gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『ラブ、デス&ロボット』Vol.3 (2022) 全9話/好きなシリーズだしアルベルト監督作あるからネトフリと再契約させられた💓💀🤖


原題:Love,Death + Robot (Season.3) 総監督:ジェニファー・ユー・ネルソン 企画:ティム・ミラー 製作総指揮:デヴィッド・フィンチャーティム・ミラー、ジェニファー・ミラー、ジョシュア・ドーネン、 製作国:アメリカ 制作:Netflix、ブラー・スタジオ 配信時間:各話4~17分、全9話

 

 

 

 『デッドプール』(2016)『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019)の監督として知られるティム・ミラーと、『ファイト・クラブ』(1999)などでお馴染みの巨匠監督デヴィッド・フィンチャーが製作総指揮を務める大人向けのアニメシリーズ。
タイトル通り、SEX、バイオレンスとモンスター、ロボットとSF……を扱ったものが殆ど。あとはドラッギーなものも毎シーズン必ず多い。一言で言うと「白人のオッサンが好きそうな要素が多いオムニバスのアニメ」。白人のオッサンが好きそうなカルチャーで育った日本の独身おじの僕は当然好きです。
そんな話の内容もオムニバス形態も、昔あったカナダ&アメリカ制作のアニメ映画『ヘビーメタル』(1981)にノリが非常に似てる。僕は『ヘビーメタル』大好きだったので当然これも好きです。あとたまたま前から好きだったアルベルト・ミエルゴやRobert Valleyなどの素晴らしい画風のアーティストが参加してるのも嬉しいです。Netflixつまんないので退会してU-NEXTに乗り換えたんですが、コレ観るためだけに再契約した。
多少のネタバレあり。

 

 

 

 

第1話『ロボット・トリオ:出口戦略』 
原題:Three Robots: Exit Strategies 監督:Patrick Osborne    脚本:ジョン・スコルジー 原作:ジョン・スコルジー 制作スタジオ:Blow Studio 配信時間:10分

シーズン1の『ロボット・トリオ』の続編。3体のロボットが、人類が滅亡した後の地球を訪問して愚かな人類が如何に滅んだのか見学する話。
特に加もなく付加もなくという感じ。こういう、ロボットが「人類ってバカだね」と愉快に風刺する話は、まぁ確かに人類はバカだが、あまりに定番過ぎて最早何も言ってないも同然という感じもする。ディストピアものの映画やアニメはいっぱいあるが、このジャンルは正直、坂本慎太郎のアルバム『ナマで踊ろう』(2014)を聴くのが一番染み渡る、あとヴェイパーウェイブの名盤、Macintosh Plus『Floral Shoppe』(2011)どういうわけか、このテーマは音楽の方が刺さる気がする。
この可愛いロボット達を観ると凄く『ラブ、デス&ロボット』観てる気分になれるので、ロボ達を毎シーズンの第1話にしたらいいんじゃない……いや、トリオの本編は大して面白くないんでそれよりも「次の話は航海に出た船の話だよ~」「やっぱり人類は愚かだね」……みたいに『世にも奇妙な物語』のタモリみたいなストーリーテラーにしてはどうか?『ヘビーメタル』(1981)でも話と話の間にナレーションで誰かがそれやってたな。なんか妙に長い感想になったが正直あんまり面白いとは思わなかった。

 

 

第2話『最悪な航海』 ★★
原題:Bad Travelling 監督:デヴィッド・フィンチャー    脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー    原作:ニール・アッシャー 制作スタジオ:ブラー・スタジオ 配信時間:21分

デヴィッド・フィンチャー監督回。
巨大な漁船に、人喰い巨大ガニが襲来。そんな帆船で反乱と裏切りが起きる話。
カニは船底に住み着いており巨体故に上がってこない、だが空腹に耐えられなくなれば、ぶち破って上がってきそうな雰囲気。クジで負けた主人公はカニ退治で船底に落とされる。主人公は、他の船員を定期的に喰わせるから……と見逃してもらう。
凄くゴアシーンの多いバイオレンスな感じの3DCGアニメ、20分だけど満足しました。

 

 

第3話『死者の声』 
原題:The Very Pulse of the Machine 監督:Emily Dean    脚本:Philip Gelatt    原作:マイクル・スワンウィック『死者の声』(1998) 制作スタジオ:ポリゴン・ピクチュアズ 配信時間:17分
日本のアニメスタジオ制作。
木星の衛星イオでの探査で事故に遭った女性の宇宙飛行士。自分のスーツの酸素は漏れてしまっているので事故で死んだ仲間のスーツと接続し、その遺体を引きずって安全な場所まで移動しなければならない。そして自分の傷に対処するためモルヒネのような薬品を射って移動する。モルヒネ射った主人公はキマった状態になり惑星の自然が幻視によって様々な姿を見せる。そして死んだ仲間の遺体が話しかけてくる。
遺体は「自分はこの死体を通じて話しかけている、この惑星そのものの意思だ」と言い主人公との融合も望む。
やがて物語は終わるが、主人公が惑星と融合したのか、それとも全て薬の幻覚だったのか、わからない感じで終わる(最後に第三者視点で惑星に異変があるが、それも主人公の幻覚かもしれないし)。まぁこういう感じの話はフワッと終わってよくわからない方が良いです。

 

 

 

第4話『小さな黙示録』 
原題:Night of the Mini Dead 監督&脚本:Robert Bisi / Andy Lyon   原作:ジェフ・ファウラー、ティム・ミラー 制作スタジオ:Buck 配信時間:7分
ロサンゼルスで起きたゾンビ・パンデミックを描いたもの。凄く上空からの俯瞰視点で描いてて、映像は早送りで点のように小さいゾンビ達が超スピードで「ワーワー!」と人を襲う愉快な短編。各地の人類の抵抗が描かれる。楽しい以外にこれといって書くことないけど楽しかったです。ただもうちょっと長くても良かった。

 

 

第5話『絶体絶命部隊』 
原題:Kill Team Kill 監督&脚本:ジェニファー・ユー・ネルソン   脚本:Philip Gelatt 原作:ジャスティン・コーツ『Kill Team Kill』 制作スタジオ:Titmouse 配信時間:13分

『カンフーパンダ2』(2011)、『カンフーパンダ3』(2016)でのジェニファー・ユー・ネルソン監督の作品。
米軍の小隊が、CIAの実験で生み出されたサイボーグ熊と闘う。
唯一の2Dアニメ(といっても、これも3DCGの上に2Dっぽい絵を貼ってるだけだと思うけど)。田亀源五郎が描いたかのような小隊長が出てくるのだが、あまりに田亀源五郎すぎるルックスなのでビックリする。でもオッサンばかりのキャラクターやキャラデザも凄く良い感じ。本当にサイボーグ熊と13分間闘うだけなのであまり書くことないが僕はかなり好きでした。

 

 

第6話『巣』 
原題:Swarm 監督&脚本:ティム・ミラー   原作:ブルース・スターリング『巣(蠅の女王)』 制作スタジオ:ブラー・スタジオ 配信時間:17分
サイバーパンクスチームパンクの大御所ブルース・スターリングの短編SF小説『巣』(1982)が原作。製作総指揮もしてるティム・ミラー監督作。
蟻のような生態系で何万年も生命を維持してきた昆虫のような巨大宇宙生物の”巣”。2人の男女の科学者は、この「完璧な生態系」を持つ宇宙生物昆虫から人類繁栄のヒントを得ようと、この生態系を研究する。
みたいな話。女性研究者は虫たちと楽しく過ごしていたが、男性研究者はこの生態系を複製し利用しようと野心を見せる。女性は最初反対しかけるが「この生物は感情がない、この皆はこのままにしとくけど複製したものを使うのは良いだろう?誰のためだろうと働ければ良いんだから……」みたいな事を言い反論できない女性は従う。意思があったら尊重しなければならないが機械みたいなものだからいいだろって事なら、まぁね……と言うしかない。
勿論その目論見通りには進まない、野心を持ったからにはな。実はこの生態系の女王蟻は人間より遥かに賢かった。しかも女王蟻は「自分は、この生態系の『脳』の役割に過ぎない。我々全員が一つの生き物だ。我々のことは『群れ』と呼んでくれ」と言う。男性研究者は「くっ!だが、いずれ人類はここに来てお前らを負かすぞ!」と負け惜しみを言うが女王蟻は「そうかもしれないね?だが我々の長い生命の時間に比べて人類の時間はあまりにも短い……というか人類はここに来て我々を負かせるほど発展する以前に滅びるだろうけど」と言う。勝負あった。
クトゥルー神話などもそうだけど、人類より遥かに高度な生命体が出たら……そしてその生命体が人間とかけ離れてる姿をしてるほど不思議な快感がありますね。幸せに生きたい自分ごと全ての愚かな人類を皆殺しにしてくれるという他力本願的な快感なのかも。
『最悪な航海』『死者の声』に続いて、ここでも人外の高度な生命体が人間の身体を使ってコミュニケーションしてくるという描写があった。別に良いけど凄い被るね。各スタジオが個別に作ってるからか。

 

 

第7話『メイソンとネズミ』 
原題:Mason's Rats 監督:Carlos Stevens   脚本:Joe Abercrombie 原作:ニール・アッシャー 制作スタジオ:Axis Animation 配信時間:10

スコットランドに住む農夫のじいさんの納屋で遺伝子組換え肥料を食って急激な進化を遂げたミュータント・ネズミの暴動!
そういう話。じいさんが飼う猫があっという間に死んでしまうので人生の殆どの間、猫飼ってる猫好きの僕は一旦そこでテンション下がったが、ギャグなので気を取り直して最後まで楽しんだ。割とベタなオチのものが多いが本作のオチはかなり好きな感じ!

 

 

第8話『地下に眠りしもの』 
原題:In Vaulted Halls Entombed 監督:Jerome Chen   脚本:Philip Gelatt 原作:アラン・バクスター 制作スタジオ:ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス 配信時間:15分

人質救出のため山奥の洞窟に潜った特殊部隊の兵士たちに、古代の神が襲い掛かる。
一言で言うと『エイリアン2』(1986)みたいな小隊vs.モンスターの群れ的な感じです。『ラブ、デス&ロボット』に毎シーズン一話は入ってる話。印象薄かったですね。

 

 

第9話『彼女の声』 ★★★★★
原題:Jibaro 監督&脚本:アルベルト・ミエルゴ   原作:無し(オリジナル) 制作スタジオ:PINKMAN.TV 配信時間:17分

アルベルト監督は元々、このシリーズで2作手掛けてるRobert Valley同様に、僕が「アートが世界一カッコいい!」と思ってたアーティストだったがRobert Valley同様にシーズン1での傑作『目撃者』で監督&脚本を手がけてエミー賞アニー賞を受賞した。
アルベルト監督が手掛けた一番有名な仕事は『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)のビジュアル担当。後は『ウォッチドッグス レギオン』(2020)の予告編か。
アルベルト・ミエルゴ公式サイト
ネトフリはあまり観るものないけど、この男の作品は早めに観て早めに感想書かんと気が済まんという理由だけでネトフリ再契約した。

唄で人を死に追いやる力を持つ沼に棲む女を退治しに騎士団が攻めてくる、女の声で騎士団は全滅するが”耳の聞こえない騎士”はノーダメージ。沼の女は耳の聞こえない騎士に魅了されてアピールするが――
という話。沼の女は孤独だったがために耳の聞こえない男に特別なものを感じて心を許すが、それはただ「たまたま耳が聞こえない」という物理的な理由に過ぎなかったため、沼の女と耳の聞こえない騎士の利害は一致せず、あいも変わらず今も世界中で起こってる男女間……いや、性別を問わないパートナー間に起きるすれ違いによって悲劇で終わる。
ストーリー的には殆ど台詞もないし只それだけの話だが、やはりビジュアルが最高!
そして動きも素晴らしい。沼の女が超音波を発する直前の身体のくねらせや、それにたじろぐ騎士達のリアクションの動き……上手く言葉で言い表せないがオンリーワンの魅力を感じた。この監督を好きという理由もあるが、この17分間を観るためだけにネトフリに再加入した甲斐あった。でも比べるなら前回の『目撃者』の方が好みかな?
もう『ラブ、デス&ロボット』シリーズとか『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズとか、どうでもいいからオリジナルの長編アニメを作って欲しい。

 

 

 

そんな感じでした。今回もアルベルト監督作が良かった。あとは『死者の声』と『巣』が良かったかな?あまり響かなかった星1だった作品も全部好きなので、コンスタントに……毎年一本更新して欲しい。ブルース・スターリングの『巣』が作られたが僕が好きなフィリップ・K・ディック作品が全然出てこないな?制作する気もないのに映画会社に抑えられてるのかな?ウィリアム・ギブソン作品もどんどんアニメ化して欲しい。もう今更サイバーパンクとかスチームパンクの実写大作とか作らんだろうし、このシリーズで観たいよね。

 

 

 

 

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.comgock221b.hatenablog.com

💓💀🤖💓💀🤖💓💀🤖💓💀🤖💓💀🤖💓💀🤖💓💀🤖💓💀🤖💓💀🤖

『ラブ、デス&ロボット』- Netflix
Love, Death & Robots (TV Series 2019– ) - IMDb

www.youtube.com

『シン・ウルトラマン』(2022)/オタ臭さと性的シーンが多くて人を選ぶがウルトラマンの善性や楽しい展開、僕はシンゴジより好き🌏


企画・脚本・制作:庵野秀明 監督:樋口真嗣 監督補:摩砂雪 音楽:鷺巣詩郎 主題歌:米津玄師「M八七」 原作監修:隠田雅浩 デザイン:前田真宏、山下いくと 原作:『ウルトラマン』(1966) ウルトラマン&禍威獣&外星人のオリジナルデザイン:成田亨 製作:円谷プロダクション東宝・カラー 配給:東宝 製作国:日本 上映時間:113分 シリーズ:『ウルトラマン』映画シリーズ。シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(SJHU)

 

 

 

特撮TVドラマ『ウルトラマン』(1966)のリブート作。
そして、 『シン・ゴジラ』(2016)『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(2021)、本作、そして来年公開の『シン・仮面ライダー』(2023)からなる”シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース”(SJHU)とかいうシネマティック・ユニバースの3作目という事が本作公開の少し前に明らかになった。このユニバースについては後述……。
連続で監督するのはキツかったのか本作で庵野秀明は監督ではなく企画・脚本・制作で、監督は樋口真嗣になっている。といっても他の作品もそうだが庵野氏や樋口真嗣氏やら摩砂雪氏やら諸々のお馴染みメンバー全員で作ってるのは間違いない。そして庵野といえばゴジラよりウルトラマン……庵野の発言権が最も強かっただろう事は想像に難くない。
「自分とウルトラマン」と言えば正直、小学生の時に観て以来観てない。
僕は正確には『ザ☆ウルトラマン』(1979-1980)とか『ウルトラマン80』(1980-1981)世代。だけど、それらは殆ど観てなくて、それより夕方に初代『ウルトラマン』から『ウルトラマンレオ』まで再放送してて、そっちの方が明らかに面白いのでそっち観てた。そして本作の原作である初代が一番一番得体が知れなくて好きだった(でもそれは大人になった現在の感覚で「モダンな初代ウルトラマン」が良いなと思うのであって子供の時はゴテゴテしたタロウやレオの方が好きだった気がする)。ウルトラ兄弟ごっこも近所の子と激しくしていた(アンドロメロスごっこも……)。最後に初代ウルトラマンに触れ合ったのはファミコンディスクシステムのゲームの名作『ウルトラマン 怪獣帝国の逆襲』(1987)やスーパーファミコンの『ウルトラマン』(1991)が最後(どちらもバンダイと思えないほど名作)。
別にウルトラマンが嫌いになったわけではなく好きな気持ちは残ってたが当時は今より「特撮は大きくなったら卒業するもの」という空気が強かったので中学校に上がる頃に観なくなった。だがその後も少年漫画やアメコミヒーロー等はずっと好きだったので「特撮だけ卒業して特撮の人ゴメン」という気持ちもあった。
30年以上観てないので本作に出てきた禍威獣や外星人の元となった怪獣や宇宙人や各話の、ファンなら「あの有名なエピソード知らんの?」と思うであろう元の話やディティールについては覚えてない。ウルトラマンのアクションと最終回の事しか覚えてない。当然、本作に出てくるキャラクターについてや本作に盛り込まれてるらしい樋口監督が撮ったウルトラマン等の小ネタについても全く知らない(それらについては、やはり公開初日に観た若い特撮オタの甥と長電話して教えてもらった)。
本作の監督は樋口で彼には興味ないが、庵野のアニメや映画作品は殆ど全部観てる。「庵野作品の超絶ファン」というわけではないが庵野本人の事は好きなので「庵野作品より庵野本人が好き」という感じ(そういうファンは多そう)。
ネタバレあり

 

 

〈Story〉
少し前から日本にだけ次々と出現する巨大不明生物、通称”禍威獣(かいじゅう)”に対抗するため日本政府は”禍威獣(かいじゅう)特設対策室専従班”……通称”禍特対”(かとくたい)を設立。
警察庁公安部より出向した作戦立案担当官(というか単純に永遠にウロウロしてる謎の青年)神永新二斎藤工)、公安調査庁より出向した分析官(そして神永のバディ)浅見弘子長澤まさみ)、防衛省防衛政策局より出向した禍特対班長田村君男西島秀俊)、文部科学省より出向したストレスで過食する汎用生物学者船縁由美早見あかり)、城北大学から出向した非粒子物理学者滝明久(有岡大貴)、そして日本政府と交渉する禍特対室長宗像龍彦田中哲司)ら、各組織から人材を集めて禍威獣に対処する”禍特対”は防衛庁と連携し何とか6体の禍威獣を撃退した。

ある日、禍特対は、電力を捕食する7体目の透明禍威獣”ネロンガ”と交戦、苦戦していたが上空から正体不明の銀色の巨人が飛来。避難が遅れた児童を神永が救助する中、銀の巨人は圧倒的な力でネロンガを撃退し飛び去った。
後日、禍特対が8体目の地底禍威獣”ガボラと交戦中、今度は地上から出現した銀の巨人がガボラを駆除。日本政府はこの巨大外星人を”ウルトラマン”と呼称した――

そんな話。

前半は禍特対の紹介と、禍威獣を倒すウルトラマンが人類の味方として周知されるくだり。
中盤は、ただ叩きのめせば良い禍威獣と違い高度な知性と科学で人間社会を直接支配してくるのが厄介な外星人との闘い。
そして後半はウルトラマンと禍特対と人類が外敵に立ち向かう最後の闘い。
ちなみに戦闘は、序盤のネロンガ戦やガボラ戦が一番良かった。何故なら昼間の地上で闘うのでウルトラマンの不思議なアクションが映えるからだ。特に飛来してクルクルと棒のように回転して放つ蹴りが最高だった。ウルトラマンの筋肉が少ない猫背の身体も良いし、良い意味でケレン味のないアクションが逆にケレン味があって良い。棒立ちで光線を受け止めたり、そのままノシノシ歩いてボクッ……と引きの画で撲殺したり。そのスリムな体躯でのぶっきらぼうなアクションが仏様やアジアの神々みたいで(もちろん見たこと無いので想像だが)逆に神々しい。本作のウルトラマンのようなアクションは逆にアメリカでは絶対やらないものばかりだと思う(アメリカで制作したら、まずウルトラマンがまずムキムキだろうし)。僕は普段はアメコミヒーローやアメリカのアクション映画が昔から大好きなのだが本作を観てる間「日本の痩せて何考えてるかわからんウルトラマン最高!」という気持ちに久しぶりになった。
ウルトラマンブルース・リーと並んで欧米人には易易と真似できないノリを感じた。
あと当然ながら実相寺っぽいカットは勿論多用される。椅子の足越しに喋ってるキャラを映したり、手前に座ってる人の背中がスクリーンの殆どを隠して喋ってる人の顔ちょっとだけ……とか、やりすぎで可笑しい。
あと顔面ドアップが物凄く多い!そして少し下からの顔面ドアップで顔を歪めてるドアップが多い(特に早見あかり)。※ここ以降「早見あかり」のことを「早見ひかり」と書いてたことをブコメで指摘してくださった親切な方が居たので修正しておきました。大変にありがとうございます。
もう「早見あかりの夫しか見たことないだろ、この角度」という凄い顔、正直、女性が一番撮られたくない角度と寄りで撮ってる(本作を10分くらい見ただけで何だか早見あかりを「身近」に感じた)。本作のキャストが発表された時「まるでウルトラマンみたいな新幹線みたいな左右対称な美形の人が多い。小池栄子も欲しかった」と思ったが、この歪ませたドアップ連発見て美形を揃えた理由がわかった。並の顔じゃ耐えられんわ、この歪んだドアップ連発……、どうせなら綺麗に撮ればいいのにという気もした。

カラータイマーが無いウルトラマンのディティールや科特隊などの登場人物や最後の敵など、ディティールに捻りはあるものの割と元になった『ウルトラマン』(1966)のストーリー通りに進んでいく。意外なほどベタで真っ直ぐで細かいところだけ変える……という好みのリブート作品。
感想の前に「本作の科特隊は”禍特対”と書く」と事前に発表された時は「『シン・ゴジラ』の”巨災対”に似てるし、『シン・ゴジラ』の後の世界を匂わせてて良いんじゃない?」と思ったが続けて「本作では怪獣のことを”禍威獣”と書く」と聞いた時、禍特対には好意的だった僕も「え……何かオタクくさくてやだな……」と嫌だった。「科特隊」という組織は現実にも、この世界にも元々ない世界なんだからいじっていいと思うけど「怪獣」はこの世界にもあるやろ!映画や漫画で!何で暴走族みたいな少年漫画みたいな当て字しとんねん!と思った。本作の嫌な意味でのオタクっぽい部分だ。あと主人公が「新二(シンジ)」なのもエヴァの「碇シンジ」を連想してしまうし私物化してるようで気になった。……僕は庵野好きなので私物化しても構わないが「特に庵野が好きではない特撮好きの方が嫌な気持ちになったら嫌だな」という気持ちだ。その一方で樋口真嗣監督はそこまで好きじゃないので「まさかとは思うが樋口真嗣から取った『シンジ』を、この完璧な正義の主人公に付けたとしたら少し嫌だな……」と思った。仮に後で『アベンジャーズ』(2012)のようなシン・ジャパン・ユニバースのクロスオーバー作品が作られた時に「碇シンジマルチバースの変異体が『シン・ウルトラマン』の神永新二」という展開が来るかもしれないから、この問題は少し置いておこう。シン・ジャパン・ユニバースの主人公は「全員シンジ」というルールがあるわけではなく『シン・仮面ライダー』の主人公は「本郷シンジ」ではなく「本郷猛」なのだから余計に本作の主人公に何かあるのか?と思わせる。まぁ皆が「シンジ!シンジ!」と呼んでたら臭いが、皆「神永」とばかり呼ぶから気にならなかった。
ネロンガ以前の冒頭ダイジェストで登場する
6体の見慣れない怪獣達は、特撮オタの甥に訊いたところ『ウルトラQ』に出てくる怪獣らしい、僕は『ウルトラQ』観たことないので知らなかった。特に初めて出現したゴメスはゴジラのパチモンみたいな怪獣らしのでシン・ゴジラの初期形態みたいな眼のドアップで始まるのも「えっ!シン・ゴジラの回想!?やはり『シン・ウルトラマン』は 『シン・ゴジラ』(2016)の後の物語なのか!?」と上手く匂わせてる。何とは言わないが他にも匂わせは出てくるし”マルチバース”の存在も連呼されるので後からやろうと思えば 『シン・ゴジラ』(2016)『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(2021)とも簡単に繋げることが出来るし、最終的に『アベンジャーズ』(2012)のようなクロスオーバー作品をやる……のかどうかはまだ不明だが今の時点で既に、大人の事情さえクリアすればクロスオーバー作品は余裕で作れそう。果たしてそれが面白いのかどうかはわからんが(あまり面白くない気がする笑)巨災対と禍特対が絡んだりするところは凄く観たい。

 

 

そして本作は一般層からも人気だった『シン・ゴジラ』(2016)とは違い、非常にオタクっぽい!というのが特徴だ。庵野関係の実写作品の中でもかなりオタっぽい。
具体的に言うと登場人物が全員、庵野アニメのキャラみたいな喋り方をする。
もっと具体的に言うとミサトさんが「ぷっはぁ~~っ!く~~っ!この一杯のために生きてるようなもんよね~~っ!」と絶叫したり「ちょっち」と言ったりする時、又は『キューティハニー』(2004)で佐藤江梨子が半裸でオニギリを食べながら笑顔で町を走り回る時、または堅物女性役の市川実日子が酔っ払ってカラオケで「津軽海峡・冬景色」を歌いまくる時、そして『シン・ゴジラ』(2016)石原さとみの珍妙なトーク!そして樋口監督&町山脚本のゴミクズ『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(2015)で石原さとみが「こんなの初めてぇ~~っ!」と絶叫した時の気まずさ、それらの(……いや、それらほど恥ずかしくはないが似た方向性の)庵野&樋口作品特有の「気まずい雰囲気」が堪能できる……と言うのは言いすぎだろうか?だが僕は正直言って庵野&樋口作品作品の恥ずかしさは正直好きだ。というのも僕は大勢の集まりの中で前に上げられて大声で何かを言わされたりするのが意外と好きだからだ。また人付き合いが苦手だったアラサー時に突然クラブに通いだして知らん色んな人種と話したり踊るのも大好きだった。それらは内気な人間に一種の通過儀礼的な効果を与える(米軍の教官が新兵を怒鳴りまくったり、怪しいコミュニティに勧誘された者が否定されまくった後で褒められるのも同じ効果)。90年代、エヴァにハマってオタではないオシャレな友達にビデオとか貸したら「ごめん、この”ミサトさんとかいう人”が『ちょっち』とか言うから2話くらいが限界だったわ……」と返された事がある。だがミサトさんのノリや胸や尻のドアップなど恥ずかしい場面を受け入れたらエヴァが楽しめたのは御存知の通り……。
僕は「『シン・ウルトラマン』あのオタクっぽいノリが来そう」という予感は、予告編で「長澤まさみがチェーンソーを持ってドアを蹴破る」という恥ずかしいカットがあったから予感していた。
そして『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(2021)で女性キャラの胸や尻やフトモモや股間を執拗にドアップにしてたノリも感じさせるし「女性の下半身を煽りで撮る」のが大好きな樋口監督なせいか性的な描写がやたら多く、長澤まさみが任務に取りかかる時に必ずケツのドアップになってケツを自分で叩く!他人のケツも叩く!歩く長澤まさみの逆さ撮り、長澤まさみの体臭を執拗に嗅ぐ……など今の時代にそぐわないほど性的なシーンが多いのも非常にオタクっぽい。
任務に取りかかる時にドアップになった自分のケツを自分で叩いて「よしッ!気合入れていくわよ~~っ!」とか言う。昔の庵野っぽいから樋口というより庵野だと思うけど(逆さ撮りは樋口、体臭嗅ぎは庵野だと思う)、どちらにしても30年くらい前の萌えキャラみたいで恥ずかしい。カッコよくも可愛くも可笑しくもエロくもない、初老になった母親が着替えてるのを見ちゃった気まずさ。これ一発で評判悪くなりデメリットが多すぎるからやめた方がいい。庵野はシンエヴァの時にスタッフにアンケート取って批判箇所を変えてたがそれやる時間がなかったのか。
まぁ過去作ほどではないにせよ『シン・ゴジラ』が丁度よかった人達にとって本作は開始数分で各キャラのアニメキャラのような喋り方や動作、妙に多い性的シーンを観て「あれ?何か少し『シン・ゴジラ』と違うな……」と感じるだろう。
長澤まさみや早見あかりだけでなく西島秀俊もアニメキャラみたいな説明台詞を喋る。
実は
『シン・ゴジラ』も本当はオタっぽい作品だったのだが、あれは多くの一般の人が「リアルで大人っぽい」と感じるらしい政治的なシーンや事務的な手続きのシーンが多かったし、全員が早口で膨大な情報量の長台詞を喋る作品だったのでオタっぽさが軽減されていた。「早口で膨大な情報量の長台詞を喋る」というのは本来、十分にオタっぽいムーブなのだが、それらはヲタトークしてるわけじゃなく大切な防衛の場面だったので「『プロフェッショナル 仕事の流儀』みたいだ……」と皆に思わせ、専門的な職業で活躍したいと思っている多くの人たちにとって「カッコいい人たち」に映ったらしい。だから『シン・ゴジラ』の中でも特に人気だったのは市川実日子演じる生物学者の尾頭さんだった、陰キャ界のトップと言える尾頭さんは実際に魅力的でネット民に大人気だったが、普段では市川実日子より遥かに人気ある石原さとみ演ずる「美人だが英語交じりでアニメキャラのような珍妙な喋り方や動作」をするカヨコ・アン・パタースンは全く人気が出なかった。石原さとみ演ずるカヨコは『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』のハンジ役に続いて恥ずかしくなるものがあったらしい。
だが尾頭さんとカヨコは、庵野&樋口のオタっぽさの陰と陽だ。カヨコは無視されて尾頭さんだけ異常に人気だった光景は気持ちが悪かった。どっちも応援すべきだ。判官びいきなところのある俺は尾頭さんも好きだがカヨコをより応援した。
そして『シン・ゴジラ』を擬人化したのが尾頭さんだとすると本作は圧倒的にカヨコ寄り。そのアニメキャラっぽい喋り方やセクハラすれすれ描写など、庵野&樋口のオタクっぽさを煮詰めたムードがあり、人を試す。普通の映画好きが本作を楽しむ前には、この通過儀礼を乗り越える必要がある(そんな事が必要なのかという疑問もあるが)。
樋口&庵野監督お得意の性的シーンだが、長澤まさみを盗撮した人類の行いを見た外星人が「え?人類ってこんなにバカなの?ごめんね」と長澤まさみのネットタトゥーを消してくれる。そして中盤の「愚かな人類」の数々を描いた流れがあり、最後の敵は地球人がすぐ強大なパワーを軍事利用しようとする愚かさに呆れて「人類アカンからもう滅ぼすわ」という流れになってるし逆さ撮りのセクハラシーンはクライマックスの流れにちゃんと活かされてる……という擁護はダメ?たぶんダメだろうな。
だが盗撮のくだりは良くても他のエッチシーンは擁護できんな。僕は大して嫌じゃなかったけど観た女性とかが嫌ならダメだし、欧米での人気も得られるはずがなく将来性もない。しかもエッチな場面がストーリーに関係したものならともかく本作に性的なシーン必要ないからね。子供も観るんだし。そこで監督が「エッチでもいいじゃん!」とか開き直ったら更に最低になってしまう。まあ庵野はプロモーション上手いのでそんな事は言わんでしょう。『シン・仮面ライダー』ではエッチなのはやめてくれよ……オタク臭いのは別に良い。
長澤まさみの体臭が件の装置に付いてるから、長澤まさみを嗅げば装置が多次元にあっても追跡できる」というシーンに至っては、セクハラ以前に科学的な理屈がよくわからなかった。凄い装置だから違う次元に行っても使用者の匂いが付いたままなの?まぁよくわからんが賢い滝くんが「匂いだけは追跡できる」というから「まぁよくわからんけどそうなんだろうな」と映画ファン的なムーブで飲み込んだ。
僕も健康な男なのでエッチなのものは大好きだが、別にウルトラマンで性的なシーンは要らない。「本作にセクハラシーンがあって良かった~」という事もないので最初から無いに越したことはない。
それにしても『シン・ゴジラ』の公開時は「この政府は頼りないな」と思ってたのが去年観返したら「凄い有能な政府だな!」と感想が変わっており、更に本作の政府や世界各国の「他者を支配する」事しか考えてない人類を見たら「やっぱ人類って、こういう感じだよな」という感じが凄かった。人類というより権力者と言った方がいいか。
そんな感じで最後まで飽きることもなかったし、オタっぽいシーンや性的なシーンも個人的には嫌ってほどじゃなかったし全体的に好きでした。最後の敵を繰り出してくるラスボスもオリジナルよりずっと良かったし。
しいて言うなら「スペシウム光線の原理」とか「ウルトラマンが飛べる原理」とか別に台詞で知りたくなかった。神秘性が削がれるから。ストーリー上無理なんだけどなんなら「光の国」とか掟とかも知りたくない感があった。CGがショボい感じだし、ラストバトルは宇宙でのCGバトルなので何だかパチンコの当たり演出を観てる感じだったね。でも地上で戦うと物凄い攻撃が出来る敵の説得力ないし宇宙でやるしかないか。だがマルチバースに飲み込まれるシーンは『オカルト』や『コワすぎ!』の異界みたいで良かった。
冒頭でウルトラQダイジェストがあったわけだが、僕の予想だと中盤で「ウルトラマンガボラ戦の後こんなにいっぱい禍威獣を倒してたぞ!」って感じのダイジェストで、本作に出てないバルタン星人とか僕が好きなブルトンなどを倒すダイジェストがあると想像してたけど無かったのが残念。中盤で外星人2連発を盛り込まなきゃいかんから時間がなかったのかな。
それにバルタン星人は出たら目立ちすぎるから出さなかったのかも?
予告の時から……いや『シン・ゴジラ』の時から思ってたが全体的に庵野の特撮は松本人志の『大日本人』(2007)とも似ている。ほぼ同い年の特撮好きだからか?(僕は『大日本人』の前フリのシリアスモキュメンタリー部分が好きだがその話はまた今度)。
他の禍特対、まず滝くんは思いのほか良い役で最後には頑張れ頑張れ滝くんという感じした。西島秀俊は、西島秀俊だから有能な隊長かと思いきや「もう何なのか全然わかんないわよ!」というミスター味っ子のお母さんみたいなドジっ子キャラだった。もう一度彼らを観たい気がした!
『シン・ゴジラ』より好きだったのは、怪獣よりヒーローの方が幼い時から好きなこと、『シン・ゴジラ』は遅れて観たこと、『シン・ゴジラ』のラストバトルより本作のラストバトルの方がケレン味あって好きだったからだと思う。客観的に観たら『シン・ゴジラ』が上だろうが僕は本作の方が好きだった。

あと本作で一番良かったのは、ウルトラマン vs.メフィラスの途中、ウルトラマンの背後に「光の国から来た戦士」が音もなく、まるでJホラーの幽霊みたいに立って見てるシーン!後で誰かはわかるが、この時点では姿を見ただけでは誰かわからないので「えっ!……誰!?」と思うし、ウルトラマンとメフィラスが闘ってるのでそちらに意識が戻るのだが再び無音で「光の国から来た戦士」が映ったりして気になって仕方ない!ウルトラマンの背後にいるのでマンはリアクションしないし絶妙だ。そしてウルトラマンと闘っていたメフィラスはマンの背後に「光の国から来た戦士」を見た途端「……もうやめよう、それによく考えたら君を倒してまで地球は欲しくないですわぁ」などとサラリーマンのようなこと言って引き上げる。こいつだけ話し合いで決着がつくのが凄く良い!しかも文字通りウルトラマンの「バックに付いてる奴」を見て引き下がってるのも面白い。その間「待って、さっきの変な色のウルトラマン誰!?さっきの奴早く見せて、誰なの?怖いよぉ!」という気持ちが最高潮になったらその「光の国から来た戦士」とウルトラマンの対話が始まる……この辺の間の取り方とか「光の国から来た戦士」の不気味さが凄かった。会話を始めたら不気味さは薄れるものの、『ツインピークス』の赤いカーテンの部屋で浮いてた人たちみたいにちょっと斜めになって浮いてる「光の国から来た戦士」の不気味さも、彼の融通の効かなさも最高だし。今年観た映画の良かったシーンBEST5に入りそうだ。彼のフィギュアが欲しい。

 

あと、どこがとか覚えてないけどウルトラマンが普通に敵と闘っている、特に感動すべきでない何てことない戦闘シーンで理由はわからないが急に泣きそうになるほど感動した。
神永/ウルトラマンの混じりっけのない善性を感じたのか、「日本にウルトラマンあり」という事を久々に思い出したのか、幼児の時に初代ウルトラマンの再放送を観て近所の友だちと日が暮れるまでウルトラマンごっこしてた古い記憶のせいか?中年になって「父親におんぶされた夢」を見たようなものか?恐らく、その全部だろう。
子供の頃に目撃した、怪獣から地球を護っていた神を再び観ての感動だろう。
色んな客観的な理由で本作を嫌いな人が多いのもわかるが、僕はこういった幼かった時の思い出を初代リスペクトによって掻き立てられた感情や、単純にウルトラマンや怪獣やストーリーや科特隊の人たちの楽しさや魅力を観て、好きにならざるを得ませんでした。
日本のエンタメや文化も好きだが、それ以上にアメリカ映画やアメコミヒーローばかり好きな僕ですが本作を観て「日本人にしか’作れなさそうなこのウルトラマンというヒーロー」という事で頭が一杯になりました。
セクハラやオタっぽい説明セリフへの批判に「セクハラなんてなかった!」等の反論をする気はない(だってその通りだから)。だけど個人的な感情によって僕は大好きでした。
来年の『シン・仮面ライダー』(2023)、そして今のところ予定だけされてるらしいが誰が撮るか、制作されるか未定の『続シン・ウルトラマン』(202?)や3作目も引き続き応援したいと思います。

 

 

そんな感じでした

 『シン・ゴジラ』(2016)/5年ぶりに観ても面白かったが日本政府が有能すぎてコマンドーよりリアリティなく感じるようになってた☢️ - gock221B
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(2021)/尿意は残っていたよ。どんな時にもね🧑🏻 - gock221B

🌏🌎🌍✨🌏🌎🌍✨🌏🌎🌍✨🌏🌎🌍✨🌏🌎🌍✨🌏🌎🌍✨🌏🌎🌍✨

映画『シン・ウルトラマン』公式サイト

www.youtube.com

『ムーンナイト』全6話 (2022)/傑作ドクターストレンジ2と被って印象薄いがドラマ作品では一番完成度高いしスティーブン最高に好き🌙


原題:Moon Knight 監督:モハメド・ディアブ、アーロン・ムーアヘッド、ジャスティン・ベンソン 脚本:ジェレミー・スレイター コンサルティング・プロデューサー:サラ・ゴーヘル 製作総指揮:ケヴィン・ファイギほか 原作:ダグ・モエンチ、ドン・パーリン 制作スタジオ:マーベル・スタジオ 配信局:Disney+ 製作国:アメリカ 配信時間:各話約50分、全6話 シリーズ:マーベル・シネマティック・ユニバース (Disney+ドラマシリーズ)

 

 

 

MCU(MARVEL・シネマティック・ユニバース)のDisney+作品の6作目(映画も合わせるとフェイズ4の10作目)。ドラマでは初めての新規タイトル。
本作を合わせたDisney+のドラマorアニメ作品を6作全部観てきて、まぁ勿論ある一定以上の面白さはあるし今後も観ていくが全部観た結果、正直言って「MCUは映画だけで良い」と思う今日この頃。
テンション低い始まり方したが本作『ムーンナイト』は今までのドラマで……一番、最初から最後まで面白さが下降せず主人公の魅力も抜群で安定感が高かったかも?瞬間的に最高の面白さを叩き出したのは『ワンダビジョン』全9話 (2021)の中盤までだが(後半かなり落胆させられた)最初から最後まで安定してたのは本作『ムーンナイト』かな?
MCU作品ではあるが制作陣や主演オスカー・アイザックの意向で「MCUに興味ない人でも独立して観れる作品」として意識的に作っており他のMCU作品との絡みが全くないので製作者が一つの物語に集中できたのかも。
今までのMCUドラマで他作品のキャラや要素が必ず出てくるのだが、それは別に監督が描きたい作品とは関係ないせいか上手くハマってない事が多かった。『ワンダビジョン』 (2021)のピエトロ、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』 (2021)……はゲストキャラや新キャラを丁寧に扱ってたが逆に主人公のサムとバッキーが死ぬほど弱い上に目立たなかった。楽しいドラマとして作りたかったはずの『ホークアイ』 (2021)では「ローニン」という重い要素が最後まで全くまともに描けなかったままだったし登場した時のエレーナは良かったが最終的にはしょうもない事で大声でワンワン泣いちゃうし傑作ドラマ『デアデビル』の名ヴィラン・キングピンを出してテンションMAXになったら新人の若い女子に10分以内に2回も倒されて物凄く萎えた。映画だと(恐らくMARVELスタジオの人たちが助言して)他作品とのリンクをもっと上手に処理してるのだがドラマは、Disney+から会員を脱会させないようにかMCUスター・ウォーズのドラマが永遠に続くべく連打してて作品が多すぎるせいか「MARVELスタジオが作品間の繋ぎのフォローするのが追いついてないのではないか?」と最近思う。そういう意味でも「ドラマ、やってるから観てるけどもう辞めたら?」と思う。
その点、本作『ムーンナイト』の監督は、最初から最後まで主人公のスティーブン&マークを描くだけで良かったせいか、他のMCU作品との齟齬が起きず完成度が高かったように思う。
ネタバレ少なめ

 

 

 

ロンドンエジプト神話好きの温厚な国立博物館ショップ店員ティーブン・グラントオスカー・アイザック)は、睡眠障害夢遊病や幻覚に悩まされる精神状態に問題を抱えている男だった。
ある日、気がついたら数日後のアルプスで金のスカラベ象を手にしており、それを奪おうとする男たちを叩きのめした後だった。
男達のリーダーはカルト教団コミューンの指導者アーサー・ハロウイーサン・ホーク)。アーサーは「将来、悪行を行うであろう者の魂を奪う」という能力を持っており、金のスカラベを狙いスティーブンを追ってくる。
やがてスティーブンには”マーク・スペクター”という傭兵の別人格があり、スティーブンとマークは会話もできる事が明らかになる。スティーブンは解離性同一性障害だったのだ。
そしてスティーブンは「マークの妻」だという考古学冒険家レイラ・エル・ファウリー(メイ・カラマウィ)とも知り合い、マークの人格は月の神コンスの不死身のアバタームーンナイト”に変身できる事も明らかになるが――

そんな話

主人公スティーブンが解離性同一性障害……いわゆる多重人格者。
ふと気がつくと数日経ってたり、ペットの金魚が死んで別人格が気を利かしたのか別の金魚と入れ替えられてたり、デートの約束は数日経過してすっぽかしてたり……生活に支障をきたす。ふと気がつくと数日経過した知らない国で他人を叩きのめしてたり酷い時には殺めている最中に人格が入れ替わる……温厚なスティーブンは、そんな乱暴している(……と思われる)傭兵の別人格マークを嫌う。
そんな感じで前半は、自分の意志とは無関係に人格が入れ替わるスティーブンの苦難の私生活、そして金のスカラベを奪わんとするカルトの教祖アーサー・ハロウが放つ刺客や怪物はマークに入れ替わってムーンナイトが倒すという展開……それが原因でスティーブンはショップ店員も解雇される。
解離性同一性障害により、いつも何かを失うスティーブンの苦難の日々が描かれる。
ティーブンにとって”ムーンナイト”は”大いなる力”ではなく只の”病”でしかない。
この前半のスティーブンの苦難は、スティーブンが明るい性格のせいか楽しく見れるのだが「もし自分だったら」と想像すると悲惨の極み。これはスパイダーマンに似てる(ピーターのキャラや描写が楽しいけど起きてる出来事が悲惨すぎる)。
そして”マークの妻”であるレイラと出会ったスティーブンは彼女に好意を抱く。
中盤、アーサーが裁定の女神”アメミット”復活を目論んでいる事を知ったスティーブン&マークはレイラと主にエジプトに飛ぶ。アメミット復活を阻止しなければ多くの人命が失われてしまう(……っていう目的でエジプト行ったんだっけ?忘れたからラストから逆算して今勝手にあらすじ作ってしまったかもしれん)。
エジプト9柱神のアバター集団”エネアド”は、アーサーよりもコンスを訝しみ、コンスは封印されてしまう。ムーンナイトへの変身能力を失ったスティーブン&マークはレイラと共に遺跡内部でインディ・ジョーンズ的な冒険をするがスティーブン&マークはアーサーの銃撃で銃殺されてしまう。
後半、銃殺されたスティーブン&マークは精神病院に居た。この空間が具体的に何なのかはよくわからないままだったが死後の世界に行く途中の「待合室」もしくは自分のアイデンティティを認識できないスティーブン&マークの心の中の葛藤を映像的に表現したのがこの空間かな?と思った(『ツインピークス』デヴィッド・リンチ作品が好きな人とかにとって、こういう空間は詳細わからなくてもスンナリ入っていける)。
この精神世界の病院そして続く黄泉の国で、スティーブン&マーク……いやマーク&スティーブンの過去の秘密やトラウマが明かされ、何も知らなかったスティーブンもそれを知る。
そしてマーク&スティーブンが自分を完全に把握し、二人は一人のムーンナイトとして事態の収集に向かう……。

 

 

 

細かいとこは違うかも知れないが大体そんな流れだったよね?
本作は「解離性同一性障害のマークとスティーブンが、自分の混乱した精神、ひいては自分の過去とどう折り合いをつけるか?」という事に大多数の時間が使われている。ある意味、本作のヴィランはアーサーではなく彼ら自身の「解離性同一性障害という症状」そのものがヴィランだとも言える。
最初は同一ボディの主導権を奪い合ったり、レイラを挟んで嫉妬し合うなどして揉めてたマークとスティーブンだが、過去のトラウマを共有し分かり合う。
普通の多重人格ものだと、これで一つの人格に統合されたりしがちだが本作の場合「互いの人格が互いに必要だ」と、多重人格のまま安定する。
最初「温厚だがコミュ障だし戦闘力もないスティーブン」を邪魔者扱いしていたマークは最終的にスティーブンの強さを認め『お前こそが俺のスーパーパワーだ!』とまで言う。ここは、自分を見つめ直して自らの欠点(だと思っていた)部分を長所だと捉えるポジティブな感動があった。

そして現実のヴィラン、アーサー。元はコンスのアバターだった彼は「将来悪行を行う者を即死させる」という能力がある。これはアーサーが復活させようとしてる裁定の女神アメミットの能力を借りたもの。その他にもムーンナイトと互角かそれ以上の戦闘能力も持つ。彼に何があったのかは語られないが悪人を事前に殺す事に執念を燃やしてたから恐らく「愛する人を殺された」とかそんな感じ?
「将来の悪人を予知して殺しても良いのか?」という問題はヒーロー物によく出てくるテーマの一つ。
MCUだと『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)でSHIELD内部に巣食ったヒドラが行った「AIで悪者を予想して上空から全員撃ち殺す」”インサイト計画”。
原作MARVELコミック『シビルウォーII』(2016)では「予知能力者を使って悪人を未然に察知して排除する」派のキャプテン・マーベル軍団と反対派のアイアンマン軍団が闘った。同様のテーマはスティーヴン・スピルバーグ監督作『マイノリティ・リポート』(2002)でも出てきたしSFやヒーローものでよく出てくる定番のテーマ。
アメミットとアーサーの目的は「未来の悪人を事前に皆殺しにする」というもの。アーサーがその能力で一人ひとり手掴みでやってた殺人を、アメミットなら一つの国単位で大量虐殺できる。人間社会を護りたいコンスとマーク&スティーブンはそれに抗う(コンスが何故、人間に肩入れしてるのかは語られない)。
「未来の悪人を事前に皆殺しにする」というのは「将来、悪いことするかもしれないが努力してその未来に向かわないように出来るかも」という人間の可能性を否定している。それに、その考えを突き詰めて考えれば「じゃあ、悪いことする可能性が少しでもある人類とか、最初から絶滅させればいいじゃん」という事になってしまう。
本作において「未来の悪人を事前に皆殺しにする」事の否定は「アーサーとアメミットを、マークはどうするか?」という場面で結論を出す。

レイラもまた、只の助けられたりするヒロインではなく発煙筒だけで傭兵を倒したり中盤でインディ・ジョーンズ的な活躍したりと下手したらマークより活躍シーンが多かった。最終的にはあの世でマーク&スティーブンを手助けしてくれてた出産の女神タウエレト(通称カバ)のアバタースカーレット・スカラベ”という新ヒーローになる。
スカーレット・スカラベは鋼鉄の翼による飛行や防御、二刀流で攻撃する。(たぶん)不死身だろうし車のドアももぎ取ってたし、ファルコンとウィンターソルジャーが合体して不死身になったくらいの強さ。彼女が助けたエジプト幼女が「エジプトのスーパーヒーロー!?」と喜ぶ場面はプライスレスの良さ。
ムーンナイトのスペックのこと書いてなかったが、ムーンナイトは不死身&飛行あと怪力って感じか?武器は三ヶ月型のチャクラム。スティーブンが変身したミスターナイト形態は傭兵のマークの変身より戦闘能力は劣る……が、車のバンパーをもぎ取ったり自己肯定感が上がったラストバトルでは何故かデアデビルくらい強くなってたし「飛行できないムーンナイト」くらいの強さはある。スティーブンが殺人したくないからか武器はチャクラムからクラブ(棒)になってる。違いがあった方がいいからミスターはこれほど強くないほうが面白かった気もするが。あとスティーブンが自称するには、このミスター形態は”交渉用”だという。最初のスティーブンは他人と話の苦手そうだったけど……まぁ成功体験は人を向上させるからそういう事で。続編があるならミスターで交渉してムーンナイトでシバいていく感じか。
人間体の時のスペックは、マークは傭兵だから強い、スティーブンはエジプト神話や歴史の知識が豊富。でも次からはエジプト行かないだろうから最後で急に「自己評価の上がったスティーブンは交渉が得意」というのを入れ込んで来たんだろう。

 

 

 

本作の最終話は『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)の日本公開日と同日だった。だから最終話の前に「ひょっとしたらドクター・ストレンジと繋がりあるかも?」と思って自分なりに推測してた。
で、本作はMCU世界の話題が全く出てこないから(唯一出てきたのは「ワカンダの人が死んだら祖先の草原に行くよ」っていうタウエレトの言葉だけ)「このムーンナイト世界って実はMCUMCU正史世界アース616じゃなくてマルチバースなのでは?」と思ったのと、三人目の人格ジェイク・ロックリー早く出せばいいのに全然出さないから、
「実はこの世界はアース616(MCU正史世界)じゃない世界で、第三の人格ジェイクは実は『他のマルチバースに移動できる』という特殊な力をコンスと関係なく持った人格で、最終話でマーク&スティーブンが門から出て蘇ったら……もしくはドクター・ストレンジの術でアース616(MCU正史世界)に移動して終わるのでは?」とか想像してたけど、もう全然違った!でも面白かった。
……だけど『ムーンナイト』世界がアース616(MCU正史世界)なのか、そうじゃないのかはまだ判明してないけど。そんな風に思うのは、あまりにも他のMCU要素が出てこないからだろうね。ちなみに『エターナルズ』(2021)のキンゴや他にもMCUキャラ2人出す予定だったらしいが色んな都合でナシになった。だからやはりMCUのアース616なんでしょうね。
で、ジェイクはラストで出たから続きがあるなら、マーク&スティーブン/ムーンナイトorミスターナイトがゲッターロボの様に変形して活躍しながら、第三の人格ジェイクを何とかする話になるのかな?
本作は最初から最後までクリフハンガーで繋いで面白いさが安定していて今までのDisney+のMCU作品の中では一番完成度高かったが、後から考えると「別にムーンナイトに変身しなくても成立する話だな……」とか「これMCUじゃなくてもいいよな」感も高まってきた。昔、にっかつロマンポルノ(大昔に映画館でやってたエッチな映画)は「絡みが何度かあれば何撮ってもいい」という事で後の有名監督が登竜門になってたけど似たような感じで「3回ヒーローになって闘ったら後は好きな物語やれる」という感じがあった。それが別に悪いわけじゃないけど。
そしてストーリーとかレイラの魅力も良かったが、一番はオスカー・アイザック演じるマーク&スティーブンの魅力でしょう。僕的には特にスティーブンの愛らしさが最高でした。変身後もムーンナイトよりもミスターナイトの方が良かったし。
MCU全キャラの中でもスティーブンはベスト3に入るくらい好きかも?
……でも、本作の欠点……じゃないんだけど本作の最終話と同日公開だった『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)MCU全作の中でもベスト3に入るくらい(ひょっとしたら全作の中で最高傑作だったかも?)全ての面で良すぎて、ストレンジ観た夜に、本作ムーンナイトの最終話を観てたらドラマ作品の中では一番面白いと思ったけどそれでも薄味に感じちゃいましたね、ストレンジよりこっちの最終回を先に観ればよかった。
本作だけ観たら何も文句はないんですが「サム・ライミだったら、オシリスなどのエネアドの全員がアバター形態に変身してアーサーと戦って皆殺しにされる面白いシーンあったんだろうな……」などと考えてしまいました。つい比べてしまうというね。
でもドクターストレンジには絶対無い、本作だけの面白かった場面は「ムーンナイト vs.アーサー・ハロウ」というラストバトル。
第一話でよくあった「他の人格に変わったから時間が飛んで敵は倒れてる」という場面が入った。アーサーに圧倒されるムーンナイト……すると次のカットでは「ジェイクの人格に変わったから」という理由でアーサーが倒されるとこが省略されてる場面。
6時間近く語ってきた物語の、ラスボスとのラストバトルが省略されるって前代未聞でしょう。本作は全体的にアクションとかに期待してなかったので、これはむしろ拍手したい引き算の面白さでした。この「アーサーとのラストバトル早送り」はMCU史に残る面白いラストバトルでした。ムーンナイトでしか、そして一回しか出来ないネタでした。

面白かったしスティーブンも魅力的だったから是非また続きを観たいですね。でも次は他の作品やキャラとも絡んで欲しい。絶対に面白い。

次のMCUは……6/8にDisney+ドラマ『ミズ・マーベル』(2022)開始、カマラはベスト3に入るくらいMCUで観たかったので楽しみ……ですがMCUドラマへの興味が薄れてきてるので映画の方が良かったなという気持ちもあります。映画は7/8に『ソー ラブ&サンダー』(2022)が公開。

 

 

そんな感じでした

🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙

マーベルドラマ『ムーンナイト』公式サイト|ディズニープラス
Moon Knight (TV Mini Series 2022– ) - IMDb

www.youtube.com

ムーンナイト/光

ムーンナイト/光

ムーンナイト/影

ムーンナイト/影

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)/サム・ライミがMCU御法度の流血を解禁して情報量そのままに僅か2時間で描ききった…が彼女を誰か救ってよ👁


原題:Doctor Strange in the Multiverse of Madness 監督:サム・ライミ 脚本:ジェイド・バートレット、マイケル・ウォルドロン 製作総指揮:スコット・デリクソン 制作:ケヴィン・ファイギ 原作:スタン・リー、スティーヴ・ディッコ 音楽:ダニー・エルフマン 製作国:アメリカ 上映時間:126分 シリーズ:『ドクター・ストレンジ』シリーズ、マーベル・シネマティック・ユニバース

 

 

 

👁『ドクター・ストレンジ』(2016)の続編……MCUフェイズ4の5作品目、MCU通算なら28作目(Disney+作品も合わせると35作品目)。
2019年のサンディエゴのコミコンで「今後のMCUのフェイズ4」が発表された時、僕が一番楽しみにしていたのは『ワンダビジョン』全9話 (2021)から本作に続くミスティック路線だった。

👁前作『ドクター・ストレンジ』(2016)は、ストレンジの愉快な修行やミラー次元の視覚的面白さや強大すぎる敵ドルマムゥをスコット監督好感の非常に面白い倒し方するなど……面白い場面も色々あった一定以上の面白さはあった作品で僕も好きだが「今ひとつパンチに欠けた作品」だったのは間違いない。ストレンジ役がベネディクト・カンバーバッチに決まった時「これはダウニーJrのアイアンマンに匹敵する大人気キャスティングになる!僕が好きなキャップ危ない!」と危険視してたけど現実では前作が思いのほか地味だったせいか、それほど人気出なかった(僕が知る限りストレンジの人気が出たのは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)で、トニー・スタークと良い感じで組んだりタイタンでサノスとタイマンした時から)。
前作は、ストレンジの師匠エンシェント・ワン役のティルダ・スワントン……は素晴らしかったのだが、チベットの男性の道士だったはずのエンシェント・ワンが欧米の白人女性になってしまったのは、チベットを国や歴史ごと地球上から消そうとしてるが最大の映画顧客でもある中国……へ、MARVELが忖度したようにしか感じなかった(MCU総監督のファイギは良心の呵責を覚えたのか1、2年前に誰も訊いてないのに突然「エンシェント・ワンのキャスティングでは間違いをした……」と一言だけ呟いた。
前作のスコット・デリクソン監督はガチのストレンジオタで、連日ドクター・ストレンジのツイートばかりしていた人だが2018年11月のカリフォルニア州の大規模な山火事で家が全焼した。その時にドクター・ストレンジが首から下げてる”アガモットの眼”だけを握りしめて脱出したほどのストレンジのオタ。

デリクソン監督に続編も監督させてあげたいが前作が「あと一歩か二歩」足りなかったのは事実。そこで監督がスコット・デリクソンから大御所監督サム・ライミに変わった。どちらもホラー映画が多い監督というのが共通している。僕も生まれて初めてレンタルビデオで借りたの『死霊のはらわた』(1981)だったし、『スパイダーマン』トリロジー(2002~2007)も当然好きだった。サム・ライミスパイダーマンだけでなくドクター・ストレンジも好きな監督(故スティーブ・ディッコが描くキャラが好きなのか?)。スコット・デリクソンは製作総指揮に回った。デリクソンは次はストレンジのヴィラン”ナイトメア”を出したがっていた、そのアイデアが本作の”悪夢”要素になったんだろう。MCU責任者ケヴィン・ファイギサム・ライミの『スパイダーマン』(2002)ではADみたいな下働きしていた若者だった。サム・ライミからしてみれば「映画『スパイダーマン』シリーズの時チョロチョロしてたMARVELオタの青年に優しくてたら、いつの間にか映画界の天下を獲った大覇権者になって今度はワシが起用された!ラッキ0ー」という感じ。若者には優しくするのが正解だ。若いというだけで未来。あとファイギはFOXの『Xメン』シリーズでも同様に下働きしていた事を考えると、本編では感慨深い要素が多い。

👁ドクター・ストレンジの歩みとしては『ドクター・ストレンジ』(2016)で魔術師になり、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)でソーを手助け、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)ではサノスを倒しうる14000605分の1の確率にアベンジャーズ達を導いて地球を護った。そして『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)ではピーター・パーカー/スパイダーマンを手助けしてマルチバースに手を付けてしまった結果、ピーターの人生は滅茶苦茶になりドクター・ストレンジも含めた全ての人はピーターの事を忘れた。
また我々が知るストレンジとは関係ないが『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉全9話 (2021)では、マルチバースのストレンジが死ぬ運命に囚われた最愛の女性クリスティーン・パーマーを救いたいがあまり世界を破滅させてしまう(どうやらどの世界においてもストレンジとクリスティーンは結ばれない運命のようだ)、道を誤って闇落ちしたドクター・ストレンジ・スプリームだったが”ガーディアンズ・オブ・ザ・マルチバース”のリーダーとしてインフィニット・ウルトロンから多くのマルチバースを救った。

👩🏻‍🦰本作のもう一人の主人公は情緒不安定な女性ワンダ・マキシモフ。
彼女は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)ヴィランからアベンジャーズへとターンしシンセゾイドの”ビジョン”と出逢う、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)では一般人に被害を出してしまい元々弱いメンタルが更に揺らいでトニーに軟禁されるが脱走してスティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカに助太刀した。愛するビジョンと共にサノス軍と闘った『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)では最愛のビジョンを自らの手で破壊しなければならなくなった上に敗北して自らも灰となって五年間チリとなる。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で蘇った彼女は激怒してサノスをあと一歩のところまで痛めつけた。初の主役作品『ワンダビジョン』 (2021)では、夫を失ってまで命懸けで闘っても仲間は誰もワンダをフォローせず、政府は夫の遺体を使って兵器利用してたので彼女は遂に絶望のあまり田舎町”エストビュー”で「夫ビジョン双子の息子トミービリー」をカオスマジックで作り出し、町民全員を自分が主人公の「シットコムの脇役」として魔力で無理やり演じさせ、偽りの幸せな日々を味わっていたが結局、家族ごと全て消えて世界から本格的に嫌われた。ワンダは魔女アガサを倒し更に強力な魔女”スカーレットウィッチ”となり、全てを失った彼女は別のマルチバースにいる双子しか心の拠り所がなくなり禁断の魔導書”ダークホール”に手を伸ばした……。

MARVELコミックのキャラが出てるとか小ネタは省略して映画の感想だけ書きます。
公開二日目だからネタバレ少なめ。サプライズキャラについては書いてない。



 

Story
ニューヨーク、元神経外科医の魔術師ティーブン・ストレンジ/ドクター・ストレンジベネディクト・カンバーバッチ)が『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)スパイダーマンを手助けして無限に存在するマルチバースに手を付けて5ヶ月後……ストレンジは「異世界の自分が少女を怪物から逃がそうとしているが怪物にパワーを奪われそうになるので仕方なく少女を犠牲にしようとしたら怪物に殺される悪夢」を見る。
ストレンジは最愛の女性である救急救命クリスティーン・パーマーレイチェル・マクアダムス)の結婚式に虚しく参列していた。
すると今朝の夢に出てきた少女が怪物に追いかけられていたのでストレンジは兄弟子のウォンベネディクト・ウォン)と共に怪物を撃退する。
少女の名はアメリカ・チャベスソーチー・ゴメス)。彼女はマルチバースを横断する能力を持っていた。彼女は「人が睡眠中に見る夢はマルチバースの別の自分の記憶」だと言う。
ストレンジは、怪物の身体にカオスマジックの特徴であるルーン文字が刻まれていた事からアベンジャーズワンダ・マキシモフ/スカーレットウィッチエリザベス・オルセンを訪ねた。ウエストビューでの事件以来、ワンダは失ってしまった双子トミービリーと幸せに暮らす夢を毎晩見て虚しい起床を繰り返していた――

そんな話。
初登場のヤングヒーロー”アメリカ・チャベス”は劇中では”アメリカ”と呼ばれてるが文章に書く時「国としてのアメリカ」と紛らわしいので僕は何時もチャベスと書いてるので今回もチャベスと書く。
本作は内容盛りだくさんっぽいのに上映時間が2時間くらいだと発表された時「盛りだくさんっぽいけど、それくらいで描けるのか?」とファンは少しざわめいた。だが普通の映画で第一幕にあたる「日常描写やメインの登場人物紹介」などはアバンから前半の僅か数分で終わってしまう。いわゆる日常描写は多分……結婚式での2、3分くらいしかなかったと思う。残りはずっとラストバトルのような展開の中でストーリーが展開される。
サム・ライミは『スパイダーマン』トリロジー(2002~2007)等でも、面白い場面やエモーショナルな感情の爆発シーンを繋げて要らんシーンの省略が凄くて、まるでピーターの人生10年を数日に圧縮してるような濃縮感だった。それを思い出した。一番面白いときのサム・ライミ
そしてサム・ライミの映画は都道府県で喩えると絶対に「大阪」。『死霊のはらわた』シリーズ、『ダークマン』『スパイダーマン』トリロジー、『クイック&デッド』『スペル』、制作を熱心にしてたハリウッド版『呪怨』シリーズ、どれも「大阪感」が強い。過剰な映像表現やベタな結末を好むところや味付け濃いところ……監督作じゃないけど呪怨とか完全に吉本新喜劇だし。本作のホラーなワンダも勿論、濃い大阪感を感じた。
フェイズ4の『ブラック・ウィドウ』(2021)『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)『エターナルズ』(2021)、基本MCU、アメコミどっちものファンというのもあるけど全部楽しんだけど、本作と比べてそれらを思い出すと全部かったるいとしか思えなくなりました。ついこないだのサプライズ大盛りで色んな情報量が凝縮してた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)は、確かに濃かったけど、それでも本作のほうがずっと上だと思いました。
MCUの中で、その後のストーリーテリングの流れを変えた作品……『アイアンマン』(2008)『アベンジャーズ』(2012)『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)などの一本だと思ったし今後のMCU映画が楽しみになりました。
この情報量の割に時間が短く思える本作の冒頭「クリスティーンの結婚式」で前作でのライバル医師が思いのほか長時間ストレンジと会話してたのは何だか嬉しかった。これ以降は延々と闘い続けるので結婚式でライバル医師と花嫁のクリスティーンとの会話は「あ、そういえばこの人は魔術師の前に外科医スティーブンだった」と、貴重なスティーブンの人間っぽい日常が観れる一コマ。ストレンジが「普通の人間社会」と繋がっていた部分は、もうクリスティーンしかなかったし。
ちなみに結婚式を中断した怪物”ガルガントス”は実際のところ只の”シュマゴラス”。90年代のカプコンのMARVEL格闘ゲームカプコンが謎の起用して何作も出演したから世界の30~40代男性にだけ有名。”シュマゴラス”の名前の著作権は他の小説から勝手に借りたものだったので仕方なく過去のコミックに一瞬出た単眼タコ型モンスター”ガルガントス”の名を充てがわれた、誰がどう観てもシュマゴラスだが。漫画『BASTARD!!』でビホルダーの名前が使えず”鈴木土下座右衛門”と改名されたような事か。だが本来シュマゴラスはかなり強いのだが割とあっさり死んだ、強さ的にはガルガントス。たぶん今後もシュマゴラスの名前は使えないだろうし僕の脳内のこいつの名前も”シュマゴラス”から”ガルガントス”にゆっくりと変わった。
そしてガルガントスの身体にルーン文字があったので最強のカオスマジックの使い手であるワンダに力を借りようと訪ねたストレンジ。
……しかし、アベンジャーズでもあった地球を代表するスーパーヒーロー、ワンダこそがチャベスマルチバース間を移動するパワーを狙っていた黒幕だった。
まだチャベスの話を殆ど聞いてないのに「ところでアメリカは……」とうっかり名前を言ってしまう「……失敗した、まだ名前聞いてなかった笑」というヴィラン仕草は面白かった。
ストレンジやウォンを頂点とする魔術師の梁山泊カーマタージ”に単身、攻めてくるワンダ・マキシモフ……いや緋色の魔女スカーレットウィッチ。
こんな感じだが、このワンダが攻めてくる場面は、他の……たとえばソニーのヒーロー映画だったら多分ラストバトルに相当する。そこに冒頭10分いってないあたりで到達し残りのストーリーは、このラストバトルの最中のようなチェイスや闘いが続く中で同時に展開される。だから情報量が異常に多い割には実時間は短く満足度は充分あった。サム・ライミは子供の頃から大好きだったが正直、お歳だし最後に撮った映画がイマイチで眠ってたので期待は少なかったのだが長大化の一途を辿っていたMCU作品をここまでタイトにしつつ満足させる新たな物語作りを提示してくるとは驚きだった。
それで居て、昔から良い意味で古臭かった怪奇映画のようなホラー描写などの珍妙なカットも本作の怪奇っぽさをアップしてて良かった。

 

 

 

それでストレンジ&チャベス&ウォンは、残りの時間ずっとスカーレットウィッチと闘い続ける。
スカーレットウィッチは制作陣の話では、サノスやキャプテンマーベルをも超える「エンド・ゲームのラストバトルの場で一番強い個人」だった。更に禁書ダークホールドでマルチバースにまで手を伸ばしておりストレンジ達に歯が立つ相手ではない。
スカーレットウィッチの目的は愛する双子の子供、現世の子供は消えてしまったのでマルチバースで別の自分と入れ替わって双子と暮らしたい「その為ならどんな犠牲も厭わない」という「母性で気が狂った女性キャラ」になっている。
『キャリー』のキャリー、『リング』の貞子のようなホラー映画の非人間女性キラーのような恐ろしいキャラになってしまったワンダはゾンビや幽霊のような挙動でターミネーターのようにチャベスを追ってくる。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で、ホークアイに導かれてヒーローになった女の子がこんな事に……、思わず武藤に敗れた高田にかけられた「前田が泣いてるぞ!」の叫びのように「ホークアイが泣いてるぞ!」という気持ちになった。だがよく考えるとヒーローになった『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)の時も「兄のピエトロを殺したウルトロンをブッ殺す!」という私怨であったし、その強さが目立った『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でも「夫のビジョンを殺したサノスをブッ殺す!」という私怨の方が利他的なヒーロー性より多く出ていた。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)でワンダを危険視して軟禁したトニーの彗眼だったのか?彼女の元々弱かったメンタルは、少し幸せがある度に深く突き落とされてかなりヤバい状態に保たれていた、途中まではホークアイがフォローしてくれていたが、サノスとの闘い以降それもなくなった。
そもそもワンダの自体、コミックでも本格的に目立つ時というのは発狂してアベンジャーズを何人も殺害した『アベンジャーズ・ディスアッセンブルド』や暴走したワンダが世界の全てを自分の望むものに書き換えてしまった挙げ句に9割のミュータントのパワーを消失させた『ハウス・オブ・M』などやらかした時の方が有名。もちろん熱心なファンからしたら「ずっとヒーローだったし、それらはたまに起きた事件に過ぎん」と言うかもしれないがファン以外がワンダと聞いて思い出すのは「発狂してとんでもない事する女性」という印象。たまに本気で怒る人も居るが僕は割と好き(面白いことになるから、この映画も)。MCU版ワンダを演じるエリザベス・オルセン本人も割と「『ハウス・オブ・M』みたいなのやりたい」と言ってたし(何故なら一番目立つから)そういう意味では今回の役は願ったりだったのかもしれない。
本作を観る前は「予告だとワンダがヴィランっぽいが、でも悪堕ちストレンジも出そうだし、やっぱりナイトメアや違う奴が隠されてるのか?それともマルチバースのプロフェッサーX率いるイルミナティが実は悪いバージョンの彼らでラスボスになるのか?」と読めなかったが最初から最後までワンダがヴィランだった。
それでも「ダークホールドに侵されてヴィランになってる」のか、実はマルチバースのスカーレットウィッチに入れ替わられてるのか、それとも正体は別人……といった展開もありえたが本当に我々が観てきたワンダ本人だった、『ワンダビジョン』全9話 (2021)のポストクレジットシーンでダークホールドを読んで不穏な空気は出していたが、こんなに最初から最後まで完全なヴィランになるとは思ってなかった。「禁書ダークホルドを使えば影響を受けてダークになる」……的な雰囲気ではあるが、はっきり言ってワンダの元々の願望が増幅されているだけだしダークホールドのせいではなくワンダの持っていた過激さだろう。
前半、ワンダはカマータージでサノスから地球を護った正義の魔術師軍団を惨殺しまくる。MCUの少ない欠点の一つとして「撃たれたり刺されたりは勿論、眼をえぐられても血の一滴も出ない」という部分があったが、サム・ライミはそのアホらしさに呆れてMARVELスタジオに交渉したらしく「血が一滴も出ないMCU」の禁を破り本作のキャラはどんどん血が出る(予告でワンダが返り血を浴びてるの観て期待が高まった)。女性魔術師は自分の命と引き換えにダークホールドを破壊した結果、黒焦げになって死ぬ(これもまた彼女の死やワンダの悪事を悲しむ一方で「あっMCUなのに黒焦げ死体が映ってる!」と嬉しかった)。
だが、そのダークホールドは実は写本だった。スカーレットウィッチは本物の場所をウォンに吐かせるため倒れている魔術師に拷問する。
僕は魔術師が何人か死んでたよりも、この拷問してるの観て「あ、もうワンダはアベンジャーズに絶対戻れないな……」と思った。「あの時はダークホールドに操られてた」という設定が後で付けられても無理だろう。
その後もワンダは本当に、MCU世界とは別のマルチバースとは言え有名な正義のスーパーヒーロー達をグチャグチャに惨殺しまくる。マルチバースとはいえ名前もキャラもあるヒーローを殺した数は既にサノスを越えている。
登場から7年間応援してたが同時に闇落ちも期待していたが(目立つから)実際に後戻りできなくなってしまうと悲しい気持ちもある、だが同時に血まみれでターミネーターのように追ってくるワンダは美しい。ワンダはパワーが強すぎてヒーローよりヴィランの方が本領発揮できる……というのは原作も同じ。ヒーローのワンダはふわふわ浮いて赤いモヤモヤを投げつけて、下手に強いから何かの拍子に頭を打って気絶する役割しかない。だがヴィランだとこのように大暴れさせる事ができる。
こうして観るとイルミナティは、今後も使ったりファンサービスだけで無くワンダに試し斬りさせるために出したんだろう。何しろワンダは冒頭からストレンジ&ウォン&チャベスと闘っているが、この3人は殺すわけにはいかない、そこで出したイルミナティだ。「囁くだけで山を吹っ飛ばす男……はい殺した!」「世界一の天才軟体パパ……子供には母親がいるからお前は死ね!」「いつまでだってやれる奴をいつまでもやれなくしました」「キャプテンマーベルと同じくらいパワーを持った奴も倒した!」「世界最強のテレパスを彼の土俵で倒した!」などと、イルミナティの各キャラの強さは事前に見せたりMCU世界の同一キャラや別のMARVEL映画で大体周知されてるから、それをワンダが次々と敵の得意分野で潰していくという展開。メインキャラのストレンジやウォンやチャベス達を惨殺するわけにはいかんのでイルミナティを思う存分惨殺してワンダの強さと怖さを見せる事ができた。「大物ヒーロー達だけどマルチバースの違う人達だから幾らでも殺してOK」というのは非常にコミック的でもあった。公開前に噂されていた「トム・クルーズ演じるマルチバースのトニー・スターク/アイアンマン」は出なかった。だが出なくても良かった気がする。トムのトニーとか、魅力的過ぎて殺されたら惜しいし……もし出るならMCUの正史世界……アース616に来て欲しいくらいだ、だが来たらトム版『アイアンマン』が始まっちまう。いや俺は始まってくれたら嬉しいけどそうなると「じゃあキャップやナターシャもマルチバースから連れてくりゃいいじゃん」みたいな空気になったら良くない。マルチバースから616に来るのはあまり良くない。もし次にトム版アイアンマンが出るならシークレット・ウォーズ的な大イベントの時のマルチバースヴィラン側としてくらいが丁度いいかも。
話は前後するがストレンジとチャベスは、スカーレットウィッチを倒す方法を探すべくマルチバースを次々と横断する。ストレンジはその過程で「赤信号で横断しピザボールが流行っていて植物が豊富な、イルミナティがサノスを退けた世界」に辿り着く。ストレンジはこの世界でも最愛の女性クリスティーン・パーマーと出逢い行動を共にする。この世界の彼女はイルミナティで科学者をしていた。
ストレンジ&チャベス&(マルチバースの)クリスティーン、現世でワンダと闘うウォンは二転三転と試行錯誤しながら、スカーレットウィッチを追い詰め、野望をくじく。
ここまではホラー風味のファンタジー映画を観てる感じだったが、この最終段階でストレンジが冒頭の伏線回収してスーパーヒーローとしての資質を見せる。「あっそういえば、これMCUのヒーロー映画だったわ」と思い出した。原作でもそうなりがちだが一作目もサノスとの闘いでもストレンジは正義のために戦ってはいたが彼の視界は広すぎるし能力も強すぎるせいかヒーローというより舞台装置みたいなキャラという印象だったが、本作では終盤、確かにヒーローとしての存在感を見事に出した。
チャベスもヤングヒーローとして見事なデビュー。両親や本人がレズビアンというキャラであるため映画が公開されない国があり、演じてるソーチー・ゴメス氏はSNSで不当に叩かれている、叩くなら同性愛を悪と断じて本作の公開を禁止した自国の政府を叩けばいいのにチャベス役を演じてるだけの10代俳優を叩くとか最悪だし本当にヒーロー映画が好きなのか疑問だわ。彼女はパンチでマルチバース間に星型のポータルを開けるという唯一無二の能力を持つが「星型のポータル」って漫画っぽすぎて間抜けに見えがちな能力だがエフェクトと音がカッコいい処理されてて良かった。原作だと飛行や怪力も持ってたけど、そうするとスーパーすぎるのでこれくらいで良い。だけどチャベスのママ二人だけじゃなくチャベスレズビアンって事を隠してたのは性的マイノリティ大嫌いなディズニーだからか。
あと、もはやアベンジャーズを勧誘したりして最近ストレンジより他MCU作品に出てる気がするウォンの安定感も凄かった。vs.ガルガントス戦でも相当、身軽な大柄感。
イルミナティ”はさっきも言ったようにワンダに試し斬りされる今回限りの使い捨てキャラだったが(リードとかは同じ配役で本物が出るのかな?)、予告にも出ていたエグゼビアは結構かっこよかった……と言っても普通に騙されて殺されただけだが白い空間で「どうなるんだろう」感はワクワクした。やはりあの90年代アニメでお馴染みだが今度出てきそうにないわざとらしい黄色い椅子が見れたし。
でもピエトロはまた出てこなかった、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)『ワンダビジョン』(2021)、本作……と出れそうなチャンスでも出ない、もうないな。まぁワンダがこんな状態で出てきても悲しいからもういいわ。
ホワイトビジョンも出てこなかったのは『ワンダビジョン』(2021)観てない人の「え?何この白いの?死んだんじゃ?」と話がよりややこしくなるからだろう。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で死んだと思われてるコールソンが助けに来なかったのと同じ。
本作の公開直前、MARVELスタジオ公式は予告やTVスポットでやたらとイルミナティ中心にネタバレし始めて「ファイギはネタバレ嫌いなのにどうしてネタバレしまくってるの?やめて」と観るのやめたけど本編見たら理解した。『ワンダビジョン』(2021)でのピエトロ、『ホークアイ』全6話 (2021)でのキングピンみたいに肩透かしさせて炎上したくなかった為だったんだね。エグゼビアのファンとか怒るかもしれないしね。観終わったら公式がネタバレしたがってた気持ちが理解できた。
今回のイルミナティは使い捨てだが、ポストクレジットのキャラとそれを演じる俳優は興奮した、確か彼女は自分で頑張りたくてMAEVELの誘いをずっと断ってたはずだが遂に受けたのか!と興奮した(ちなみに僕はフェイズ3頭あたりでこの人はキャプテンマーベル役なんじゃないか?とか妄想してました)。早くもストレンジ三作目は一番楽しみになった。
ライミといえばホラー定番の悪夢は思わってないENDからの数分で克服とか、ブルース・キャンベル使い良かった、最後のブルース・キャンベル、アメスパがマスク取った時よりウケてた。
続作もサム・ライミだろうし単純に楽しみ。ストレンジ続編とか『ブレイド』などのミスティック系やオカルト系ヒーローものが楽しみですわフェイズ4は。なんならアベンジャーズ的な次のクロスオーバー大作もサム・ライミでいい。
だがそれにしても今後ワンダはどうなるのか……『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017) のヘラみたいな曖昧な死に方したけど……。死んだかどうかよくわからない。
だけどチャベスマルチバースの自分自身に説教されて心も折れたし、本当に終わり?こうなると悲しいものがある。『ワンダビジョン』 (2021)でも完全にやってる事はヴィランで、ヴィランだったアガサがむしろヒーローみたいな事してたが、本作ではいよいよもって罪もない人や正義のヒーローを惨殺しまくってしまった。
マルチバースで双子を育ててる綺麗なワンダはいたが、やはり616バースの我々のワンダが救われるべきだ。だがどうすればいいのかわからない。
だが仮に生きてて出てきたとしても、もう『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉 (2021)の闇落ちストレンジみたいに永遠に何かを管理する役割くらいしか許されないだろう。
とりあえずワンダに封印されたアガサのDisney+単独作『アガサ ハウス・オブ・ハークネス』があるから、ここで少しでもフォローされる事を期待するしかない。
本作でのサム・ライミの手腕(30分以上短くてもエンドゲームやノーウェイホーム並みの長い作品と同じくらいのボリュームを出せた)や、ストレンジやチャベスやウォンのヒーロー性、ターミネーターみたいな恐ろしいスカーレットウィッチには満足した。だがワンダがこのままで終わるのは悲しい。
このようにワンダが発狂して強いヴィランとして大暴れするところをずっと観たかった部分はあるが、ワンダ自身は子供を失って暴走する悲しきモンスターで、そんで描き方は完全にバケモノ扱いだからね、ストレンジがチャベスを勇気づけるために「元気出せ、あの魔女のケツを蹴り上げに行くぞ!?w」とか言って……ストレンジとチャベスはそれでいいけどワンダ、マジでバケモノ扱いじゃん!……と同時に悲しくなったね。「こういう女がキレたら怖いぞ~笑」というのは非常にサム・ライミが無邪気にやりそうな事でもあるし。
それを観たかったし面白かった気持ちと、ワンダ本人に同情するという矛盾した気持ちが未だに同居している。ファンって勝手なもんだね。
何だか、小学校のクラスの陰気な虐められた女の子が発狂して暴れてるのを観て喜んでるようで罪悪感がある。だが「ワンダ可哀想、幸せになって欲しい」「闇落ちして大暴れしてヒーロー連続殺人して欲しい」という相反する気持ちが同時に自分の中にあり、どっちも譲りたくない。この問題は解決しないが、ワンダはそんな複雑な感情を呼び起こさせて定着させる希少なヒーロー……いやヴィランだと思うし依然として好きだ。
本作は『ワンダビジョン』 (2021)を観てなくても理解できると思うが、ワンダが何故発狂したのかという流れまではわからないので本作だけ観ただけじゃやはり理解が薄いと思う。
最後に反省して後始末したのは偉いし、これで終わりの可能性が高いけど、それでも何か救いが欲しい。アガサだけが頼りだ(記憶と能力を失ったワンダがアガサに弟子入りするとか)。もしくはトミーとビリーが成長してアース616のワンダを助ける?後はインカージョンによるシークレット・ウォーズ的な大イベントで何らかの方法で現れて闘う?その次はX-MENとの合流しかない(ワンダ&ピエトロの初期設定はマグニートーの娘)とにかく、これで終わりでは哀しすぎる。絶対に良い形で再登場して欲しい。

次のMCUは……本作公開日と同日に『ムーンナイト』(2022)が最終回。まだ観てない。そして6/8にDisney+ドラマ『ミズ・マーベル』(2022)開始、※MARVELの中でもベスト3に入るくらい大好きなヤングヒーローです。映画は7/8に『ソー ラブ&サンダー』(2022)が公開。
次は、明日あたり?更新予定の『ムーンナイト』(2022)の感想でお会いしましょう。

 

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.comgock221b.hatenablog.com

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)/監督が情報量に潰された感あるがソーのアバ泉など面白いシーンも多々ある🤖 - gock221B
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)/この世に白と黒はなく灰色だけが在る事を描いたヒーローの内戦👱 - gock221B
『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)/覚醒した雷神をも電気ショックで気絶させる服従ディスクと溶け棒が強すぎる⚡ - gock221B
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)/予想を裏切り期待に応えるMCUの到達点🎨 - gock221B

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)/なんで真田広之すぐ死んでしまうん?🎨 - gock221B
『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉全9話 (2021)/本編での活躍少なかったキャラの活躍が嬉しい。”行動せず観てるだけなんて気持ち悪い”というファンへのメッセージ👨‍🦲 - gock221B
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)/てんこ盛りで最高に面白いが、中盤の余計な曇らせで後半のお祭りの味しませんでした🕷️ - gock221B

 

『死霊のはらわた』(1981)/幼少期に観た思い出💀 - gock221B
「ファンタスティック・フォー (2015)」駄作と言う以前に、もはや未完成の映画を公開した感じ4️⃣ - gock221B

👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁👁

Doctor Strange in the Multiverse of Madness (2022) - IMDb

www.youtube.com

 

ドクター・ストレンジ:ゴッド・オブ・マジック

ドクター・ストレンジ:ゴッド・オブ・マジック

  • ドニー・ケイツ, ガブリエル・ヘルナンデス・ウォルタ & 吉川悠
  • 青年
  • ¥2,400
ドクター・ストレンジ:シーズンワン

ドクター・ストレンジ:シーズンワン

  • グレッグ・パック, エマ・リオス & 光岡三ツ子
  • 青年
  • ¥2,000
ドクター・ストレンジ:プレリュード

ドクター・ストレンジ:プレリュード

  • ウィル・コロナ・ピルグリム, ホルヘ・フォルネス & 光岡三ツ子
  • 青年
  • ¥2,000
ドクター・ストレンジ&ドクター・ドゥーム

ドクター・ストレンジ&ドクター・ドゥーム

  • ロジャー・スターン, ビル・マントロ他, マイク・ミニョーラ, ケビン・ノーラン他 & 中沢俊介
  • 青年
  • ¥2,200

#sidebar { font-size: 14px; }