
原題:28 Days later 監督:ダニー・ボイル 脚本:アレックス・ガーランド 製作:アンドリュー・マクドナルド 撮影:アンソニー・ドッド・マントル 編集:クリス・ギル 音楽:ジョン・マーフィ 製作国:イギリス 上映時間:114分 公開日:Nov 1, 2002(日本は2003年8月23日) シリーズ:『28◯後』シリーズ第1作目
“The end is extremely fucking nigh.” 『28日後...』(2002)本編の教会より
ダニー・ボイル監督&アレックス・ガーランド脚本のコンビによるイギリスのゾンビ映画シリーズ。
……正確には本作はゾンビではない、ウイルスによって生者が凶暴な感染者になっているだけなので、本作の感染者は撃ったり首が折れたり餓死でも普通に死ぬ。そういう事で実はゾンビ映画とはかなり違うのだが、ぱっと観た感じではゾンビ映画とあまり大差はない。
『28日後...』(2002)、『28週後...』(2007)に続く18年ぶりの続編、『28年後…』(2025)が公開中なので観に行こうと思ったが、この1作目と2作目の記憶が「トンネルや階段でゾンビが追いかけてきて怖かった」という数秒の記憶しかないので『28年後…』(2025)の前に観返すことにした。
なんとなく『28年後…』(2025)は、この1&2作を観なくても構わないような雰囲気だが、こんな機会でもないと『28日後...』(2002)と『28週後...』(2007)を見返す機会はないように思えたので観ることにした。
世間一般では監督のダニー・ボイルの方が大物だと思うが、僕としては物凄く好きな監督作がないダニー・ボイルよりも、近年監督としてもブレイクして、どの作中でもポスト・ヒューマン的なことを描いているアレックス・ガーランドの方のファンに最近なったので僕としては「ダニー・ボイル監督作」としてより「アレックス・ガーランド脚本映画」として楽しみにしていた感がある。
ダニー・ボイルの映画は、あのいちばん有名な『トレインスポッティング』(1996)を観てないし『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)も当時あまりハマらなかった事もあり本作『28日後...』(2002)以外で一番好きな監督作は2012年オリンピック開会式でジェームズ・ボンド(演:ダニエル・クレイグ)とエリザベス2世(演:本人)主演による短編映像『幸福と栄光を』(2012)くらいしかないのでアレックス・ガーランドほどピンときてない感じ。
でも、この開会式映像は何回も観たので、お蔵になったダニー・ボイルのジェームズ・ボンド映画が完成していたら面白かったかも?
アレックス・ガーランドとダニー・ボイルは、『28日後...』(2002)&『28年後…』(2025)で脚本を努めて2作目ではダニー・ボイルと共に製作総指揮を努めた。
そのせいか二人が監督も脚本もしていない『28週後...』(2007)は『28日後...』(2002)よりも大きく興行収入が落ちた($82,719,885→$64,238,440)。
長らく続編がなかったのはそのせいだろう。
ネタバレあり
☣️
ここから『28日後...』(2002)の感想ね
青年ジム(演:キリアン・マーフィ)は、交通事故で意識不明のまま入院して病室で目覚めた。
病院には誰もいない。ジムは外に出るがロンドンは誰もいないゴーストタウンになっていた。
その少し前、過激派の動物愛護団体が実験動物にされていた猿を救出しようとしたのが発端だった。猿は怒りで凶暴化するウイルスに罹っていてそれを調査する施設だったのだ、檻から出された猿が原因であっという間にロンドンはパンデミックによって壊滅……寝ていて何も知らないジムはそのロンドンを歩いていたのだ。
この、ジムが目覚めてロンドンを徘徊して教会で感染者に追われるまでの前半は、めっちゃくちゃ雰囲気あって良い。手持ちのDVカメラで撮影し、わざとザラついた映像にして「本当に起きている」感のある映像となっている。
カメラも要所要所で斜めの画角になったりで不安を誘うし、どのロケーションも全部ポストカードに出来そうなほど見事で芸術性が高い。
その中を青い患者衣を着て痩せたキリアン・マーフィーが困惑しながら徘徊する。
人探しや嘆きを書いた紙が多く貼られた広場で、両親が殺し合った子供が描いた絵が貼られており、回想がなくとも全て察知できるようになってるのも良いね。
というかさ、久々に観たら本作は全シーン、ポストカードにして壁に貼りたいくらい素晴らしい。キャラもストーリーも良いし。なんでこんな良い映画を当時は「まぁまぁだな」みたいな感じだったのか意味がわからなかった。「『28年後…』(2025)観る前に観とくか……」と思って観たわけだが数日前までそんなふうに軽んじてたしね。
本作は公開された当時はヒットしたが全面的には評価されていなかった気がする。
だがあらゆる要素が素晴らしい前半まで観ただけで名画に近い面白い映画だと思ったので「自分も含めて何で評価が高くなかったんだろう?」と不思議になった。
理由はいくつか考えられる。
1:当時はまだゾンビ映画自体少なかったので若手による新しいゾンビ映画の受け入れ体制が整ってなかった
2:若手が走るゾンビ映画を撮ったのでロメロ原理主義者が腐した
3:原因が曖昧だったロメロゾンビと違って「ウイルスの所為」だと断言したのが「神秘性がない」と思われてロメロ原理主義者が腐した……ような気がする、覚えてないけど(これは今となっては良い設定だと思えるのだが『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)で「フォースの源は〈ミディ・クロリアン〉の血中濃度に影響される」という設定が「神秘性が薄れた!」と古参ファンに叩かれたのと似ている。
実際のところはわからん全部、僕の推測だが「当時の老害が叩いてたせい」ってことにしとこう。そして自分も当時あまりピンときてなかったという事は、僕も上の世代に流されたアホだったのだろう。
感染者に襲われたジムは、生き残りの女性セリーナ(演:ナオミ・ハリス)と出会い実家に帰るが、両親は絶望して服毒自殺して眠りの中で現世に別離を告げていた。
ジムが両親の遺体にショックを受けたり、ママがお気に入りのレシピを作る様を記録したビデオを観るシーンなど、全体的に「実家……特にママへの想い」が溢れんばかりでエモーショナルだった。同じくイギリスのエドガー・ライトのゾンビ・コメディ映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)でもそうだったが、イギリス人はママや「実家の料理」に思い入れがあえうのが映画によく出てくるよね。昔よりも自分や周囲の人が死に近づいたためか「僕も母に何かしよう」と素直に思った。
ジムとセリーナは、マンションに隠れ住んでいたサバイバーである中年男性フランク(演:ブレンダン・グリーソン)と娘のハンナ(演:ミーガン・バーンズ)と知り合い行動をともにする。
このフランクの家に逃げ込む前、螺旋階段を登ってて疲れて休んでると、階下から感染者が駆け上がってくる音が聞こえる。声と足音と影だけ、ここは凄く怖い。本編忘れてたけどこのシーン(それと後で出てくるトンネルのシーン)だけは覚えてた。
一行は、ラジオ放送で自動アナウンスしている「軍によって護られた地」へと車で向かうことになる。
セリーナは「ここなら安全なんだからアパートに居ればいいじゃない!」と言うのだがフランクは感染者による危険を乗り越えてでも絶対に「その地」に行きたがる。まぁどちらの言うこともわかる。久々に安住の地を見つけたセリーナは「ここに居ればいいじゃん!」と言うが、まぁわかるよね。
だがフランクが、危険を犯してでも更に安全で素晴らしい場所へ行くべきだ、これは更にわかる。「いつまでも現状維持をしてればいい」それは「死人の考え」だからだ。ここに永遠に居たら自分は死に、娘にも子供ができない。別に結婚するしないは個人の自由だがフランクはとにかく変化や「未来」がほしいのだ。
で、さっき言いかけたトンネルのシーン。車が多く打ち捨てられたトンネルを通過しようとしてパンクしてしまう。それを修理してたら感染者達がトンネルの向こうから押し寄せてくる!直接姿は見えず、トンネルの壁に影だけうつる、ここも怖い。だから当時観て以降、さっきの階段とトンネルで姿のない感染者が押し寄せてくるシーンだけ数十年覚えてたわ。、キリアン・マーフィが主演だったとかは覚えてなかったからね。
フランクの車で出掛けた四人は、スーパーマーケットで好きな食べ物やウイスキーを持ち帰ったり、自由に走り回る馬の親子を見ながらピクニックする。
束の間の楽しい時間をエンジョイする四人。
しかし楽しい時間は、楽しいだけで終わりはしない、いつだってまたぞろ、良くないことがあるのよ。
ふとしたことから感染してしまうフランク。そんな感染者フランクを射殺する軍。
ジム、セリーナ、ハンナは保護される。しかし少し嫌な感じを醸し出す軍人たち。
結論から言うと、彼らも何かやり甲斐がないと自殺する隊員とかいたってことで隊員には「未来」がほしい。だから「女を妊娠させたい」という事になる。ジムは勿論それに反対するがボコって感染者が多い屋外に放逐される。
女性二人はドレスを着せられ乱暴されそうになる。セリーナだけでなく10歳?くらいのハンナ、しかも父が死んだ同じ日に少女を犯そうとか、かなりヤバい……同時に今のこのNOWの瞬間にも「紛争地域でこういったことが起きてるんだろうな」そう思うと、こういうシーンなど昔より、もう観るのが非常に辛い。
当時観てるから「主人公ジムが二人を助ける」ということを既に知ってるのだが、そんなこと以前にさっきの食事シーンで「今から若い女性と子供を犯しまくるぜ」と思ってる兵士がニヤニヤしてるシーンがきついよね。なんなら実際に犯行に及ぶシーンがあったとしても、そのニヤニヤしてるシーンの方がキツいかもしれない。そしてこういうことって日本においても絵空事じゃないからね。日本だって再び災害があったり紛争が起きたりとかしてもおかしくないからね。そんな時にあなたの彼女や妻、お母さんや子供などを護れますか?って話になってくるよね。
そんで端折りますけどジムは「感染したけど軍が面白半分で生かしていた感染した黒人兵士」を解き放つ。瞬く間に軍人たちに噛みついて感染させる黒人感染者。スカッとする展開。
少女ハンナがいる部屋にも感染者がやってくる。ハンナは大きな鏡の裏側にぶらさがってやり過ごす。
このシーン。生きを押し殺してる汗だくの少女ハンナが煽りで撮られており画面の四分の一くらいが彼女の二の腕ドアップになり「はぁ……はぁ……」とビビって息を荒げている。そしてこのシーンが妙に長い。僕はロリコンではないが艶めかしかった。
そしてこういったシーンは、ダニー・ボイルじゃなくてアレックス・ガーランドのテイストだろうなと直感で思った。
というのも、このシーンの少女が『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024)での、恐ろしい「赤い眼鏡の男」に対して腰を抜かして「はわわ……」とビビり散らかしていた主演ケイリー・スピーニーに似ていたからだ。件のケイリー・スピーニーも艶めかしい雰囲気があった。しかしそれは「パワーを持った男に、女性が脅かされている」といった強姦的な視点ではなく(男である以上そういった感性は俺にもあるのだろうが)、そういったエッチな感覚でガーランドは書いたのではなく、生死がギリギリの状態で汗だくで必死に生にしがみつく女性……「生」は「性」にも繋がる。そういった意味で原初的なエロスをガーランドのヒロインに感じるのかもなと思った。
とかいうか他のガーランド作品……『エクス・マキナ』(2015)の女性アンドロイド、『アナイアレイション -全滅領域-』(2018)のナタリー・ポートマン、『MEN 同じ顔の男たち』(2022)の主人公、『DEVS/デヴス』(2020)のソノヤ・ミズノ、『ジャッジ・ドレッド』(2012)の新人ジャッジのカサンドラ……皆少しづつ真面目そうな雰囲気が皆、似ている(と俺はそう思う)。
ルックスは作品ごとに違うが小柄で意思の強そうな、髪が直毛でひっつめがちな女性たち。それでいて洗いたてのTシャツやジーンズ着てそうな感じ。最初は「ガーランドの好みの女性のタイプ?」と思ったが実はガーランドのアニマなのかもしれないと思った。そして僕もガーランドのヒロインは皆好きだ。
話を戻して端折るけど主人公ジムは迫害されていた黒人感染者を活用して軍を全滅させ(黒人感染者が卑劣な白人軍人たちに復讐するのも爽快)、セリーナとハンナを救出し平和が保たれた山へと逃げる。そして救いの航空機が来て……といった感じで、本編で辛いことが多かったことの反動かのようなハッピーエンド。
悲壮だったし後半辛い展開だったので素直に嬉しかった。
キリアン・マーフィーが卑劣な軍人を殺す時に、目に親指を突っ込んで殺す。その際に彼の身体がブルース・リーのような筋張った筋肉の隆起を見せる。ここも「都会のもやしっこ青年が非常下で野生の野蛮さを取り戻し、しかし軍人たちのような利己的なものではなく正義を行った」ということで爽快感ある残酷シーンだった。
セリーナはジムがあまりに凶暴なので殺そうとするがジムが正気なのを見てやめる。
そして「あいつらの仲間かと思った」と言う。これは「よかった感染してなかったのね」という意味だと思うがメタ的には「レイプしようとしてくる男どもとあんたは違うのね」という意味がかぶさっている。
本作に限ったことではないがホラー映画では……そしてゾンビ映画のゾンビは死のメタファーなわけだよね。だから「こいつ死ぬ」という方向に動き出したらもはや誰も死の機械をとめる事はできない。
ロメロ映画のゾンビはノロノロ歩く、しかし「カメラの死角」から突然飛び出してきて噛みつく。だからはっきり言って「走るゾンビ云々」以前に、走ろうが歩こうが人間キャラは死ぬ時は死ぬわけで「ゾンビに噛まれる=死に追いつかれた」ということなので防ぎようがない。我々に寿命が来て死ぬのを防ぐことはできないようなもんだ。
そんな感じで『28日後...』(2002)は思いのほか面白かった。名作と言ってもいい。
そう思ってなかった若いとき以降久々に観たのでそれに築けた。
そういう機会を得れてよかったな、と心の底から僕は思った。
『28週後...』(2007)
原題:28 Weeks later 製作総指揮:ダニー・ボイル、アレックス・ガーランド 監督&脚本:ファン・カルロス・フレスナディージョ 脚本:ローワン・ジョフィ、ヘスス・オルモ、E・L・ラビニュ 製作:アンドリュー・マクドナルドほか 撮影:エンリケ・シャディアック 編集:クリス・ギル 音楽:ジョン・マーフィ 製作国:イギリス 上映時間:104分 公開日:May 11, 2007(日本は2008年1月19日) シリーズ:『28◯後』シリーズ第2作目
肝心のダニー・ボイル&アレックス・ガーランドのコンビは制作総指揮に回ってしまい作風も代わり前作のキャラも出てこないので別物感が強い。だもんで前作でのカッコいい映像もなく普通のホラー的な映像になっている。でも本作は「パンデミックが収まって日常に戻った」というところから始まるので別にそれは良い。
前作でのレイジ・ウイルスによるパンデミックの最中、ドン(演:ロバート・カーライル)と妻アリス(演:キャサリン・マコーマック)は他の者たちと隠れ住んでいたが感染者達に襲撃され、ドンは逃げ遅れたアリスを置いて逃げてしまう。前作の英雄的主人公ジムの正反対をやりますという本作の宣言だろうか。
5週後、感染者たちは飢餓で絶滅。そして28週後、復興が進み、避難区域の管理職に就いたドンは修学旅行先で避難していた長女タミー(演:イモージェン・プーツ)長男アンディ(演:マッキントッシュ・マグルトン)と再会。
姉弟は父に内緒で、母の写真や私物を取りに禁止区域である実家に赴き、そこで隠れ住んでいた母アリスを発見、軍に保護される。
どうやらアリスはレイジ・ウイルスに「感染しても発症しない」という今の我々からすればコロナを想起せざるをえない特殊なレイジへの免疫を持った体質だった。
妻を見捨てた罪悪感に苛まされていたドンは(あと子供にも「母さんが死ぬとこ見た」と嘘をついていた)病室に忍び込み、アリスに謝罪して妻も色々思うところはあっただろうが「まぁ、まぁええわ」と了解したので二人はキス……、しかしこれが原因でドンはレイジ・ウイルスに感染してしまう。
……という感じで一旦はウイルス封じ込めに成功しかけていたのだが、悪気はなかったとはいえ、この一家四人全員の行動が元で再パンデミック開始。それが、このパンデミック28週後の出来事。
前作では主人公ジムが事態を好転させハッピーエンドへと導いた「勇気」「愛」などが原因となって人類滅亡……という「捻りを効かせた続編」が本作。だがそれが色々と上手くいっていない。
さっきの感染者ドンがベッドに寝た妻アリスを殺そうとする場面。ああ、ここでアリスの免疫を研究してたスカーレット少佐(演:ローズ・バーン)がドンを射殺して母と姉弟と逃げる展開かな?と思ったら誰も来ずドンが普通にアリスを殺してしまうので意外だった。
しかも両目に親指突っ込んで殺す……という前作で我らが主人公ジムが憎い軍人を殺したジムの必殺技じゃん。
前作のジムは卑劣な軍人を倒すのにそれを使ったわけだが、ドンは妻を見殺しにして逃げて子供達に嘘を言ってた人ですよね、まぁこれは非常自体の中なので仕方なかったと言えなくもない、そしてそんなアリスは実家で半年間精神をすり減らして過ごし、やっと子供達に再会できたと思ったら、自分を見殺しにした夫が謝罪するからとりあえず許して一旦キスしたらドンは唾液で感染してアリスは惨殺されてしまう……という何乗にも可哀想な状態。夫ドンは妻を見殺しにした上に感染者になって自分が見捨てた妻を殺す。前作のヒーロー主人公ジムが悪い軍人を殺した目潰しキルをする、なんでこんなシーンにしたのかイマイチ意図がわからなかった。
何か前作に捻りを加えて「前作で、事態を好転させた英雄的行動が、本作では全て悪い結果に繋がる」という皮肉なテイストにしたかった事だけはわかるのだが、色々と上手くいっていない。
観てる側からしたら「え、なんで目潰し?可哀想やん」と思ってしまい困惑。
移住のため集まった市民たちにあっという間にパンデミックが広がり、収拾不可能と踏んだイギリス軍はコード・レッドを発令させ、感染者も市民も見境なく全滅させることになる。
感染者を撃っていたドイル軍曹(演:ジェレミー・レナー)だったが逃げるアンディ少年を見て見捨てられなくなり命令を無視してスカーレット少佐と共にアンディやタミーを保護して感染者たちやコード・レッドから逃げる。
無慈悲な軍の中でも二人の軍人は「子供達を護る」という正義感で動いており本作の光明となっている。
つまりドイル軍曹とスカーレット少佐は、前作におけるジムとセリーナの役割(ただし主人公補正のないジム&セリーナなのでどうなるかはわかるね?)。
ホークアイもといドイル軍曹は最初から最後までヒーロー的な活躍をする。
その一方で姉弟を護って脱出寸前だったスカーレット少佐は追ってきた父ドンに殺される。ドンはスカーレットのライフルを奪いグリップの底で顔面を何度も殴打する。しかもドン視点でスカーレットの美しい顔が生気を失う様を見せられる。ここもまたドンの妻殺しと似てて「責められる点が多い中年男性キャラが英雄的行いをしていた若い女性を残酷な方法で殺す」というところを見せられるのでシンプルに嫌な気持ちになる。
ドンは怒りで我を忘れた感染者なので噛みつくのならわかるのだが、目潰しで妻を殺したのに続いて「感染者なのに武器を奪って、それを使って殺す」という「意志」「工夫」を感じる殺し方。こうなると「ドンは元々、女が嫌いなのか?」と思えてくる。
日本語版Wikipediaを見ると「ドンは妻への罪悪感が感染で反転して惨殺した」「子供を護りたい気持ちが反転して子供達を殺そうと執拗に追跡した」などと書かれてて、それならスカーレットにも「子供を護ってくれてありがとさん」という気持ちが反転して惨殺したのだろうか?それなら納得だが、そんな設定は劇中では語られていないのでやはり納得できない(というかこの日本語版Wikipediaでしか知らない情報だし、映画なのでこれで承諾するわけにはいかない)。
最終的には長男を噛んでたドンを長女が射殺する。「女を殺しまくった男を最後に女性主人公が倒す」……ということで『デス・プルーフ in グラインドハウス』(2007)のように「”有害な男性性”を持った男へ女が復讐する」がしたかったのかもしれないが、ドンは妻への罪悪感を抱えていたし現在はレイジ・ウイルスに感染してるしで完全な悪人でもないし、ドンをどう思っていいのかよくわからない。「善とか悪とかそういうものではない」とも言えるが、そういうのは普通の映画で行われるべきことであって、ドンが「感染」してるのでどう観ていいのかよくわからない。
ドンは感染しながらもたまに以前のことを思い出したりしてるので完全に我を忘れたわけではなさそう。そういう事で余計に「深層心理で女が嫌いなんだろうか」と思えてしまうしトータルしてドンをどう見せたいのかという演出意図がよくわからない。
しかもドンに無惨に殺された女性スカーレットと、最後まで英雄を全うして英雄的に死んだドイル軍曹に比べると何が言いたいんだろう?と思えてしまった。
アリスと長男が「レイジ・ウイルスへの免疫を持っている」という設定は、「実は感染者だったアリスが基地に運ばれたことでアウトブレイクになる」という前半のポイント、そして母と同様にウイルスへの免疫を持っていたアンディがウイルスをパリに持ち込んでしまうという皮肉な展開・二段活用がやりたかったのだろう。
そしてアンディはイギリス軍による市民やドイル軍曹への無慈悲さを見てきたため姉弟は免疫を持ってることを軍に言わなかったのだろう。だから人類の愚かさによって避けられた人類滅亡へとドゥームズデイ・クロックを進めてしまったという皮肉なオチなのかな。
……という事は今思ったがそこをもっとしっかり描いてほしかった気がする。
最後数秒「パリで感染者が走り回ってる」映像で終わるのが「アンディが持ち込んだウイルスで破局が訪れた」というオチがすぐにはわからなかった。
本作で一番人気だったのはドイル軍曹の同僚がヘリのプロペラで感染者たちを皆殺しにする場面で僕もここだけ覚えてた。だが、このアクションの時の同僚はまだ子供たちを助ける事を反対してた時なので爽快感が少ない、せめてヘリを見つけたドイルやスカーレットにこれやらせればよかったのに。だが彼らがヘリに乗ってたんならそのまま子供乗せて飛べばいいって事になるから、やはり同僚にやらせる必要があったんか。
そういう感じでヒットした前作での正義の行いを反転させたり「善意やハッピーエンドが良くない結果につながる」といった皮肉な味付けの作品にしたかったのだろうが、どれも半歩ズレて惜しい結果となった。
一旦は収まっていたパンデミックも「感染はしたが発症しない」という主人公達の母によって再度アウトブレイクが起こる……というのもコロナ禍を経た今の我々には響くものがある設定だし色々惜しい。
最後までハラハラして見守るだけの面白さはあるのだが名作だった前作には遠く及ばず「最後まで面白く観れはしたが何か全体的に胸糞悪いな」という良くない気持ちだけ残った。
監督が違うので前作『28日後...』(2002)のようなカッコいい映像もないしアレックス・ガーランドのようなポスト・ヒューマン的な哲学性もない。
興行収入も評価も前作『28日後...』(2002)から落ちたせいかロシアを舞台にした三作目『28月後……』は作られなかった。
現在公開中の『28年後…』(2025)は、まだ観に行く前日なので内容は知らんが、三部作だそうなので本作の主人公姉弟も成長した姿で出て、上手く活かしきれなかった感のある「レイジ・ウイルスの免疫」設定を今度こそ活用して欲しい。三作あるならどこかには出てくるんじゃないか?
『28日後...』(2002)の生き残り三人、『28週後...』(2007)の姉弟、これだけしか過去キャラいないし多分全員出るだろ。
そんな感じでした
〈他のダニー・ボイル監督作〉
『スティーブ・ジョブズ』(2015)/本当は凄く面白いっぽいが終盤難しくてそれを感じる前に上滑りしていった俺の気持ち - gock221B
〈他のアレックス・ガーランド監督作〉
『エクス・マキナ』(2015)/面白いSF映画だけどソノヤ・ミズノ演じるキョウコが完全に主役を食ってた👩 - gock221B
『アナイアレイション -全滅領域-』(2018)/『アンダー・ザ・スキン種の捕食』っぽい。熊のシーンが秀逸🐻 - gock221B
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024)/SNSが嫌いでやっていないというガーランド監督の溜まったポストをまとめて放出したかのような映画。良かったです🗽 - gock221B
『MEN 同じ顔の男たち』(2022)/面白かったけどホラーを期待してたがSF純文学みたいな感じだったので少し肩透かし。二回目みた方が面白いだろう👩🏻 - gock221B
『DEVS/デヴス』(2020) 全8話/面白いがラスボスの結末それでいいのか感。決定論と多世界解釈とシュミレーション仮説いっぺんに扱い盛りだくさん🧒🏻 - gock221B
28 Days Later (2002) - IMDb
28 Days Later | Rotten Tomatoes
28 Days Later (2002) directed by Danny Boyle • Reviews, film + cast • Letterboxd
28日後... - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画
28 Weeks Later (2007) - IMDb
28 Weeks Later | Rotten Tomatoes
28 Weeks Later (2007) directed by Juan Carlos Fresnadillo • Reviews, film + cast • Letterboxd
28週後... - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

