gock221B

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『翔んで埼玉』(2019)/埼玉が悪の帝国・東京を倒す『ゲーム・オブ・スローンズ』めいたコメディで想像以上におもろかったです👧🏼👩🏻


原作:魔夜峰央『翔んで埼玉』(1982-1983) 監督:武内英樹 脚本:徳永友一 主題歌:はなわ「埼玉県のうた」 製作国:日本 上映時間:106分

 


二階堂ふみが活躍してるとこが見たかったので観ました。
魔夜峰央の80年代のマイナーなギャグ漫画が原作。2015年以降にネットで話題になって復刊されて売れたので映画化されたらしい。
魔夜峰央は小学生の頃に『パタリロ!』(1978-)がTVアニメ化されて人気だったので現在の40~50代の人にはお馴染み。美少年同士のBLがモロに80年代のゴールデンタイムに流れてたのも今考えると凄いね。
普段、アメリカ映画のホラー、アクション、アメコミ原作映画ばかりなので、そういうのが好きな人にしか登録されてないので、こういう一般人気の高い邦画を取り扱ったら全くアクセスがないことは先日の『ドラゴン桜』(2021)でわかってるんですが、ブログ向けだったシャマランの『ノック 終末の訪問者』(2023)とクローネンバーグの『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』(2022)が期待外れでFilmarksスルーにしてしまったのでコレの感想を書くしかない(『ノック 終末の訪問者』(2023)は最後まで面白かったのだが新約聖書を元にした映画だったので……)。
監督は、『のだめカンタービレ』シリーズとか『テルマエ・ロマエ』シリーズとか漫画原作邦画を監督したフジテレビ演出家の人みたい。

ネタバレあり

 

 

 

 

Story
19XX年、東京では東京以外の関東人……特に〈埼玉県人〉への迫害が続いており、〈通行手形〉なく東京に侵入した非東京の関東人……特に埼玉県人は直ちに捕らえられていた。
代々、東京都知事を生み出してきた超名門校〈白鵬堂学院〉に、帰国子女の麻実 麗(演:GACKT)という美少年が転校してきた。
学園の中でも差別対象である埼玉の生徒達を何故か庇い立てする麗に、苛立つ生徒会長・壇ノ浦百美(演:二階堂ふみ)。
百美は麗の〈都会指数〉を確かめるため全校生徒の前で「東京テイスティング」をやらせるが――

要するに「埼玉が理不尽なまでに東京から差別されている」という設定がギャグとなってる。
また埼玉だけでなく千葉や茨木や群馬も埼玉に次ぐ被差別県となっている。神奈川は東京に取り入って第二の東京みたいな面しているというジャイアンに媚びへつらうスネ夫のようなポジション。
東京以外の県は一切出てこない。
主人公の一人である百美(演:二階堂ふみ)は東京生まれ東京育ちで、かつ東京以外の関東を虐げるラスボスである東京都知事(演:中尾彬)の息子であるため、前半では東京以外を差別しまくっている。
しかし実は埼玉県人である転校生・麗(演:GACKT)に、GACKT得意の格付けチェックを匂わせる「東京テイスティング」(瓶の中の空気がどこの土地か当てる)で敗北。
倒れたところをお姫様抱っこされてキスされた事で麗に魅了され着いていくようになる。
しかし麗に着いて行き始めるが昨日まで東京以外を差別しまくってたので「い、茨木……」「千葉……」と、いちいち恐れおののくところも素直に面白い。
前半では百美のシンプルな埼玉Dis、中盤は仲間になった百美が東京以外の関東にビビる様……などが可笑しい。
同時に「千葉県民に捕まると体中の穴という穴にピーナッツを詰められて地引網を引かされる」「群馬はそもそも田舎というレベルを超えてバケモノが闊歩する人外魔境」などといった魔夜峰央っぽいギャグが続く。
後半は、埼玉開放前線リーダーとなった麗(演:GACKT)率いる埼玉と、千葉開放前線リーダー阿久津翔(演:伊勢谷友介)率いる千葉が激突。埼玉vs.千葉の合戦が行われる。
同時に百美(演:二階堂ふみ)は東京に戻り、悪の東京都知事である父の不正を暴くため人外魔境・群馬に赴く。
で、なんだかんだ手を組んだ埼玉開放前線と千葉開放前線と百美が共闘して東京都知事を倒す……という流れ。

また、そんな本編を「かつて存在した伝説」として、娘の結納のためにドライブ中の埼玉県民一家……埼玉県人の父(演:ブラザートム)、千葉出身の母(演:麻生久美子)そして結婚して東京に住みたがってる娘(演:島崎遥香)らカーラジオから「埼玉の伝説」を聴いており要所要所で感想を述べる。ここは何のためにあるパートなのかよくわからなかったが「東京が埼玉を差別しまくる本編」はかなり特殊な世界なので、映画に入っていけない観客が出ないように観客目線として出した三人なのかも。

 


埼玉を始めとする東京以外の関東へのDisというギャグがメインだが、本編のストーリー自体はギャグを除いて考えると「他県を虐めまくる悪の帝国(東京)のラスボス(都知事)を、正義に目覚めた都知事息子(二階堂ふみ)や、虐げられていた埼玉県人や千葉県人(GACKT伊勢谷友介)達が討つ……という、ちょっとした『ゲーム・オブ・スローンズ』〈シーズン1-8〉(2011-2019)的な話になっており、ギャグも面白いけどギャグ以外の後半のあらすじも割としっかりしてた。
とはいえ、映画自体が物凄くギャグ時空なので伝説の埼玉県人(演:京本政樹)が暗殺されても誰も死んだとは思えないし、合戦しても誰も死んだり怪我しないことは明白なのでバトル中心の後半は緊張感はない。だから終盤はちょっと退屈なんだけど前半&中盤までが凄く面白かったので、後半までの「面白かったな」という気持ちの貯金が減るだけで退屈と思い始めるまでに終わったので大丈夫でした。
これでギャグが面白いのが前半までで、中盤以降が戦国もどきのままずっと続いてたら面白さの貯金が切れて終盤では飽きてしまっていたと思う。
邦画に限らずコメディ長編映画は、コメディだけやってるわけにはいかず後半は主人公がシリアスに成長したり戦ったりするというコメディとは直接関係ないことをしなきゃいけないから、コメディ作るのは大変だろうなと思った。
その点、本作は楽しい時間が凄く長かったので、後半の消化試合のような合戦も退屈にならず上手いなと思った。
予告とか観たら如何にも「嫌な感じのふざけたコメディ邦画」って雰囲気だったけど、いざ観てみるとちゃんとしてる系の邦画コメディだった。
この映画、第43回日本アカデミー賞(2020)を12部門も受賞しとる……。確かに上手いし面白かったけど幾らなんでも受賞しすぎなので邦画の薄さを感じた。

前半で散々他県をバカにした二階堂ふみに反省させ、最後に東京を諸悪の根源にして埼玉&千葉にボコらせて下げて、埼玉その他をドンと上げて終わるのも上手い。
魔夜峰央特有のBL要素は、主人公のGACKT二階堂ふみがまんま『パタリロ!』のバンコラン&マライヒで、良い感じなんだが二階堂ふみは女優だし劇中でも女の子にしか見えない。これは地上波テレビ放映などを見越してガチのゲイカップル主人公を少しズラした感があった(その代わりGACKT伊勢谷友介のディープキスシーンがあったり、GACKTの部下の美少年二人が合戦前にキスするシーンなどあったので「これで許してください」感があった)。
GACKTの父親役が白塗りした麿赤兒だったり、千葉開放前線幹部が海女の格好した小沢真珠中原翔子だったり、群馬県人役が神戸浩(80年代以降の邦画によく出てくる独特の喋り方の俳優さん)だったりキャスティングが妙に渋いなと思った。
期待してた二階堂ふみは叫んだり喚いたりで勿論良かったです。
そういえば冒頭に一瞬、魔夜峰央本人も出てくる。もう70歳なのにも関わらずイケメンだったので若い頃はマジでバンコランみたいな美青年だったんだろうなと恐れおののきました。

11月には続編『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』(2023)が公開されるが、今度は関西いじりがメインみたいでシンプルに楽しみ。伊勢谷友介大麻所持の不祥事のせいか出ないみたいだが千葉開放前線幹部の小沢真珠中原翔子は引き続き続投らしいのが可笑しい。よほど小沢真珠中原翔子が好きな人がいるのか……。

 

 

 

 

そんな感じでした

👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻👧🏼👩🏻

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