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『キャッシュトラック』(2021)/ステイサム映画は後半まで観ないと超人アクション映画なのか凡人の人間ドラマなのかわからない🚚

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原題:Wrath of Man 監督:ガイ・リッチー 脚本:ガイ・リッチー/イヴァン・アトキンソン/マーン・デイヴィス 製作国:アメリカ/イギリス 上映時間:119分
原作:ニコラス・ブークリーフのフランス映画 『ブルー・レクイエム』(2003)

 

 

ステイサムは好きだが特に観に行く予定じゃなかったんだけど近所でやってて折角だから観にいった。ネタバレ、少しはあるし読めばわかると思うが公開直後だからボンヤリ書きます。2003年のフランス映画『ブルー・レクイエム』のリメイクらしい。
”Wrath of Man”という原題が分かりにくいと思ったのか現金輸送車を表す『キャッシュトラック』に邦題が変わってるが「キャッシュトラック」と聞いてすぐ現金輸送車だとピンと来る日本人も少なさそうだし、かといってカッコいい響きというわけでもなし、よく意味わかんない邦題だ。まぁいいや。
ロサンゼルスの現金輸送専門警備会社に〈H〉(ジェイソン・ステイサム)と名乗る男が入社する。
合格スレスレの70点くらいの点数で合格したHだがステイサムなので当然、わざと低い点数で目立たないようにしている事は観客全員気がついてる。
擬態型か~?
ある日、キャッシュトラック(現金輸送車)で現金輸送中のHと先輩。
……この先輩はジョシュ・ハートネットが演じてる。ステイサムは後で出てくるスコット・イーストウッドとかジェームズ・フランコとか、絶妙に一線級じゃない俳優や一線級から若干、退いた絶妙な人らをサブキャラにするよね。
とにかく、そのキャッシュトラックを走らせてると早速、強盗に襲われる。
だがHは、慌てる先輩を放っといて、あっという間に全員を一撃で皆殺しにする。
やっぱり擬態型だッ!
冴えない中年男性のフリして警備会社に入ってきたH。只者ではないが一体何者なのか?そしてHが追う強盗団の正体は?……それは続く中盤の回想で語られる。
別に想像の範囲内だと思うしSNSでもないので別に書いても問題ない気もするが、何となくファスト映画みたいに読んだら全部わかっちゃう言い方は避けよう、なんとなく。
とにかくキャッシュトラック強盗団への復讐のため凡人のフリして忍び込んだってコト。
とにかくHと、Hが狙う強盗団の正体、Hが強盗団を探している理由等がわかった。
関係ないがステイサムの次に偉い部下を演じる白髪ヒゲのオッサンが凄くカッコいい。
序盤でHが速攻、関係ない強盗団を皆殺しにしたのも狙ってる強盗団かもしれんと思ったんだな。割と無理ある設定だがキャッシュトラックの警備員なら強盗を全員ブッ殺しても正当防衛で罪にはならんし強盗団も次から次へとやってくる。合理的だ。
Hが強盗団を迎え撃とうとしてるが、強盗団も長い年月をかけて内部の手引で強盗していた。当然、職場でヒーロー扱いされたHの事も警戒した計画を練る。
現金輸送専門警備会社を莫大なカネが通過するブラックフライデー。後半は、この日に強盗を決行する強盗団との戦いになる。

 

 

 

ところでステイサム映画は大きく分けて二通りあって、ステイサムが超人でアクションを見せる映画(エクスペンダブルズ、ワイルドスピード、アドレナリン、MEG等)、ステイサムが普通の人間として人間ドラマを見せる映画(バトルフロントハミングバードなど)、この2つある。
で、本作は人間ドラマ寄りだと思うんだけど、前半で複数人の強盗団を全員一撃づつで射殺する……という普通の人間からしてみると神業を見せるので正直どっちかよくわからない。中盤の普通の男としての人間ドラマを描いた回想……を観てもまだわからない。後半でステイサムが覚醒して『ジョン・ウィック』や『イコライザー』みたいに数十人くらい皆殺しにする超人になるかもしれないからだ。
本作の場合、いよいよ映画が終わるって直前にやっと「今回は普通の男の人間ドラマが中心の映画だったか」とわかった。「普通の男」といっても現実の人間と比べるとずっと強いのだが……ここで言う「普通の男」という根拠は単純にステイサムが強盗団に押し負けてしまうからだ。後で奥の手を見せるわけだがとにかくエクスペンダブルズのクリスマスなら敵がアーマー着てようがナイフだけで皆殺しにできるだろう。だから普通の男ってわけ。
というか、むしろ映画の半分以降はステイサムよりむしろ強盗団の方が目立っており、彼らの裏切りの連鎖が完全にステイサムを喰っており強盗団が主人公に見えてくる。
スコット・イーストウッド演じる強盗団の危険な男もさる事ながら、キャッシュトラック会社の内通者となっていたオッサンが活躍しすぎ!見覚えあるキャラを5、6人くらい殺してしまう。ここまで殺せる格のキャラじゃないのにあまりに殺し過ぎるから本当に憎くなってくる。できればステイサムがこのオッサンを殺して欲しかったものだ。
基本的に最後まで楽しめる面白い映画だったが色々モヤモヤする部分もある。
色々あってステイサムが映画を終わらせるわけだが主人公がステイサムだけに「力で押し負けるが絡め手で勝つ」というのは正直、あまりスッキリしないものがあった。もう真正面からブッ殺してほしかったし、こういう内容なのであれば、もっとアクションの印象が薄い演技派の真面目そうな俳優の方が本作の内容に合ってたんじゃないだろうか?
もしくはステイサムも強盗団の一員にして裏切りの連鎖に焦点当てる肉体派レザボア・ドッグスみたいな映画にするとか。
ステイサムは強盗団に、回想で一回、ブラックフライデーで一回と2回負けるわけだが正直メタ的には2回ほど本当に死んでいるように見える。
よくレイプ復讐映画とか観ると「犯された女が蘇って男たちを惨殺するのは良いけど、何か一回死んで蘇って強くなった後は、まるっきり別人みたいになってるからスッキリしきれないものがあるな」と思う。別に映画は「スッキリするために観る」というポルノ的なものではないので、それは自分がスッキリしないだけで構わないのだが本作もレイプ復讐映画と似たスッキリしなさがある。
Hは強盗団に「あいつは闇の精霊だ……」と超常的な存在であるかのように語られてるシーンが1、2回あったがHは実際に復讐の精霊のように描かれている。
本当は、あの回想の時に殺されてしまっていて、自分が殺された事を気づいてない悪霊として強盗団に不運をもたらし取り憑いて呪い殺した……そんな風に見えなくもない。そもそも元の組織から抜けて過去も名前も変えて……ってそれはもう幽霊と全く変わらない存在だしね。実際は人間で、合理的な手段で強盗団を倒すわけだが、そうじゃなくて映画的には幽霊が呪い殺したかのように見えるって話。わかる?

ステイサムが普通の男を演じる人間ドラマ的な映画にも『ハミングバード』『バトルフロント』など好きなものもあるが、個人的にはやはり超人的な強さの方を求めてるので本作はそういう意味では期待と違ったが、これはこれで面白い映画でした。渋いしね。
それにしても副組長みたいなヒゲのおじがマジでカッコよかった。
f:id:gock221B:20211023232848j:plainこの人ね

 

 

 

そんな感じでした

🚚🚚🚚🚚👨🏻‍🦲🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚🚚

Wrath of Man (2021) - IMDb

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