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映画の感想ブログ 😺 おしずかに‥〈Since.2015〉

「ゴーストランドの惨劇 (2018)」痛めつけられる少女達に心を痛めつつ、その奥に監督の誠実さを感じました👩🏻👱🏻‍♀️

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原題:Ghostland 監督&脚本:パスカル・ロジェ
製作国:フランス/カナダ 上映時間:91分

 

 

 

マーターズ」「トールマン」の監督によるホラー映画。 
何か、どんな内容か知ってるような映画ばかり観てるので全く内容が想像できないものが観たくなってこれを観た。予告編も観てないのでホラーだって事以外全く知らない。

H・P・ラヴクラフトに心酔するホラー作家志望の内気な黒髪少女ベス、その双子の姉は金髪でベスとは正反対の活発な少女ヴェラ。2人の母はシングルマザーで、三人は相続した屋敷に引っ越してくる。
だが引っ越してすぐ、女装した痩せた男と白痴の巨漢男という二人組の変態に襲撃される。殺人や強姦を犯して新聞にも載っていた異常者達だ。
母は決死の思いで変態達を滅多刺しにして殺害、双子を守る。
16年後、ベスは家を出て美しく成長し、夢を叶えて有名ホラー作家となり優しい夫と可愛い息子と暮らしていた。そんなベスのもとにヴェラから電話が、様子が変だったので実家に帰省するベス。母と姉は、今もあの家に住んでいた。久しぶりの再会を喜ぶ母。
子供の頃の事件で精神を病んだヴェラは、自分で自分を殴ったり自ら自分を地下室に手錠で結びつけて、泣いたりわめいたりしている。かなり重症だ。
実家に泊まるベスだが、ヴェラが半狂乱であること以外にも、家にいて不気味な悪夢を見たり妙な気配を感じる。
何かあるんだろうな、とは思いつつも一体この後どういう展開になっていくのかわからない。この映画はサスペンスなのか、それとも幽霊とかが出るホラーなのか、それともトリッキーな構造のメタホラーなのか、ワクワクする。そんな気持ちで観た方が楽しいので、まだ観てない人はネタバレ読まずに観た方がいい。
次の空白から下はネタバレなので、ここまで読んで興味を持った人は映画館にどうぞ。 

 

 

 

「それにしても襲撃者に襲われそうになって母が刺して返り討ちにした現場に未だに住むか?」とか「ここまで半狂乱のヴェラを何故、精神的な施設に入れないのか?しかも未だに忌まわしい屋敷に住まわしたりするか?」など疑問に思ってたが「全体的におとぎ話っぽいから、そういう荒い設定のホラーなのかな」とか思ってたら、やはり全部ベスの妄想だった。
16年も経過しておらず本当は数時間~数日しか経っておらず、実際に滅多刺しにされたのは母で、ベスはヴェラと共に地下室に閉じ込められていた。
ヴェラは何度か犯されているようだ。2人の顔は変態に殴られてボコボコに腫れ上がっている。
「ベスは将来、ホラー作家になった時の架空インタビューをこっそり書いてる痛い奴」というヒントもあったし、何となく「『16年後』以降の展開は妄想っぽいな」とは思ったものの、お母さんが殺されて少女たちが変態に捕まってるなんて思いたくないから、そう思わないようにしていた(人間、思いたい方に思うものだからね)。
妄想癖のあるヴェラは、母が殺されて変態に捕まった瞬間に、脳の現実認識能力のスイッチをOFFにして夢の世界に逃げ込んでいたのだ。リアリストの姉ヴェラは哀れ、酷い現実や痛みを全て真正面から受け止めてボロボロになっていた。
ちなみに前半、本編を観てて「何か変だな」などと感じていたベスの妄想世界は、どこからイマジネーションを得たのかの殆どは回答が得られる(たとえばベスの妄想に出てくる人物は全て地下室に貼ってあるポスターの人物だったり)。
女装したマリリン・マンソンめいた痩せた変態が少女を化粧して人形に見立てて2階の人形がいっぱい置いてある部屋に置く、すると白痴の巨漢の変態の方が人形に扮した少女を犯すという段取りのようだ(騒いだり声を出したら殴るので少女は人形のふりをしなければいけない)。
巨漢の変態が他の人形をいじってる間にベスはこっそり逃げ出し、開閉式になっている鏡の中に隠れる。すると姿見の中のビックリ人形が喋り始める。ベスは人形を黙らせようと人形の口を押さえる‥という何の意味もない行動を取ってしまうシーンのユーモアが見事。

 

 

 

そういった感じなので、映画の殆どの時間は可愛い少女たちが変態犯罪者に殴られたり監禁されてるので(変態じゃない限り)観てて非常に心苦しく辛い。
少女たちが殴られて顔が腫れ上がってるのも悲しいし、ビビったベスがオシッコ漏らしたり何度も何度も涙を流したりして可哀想過ぎる。パニッシャー早く助けに来て!
逃げたベスが、いつ変態に捕まってしまうのか、また上手く逃げ出す展開になったとしても、これはベスの逃避的な妄想なのではないか?と何度も思わされるので、ラストの瞬間が来るまで気が休まらず観てるだけで緊張状態が延々と続いて疲れた。やっぱ子供が危険な目に遭ってるとストレスがハンパないわ。
あまりにハラハラさせられたり、ベスやヴェラが可哀想すぎたり、変態達への怒りが湧いてくるので「そもそも何でこんな話なんだよ‥」と腹が立ってきて「この監督なんで少女を監禁拷問する映画ばっかり撮るんだよ‥変態か?」などと、怒りの矛先が監督に向きそうにもなる(子供の頃、アニメや映画の辛い展開を見ると、よくこんな事思ってたなと懐かしくなった)。
だけど緊張感が解けない丁寧な話運びや、少女の美しい顔に特殊メイクで痛々しい腫れを作ってるところや、少女たちが姉妹のために勇気を振り絞って変態に立ち向かう姿などを見てると「この監督って、誠実で真面目な人なんだろうな」と思えてきた。「劇中の少女が可哀想で辛いので監督の人間性を疑いかけた」という心の動きは、本作に動かされた俺の心が脆くなって弱い方向に振れかけたからだろう。
ちなみに変態達は完全に狂人にしか見えず、そもそも台詞が一つもない。つまり人間じゃないように見えてくる。少女の今後の人生で振りかかる困難や苦痛を擬人化した暗黒おとぎ話といった感じの物語に見えてきた。
ベスが何度か逃避したのもフィクションの世界なら、その逆もフィクション。妄想の中に彼女が尊敬するラヴクラフトが現れて勇気づけるが、それにしても特殊メイクしすぎでラヴクラフトの顔がフランケンシュタインの怪物すぎて可笑しかった。
これはアメリカ映画じゃなくてフランス&カナダのホラー映画なので、普通に少女がぶっ殺されて終わったり、再び監禁されてベスの脳がショートして夢の世界に逃げ込んで終わるバッドエンドになっても全くおかしくないので、そんなメタ的な意味でも最後まで気が落ち着かなかった。
「通信する警官の背後から狂人キャンディトラックが‥」と思わせて、あらぬ方向から現れたり、勇気を出して現世に再び帰還したベスのバイティング(噛みつき攻撃)、そして妄想の中やラストの母親の幻もじーんとさせられた、まぁ全部ベスの心の動きだけど。
映画が終わるまでハラハラしすぎてムカつき始めてたが終わってしまうと、監督の誠実を感じて今に至る。インタビュー読むと監督は、ホラー好きの自分をベスに、全く価値観が違って趣味の合わないリアリストの兄をヴェラに投影して描いたらしい。
全体的にダリオ・アルジェントっぽいホラー映画。思いがけず、かなり力作だった。

 

 

 

そんな感じでした

👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️👩🏻👱🏻‍♀️

映画『ゴーストランドの惨劇』公式サイト | 8月9日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

Ghostland (2018) - IMDb

www.youtube.com

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