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『SHOGUN 将軍』(2024) 全10話/最初から最後まで良かったし後半で尻上がりに更に最高になって終わって凄かった。藪重が最高🗾


原題:Shōgun 制作&主演:真田広之 脚本&制作:ジャスティン・マークス、レイチェル・コンドウ 制作:ミカエラ・クラベル 製作総指揮:ジャスティン・マークス、アンドリュー・マクドナルド、ティム・ヴァン・パタンほか 時代考証フレデリック・クレインス 衣装:カルロス・ロザリオ 原作:ジェームズ・クラヴェルの小説『将軍』(1975) 配信サービス:FX、Hulu(日本ではDisney+) 製作国:アメリカ 配信時間:各話約60分、全10話 配信開始日:2024年2月27日

 

 

ジェームズ・クラヴェル歴史小説『将軍』(1975)を原作としたアメリカのドラマ。
今日、最終話が配信されてさっき観たから同日中に感想書いときたい。
徳川家康細川ガラシャ、そして徳川家康に外交顧問として仕えたイングランド人航海士ウィリアム・アダムスなどを始めとした実在の人物……をモデルにした別名の架空のキャラが関ヶ原の戦いを思わせる合戦……に至るまでを描いたフィクション。
1980年にもアメリカでドラマ化され、今回のバージョンで真田広之が演じている吉井虎長は三船敏郎が演じていてエミー賞も獲得し人気だった。
そっちは時代もあってか本作と比べると英国人・按針/ブラックソーンが「白人だけど訳わからん島国でサムライになり最高権力者ともニューティフルジャパニーズウーマンとも仲良くなり大活躍」といった異世界転生的な内容だった……らしいのだが観てないのでよくわからない。
↓こんな感じだったみたい
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今回の映像化は、20年以上前に海外進出して日本描写監修などを自主的にタダ働きしてまで頑張り続けていた真田広之が遂に主演、しかも日本描写の監修は勿論プロデューサーも兼ねてるので今までのハリウッド作品にありがちだった「おかしな誇張されたニッポン」描写などが無いように目を配らせ、日本のスタッフや俳優も時代考証の人とかも自由に呼んで作った悲願の作品、しかも作品は原作も映像化もヒットした時代劇『Shōgun』……といった感じで、真田広之が20数年間かけて全てのお膳立てを揃えた悲願の作品って感じなので、楽しみにしてました。
欧米作品の「ヘンテコ日本描写」に異をとなえる日本人が真田広之しか居なかったし、誰もしようとしなかったので真田広之ただ一人が長年タダ働きしていた。そしてアメリカ映像作品でのアジア系俳優の出番は1%以下なのでハリウッド映画に出ても雑に死ぬサブキャラばかりだった。ここ数年、やっと死ななくなったり主人公的な役割が増えてきた、そしてこの本作。
これは日本人としては応援するしかないでしょう……ただ残念ながらXを見ればわかると思うが日本人でこの作品を楽しんでる人は死ぬほど少ない。現在落ち目のDisney+に未だに入ってるのは大きく分けてSW好き、MCU好き(絶賛半壊中)、あとディズニー作品大好き、この三種。だが今Disney+に残ってる日本人は元々かなり少ない、その中から更に僅かな人しか観ないので観てる人は結果的にかなり少ない。
YOUTUBEなどでは本作を毎週取り上げてるチャンネルは多い……が、僅かなYOUTUBERを除き、その殆どは「日本スゴイYOUTUBEチャンネル」(欧米人に日本が褒められてるのを取り上げて再生数を稼いでカネにしてるチャンネル)が多く、海外の『SHOGUN 将軍』記事や、出演者の記事やSNSでの発言、海外YOUTUBERの感想を載せてるだけ……とはいえ無いよりは、盛り上がって見えるので良いことなのかも。
Disney+は一ヶ月、千円だしまだ観てない人は今入れば全話観れるな?だけど毎回毎回面白くて、しかもMCUドラマとは逆で尻上がりに面白くなっていく作品だったので毎週一本づつ観た方が楽しかったと思うが……今更言っても仕方ない。まだ観てない人は今後は全話観れるからいつでも観れるな?

日本は置いといて、本国アメリカや欧米では超大ヒット。
ロッテントマトでも、第1話から最後まで批評家の評価99%、一般人の評価91%という高評価をキープし続け、日本人初のエミー賞受賞が期待されている。
毎週、海外の人の感想とかも観てたが、ストーリーやキャラクターは勿論、侍の恐ろしい苛烈さ(切腹、御家断絶)、美しい日本の美術や着物、能や茶道や芸者などの文化……などの日本ならではの要素が人気だった。それらも、真田広之が俳優は勿論、あらゆる分野の日本人スタッフを呼び寄せ仕切った結果が全て成功し、あらゆる要素が全て上手くいった。……強いて言うなら折角の本作を日本人が全く観ていないのだけが残念だがメインターゲットである欧米では成功し、真田広之を初めとする出演者や関わった人たちの未来が開かれたので万々歳だろう。
以前から人気はあった真田広之は勿論、今まで海外での面白い役に恵まれなかっていなかった浅野忠信、国内外で無名に近かったアンナ・サワイ、穂志もえか、向里祐香なども人気。日本では有名だが海外作品は初の二階堂ふみも「何か、この女性の雰囲気凄いね……」と人気が出た。真田広之浅野忠信二階堂ふみ好きだったのでウケて嬉しかった。
当然のことながら自分は観てるだけで頑張ってはおらず、真田広之が何十年も孤軍奮闘した色んなことの結晶が爆ウケしたので、関係ないとはいえ陰ながら喜ばせてもらった。作品の内容も良かったが、この『SHOGUN 将軍』楽屋裏も作品の一部として楽しみました。
歴史も原作もさほど詳しくないので、それらと比較はあまりせず感想を書きます。

ネタバレあり。割と殆どネタバレするのでこれから観る人は、途中で読むの止めて観てください。なんでかなりネタバレするのかというとイチから記憶だけを頼りに記事を書きながらストーリー全体の流れをおさらいしたいからです。わかってないところもあるんで……。感想というより自分自身との会話みたいなもんですね。

 

 

 

 

1600年日本は亡くなった太閤の世継ぎが成人するまで五大老が統治していた。
その一人、吉井虎永(演:真田広之)は、彼を危険視する石堂和成(演:平岳大)をはじめとした五大老は「虎永が太閤様の世継ぎを産んだ側室・落葉の方(演:二階堂ふみ)を人質にした」という名目で弾劾されていた。
一方、イングランド人航海士・ジョン・ブラックソーン(演:コズモ・ジャーヴィス)が乗るオランダ船エラスムス号が網代に流れ着く。
ブラックソーンと南蛮船を保護した野心家の樫木藪重(演:浅野忠信)は、虎永を裏切り石堂に献上しようとするがそれを阻止した虎永はブラックソーンに按針と名付け、配下の正室でありキリシタンでもある戸田鞠子(演:アンナ・サワイ)を通詞〈通訳〉として付け、按針を旗本として召し抱える。
虎永はここ大阪で、彼を亡き者にしたい落葉の方と五大老によって軟禁状態。
虎永はこの窮地をいかにして切り抜けるのか。そして鞠子、按針の運命は?

 

……という話。

実際の歴史に照らし合わせると豊臣秀吉が亡くなって、関ヶ原の戦い……までを描いたドラマ。
そんな虎永・危機一髪!の合間に、按針から見た「超・野蛮なのに繊細な文化もある不思議な国ヒノモト」という異世界転生要素や「男の侍だけではなく女性たちも戦っていた。女性ならではのやり方で」という要素も、出演者の演技や美しい美術によって彩られながら描かれる。
そういえば石堂役の人がインタビューで、時代劇だから特に何も考えず襖の前で一回停まってタメを作って「……開けぃ!」と叫んで小姓に開かせる場面で「芝居くさすぎる」とNGが出て「あ、そうか。俺の役は急いでるのにゆっくりすぎた。つい日本の時代劇テンプレ演技してしまった」と”気付き”を得た……という話があって面白かった。

 

通訳
まず、日本人のキャラは全員、日本語を喋る。英語を喋るのは按針、按針が乗ってきた船の乗組員。按針とは敵対関係にあるポルトガルの宣教師マーティン・アルビト司祭(演:トミー・バストウ)をはじめとしたカトリック
日本人で英語を喋るのは通詞の戸田鞠子や、網代に住むキリシタン漁師・村次(演:竹嶋康成)だけだ。
ポルトガル勢やポルトガル語を習った鞠子はポルトガル語を喋る方のが自然なのでは?」という意見も海外ではあったようだが三ヵ国語が行き交うのは複雑すぎると思ったのか、三ヵ国語を喋る俳優を見つけるのはしんどかったのか?よくわからない。ポルトガルの人には悪いがまぁややこしいから日本語と英語の2つでいいだろという気分。10年後に「どこの国の作品だろうと、その国のキャラはその国の言葉で喋らないとおかしい!」となった時、その10年後の世界の人にお任せする。
按針は当然、日本語が喋れない、最終話近くでやっとリスニングが出来るようになりかけてて少しだけカタコトで日本語が話せるようになるくらい。だから、按針が虎永と話す時は通詞の鞠子を通して話す。
鞠子やポルトガルの宣教師や商人はカトリック、按針はプロテストなのでポルトガル勢は、按針の言葉を通詞として虎永に話す時、自分たちが不利なこと按針が有利なことは通訳したがらない。
また初期の按針はサムライに失礼な事をよく言ってるのだが、危険なので鞠子は丁寧な日本語に変換して通詞したりする。視聴者からすると元の言葉も、通訳した言葉も全部わかるので「按針の本音」「鞠子はどのように通詞して場を丸く収めたか」など数々の通訳シーンも見どころの一つになっている。

 

衣装や美術
前書きにも書いたように衣装やら美術などビジュアル面が素晴らしい。
刀を抜く際にも、ハリウッド映画に出てくる日本刀は鞘から抜いただけで、まるで金属同士を擦り合わせたような「ミィ~ン……」という謎の金属音がするのが定番だったが、真田広之は何十年もそれが不満だったらしくて抜く時に木が擦れる音が「カチャ」と、一瞬するだけで後は無音……というこだわりの音になっている。これが実にカッコいい。全てが全て完全再現というわけではなく、どこかの歴史学者さんが「大阪城に天井が無い」とか「石垣の積み方が違う」などと些細な指摘していたが「歴史に詳しくないから知らんけど恐らく一理あるのだろう。だが、そんなこと本作の偉業に対して”a drop in the ocean”すぎるであろう。消えろ!襖の向こうに」という感じだ。

 

 

第一話~第四話
本編に話を戻そう。
第一話は、後の按針……ブラックソーンが「野蛮人の国ヒノモト」に流れ着く。
しかし日本人からするとブラックソーンの方が野蛮人なので、畜生的な扱いを受ける。
伊豆の領主である藪重の甥・樫木央海(演:金井浩人)はブラックソーンを藪重の元に連れて行く。
央海は抵抗するブラックソーンを打ち据えて小便をかけたり、藪重の元へ連行する際に道すがらキリシタンの首を撥ねたり、藪重がブラックソーンの同僚を釜茹での刑にしたり、また大阪城では主君の虎永が評議の場で、ライバルである五大老の石堂によって謂れなき言いがかりをつけられた事に怒った虎永の家臣・宇佐見忠義(演:高尾悠希)が刀に手をかけてしまった事で切腹を命じられる。宇佐見だけでなく彼の赤ん坊である息子も殺される。ここは欧米の人にかなりショックを与えたようだ。可哀想すぎるからね。
そういう事で第一話は「野蛮人の恐ろしい国に迷い込んでしまった」というブラックソーンの主観をディフォルメしたかのように「怖い野蛮な国ヒノモト」が強調されている。
これもまた日本の歴史家が「幾らなんでも野蛮すぎる!それにブラックソーンのモデルのウィリアムは、囚われる事なく優しく歓迎されたぞ」と怒った。しかし史実ではなく史実を元にしたフィクションなのでOKだ。前述の通り「ブラックソーンから見た主観」を見せたかったのだろう。「いきなり大ピンチから始まる虎永の現状」もね。
第一話ラストでブラックソーンに挑発された藪重は、彼の煽りに乗って崖の下のスペイン人船乗りを助ける。その際落下してしまい、どうにも助からななさそうなので藪重は腹を切って死のうとする。藪重を威張ってるだけだと舐めていたブラックソーンは、いつでも死ねる侍に畏怖する……という場面だが、5mくらいの崖から何か知らん間に落ちてバタバタしてたと思ったら突然死のうとする藪重……という場面は正直ギャグとしか思えず可笑しかった。もう少し上手いことできなかったものか。
第一話と第二話は初日に2話同時公開されたが、ここで既に人気爆発して最後まで人気だった。
虎永に謁見したブラックソーンはポルトガル勢の危険を説くがカトリックである鞠子は訳したがらない。とりあえず按針は虎永、鞠子、藪重らと大阪から脱出。

第四話「八重垣(やえがき)」
ブラックソーンは虎永に召し抱えられ〈按針〉となる。
按針はさっさと船と仲間を変換されてイギリスに帰りたがっているのだが申し出る度に虎永に引き止められる。
第一話で切腹した夫・宇佐見忠義と息子の二人を一気に失った妻・宇佐見藤(演:穂志もえか)は、哀しみのあまり尼になる事を希望するが、第四話で虎永の命で按針の正室となる。
船や大筒の使い方に詳しい按針は大筒を指揮する旗本となり、立派な屋敷や正室に藤様もいただき、あれよあれよと出世する。
ここまでの藤様は夫と子を失って泣いてるだけだったが、虎永の命で按針の正室に嫌々させられると、それが任務なので腹が座ったのか按針と対立する央海にピストルを向けて威嚇し、以降の登場でも可愛くて面白いリアクションを見せて海外のNo.1人気女性キャラになった。
按針と藤は(多分)按針を帰国させないためかもしれない。按針と藤は尊重しあって銃と刀を交換するが、あくまで協力関係といった感じで恋愛の感じには最後までならない(最終話で恋が芽生えたかもしれないがよくわからない)。それより按針には鞠子が心の奥の哀しみを語り、按針と鞠子のほうが良い関係になる。その夜、鞠子は夜這いをかけるのが紅天の時にベッド・インするのでそこまで引っ張った方が良かった気がする。翌朝、藤様は二人の関係に気づいたのかどうかよくわからなかったが数話後では完全に知ってる顔してました。それにしても無言で夜這いをかけてきて翌朝にプラトニック側室・藤様とお茶飲んでたら鞠子殿が来るので笑いかけると「さぁ、何の事でございましょう」とか微笑んでて……最もセクシーで素敵な朝だな。
功を焦る虎永の息子・吉井長門(演:倉悠貴)は央海の口車に乗って、大筒演習を視察に来た虎永のライバル石堂の家臣・根原丞善一行を大筒で爆撃してコンビーフみたいにグシャグシャにしてしまう。
そんな感じで按針が大出世して、今回で人気爆発した藤様と形式上とはいえ夫婦になりサムライソードもGETし、その夜身分の高いインテリ鞠子殿が突然布団に入ってきて不倫SEXしてしまう……というこれ以上ない異世界転生回。ラストに人間を直接大砲で吹き飛ばすスプラッターも素晴らしいこの第四話で本作は不動の人気を手にした感あった。おもろすぎたからね。
本作の按針は昔のドラマほど活躍しないそうだが、この第四話での異世界転生っぷりだけは凄かったね。

 

 

第五話~第七話
この中盤では主に、男たち侍の裏で女性たちが戦う様子が多く描かれた。
石堂の家臣を爆撃して首を獲ってしまったので、もはや四大老との戦は避けられぬかたちになった。
虎永は長門を叱るが、藪重&央海の樫木家が仕掛けた事だと気づいており、自分はそれを気づいてて敢えてお前らにそうさせたぞと暗に藪重に告げる虎永。
網代には虎永の放った間者がおり、強い方に付く藪重の行動は全て筒抜けだった。
第三話で虎永達を逃がすために犠牲になった……と思われた鞠子との関係が冷え切っているDV夫・戸田広勝/文太郎(演:阿部進之介)は、猛将であるため生きていた。
按針の屋敷に来た文太郎は、按針&藤&自分の正室・鞠子と共に酒と食事を共にする。この夜、文太郎は常に自分に冷たい鞠子に腹を立てまたDVして按針と揉める。この後もしばらく、自分には冷たい鞠子が按針にだけは心を開いてることを察知して按針と揉める。最初から「嫌な奴」ポジションで出てくるのだが第三話では自分ひとりで追手の軍を相手にして虎長を逃がすなど武芸に長けた猛将である事は間違いないし、この夜の食事会でも按針の「イギリスの海の男の酒の飲み方」を真似してみたりするし根っから悪いやつじゃない立体的なキャラ造形を見せる(只の嫌なDV夫ってだけのキャラなら絶対にこんな風に食で同調しない)。どうやら原作だと「只の嫌なDV夫キャラ」だったらしい、それをこのドラマ版では「鞠子とは上手くいってないし嫉妬深いが、勇敢だし悪いだけじゃない」という立体的なキャラになっている。
このドラマ、最後まで戦闘シーンや合戦シーンが殆ど無いんだが、もしあれば文太郎の人気ももっと上がっただろうね。

按針は虎永の褒美として、遊女と遊べる茶屋へ行く、通詞として鞠子も付いていくことになる。
鞠子が、茶屋の女将・(演:宮本裕子)に「按針とできてる?」といじられて、横で聞いてる藤殿がお茶を飲んで笑いをごまかすシーンでは再び「カワイイ!」と人気上がった。茶屋では伊豆No.1遊女・(演:向里祐香)が、鞠子が按針を好きなことを見抜き、菊の通詞をしている鞠子の口を通して、鞠子の本心を語らせるという幻想的なシーンが描かれた。
菊は常に蕩けそうな喋り方してるのが良くて、配信始まる前にインスタで各キャラの紹介映像がUPされてたが、そこで彼女は
菊「快楽とは……ただ痛みがないということではござりませぬ……私(わたくし)にお任せいただければ……本物の快楽をおみせいたしまする……
という「私は気持ちいい」というだけの事を、よくこれだけ深みをもたせられるな、と感心した。

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なんか喋るスピードとか言い回しとか声色とか……総合的に催眠効果のある台詞だ。
茶屋の菊と吟は樫木家に取り入ったり虎永に「何を企んででおいでです?」と探ったりして一体何が狙いなのかと思ってたが結局は、江戸に吉原という今までにない風俗街を作りたいというだけだったのかな?
そして欧米の視聴者は「あぁ、その街が『鬼滅の刃 遊郭編』に出てきたあの町になるのね」と思った事だろう。
この中盤では太閤の側室・落葉の方(演:二階堂ふみ)の出番が増えてくる。レディ落葉もまた妖怪みたいな喋り方するものだから欧米の人を恐れさせたという。
落葉のキャラ紹介インスタ映像は
落葉の方「貴方がたは少しばかり私(わたくし)のことを知っているおつもりかもしれませぬ……。私(わたくし)は皆様に、そのように思うていただきたいのでござりまする……
と、これまた菊と同様に「舐めんなよ」ってだけの事を何百倍にまで拡大させて恐怖を膨張させており言の葉の威力ってやつを再確認させられました。

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落葉の方は太閤の世継ぎを産んだ側室。他の正室、側室は産んでいない。何故わたしだけが産めたかわかるか?と石堂に語りビビらせる。恥ずかしながらよくわからなかった。他人の子を孕んだってこと?(たとえば虎永とか)。他に考える材料がないからそれ以外思いつかない。最後まで語られないからわからなかった。
鞠子の父・明智仁斎(明智光秀がモデル)が落葉の父(つまり織田信長)を討った。しかし落葉は「虎永が明智をそそのかして討たせた」と思いそれで虎永を憎み石堂&大老ズと手を組んでいる。
本当かどうか海外の記事読んだら落葉は虎永と結婚しようとして断られて恨んでるという説もあるらしい。えっそんなハマーン・カーンみたいな理由?だったら劇中で語ってほしかったが……亡くなる前の太閤が「落葉はお前と結婚してたかも」って言ってたのと、最終話で落葉からの文を虎永の正室桐の方(演:洞口依子)が持ってきた時に虎永が「お前これ読んだ?」って言ったら桐の方が「何いってんの」とイチャイチャしてた。だから落葉が虎永好きなのは割と皆知ってたってこと?
ちなみに桐の方役の洞口依子さんは黒沢清監督デビュー作『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(1985)(※ちょうど今NYでリバイバル上映中らしい)とか『CURE』(1997)、ニンゲン合格』(1999)、『カリスマ』(1999)など初期黒沢清作品とか伊丹十三作品によく出てたあの方。久しぶり見たけど元気そうでよかった。桐の方のモデルは阿茶局なので「若い時の真田広之」と「若い時の洞口依子」が共に戦ったり恋愛する様子が頭に浮かんで「こういう時、若い時から知ってる俳優さんが年取った役してたら妄想できて良いな」と思った。
落葉は、虎永びいきの太閤の正室である北政所にあたるキャラを毒殺したかのようなシーンがあったりと「落葉がラスボスになるのか?」と思わせるところもあった。
この中盤では、按針と鞠子の恋とか鞠子と文太郎が夫婦揃ってメンヘラになって虎永に「今そんな場合じゃないってわかってる?」と怒られたり、幻想的な茶屋など……非常に面白いんだけど「大丈夫か?」という感じもあった。
石堂&大老ズとの戦が避けられない虎永は絶対に勝利する作戦〈紅天(こうてん)〉を発動させるかどうか家臣達にチラつかせる。
虎永「紅天で石堂たちをブッ潰すぞ!えい!えい!おー!」
と気合を言れてたかと思えば次の回で、
虎永「……紅天はとりやめじゃ……」と言動がコロコロ変わる。そもそも紅天が何なのか腹心の広松でさえも誰も知らない。
そして真田広之演じる虎永は主人公なのだが、主人公の割に妙に出番が少ない。また(他のキャラも全員そうなのだが)企みがありそうだが八重垣(心のATフィールド)によって虎永の本心は決して表に見えない、というキャラなのだが視聴者として観てても中盤はマジでわからなかった。「策謀に長けた徳川家康がモデルのキャラ」なのでアホのわけはないのだが決して本心を見せないので中盤は「マジで何も考えず行き当たりばったりなのでは?」と思えてきたりもした。洞察力に長けた茶屋の吟が「本当に何の策もないわけないですよねぇ?」と煽ったりしてたので視聴者に向けて「虎永はちゃんと考えてるよ」と、制作者がサインを出したりしていた。そんなサインもなく、賢そうな真田広之が演じてなくてモデルが誰だか知らなければ「虎永、マジで何も考えてない?」と思ってもおかしくなかった。
虎永は打倒・石堂のために不仲で十年くらい会ってない異母兄弟の佐伯信辰(演:奥野英太)に加勢を要請する。しかし佐伯は既に石堂に取り込まれており、ピンチの虎永もはや絶体絶命。
佐伯を演じてる役者は、ラッパー役やチャラ男役を得意としてる人らしい。甲冑も派手で、前田慶次的な”かぶき者”を思わせるキャラ。
功を焦って石堂の家臣を爆殺した長門は、またしても父のために茶屋でフルチンの佐伯に斬りかかる。しかしあと一歩のところで足を滑らせて頭を打って脳漿をまろび出させて死亡……。
長門は、かような純粋すぎる上に迂闊な若者な上に人気作では有り得ない間抜けな死に方したので視聴者から「この若君はバカなのかな」「このキャラ、アホだから俳優の演技も下手な気がしてきた……」などと好き勝手言われていたが僕は嫌いじゃなかったぞ。長門殿はあまりに純粋すぎたので死ぬことになった。……しかし虎永はそれほどまでに賢いならもっと教えてやれよと思わなくもなかった。

 

 

第八話~第十話(最終話)
第八話「奈落の底」
長門の事故死で虎永陣営は喪に服し一時休戦。
皆、間抜けな死に方した長門を馬鹿にするが、同年代の央海だけは長門の勇気を称えて馬鹿にする先輩たちを諌める。前半の央海は嫌な奴描写が多かったが、割と最後まで忠義を尽くす熱い奴だとわかってくる。
虎永の家臣達は、石堂に合戦で勝利、勝てなくても降伏よりは戦って死にたい。
しかし虎永は、佐伯の寝返り以降「儂は勝ち目のない石堂に降伏して切腹する」としか言わない。
子供の頃から虎永のお兄ちゃんみたいな感じで仕えてきた、虎永が唯一心の内を打ち明けれる家臣・戸田広松(演:西岡徳馬)。文太郎の父であり藤の叔父でもある……彼は「いやぁ、でも殿は口では周りを油断させるため、ああ言いつつも戦うつもりなんじゃ?」と藪重に言ってしまう。
鞠子は文太郎と茶室でお茶をいただくが、文太郎の心中の申し出を「アンタ何にもわかってないのね」と口頭で叩きのめし泣く文太郎を後にして出ていく。
これからどうするかの最終決定の会議、虎永は家臣を集めて「降伏します」という書状にサインさせる。降伏を信じていない藪重と従うしかない央海は安々とサインしてしまう。
しかし戦って死にたい家臣達はこれを拒否。怒る虎永。このままでは家臣達が今切腹しなければならなくなる……ここで広松が虎永に異を唱える反対者の代表として虎永にNOを突きつける。だが虎永も意見を翻すことはない。
遂には広松は、息子・文太郎に介錯を頼み、その場で切腹することに。
一行で文章にしたらあっさりだが、このシーン、西岡徳馬真田広之の演技、二人のキャラが目と目だけで会話する感じ。緊迫感が物凄くて時間を忘れた。世界の視聴者は凄い反響だった。
兄弟同然にやってきた一番の親友でもあり家臣でもある広松を安々と死なせた虎永に「マジで降伏する気だ!」と思った藪重は、同じく虎永から心が離れた按針を連れて石堂の元に向かう。そこへ鞠子が虎永の命でついていく。
広松の切腹は、誰だかわからない石堂の間者や忠義心ゼロの藪重を騙すための虎永とのアイコンタクトとアドリブで行った切腹だった。

第九話「紅天
は鞠子の回だった。それにしても虎永の軍事計画「紅天」の英訳は「クリムゾン・スカイ」、かっこよすぎるだろう。
藪重&按針というフワフワした男二人と共に敵陣の危険な大阪城に乗り込んだ鞠子。ここ大阪城では広松が第五話あたりで脱出した時に出産で脱出できなかった側室・志津の方、その看病で残った虎永の正室・桐の方らが人質で軟禁されている。そればかりか他の大老達も囚われている。表向きには軟禁されてはいないという事になっているが自由に出ていく事はできない。鞠子は桐の方、志津の方を連れて江戸に帰るという。もちろん門番は通さない。鞠子の部下は門番と戦い、斃れる。鞠子は薙刀を持ち善戦する。門番は、鞠子たちを通すわけには行かないが殺すわけにもいかないので門番は門番で大変だ。鞠子は「このような屈辱には耐えられませぬ。私(わたくし)は日没に自害いたしまする!」と宣言。按針は感じ入るが見ていることしか出来ない。藪重はあたふたしている。
幼い頃に親友として過ごした落葉の方は鞠子の自害を止めようとする。しかし鞠子の決意は堅い。落葉は涙を流したりして意外と鬼女ではない事がわかる。落葉はただ息子を守るために地位を盤石にしたいだけだったのだ。
鞠子の介錯に愛し合う按針が立ち、あわや自害……という寸前で敵である石堂が「通行許可証」を渡して止めに来る。鞠子が死んでしまっては大阪の上流階級が離反してしまいかねない。石堂としても鞠子を死なすわけにはいかないのだ。とはいえ前話で広松が迫真の切腹してるので鞠子がしても何らおかしくないのでギリギリまで緊迫感が凄かった。
次に石堂は、寝返らせた藪重を使って鞠子を監禁するために忍者軍団を藪重の手引で大阪城に迎え入れて拉致させようとする。
桐の方、志津の方を連れて逃げる鞠子、その鞠子を守るため忍者を銃撃する按針、皆を助けるふりをしながら鞠子を不利な場所に誘おうとする藪重。
土蔵に逃げ込んだ一行。発破で戸を破ろうとする忍。鞠子は迷いなく戸の前に立って爆撃で自らを殺させる。……というこの第九話は一番面白かったかも。
今まで鞠子殿は主人公の一人だけどイマイチ魅力ないなと思って観てたのだが、父が死んでからは死に場所を探して好きでもない文太郎と暮らしてて死んだように生きてたからなのね。最後は「私は明智鞠子」と名乗って亡くなられた。

最終話「夢の中の夢」
「いよいよ最終話は関ヶ原の戦い?」とか思っていたら最終話はまさか「藪重と按針がションボリして江戸に帰国して江戸で過ごす。関ヶ原の戦いの一ヶ月前に物語は終わり」という話だった。戦国時代で関が原に向けて進んでるからついつい最終話はラストバトルだと思うじゃん。しかしそれは無し。そんで無くても良かったので更に驚きました。ラストバトルをカットしたんじゃなくて後述するが戦いは既に終わっていてる、1ヶ月後の関が原はその既に決した戦いの”結果”や”おまけ”に過ぎない。
最終話ではところどころ年老いた按針が鞠子の十字架を握りしめ、孫と過ごす映像が入る。按針はイギリスに帰ってしまったのか?金髪で白人の孫たちは飾ってある忍者刀のことを「蛮人から奪った武器」と呼んでいる。結局、按針はすぐに帰国し、そして死ぬまで鞠子を想い後悔のうちに死を迎えているのか?彼が日本に来たのはただ不幸な後悔を生むだけだったのか?按針は……いやブラックソーンの人格には何の影響もなかったのか?このドラマ全話は年老いた按針が見た夢だったのか?この回想は何度か入る。
時間は鞠子の死の直後に戻る。藪重は、鞠子を拉致して閉じ込めておくことはしっていたが、まさか鞠子が死ぬとは思っておらず罪悪感で様子がおかしくなっていた。桐の方、志津の方、按針&藪重は江戸に帰国する事に。カトリックのアルビト司祭は本当はこの江戸への帰り道で按針を討つはずだったが鞠子の頼みで見逃す。そして按針が乗ってきた船は破壊され沈没していた。犯人探しで網代の民達は処刑されている。
江戸に帰国した藪重はすぐさま囚われる。鞠子が死ぬ原因となった忍者軍団を大阪城に招き入れた事が虎永に筒抜けだったのだ。央海は叔父を尊敬していたが忠義に背くことは許せない青年だった。藪重は切腹することに。
按針の正室という任務が終わった藤は尼になるという、しかし村の人達が殺されていることに心を砕き、そして夫と子供の遺骨を手放していない。元気になってきたがまだ哀しみの中にいるのだ。
按針は、虎永の家臣という正体を表した村次を通詞に、虎永に村人を殺さないでくれと言う。許さない虎永。按針は心の八重垣を破り、カトリックプロテスタントの争いはくだらなかった、自分は日本や虎永を利用するために日本に来たこと、自分は酷い行いをしてきたことなど吐露する。そして自分の切腹で村人を救ってくれと言い、すんでのところで肝心の切腹を止めて村人の虐殺を止める要求を飲む虎永。
按針は藤と海に出て、イギリス式の散骨で藤の夫と子供の骨を撒き「二人の魂は君とずっと一緒だ」と言う。そして按針は鞠子の十字架を海に葬る。
つまり、このドラマ全話が「年老いて後悔のまま死にゆくブラックソーンが見た思い出」だったのではなく、最終話で何度か差し込まれたイギリスにて死の床にいるブラックソーンの場面の方が夢だった。按針は鞠子や日本との触れ合いで変わったのだ。

藪重は「自分の亡骸は野ざらしにして犬に食わせろ」という内容の辞世の句を「いいのが出来た」と言い央海に渡し腹を切るために介錯人の虎永の下へ行く。
それにしても辞世の句を、英語字幕にしたら「Death poem」となっていて、意味も語感もこの上なく恐ろしい「デス」と、どこかパステルカラーでほわんとした印象の「ポエム」が合体した「デス・ポエム」の響きにはしびれました。そんなしびれもおう終わりじゃ。
裏切りの常習犯である藪重は信用できない。しかし数分後に死ぬ藪重は別だ。
虎永は初めて八重垣の中の本心を語る友を得た。
虎永がシーズン中盤からずっと語ってきた一発逆転の軍事作戦「紅天」は既に決していることを語る。虎永の軍勢による大規模作戦……などではなく鞠子が一人で前回大阪に行って門で戦ったりキリシタン大老の木山に語りかけたり切腹しようとしたり落葉の方と語ったり忍者に自ら進んで殺されたり……してたアレが「紅天」だったのだ。
そしてそれ以前の、時間を稼ぐことが出来た長門の死、「虎永降伏」を石堂に印象付けた広松の切腹、それによって疑われる要素なく大阪に毒(鞠子)を盛れたこと……江戸の虎永勢や敵の大阪勢など全ての動きが「紅天」の一環だった。
……今思えば偶然成功したような要素も多いのだが「A案がダメならB案に移行」とか色々フォローできる要素はあったのだろう(たとえば長門が佐伯暗殺は失敗したが成功してても長門切腹を命じて失敗時同様に喪に服して時間を稼いでいただろうし)。
鞠子の一人の戦い、石堂に自分を殺させたくだり、これにより旧友・落葉の方は「石堂に価値なし」と判断し、1ヶ月後の関が原の戦いにて石堂に援軍を送らない事を決意。太閤の世継ぎ・八重千代の旗を掲げられない石堂、元々好かれていない上に大義名分もない石堂に付くものはいない。残りの大老は離反する……という事で一ヶ月後の関が原では既に勝利していると。
ついでに「按針の船を壊したのは儂」などとありとあらゆる事を教えてくれる。
それもこれも265年続く太平の世のためだった。
今まで全く心の内を語らなかった(というか出番自体も少なかった)虎永が裏切り者・藪重に語ってくれるこの崖の場面は圧巻だった。
実際に主人公と言いつつ全話通して虎永の出番は驚くほど少ないので第七話くらいまでは「これ面白いけど真田広之の出番少なくない?」と思っていたが、この崖の場面まで見たら、これまでの虎永の出てない場面も全部虎永の脳内に居たようなものだったのかもと思った。
例の配信前のインスタの虎永のキャラ映像、
虎長「我らの物語は、霧の中にしたためてある。はたまた儂が霧で、そなたらはその霧の中を、彷徨うておるだけやもしれぬの……
とか言ってたが最終話まで観たら実際その通りだった。

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そして虎永は考えの深い策士というだけでなく、按針の忠誠心を確固たるものにするためだけに船を焼いて罪のない村人を虐殺した事、自分も将軍になれば好きなことが出来るという他の者同様の俗な考えがあることを述べる。
藪重は虎永の”八重垣”の内にある彼の本心を知りたくなり訊くが、虎永は急にスッと無表情になり「死人に先々のことを話して何とする」と冷酷になり、おしゃべりの時間が終わった事を悟った藪重はラーメンに箸をつけるが如く気楽さで腹に短刀を差し込み虎永を笑顔で見る、虎永も口元を少し歪めた後、藪重の首を斬り落とす。
この崖の切腹シークエンスは凄く良い場面だと思った。誰にも本心を語らない虎永が一番信用ならん藪重にシビアな内容を話し、藪重はそれを否定も肯定もせず好奇心いっぱいで素直に聞いている、ただ真の真の心の内だけはたとえ1分後に死ぬ藪重にも話すつもりはないのでトークは打ち切り……何となく、これが理想的なコミュニケーションだと思えたからかもしれない。
浅野忠信の演技は元々好きだったんですが、特に『アカルイミライ』(2003)での「おまえクラゲの毒をすこしあまくみてないか?笑」とか『珈琲時光』(2004)で一青窈を心配して「おおwどうしたどうしたw」みたいなナチュラルすぎる演技が好きだったんだが、本作でも台詞を自分の中に入れて自然と発する演技をしていたらしい。それでやたらと溜め息や息が漏れる回数が多く、それが欧米の人にも「この人こんなおもろい演技する人だったのか」とバカ受けしてて、浅野忠信のそういう演技が昔から好きだったので、それがウケて良かった。藪重は一人だけ侍のルールだけに縛られてなくて現代人っぽい合理的な考え方してるし愛嬌あるから人気出るのもわかりますね、それでいて侍ルールにも準じてるし、かと思えば死に魅入られてる非現実性も良いしね。本作そのものが真田広之の総決算ならば、藪重は浅野忠信の演じてきたキャラの総決算感ある。
虎永、鞠子、按針が3主人公なんだが正直言って全話において藪重が按針を食ってたよね。ずる賢いキャラってだけじゃなくて異常な殺し方や異常な殺され方に魅せられてて、普段は凡俗なのに死に関してだけはアーティストになるってところが最高だね。
最後は、按針が村人たちと一つになって船を引き上げる。文太郎も来て按針との確執を忘れ手伝う(それを知った時に按針が漏らす笑みが最高)。違いを「野蛮人」と罵っていた者たちはもうおらず互いに協力しあう世界が生まれた。
なんだかんだ按針が鞠子や藤や文太郎に良い影響を与えて互いに変わったのは良かったと思う。ただ、按針はずっと驚いた犬みたいな表情で一体何を考えてるのかが虎永以上によくわからなかったが……。最終的には偏見をなくしてわかりあおうという明るい結論に達してよかったのかも。
鞠子、落葉、藤、菊、吟……などの女性キャラも突然、非現実的なスーパーパワーを発揮して暴れるでもなく(男化)かといって過剰に女っぽく色仕掛けするわけでもなく等身大の女性がそのまんま芯の強さを押し出す感じがめちゃくちゃ良かったです(別にリアルな強さじゃなくスーパーパワーを使った方が適切な作品はそれでもいいです、『キャプテン・マーベル』(2019)とか)。
てっきり最初、最終話は、まるまる関ヶ原の戦いかと思ってたけど蓋を開けたら、関ヶ原の一ヶ月前で終わりだったという、しかし雌雄はこの時点で既についている……というのは渋すぎるのでこれでよかったんだけど、せっかくだから藪重に崖で関が原についてかたってる時の関ヶ原イメージシーンをほんの2分だけ伸ばして虎永(というか真田広之の)チャンバラ。按針の砲撃。文太郎や央海の無双。ブッ殺されて脳みそブチまける佐伯……とかも観たかったかも。だけど「出来れば生きながらえて殿がどう勝利をおさめるのか観たかったですぞ!」という藪重にシンクロできるから見せなくて正解だったのかもね……。そういう「アホの石堂やムカつく佐伯をぶっ倒してYeah」みたいな次元じゃないことをやってきたわけで最後に数分でもスカッと戦国要素入れちゃったたらブレそうだもんね。落葉の文を見て青ざめる石堂イメージ映像は見れたし。
クライマックスはやはり鞠子殿が石堂に毒を盛った第九話「紅天」で、最終話はエピローグって感じでした。
だが最終話だけ藪重の崖のシーンだけ三回続けて観たし按針と藤の小舟のシーンも二回続けて観た(藤の夫と子の遺灰を撒いたこの湖は、原作者ジェームズ・クラヴェルが住んでいてジェームズの遺灰を撒いた湖)。ドラマ最終回でそうしたのは随分久しぶりだった。『ツイン・ピークス リミテッドシリーズ』(2017)最終回以来かもしれない。終わるのが寂しかったのかもしれない。

 

 

長なった……
内容を咀嚼しながら書いてたので長くなりましたが、とりあえずそんな感じで面白かったです。

第一話~第三話 ★★
第四話     ★★★★ 
第五話~第七話 ★★★ 
第八話~第十話 ★★★★★ 

という感じで尻上がりに面白くなった。
同じDisney+って事でどうしても比べてしまうんだが、MCUとかSWのドラマ数十本って最初よくても最後つまんない終わり方するものが多かったから本作と比べて一体何だったんだろう?と思わざるを得ない。MCUとかSWのドラマにも面白いものは勿論ある。ただし分母の多さに対して少なすぎる。
そしてMCUとかSWのドラマが、Disney+に客を繋ぎ止めとくためだけに使い道もきめないまま新キャラとか繋がりとかバンバン出すのと反比例して本作は第一話から最後まで大人気だったのに全10話だけで完結してしまうのが何か……違いすぎて……。

本作によって少し世界が変わって真田広之をはじめとする日本人俳優のハリウッドでの扱いが少し良くなるだろうし(翻ってホークアイに命乞いして殺されるだけの『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でのヤクザ役なんだったん?ひどすぎるだろ)。
同じ座組で、同じくジェームズ・クラヴェル原作の本作の約200年後の続編『Gai-Jin』(1993)のドラマ化が観たいな。本作の直後の続編も、作れない事はないだろうが藪重とか藤様とかが居ないのは寂しい。完全に終わってるし。『Gai-Jin』映像化なら浅野忠信や穂志もえかを再び配役できるだろうし。
あと真田広之がSWに出たがってて、最近SWから本作にラブコールあったりしてたから
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ジェームズ・マンゴールドが監督するEP1の2万5千年前のジェダイ誕生を描いた映画に真田広之出てほしいね。勿論ジェダイ始祖で。真田広之はマンゴールドの『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)にも出てたし。本作のスタッフがSWも作って……と思ったけどSW作らせるの勿体ないわ。それするくらいならオリジナル作品作ってほしい。

※追記:本作が終了して軽いロスになったので虎永の孫の代の擬似的な続編として『沈黙 -サイレンス-』(2016)を観た。これがまた作風やストーリーや描写など、本作に非常に似てたのでロスの人は続編として楽しむ事が可能です。

 

 

 

 

そんな感じでした

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