gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

2022年の日本公開ドラマ&アニメのBEST5/というか殆どMCUドラマがつまらない理由を考えるページになった📺

「2022年の日本公開ドラマ&アニメ」の、自分が観たいと思ってチェックしてたものを全部観たのでベストを決めました。
あくまで2022年の日本公開されたものだけなので「今頃『ウォーキング・デッド』観たら面白かったのでウォーキング・デッド』がナンバーワン!」みたいな話ではないという話。
映画やドラマを観るのが好きな人はWikipedia見て決めると楽しい。
2022年の日本公開映画 - Wikipedia
僕は誰に見せるでもない個人的な色んな趣味をリスト化するのが子供の頃が好きだったので、その年観たいものは逐一ランク化してるので一年後には自動的にランキングができてて楽しい。ブログと同様に無料で出来る楽しい趣味です。
今までドラマ(とアニメ)は観る本数が少なかったから映画ランクに混ぜてましたがと今年からは10本以上に増えたから分けた。その理由はクソ高い金を出して観に行かなければならない映画と違いドラマは、サブスク戦国時代の現在、公開日に(サブスク料金さえ払っていれば)無料で観られるから増えていきました。というか主にDisney+のMCUドラマとSWドラマ乱発のせいだね(この話は後でたっぷりと)。サブスクは出たり入ったりしてやりくりしている。
だが同時にサブスクによって観るものが多すぎて、ドラマが配信されたら週末に全話一気観とかしてた。そうなると観ることが義務化してきて正直しんどいものがあるので、映画&ドラマをレンタルしてた時なら気に入らなくても一応最後まで観ていたようなものでも平気で一話切りするようになった(『仮面ライダーBLACK SUN』とか)。
映画のベストは、劇場で全部観れずレンタルや配信を待ってるものが多くて、いつも翌年の半年以上過ぎないと自分のランクを決められなかったのだがドラマ&アニメは配信日当日に自宅に届けられるので速やかに全部観終えることができた。だから本当は2022年内にUPしたかったが『裏切りの影』(2022)全5話だけ残ってたので年またぎになってしまった。しかも『裏切りの影』つまんなくて切ってしまった。これなら年内にUPできてたのに。でも観ないと面白いかどうかわかんないから仕方ない。
基準は、個人的な感動や好みで決めている。「客観的に良作かどうか」を第一に決めてしまうと個人のランクの意味が全くないので当然だ。
ブログに全部の感想書くのは不可能なので「観たけどブログに書くの面倒くさいわ」というものは映画SNSFilmarksに短文で感想書いている。『ペリフェラル~接続(コネクト)された未来~』(2022) 全8話とかがそうだ。
下の太字になってるタイトルは各感想ページにリンクしている

 

 

 


1位:ドラマ『ピースメイカー』〈シーズン1〉(2022) 全8話 U-NEXT(本国ではHBO Max) 🍅
2位:ドラマ『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022) 全9話 ※Disney+ 🍅
3位:ドラマ『サンドマン』〈シーズン1〉(2022) 全10+1話 Netflix
4位:ドラマ『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』(2022) 全8話 Netflix
5位:ドラマ『ウェンズデー』〈シーズン1〉(2022) 全8話  Netflix

 

5位以下も大体好きな順番を考えてみよう

 

 

ドラマ『彼を信じていた十三日間』(「モダンラブ・東京」(2022)の第5話) ※アマプラ
ドラマ『ミズ・マーベル』(2022) 全6話 ※Disney+
アニメジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』 (2021-2022) 全38話 Netflix
ドラマ『岸辺露伴は動かない』(2022) 第1話~第8話 ※NHK→配信
アニメ『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』(2022) 全6話 ※Disney+
ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』〈シーズン4〉(2022) 全9話 Netflix
ドラマ『ムーンナイト』(2022) 全6話 ※Disney+
ドラマ『キャシアン・アンドー』〈シーズン1〉(2022) 全12話 ※Disney+
ドラマ『霊媒探偵・城塚翡翠』+『invert 城塚翡翠 倒叙集』 (2022) 全10話 ※地上波→配信
アニメ『ラブ、デス&ロボット』〈シーズン3〉 (2022) 全9話 Netflix
ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021-2022) 全7話 ※Disney+
アニメ『アイ・アム・グルート』(2022) 全5話 ※Disney+
ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』(2022) 全6話 ※Disney+

 

 

こうして並べるとアメコミ原作ドラマとかSFばかりで、それらが好きだから良いけども大学生のランキングみたいで恥ずかしいものがある。でもそれが現実なので仕方ない。

 

 

📺『ピースメイカー』(2022)と、DCスタジオ代表になったジェームズ・ガン
ジェームズ・ガンが作った『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)のキャラの一人〈ピースメイカー〉のスピンオフドラマ。『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)も、全編や全キャラを足したよりピースメイカー一人が最高だった。ジェームズ・ガンのファンでもあるし、これは激楽しみにしててこれ観るためだけに配信期間中はU-NEXTに入って観てた。『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)は、面白くはあったけどMARVELスタジオを一時的に追い出された時に作ったせいか妙に露悪的表現があったり混乱している感じだったが、こっちは完全に腰を据えて作った印象。エロやグロなどの露悪的表現もあるが今回は批評性のある使い方してたし。「正義のためなら女子供も殺す」ようにナチ礼賛レイシスト毒父に育てられたピースメイカー。『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)同様に「政府のもとで外宇宙からの驚異に立ち向かう、だが外宇宙からの驚異よりアメリカ政府の方が汚かった」という筋書き。そしてジェームズ・ガンお得意の「はぐれ者達が共闘していくうちに友情が芽生える」という愚連隊チームの絆もの。ジェームズ・ガンの友情描写はクサイな……と思うものの方が多いのだが、これは素直に好きと感じられるものだった。
主人公のピースメイカーはアホで下品でマッチョ金髪白人男性ヒーローだが偏見まみれで割とすぐ殺す……という非情に危なっかしいキャラ。同時に批評性が異常に高いキャラ(そこに気づかず真に受けてしまう人は1、2話で切ってしまうかもしれない)。
個人的には「過ちを犯した者は許されるべきか?たとえどうしようもない人間でも」というテーマだったと思う。現実のジェームズ・ガン本人の状況を逐一追ってた者にとってはこれ以上ないほど感動できる楽しかった。ここ30年くらいのDCコミックの映像作品で一番好き。2022年の日本公開映画ランキングに混ぜても1~3位のどこかに入るくらい良かった。
そんなジェームズ・ガンは2022年10月26日、DCフィルムズ改めDCスタジオのクリエイティブ面の代表になった(MCUにおけるケヴィン・ファイギのポジション)。
これはジェームズ・ガン、DCコミックどちらも好きな自分にとって物凄いニュースだった。でも一般ではあまり話題になってない、今後の10年以上のDC作品に影響する事なのに何故なのか?。
DCEUは終了しDCUが始まった。続いてたタイトルの終了とか旧キャストの解雇などショックなこともあるが全面的に期待している。
MCU映画は7月の『ザ・マーベルズ』(2023)から来年5月の『キャプテン・アメリカニュー・ワールド・オーダー』(2024)まで10ヶ月近く無い、だからジェームズ・ガンはこの期間にDCU立ち上げ数作ぶち込んで流れを引き寄せるんだ。
ジェームズ・ガンDCUで一番出して欲しい好きなDCキャラはタイタンズのレイヴンとキャプテン・コールドかな。コンスタンティンとかザターナなど魔術系が観たい。……そういえばキアヌ・リーブスコンスタンティン2作るらしいけどDCUに入るのかな?

3位の『サンドマン』(2022)も一応DCコミック原作ドラマ。原作者のニール・ゲイマンががっつり関わってるし原作もそこそこ好きだったので嬉しかった。シーズン2制作も決まったので続きも楽しみ。

 

 

📺『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022)と、MCUやSWなどDisney+ドラマ
ハルクの従姉妹がハルク化してしまい、ヒーローやヴィラン専門の弁護士として活躍するというコメディ。
これはMARVELコミック……しかも昔のMARVELコミックがそのまま映像化されたような、アメコミがそのままTVで連載されてるかのような楽しいドラマだった。
「『MCUのドラマが始まる』と最初に聞いた時に期待してたのはこういうものだった」というものが、そのまま映像化されて楽しかった。
ここでMCUドラマ全体の話に脱線するが、

殆ど全てのMCUドラマは「勿論面白いところや感動する箇所」は各作品にあったのだが最後まで観終わる頃にはどれも「全体的に60点くらいのパッとしない印象」で終わる事が多かった。TwitterMCUドラマの感想とかもずっと見てたが、MCUドラマが始まった2021年の頃はまだ観てる人が多かったが、この2022年の『ムーンナイト』(2022) 『ミズ・マーベル』(2022)『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022)あたりになると観てる人が殆どいなくなった。MCU全作品観てた人ですら切ってたからね。はっきり言って「MCUの始まりから終焉まで全部観るガチ勢」しか観ていなかったといっても過言ではない。というか2022年のDisney+の売上高は前年比で42%減CEOボブ・チャペックは退任前任者ボブ・アイガーが復帰したからね。MCUドラマは完全に失敗だったと証明されている。
「その割にはあなたのランキングの『ミズ・マーベル』(2022) の順位は妙に高くない?」と思われるかもしれないが、これは主人公カマラとカマラを演じた俳優の子と最初の1~2話が大好きだったと言うだけで、客観的に観ると『ミズ・マーベル』(2022)は破綻しており失敗作だと思う(詳しくはリンク先で)。
MCUドラマが駄作……とまでは言わないけどパッとしない理由を考えたが、まず
「作品数が多すぎる」
という事がある。MCUガチ勢は平気だが、何となく観てるライトなファンは疲れてしまう。そしてMCUのCG作成してる各CG制作会社がMCU仕事したいあまり値下げ合戦した結果「尋常じゃなく忙しい上にギャラが低いからMCUの仕事したくない。でもMCU作品を受けなければ仕事なくなる」という悪循環に陥っている。MCUは巨匠などよりもフレッシュな感性のインディ作品の監督を連れてきて監督させがち、それ自体は良いのだが、そういった監督はCG制作の大変さをよくわかっておらず納期ギリギリまで抽象的な指示でリテイクさせまくってしまう……という現場もCGが段々しょぼくなっていく一因となった。『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022)の頃には、弁護士というシーハルクを活かして法廷コメディにしたり「シーハルクがあんまり戦わない」「シーハルクに変身シーンはなるべくカメラの外でプシューという音だけ聞かせる」等の涙ぐましい努力が見られた。
MCUドラマは殆ど全て、ドラマというよりも「予算少なめの長いMCU映画を(要らんところをカットせず)6分割して毎話のラストにクリフハンガー(毎回ラストにある急展開)をくっっ付けて〈ドラマ〉として週一で配信してるだけ」なので、これもまた最後まで観たらパッとしない印象になる理由の一つだろう。パッとしない印象のMCUドラマも2時間にまとめて観たら多分ずっと良い気がする、逆に映画の……例えばMCU映画を6分割して毎週配信したら映画で観るよりずっとつまらなかったと思う。そういう事。 MCUドラマを乱発させたのは恐らく退任に追い込まれたボブ・チャペックがDisney+を推したかったからと見て間違いない。映画にすればそこそこ面白かったはずのMCU作品を分割してドラマにでっちあげてた理由は単純に「Disney+を解約させないため」だろう。全部推測ですけど、でも実際「MCU全部観るマン」である僕は「やばい、毎週MCUとSWドラマあるからDisney+解約できない!」という事を肌で感じましたからね。ここ最近の年末年始はMCUとSWのドラマが無いので解約してるし「今、MCUとSWのドラマの配信がないから観なくて済んで快適だなぁ!」とすら思っている。僕にこんな事を思わせないで。
だが前述した通り前から気に食わなかった無能CEOボブ・チャペックが退任して有能だった前任者ボブ・アイガーがCEOに復帰した。次のドラマは『シークレット・インベージョン』(2023)だったが配信時期が未だに未定だったり(ボブ・チャペックのままだったら多分今頃始まってる)、ドラマの予定だった『アーマーウォーズ』を映画に変えたり、と「何だか評判も売上も全部落ちたボブ・チャペック指揮下でのMCUドラマの流れを立て直してるな」という雰囲気を感じる。だから引き続き期待して応援していきたい。僕がMCUで最も楽しみにしてる『デアデビル:ボーン・アゲイン』(2024)は、全18話なので「つまんない映画を分割しただけじゃなくてドラマとして作ってるな」と期待が高まっている。

ここで話を『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022)に戻すが、最初に書いたMARVELコミックのような楽しさは、多くの長い映画を分割してドラマにでっち上げた感じのMCUドラマと違い、かなりドラマっぽく作られてたのが良かった。1つの話で1つの裁判を取り扱うので一話完結っぽくなってるのが良かった(『ワンダビジョン』全9話 (2021)も一話完結っぽく作ってあるのが良かった)。この、一話完結で個々の愉快な事件を扱いながら毎回ラストにクリフハンガーそして大きな事件が背後で進行中……という造りが、正にコミックをTVで連載してる感じ。これが僕が「MARVELコミックを映像化した感じだなぁ」と感じた理由かもしれん。
内容的に、ストーリーもキャラクターもスタッフや出演者も女性中心。「言い訳としてのポリコレ」ではなく「真に面白くて内容のある女性主人公の話」って感じだった。
で、そんな感じで僕はめちゃくちゃ面白かったのだがimdbとかロッテントマトなど批評サイトでは異常に評価が低い……だが白人男性ヒーロー以外の映画やドラマは毎回のように低評価爆撃を受けて低評価になりがち。更にMCUドラマへの不満が高まってきたところに『ミズ・マーベル』(2022)
『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022)という非白人&女性ヒーロー2連発でMCUファン男性の不満が高まってきたせい?かと思う。
そして昔の原作のシーハルクは、デッドプールに先駆けて第四の壁を破るキャラだった。最終話まではデッドプールみたいな「視聴者に話しかける」程度のオタクが喜びそうな、なんちゃって第四の壁破りだったのだが最終話では赤塚不二夫的な大きく第四の壁を破る大きなメタ展開ギャグがある。普通に終わっても良かったけど、ここまでやるとは思わんかったので、これはこれで不思議な感動があった。
これが、真面目な人が多いMCUファンに大不評だった。比較的、褒めがちな日本のファンも「馬鹿にされた」と感じる展開のようで賛否両論になった。劇中でも「こういう第四の壁破りは今回限り」ってエクスキューズがあったし、デッドプールもクロスオーバー作品では どのMCU作品も配信終了してしばらくすると評価が上がるのだが『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022)は上がらなかった(ロッテントマトの批評家の評価だけは回復したが)。だから一般のファン的には完全に失敗作扱いになってしまった。
僕は好きよ。

 

 

そういう感じでDisney+のMCUドラマの話に終始してしまった。
ちなみに単発の『ウェアウルフ・バイ・ナイト』(2022)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/ホリデー・スペシャル』(2022)もDisney+のMCU作品だがドラマじゃなくて〈中編映画〉のカテゴリーに入るっぽいから映画ランクに入れることにしてドラマからは外した。
4位『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』(2022)は単純にどの話もクオリティ高くて良かったです。5位『ウェンズデー』(2022)は面白いしキャラも好きなんだが、恋愛要素とかウェンズデーがダークヒーローっぽくなってしまう展開とかが少しだけ古臭く感じました、シーズン2はあまりヒーローっぽくない展開にして欲しいかも。とはいえオルテガ氏が演じるウェンズデーが良すぎる、イーニッドも。
『彼を信じていた十三日間』というのはアマプラの恋愛オムニバスドラマ「モダンラブ・東京」(2022)の第5話です。黒沢清の監督回。”モダンラブ東京”ってタイトルなのにホームレスとか炊き出しとかいっぱい出てきてめちゃくちゃ面白かった。
一番つまらなかったのは『オビ=ワン・ケノービ』(2022)でした。どうしようもないですね。ブログ書くのが面倒で書かなかった『ペリフェラル~接続(コネクト)された未来~』(2022)の方が『オビ=ワン・ケノービ』(2022)に比べるとずっと面白かった(ただしペリフェラルクロエ・グレース・モレッツが可愛い事以外特に書きたいことがなかった……)。

映画のランキングの方は、観たいけど未見のやつがまだ20本くらいあるから半年くらいかかる気がする……。

 

 

 


そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com
2014年の日本公開映画ベスト5を今頃やっと考えました(ついでに2010~2013年も)🎬 - gock221B
2015年の日本公開映画&ドラマのベスト5を考えました🎬 - gock221B
2016年の日本公開映画ベスト5を今頃やっと考えました🎬 - gock221B
2017年の日本公開映画&ドラマのBEST5を今頃やっと考えました🎬 - gock221B
2018年の日本公開映画&ドラマのBEST5を一年経ってやっと決めることができた🎬 - gock221B
2019年の日本公開映画&ドラマのBEST5を半年過ぎてやっと決めることができた🎬 - gock221B
2010年代の日本公開映画&ドラマのBEST10を考えました🎬 - gock221B

📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺📺

www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com






『岸辺露伴は動かない』(2020-2022) 第1話~第8話/荒木っぽいが映像化に適した改変の感じとか日本の漫画の映像化で一番良いかも✒


脚本:小林靖子 演出:渡辺一貴 監修:柘植伊佐夫(人物デザイン) 音楽:菊地成孔 原作:荒木飛呂彦岸辺露伴は動かない』(1997-継続中)&『ジョジョの奇妙な冒険 第4部』(1992-1995)、北國ばらっど『岸辺露伴は叫ばない 短編小説集』 製作国:日本 放送時間:各話約50分、第1話~第8話

 

 

荒木飛呂彦の『ジョジョの奇妙な冒険』第4部のサブキャラクター、スタンド能力を持つ天才漫画家の岸辺露伴を主人公にしたスピンオフ漫画『岸辺露伴は動かない』……の実写映像化。また『ジョジョの奇妙な冒険』第4部で露伴が活躍する回をアレンジした話や、荒木飛呂彦以外が書いたノベライズの実写映像化も入ってる。
2020年から毎年末にNHKで放送されている。僕は20数年間TV持ってなくてNHKと縁がないので人の家で観たり配信サービスで観たりしている。
毎年、3話づつ放送してたのに最新シーズンの先月……2022年末は2話だけだったので「なんで今回は2話だけなんだろ?」と不思議だったが数日後に映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2023)が発表された、映画撮ってたから2話だけだったのね。
僕は、ジョジョは連載初回から読んでるし、ジョジョが国民的漫画となって10年以上経った今現在でもファンですら全く読んでなかった……読んでても感想を語る人がほぼいなかった『ジョジョリオン』も最初から最後まで読んでいた(良いところもなくはないが今までで初めて全体の90%以上がつまらなかったジョジョだった)。
岸辺露伴は動かない』の不定期連載は90年代に一本、2000年代に一本、2010年代以降は10話……という感じで、露伴の読み切りが描かれる事は稀だったのに2010年以降から掲載頻度が上がった。
最初は「へぇ露伴の読み切りかぁ」と注目してなかったのだが、前述したように『ジョジョリオン』はめちゃくちゃつまらなく、しかし同時期の『岸辺露伴は動かない』読み切りはむしろ面白さが上がっていった。だから近年は「もうジョジョの連載やめて岸辺露伴だけ続けたら?」と思うようになった。めちゃくちゃ本編がつまらない『ジョジョリオン』だが〈回想シーン〉や〈色んなウンチクとか社会への愚痴など荒木のエッセイ〉などもキレが増してるので、一話完結の『岸辺露伴は動かない』と合わせて鑑みて「もう荒木は長期連載じゃなく結末が決まった、短いストーリーの方が上手く描けるのでは?」と思い始めた。「回想シーン」って本編の中に入れ込まれた前日譚短編漫画みたいなもんだからね。7部までは行き当たりばったりで描いてても途中から方向性が決まって面白くなり、終盤は毎回傑作に仕上がっていたけど今は難しいのかもしれない。他のおかしくなっていく巨匠にも言えるが、カリスマ大御所化したりメディア展開による利益は大きいので大御所の息子や孫みたいな年齢の編集者は大御所に、とてもネガティブな意見を言えないのではないか?と思う今日この頃。
岸辺露伴は動かない』は、キャラが立った岸辺露伴という登場人物、荒木のウンチクや愚痴、ホラー展開、読み切りだから毎回終わる……など、今でも優れたままの荒木の良い部分「だけ」で構成されている。話が続いてないので矛盾などもない(矛盾があったり旧キャラのデザインが大きく変わってても「この回は四部じゃなく一巡後の露伴なんだろう」等と、ファンが好意的に捉えられる仕組みになっている)。
岸辺露伴は動かない』……いまチェックしたら僕は去年執筆されたらしい「ドリッピング画法・前後編」という回だけ読んでなかった。あとノベライズも読んでない。
そういえばアニメ版もあって一応観たけどジョジョのTVアニメ版を更に低予算にした感じでイマイチ。ツルツル確定。

ネタバレあり

 

 

 

✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒

 

岸辺露伴は動かない』第1話~第3話 (2020)

 

……第一話の感想の前に、全話に共通する岸辺露伴と泉京花の設定を消化しとこう。

岸辺露伴
主人公。集明社が発行する少年ジャンボの人気漫画『ピンクダークの少年』第8部を連載中の天才漫画家。〈ヘブンズ・ドアー〉というギフト(超能力)を持っており、漫画のネタにするため危険に自ら首を突っ込んで毎回窮地に陥る。天才漫画家のせいか生まれつきなのか気難しい。「嫌な奴」に半歩入ってるが読者の子供へのファンサービスはやるし漫画のネタになるためなら全財産はたいても構わないストイックさもある。
第一話冒頭、露伴のカッコいい家に忍び込んだ二人組の泥棒をヘブンズ・ドアーで本にして懲らしめるアバンで露伴の性格や超能力をささっと見せる。
本作が発表された時は「また実写化?しかも高橋一生露伴?おいおいおいおいおいおいおいおいふざけるなよ?」などと思ってたが、高橋一生岸辺露伴が登場して数秒でいいじゃんと思いました。
ちなみに2020~2022までの3シーズン共、第一話の冒頭で露伴を舐めて家に侵入する二人の考えなしの男たちがヘブンズ・ドアーでボコられる……というアバンが描かれている。初見の人たちのために露伴の性格と能力ヘブンズ・ドアーの説明を数分で済ませるためだ。ちなみに今年気づいたが三年連続、同じ俳優さん二人が演じている。
僕はひねくれた性格だった10代~20代の時は、こだわりが強く自分を曲げず極端な事だけをする露伴をカッコいいと思ってたが、加齢して中年になったせいか今となっては露伴は偏屈過ぎるし「もうちょっと言い方があるだろ」とかいちいち思ってしまい若い時のように良いとは思えなくなってきた。そんな偏屈な露伴をフォローするのが後述するレギュラーキャラ泉京花だ。

岸辺露伴のギフト「ヘブンズ・ドアー」
原作での露伴のスタンド(個別の超能力を持った背後霊みたいな像のこと)の〈ヘブンズ・ドア〉は「相手を本にして生い立ちや秘密を読んだり、指示を書き込んで行動を操ることが出来る」という能力の効果は同じだが〈像(ビジョン)を持たない只の超能力〉になっている。ドラマの作中で露伴はこの超能力を「ギフト」と呼んでいる。原作のヘブンズ・ドアからして像(ビジョン)を持つ意味が全くないスタンドだったし、初見の人にスタンドの説明するのは面倒。しかも『岸辺露伴は動かない』でスタンドを持ってるのは露伴だけで敵の殆どは神とか超自然現象とかイカれた人間など、スタンドじゃない驚異ばかりなので時間をかけてスタンドを説明する意味があまりない。たいして重要じゃない露伴のスタンドを「あーだこーだ」説明してたら観て欲しいメイン層の一般視聴者へ届く社会性が目減りしていくばかり。だから、只の超能力にした事はベスト。本作の原作に登場するジョジョ本編から持ってきた数少ないスタンド「チープ・トリック」と「ボーイ・Ⅱ・マン」もまた「ヘブンズ・ドアー」同様にスタンドの像(ビジョン)が必要ないスタンドだったのでこれまた問題なし。ドラマを観る限り乙雅三は「六ツ壁坂の妖怪に取り憑かれただけ」っぽくてジャンケン小僧も「四つ辻」で倒れて能力を得る……という感じで乙雅三と似た描写だったが露伴が「こいつ僕と同じ様なギフトを!?」とか言ってたから憑依されたのではなくギフトを手に入れたっぽい。

泉京香
集明社が発行している少年ジャンボの岸辺露伴の担当編集者の泉京香(演:飯豊まりえ)。後で、担当編集が廃人化した志士十五の担当も掛け持ちする。
このドラマの主人公・岸辺露伴シャーロック・ホームズ(性格に偏りのある天才)だとすると助手のジョン・H・ワトソンのポジション(天才をサポートして読者の分身となり得る社会性のあるキャラ)。
原作の泉京香はドラマの第一話になった『富豪村』の一話だけに出た「荒木の身近にモデルがいるんじゃあないのか?」と思わせる妙に人をイラッとさせる生々しい人間力に溢れた憎めないサブキャラに過ぎなかったが、ドラマ版では毎話出てくるレギュラーキャラに抜擢された。原作ではこってり豚骨味というかケーキのシロップがけみたいな濃いキャラだったが、ドラマではルックスも雰囲気もレモンを漬けたミネラルウォーターのようにカラッとした飯豊まりえが演じている。毎話出てくるんだから泉京花は確かに爽やかな方がいい。
そしてドラマ化された影響か、2022年に描かれた漫画『ホット・サマー・マーサ』で泉京香は再登場して『岸辺露伴は動かない』25年間の歴史の中で初のレギュラーキャラとなった。他にジョジョ第4部のキャラがカメオ出演することはあったが、ここで言うのは「『岸辺露伴は動かない』で出たキャラがレギュラー化した」って話だ。
泉京香は俳優・飯豊まりえ氏が演じ、週刊少年漫画編集者なのに毎回ロリータファッションのようなフリルの付いた御洒落な衣装をしている俗でミーハーだがポジティブな生命力を感じさせるキャラクター。神経質で気難しいクソ野郎の露伴に足りない部分を補完している。リアリティがディフォルメされた原作漫画なら岸辺露伴に違和感もなかったが実写ドラマになると「うわ……露伴、初対面の大人に敬語ひとつ使えないのか……」みたいに社会に対峙する露伴に痛さを感じたりする。「他人を見下しがちな天才漫画家」なんだから別にいいんだが加齢のせいか時代のせいか気になる。そんな実写版・岸辺露伴が社会に足を踏み出した時に纏うアーマー、それが泉京香。露伴が失礼な態度を取った時に謝ってフォローする(といっても、こんな場面でも本当に反省してるのは露伴で泉くんは全く悪く思ってないようにしか見えないが)原作は露伴ひとりで成立するがドラマ版は泉くんとコンビで動いた方が話がスムーズに進む。話が進むにつれて「怪異に強い」「悪運が強い」という露伴とは逆の怪異耐性を獲得しつつある。露伴と泉くんの絡みは第一話放送の時点ですぐ人気になった。
微笑ましいスキャンダルがあったが本作のファンはそれよりもドラマに影響あることを恐れてかTwitterの感想などでも皆、知らないふりを貫いてるのでこれ観てる人は大人が多いんだなと思った。

 

 

第1話「富豪村」(2020) 
原作は2012年の少年ジャンプに掲載された読み切り。『岸辺露伴は動かない』1巻に収録

少年漫画『ピンクダークの少年』第8部を連載している天才漫画家、岸辺露伴(演:高橋一生)。彼には対象の生物を本にして生い立ちや秘密を読み指示を書き込むこともできる〈ヘブンズ・ドア〉という特殊能力があった。

Story
周囲から隔絶された山奥に豪邸が立ち並ぶ〈富豪村〉。所有者はいずれも各界で成功した大富豪ばかり。ただし、ある〈試験〉をクリアしないと買うことが許されないらしい。真偽を確かめるべく天才漫画家、岸辺露伴(演:高橋一生)と、集明社の露伴担当編集者泉京香(演:飯豊まりえ)の付き添いで富豪村に赴く。そこで案内役の少年、一究(演:柴崎楓雅)から課された試験は「マナー」だった――

富豪村を訪れた露伴と泉くんが試される試練は〈正しいマナー〉。
マナーには正しいか正しくないかだけ、寛容はない。
取り仕切るのは案内役の少年、一究。演じてる子役の演技も良い。
客室に通されお茶や食べ物を振る舞われ、正しいマナーで食さないと失格となる。
正しいマナーで合格すれば「破格の値段で土地が買えるし住めば金運がガン上がりする富豪村」に住むことが出来る。マナーが正しければ一生安泰だ。
そこまでは泉くんも承知だったが「〈正しくないマナー〉を行えば〈その者にとって大切なもの〉を一つ失う」という事は知らなかった。
泉くんは紅茶をいただく時にマナー違反があり、入院中のボーイフレンド平井太郎が事故にあってしまう。そしてその事故の電話を家主に断りなく出たマナー違反によって泉くん自身が心臓発作を起こして瀕死の状態。
露伴は案内人・一究の能力かと思い彼をヘブンズ・ドアーで本にするが、一究は只の案内人。そして、今起きている現象の秘密を知る。
この現象を起こしているのは一究ではなく〈山の神〉。
「人の心を勝手に読む」という行動が山の神に〈マナー違反〉と解釈されて露伴は漫画家の命である右腕の自由を失い、本にされた一究もヘブンズ・ドアーの能力から脱して勝ち誇ったように露伴を見下ろす。普通の人間に対しては無敵とも思えるヘブンズ・ドアーだが、運命を容易く操る〈山の神〉には通用しない。第一話なのに、いきなりヘブンズ・ドアーが破られるのが面白い。というか原作でも毎回ピンチになるけどね。
ここで山を降りれば露伴の命は助かるが〈泉くんの命〉〈泉くんのボーイフレンドの命〉〈自分の右手〉という「3つの命」を取り戻すため露伴はマナー試練の再トライに挑戦する。
ここで露伴を代表する名言「だが断る」が出てくる。原作だとジョジョ4部のハイウェイスター戦で出てきた台詞だったが露伴のキャラを決定付けるため第一話に持ってきたんだろう。
「試練の前に『成功すれば得れるが、失敗すれば失う』と教えてこないのは山の神のマナー違反ではないのか?」という気もするが、そもそも「富豪村の試練のルール」というのは、あくまでもこの山の神々が決めたマイホームルールなのでその辺は山の神々の俺ルールに乗った上で勝たなくてはいけない。
この「山の神々が支配する富豪村」というのは単純にハイソサエティーの比喩といえる。金持ちや有名人やインフルエンサーなどの集まり……、または欧米の大学の上級陽キャの集まりフラタニティソロリティ、何でも良いんだけどそういった集団の中の上澄みにはルールがある。その上澄みコミュニティに入るためには厳格なルールや〈イニシエーション(通過儀礼)〉がある。それは凄い犠牲を払う必要があったり又は「皆と同じように庶民に横柄な態度を取る」「ビールの一気飲み」とかくだらないものある。「正しいマナーで富を手に入れるか大切なものを失うか」という博打のような両極端な〈試練〉が、この富豪村の〈イニシエーション(通過儀礼)〉だったわけ。だから一見、公正に見えて実は公正ではない。
露伴ヘブンズ・ドアーで一究がマナー違反するように書き込んだ。そのおかげで露伴の右手、泉くんと彼氏の命は復活した。
露伴が「ヘブンズ・ドアーで一究の心を読んだ」だけでマナー違反として右腕を奪われたのに、それより悪そうな「ヘブンズ・ドアーで一究の行動を操る」というのは「心を読む」ことよりも悪いマナー違反に見えなくもないが、露伴Twitterで数年に一度はバズる「マナー講師は、他人のマナー違反を指摘するマナー違反をしてる!」という小市民が大好きなネタで一究を攻めた。原作の一究と違って本作の一究は泉くんや露伴のマナー違反を誘ったりサディスティックにマナー違反を指摘していた。山の神は「マナー違反を指摘するというマナー違反」という一究のイキりポイントを指摘した露伴に一本を挙げた。
この第一話は、負かせた子供を嘲笑する露伴の笑顔、楽しい泉くん……などで僕も含まれた腕組みして険しい顔で観ていた荒木ファンの多くも笑顔になった。
ちなみに命を握られた泉京香のボーイフレンド平井太郎は第3話のメインキャラ。このシリーズは毎年、放送される2~3話が薄っすら繋がった構成になってるから。
一究の主である〈山の神々〉も、原作通り最後まで姿も声も出て来ないのが良かった。せっかく本編が面白かったのに最後にしょうもない幽霊出して台無しにしてしまった『残穢【ざんえ】住んではいけない部屋』(2015)を作った人たちだったら最後に〈山の神々〉を出して台無しにしてたんだろうなと想像つくから、露伴はこのスタッフで良かったと思いました。普通の子供である一究の主が〈山の神〉で、じゃあ一究はどうやって〈山の神〉と出会ってどういう結びつきでこんな事してるのかとかも、気になるが一切わからない。ジョジョ本編だと怪奇現象の殆どはスタンドだが露伴は、こういう訳のわからない怪異や謎生物がいっぱい出てくる。そしてヘブンズ・ドアーで倒すことは無理だから露伴は逃げるだけ……という結末が多い。そこが良い。ジョジョはスタンドで全部倒してしまうので爽快感はあるが神秘性は消え失せてしまう。その点『岸辺露伴は動かない』だと敵を倒せないのでクトゥルー神話的な底知れなさがずっとある。
菊地成孔の音楽も耳に残るミステリアスさで良かったですね。


第2話「くしゃがら」(2020) 🍅

原作は2017年のウルトラジャンプに掲載された北國ばらっどによるノベライズ。『岸辺露伴は叫ばない 短編小説集』に収録

Story
岸辺露伴は同僚の漫画家・志士十五森山未來)から相談を受ける。失踪した担当編集者から「くしゃがら」という言葉は使用禁止だと言われたがネットにも文献にも詳細が載っていない。十五は「くしゃがら」がどういう言葉なのかが日に日に気になって仕方なくなり狂気に陥り露伴は十五を「本」にするが――

禁止用語「くしゃがら」という言葉が何なのか探していくうちに漫画家・志士十五は「くしゃがら」の事しか考えられなくなり常軌を逸した精神状態となり古本屋のオヤジ(演:諏訪太朗)に絡んだり一週間も飲まず食わずでフラフラになり岸辺露伴ヘブンズ・ドアーで十五を読むと十五の中には「くしゃがら」が詰まった真っ黒い袋とじがあり、十五ほどじゃないが少なからず「くしゃがら」が気になり始めていた露伴に伝染しようとしている。なんで袋とじなのかというと「気になるけど意味はわからない」というのをヘブンズ・ドアーで変えた本にした時、ぴったりの表現だったんだろう。
昔、TVで女性器の名称三文字を叫んだ松本明子が2年間か干されたように禁止用語にはリスクが伴う。
本にしても躍動するほどヤバい「くしゃがら」袋とじを見た露伴は十五に「くしゃがらを忘れる」と書き込んだが字が消える。今回もまたヘブンズ・ドアーが通用しない怪異だ。「『くしゃがら』はTVや出版物などの禁止用語などとはレベルが違う「この世界そのものの禁止用語だった!」と悟る、聞いたり読んだだけで感染する言葉のウイルスとでもいうべき言葉だった。『マウス・オブ・マッドネス』(1994) に出てくる魔の小説とか、クトゥルー神話ネクロノミコンとか『リング』の呪いのテープや『HUNTER×HUNTER』の呪いの楽曲を聴いたセンリツなど、そういう「情報」自体が呪いになってるもの。「くしゃがら」もまた意味がわかるわからない関係なく「言葉の文字列」自体が怪異だった。露伴ヘブンズ・ドアーで「くしゃがら」に関連する指示は不可能だったが「くしゃがら」には触れず志士十五本人に指示する事はできるので「最近の記憶」を失わせることで解決する。
これは原作がノベライズだから読んでなかったがドラマ全話の中で一番面白かった。
その理由の殆どは志士十五役の森山未來の怪演のせいだろう。
はっきり言って完全に露伴と泉くんを喰ってたし未だに「泉くん同様に志士十五もレギュラーにしてほしい」という想いが消えない。といっても「漫画家キャラ」は主人公の露伴がいれば充分だし泉くんというサポートもいるので十五は必要ない。単純に「森山未來の演技がもっと観たい」という理由のみ。この話の前半はカフェで露伴に対して志士十五が喋りまくってるのだがここだけ10回くらい観た。志士十五に魅力ありすぎて。こうまで良いと志士十五のドラマが観たくなってきたので、むしろ「ミスキャストだ、もう少し魅力が少ない俳優を選べよ」と思ったほどだった。
それと本作は構図や衣装や美術など全体的にカッコいいが、この回は只の会話シーンが殆どなせいか構図が異常に凝ってる。また十五の部屋も好みのカッコよさでマジで住みたい理想の部屋普通はオフィスに使用するような雑居ビルの四角形じゃない部屋にソファーとか置いて無理矢理住んでる感じで、夜になると向かいのビルの灯りとか入ってくる殺伐とした豊かさが溢れてる感じ。黒沢清『LOFT』(2005)の中谷美紀が最初に住んでたアパートも良かったが、この十五の部屋も最高)。
泉くんも「くしゃがら」を聞いたはずだが何ともなかった。恐らく「くしゃがら」に何の興味がなかったから脳の中に袋とじが出来てなかったんだろう。
超現実主義の人間は幽霊を信じてないので全く見えないので霊に対して最強。泉くんが本作で怪異に対して妙に強いのは泉くんのこの性格のおかげだろう。


第3話「D・N・A」(2020) 
2017年の別冊マーガレットに掲載された読み切り。『岸辺露伴は動かない』2巻に収録

泉京香から「記憶喪失になっているボーイフレンドの写真家・平井太郎(演:中村倫也)を催眠術で探ってほしい」と頼まれた岸辺露伴
太郎は6年前に交通事故に遭い一命は取り留めたが記憶喪失になって社会復帰できずにいた。一方、6年前に交通事故で夫を失った片平真依瀧内公美)の娘・真央(演:北平妃璃愛)は太郎に何かを感じる――

少女漫画雑誌に掲載された読み切りが原作だから、この話はホラー色少なめでハッピーな感じで終る。
前回、くしゃがら感染で暴れる十五を露伴ヘブンズドアーで鎮めたが、泉くんには「十五には催眠術をかけて治した」と言い訳した。
それで泉くんに「記憶喪失の太郎の記憶も催眠術で探ってほしい」と言われる。
だが通りすがりに太郎の袖を引いた幼女に露伴は着目する。幼女・真央の母・真衣は集明社とも仕事してるデザイナーだったので、露伴と泉くんは訪ねて行き真央をヘブンズ・ドアーで読む。
母の”愛情の檻”から逃げ出した娘・真央は”透明の赤ちゃん”みたいに姿を消し屋外に逃走。心を開かない娘が見知らぬ太郎にだけ懐いたので太郎のもとに行ったのだろうと三人は太郎が居そうな所へ向かうと、太郎と娘は公園で遊んでいた。
太郎は6年前の事故で臓器移植を受けていた。真衣の亡き夫も6年前に事故で死んだ。真衣の死んだ夫の臓器を移植された太郎はDNAレベルで真衣の亡き夫の記憶が混ざっていた。それで真央はDNAレベルで太郎に親しみを感じ近づいたようだ。亡き夫の仕草や口癖を発する太郎を見て真衣は涙ぐむ。
死んだ夫のDNAと、それを感じた真央が母と太郎を結びつけた……みたいな話。
「きっといいヤツ」「わちにんこ」「たいわかどの」など印象的な台詞が多い。
原作だと露伴は何もしてないんだが(原作、露伴は何もせず話を聞くだけって話は多い。何しろ「動かない」んだから)真央をヘブンズ・ドアーしたり全員まとめてヘブンズ・ドアーして読んだりと話をわかりやすくする役で参加。そのせいか一瞬見かけただけの母子の家を聞き出してズカズカ家に上がり込んで真衣が止めてるのに真央に接触したりと「露伴が、何も関わりない母子にこんなに接近するかな?」と思うくらい強引。
まぁ露伴は好奇心が異常に強いという設定なので母子に何かを感じたと納得できなくもない。こうでもさせないと露伴をストーリーに組み込めなかったんだろう。ちなみに今回ではヘブンズ・ドアーされた人は顔がパラパラと本のようにめくれるのではなく全員「本そのものになる」という描写がされている。泉くんは女性ファッション誌になったり真央は子供のらくがき帳みたいになるなど工夫されている。
原作では、前述でも話したが小松菜奈そっくりの山岸由花子が出演してたんだけど、由花子の出番は消えてその役割は泉くんになった。由花子の唯一の出番が消えたのは残念だが、ジョジョ四部を経てないのにいきなり由花子出しても「え?誰なのこのJK?何で露伴と知り合いなの?」などと説明が必要だからこの方が自然なのか。
原作で、真央が公園のガラガラと回転する遊具で遊んでるのを太郎(のポジションの男性キャラ)が誘拐したと勘違いした真衣の背後で、無事だった真央は背後でガラガラ!と回転してるコマがめっちゃカッコよくて好きだったのだが実写化されず残念。
原作からしてそうなんだが、この話は無茶に無茶を重ねすぎた荒唐無稽すぎる展開に対して「そ、そういうもんですかね……」と脳の処理が追いつかず感動しきれない。ドラマ版もそんな感じだった。
元の泉くんがファンだった「街を切り取るクールなカメラマン平井太郎」の人格が事故で完全に消えて、記憶こそないものの完全に死んだ真衣の夫のそのものの人格を持つ男・平井太郎になってるという展開にホラーを感じてしまう。
真依の亡き夫がDV父で、その亡きDV夫の人格になった太郎が暴れだす展開ならホラーになってたんだろう。だが真依の亡き夫はきっと良いヤツだったのでハートウォーミングな話になった。
原作も映像化どっちも「あと一歩で感動できそうだししたんだけど……感動せんなぁ」という惜しい話だった。
この回で露伴がやたらチンチロリンいじってたからシーズン2では仗助とチンチロリンするのかと思った……がやらなかった。あれは凄く露伴が活躍するので恐らくスタッフもやりたいはず。

 

✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒

 

岸辺露伴は動かない』第4話~第6話 (2021)

第4話「ザ・ラン」(2021) 

原作は2018年の週刊少年ジャンプに掲載された読み切り。『岸辺露伴は動かない』2巻に収録

岸辺露伴は会員制のスポーツジムで駆け出しのモデル兼俳優の橋本陽馬(演:笠松将)と出会う。最初は無気力な青年だった陽馬だがランニング筋トレに異常に執着し常軌を逸していく。
筋肉が付き自信に満ちあふれるようになった陽馬は露伴とある勝負をする――

シーズン2の第一話なのでシーズン1の第一話アバンの「泥棒二人組撃退」と同じように露伴に不利な不動産投資を持ちかける二人組をヘブンズ・ドアーで懲らしめるアバンで露伴のキャラとヘブンズ・ドアーの能力を紹介。
今回のシーズン2もまた〈泉くんの記憶喪失のボーイフレンド平井太郎〉で薄く繋がってたシーズン1同様に〈妖怪が住む土地、六壁坂〉で繋がっている。この第4話の冒頭で露伴は「漫画のネタ探しのため六壁坂の山林を買い占めて破産」してしまった事が語られるし「シーズン2で起きる3つの怪異は全て六ツ壁坂由来のもの」という感じでシーズン1よりもっと直接的に繋がっている。
この話も原作では「只のランニングと筋トレにハマったサイコパス青年が鍛えすぎているうちにヤバい筋肉殺人鬼になった」というだけの話だっただがドラマでは「ランニングしてるうちに何でも『捨ててしまうサイコパスになった青年がランニング・コースにしていた六ツ壁坂で取り憑かれてしまう」って筋書きになっている。ただの筋肉サイコパス青年を六ツ壁坂由来の怪異にして第4~6話をまとめるというのは一見ストーリーが深まったように思えるが僕としては原作の方が数倍良かった。「原作とは違うがドラマもいいな」と思う話が多いが、この話だけは完全に原作の方が良かった。というのも僕が『ザ・ラン』は原作露伴で1、2を争うくらい好きな話だったというのがあるかもしれない。
いかにも荒木作品に出てきそうなサイコパス青年の橋本陽馬と露伴がランニング対決して露伴勝利……という展開は別に原作もドラマも同じ。橋本陽馬役の笠松将もボディを鍛え上げてるし顔も原作そっくり。でも漫画で好きだったのは露伴vs.橋本陽馬の闘いが終わった後の最後の2ページの部分だったんですよね。

(原作では……)露伴に敗北してスポーツジムの窓から落下した橋本陽馬。ドラマだと落下したはずの橋本陽馬の「露伴先生……」という声が聞こえて露伴が逃げる……という結末で「取り憑かれていた橋本陽馬は墜落死していよいよ本物の怪異になってしまったのか?」的な匂わせで終る。原作の落下した後の橋本陽馬は喋りもしないし姿も見えない、露伴が独り言言ってるだけ、それでどこまでも飛躍させるのが凄かった。
原作の、勝利した露伴は「この窓ガラスから下を覗いて見るのはやめておこう……」と思う「今……もし僕がこの窓から下方向を見たら……もし上から見下すように窓から覗いたら僕はたぶん『彼』に殺されるだろう……」と確信し速やかに逃走する事を決意する。
別に神や吸血鬼や〈柱の男〉でもない只のサイコパス青年を一話完結の話で倒しただけなんだから普通は高所から落とした露伴の勝ち!それで終わりでいいはずなのに倒した後で只のサイコパス青年をぐんぐん持ち上げる!前述したように別に橋本陽馬は壁をよじ登ったり又は階段を駆け上がってきたりする足音とかは聴こえない。ただ露伴が勝手に言ってるだけ。でもそのまま終われば綺麗に終わる話を、わざわざ露伴に喋らせて終るのだから橋本陽馬は確実に死んでおらず戻ってこようとしてるのは100%事実だと言っていいだろう。
更に露伴はランニング勝負クライマックスで橋本陽馬の背中とくるぶしと耳の後ろの筋肉が「翼のような形」に見えた事に言及する。そして「彼は『化身』――そういう『印』――」「彼は『筋肉の神』に取り憑かれた男――」「『橋本陽馬』はヘルメス神の化身となった男なのだ」と、勝負が終わった後の最後の1ページで単なる筋肉サイコパス青年だった橋本陽馬が露伴の独り言のみで人間を超えた「筋肉の神ヘルメス神の化身」とかいう訳のわからん存在になってしまった。『富豪村』ラストで〈山の神々〉との勝負を降りたのと同様、まるでクトゥルー神話の邪神を前にしたかのように露伴が逃走せざるを得ない素晴らしいラスト。まぁ露伴の敵はスタンド使いではなく神や怪異なので倒しきらず逃走するラストが多いが(そこがいい)。この飛躍!僕は、ファンが喜ぶ集大成的なラストバトルを終えたと思ったら最後に急に飛躍して、それまでの楽しいドラマ全話すらどうでもよくなるほど感動した『ツイン・ピークス リミテッドシリーズ』(2017)最終話とか、それまでは割と泥臭いロボがいっぱい出て楽しかったのだが最終話で神みたいな真ゲッターロボが出てきて一気に飛躍して終る石川賢の漫画『ゲッターロボ號』(1991-1993)とか大好きなので、原作の『ザ・ラン』も似たテイストを感じて好きなのかも。この話が好きなのは、はっきり言って最後の2ページがあるからといえる。ランニング勝負までは荒木作品でよくあるサイコパス対峙の話ってだけだからね。
原作の『ザ・ラン』の最後の飛躍の魅力を具体的に伝えたかったが、何故良いのかは結局上手く書けなかった。
ドラマはその最後の飛躍がないんだから、まぁよくある荒木作品の映像化にすぎない。
そして原作の露伴は最後に「この場はただ……逃げる(ザ・ラン)しかない」と言って立ち去って終る。つまりサブタイトルの『ザ・ラン』とは、ランニングに取り憑かれた橋本陽馬の事でもあり、橋本陽馬vs.岸辺露伴のランニング勝負のことでもあるが、それ以上に露伴が最後に逃走せざるを得なかったという事こそが最もサブタイトル『ザ・ラン』に含まれている。ドラマも一応、露伴は逃走するが、さすがにヘルメス神の化身から逃走するほどのインパクトはなかった。ドラマの橋本陽馬は六ツ壁坂からまろび出た妖怪に取り憑かれたサイコパスに過ぎないからね。
とはいえドラマのラストで「筋肉の神ヘルメス神の化身がどうのこうの」言い出したら視聴者は「え?」と訳わからんだろうし六ツ壁坂出身の妖怪先鋒として無難にまとめた方が分かりやすくなるのもわかるので別に「原作通りやれ!」とかは思わない。
そもそも「筋肉の神ヘルメス神の化身」ってジョジョにすら出てきてない新概念だからね、この後の露伴にも当然出て来ないし。荒木本人も「80年代に描いてた筋肉系ヴィランを描いてしまった自分自身」に驚いていた。いわばジョジョ初期の波紋戦士や〈柱の男〉みたいなもんですよね。それを超自然的な要素じゃなく、性格悪いサイコパス青年がただ筋トレしてるだけでそうなってしまったという飛躍が最高だったんですよね。
読み切り『ザ・ラン』が掲載された時って本業の『ジョジョリオン』は何度も言うように90%以上クソつまらなかったわけですが(完結して数年経ったがまだつまらない)同時期の露伴は何で面白いんだ?というか昔より面白いんだが……とか思いました。だが同時に「露伴が面白いからジョジョリオンも最後盛り上がるかも」という呪いも同時に受けてしまったので面白くない『ジョジョリオン』を最後まで読まされる刑も同時に受けていたが。
そういえば露伴は、橋本陽馬が危険だとわかっているのに橋本陽馬を全部知りたくなってランニング対決を続けてしまう自分を嘆くのだが、ここでの高橋一生の演技が舞台役者みたいにあまりに大袈裟すぎて面白い。

 

 

第5話「背中の正面」(2021) 🍅

原作は『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』(1992-1995)の中の一話。『ジョジョの奇妙な冒険』第44巻(文庫なら第27巻)、電子書籍カラー版なら四部の第16巻に収録されている

岸辺露伴の家にリゾート開発会社に勤める男、乙雅三市川猿之助)が訪ねてきた。家の中に招き入れると乙雅三は背中を壁につけたまま不自然な格好で入ってくる。以降、何をする時も愛想笑いしながら乙雅三は決して露伴背中を見せない。猛烈に好奇心をかきたてられた露伴は無理やり乙雅三の背中を見てしまう――

原作は『ジョジョの奇妙な冒険』第4部で、自分がスタンド使いだと認識していないスタンド使い・乙雅三のスタンド〈チープ・トリック〉と露伴が戦う話だった。
このドラマ版では「六壁坂でメロンを捨てたために妖怪に取り憑かれた乙雅三」というアレンジになっている(六壁坂で何かを捨てると取り憑かれる)。だが別にスタンドだろうが妖怪だろうがどちらでも問題ない怪異なので問題なし。スタンドではないので取り憑いた後は、スタンドの像(ヴィジョン)ではなく「前回呪われてた者」の姿で新たな宿主の背中に取り憑く。つまりビジュアル的には市川猿之助高橋一生におぶさって苦しめるという絵面。
好奇心の高い露伴は「理由はわからないが絶対に背中を見られたくない」という乙雅三の背中を絶対に見たくなり、そして見て、取り憑かれる。
おぶさった市川猿之助演じる乙雅三が露伴に嫌がらせし続ける。
森本未來の怪演が楽しめた『くしゃがら』の回同様、市川猿之助の怪演が楽しめる。
原作では〈振り返ってはいけない小道〉でチープ・トリックを振り返らせて葬り去ってたが本作では泉くんが見つけた都市伝説が囁かれている「平坂」と名付けられた高架下でこの妖怪を振り返らせて葬る。「平坂」は黄泉の国と現世の「境目」である〈黄泉平坂〉であり、踏切の音が「かごめかごめ」に変わった時に振り返ると何者であろうと無数の亡者の手によって黄泉の世界に引きずり込まれる。
本作はナイスな原作改変が多いが、この回はスタンド知らない人も一発でよくわかるように上手く出来ていてナイス改変だった。
原作では康一くんが露伴を助けたが、ドラマでは露伴に邪険にされながらも平坂を調べ続けた泉くんのおかげで露伴は生き延びることができた。
カッコいいロケーションが多いが、この「平坂」という高架下がとてもカッコいい。そして黄泉の世界と繋がった「平坂」は上の画像のように灯りがついた向こう側の通りが黄泉の世界に見えるような演出されてて、「地獄の亡者」は俳優の後ろで裸の役者陣が手を出して蠢いてるだけなのだが凄く地獄の亡者っぽくて、どれも大金をかけたCGなどよりずっとカッコよかった。


第6話「六壁坂」(2021) 

原作は2008年のジャンプスクエアに掲載された読み切り。『岸辺露伴は動かない』1巻に収録されている

財産よりも漫画のネタが大事な岸辺露伴は妖怪伝説がある六壁坂村の山林を買い占め破産してしまう。露伴と泉京香は取材のため六壁坂村を訪れる。
村一番の名家の跡取り娘、大郷楠宝子内田理央)は何かを隠している。楠宝子をヘブンズ・ドアーで読んだ露伴は、楠宝子と六壁坂にまつわる驚愕の秘密を知る――

橋本陽馬に取り憑いた走る妖怪、乙雅三に取り憑いた背中から背中へ憑依する妖怪を生み出した六壁坂に遂に取材に行った露伴と泉くん。
露伴は、六壁坂村一番の跡取り娘、楠宝子をヘブンズ・ドアーで読むと「楠宝子の愛人だった庭師の青年・郡平がトラブルで出血、意識はないが出血し続けて、今も『死に続けている』とでもいう状態で大郷家の屋根裏に居る」という恐ろしい秘密を知る。郡平もまた六壁坂から這い出た何か不思議な存在らしい。原作だと単純に代々そうして他人に寄生して生きてきた生き物だった気がするが本作だと前の2話同様に妖怪なんだろう。
都会に住んでいた大郷家が村の中心の名家に戻ってきた時に「境目」が開き数々の妖怪が現れたらしい。
それにしても郡平を演じてる俳優の演技が上手い。
回想で、出血し続けている郡平のボディを婚約者から隠そうとする楠宝子を演じている内田理央が美しい顔を歪めて半狂乱になりつつ大立ち回りを繰り広げる様が圧巻。ここが最大の見どころ。
あとは露伴や泉くんも郡平一族の罠にかかりそうになるが今回も上手く逃れる。
前回の『後ろの正面』もそうだが泉くんは怪異を自動的に才能がある。
露伴は、好奇心で自ら進んで怪異に巻き込まれる才能があるので泉くんと真逆。

 

✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒

 

岸辺露伴は動かない』第7話、第8話 (2022)

 

第7話「ホットサマー・マーサ」(2022) 🍅

原作は2022年の『JOJO magazine 2022 SPRING』に掲載された読み切り。単行本未収録

緊急事態宣言下でリアルな取材ができずにいた岸辺露伴は漫画のキャラクター「ホットサマー・マーサ」のデザインで担当編集の泉京花と揉めていた。飼い始めた子犬バキンと散歩に出かけた露伴は見知らぬ神社の根元が洞になった巨木に迷い込み気を失う。家に戻ると何やら様子がおかしい。更に寝室には最近、露伴を追いかけ回していたファンの女イブ(演:古川琴音)がいた――

昨年、執筆されたばかりの読み切りが原作。
今年もまた2人の侵入者を本にして懲らしめて露伴のキャラを説明するアバン。
今年の第7話と第8話は、露伴が連載している少年漫画『ピンクダークの少年』に登場するキャラクター〈ホットサマー・マーサ〉によって繋がっている。
妖怪伝説によって全3話が繋がっていた六壁坂ほど直接ではないが、フィクションの中のフィクションによって話が結びついてるってのが御洒落だ。またホットサマー・マーサ以外にも、この世ならざるものが現れるという十字路……〈四つ辻〉も第7話&第8話共に共通している。この、場所きっかけで怪異が出てくるのは六壁坂と被ってるから特に要らなかった気がしなくもない。
神社の巨木の祠に入ったことで、露伴のダークサイドな分身〈藪箱法師〉が本物の露伴と入れ替わり、2周間くらい?入れ替わっていた。目を覚ました露伴が家に帰るとやべーファンの女の子イブが棲み着いていた。露伴の姿をした藪箱法師が引っ張り込んでいたのだ。それより何よりもホットサマー・マーサが、露伴の希望のデザインではなく炎上を恐れた泉くんのデザインに変わっていた。自分に成り代わった藪箱法師がそうしたのだろう。
で、露伴は神社の神主父子に巨木の祠や藪箱法師の秘密を聞く。
経ってしまった時間は戻らないが藪箱法師を消す儀式をやれば、藪箱法師が行った不本意な事は起きなかったことになる。これでホットサマー・マーサのデザインは自分の希望通りに戻るはずだ。
だが儀式は失敗、更に3ヶ月が経っていた。
愛犬バキンは藪箱法師に虐待されて?凶暴な犬になっており、泉くんは露伴(藪箱法師)の子を宿したファンの女イブに毒を射たれて死亡寸前、もう無茶苦茶だ。
イブを演じる古川琴音の演技が素晴らしかった。ストーカー気質があるが可愛らしさもあるヤバい女の子の役がめちゃくちゃうまい。声も良い。
山の神以外の、どんな怪異も回避できてた泉くんもヤバい人間からの驚異は回避できなかった。ついでに露伴も注射されて動けない。イブが露伴を最も追い詰めた敵かも。
しかし何やかんやでピンチを乗り越えイブも藪箱法師も何とかして解決する。
時間以外の色んな事が元通りになるがホットサマー・マーサだけは露伴が希望したデザインに戻らなかった→デザインを変えたのは藪箱法師より泉京花の割合の方がデカかった……というオチ。
いわゆる「邪悪なドッペルゲンガーもの」の話だった。
暗喩的には「巣ごもり生活で鬱になって荒れて変なことしてた、あの時期の俺は変だったなぁ」という話を『岸辺露伴は動かない』形式に落とし込んだ話と見ることもできる。普通だったらラストに藪箱法師と直接対決して倒して解決するだろうが、そんな事は起きない、いやむしろ藪箱法師は監視カメラに映ってた数秒しか画面に出て来ない。やはり、どこまでも「調子悪かった俺がしでかした事で困ってしまう」話という事なんだろう。だからクライマックスで戦うのは藪箱法師とかいうフンワリした存在ではなく「調子悪かった時の俺が遊んだ女に復讐される」という〈超現実〉だったのだろう。
荒木漫画でたまにある、この「凄い現実には勝てない」という流れ好き……例えばジョジョ7部くらいになると〈スタンド〉なんていうフワフワした存在よりも国家や銃の方が驚異であるところなど。幻想的なスタンド能力よりも国や銃といった超現実の方が強い。本作でも「ヘブンズ・ドアー」や「怪異に強い泉くん」なんていうフワフワした要素は「ダークサイド露伴が遊んで捨てたファンの女」という超現実によって壊滅寸前まで追い詰められてしまう。
原作漫画は読み切り、ドラマは50分だが一本の映画に引き伸ばしても耐えうるくらい、妙に複雑で味わい深い話だった。
原作も、凄くつまらなかったジョジョリオン連載終了後のかなり新しい読み切りなのに面白かったから、またジョジョ第9部『ジョジョランド』に期待しておくか……と新たな呪いをGetした。

 


第8話「ジャンケン小僧」(2022) 

原作は『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』(1992-1995)の中の一話。『ジョジョの奇妙な冒険』第40巻(文庫なら第25巻)、電子書籍カラー版なら四部の第12巻に収録されている

泉京香と打ち合わせ中、岸辺露伴の漫画『ピンクダークの少年』大ファンの小学生、大柳賢(演:柊木陽太)が突然尋ねてきた。追い返された少年は、露伴の行く先行く先に現れてジャンケン勝負露伴に挑んできた――

ご存知、ジョジョ4部で露伴と宙に浮く勢いでジャンケンで対決したジャンケン小僧。
本作のジャンケン小僧は岸辺露伴の『ピンクダークの少年』の大ファン(しかも露伴が真に描きたい事を完全にわかっている熱狂的ファン)という設定になっている。ジャンケン小僧は〈ホットサマー・マーサ〉に対して「これは岸辺露伴の本意のデザインではない」と看破し、露伴に直接言いに来る。ジャンケン小僧が本物のファンだとはわかりつつも作者として一度出したものを撤回することは出来ないので追い返す露伴。苛ついたジャンケン小僧はウロウロしてるうちに例の神社近くの〈四つ辻〉で、ヘブンズ・ドアーのような〈ギフト〉を手にし、ジャンケンで勝ったらパワーを奪えるようになった。
そしてジャンケン小僧は露伴を追い回し、ジャンケン勝負を仕掛ける。
「ジャンケンは運ゲーではなく、舌戦や心理戦そして心の強さがものを言う」そんな感じでジャンケンを撃ち合う露伴とジャンケン小僧。西部劇っぽい。
パッと見た感じは子供とジャンケンしてるだけの、のどかな光景だが露伴本人からしたら「絶対に負けられない闘い」。一度譲ってしまうと一生立ち直れないダメージを負ってしまう。
藪箱法師やホットサマー・マーサによって自分の前に立ちはだかるジャンケン小僧との闘い。前回のイブと同じく「過去のやらかしのツケを払わされる話」と見ることもできる。ジャンケン小僧役の子役も演技めっちゃ良かったですね。

 

✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒

 

そーいう感じで観たばかりの第7話、第8話の感想だけ書こうとしたがキリ悪いから全部観返して全8話の感想書こうとしたら、やたら長くなって何か書くのが面倒くさくなって感想書くのに5日くらいかかって疲れました……。
特に好きだった回を各シーズンから選ぶと、第2話「くしゃがら」(2020)、第5話「背中の正面」(2021)、第7話「ホットサマー・マーサ」(2022)ですかね。
露伴が住む町……杜王町中心に描かれてるので〈露伴の家〉は勿論、〈露伴の家から下る坂道〉〈行きつけのカフェ〉〈諏訪太郎の古書店〉など何度も出てくる場所、あと高架下みたいなところも毎回同じようなところだし杜王町が何となく脳内でイメージできてきた。これは漫画ではなかった感覚だ。普段「あの町また行きたいな」と想像して、しかし妙にアニメカの風景だったりして「あれ?こんな町いったことあったっけ?」とよくよく思い出してみたらオープンワールドゲームの記憶だったりして「将来、認知症になったらゲームの記憶を自分の記憶として思い出しそう」と思ったりする。そんな感じで「杜王町」が立体的に脳内に構築されつつある。北の国からとか寅さんを全部観る人の気持ちが少しわかってきた。
まだ映像化されてない中で一番観たいのはトニオ・トラサルディーと鮑を盗みに行く「密漁海岸」ですかね。あとはやっぱり仗助とのチンチロリン対決。
ノベライズの「くしゃがら」も面白かったし脚本の小林靖子の信頼度が高すぎて別に原作にはないオリジナルの話を小林靖子が書いても成立する気もする。
観た人みな言ってるが色んな要素や俳優の演技など全て凄く荒木飛呂彦っぽいよね。
映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2023)は今年、2023年5月26日に公開されるそうだ。

 

 

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com
✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒✒

岸辺露伴は動かない(国内ドラマ / 2020)の動画視聴 | U-NEXT 31日間無料トライアル
Amazon.co.jp: 岸辺露伴は動かない(NHKオンデマンド)を観る | Prime Video ※2023年1月20日まで無料
NHKオンデマンド 岸辺露伴は動かない
映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』公式サイト

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com
岸辺露伴は動かない | Netflix ※アニメ版
岸辺露伴は動かない | ANIME | 「ジョジョの奇妙な冒険」公式ポータルサイト

「ジョジョの奇妙な冒険」公式ポータルサイト
『岸辺露伴は動かない』作品一覧|書籍情報|JUMP j BOOKS|集英社

BD 岸辺露伴は動かない [Blu-ray]
岸辺露伴は動かないⅡ ブルーレイ [Blu-ray]
「岸辺露伴は動かない」OVA「ザ・ラン/懺悔室」 [Blu-ray]

『ザ・メニュー』 (2022)/序盤と結末は良いんですけど、こんな荒唐無稽な展開じゃなく同じ結末で普通の料理映画の方がよかった👱🏻‍♀️👨🏼‍🍳


原題:The Menu 監督:マーク・マイロッド 脚本&製作総指揮:セス・リースウィル・トレイシー 製作:アダム・マッケイ/ウィル・フェレル他 製作国:アメリカ 上映時間:107分

 

 

アニャ・テイラー=ジョイが出てるからチェックしてたが、高級レストランが舞台でサスペンスコメディ的なストーリー?予告を観ても内容が全くわからんところが気になってた。『注文の多い料理店』とかジョジョ四部のトニオの店とか、レストランが舞台のサスペンス・ミステリーは面白いものが多い(そういう作品凄く少ないけど)。
この監督の、僕が他に観たことあるものは『運命の元カレ』(2011)と『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-2019)で何話か監督してる。制作のアダム・マッケイ&ウィル・フェレルもそうだが、がっつりアメリカン・コメディの人が制作に多く関わってる。よくわからんがブラックな笑いをシリアスムードで進めていく映画なんだろうなという予感はしてた。

ネタバレあり

 

 

 

 

Story
太平洋に浮かぶ孤島の人気レストランを訪れたカップル、マーゴ(演:アニャ・テイラー=ジョイ)とタイラー(演:ニコラス・ホルト)。レストランに向かう他の客も映画スター(演:ジョン・レグイザモ)など有名人や金持ちばかり。
目当ては、なかなか予約が取れない超一流三ツ星シェフ、スローヴィク(演:レイフ・ファインズ)の極上フルコース・メニュー……だったのだが――

そういう感じ。
映画が始まると、レストランのある孤島に、有名人や料理評論家や金持ち全員で向かうとこから始まる。いきなり本題という感じで好感触。
アニャ・テイラー=ジョイ演じるマーゴはライダーズ・ジャケット着て煙草吸ってるのも好感(僕はこの現代に煙草吸ってる人が好き)。
アニャ・テイラー=ジョイは当然好きだが、アニャ氏とフローレンス・ピューは出る作品出る作品、客入りも評価も共に高い作品ばかりで短期間で一気にトップ女優になってしまった。同じく本人の事は好きなのにヒットしないし微妙な作品に10年選び続けているクロエ・グレース・モレッツと対象的。これってアニャ氏とピュー氏はよっぽど事務所の脚本選びが上手くてクロエ氏の事務所は下手ってことなんだろうか?
アニャ氏は最初ふっくらした頬とグラマーな身体って印象だったけど、ここ数年ヤバいくらい痩せている。本作は最も痩せてるね。普段も金髪ロングへアにドレスをよく着てて何だか「漠然とした黄金時代のハリウッド女優」って感じの風貌になってきた。彼女は自分の特徴的な容貌に自信がなかったらしいから漠然とした匿名性のある美人になりたがっている気がする。そして演技は目に見えてわかるくらい自信に満ちて凄い感じになってきた。以前の親しみやすいルックスの方がずっと好きだが、演技が凄くなってきたので引き続き応援していきたい。
話を戻そう。
グルメである連れの男タイラーに「味がわからなくなるから!」と喫煙を注意される。
今からごく一握りの選ばれた人しか行けない最高級三ツ星レストランに行く、しかも後でわかるがレストランのシェフ、スローヴィク(演:レイフ・ファインズ)はタイラーが神のように崇めている超有名天才シェフ、タイラーは準備万端にして行きたいわけ。
タイラーを演じてるのは、今は亡きFOX版『X-MEN』シリーズのハンク・マッコイ/ビースト役とか『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)のニュークス役とかで御馴染みのあの人。自分が印象深かった役を並べてみると本作のタイラー役もそうだが「誰かを異常に敬愛している役」が多いな。
船で孤島のレストランに着き、テーブルに着く各員。一品目の料理が運ばれてくる。
この映画は、この孤島のレストランという社会から切り離された密室……異界のような場所で次々とメニューが運ばれてくる、客はそれに対峙していく……という展開がラストまで続く構成。
一品出す毎にシェフのスローヴィクがウンチクを述べてから提供される。配下のシェフや店員達は軍隊の兵士のような感じでスローヴィクに従っている。
レストランの全員は口調こそ丁寧だが内心、客をめちゃくちゃ見下しているんだろうな~という居丈高な雰囲気がめっちゃ出ている。
2品目は「ソースが数種類添えられたパン」……なのだが「今回はパンなしで味わっていただく」と言うスローヴィク。各テーブルにはソースだけ乗せられた皿が運ばれてきて困惑する客。
スローヴィク信者なので喜んでソースを舐めるタイラー。困惑しながらもソースを舐めてみる客。「いやいや、パンちょうだいよw」という客など様々。
個人的には、この辺が本作のピークだった気がする。何故なら、この先一体どうなるのか想像できないから。
「意識が高すぎるあまり純文学的な領域に行ってしまったシェフなのか?」などと想像力をかきたてられる。
アニャ氏演じるマーゴは「アホくさ」と女子トイレで煙草を吸うという好感の持てる振る舞い。すると突然、スローヴィクが女子トイレに入ってきて「何で私の料理にひとつも手をつけないのですか!?」と怒鳴り込んでくる。
早い段階でスローヴィクが完全にイカれてる事がわかってしまい少し醒めた。
だが、どうやらマーゴはこの夜のレストランの中で唯一、スローヴィクの思い通りにならない異分子だという事が早めに示される。アメリカにとってのスノーデンみたいなもんだろう。
で、次は自分と母親の悲惨な過去について語って客を嫌な気持ちにさせた後、各テーブルにトルティーヤ的なものが運ばれてくる。その皮には客が触れられたくない過去の画像が写真のように焼かれている。老夫婦の皮には不倫現場、成金たちには不正な経営の証拠書類、映画スターには大コケした過去の出演作、「料理の写真を撮るのは控えてください」と言われたのに隠れて料理の写真を撮っていたタイラー……などなど。
こういう感じの映画はみなそうなんだが本作もまた、シェフが客を攻撃していく内容のようだ。
その後も、客への攻撃だけでなくスローヴィクは自分がセクハラしていた部下の女性シェフに自分をハサミで刺させたり、自分の実態ではなくメディアでの姿に憧れて入ってきた自分を崇拝する部下のシェフに拳銃自殺させたり、横暴な店の経営者を溺死させたり、と自傷行為も入ってくる。
どうやら客への復讐ではなくスローヴィクは、自分も含めた島にいる者全員で死んでメニューを完成させるという料理と死で芸術を完成させるのが目的だったのだ。
スローヴィクは自分の人生に絶望しており、その原因となった者たちをメニューに則って自分もろとも殺す事で人生を終えようとしている。
自分を抑圧してきた横暴なオーナーとかはわかるのだが「クソ映画観て気分悪くなったから主演俳優を殺人メニューに招待した」「自分を褒めてシェフにしてくれたが、酷評ばかりで色んな有望店を潰した料理評論家ムカつくから殺す」「自分の熱狂的ファンに調理させてシェフ全員でガン見して酷評して自殺させる」など、殆ど八つ当たりのような正当性のない理由で大して悪くない人たちに八つ当たりする復讐なので”世直し殺人鬼”みたいなもんじゃなく『悪魔のいけにえ』みたいな「狂った人間……サイコウォーリアーの店に入ってしまったから皆死ぬ」という不条理なコメディホラーみたいな感じだ。
客たちは、スマホも通じないし、屈強なスタッフの方が客より多いので抵抗しても無駄なので店からは出られない。
で、その後も色々あるんだがマーゴは、スローヴィクの心中の絶望を知った上で「そもそも客を圧迫してばかりだし意識高すぎてメシ全然うまないし最低のメニューやん」と当然の説教をする。そして自分もスローヴィクも両方、歓喜できる……という『美味しんぼ』的な注文をして活路を見出す。
そういえば全員のキャラ付けが割と薄いのだが傲慢な料理評論家女性が、主人公が脱出しようとする時に「早くいきなさい」と手でジェスチャーしてたので彼女だけ「シビアに仕事してただけなんだな」と奥行きを感じた。

 

 

この「絶望して狂気に走って誰も止められない天才シェフを、一般庶民の客である主人公がたった1つの注文で勝利する」という結末は良かったんですけど、割と本編がファンタジーすぎるというか荒唐無稽すぎて乗れないものがありましたね。スローヴィクがカリスマなので何人か狂信的な部下がいるくらいならわかるが、あんな何十人もの大勢の店員全員が、最後に自分たちも死ぬことを覚悟してせっせと全力で料理してるのも違和感ありましたね。スローヴィク普通に嫌な奴だし。別に以前は理想に燃えていた素晴らしいカリスマだった事を示す場面もないし。というか最後、満足したように自殺のメニューを完成させてしまうのが腹立ったね。もう助からないにしても誰かがスローヴィクを滅多刺しにしてメニュー完成前の本懐を遂げる前に殺してほしかった。
前述したように、スローヴィクが自分や店や客を恨んで殺す理由も正当性がないので「どうせ逃げられないんなら、スローヴィクに走っていってメッタ刺しにして殺せばいいじゃん」とか色々思ってしまう。正当性があるなら「最後のメニューまでにスローヴィクを心変わりさせる解決法を決めなければ……」と思うだろうが。
こういう感じで、人がバンバン死ぬ寓話的な話だと二品目くらいで白けてしまったので、ちょっと傲慢な程度で人は殺さない圧迫シェフのスローヴィクの心を最後に同じやり方でマーゴが溶かす……という普通の料理映画の方がよかった気がしました。
とはいえ最後まで楽しめるくらいには面白かったです。

 

 

 

 

そんな感じでした

👱🏻‍♀️👨🏼‍🍳🍔👱🏻‍♀️👨🏼‍🍳🍔👱🏻‍♀️👨🏼‍🍳🍔👱🏻‍♀️👨🏼‍🍳🍔👱🏻‍♀️👨🏼‍🍳🍔👱🏻‍♀️👨🏼‍🍳🍔👱🏻‍♀️👨🏼‍🍳🍔👱🏻‍♀️👨🏼‍🍳🍔👱🏻‍♀️👨🏼‍🍳🍔

ザ・メニュー | Disney+
ザ・メニュー|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式
The Menu (2022) - IMDb

www.youtube.com

『ワイルドキャット』 (2022)/鬱の退役軍人と山猫と野生動物保護女性の人生が一瞬だけ交差したフィクションのようなドキュメンタリー🐆🧑🏼👩🏼🐆


原題:Wildcat 監督&撮影&制作:トレバー・フロスト/メリッサ・レッシュ
配信:Amazonプライム・ビデオ 製作国:アメリカ 配信時間:105分

 

 

Amazonプライム・ビデオ配信ドキュメンタリー映画。よく知らんが戦場で鬱になった退役軍人の青年がジャングルでヤマネコを育てて癒されるドキュメンタリーと聞いて面白そうだから観た。猫飼ってるし
ちょっと今回はいつにも増してめちゃくちゃ全部ネタバレしてて、全部読んだらもう観る気なくすかもしれんから興味出たとこで読むのやめて観てください

 

 

 

 

退役軍人のイギリス人青年ハリー・ターナーは、ペルーのアマゾン野生動物保護センターホジャ・ヌエバ〉を創設した生態学サマンサ・ズウィッカー通称”サム”と共に暮らしていた。
ハリーは都会から離れ、サムとアマゾンで暮らす事で鬱病を癒やしながらオセロットの赤ちゃん”カーン”を育てていた。
オセロットとはネコ科の豹に近いヤマネコ。美しい毛皮は高く売れるし異常に人懐っこい性格はペットとして人気があるため乱獲が続き絶滅危惧種に指定されている。
映画冒頭、野生に帰すまで残り僅かまで育てたカーンだったのに、ハンターが仕掛けた銃弾が発射される罠によって命を落としてしまう(このジャングルは私有地だが密猟者がこっそりやってきて野生動物を狩ったり樹齢千年の木が切り倒されて盗まれる事がたまに起こる)
ハリーは嘆き悲しむ。
「犬とか猫が死ぬ映画は観れない」って人が多いらしい、別にオセロットの傷とかは映らないし鳴いたりもしないが「犬とか猫が死ぬ場面がある映画」が苦手な人は注意。そして以降はそういう場面はない。逆にオセロットがネズミとか喰う場面はあるが。
カーンが銃殺された事よりもハリーの慟哭や数日間、哀しみがハリーを支配してうずくまってたりする様がもうハリーの哀しみが観てるこっちの脳に直接流し込まれる感じで辛い。
しかし仲間が再びオセロットの赤ちゃんを連れてくる。ハリーは今度こそ無事に育ててジャングルに帰そうとオセロットに”キアヌ”と名付ける。特に語られないがキアヌ・リーブスから名付けたんだろう(だって他にキアヌなんているか?)。
ハリーはキアヌを夜は小屋で寝かせ、昼や夜は一緒に散歩に行ってネズミなど小動物の獲物の獲り方を教える……という日々を過ごす。キアヌが神経毒を持つ蜘蛛に鼻を噛まれてしばらく麻痺して動けなかった場面は(笑ったら可哀想だが)可愛かった。その間ハリーは号泣していた(ハリーは鬱のせいか元々の優しい性格のせいか割と頻繁に号泣する)。
只でさえ人懐っこいオセロットが「人間そのもの」に懐いてしまったら密猟者に捕まりかねないので育てたり仲良くするのはハリーだけ、サムはキアヌと少し距離を置いている。「ハリーという人間は優しいけど、他の人間は未知」という感じをキアヌに植え付けたいのだろう。
そして約18ヶ月後にはキアヌをジャングルに放し今度こそ野生に戻すのだ。
〈ホジャ・ヌエバ〉こと二人が住む小屋には、ハリーの両親と歳の離れた弟も数日間遊びに来たりして楽しい日々が過ぎる。

 

 

ハリーはアフガニスタンの戦場に半年くらい居たが、そこで仲間や敵の死、無関係の現地の子供の死、殺された少女などを見て完全に鬱になり除隊、イギリスの実家に居ても辛いので金を貯め、ここペルーでサムがやってる野生動物保護センター〈ホジャ・ヌエバ〉にやってきたのだ(野生動物保護センターといってもパッと見は只の小屋だが)。
またハリーは優しい青年なんだが、まだ情緒不安定なので怒りや哀しみが自分の中で膨れ上がりリストカットのように腕を切る自傷癖や自殺願望がある。劇中でもトラブルがあると号泣したりするし希死念慮が浮かんでくる(そのため映画始まる前に「希死念慮とかのシーンがあるからメンタル不安定な人は注意して」みたいな注意文が出てくる)
〈ホジャ・ヌエバ〉を創立して動物を保護しているサム。今はハリーと恋人関係にあるようだ。彼女もまた幼い時に父親の家庭内暴力に怯えて過ごした。普段は楽しく優しい父親だが酒を飲んだ時だけ怖くなってしまうようだ。怒鳴ったり暴力?があったようだが彼女もあまり語りたくなさそうなので詳しくはわからない、何か語ってないことがあるが想像してくれって雰囲気を感じた。そしてサムは「そんな父は『俺を諦めないでくれてありがとう』と最後に言った」と締められる。ってことは父親は死んだのか?というか自殺っぽい言い方だな……と不穏な気持ちになったが、これもまた詳しく語らないのでよくわからない。何事もつまびらかにすればいいというものでもない各々が察するしかない。

キアヌと別れの時が近づいてきた。
いや別れの日どころか別れの日の半年前にハリーは「半年後きっと悲しいだろうなぁあああ!」などと号泣している。
そこで今までは小屋で寝かせてたが一晩だけキアヌをジャングルで過ごさせたり、何日かジャングルに放して少しづつ自然に慣れさせる。
ハリーはジャングルのあちこちに夜間カメラを設置しており、キアヌの様子は後日チェックできる。放すたびに「これでもう二度と会えないかもしれない……」と涙ぐんだり「大丈夫かな……」とカメラをチェックしたりしている。
だがその度にキアヌは帰ってきて抱き合う二人。
しかしキアヌは、この小屋の場所を覚えてしまった。
ジャングルに放しても帰ってきてしまう(まぁそりゃそうだな)。
ハリーは「この一年半のことは失敗だった……?」とパニックになる。
キアヌを家から遠ざけるため、大好きなのにも関わらず「出て行け!」「帰ってくるな!」と怒鳴り近くの柱を叩いたり木を揺すってキアヌを怯えさせようとするハリー。だが「出て行け!」などの怒鳴り声が全然不快な響きじゃないので本心で出ていって欲しいわけではない感じがめっちゃ出ていた、出ていってほしくないのに大好きなキアヌにそう怒鳴る度にハリーは自分の心も傷つけていったのだろう。重い鬱だしね。
というか僕もようせんわ、この仕事。自分にかけよってくる大好きなヤマネコに怒鳴って離れさすってかなり辛いよね。
この事からハリーのメンタルはバランスを崩し希死念慮が高まり、カメラには映ってないが言動も刺々しくなっていったようだ。
そのことで傷ついたサムは自殺相談センターに電話する。その事が更にハリーの哀しみや怒りも増幅する。キアヌもジャングルに帰らない。……完全に悪循環。二人と一匹の楽園が破綻してしまった(またカメラには映ってないが激しい言い合いが何度もあった事は感じさせる)。
サムに三行半を突きつけられハリーは出ていくことにする。
確かに、いつものようにキアヌをジャングルに置いてハリーがここを立ち去れば、もうキアヌが戻ってくる所もなくなるのでキアヌの野生への帰還も、ハリーとサムの別離も全てが解決する。
ハリーはジャングルでキアヌに別れを告げてペルーからイギリスに帰る。

 

 

最後まで観てると割と多くの人が「ハリー、もうキアヌを飼えば?」と思うと思う。僕も思ったし。飼育が難しい野生動物と違いオセロットはペットとしても充分飼えるらしいし。
ハリーがキアヌを飼わずどうしても野生に返したいという理由は語られないが、ハリーはオセロットの世話以前に自分の鬱を治すためにここに来ているという事がある。推測だが、キアヌを野生に帰すという行動を通して自分の心を癒やしているわけであって、「キアヌを飼う」という事をしてしまうとそれはハリーにとって現実逃避でしかない、とハリーが思っているのではないだろうか。
またサムは最後に終盤のハリーとの不和を語る。いつも優しいハリーだったが鬱が重くなって言動が刺々しくなったり「死ぬ死ぬ」と言う事によってサムを傷つけたりする様が、幼い頃の父親のDVと被っている。皮肉なことに幼い時の自分に辛く当たる父、今の自分に八つ当たりするハリーが被っていた事を悟り、もうやっていけないと確信したのだろう。
ハリーとサムはあんなに仲良かったのに、キアヌを野生に帰す日くらいからはもう同じ画面に映らない。気になって調べたが二人のInstagramとかにも互いに全く登場していない。もう当分時間が経たないと談笑とかできないくらい破綻してしまったんだろう。DV父と似た印象を持ってしまったからには簡単に会いたくなくなっても仕方ないかも。
ハリーとサムとキアヌ、死んだカーン、互いに癒やし合うこの場所は役目を終えて終わった。楽園のようだったこの場所から、それぞれの現実に帰っていった。
こうして最後まで観るとハリーがキアヌを世話していながら、キアヌがハリーを癒やしたとも言える。
サムは引き続き違うジャングルでオセロットを保護しているが、ハリーは爬虫類専門の保護活動してるのはキアヌとの別れが辛すぎたせいかなと思った。
一方ハリーはクソデカいキアヌの引き伸ばした写真を家に飾り、後頭部から尻までオセロットの模様のタトゥーを彫っていた。「帰ってもお前のこと忘れないよ」と言っていたがマジで忘れてない。
一方、ジャングルに帰ったキアヌは野生に戻った姿が半年後にカメラに映っていた。
二人とオセロットの、人生におけるこの場所での人生がまるでフィクションのように切り取られた面白いドキュメンタリーでした。
そういえばこの作品は出演者が語りたくない話や映してほしくない場面は映してんだろうなってところが多く、だから推測しないとわからないことが意外と多いのだが、推測できるだけのヒントは出してた。そういう誠実なところが現代のドキュメンタリーって感じで好感持てました。

 

 

 

 

そんな感じでした

🐆🧑🏼👩🏼🐆🐆🧑🏼👩🏼🐆🐆🧑🏼👩🏼🐆🐆🧑🏼👩🏼🐆🐆🧑🏼👩🏼🐆🐆🧑🏼👩🏼🐆🐆🧑🏼👩🏼🐆

Amazon.co.jp: ワイルドキャットを観る | Prime Video
Wildcat (2022) - IMDb

Samantha Zwicker - Hoja Nueva
Sam Zwicker (@sjzwicker) • Fotos y videos de Instagram
Harry Turner (@harry__turner) • Instagram photos and videos

www.youtube.com

#sidebar { font-size: 14px; }