gock221B

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『ファイティング・ファミリー』(2019)/わかりやすくしようとしすぎたがWWEの光と影をピュー氏の演技力一発で明るく描いてて良いです👩🏻

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原題:Fighting with My Family 製作国;アメリカ 上映時間:108分
監督&脚本&製作:スティーヴン・マーチャント

 

 

 

これはデビュー以来好きなフローレンス・ピュー主演、しかもプロレスの話、しかもWWEの実話って事で楽しみにしていた。
コロナで大打撃を受けてるエンタメ業界だが、WWEは期間限定で過去数十年間の放送を無料で配信したり、無観客試合を逆手に取って映画みたいな試合「シネマティック・マッチ」(深夜の墓場で闘って敵を墓穴に落としてショベルカーで土かけて埋めたり)したり「WWE本社ビルの一階から屋上へと闘いながら登ってって最後に生き残ってアタッシュケースを取った者が勝ち」というキン肉マンファミコンゲームみたいな試合を組んだりしてる。WWEはアフターコロナを生き残れそうだね、トランプとも繋がりあってアメリカ政府とも仲いいし……。
主演のフローレンス・ピューはデビューして僅か数年なのに『呪われた死霊館』『ミッドサマー』など話題作に多く出て『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』でアカデミー賞ノミネートされ、最速でスターへの階段を登っている。今月公開されるはずだったMCU『ブラック・ウィドウ』でいよいよ大作エンタメも抑えてスカヨハレベルの完全体のスター女優になると思われたがコロナでブラック・ウィドウは延期中。まぁ別に彼女だけストップしてるんじゃなくて世界のすべてが一時停止しているので問題はない。高い演技力と顔芸それにチンチクリンのボディが魅力的。
本作は、WWEで活躍したイギリス出身の女性スーパースター・ペイジのデビューまでを家族との絆とともに描いた伝記映画。
ペイジが活躍してた時(2012~2018年)は全然WWE観てなかったので彼女の試合は全く観てないし彼女の事もよく知らんかった。だけどネット記事とかで「何だか今までのWWEには居なかった黒い格好で肌が白いスリムな女子レスラーが人気みたいだなぁ」と存在だけ知ってた。そんでそれまでのWWEの女子レスラーは〈DIVA〉という呼び名で、彼女たちの殆どはセクシーなお色気要員だったり男子レスラーと色恋沙汰を繰り広げるマネージャーだったりと、所謂、男子レスラーの添え物に過ぎなかった。このペイジが人気出たあたりから「DIVA」という呼称はなくなり男子レスラー同様に〈スーパースター〉と呼ばれるようになった、という情報だけは観てなくても知ってた。ただほんの10年前の近過去なのにも関わらず女子レスラーの地位は非常に低く、まともなストーリーまともな試合は番組でやらせてもらえてなかった(と言っても過去のセクシーなDIVA達がプロレス全然出来なかったわけじゃなくて番組収録じゃない興行では普通に試合してた)。
ネタバレあり。

 

 


イギリス人の主人公、後のWWEスーパースターとなる〈ペイジ〉本名サラヤ・ナイト(フローレンス・ピュー)は、両親と二人の兄、全員プロレスラーというプロレス一家に生まれた。父は元強盗、母も元ジャンキーだったがプロレスを通して更生して元気になった。彼ら一家は地元の体育館で小規模なプロレス興行を行ったり、プロレス教室で近所の若者たちにプロレスを教えたりして生計を立てており貧しいながら幸せに暮らしていた。
長男は服役中だが、サラヤは次男と組んで地元を盛り上げていた。
ちなみに父親役はニック・フロスト、サイモン・ペグの相棒の歯茎の長い大柄と言った方が早いか。最近はこういった気の良い大柄おじさん役を多くしている。母親役は『ゲーム・オブ・スローンズ』サーセイ役でお馴染みのレナ・ヘディ
ある日、サラヤと兄は憧れのWWEのトライアウトに参加。合格したのはサラヤだけ。
以降、サラヤの苦難のトレーニングの日々と、地元で兄がいじけていく様子を描く。
サラヤは子供の時に観てた人気ドラマ『チャームド 魔女三姉妹』の主人公の名前から取って「ペイジ」を名乗り始め、NXT(WWEのスター候補を育てる二軍的な団体)に入団して特訓の日々。ペイジはプロレスは得意だったものの自分のキャラを押し出したりマイクパフォーマンスが苦手だった(WWEの番組で、ストーリーを紡いでいくためのマイクパフォーマンスはプロレス技術と同じかそれ以上に重要)。また、ゴスっぽい黒尽くめの格好を野次られたら半泣きになって固まってしまうほどメンタルが弱い。
どうやら「私はゴスっ娘キャラで行くぞ」と、黒い服やメタルが好きそうな格好してたんじゃなく、単純に自分の趣味だったのね。それを野次られて半泣き。シクシクでワロタ。
他の女子選手は、黒尽くめのペイジとは違い金髪に日焼けしたセクシーボディ。当時DIVAと言えば全員このスタイルだったからね。
NXTで上手くいかないペイジは、自分の個性である黒髪&黒づくめ&青白い肌を止めて金髪&日焼けボディという有象無象と同じスタイルにしてしまう。ひと目で「自分を見失った」事がわかる、わかりやすい迷走。
同時期、妹は入団できたのに自分は落とされた兄も、本心では妹を応援したいのだが、やはり自分が惨めで、イギリスの田舎で徐々にやさぐれていく。
そんな迷走中だったペイジと兄は、ペイジ里帰りの際に衝突。何やかんやあって仲直り。立ち直った兄は「名プロレスラーを育てる事のできるプロレスラー」という自分の資質を受け入れてプロレス教室を再開。そしてペイジはWWEの一軍の番組「RAW」で華々しいデビューを迎える。その生放送をイギリスの田舎で観て大喜びするナイト一家やプロレス教室の仲間たち。そして今までは家族や世間の風潮に流されてただけで自分というものが無かったペイジだったが遂に「社会に居場所がない黒づくめで日焼けもしてない変わり者のプロレスラー」という自分だけのキャラクターをつかみ取り、苦手だったマイクパフォーマンスで喝采を浴びスーパースターになる……というハッピーエンド。
最後は、WWE製作だけあって本物の観衆や会場、タイタントロンの前でフローレンス・ピューがズンズンと入場してくるのは不思議な感じだ。
ちなみにペイジは今現在まだ28歳。本作のラスト(2014年)にWWEデビューして2018年に首を負傷し、レスラーとしては随分早い引退を迎えた。現在はGM(「番組の責任者」という役割のタレント)として活躍中、僕が好きな日本人女子選手のカイリさんがRAWでデビューしてASUKAとカブキウォーリアーズ結成した時に一瞬だけマネージャーしてたね。

 

 

この映画は「女子プロレスラー・ペイジと彼女の家族との愛」「WWEという団体の素晴らしさと厳しさ」といったものが同時に描かれる。そういえば今後は映画産業にも打って出たいらしいWWEが出資してるからね。
そして「プロレスとは」「WWEとは」といった事を異常にわかりやすく描いている。
観始めて気づいたが、この映画のターゲットは多分、WWEを観てる子どもたちなんだろうなと思った。観てもらえばわかるが物事や人物を凄く単純化して描いている。
「ペイジは確かに大人気だったらしいが、WWEレスラー伝記映画を作るにしても何でこんな若い女性をチョイスしたんだろ」と思ってたけど、そういったWWE入門として描いたり、今的な内容を描くのにうってつけだったんだなと思った。
サラヤをトライアウトで採用したのはヴィンス・ヴォーン演じるトレーナーのオッサン。彼は彼女の才能に目をつけ、その後もずっと厳しく時には優しく見守る。というか彼はもうひとりの主役と言ってもいいほど重要な裏方キャラとして出ている。ペイジがデビューするまでに世話になったバックステージの実在した人たち、そして大勢のジョバー(自分は輝けないがスターを輝かせる職人レスラー)を合体させてWWEのバックステージを擬人化させたかのような、そんなオッサンとなっていた。このオッサンの演技がすごく良い。彼はペイジの兄をWWEに入団させない「彼にはスターになるに必要な『何か』がない。その何かとは何だ?と訊かれても説明できない。とにかく彼にはない。彼は絶対にスターになれず潰れて惨めな人生を過ごす。だから絶対に入団させない」彼は、ほぼWWEの運命の神みたいなキャラなので彼が言うからにはそうなのだろう。
そしてペイジはトライアウトで、元WWEスーパースター「ロック様」ことドウェイン・ジョンソン(ドウェインが自分自身を演じている)とも出会った。出会った時のロック様はトライアウトに受かる秘訣を訊かれ、全盛期のマシンガンのような罵倒をペイジに浴びせかける。呆気にとられるペイジにロック様は笑いかけ「これがプロレス、これがWWEだ」と言う。誰でも一瞬でプロレスが理解できる良いシーンだ。彼は、この場面だけでなく「彼女を突然RAWに昇格させる偉い人」としても出てくる。だが幾らロック様と言えどこんな役割はしてないだろう。この「本作におけるロック様」は実在の人物ではあるが、ハンター夫妻やビンスやWWE幹部などの権力を持ったWWEの人たちを一体の人物に擬人化した存在なのだろう。裏方のオッサン同様WWEの神、WWEの妖精みたいなキャラ。
そして「ロック様と裏方のオッサン」は「スター性のあるペイジとスターを作り出せる才能はあるが自分はスターになれないペイジの兄」という対比にもなっている。
WWEのあまりに多くの色んな要素を、ペイジと兄、ロックと裏方おじ、二組の対比にして描くのは、あまりにも物事を単純化されすぎてるせいで終わりの方では「良い話だけど、何だか奇跡体験アンビリーバボーとかバラエティ番組の再現VTR見てるみたいだなぁ……」と思ってしまった。キッズムービーに思えたのはそのせいかも。
だけど本作の色んな要素は凄く気を遣って描いており特に欠点はなかったよ。
たとえば挫折するまでのペイジは「今のWWEで持て囃されるのは、自分みたいなプロレス巧者じゃなく、グラドルみたいなチャラチャラしたエロい女ばかり」と見下していた。だがセクシーな彼女たちも悪役として描くのではなく、彼女たちがそんな格好してるのはチャラチャラしたいだけじゃなくて社会の風潮や当時のWWEや客層に適応しようとした結果だと暗に示してたのが良かった。彼女たちはペイジに「貴女、私達を見下して私達のこと知ろうともしなかったでしょ?」と言う。そしてペイジとセクシーな彼女たちは和解してお互い得意な事を教え合う……。
ペイジが活躍してた時、観てないのでペイジのおかげかどうかは知らないけど、ペイジが活躍した辺りから女子レスラーの地位が男子並に向上した。その辺や引退とかも描かれるのかなと思ってたがデビューまでだったね。
そんな感じで特に欠点のない良い映画ではあったんだけどさっきも言ったように凄くわかりやすくしようとし過ぎたために映画的な深みとかは全くないんですよね。
今回もまたフローレンス・ピューの演技は本当に良かったね。演技のこと何も知らんので演技についてどう書いていいのかわかんないけど、彼女が傷ついた場面とかだと、昔の少女漫画で目が真っ白になってバリーンとガラスの割れる音がしたりするじゃん、そんな演技。何だかもう彼女の表情だけがこの世の全てみたいな感じになる。顔芸ってほど顔をクシャクシャにするわけじゃないのに何でそんな事になるのか女優って不思議だ。そして何度も言うようだが、特別に背が低いわけでも太ってるわけでも顔がでかいわけでもないのに絶妙にチンチクリンに見えるのが不思議だ。手が短いからか?よくわからないが金払ってでもずっと見ていたくなる、奇妙な魅力のある今一番好きな女優だわ。今後のピュー氏も楽しみ。

 

 

 

 

そんな感じでした

👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻

Fighting with My Family (2019) - IMDb

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