gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『ヴェノム』(2018)/2000年代の古いアメコミ映画みたいだったがトム・ハーディと元カノカップルの魅力が高かった⚫

f:id:gock221B:20180918043604p:plain 
原題:Venom 監督:ルーベン・フライシャー 製作:エイミー・パスカル 原作:デイビッド・ミッチェリニー、トッド・マクファーレン 配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント 製作国:アメリカ 上映時間:112分 シリーズ:『ヴェノム』シリーズ。ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)

 

 

 

🍫MARVELは倒産危機の時、「スパイダーマン」の映画化権をソニーピクチャーズエンターテイメント(以下ソニピク)に売った。ソニピクは5作品作った頃うまくヒットできなくなったこともあって現在は、MARVELスタジオに〈ピーター・パーカー/スパイダーマンスパイダーマン由来のキャラの実写映画化権(売上げはソニーが貰える)〉を数作限定で貸し出している状態のソニピク。
一時期ソニピク代表のオバハンは「ソニーで作るヴェノムとかのユニバースはMCUと繋がってるのよ」とか言ったところMCU代表のケヴィン・ファイギに「は?繋がってませんけど?」と言われたりしている。
つまりソニピクとしてはMCUへのピーター・パーカー貸出し権が切れる頃を見込んで、本作やスパイダーマンの悪役を次々と映画化して「スパイダーマン不在のスパイダーマン・ユニバース」という訳のわからんユニバースを形成してMCUのおかげで人気が出た状態の出稼ぎピーターの帰還を待っている状態。
MCUファンとしては最初「いいから余計な事してないでスパイダーマンさっさとMARVELに返せや!」とか思っていたが、MARVELスタジオの親分であるディズニーによるジェームズ・ガン解雇や「スター・ウォーズ」シリーズの惨状などを見てると「MARVELスタジオがディズニーによってヤバい状態になってしまった時のために、スパイダーマンくらいは他所にあった方が良いかも?」と思うようになった(それにスパイダーマンアベンジャーズと絡むと急に「実力の劣るお調子者キャラ」になってしまう傾向があるため正直スパイダーマンはあまりクロスオーバーせず単独でやってる方が良いとも昔から思ってたし)
ちなみに現在「スパイダーマン」以外の、他所の映画製作会社に抑えられてるMARVEL作品は「ハルク」のみ(MCU作品にハルクを出すことはできるがハルク単体作を作ることはできない)。まぁそんな感じで人気キャラのヴェノムが映画化された。
※追記:本作から始まるソニーのシネマティック・ユニバースは本作公開時には「ソニーズ・マーベル・ユニバース」という名称だったが2019年3月に「ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター」という名称に変わった。
🍫サム・ライミの「スパイダーマン3」にも一応ヴェノムは出てきたが、自分が子供時代に読んでたクラシックなキャラだけ出したくてヴェノムに興味ないサム・ライミに対してソニピクは「ヴェノム出せ!」と強要。更に作品内容にもあれこれ口出ししてライミが自由に制作できなかった3は失敗作となりシリーズは終了した。同作に出てきたヴェノムは「出しましたよ?これで満足?」って感じのやる気ゼロの巨体でもないしょぼいヴェノムだった(ヴェノム同様の大柄キャラで、自分が出したかったであろうサンドマンは念入りに描いていたのでヴェノムだけ明らかにやる気ないのが見て取れた)
🍫ヴェノムはトッド・マクファーレンスパイダーマンで初登場してピーターと対決したくだりと対戦格闘ゲーム「MARVEL vs.カプコン」シリーズのプレイアブルキャラでしか触れてないので僕のヴェノム感は90年代で止まっている。
そのトッド・マクファーレンのコミックは大好きだったのだが、この時の悪役100%のヴェノムは、頭のおかしいエディがピーターを逆恨みして、ピーターの情報を引き出すために女性のブラックキャットをボコボコにして‥しかもこのシーンは暴行の「事後」だけ描いてて服がビリビリのブラックキャットがシクシク泣いてる‥という、どう見てもレイプしたのを思わせるように描いてた事もあってヴェノムの印象は悪い意味で最悪。格ゲーのヴェノムもあまり強くなかったし。
🍫監督は「ゾンビランド (2009)」「ピザボーイ 史上最凶のご注文 (2011)」「L.A. ギャング ストーリー (2013)」など、めちゃくちゃ良いわけではないが、どれもそこそこの面白さは保証してくれるルーベン・フライシャー監督。

 

 

 

Story
ジャーナリストエディ・ブロックトム・ハーディ)は、婚約者アン・ウェイングミシェル・ウィリアムズ)が働く大企業〈ライフ財団〉のトップ、カールトン・ドレイクリズ・アーメッド)が危険な人体実験を行っているという疑惑への取材がアダとなり、仕事もアンも失ってしまう。
その後、内部協力者を得て財団内部への侵入に成功したエディは、地球外寄生生命体〈シンビオート〉を人間に寄生させる恐るべき実験を目の当たりにする。
そして被験者の一人と接触してしまったエディは、シンビオートの一体に寄生されてしまうのだった。
やがてエディの身体に共生したシンビオートはエディの意志にお構いなしに、圧倒的なパワーと残忍さを兼ね備えた怪物〈ヴェノム〉へと姿を変えるのだったが――

 


僕は本作を先々週だか先週だかに観に行って、結論を言うと意外と楽しかった。
だけどその後に観た「へレディタリー/継承」が素晴らしすぎて、いつまでも「へレディタリー/継承」のことだけ考えていたくなって本作の感想書くのすっかり忘れていた。
まず本作にはあまり興味なかった。MARVELスタジオにピーターを貸し出して儲けは全部いただいて、大人気になったピーターを引き取って自前の「スパイダーマン不在スパイダーマンユニバース」に迎え入れる、というのも何だかなという感じだったし。
本作のティーザー(特報)も「シンビオートに寄生されたエディが苦悶してるだけ」というもので「特報が古いわ!2000年じゃないんだから最初からヴェノム見せろや!」とイライラした。その後アメリカ本国で公開されて「批評家の評価は低いが、観客に大人気」という「最後のジェダイ」の真逆の評価が伝えられ、「凄いサプライズ」とかが聞こえてこなかったので「MCUスパイダーマンは出てこないようだな」とわかった。
その後、日本で試写会観た人たちが「ネタバレしないように言うとド根性ガエルだった!内容は楽しい感じ」という感想で、本作の内容がもう95%くらいわかってしまい「ピーター出ないっぽいし、エンディング後のサプライズはまだシンビオートに憑かれてない連続殺人鬼が出てきて終わりだな。ゾンビランドの監督だからウディ・ハレルソンちゃうか?」という事まで全部予想できた。
それですっかり観に行く気なくなってるうちに公開されたら、腐女子の人にエディとシンビオートのカップリングが大人気になった事で更に98%くらい予想できたので、ますます観に行く気なくなってたが近所で公開され始めたので観に行った。
そして実際、本作は僕が98%想像した通りそのまんまの内容だった。
そして実にソニピクらしい10年前くらい前の古臭いアメコミ映画って感じだった。
想像できてなかったのは、それでも楽しくて面白かったという事くらいだ。

 

 


ストーリーは↑あらすじの通りで、失業したトム・ハーディがシンビオートに寄生されたら気に入られて、力を合わせて悪い企業&悪いシンビオートを倒す。それ以上でも以下でもない。
まず古いな~と思ったのは、エディが寄生されるまでの日常描写がかなりタルい。
エディはミシェル・ウィリアムス(好き)演じる恋人アンのPCを盗み見て、彼女が務める大企業のトップが人体実験してるらしき事を知る。
正義感の強いリポーターであるエディは、突撃リポートで彼に言う。
「あんた人体事件してるだろ!?」
まるで思ったことを全て口に出さなきゃ死ぬ病にかかってるかのような男エディはクビクビ&クビ。アンにも振られる。
当たり前やろ!この映画、万事こういう感じで展開がめちゃくちゃ荒い。
中盤やっとヴェノムになってから最後まで荒い。だけど楽しい。
ヴェノムになるくだりも荒いし、序盤チンタラやってたもんでヴェノムがエディに懐くくだりを描く時間がなくなり、まるでヴェノムがエディに一目惚れしたかのようにヴェノムはまだ何もしてないエディにメロメロになっている。
本当ならエディが、単体では生きられないヴェノムを助けるとかの描写が必要だったのだろうが、そんなものはない。そしてヴェノムは速攻でエディの言うことを聞くようになる。理由、そんなものはない。ヴェノムはエディの事が最初から大好きだからだ。
だが本当に好きというのは、そういうものだ。
真の愛‥もしくは真の愛らしきものに近づいた者にはわかるだろう。
‥と適当な事を言いましたが本作は別にそんな理由のない愛とかを描きたいわけではないしヴェノムがエディに一目惚れかのように見えるのも、ただ単に描きこみ不足だっただけ。
「おいおい描きこみ不足だろ‥」とこちらが思おうとした瞬間、ヴェノムは宿主エディを守るために傭兵を次々と瞬殺。楽しいのでまぁいいか‥。
その後バイクで爆走チェイス。ここがこの映画で一番いいところだった。
エディはバイクで逃走し、大ジャンプしながら「オーーサム!(超楽しい)」と叫ぶ
実際に楽しんだからこちも特に文句はない。面白いからまぁいいかと思えてきた。
ヴェノムはシンビオートの中での落ちこぼれ。そんな駄目ビオートの彼も地球では無敵のバケモノとして君臨できる。
ヴェノム「おれ、ここが気に入ったよ」
逆なろう小説みたいな感じか。そして失業中のエディを気に入った、寄生しているうちに影響されたという理由もあるのだろう。かなり荒いがそこそこ面白いので僕は納得することにした。ヴェノムは元恋人アンの事も一目で気に入る(こいつすぐ人を好きになるな)。アンを気に入ったのもエディの精神に影響されたというのもあるのかも。
そんなこんなでエディ&ヴェノムはアンのサポートも得つつ、悪の実業家&悪のシンビオート、ライオットを打倒する。。
単純で古臭くて荒いが、充分に面白いアメコミ映画だった。

 

 


では評論家は何が気に入らなかったのか?
というのは評価がいつも高いMCU作品と比べるとわかりやすい。
まずヴィランである悪の実業家役の人がパキスタン系ってくらいで仲間に有色人種が居ない(もし本作がMCUだったらアンは有色人種の女性だったはず)
あとさっき言ったようにヴェノムが即堕ち2コマみたいにエディに一目惚れしてしまったがためにヴェノムとの心の触れ合いがない。触れ合いがないのでヴェノムの方から「オレとオマエ似てる!」とか言いだしたり速攻で言うこと聞いてしまう。
更にMCUも、フェイズ1のオリジン作品群あたりはまだ古臭かったけどフェイズ2で色々模索してフェイズ3以降では色々と新しいアメコミ映画のストーリーテリングや革新要素がある(黒人映画にするとかオリジンは大集合映画でちゃちゃっとやって省略するとか)。本作の場合そういう革新要素がない。これも褒められにくい要素の一つだろう。
で、女性メインキャラ‥「ヒロイン」と、一昔の言い方になりつつある言葉で言ったほうがいい、このヒロイン、アンの活躍が少ない。
ここ数年すっかり観なくなった典型的な‥男性主人公の周りで悲鳴を上げたりウロウロしてちょっとだけ助けてくれる系ヒロインを久々に観た。
もしこれがMCUだったらアンがシーヴェノムになって一個中隊を壊滅しながらエディのところに来る場面があったはず。
そんでさほど意味なくエディにディープキスでシンビオートを受け渡す場面や、ラストでヴェノムが「アンは俺たちのものだ」という台詞も現代では嫌われそうな場面や台詞だ。
終盤、音波でヴェノムを助けたアンが「私だって戦えるって言ったでしょ!」とは言うが逆に「2018年の映画にしては活躍できなかった女性キャラだなぁ」という事実が浮かび上がっただけだ。
とにかく、展開やキャラや台詞やどれも古臭かった。
だが、もしこれが90年代の映画だったら確実にアンが寄生されるくだりで全裸になったりとかそういうセクシーな場面があったはずで、そういうエッチなシーンがないところだけは現代だなと思った。
こんな内容では(アメコミ関係以外の)評論家の人達は内心褒めたくても褒めることは出来ないだろう。
あれやこれやと言ってきたが僕は評論家でも何でもない、ただの映画好きのインターネット感想マンでしかないので「古臭くて荒かったけどヴェノムは楽しかったので好きだよ」と言いやすい。
革新的要素や正しいポリコレ要素ももちろん重要だが、僕としてはまずは「面白い」というのが先にくるから、そこそこ面白くて悪い問題が無ければまぁそれでいいわけです(勿論あらゆる要素が詰まってればなお良いですが‥)
本作の面白さの20%はヴェノムの変幻自在さのほか、本作の殆どの魅力はトム・ハーディが締めてると思う。

 

 


トム・ハーディは、ヴェノムに寄生されて以降は具合悪くなって、しょっちゅう転げ回ったりレストランの水槽に飛び込んでロブスター丸かじりにしたりとトム・ハーディのワンマンショーが繰り広げられるが、本当にトム・ハーディの一人芝居が良い。全然飽きない。
今まであんまりトム・ハーディに注目してなかった。「ダークナイトライジング」ではマスク付けたクソみたいなベインだったし、マッドマックスでは口枷されて縛られてたし「ブロンソン」では別人みたいな格好だったし、とにかく今まで素のトム・ハーディをあまり見たことなかったのかもしれない。
すごい良かったはトム・ハーディのリアクション芸。。
そういえばMCUは好きですが繋がりとか絶えず頭の片隅に置きながら観てしんどい部分もあるので、本作は「デッドプール」シリーズ同様「もっと繋がりを気にしなくていい気楽に観れるMARVEL映画」というのも風通し良いところかもしれん。
そういえば「ヒーローになったのに最後の強盗のオッサン思いっきり食ってたよね?」とかも、それはそれで「まぁいいか‥ヴェノムにそんな事言っても仕方ないし」と思える大らかさも感じました。
本作「ヴェノム」は最初「デッドプール」や「ROGAN / ローガン」のヒットなどを受けて「同じ様にR18のグロ描写満載のアメコミ映画にする!」とか息巻いてた気がするが結果的に(そして一方的に)MCUスパイダーマンがいつ合流してくださっても良いように血が殆ど出ない健全な映画になった。その結果、人の頭を食う場面も「ヒョッ!」と血とか傷が一切映らないように食って、それだけじゃわからないのでエディやアンが「いま人食った!」とか口で説明するという間抜けな仕上がりになっていて「そんなに健全にしたいなら人食う設定にしなきゃいいのに‥」と呆れた。だが、あまり嫌味に感じないのもトム・ハーディさんの人徳でしょうな。
もうトム・ハーディだけで持ってるような映画だった。
あ、あとスタン・リーのカメオで異常に感動した!

 

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

「L.A. ギャング ストーリー (2012)」ギャングスタ・スクワッドのトゥーマッチ暴力とカーチェイスがよかったです 🚙 - gock221B

⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫

Venom (2018) - IMDb

www.youtube.com

Amazon: Marvel X 10―アンソロジー (マーヴルスーパーコミックス 33)
Amazon: ヴェノム:リーサル・プロテクター
Amazon: スパイダーマン:ヴェノム VS. カーネイジ
Amazon: ヴェノムバース
Amazon: エッジ・オブ・ヴェノムバース
Amazon: エンド・オブ・ヴェノムバース
Amazon: アブソリュート・カーネイジ

f:id:gock221B:20211211065427g:plain

#sidebar { font-size: 14px; }