gock221B

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『パスト ライブス/再会』(2023)/年取りすぎたせいか劇中の主人公2人ほどは入り込めなかったが映像の美しさと主演の演技やラストのエモさにはグッと来ました👩🏻🧔🏻‍♂️👨🏻


原題:Past Lives 監督&脚本:セリーン・ソン 配給会社:A24 製作国:アメリカ 上映時間:106分 公開:2023年6月2日(日本は2024年4月5日)

 

 

第96回アカデミー賞の作品賞と脚本賞にノミネートされた韓国人の男女の恋愛映画。

過激な作品がウケるカンヌ受賞作品の面白さに比べて、アカデミー賞ノミネート作品って割と真面目かつ白人中心でしょうもないイメージが何十年も続いていた。それでもノミネートに面白い映画が入ることが増えても結局つまんない方が作品賞に輝くことが多い。
だけど『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)くらいから、人種的だったり政治的要素があればエンタメ作品もノミネートされることが増え、韓国映画や邦画がノミネートされるようになり、ここ数年では「アカデミー賞にノミネートされてるから観てみよう」と思うくらい面白い作品が扱われるようになった(個人的に『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)はめちゃくちゃ嫌いなんだが、そういう話じゃなくて昔はこんな映画絶対に入らなかったし)。
そんでノミネートされる作品も面白くなったからなのか加齢のせいなのか、アカデミー賞内部で起こる政治性や事件なども面白いものが多かった。去年や今年のアカデミー賞とか、そこら辺の面白い映画より面白かったしね(記事書けばよかった、時事性が高すぎて当日に書かんと意味ないから後から書いてもアカン)。
今年のアカデミー賞作品賞ノミネート作品、今のところ全部面白いので、全部観ることにした。これも今までした事なかったね(ひょっとして観てなかっただけで今までのも面白かったのかもしれない)。
今のところ観たやつを好きな順に並べると、『落下の解剖学』(2023)『オッペンハイマー』(2023)『バービー』(2023)『哀れなるものたち』(2023)『アメリカン・フィクション』(2023)、本作……って感じか。感想書く前に最下位にはしてしまったが別に嫌いなわけじゃないけどね。
まだ未見のアカデミー賞作品賞ノミネート作品は『関心領域』(2023)、『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(2023)、『マエストロ:その音楽と愛と』(2023)、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(2023)……と4本なのでもう少しだ。この全部観るのは、ジャンルも違うし本来なら観ないような作品も観れてめちゃくちゃ面白いので来年からもやろうと思った。アカデミー賞自体はもう『オッペンハイマー』(2023)の圧勝で終わっちゃってるので全部観たうえで競馬みたいな楽しみ方することは出来ないが面白いのでOKです。
そういえばここ数年ノミネート作品観た時も面白かった。
劇場やレンタルやサブスクでは、何の映画を観るか決めるのは自分なのでついついお馴染みのジャンルを観てしまいがちで本来自分が観なさそうな作品を見る機会は昔より減りがち。昔ならばTVで映画を見る機会が多かったので放映するものを観ざるを得なかった。だがそれによって思いもよらぬ新しいものに出会える率も高かった。他には恋愛や同棲などしたら本来自分だけじゃ観なかったり読まなかったものに触れる機会が増える。「賞レースに入った作品全部観る」は、それらと似たような映画ロシアンルーレットが楽しめていいかもしれないな。🔫

監督のセリーンさんは、主人公同様に欧米に引っ越した韓国出身の女性監督。自分の経験を活かして長編デビュー作である本作を撮ったらアカデミー賞作品賞にノミネートされたって、すごいね。

ネタバレあり。今回は割と最後まで全部書いてるタイプの感想なので注意です……
でも観た時、酔ってたので記憶が少し曖昧meです

 

 

 

 

韓国・ソウルで同じ小学校に通う12歳の女児ノラと男子ヘソン
成績優秀な2人は互いに淡い恋心を抱いていたが、ノラの家族が海外移住することになり2人は離ればなれになる。

12年後ノラ(演:グレタ・リー)はニューヨークで作家を目指しており、ヘソン(演:ユ・テオ)は兵役を終えていた。2人は24歳
ヘソンはFacebook的なSNSでノラのことを探しており、そんなヘソンを見つけたノラは返信し、2人はモニター越しに12年ぶりの再会を果たす。
2人はしばらくビデオチャットを楽しんでいたが、恋心が募ったノラは「自分は作家になりたいとか明確に目標を持ってここで暮らしてるのだがビデオチャットやりすぎて四六時中あなたの事を考えて心が常に韓国に飛んでいる。もうチャットは辞めよう」と、電脳空間での逢瀬を辞める事を告げる。ノラは自己実現中だし韓国に住むつもりはない、ヘソンもいきなりアメリカに住む金もないしそもそも最初からそんなつもりがない。違う惑星に住んでるようなものだ。2人は再び互いを好きなまま離ればなれになった。
ヘソンは地元、韓国で常に同じ居酒屋でいつめんと飲んでいる。この居酒屋、韓国映画やドラマに昔からよーく出てくる居酒屋。なんか平屋で通りが見える全面ガラス張りで、鍋とか焼き肉をつつきながら透明のお猪口みたいなので飲む感じ。韓国の映画やドラマに出てくる庶民の……特に男が行く飲み屋ここ20年くらい、ずっとこれだな?

更に12年後36歳となったノラとヘソン。ノラはアメリカ人作家のアーサー(演:ジョン・マガロ)と結婚していた。ヘソンも12年前の別離の直後に同じ町の女の子と付き合い始めたが最近うまくいってないっぽい。
ヘソンは7年くらい前?に結婚する時、夫アーサーと韓国に訪れ、ヘソンとも会おうとしたがヘソンはそのメールに返信せず会わなかったようだ。
ヘソンは、はるばるニューヨークまで旅行しにきた。この旅行が、ノラに会うためなのか、たまたまなのか、恋人と上手くいってないから気晴らしの旅行なのかは、ちょっと劇場でトイレ行った時に見逃したのかしたたか酔ってたせいか、よく覚えていない。
とにかくニューヨークに来たヘソンはノラに再開する。24年ぶりに。
ヘソンと、生身と生身で24年ぶりの再会を果たしたノラは
「わぁー久しぶり……生のヘソンだ……。わァ……あっはははは……」と照れて笑ったり横を向いたりする。この場面の演技が本当にめちゃくちゃリアルで、一気に惹き込まれた。正直言って僕は40代後半という高齢者で主人公2人の干支一回り上なせいか、2人の恋模様に今ひとつのめり込めてなかったのだが、この時のノラ役の女優の演技が上手すぎて、観てる自分がノラでありヘソンでもあり家でノラが盗られるんじゃないかと心配している夫アーサーでもあり……と思えるくらいVR的な感じで三人のキャラの中に引っ張り込まれた。忘れてたけど自分もこういった場面が20、30代の時にあったな?とか無理やり引っ張り出される感じ?これが本作の長所だろうと思った。
その他、単純に映像とかカット割りとか物語の進み方も単純に良かった。だけど、そーいう映像の良さを具体的にどう語っていいのか、映像のボキャブラリーがなさすぎて上手く語れない。とりあえず美しくて観ていたくなる映像でした、それ以上に上手く言う専門的な言い方を知らない。
ヘソンは24年前の子供の時に、ノラが突然引っ越して行き場のない怒りに囚われたこと、12年前に後先考えずネットで初恋のノラを探してチャットできるようになったが後先考えてなかったので繋がりがすう消えてしまったこと、自分が現在の彼女と上手くいってないこと、彼女は良いとこの子だし自分はもっと金持ちにならなければ彼女に釣り合う男だとみなされない、と悲痛な叫びをノラに聞かせる。
ノラとヘソンは2人でNY観光しノラはヘソンを伴って帰宅。ヘソンは夫アーサーに丁寧に挨拶してホテルに帰宅。デジャブ。
帰宅したノラはヘソンのことを「良い男性だけど欧米の目から見れば少し前時代的な典型的な”韓国の男”だ」と語る。
ノラの夫アーサーは「君がヘソンに盗られるんじゃないかと不安だったよ。僕には君たちのような韓国人同士の意思疎通もなければ24年に渡る時の重さもない」的なことを冗談まじりに語る。
ノラは「私が今更あなたを捨ててヘソンと逃避行を?そんな……ありえないわよ笑」と、夫アーサーを安心させる言葉を言う。
翌日はノラ&アーサー夫婦とヘソンが三人で街で過ごす。
色々回って、ヘソンが韓国へと帰国する時が近づき、ノラの夫アーサーは妻を信じて帰宅。ノラはヘソンをタクシー乗り場まで送る。2人は見つめ合う。
ノラとヘソンは互いを24年前から現在まで想いあっている。だが2人の状況が互いを結び付けなかった。2人が24年ぶりに過ごしたこの2日も、2人は言葉をなくして何度か50秒くらい無言で見つめ合ったりした。今もしている。
……自分がノラの夫アーサーだったら、自分の妻が百回不倫SEXするよりも、この”本気の”見つめ合い数回の方がキツいと思う(だってお互いが本気だから)。
ノラは勿論、ノラに「いかにも韓国って感じの男らしい男」と評されたヘソンも、馬鹿じゃないので結婚しているノラの夫アーサーを無視して不倫などはしない。その代わり2人は互いが結ばれない今世を冗談交じりに嘆いて笑う。
タクシーが来て2人は24年前と同じ構図で、いつものように互いに何も干渉しないまま離れ離れになる。

自分がヘソン君の年齢の時……を思い起こすと、こんなやっても仕方ないことはしなかったなとは思うが一応気持ちはわかる。
「ヘソン、お前は24歳の時に全てを捨ててノラを追って渡米しとけ!それがダメなら二度と恋心を見せず只の幼馴染の友人に徹しとけ!」……と、言うことは簡単だ。自分はヘソンじゃないし自分のマインドをコントロールできるようになったヘソンより一回り年上のおじ(中年男性)だからね。だがヘソンに寄り添って考えるなら、どうしてもノラと物理的に逢って自分の気持ちをぶつけないことには前に進めなかったのだろう。そして二人共常識や思いやりがあるのでアーサーをないがしろには出来ないので不倫などはせず別れる(とはいえ、どっちか片方がグッ!と来たら、もう片方はそれを容易に受け入れてたとは思う)。
ノラは帰宅する。そしてアーサーに縋り付いて声を出して号泣する。
そこでノラの気持ちが観てる僕の中に入ってきて凄く釣られて泣きたい感情が湧いた。

主人公2人と同じ様に、24歳または36歳くらいだったらもっとグッ!……と来てた気がする。残念ながら今の僕は40代後半の初老なのでそこまで来ず「不倫するなら不倫、綺麗な思い出を残しておきたいなら最初から会うな!逢ったとしても30秒間見つめ合ったりすな!それってSEXより良くないから」としか思えなかったのが残念だ。だけどそんな事は言いたくない。劇中のヘソンやノラは真摯に互いの運命に向き合ってるからね。……とは言いつつ「ヘソンは36歳にもなってあまりに無邪気すぎないか?」とか「奪い取る気持ちもないんだから幸せに暮らしてるノラ夫婦に近づいてノラと数十秒間見つめ合うという視線FUCKすなよ、というか最初からNYに会いにくるな!こんな時間あるなら地元の自分の彼女と上手くいくよう動け」……と言いたい気持ちもあったけど、まぁ映画だしよしとしましょう。
だけど、24年ぶりに再会して照れるノラの仕草、そしてラストのノラの号泣。これはさしもの(さすがの)僕もグッ!と心臓を掴まれました。

ノラや監督同様の女性?または24歳か36歳くらいの似た想いをした人なら全編良かったかもしれない。僕は、加齢により、良かったのは映像と2つのシーン(24年ぶりに逢って照れるノラ、三度目の別離をして夫に縋って号泣するラストのノラ)だけでしたね。
もっと一回り又は二周り若い時に観たかったな、とは思ったけど客観的に考えるとなかなか良かった気もしました。

まだ未見のアカデミー賞ノミネート作品は、『関心領域』(2023)、『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(2023)、『マエストロ:その音楽と愛と』(2023)、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(2023)……残り4本なので全部見て順位を決めたい。残りの4本で一番観たいのは再来月公開の『関心領域』(2023)ね。

 

 

 

 

そんな感じでした
👩🏻🧔🏻‍♂️👨🏻👧🏻👦🏻👩🏻🧔🏻‍♂️👨🏻👧🏻👦🏻👩🏻🧔🏻‍♂️👨🏻👧🏻👦🏻👩🏻🧔🏻‍♂️👨🏻👧🏻👦🏻👩🏻🧔🏻‍♂️👨🏻👧🏻👦🏻👩🏻🧔🏻‍♂️👨🏻

Past Lives (2023) - IMDb
Past Lives | Rotten Tomatoes

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