gock221B

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『X エックス』 (2022)/公開時に観てピンと来なかったのだが傑作だった続編『Pearl パール』(2022)観たら思うところあったのでもっかい観て感想書き直した❌


原題:X 監督&脚本&編集&制作:タイ・ウェスト 音楽:タイラー・ベイツチェルシー・ウルフ 製作会社:A24 製作国:アメリカ 上映時間:105分 シリーズ:『X』トリロジー第1作目

 

 

これ去年観に行って「映像はカッコいいしホラーへのオマージュも多いので出来ることなら褒めたいが……ごく普通のスラッシャーホラー的な展開をそのままやり過ぎてるせいで、結果なにが言いたいのかわからない」という曖昧な感想だった。
監督のタイ・ウェストは、昔『キャビン・フィーバー2』(2009)とか『サクラメント 死の楽園』(2013)とか他にもホラーのオムニバスで短編をいくつか観てたが、どれも本作を観た時のように「映像はカッコいいしホラーへのオマージュも多いが……結局なにが言いたいのかイマイチわからない」という曖昧な感想だった。
今年に本作の続編の『Pearl パール』(2022)が凄い傑作だったし、何が描きたかったか曖昧だったまま終わった本作と違って「主人公パールの内面を描きたい!」と狙いがわかりやすかったので「この監督は、登場人物の感情とかを描きたいんだなとわかってきた。とにかく一作だけで突然タイ・ウェストがお気に入りの監督になった。
で、『インキーパーズ』(2011)って過去作を少し前に観てみたら凄く良かったんですよ。だけどこの映画も「タイ・ウェストのことがだんだんわかってきたぞ」という精神状態で観たからこそ良さに気づけたという確信があったんですよね。実際ネットでこの映画を検索したら酷評ばっかなんですよね。だけど、それもわかるっていうか僕も『Pearl パール』(2022)観て「あぁ、なるほど!」とやっと監督の感じがわかって観たから楽しめた可能性が高い。そうでなきゃネットでよく見る感想みたいに「何だこれ?怖くもないしつまんないし駄作だな」とか言ってた可能性大。……いや、最初から気に入った可能性もあるが監督のことを念頭に置かず観た経験はもう出来ないのでそれはわかんないけど(というか監督も出演俳優もタイトルも知らないコレをいきなり観てた可能性が限りなく低いので『Pearl パール』(2022)観てなきゃ『インキーパーズ』(2011)なんて一生観てない可能性が高いが)。
昔はパッとしない印象だった『サクラメント 死の楽園』(2013)とかも観返したいし、まだ未見の『The House of the Devil』(2009)、『バレー・オブ・バイオレンス』(2016)とかホラーのオムニバスなども、そのうち観たい。
主演のミア・ゴスはデビュー作がラース・フォン・トリアー『ニンフォマニアック Vol.2』(2013)から始まって出演作が変な映画もしくはホラー映画……ばかりを選んで好んで出演し、一番気が狂ってた時期のシャイア・ラブーフと付き合って結婚して2年で別れたりと「変わり者の素敵な若い女優」という印象。自分が10~20代の時に大好きだっただろうし今も好きなタイプ。この『X』シリーズでいよいよブレイクした感ある。それと彼女が脚本や製作にも参加しだした二作目の『Pearl パール』(2022)で倍面白くなったからクリエイター的な才能もあるのかも。
本作を観に行って感想を2022年7月くらいに書いてたんだが、ちょっと見え方が変わったので書き直した。
2022年7月くらいに書いた感想は最初に言ったように「映像はカッコいいしホラーへのオマージュも多いので出来ることなら褒めたいが……ごく普通のスラッシャーホラー的な展開をそのままやり過ぎてるせいで、結果なにが言いたいのかわからない」という感じだったが『Pearl パール』(2022)や他の作品も観て、見え方が少し変わった……といって飛躍的なまでに「自分がバカだった!凄い傑作だった」というほど変わったわけでもないのだが少しだけ変わった感想を書き直すことにした。

ネタバレあり

 

 

 

 

1979年6人の若者テキサスに向かう。
自分はX Factor(特別)」だと信じる女優志望のストリッパー、マキシーン(ミア・ゴス)と彼氏の一発当てたいプロデューサーのウェイン(演:マーティン・ヘンダーソン)。
ブロンドの女優志望ボビー=リン(演:ブリタニー・スノウ)と、男優として参加した屈強なベトナム帰還兵の黒人青年ジャクソン(演:スコット・メスカディ)。二人ともポリアモリー(複数のパートナーと親密な関係を築く恋愛スタイル)主義者。
ゴダール好きの自主映画監督のRJ(演:オーウェン・キャンベル)と、録音担当の真面目な女性ロレイン(ジェナ・オルテガ)。
……という3組のカップル。
6人は自主映画『農場の娘たち』を撮影して一発当てるためテキサスの農場に来た。
農場に向かう途中の道路では、トラックに撥ねられて内臓ぶちまけた牛の死体が落ちてて後の展開を匂わせる。

到着した6人は、偏屈な老人ハワード(演:スティーブン・ユーア)と妻のパール(演:?)の老夫婦が営む農場の納屋を、撮影場所&宿泊場所として提供してもらった。
6人は早速、自主映画の撮影を始める。
映画オタクの監督はアート系の映画を撮ってる……つもりらしいが彼らが撮ってる『農場の娘たち』の内容は、ストーリー適当で完全に本番SEXしまくる殆ど……というか完全にポルノ映画
作中の『農場の娘たち(The Farmer's Daughters)』(1976)という映画は実際にある殆どポルノ映画みたいな内容のエクスプロイテーション映画らしい(というかimdbで検索したら”The Farmer's Daughters”というタイトルの古い映画がめっちゃあってビックリした)。 
納屋でSEXを撮影したり半裸でウロウロしたりと若さを撒き散らす6人。それを煙たそうに眺める老夫婦、特に老婆パール。実は彼らは史上最高齢の殺人老夫婦だった。

 

 

主人公マキシーンは「自分は特別(X FACTOR)」だと信じて「自分の生きたいようにできない人生など真っ平」だと思っている。
ある日、老夫婦の屋内に入ったマキシーンはパールと邂逅した事があり、パールは「ダンサーになりたかった若く美しかった自分の写真」を見せる。
老女パールは、虫がピンで壁に留められてるかのように生まれた時からずっとこの田舎の農場に住んだまま年老いてしまったが本当はマキシーン同様に「私は叶わなかったが、本当は自分の思い通りに生きたかった」と昔も今も思い続けていた。ただ、時代や無知や様々な事情で仕方なくここに住んでいるだけ。
老女パールはマキシーンが持つ「特別(X FACTOR)」なものに憧れを抱く。
それは若さゆえの美貌や健康、それ以上に「やろうと思えば大抵のことは何でも出来る」という「可能性」への憧れだろう。
マキシーンは、自分に絡みつくかのようなパールの執着を不気味に思う。
若者が泊まりに来て刺激されたのか、マキシーンは化粧をして夫ハワードに迫る。しかしハワードは「いや儂はもう歳だし、心臓が止まるから無理だよ。すまない。愛しているよ……」と断り寂しそうな表情を見せるパール。
6人の若者の映画撮影。マキシーンやボビーが屈強な黒人青年ジャクソンと絡むのを見て刺激されたのか、真面目なロレインは「自分もやってみたい」と言い、急遽参加する。
恋人であるRJ監督はやりきれない思いで夜、屋外に出ると、欲求不満が溜まったパールが迫ってきた。当然RJは突っぱねるのだが、ここで限界に達したパールがRJを刺殺!
ここから若者達への連続殺人が始まる。
殺される順番は忘れたけど、プロデューサーは牛舎で殺され。金髪ボビーはパールによって池に突き落とされワニの餌食に(故トビー・フーパー監督の『悪魔の沼』(1977)要素)。仲間を探しに行ったジャクソンはハワードの散弾銃で吹っ飛ばされる。
ロレインはハワードによって地下室に閉じ込められる……この時のロレインを演じるジェナ・オルテガの絶叫顔が本当に素晴らしくて、本作で一番最高のシーンだった。

ジェナ・オルテガは同時期に、『スクリーム』(2022)『スクリーム6』(2023)の新主人公役や『ウェンズデー』(2022)の新ウェンズデー役で大ブレイクしたのは御存知の通り(そして3作とも全部面白い)……ブログ書くのが面倒だったのでFilmarks行きにしたけど『フォールアウト』(2021)もよかったです。
ロレインは「一人だけ真面目な少女」というファイナルガール(ホラー映画に登場する「最後まで生き残る処女」という役割)かと最初は思われた……が、途中からSEXに興味しんしんになってポルノに出演するエロい娘になる。と、書くと処女を失ったから殺されたかのように思えるが、このシリーズは恐らくマキシーンとパールだけを中心に回ってるから別にロレインが処女のままでも死んでたと思う(というかファイナルガールっていうお約束自体古いしね)。
だが可愛いミア・ゴスよりも可愛いジェナ・オルテガなので死ぬのは残念だが「ホラー映画で死なずに活躍するジェナ・オルテガ」が観たい人は『スクリーム』(2022)『スクリーム6』(2023)を観ましょう。とてもおもろいので。

ジャクソンのくだりの時、林の中の池に車が沈んでいるのを意味ありげに映す。
これは『Pearl パール』(2022)を観て改めて二回目の本作を観て、これを書いてる今は『Pearl パール』(2022)でパールが発狂して親切なイケメンを殺害して沈めたものだとわかる。『Pearl パール』(2022)は本作を撮影中に思いついて急いで撮ったらしいけど、最初に車のことを脚本に書いた時にはどこまで想定してたんだろ?本作のこの時点では只の『サイコ』(1960)のオマージュに過ぎなかったのかな。それとも、ロレインが閉じ込められた地下に、老夫婦が少し前に閉じ込めて殺害した若者の死体があったが、それと同じ様に「以前、殺して車ごと沈めたよ」ってだけの匂わせだったのかな。まぁ、いいやどっちでも。
という事で一気に『悪魔のいけにえ』(1974)的なアメリカン田舎ホラーになる。

 

 

しかし、その爆発前に、前述した「パールのSEXや、人生そのものへの欲求不満」「パールが、マキシーンの肉体を心底羨ましがる描写」など、元々ままならかった上に年老いて更に性的にもままならなくなったパールの劣情や憤懣やる方なさを、じっくりと描く。
ここの味が強かったので一回目観た時は「うわ」と思ってあまり真正面から受け止めたくなかった感があり、それもまた微妙な評価になった一因だった。自分はマキシーンとパールの中間くらいの中年男性だが、もう初老まで大して時間ないし「『老い』への恐怖」みたいな要素を映画で観たら「うわ」と、見て見ぬふりしたくなる部分がある。
若者ならマキシーンのように「キモいババアが!」と思えばいいが、中年の僕としてはマキシーン4に対してパール6くらいの配分になってきますから、マキシーンを「ババアをブッ殺せ!」と応援し、だけど殺人老婆パールは若い時の夢が潰えたが忘れられなかったりSEXしたいが夫に応じてもらえない等の「老い」故のやり切れない描写をたっぷり見せられるから、ただ単純に『悪魔のいけにえ』(1974)みたいに「主人公が田舎の狂人殺人鬼から逃れるホラー」のような単純な観方は出来ず「パールは狂人だが……なんか可哀想」と常に居心地の悪さを感じさせられる映画になってる。
去年の初見の時は、この居心地の悪さや「老いへの恐怖」という自分自身の人生に繋がる恐怖を感じさせられるがために(というか俺だけじゃなくて万人に当てはまる要素か)去年の初見時に「良さげだが何だかよくわからない」と、さっさと心の中の映画物置に入れ込もうとしたのかもしれない。だから続編は『Pearl パール』(2022)にも期待せず観たら傑作だったために、居心地悪いから斜めから観て済ませた一作目である本作も無視できなくなり、もっかい観返して感想を書き直したのが今。
そして共に「人気者になって自分の思うように生きたい!」という共通した願望を持った主人公マキシーンと殺人老女パールは、ミア・ゴスが一人二役で演じている。一人二役じゃなくても合わせ鏡だと思わざるを得ない両者なのに、わざわざ特殊メイクしてまで一人二役してるのでスーパー合わせ鏡というしかない。文章で言うなら太字にして傍点打って強調線まで引かれてるような印象。それくらいマキシーンとパールはイコールで結ばれてる。マキシーンはパールで、パールはマキシーンと言わざるを得ない状況。
だから本作が公開された時、既に「続編はパールの若い頃を描いた『Pearl パール』(2022)」と言われてたので「じゃあ、ますます若いパールがマキシーンみたいに殺人処女を捨てる話だな」と予想がつくし「将来、年老いた狂人殺人鬼になったパールの若い時の話なんて興味ないなぁ」と思ったら、本作の数倍素晴らしい傑作だったんだから、観なきゃわかんないもんですよね。
そもそも映画の続編でよくある「前日譚」っていうのは結果が既にわかってるし、時間が巻き戻されるというのは観る前の心構えとして足を引っ張られるようなうっとうしさがあるもので、だから「前日譚は嫌だな」という人は僕も含めて多い。だが、実際のところ前日譚だろうが未来の話だろうが「三幕構成の、起承転結ある物語」っていう意味では、どれも同じなんだから実のところ、映画の出来に関係ないんですよね。スター・ウォーズも、僕は旧三部作世代だけど今となっては『スター・ウォーズ ep4/新たなる希望』(1977)『スター・ウォーズ ep5/帝国の逆襲』(1980)よりも「ジェダイが滅びてアナキンがダース・ベイダーになるのは分かり切ってるが、分かりきってる」という結末がわかりきってる『スター・ウォーズ ep3/シスの復讐』(2005)の方が好きだしね(結末が分かりきってるという短所を覆い隠すほど面白すぎるので)。
話は戻るが本作を観に行った時「主人公マキシーンとパールが同じ存在のようなもの」と言われても「だから何なんだろう」と困惑しただけで終わったところがある。今にして思えば両者をイコールで結ばなければ「パールは頭おかしい殺人鬼、やっつけてめでたし、終わり!」と観客がスッキリしてしまうかもしれない。主人公マキシーンより、むしろパールを描きたがってるよね。だから観客をスッキリさせずモヤモヤを残すためにマキシーンとイコールにして「憐れなパール」描写を増やしたんだろう。
そん……な印象ですね。
『Pearl パール』(2022)で感動して観返したというのもあるけど、一作目もやっぱパールの話なんだなと改めて思った。だって本作のマキシーンは巻き込まれてサバイブしただけだからね。強いていうなら転倒して立てないパールを轢き殺したラストで、やっと「殺人者マキシーン」が誕生したと言える。そして、この瞬間にシリーズの中心人物がパールからマキシーンにバトンタッチした瞬間でもある。


そんなことで次は、走り去った殺人処女を失ったマキシーンが1980年代を舞台にした『MaXXXine マキシーン(邦題未定)』(2024)が来年公開されるのが今一番楽しみと言ってもいい。ハリウッドが舞台だからスターになったマキシーンが殺人する映画?もしくは次世代の殺人少女新キャラ(演:ミア・ゴス)に殺されてシリーズの主役の座がバトンタッチされて終わると予想。たぶんトリロジー完結編?なんだろうけど、好きだから更に1990年代→2000年代と殺人少女の歴史が続いていっても別に構わない。

 

 

 

 

そんな感じでした

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〈他のタイ・ウェスト監督作〉
『インキーパーズ』(2011)/死ぬほど低評価の何も起きないホラーだが自分には掛け替えのない一本になった変な映画。Xシリーズのタイ・ウェスト監督作品👰 - gock221B

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X (2022) - IMDb

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