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『リアリティ』(2023)/特殊な方法で撮られてるのだが、スノーデンに続きアメリカ政府の情報漏洩したNSA女性職員の興味深い話なので普通の映画にして欲しかった👧🏼


原題:Reality 監督&脚本&製作総指揮&原作:ティナ・サッター、原作は彼女の舞台劇『Is This a Room』(2019) 脚本:ジェームズ・ポール・ダラス  製作国:アメリカ 上映時間:82分 公開:2023年5月29日(日本は2023年11月18日)  

 

 

シドニー・スウィーニーの出演映画を観ようとして観たもの。
「彼女が演じる女性がFBIに尋問される映画らしい」という事だけ知ってたが主人公がセクハラされたりする『コンプライアンス 服従の心理』(2012)みたいな胸糞映画だったら気ぃ悪いから観たくないなと思って検索したら、そういう内容ではなく、また実話を元にした映画だとわかった。あまり報道されてないようで知らなかった(事実、本作の監督も、この事件のことをよく知らなかったらしい)。
監督が同じ内容の舞台劇『Is This a Room』(2019)を上演して、それをセルフ映画化したものみたい。

ネタバレあり

 

 

 

 

2017年アメリ。25歳の女性リアリティ・ウィナー(演:シドニー・スウィーニー)が帰宅すると、二人組のFBI捜査官(演:ジョシュ・ハミルトン、マーチャント・デイヴィス)に声をかけられる。彼らはある事件に関する捜査を行っておりリアリティに話を訊きたいと言う――

そういう話。
この映画は実在のReality Winnerという凄い本名の若い女性を、FBI捜査官が尋問した録音データを俳優たちが完全再現しており、ほぼ実際の尋問の時間通りに映画も進んで尋問が終わると映画も終わる。

前半は、帰宅したリアリティが笑顔のFBIに呼び止められて「何買ってきたの?」みたいな柔らかい質問から始まる。
リアリティが買い物を家に持って入ろうとすると「あ、僕たちが手伝うから」と、リアリティが自由に行動することを止める。
FBIは自分たちの身分を明かすと「ちょっと話訊かせてもらってもいい?」と、雑談を始める。態度や言葉は優しいのだが話する以外の選択肢は一切ない事は言外に伝わってきてるので真綿で首を絞められるようなプレッシャーがじわじわと伝わってくる。
観てるこちらも自然と、屈強な国家権力に囲まれて不安そうにしているリアリティに感情移入して観てるので、まるで自分が職質を受けてるみたいな気持ちになってきて不快感がじわじわ膨らんでくる。

しばらくすると増援も5、6人くらい?到着し、リアリティを外に待たせたまま家宅操作が始まる。
「君は一人だよね?中に誰かいる?」「家には犬と猫だけ?本当に誰もいない?」と訊いてくるし、リアリティを警戒していることがわかる。

 

 

家宅捜査が続く中、空き部屋を使って最初からずっと居る二人のFBIがリアリティに本格的な尋問を始める。
最初は「水飲む?トイレ行く?疲れるから座ろうか?」などと優しく声をかける。
リアリティは軍にいたがNSA契約社員として働いていることなどが語られる。
やがて「君はアメリカの重要機密を外部に漏らさなかった?」というところまで詰められる。結局、訊きたいのはこれだったのだ。

結論をいうと当時、大統領選はトランプ vs.ヒラリーの一騎打ち状態だったのだが、トランプが大統領になった方が都合がいいロシアがハッキングや情報操作によって大統領選に介入し、トランプ大統領を誕生させたのではないか?……という疑惑が生まれた。
2016年アメリカ合衆国大統領選挙におけるロシアの干渉 - Wikipedia
それをまとめた情報をアメリカ政府が国民に隠していることに納得いかなかったリアリティは、個人の判断で外部に情報を流した。
……ということをリアリティは自白した。
リアリティの家族との電話音声によると、FBIはリアリティが情報漏洩した過程を全て掴んで乗り込んで来ており、だからそれを自白させる事よりも「きみは何でそんな事をしたんだい?」というリアリティの動機を訊きたい一心で来たのではないか?とリアリティは語っていた。
「立派な経歴&幸せな暮らししてるNSAで働く者が、その暮らしを棒に振りかねない危険を犯しながら突然アメリカの不正を暴露する……というエドワード・スノーデンみたい奴がまた出てきた。今後のためにもその心と傾向を知りたい」という事だろうか。
『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2014)/厨ニ病の少年が妄想する男が実際に居た。どんなスパイ映画よりも怖いし面白いリアルロールシャッハ💻 - gock221B
『スノーデン』(2016)/魔術のような盗聴盗撮システム。恋人を描いたところは却ってリアリティを上げている👓️ - gock221B

本作や、リアリティについての記事などを見ると「アメリカ政府が、自分たちに不利なことを国民に隠蔽している。NSA職員として働いていた私はその資料を見た時、見て見ぬふりが出来なかった。だから暴露した!」と、単純に正義感から行ったようなので、防ぎようがない。
彼女のノートに『風の谷のナウシカ』(1984)のナウシカが描かれてたのも正義感を表現してたのかも(絵柄も小さい女児が描いたような朴訥なタッチなので妙な純粋さが伝わってくる)。

リアリティが個人の情報漏洩罪として史上最長となる懲役5年の刑を受けたのも、スノーデンやリアリティのような者が出てこないように見せしめのためだと言われている。
正直言って自分も割とスノーデンやリアリティを応援したくなる。

 

 

で、そういう感じで、シドニー・スウィーニー見たさに観た本作のお陰でリアリティの興味深い事件を知れたし映画自体もそこそこ面白いのだが、最初に言ったように実際の事件のFBIが行ったリアリティへの尋問の録音データをそのまんま脚本にしてるので、関係ない雑談や咳払いなども完コピしながら後半でやっと確信に迫っていく。
映画タイトルも二重の意味が込められてるんだろうがリアリティは凄いあるんだけど、最初の字幕で事件のことをある程度書いてるし何が起こるかは大体知った状態の人がこれ観てるわけで、それなのにペットの話とか買い物の話とか尋問の前戯みたいな会話が延々と続くから「早く本題に入れよ」と思えてくるし、正直単純にあまり面白くない。
FBIが突然、生活に介入してきてもリアリティは全く驚いてなくて「この女の子なんかやったんだな」感丸出しなので、FBIが訊きたい事を尋ね始めても驚きとかないしね。
シドニー・スウィーニーやFBI役の演技が上手いので最後まで観てられるのだが、最後まで観ても「録音データ完コピに意味ある?」と思える(シドニー・スウィーニーはいつ見ても口角を下げてぐぬぬ顔が良い感じ)。
監督のインタビューとか読むと、若い女性が密室で屈強な国家権力に立ち向かった様を見せたかったとか言ってたが、それを聞いても録音データ完コピじゃなくて普通の伝記映画みたいにリアリティの劇映画を撮ったほうが良かったんじゃ?と思ってしまう。映画の半分くらい、事件と関係ない雑談だからね。
「録音データでの黒塗り部分は、語ってるリアリティやFBIが一瞬画面から消える」みたいな演出は面白いと思ったが普通に、NSAで働いてるリアリティがトランプ政権に疑問を抱いて情報漏洩して、終盤で家宅捜査&尋問うけて連行されて終わりという普通の映画のやり方の方が絶対に良かったと思う。
本編の殆ど関係ない話なのに、もっと聞きたいトランプ政権の情報漏洩の話、最後の方で1、2分話すだけだからね。
そういえば劇中でリアリティの顔写真などはシドニー・スウィーニーが撮ってるんだけど、SNSの動画などは現実のリアリティの動画を使ってたりするので、映画を観てたら突然シドニー演じるリアリティじゃない女性が、リアリティとしてSNS動画に映ってたりするので「この主人公、実際のリアリティを殺して成り代わってるの?」などと勘違いを最初の方していた。ややこしいから劇中のSNS動画もシドニーで撮り直すべきだろう。
リアリティは連行される前に愛犬と愛猫のことだけが心配で、連行前に動物愛護の人に連絡する約束をFBIにしてたので「犬と猫どうなった?」などの余計な心配しなくて済みました。
ちなみに本物のリアリティは最近、釈放され元気にしてるみたい。
www.youtube.com

 

 

 

そんな感じでした

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Reality (2023) - IMDb
Reality (2023) | Rotten Tomatoes
リアリティ - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

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