gock221B

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『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2023)/原作を盛ったストーリー自体は良いけど回想ばかりの構成が歪つで「これ例年通り三夜連続のドラマで良かったんじゃ?」と思った✑


監督:渡辺一貴 脚本:小林靖子 原作:荒木飛呂彦の漫画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2010) 音楽:菊地成孔 製作国:日本 上映時間:119分 シリーズ:TVドラマ『岸辺露伴は動かない』の映画化

 

 

あけましておめでとうございます。
2020年から、毎年末にNHKで放映している『岸辺露伴は動かない』(2020-2022)の劇場公開版。これを作って2023年分の制作費がなくなったのか2023年末は岸辺露伴ドラマの放映がなかったので少し寂しかった。知らん間にアマプラ観放題に来てたのでやっと観た。というか全作あるから観てなくて興味ある人は是非。
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ドラマ版『岸辺露伴は動かない』(2020-2022)、これは配役とか美術とか撮影とか漫画の荒木飛呂彦っぽい台詞やキャラをめちゃくちゃ上手く実写化してて好きなんですが、ぶっちゃけ「面白いか?」と訊かれたらよくわからない不思議なドラマ。とりあえず嫌なところが少なくて雰囲気が良いから良作なんだろう、という「面白いかどうかは人によるけど出演者の演技とか雰囲気はいいドラマ」としか言いようがない。ドラマは漫画で面白かった話はつまんなくなってて漫画で微妙だった話は逆に面白くなってたりした。
露伴役の高橋一生がドラマの「ブラックジャック」のブラックジャック役に決まったのも露伴役を見越してのことなんでしょうね。

ネタバレあり

 

 

 

 

Story
他人を本に変えて過去や心の中を除いたり命令を書き込む事ができる特殊能力〈ヘヴンズ・ドアー〉を持つ売れっ子天才漫画家岸辺露伴(演:高橋一生)。
まだ青年だったデビュー当時、淡い恋心を抱いた女性・奈々瀬(演:木村文子)から江戸時代に山村仁左右衛門という画家が描いたとされる「この世で最も黒い絵」の話を聞く。
時は過ぎ現代、新作執筆の取材中にルーヴル美術館に「この世で最も黒い絵」がある可能性が出てきたので担当編集者・泉京香(演:飯豊まりえ)を伴いフランスに跳ぶ。

件の「黒い絵」はルーヴル美術館・職員のエマ・野口(演:美波)も知らなかったが、地下倉庫にあるらしき事がわかる。ルーヴル美術館の収蔵品キュレーター・辰巳隆之介(演:安藤政信)や消防隊員2名を伴い「黒い絵」が保管されているとされる地下のZ-13倉庫に向かうが――

という感じの話。
この映画、ストーリーは単純なんですけど逐一説明しようとしたら妙に複雑な設定で書くのが面倒なので細かいあらすじ説明はしないけど一頃で言うと「岸辺露伴が『黒い絵』を求めてルーヴル美術館に行く」。
あと露伴とか泉京香のキャラの説明とかも面倒だし『岸辺露伴は動かない』(2020-2022)の感想で書いたので省略。

毎年のドラマ版では岸辺露伴の尊大な性格や超能力〈ヘヴンズ・ドアー〉の説明のために小悪党とか嫌なヤツを二人、本にしてしまうのが恒例行事。
「他人を本にして、心の中や過去を覗いたり命令を書き込める」という〈ヘヴンズ・ドアー〉の能力は一見、無敵に思える。『ジョジョの奇妙な冒険』の敵は、露伴と同じくスタンドを使う人間なんだけど、この岸辺露伴シリーズの敵は大抵、人知を超えた怪異なのでヘヴンズ・ドアーは割と役に立たない。ヘヴンズ・ドアーを駆使して怪異から何とか逃げるのが精一杯……というのがこの岸辺露伴シリーズ。
本作の場合は勿論「黒い絵」。これが敵になる……いや敵と言うか絵は只のエネルギーの塊というか……そのエネルギーの塊に露伴が好奇心から近づいて勝手に死にそうになってしまうのが毎回の感じ。

この映画、冒頭で露伴&泉くんがオークションに参加したり、そこで手に入れた絵を奪おうとする不審者を追いかけたりした後、露伴の青年期の回想パートに入る。
青年期の岸辺露伴(演:長尾謙杜)は漫画家デビューしたばかりで祖母がやっている人里離れた民宿に泊まって執筆活動する。同じ民宿にもう一人だけ住人が居た。それが未亡人のような哀しそうな色気を持った女性・奈々瀬(演:木村文子)。
露伴は奈々瀬から「この世で最も黒い絵」の話を聞く。しかし後日、奈々瀬に惹きつけられた露伴は彼女をキャラクターにして漫画に描いて見せるが奈々瀬は泣いて怒って原稿を引き裂いてしまう。キャラクターにして絵に描くって行為はかなり好意的な創作活動だしそれを破られてしまうって結構なショックだね。奈々瀬は自分を絵に描かれるという行動自体に動揺したようだが理由はまだわからない。そして奈々瀬は露伴に謝り「全て忘れて」と言い姿を消す。

そして、端折るけどルーヴルの地下で黒い絵が起こす怪異に職員たちが巻き込まれる。
「黒い絵」は見たものに「後悔している事」や「血縁者の罪」などの幻覚に襲われる。
黒い絵から「黒い男」が現れるが、強い怨念を持った幽霊であるためか?ヘヴンズ・ドアーで本にできない。そこで奈々瀬の幽霊?が現れ「全て忘れて」と言う。露伴は自分を本にして「全て忘れる」と書き込む。これで「黒い本」の事も忘れて怪異から逃れられた。同時に自分の手に「自分の顔をこすれ」とも書いてたので顔を擦って「全て忘れる」が消えたのか露伴は再び「黒い絵」やさっき起きた事を思い出す。
職員のエマは溺死した息子の幻覚を見て溺死しそうになるが露伴に助けられ、幼い頃に父を喪ったという泉くんに慰められる。
更に泉くんは、実は「黒い絵」を見たのだが一人だけ怪異に襲われなかった。
ドラマ版『岸辺露伴は動かない』(2020-2022)でもそうだが、泉くんは「怪異を察知しないし、怪異に遭っても気づかないし自然に回避する」というキャラクター性能になりつつある。「あまりに明るすぎたり現実的すぎる人は幽霊を見ないし怪異に遭わない」みたいな話が山岸凉子の漫画にあったりするが、泉くんはそういうポジティブすぎるキャラなのだろう。原作の泉くんは割と少ししか出ないモブみたいなキャラだったがドラマ版はレギュラーキャラにしてキャラクターもどんどん濃くなってきて、本作での出番は割と少ないが正直、露伴よりキャラが立ちつつある。

原作だとルーヴルでの怪異を回避して終わりだったが本作はここから第三幕に入る。
露伴は祖母の民宿があった山に行き、奈々瀬の顔に触れる。
顔に触れたから多分ヘヴンズ・ドアーで読んだ奈々瀬の過去なんだろうが江戸時代の回想が始まる。
奈々瀬は江戸時代に黒い絵を描いた山村仁左右衛門(演:高橋一生)の妻だった。
説明が面倒なので省くけど、仁左衛門は愛する妻・奈々瀬の黒髪を絵に描くため禁足地の御神木から出る黒い樹液を使って黒い絵に没頭した、それがその地を治める役人の怒りを招いてしまい巻き込まれた奈々瀬が命を落とす。激昂した仁左衛門は役人を皆殺しにして怨念を込めて黒い絵を完成させて絶命する。そして奈々瀬は露伴の先祖だった。先祖の奈々瀬の霊が夫や黒い絵の呪いを解くため、子孫の露伴を頼ったのだ。

という事で大きく分けると、冒頭の露伴→青年期の回想→ルーヴルの露伴仁左衛門の回想、という感じで本来のクライマックス(ルーヴルでのvs.黒い絵)の後も延々と仁左衛門の回想が続くという……割と回想が妙に多くて本来の本編は早めに終わってしまうという変な構成の映画だった。
仁左衛門は、露伴と同じく画業に命をかけていて配役も同じ高橋一生が演じている事からして「露伴仁左衛門」といった感じで描いている。だから終盤の仁左衛門の長い回想も「露伴もこうなっていたかも?」と匂わせてるので、メタ的には全編、露伴を描いているようなものだけど。単純に青年期は高橋一生と全く似てない配役だし、仁左衛門は江戸時代だし、黒い絵がある地下倉庫には贋作で儲けようとする贋作グループが絡んでいたり、なんか悪い意味で妙に複雑だなと感じた。
青年期の幻想的な恋とか多く盛った仁左衛門パートなどの原作を膨らませたストーリー自体は良いと思ったけど、それを組み上げた映画の完成形が「なんか不必要に複雑だなぁ」と思った感じ。
最後に、奈々瀬に斬られた原稿も無事な状態で最後出てくるのもよくわからなかった。これは「当時の出来事は奈々瀬の霊に見せられてた幻覚だから原稿は実際には斬られてなかった」って事かな。
というか回想が悪いわけではなく、単純に「映画だから露伴&泉くんがいっぱい見れる」と思ってたのに「なんだか……映画なのに露伴と泉くんあんまり見れなかったな」と物足りなさを感じた。
さっきも言ったが別に青年期回想も仁左衛門回想も悪くはないのよ。仁左衛門もまた別人ではなく「露伴のバッドエンドを見せてる」という意味では全編、露伴の話ではあったし。ただ凄く単純に露伴と泉くんを長時間観たかったというそれだけの話。

ドラマ同様に「俳優とか美術とか雰囲気は良いけど映画版もまた面白いのか面白くないのかよくわからなかったな」と思った。というか本作も映画じゃなくて2023年末に三夜放映する全3話構成の方が良かった気がする。なんか一本の映画として観たら造りが歪つだよね。
なんかこの感想自体もつまんなくなりましたね。まぁいいか。
今年の末にはまたドラマやってくれや。トニオのアワビ採りが早く観たいのよ。

 

 

 

 

そんな感じでした

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映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』公式サイト

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