとしたの?」というのがよくわからなかった。最終話まで見るにつけ「惑星の発展のために尽くすがダメだと思ったら皆殺しにしてしまうのがマンハンターの性(さが)らしいから、もうだめだって思ったら狂ったのか?」と受け取ったが、ゾーイはかなり理性的な人に思えたのでイマイチよくわからないんだよね。それでいて内心疲れていて殺されたがっていたし。とりあえず物語がそう語るので「ああ、そうなのね」と受け取るしかない。
だが前述の、本作が描くジョンやハルが「負の継承」を断ち切るくだりが素晴らしすぎる。だからちょっと変なところあっても、まぁいいかと思えて感動できた。基本、毎回の満足度も高くて面白かったしね。
特に、ジョンが実家に帰宅して母と再開するラストは本当に感動して泣いた。
「負の継承」を断ち切ったジョンが、母を「俺を恐れを知らない子供に育てた母は、俺を失い自分の世界が終わってしまうことを誰よりも恐れていた」と心底理解し、そして許す……そしてグリーン・ランタンが誕生する。素晴らしいジョンのオリジンだったわけだ。せっかくカイル・チャンドラーの中年ハルが良かったからもっと観たかったぞ、キャロル・フェリス/スター・サファイヤ(演:エイミー・マッケンジー)も……。
だがDCUが続けばパララックス化とか『ブラッケスト・ナイト』とかでハルは絶対再登場すると思うので何としてでもDCUは続いて欲しい(特に『ブラッケスト・ナイト』でブラック・ランタン化は絶対にやりたい展開だと予想してる)。

グラント・モリソン(DCの天才ライター)は第1話を観た後「『ランタンズ』第1話、面白かったけど『グリーン・ランタン』は『スター・ウォーズ』に匹敵するスケールの物語なのに、こんな地味な探偵物語になるのかよ」みたいな内容のことを呟いており、気持ちはわかるし僕も原作みたいな壮大な『グリーン・ランタン』実写を観たいが、物事には順序がある。冒頭で書いたようにワーナーからしたら「グリーン・ランタン」の実写なんて作るのが怖いわけで。だから『グリーン・ランタン』って名前を伏せて『ランタンズ』にして、緑の光を迸らせて宇宙を飛び回ら……せず私服の男二人が地面を歩き回る犯罪ミステリーに仕上げて……と、偽装に偽装を重ね、やっと『グリーン・ランタン』実写ドラマが制作できた、モリソン先生はその辺の事情が見えてないと思った。
本作は好評だし視聴数も多く、まずは一歩前進。モリソン先生やファンが望むスペースオペラ的な『グリーン・ランタン』実写化は今後のDCUに期待したい。
本作のジョンが物凄く好きになったので絶対に活躍が観たい。
まずはガイ共々、来年の『マン・オブ・トゥモロー』(2027)に出てくるらしい。
そこではパワー全開のジョンの大活躍を期待したい。
そして本作のシーズン2の制作が開始されたらしい。楽しみです。
DCU次回作は今月……10月30日公開『クレイフェイス』(2026)。どんなもんでしょう?
ワーナー買収とかあったけどジェームズ・ガンは何とか残った。DCU何とか続いていって欲しい。

ジョン「明るき昼も 暗き夜も 恐怖を受け入れ 正しい道を行く このリングを選ぶ この戦いを選ぶ このランタンの光に仕えるために」

 

 

そんな感じでした

〈ガイ・ガードナーが出てくるDCU関連作〉
『スーパーマン』(2025)/100点でDCUスタート。ジミー・オルセン最高 - gock221B
『ピースメイカー』〈シーズン2〉(2025) 全8話/楽しかったがガンの感情が作品を完全に追い越しておりウェットすぎて戸惑う - gock221B


〈違う世界線のグリーン・ランタン関連作〉
『グリーン・ランタン』(2011)/確実につまらない - gock221B 
『グリーン・ランタン エメラルド・ナイト』(2011)/主人公ハルは何もしなかったり異常に贔屓されてる女性サブキャラたちが気になるが良作 - gock221B

〈グリーン・ランタンが少し出てくる作品〉
『レゴバットマン ザ・ムービー』(2017)/確かにバットマン映画の中で一、二を争う傑作だった - gock221B
『DC がんばれ!スーパーペット』(2022)/動物とDC好きな人なら全編感動しながら観ることになる「レゴ®バットマン」のジャスティス・リーグ版的な理想的なDC映画 - gock221B
『ティーン・タイタンズGO! トゥ・ザ・ムービー』(2018)/ほぼ全編ギャグだけどDCEUのどの実写映画よりグッと来ました。マリオの映画の監督&脚本だけあって全体的に似てた - gock221B
『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』(2025)/前作は大嫌いだったが今回は良かったです。その違いは何か - gock221B



 

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『リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習-』〈シーズン2〉(2025) 全6話/”モハベ砂漠の奇跡”


原題:The Rehearsal〈Season.2〉 監督&脚本&企画&製作総指揮&主演:ネイサン・フィールダー 脚本&共同製作総指揮:エリック・ノタルニコラ、キャリー・ケンパー、アダム・ロック=ノートン 制作会社:ブローアウト・プロダクションズ 配信:HBO(日本はU-NEXT→AMAZONプライムビデオ、Hulu) ランタイム:27~58分、全6話 制作国:アメリカ 放送開始日&配信開始日:HBOで放送、同時にHBO maxで2025年4月20日~2025年5月 25日(日本は2025年4月21日にU-NEXT独占配信→2026年10月1日からAMAZONプライムビデオとHuluで配信中)

 

 

シーズン1観て面白すぎてシーズン2も一気に観ました。
番組の特色や、監督&主演のコメディアン・ネイサン・フィールダーについてはS1記事で書いたので省略……。

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ネタバレあり

 

 

✈️

 

 


シーズン1は、番組紹介的な内容の第1話のあと「子育てのリハーサル」を行い、その結果「リハーサルで人の行動を予想すれば、他人の心はわかるのか?」といったテーマを突き詰めるような内容だった。
シーズン2は、がっつり旅客機墜落事故について。
「コックピット内の機長と副機長のコミュニケーションについて」。
どちらも”人の心”に関することだ。

ネイサン・フィールダーは、墜落した航空機のブラック・ボックスの記録を調べて「副操縦士は降格を恐れて、機長に異議を伝えることができない」「伝えたとしても機長が副操縦士の提言を無視して惨事になる事が妙に多い」そういったところが気になっていた。
でも、何でこんなことを調べてたんだろう?近親者が墜落したわけでもなく……と思うが、それは最終話でわかる。

✈️この番組の特色といえば、大勢の俳優と巨大セットを使った「そこまでやるか」って感じのリハーサル空間。
今回の巨大セットは、まず180℃モニターで操縦や墜落を再現できるコックピットでのフライト・シミュレーター。コックピット内での問題を語るために使う。
そしてシーズン1の第1話で作って、ネイサンが気に入った”トリビア・バー”を取り壊すのが忍びなくなったのか”ネイサン空港”の片隅に設置し、自身の演技の生徒たちをバイトさせ、副操縦士や機長を招く。このトリビア・バーはもはやサブキャラ。その他にも様々なセットが登場する。


第1話
では、ある空港を巨大セットで再現(空港内の店なども含め)、俳優70人を忍者のように放って空港の機長や副操縦士や空港職員、空港にあるチェーン店の店員まで完全にコピーして配置して、オリジナルの空港を完全再現した。コックピットと、この”ネイサン空港”は、機長と副操縦士のやり取りをリハーサルするために作られ何度も使われた。
「フライト前に副操縦士が機長と話す機会がないのでコクピット内で上手く物申せない」という副機長ムーディをコックピット内に恋人と乗せる。するとムーディは微妙に恋人に対して尊大な態度になる……という妙に後味悪い結果となった。

第2話、架空の歌唱コンテスト番組を開催。膨大な希望者を集めて面談。「なんで旅客機の問題で歌番組オーディション?」という感じだが、これはネイサンがコメディアンになる前、カナダのTV局でゴッド・タレント的な番組でプロデューサーの下で働いていた過去があり「何百人もの人に不合格を告げるのは辛かった」と思ったという。だから「副操縦士は機長に進言しにくいのでは?」という持論を固めるために副操縦士を集めてオーディションの審査員にする。そして「どの副操縦士がオーディション参加者を傷つけず不合格に出来るか?」見るためにこのオーディションを開いた。
そして最終話では最後に残った一人が豪華なセットで歌唱を披露する……しかし、それはあくまで「どの副操縦士のコミュニケーションが強いか」見極めるための副産物に過ぎない。
その後、自身の出世作『Nathan for You』(2013-2017)の、ナチスを扱った回を知らない間に削除していたParamount+に抗議するため、ナチス党そっくりに作ったParamount+に異議申立するリハーサルをするが上手くいかない。これは「立場が上の機長に本音が言えない副操縦士」の立場を身を持って知るためのリハーサルだったのだろう。


第3話では「クローン犬を、オリジナル犬と同じ環境で育てれば似たような犬になるのか?」という事が見たくて、オリジナル犬が育った環境を再現する。飼い主夫婦の若い頃を俳優に演じさせ当時の家を当時の場所に作り、当時の夫婦がギスギスしていた事を聞いて夫婦役の俳優に演じさせる。すると半月くらい過ごさせていたらクローン犬はオリジナル犬と同じように飼い猫の真似をしてソファーの縁を歩き「実験は成功」した。
なんでこんなリハーサルを?と思ってたら、クローン犬の実験を活かし、ある検証をする。
ネイサンは、旅客機を川に不時着させて乗客全員を救って有名になってクリント・イーストウッドが映画『ハドソン川の奇跡』(2016)を撮ったサリー・サレンバーガー機長の気持ちを知るため、サリー機長の自伝を読んでポイントとなる箇所をピックアップして巨大セットと俳優を使って再現する。ここはちょっとした本作の中盤の山場になっている。ネイサンは全身の毛を剃りオムツを履いて超巨大な家の中で「赤ちゃん時代のサリー」になる。そして巨大マリオネットの母親に抱っこされて超巨大な乳房から牛乳を直飲みして踊れそうになる。サリーの気持ちを知る上で絶対に必要ない再現だ。
ネイサンのリハーサルは「答えを導き出すためのリハーサル」「具体的な目的はなく、とりあえずリハーサルをぶちかまして何が生まれるか試すリハーサル」「目的には関係ないが番組として面白いのでやっただけ」と、三種類あると思うが、この「赤ちゃんサリー機長」は完全に面白オンリーでやってると思った。
ネイサンはサリー自伝を読んで「サリーは心の内を全く書いていない」事に気づいた。
そこで「機長は免許を失うことを恐れて、カウンセリングを受けても自身の精神的な不調を口にしない」という事の方であろう。”副操縦士の上の権力者”だと思われた機長だが、彼らも”上”を恐れてものが言えないのは副操縦士と同じだった。
ネイサンが本当に言いたかったのはここ。
副操縦士は機長を恐れ、機長は航空会社を恐れ、彼らをリハーサルで検証しているネイサンもTV局や配信サービスを恐れている……我々は皆、何かに怯えて生きている。
話単位だと、この第3話が一番良かったかな。笑いも驚きも感動も全部あった。

第4話、ある気弱な副操縦士コリンに”ザ・パック”と呼ばれる、コリンの言動や動きをトレースする集団を付ける。またザ・パック内の女優エマと親しくなったコリンが、なかなかキスできないので、”コリンの自部屋”を模したセットを5件作り、”コリンとエマ”を模した5組のカップルを俳優に演じさせ、”コリンとエマ”のデートさせる。そして本物のコリンとエマを招いてキスしてもらう。
これは「”役柄”を与えられたら普段、なかなか出来ないこともできるのでは」というためのリハーサル……だったのだが、コリンがいくらシャイとはいえ膨大な制作費と労力をかけてキスするだけというのは……やはり”キス”というのが小規模すぎた。いくらコリンがシャイとはいえ子供ならともかく大人なんだし(しかも欧米人の)。こんなリハーサルしなくても、何度かデートしてたらキスしただろうし。
だからこの回は全12話で唯一「ん?この回必要?」と思った回だった。”ザ・パック”と5つ並んだ部屋はビジュアル的に面白かったけどね。
本作は「ネイサンが”リハーサル”を設定し、ある程度の具体的な結末を決めて、そこに向かう」ときと「”何か思いもよらぬ面白い方向”に進んで、そこから更に面白い展開になるように走らせる」という2パターンあると思うが、この回はコリンが思いのほかおとなしすぎたため、何も起こらず「リハーサル空間でキスできました」という、しょぼい結末にしかならなかったのではないか?僕の推測。

第5話、今までのリハーサルでわかった「コックピット内の機長と副操縦士のコミュニケーション不全」を議会に訴えるため、公聴会のセットを作りリハーサル、しかし上手くいかない。シーズン1が自閉症患者の共感を多く呼んでいた事を知ったネイサンは、自閉症関連団体と提携しあって、自閉症支援している下院議員に取り入ってコックピットの件を語り前回のコリンのリハーサル映像を見せ「……このような”ロールプレイ”(役割を演じること)を、フライト前にすることによって、副操縦士も機長に進言できる」と伝えるが「こんなキスする映像を見せられても……」と門前払いされてしまう。
だが、これはネイサンも最初からNG喰らうこと前提だったように思う。というのも第4話の感想でも述べたが、コリンのリハーサルはファンの僕が観ても「この回だけ弱いな」と思ったし、ネイサンのプレゼン自体も弱い。というか彼ならもっと説得力も訴求力もあるリハーサル映像を用意できただろうし、プレゼンも本当ならもっと上手く出来たと思うが今回は妙に歯切れが悪い。最初から「下院議員へのプレゼンは上手くいかないだろうな」と思って最終話の前フリにしたとしか思えない。これも推測ね。


第6話(最終話)、ネイサンは実は2年間かけて商用パイロット免許を取得していた。
ネイサンは機長、副機長は航空会社のベテラン機長のアーロン、CAや乗客たちは俳優たちがロールプレイし、購入した中古のボーイング737型旅客機で往復するという大規模なリハーサルを行う。
それは今まで検証してきた「機長と副操縦士のコックピット内でのコミュニケーション」を検証する締めくくりだった。機長役ネイサンは勿論この番組の制作者&主演だがパイロットとしては初めて、副機長役のアーロンは機長としてはベテランでネイサンより遥か上だが彼はTVプロデューサを目指しているらしく映像制作者としては遥か下、パイロット的なことではなく「副機長アーロンは番組作りのベテランであるネイサン機長にあまり強く出れないかも」ということで彼と共にコックピット内に入るのは検証に丁度いい。もちろん「最終話で実はネイサンが旅客機を操縦するのが最後のリハーサルだ」というのは番組的な面白さがすごい。150人の観客たちもエマや”アインシュタインでシコった事がある中年女優”やキスのリハーサルでやたらキスしてた女優など、過去回の俳優たちが集まってるのも総決算感あってよかった(ついでだからシーズン1の俳優たちも出て欲しかった気もする)。
第5話で、自閉症関連団体を訪れた際に「自閉症の気があるかも」と示唆されており、今回も不安障害や自閉症の可能性を検出するためMRI脳スキャンを受けた。
第1話でやってた大規模な歌手オーディションで選ばれた女性歌手が、サリー機長が好きだった曲、エヴァネッセンス「ブリング・ミー・トゥ・ライフ」(2003)を熱唱。その途中でメールが届く。フライト前に受けたMRI脳スキャンでネイサンの脳の診断結果が帰ってきた。だがネイサンはそれを見ずに削除する。
「コックピットは誰でも簡単に入れる場所じゃない、だからそこに入れる時点で自分は大丈夫だ」と、恐らくそんな理由の結論だった。ポジティブな自分自身を掴み取る、という意味でシーズン1の結末と似ている良い結末だった。

✈️そして先週、このシーズン2のエピローグのようなニュースがあった。
この『リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習-』〈シーズン2〉(2025) を観ていた若い議員が後押しした、それまで長く下院で停滞していた「航空業界のメンタルヘルス関連法案」が、共和党と民主党の議員によって、下院を通過して上院へ提出され……通過した!
ネイサンが本編でやりたくても辿り着けなかった「議会の公聴会に、”コックピット内のコミュニケーション不和の改善”を訴える」ことが、それを語った番組の影響で実現した(かもしれない)……というのは、これは夢のある話だろう。

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✈️なんか今回は気がついたら劇中の流れを多く書きすぎた感がある。
ま、いいか。
この番組の特色で、そして一番優れているところは莫大な制作費と人員と巨大セットを使った大規模なリハーサル、それをネイサンが何かを閃く前フリにしか使わないことだろう。もしくは面白い場面を作るためか。
そしてシーズン1、2通して、やはり人の心の探求、そしてネイサン自身が自分を掴み取る、そしてそういった内容を描くツールが凄く珍妙な”リハーサル”なのが良かった。

✈️ネイサンの次回作は現在、小児性愛者をリアリティ番組内で捕まえて人気だったMCクリス・ハンセンを扱った映画『プライムタイム』(2026)が大ヒット中のランス・オッペンハイムとの共同監督で、90億ドル規模の医療詐欺を行ったエリザベス・ホームズが、10年間収監される直前の一ヶ月を追った奇妙なドキュメンタリー『You Can See Everything(原題)』(2026)、これは今一番楽しみな映画。ちなみに2作ともA24で『プライムタイム』はネイサンも制作に大幅に助力しているらしい。
エリザベスが行った詐欺と彼女自身については先週書いた以下の記事で。
『アウト・フォー・ブラッド/血液検査めぐる世紀最大の詐欺』(2019)/You Can See Everything - gock221B
更に本作『リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習-』はシーズン3を撮影中で、何を取り扱ってるのかは謎。3作とも今一番楽しみ。

先々週、『You Can See Everything(原題)』(2026)の特報を観て、一気に心を掴まれてネイサンの過去作や関連作とかを追ってる最中。

 

 

そんな感じでした

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Amazon.co.jp: リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習, Season 2を観る | Prime Video
リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習- | Hulu(フールー)

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『リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習-』〈シーズン1〉(2022) 全6話/DIOとプッチ神父が目指した「天国へ行く方法」がここに


原題:The Rehearsal〈Season.1〉 監督&脚本&企画&製作総指揮&主演:ネイサン・フィールダー 脚本&共同製作総指揮:エリック・ノタルニコラ、キャリー・ケンパー、アダム・ロック=ノートン 制作会社:ブローアウト・プロダクションズ 配信:HBO(日本はU-NEXT→AMAZONプライムビデオ、Hulu) ランタイム:27~58分、全6話 制作国:アメリカ 放送開始日&配信開始日:HBOで放送、同時にHBO maxで2022年7月15日~8月19日(日本は2023年3月10日にU-NEXT独占配信→2026年10月1日からAMAZONプライムビデオとHuluで配信中)

 

 

先々週、朝に目覚めてスマホでX見てたら、A24の新作『You Can See Everything(原題)』(2026)がTLに流れていた。

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詐欺で捕まり現在懲役約10年の服役中のエリザベス・ホームズ。彼女が収監される一ヶ月前から撮影されたドキュメンタリー。
この予告編と、エリザベス・ホームズについては彼女が捕まるまでのドキュメンタリー記事に書いたから置いとくとして。

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エリザベスの異様な雰囲気が最初に目に止まったが次に、共演してる男性の表情が良すぎて、そして彼もどこかで観たような……と思って調べたら、この映画で監督&主演のネイサン・フィールダー。
観て凄く良かったんだけど配信が日本でなくなったから感想は下書きに置いたままの『The Curse ザ・カース』(2023-2024)の主演の人だと気づいた。
それで、エリザベスよりもネイサンに興味が湧き、調べたら僕が好きな、現実と虚構を訳わかんなくする系コメディアンだとわかり(といってもそんな人、他にはアンディ・カウフマンくらいしか知らないが……)、ますます興味を持った。『You Can See Everything(原題)』(2026)も多分そういう内容だろうし。
とにかく今一番好きだ。

シーズン1、2共にU-NEXTにあったが、HBO作品は9月いっぱいでアマプラとHuluに移動してしまうので観たい人はそっちで観るしかない。
だから「U-NEXTから消えるから今月中に観なきゃ」と思ってたが面白すぎて全話、数日で全部観た。

ネタバレあり

 

 

👨‍👩‍👦

 

 

STORY
友人に真実を打ち明けたい、母親になる準備をしたい、兄弟の確執を解きたい……という人たちが登場。ネイサンは本物そっくりのセットを作り、俳優を雇い、何通りものシナリオを想定してシミュレーションを繰り返す。
この“リハーサル”の成果は出るのか?

というリアリティ番組のような、コメディドラマのような……不思議な作品。
「事前にリハーサルすれば現実の本番でも上手くいくだろう」というのが本作の趣旨。
”依頼者”が自信を持って現実の本番で行動できるように、現実そっくりのセットを組み、俳優に相手やモブを演じさせ、あらゆる展開予想に基づいて様々なリハーサルを行う。それが、この番組。
こう書くと『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』の「天国へ行く方法」※みたいだな(※自分の未来をあらかじめ知っていることで、何が起きても覚悟して生きられる)。
本作のリハーサル用セットとリハーサル用の俳優の稼働は凄い。ちょっとしたリハーサルで、すぐ家とか店とか本物そっくりに作るし俳優たちの働きも完璧すぎて凄い。「雪が積もった一軒家」を表現するため、その家にだけ雪を積もらせてクリスマスにしたり。

とりあえず”依頼者”と関係者の一部、彼らの反応は本物らしい。
それ以外は……個人的にはほぼ全て脚本通り進んでいると思う。途中、明らかにフィクション全開の瞬間もあるし(滑り台を滑った少年が幼児に若返ったり)、「本物の人間が予想外の行動を取ったのでそれに合わせて本編の流れを変えたんだろうな」という展開もよくある。その境目はくっきりと明らかなわけではないがとりあえず「依頼者と何人かの出演者と突発的な出来事」は本物だと思われる。その曖昧な部分が魅力。

 

 

ネイサン・フィールダーとネイサン・フィールダー

劇中の主人公”ネイサン・フィールダー”
監督&主演のネイサン・フィールダー。カナダ出身のコメディアン&俳優。
劇中での彼は潤沢な予算で大規模なセットや俳優たちを自在に操り、小さな仮想世界を作りそこで飽くまでリハーサルを行う、ここまで来ると「ちょっとした魔法使い」と言ってもいい。
基本的には依頼者のため番組のため献身的に動いてるが、目的のためには手段を選ばず「他人の気持ちなどどうでもいい」かのような手段を取ってキレられる事もたまにある。悪気はないが「人の気持ちがよくわかってない」というソシオパスっぽいところがある……だが個人的に、ソシオパスっぽいところはあくまで主人公”ネイサン”の特徴であって、本物のネイサンはそうではないと思う。
彼は劇中で、首からラップトップを下げており第1話でリハーサルのフローチャートが表示されていたので「そのように使ってるんだな」と真面目に受け止めていたが冷静に考えるとこんな馬鹿みたいな格好する必要などなく「ネイサンが番組を司ってますよ~」という記号……というかギャグだと、観終わって何日か経って気づき、再びラップトップを下げた彼の間抜けな姿を思い返すと可笑しかった。
『You Can See Everything(原題)』(2026)予告編でも彼はわざとらしいインカムを付けており、これもまた「ネイサンが映画を司ってますよ~」という記号……というかギャグだとわかった。本当に映画が楽しみだ。

実際のネイサン・フィールダー
彼の芸風は、決して笑わず真顔でおかしなことを言う……ただし本気の時もある、だからどこまでボケか、どこから本気のネイサンなのかわからない。
「真顔で淡々と面白いこと言う」芸風、欧米では”Deadpan”(デッドパン)というらしい。日本で言うと……あんまり居ないな、板尾創路くらいか、最近だと真空ジェシカの川北茂澄が近い(でも川北は笑う時普通に笑うけど)。
Deadpanだけでなく、ネイサンは「これは冗談ですよ」というサインを出さず役柄から決して降りない。劇中では勿論、インタビューとか他のTV番組に出た時もずっと本作のネイサンそのままのキャラクターのまま素を見せない。
だから変人や天然を装ってる時もあるし変人を装いつつ内心本気の時もある、時には完全に全部本気の時もある、だがその境界線は外からではわからない(大体はわかるけど完全にはわからない)。似た人だと……アンディ・カウフマンとか?だが彼はかなりの変人を演じていた。ネイサンの場合はかなり賢くて話も通じる……でも少し変な人を演じている、そのため、どこからが素なのか外からではわからない。
彼は有名人ではあるが欧米でも「知る人ぞ知る有名人」レベルなのでハリウッドスターほどメジャーではないみたい、だから『You Can See Everything(原題)』(2026)の予告がバズった時、彼をよく知らない人たちは「エリザベスは知ってるがこの男は……この男の雰囲気は一体?彼は自閉症なのか?」と変な感じで話題になっていた。
彼は自分の番組や映画を、自分自身といつも決まった仲間たちと企画して、脚本も書いて主演もしている。
彼の主演作の殆どは本作のように、リアリティ番組とドラマが合体したような、現実と虚構の境目がわからん番組に、実際の彼を少し誇張した人物「ネイサン・フィールダー」として出て自分自身を演じていた。だが、この『リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習-』のシーズン1と2の間に『The Curse ザ・カース』(2023-2024)というエマ・ストーンと夫婦役で出た奇妙なドラマに主演した。彼が完全なフィクションのキャラを演じてるのは初めて観たが凄く演技上手かった。だが自分が知らなかっただけで彼は昔から映画やドラマに出てたしアクター・スクールもやってるので上手くて当然だが……とりあえず日本では無名だったので知らなかった。『The Curse ザ・カース』(2023-2024)も名作だったので、それはまた後日感想書くけども。
彼は、『Nathan for You』(2013-2017)という番組で全米ブレイクした。
本作と非常に似てて、ネイサン本人が色んな困ってる企業や人にあって色々解決する番組だったみたい。本作も殆どそういう内容だし、本作の前身番組という感じらしい。
今これが凄く観たいのだが日本では配信してなくてどうしようもない。彼が映画でも大ブレイクして日本でも配信されるのを待つかサブスクにリクエストでもするしかない。

 

 

第1話

この第1話、恐らく「この番組はこういう内容です」というチュートリアルのような目的で作られている……たぶん。
第1話は、キャラクター「ネイサン・フィールダー」のキャラや本作の「リハーサル」システムを全部見せるし案件の結末まで見せてくれる一話完結の回。
てっきり第2話以降も、この第1話みたいに一話完結で解決していくのかと思ったが、そうではなく第2話~第6話までは長いスパンで一つの問題に取り組みながら小さな問題にも突発的に取り組む形式だった。

第1話STORY
男性教師コールは、趣味のトリビアクイズ仲間に学歴に関する嘘をついたことを悩んでいた。「ある女性の友人にトリビア・バーで事実を告白したい」というコールのために、ネイサンはバーを再現したセットを作る。

依頼者募集に悩みを送ってきたコールの家に訪れたネイサン。
ネイサンとコールは軽快に楽しくおしゃべりし、ネイサンは言う
ネイサン「ここまで僕たち、順調に会話できてたよね?」
コール「ああ、そうだね」
ネイサン「実はこの家のセットを作って、君役の俳優相手に今のこの瞬間の予行演習を繰り返してきたんだ」
工事人を装った番組スタッフがコール宅に侵入し、部屋の内部をデジタルマッピング、本棚の本も撮影し、全て把握する。そしてコール自身を観察した俳優がコール本人を演じ、ネイサンが訪問して「入口のドアについて軽口」「本棚のセックスに関する本でジョーク」など言うことを全て事前に決めてきていた、だから順調に会話が進んでいたのだ。
なんだこいつ……。
だが、コールの家でネイサンが座った椅子が、座ると変な姿勢になる椅子だった。
ネイサン「椅子の再現を怠ったために間抜けな座り方になってしまった。一つも逃さず再現しなければ……」
なんだこいつ……。
だが、この「膨大な金をかけたコール宅の再現」をフリにして「椅子の再現しなかったせいで間抜けな座り方になった」という安上がりなオチ、これは最初からそういうストーリーだった気がする。だが「座ったら思いのほか変な格好だったから本編に活かした」可能性もある。この辺の見極めがつかない、これが本作の魅力だと思う。
また「膨大な制作費で作った大規模なリハーサル空間」は、この椅子のエピソードのようにフリに使われることが多い。「そ、そんな金かけてこの一瞬のためだけに……?」という事が多い。そしてオチになったり解決に向かうものは大規模なセットは関係ないことが多い。とはいえ大規模なセットでリハーサルしてたら、何となくそういう結末に向かった……といった感じで結末に向かうので、やはり必要なのだろう。
最初から計算された脚本なのか、偶然起きたアクシデントを本編に活かしたのか、その境目がつかない。これが本作の魅力。

学歴詐称を女友達に告白したい男性コール。だが共通の趣味(トリビア・クイズ)で繋がってる親友なので、万が一嫌われたらどうしよう……そこでリハーサルしたいってわけだ。
気持ちはわかる。自分が若い時なら……やはり「既に仲いいけど告白したい女友達」でリハーサルしたかったかもしれない。告白したら友達じゃなくなったら……というのはよくあったよね。
そこでコールの女友達を演じる俳優が、現実のコールの女友達に偽のインタビューで会って数時間会話して、彼女の考え方や会話の癖を完全にコピー。
そしてコールが告白の舞台にする予定の、毎月トリビア・クイズ大会が行われるバーを完全再現。ネイサンは前回の椅子の失敗もあったし、トリビア・バーの椅子の破損など、必要なさそうな要素まで全てを再現。バーテンや客も俳優。ちなみにこのバーは巨大倉庫の中にあり、完全に外の現実社会とは隔絶された仮想空間。
ここで、コールは親友役の俳優相手に話すタイミングや会話の組み立てを考える。
ネイサンは相手の返答を何通りも予測しフローチャートを作り、どんな展開になってもコールが展開できるようリハーサルを繰り返す。
万が一「軽蔑されて絶交されてしまった」後に、自宅のベッドで悲しみに暮れるリハーサルまで行わされるコール(ここは明確にコメディとしての演出だと思った)。
親友への告白は順調に進むが、それ以外にもう一つ問題が発生する。
それはコールが趣味で、告白の舞台にも出てくるトリビアクイズにかなりガチであること。別に仕事とかではないが本気でトリビアクイズに打ち込んでいる。
だからコールはリハーサル中も、リハーサル内で出てくるトリビアクイズがわからないと、学歴詐称の告白に持っていく会話が疎かになってしまう事がわかった。
そこでネイサンはトリビアクイズ大会の回答を入手し、しかしコールは大事にしているトリビアクイズの回答など聞きたがらないだろうと判断したネイサンは、思いもよらない方法(ネイサンがトリビアを会話に混ぜるとか通行人を装った俳優がトリビアを大声で話してるとか色々)でコールにインプットする。これは凄く可笑しい。だが「コールはクイズの答えを聞きたがらないだろう」という事はわかるのに、勝手に黙ってコールの脳にインプットはしてしまう……このネイサンのズレているポイント、目的のために他人の心などどうでもいいと突っ走ってしまうところ、実はネイサンのこの性格がシーズン1のテーマ。
コールの学歴詐称の告白は本番であっさり解決。「あら、そうなの?早く言ってくれたらよかったのに。正直に言ってくれてありがとね」そういう感じで、この計画は成功だ。親友に正直に打ち明けたコールを見習ってネイサンもコールに「トリビアクイズの正解をこっそり君にインプットしていた」と告白する。
コールは心の底から傷つき、そして本気で怒り……ネイサンに静かに言う
コール「君は最低だ」

なお、このトリビア・バーはネイサンが気に入って保存され、後の話にもシーズン2にも出てくる。このトリビア・バーは本作のサブキャラといえる。

 

育児の疑似体験

STORY
ネイサンはアンジェラに育児の疑似体験を提供する。2ヶ月で子育てのリハーサルを行い、母親になる準備をするためだ。独身のアンジェラは夫婦での育児を希望した

かなり大掛かりな子育てリハーサルが行われる。
ネイサンはアンジェラの希望通り、オレゴン州に一軒家を建築。
24時間体制で本物の赤ちゃん”アダム”を育てる。
家の近くの秘密基地に大勢のスタッフや赤ちゃんの本物のママが待機。
赤ちゃんは、オレゴン州の児童保護法に則って四時間毎にスタッフがこっそり赤ちゃんを入れ替える。そして夜は赤ちゃんロボットが担当。赤ちゃんロボットは本物同様に夜泣きしまくって子育ての苦労を疑似体験する。
アダムは2ヶ月間で思春期くらいまで成長する。家の鏡にはデジタル的な細工がしてあって親役が鏡の前に立つと白髪の老けた姿になっていく。またCG加工で作った家族の思い出アルバムも追加される等色んな細かい仕掛けが追加される。
また「将来は家庭菜園したい」というアンジェラの希望通り庭で野菜を育てる。といっても本当に育てる時間はないので、時間の経過と共にスタッフがこっそり育った木を植えたり買ってきた野菜を埋めたりする。

依頼者アンジェラはクセの強い人物で、婚前交渉を否定し他の宗教も一切認めない強力なキリスト教徒、しかも強烈な陰謀論者。
そんな彼女なのでマッチングアプリではなかなか父親役が見つからなかったが、宗教観で意気投合した若い青年ロビンを見つけて父親役にする。しかしロビンは若いせいか私生活に色々と問題がありそうな青年で、ネイサンは気に入らなかったのか赤ちゃんロボット夜泣きを連打しまくってロビンは一晩でまいってしまい逃げ出したので可笑しかった。そしてネイサンが疑似父親役に立候補。奇妙な疑似家族になる。
アンジェラは前述のように強烈な人物なので「ロビンが逃げたのでキレるぞ」と思ってたが「まぁ、これも経験ね」とサラッとしているのが意外だった。
アンジェラは奇妙な味わいの人物で、前述のようなこだわりの強い宗教観と陰謀論を併せ持った人物、しかも家庭菜園をしたいと言いつつ作業は全てネイサンにやらせたりサボりも多く、ネイサンは「彼女は本当に育児リハーサルしたいのだろうか?番組を利用して豪華な夏休みしたかっただけでは……?」と怪訝に思う。
アンジェラの奇妙さはわかりにくいのだが最後まで観て思ったのは「リアリティ番組の主人公っぽくない人物」具体的にどういうことかというとリアリティ番組が面白くなる行動を一切せず、また何を考えているのか最後まで掴みにくい人物。
前述のように擬似子育てをしたいのかしたくないのかよくわからない態度、しかし赤ちゃんロボットが一晩中夜泣きしたら文句も言わずあやし続けたりする。
視聴者が「アンジェラは偏った思想だしサボりがちだし、ここでブチギレるに違いない」と思う局面になると、前述のロビン逃亡の時のように「まぁ、そういうこともあるでしょ」とスンとしてノーリアクション。要するにスカしまくる。
後で軽く語られるが、アンジェラはネグレクト気味の両親に育てられ、アルコールやドラッグに溺れ、やがて信仰(と陰謀論)に目覚めたらしい。

第4話でネイサンは自身が運営するアクター・スクールで他人の心を掴む実験を行い失敗して帰ってきたら(このエピソードもめちゃくちゃ面白い)、幼児だった子役アダムは14歳になっていた。そこで「父親が子供をほったらかして帰ってきたら」という事をリハーサルに盛り込んでアダムはネイサンに反発して14歳にしてアルコールとドラッグに溺れる、「あっアンジェラの息子が、アンジェラの過去を踏襲してる」と鳥肌が立った。アダムはオーバードーズで救急車で運ばれる……。ネイサンは「やっぱり幼少期を一緒に過ごしたいから6歳からやり直そう」とアダムの年齢を8歳若返らせる……というこの第4話が一番面白かった。それにしても「自分の用事でリハーサル・ハウスを留守にしてたのに、幼児から育てたい」という理由で子供を若返らせてしまう、というのは、監督のネイサンの好きにしていいとはいえ何だか不誠実というか禁忌を犯してるような不思議な感覚になった。

その「アダムの若返り」辺りで、やる気があまりなかったアンジェラのやる気が更に希薄になり、ネイサンがそれを責めたので「今度こそアンジェラがネイサンに今までの不満をぶつけるぞ」と期待してたんだけど今回もまた「うーん、もうリハーサルはいいかな?」と彼女は、あっさりリハーサル企画を辞退して帰宅してしまう。彼女は最後までそんな感じで本心を語らず何がしたいのか謎のまま終わる。
彼女が漏らした言動の欠片から推測すると、ネイサンがリハーサル空間という一つの世界を創造し、他人を番組が面白くなるための駒のように操り、感情や反応までも意のままにしようとしている事に反発して「番組が面白くなるようなネイサンの思い通りにはならないわ」といった雰囲気を感じる。
また24時間撮ってる隠しカメラでアンジェラを見ると、ネイサンがいない時間、母親役を降りて怠けていたり、子役にアダム役から降ろさせて子役として私語していたり、それでネイサンに問い詰められて辞めたわけだが、全体的に「その『リハーサル』って企画も結局は虚構の世界でしょ。そんなのバカバカしいわ」といった雰囲気を感じる。
そんな風に役を降りられたら番組としては台無しなのだが、皮肉なことにそれによってアンジェラは「本物の妻」みたいに思えてくるのが凄く面白かった。
「付き合ってる時は貴方のお遊びにも付き合ってたけど世帯を持ったら現実の生活なんだから……そんな時間は終わりよ」といった感じの「現実の妻」のように見えてくる。彼女のように番組の趣旨に沿ってくれない場合、盛り上がらないのでさっさとクビにして違う依頼者を見つけそうなもんだが、ネイサンがシーズン1をアンジェラとの疑似家族編にしたのは、企画に乗らないアンジェラの態度が思いのほか「現実の妻」みたいだったからだと僕は思った。
それで企画は終わりだが、ネイサンは名残り惜しくなり「アンジェラに逃げられて男手一つでアダム6歳~9歳を育てる」と、依頼者不在でネイサンだけでリハーサルを続行する。
最終話は、アダム6歳が9歳へと成長するのだが、9歳役の子役がネイサンを「パパ」と呼び泣いて別れを嫌がる。アダム6歳役の子役は父親がおらず父性に飢えていたのだ。「ネイサンは本当の父ではなくTV番組の企画で擬似父子を演じている」というのは半分認識して半分わかっていない。
ネイサンは「幼い子供を、こういった現実と虚構の狭間に付き合わせるのは危険だ」と痛感(ここは放送中、少し批判もされたらしい)。色々リハーサルをして何とか「パパとアダム6歳」から「コメディアンのネイサンと子役の幼児」に戻れることができた。
ネイサンは今までの自分を反省して、その一環で私生活に戻ったアンジェラに会いに行き「僕が悪かった」と謝罪、するとアンジェラはそれまで見せたことのないような爽やかな笑顔を見せる。さっきも言ったようにアンジェラは本心を語らないので謎のままだが、恐らくネイサンが初めて「疑似の父親を演じる『リハーサル』の主演ネイサン・フィールダー」役を降りたネイサン・フィールダーとして、素のネイサンとして謝罪したから「やっと見せてくれたわね」という笑顔だったのかも。そして、これもまた「揉めて別れた夫婦だが、夫が元妻に腹を割って謝罪している」ようにしか見えず、またしても現実と虚構の境目がわからなくなる。
ネイサンは「君は一生懸命やってたのに責めてしまった、僕の方こそ悪かった」と謝罪するのだが、アンジェラがやる気なかったのは実際にそうなのでネイサンだけ一方的に謝罪する感じとも思えないが、やはりネイサンが他人の心を操るようなことをしてたからアンジェラが嫌気が差して降りてしまい、それを謝ったのかもしれない。
というのも第3話で「祖父の遺産を巡って対立した兄弟との話し合いをリハーサルしたい」という依頼者パトリックの「感情を呼び起こす」ために、リハーサル俳優の祖父役の俳優と仲良くさせてそして死んでしまうという芝居を打ったらパトリックは企画から降りて姿をくらましてしまった。パトリックが離脱した理由は現在においても謎のままだが、番組を見ている限りだと「ネイサンが人心を悪魔のように操りすぎる」から怒って消えたようにしか見えない。アンジェラもそうなのかも?
だがアンジェラもパトリックも理由を言って離脱したわけではないので推測するしかない。……本心を言わず黙って消えるのでわからない、これもまた「リハーサル」なのに現実の人間関係の軋轢がドラマやドキュメンタリー以上に映し出されていて、本作はこういった事が多い。
そして中盤から終盤にかけては「ネイサンは人の心がわからない」といったことをテーマにしていたと思う。
最後は、ママを演じるネイサンとアダム9歳役の子役との二人で実に良い幕切れで終わる。
ネイサンは「人間の行動をリハーサルで予測できれば、人間関係もコントロールできる」と考えたが、肝心なところで実際の人間がネイサンの想定した反応をしない。
これが「リハーサル」というこの番組そのものの構造と一致していた。
本作の肝はやはりアンジェラ。こんなに要所要所でスカしまくって(膨大な制作費と人員をかけた)企画に乗らない人物アンジェラ……彼女を番組の中心に据えるのはネイサンしかいない。そこが凄い。普通なら絶対に途中でクビにする。
シーズン2もそうなんだけど、物凄い大金と大勢のスタッフと巨大なセット作ってるんですよね、リハーサル空間、それを全て何かが起きる突発的な出来事のフリだけに使ってるんですよね。

 

莫大な予算と人員で奇妙奇天烈な「リハーサル」仮想空間を作り、それによって第1話のトリビア好きのコール、第2話~第6話の子育て体験したかったアンジェラ、第3話の離脱したパトリック、第6話のアダム6歳役の子役、そしてネイサン本人……「リハーサル」仮想空間によって全話「他人の心は理解できるのか?」という人間ドラマを描いたものだった。
それが普通のドラマだったら地味で観ないけど、あまりに異常すぎる設定と異常すぎるネイサンがやってるからこそ、胸に迫るものがあり、本当に観て良かったと思った。
映画とか小説や漫画などのモロに虚構、プロレスやアイドルや一部のお笑いやオカルトなど現実と虚構の境目が曖昧なエンタメが大好きだが、本作は正に後者の最高峰といった感じだった。
子育て編の文章の流れに沿ってないので泣く泣くカットしたが、第3話パトリック編とか第4話アクタースクール編などをサラッと触れただけで流してしまったが、それらも実は個別に一つの記事書けるくらい面白かった。

シーズン2「パイロットと副パイロット編」に続く。

 

 

そんな感じでした

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