gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🍿🐱 ネタバレあり 😺 Filmarksも https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『サンクスギビング』(2023)/フェイク予告みたいにエクスプロイテーション風に加工された映像で観たかったかも🦃


原題:Thanksgiving 監督&原案&製作:イーライ・ロス 脚本&原案&製作:ジェフ・レンデル 製作国:アメリカ 原作:『グラインドハウス』内でのフェイク予告編『感謝祭』(2007) 上映時間:106分 公開日:2023年11月17日(日本は2023年12月29日) シリーズ:『サンクスギビング』シリーズ第1作目

 

 

今年公開される人気ゲームの実写映画化『ボーダーランズ』(2024)が楽しみなイーライ・ロスの久々のホラー映画。
クエンティン・タランティーノロバート・ロドリゲスが中心となって作られたアンソロジー映画企画『グラインドハウス』(2007)(グラインドハウスというのは平たく言うと70年代のエロとかグロ多めのB級、C級映画のこと)。
その内訳は、クエンティン・タランティーノの『デス・プルーフ』(2007)とロバート・ロドリゲスの『プラネット・テラー』(2007)という2本の映画本編と存在しない5本の映画のフェイク予告編によって成り立ってたけど日本では8日間だけ東京都内2館だけで公開されたが、それ以外は『デス・プルーフ』(2007)と『プラネット・テラー』(2007)がそれぞれ普通に公開されてた。
タランティーノの『デス・プルーフ』(2007)はマジで物凄い傑作で、僕は長年「僕の好きな映画ナンバーワン」だった……のだが、『キル・ビル』(2003)撮影中、車の運転を嫌がるユマ・サーマンに運転を強要して事故ったらそれを隠蔽した事が後に明らかになった。「そんな車での不祥事を隠蔽しつつ変態男が女を車で殺しまくったり反対に男が女に殺される映画とか……一体何考えて撮ってたんだ?」(今思えば己を罰したい自己嫌悪も含めてそんな内容だったのかもしれない)とか「そんな間、ずっとユマ・サーマンのこと隠蔽したままファンだった僕は喜んでたのか」などと思うと、とても楽しい気分ではもう観れなくなったので『デス・プルーフ』(2007)は一番好きな映画だったのだが渋々なかったことにした。
話が逸れたが、その『グラインドハウス』内でのフェイク予告編、その中の一つ、イーライ・ロス監督の『感謝祭』(2007)を17年も経った今、長編映画化したもの(しかし何故?)。
Thanksgiving | Eli Roth Trailer 2007 - featured in Grindhouse - YouTube
↑これ年齢制限がかけられててYOUTUBEに行かないと観れないみたい


グラインドハウス」のフェイク予告から長編映画化されたものは他に『マチェーテ』(2010)とか『ホーボー・ウィズ・ショットガン』(2011)などがあった。
で、昨年末に公開された本作は『マーベルズ』(2023)と同じくらい大ヒットしたので早くもイーライ続投で二作目の製作が決まった。『マーベルズ』(2023)は昨年のディズニーに壊滅的な損害をもたらした大爆死大作だったが腐ってもMCU、そんな爆死映画ではあっても他の普通の映画に比べれば大ヒットの部類に入る。しかも『マーベルズ』(2023)の制作費は1億3千万ドルなのに対して本作の制作費は1500万ドル。ホラーの制作費は安上がりでディズニー大作は不必要なほどカネかかってるとはいえ9倍くらい違う。そんな二作の売上げが同じくらいなのだから本作が如何にヒットしたかがよくわかるというもの。

ネタバレなし

 

 

 

 

感謝祭を祝うマサチューセッツ州の小さな町プリマス
主人公の父が経営するスーパーマーケットで起きた事故”ライトマート・マサカー”が起きた翌年の感謝祭、
ライトマート事故で目立っていた町民たちが連続殺人鬼ジョン・カーヴァーによって次々と殺害され、被害者は感謝祭を模した食卓に並べられる。
いったいどうなってしまうのか――

そんな話。
要は感謝祭スラッシャー映画。記念日に因んだスラッシャーは数多く作られてる。まぁスラッシャー自体あまり興味ないので殆ど観てないけど……。
感謝祭は我々日本人には縁遠い……しかし我々映画好きはアメリカ映画の中でクリスマスの次くらいに見かける記念日。なんか七面鳥クランベリーソース、マッシュポテト、パンプキンパイ……などを食べながら何かを祝う日だ。それ以上のことは興味ないのでよく知らない。今後アメリカに住むことはおろか行くこともないだろうし……僕にとって”アメリカ”というのは映画、音楽、文学、コミック、TV、プロレス、ゴシップ、陰謀論……色々なことを楽しめる娯楽の中心だが、しかし自分の住む国の地続きとして捉えていない。実在の国だがアニメファンが観てるアニメに近い。きれいごとを除いて話すとな。だから欧米でアジア人が最下層なことを忘れていたのだが、先日のアカデミー賞ロバート・ダウニー・Jrがキー・ホイ・クワンを無視した事件で「あっ……アジア人が差別されてるのは知ってるけど実際に住んだり無視されてないから見て見ぬふりしてアメリカ文化全体を我がことのように楽しんでたのに魔法が解けた……」と見て見ぬふりしていた事に気付かされて「差別よくない!」とかそういった”正しいこと”以上に自分自身の楽しみだけのために少なからず動揺した(豊かでない暮らしをしているので今はそういった不真面目な態度を見て見ぬふりしてほしい)。だが多かれ少なかれ我々は見て見ぬふりをして暮らしていても最終的には大きな石をどけてその下のおぞましい生き物に直面する日がいつかやってくるのだ(その最たるものはだ)。
話を元に戻して、”感謝祭”のことはよく知らないしちょっと調べる気も起きないのでWikipediaを貼っておくとして
感謝祭 - Wikipedia
本作の連続殺人鬼が仮面やコスプレで扮している”ジョン・カーヴァー”は、アメリカ初期の入植者だが恐ろしい伝承もあるという偉人か怪人かよくわからん人物らしい。
www.youtube.com

アラン・ムーアの『V・フォー・ヴェンデッタ』(1982-1989)の主人公”V”や、ハッカー集団”アノニマス”のハッカーたちが被ってるガイ・フォークスみたいなノリで(というかアノニマスは明らかにVから着想してるから同じか)ジョン・カーヴァーの扮装も感謝祭の時に楽しまれてるのかな?

話を戻そう……なんか今日は関係ない話ばかりして進まない。
映画の冒頭、感謝祭の日に主人公の女子高生の父親が経営するライト・マートでは毎年、感謝祭セールが行われているらしい。
そして昨年の感謝祭では”ワッフルメーカー”が安売りでこれが目玉だった。それ目当てで町民が大挙して押し寄せている。
主人公と仲間たちは、主人公がライト・マート経営者の娘だからか中に入ってスマホを買おうとしている。それを見た町民は「私達は並んで待ってるのに既に中に入ってるやつがいるぞ!」とエキサイト。警備員をなぎ倒してライト・マートに突進!
そのままライト・マートの入口をぶち破った町民たちはゾンビの群れのように店内になだれ込み、ワッフルメーカーや色んな商品を奪い合う!
そんな町民の勢いになぎ倒されたり、ショッピング・カートに轢かれて死ぬ町民も何人か出る始末!

よく海外アニメなんかで、スーパーの特売セールで奪い合うギャグとかがよくあるが、あれを実写化した感じ。
あまりのアホらしさが凄い。正直、本編で出てくる感謝祭シリアル・キラーより冒頭のこのライトマート・マサカーの方が凄い。
まぁ本編で連続殺人鬼ジョン・カーヴァーもいちいち挙げるとキリがないほどアホらしい死に様のオンパレードだが……。
というのも最初に言ったように本作の原作は監督が17年前に作ったフェイク予告。
「70年代にこんなにエログロ満載で過激でしょうもないC級映画が作られてた!」といったノリで映像や録音も当時感を出すためわざと劣化させていた。
今回は、作中も現代で映像も普通の、完全最新ホラーとして作られてる。「『グラインドハウス』(2007)企画とか知らん人が多いし、いきなり70年代のエクスプロイテーション映画みたいに劣化加工して公開したら戸惑う人が多いだろう」という事で現代の新作として作ったんだろう(推測)。
しかし劇中で起こる凄い殺人描写は、フェイク予告にもあった「いかにも無茶苦茶な70年代エクスプロイテーションでの出来事」みたいなノリで描かれてるので独特の異様な雰囲気で進んでいく。冒頭のライトマート・マサカーもそんなありえない描写の一環だと言える。
↓2007年のフェイク予告と本作の比較動画

www.youtube.com
この比較動画を観ると、SEXなどのエロい描写は少なかったり控えめな描写にしてる事がわかるね。
殺人なども”70年代の馬鹿エクスプロイテーション映画”みたいなノリで描かれてるので人体が妙に柔らかいのが面白い。ちょっと堅い木の棒とか飛んできたら全部人体を貫通したりするので観ていて気持ちいい。



実のところ、冒頭のライトマート・マサカーは楽しかったけど、それ以外の場面は物語になかなか入っていけなかった。
というのも、これは個人的な好き嫌いかもしれないが主人公たちが全員魅力がないので、彼女らの私生活を見るのが結構苦痛なんだよね。
アメリカ映画やスラッシャーの定石通り、優等生女子、チアガール、体育会系の男子生徒、屈強な黒人、オタク系の奴……みたいなステレオタイプスクールカーストって感じで描かれてるんだが、彼女ら主人公とその仲間たちがルックスも性格もとにかく魅力なかった。イーライ・ロスの映画のキャラって大抵魅力あるのに今回はイマイチだなと思った。それで、レンタルで借りたんだが前半を見終わるまでに何日もかかった。
それで何とか映画の半分?くらいまで観たら、ジョン・カーヴァーの殺人が活発になっていくので楽しめる。
で、『スクリーム』(2022)とかと同じなんだけど、誰が犯人かな~と推理しながら観ていくのが楽しい。まぁ大抵のスラッシャーは如何にも動機がありそうだったりあからさまに怪しい奴は犯人じゃない事が多い(裏の裏で、一見怪しい奴が……やっぱり犯人!)というパターンもある。で、真犯人は凄く空気みたいなどうでもいいサブキャラが殺人鬼だった……というパターンが割と多い気がする。
その辺は知らない方が楽しいと思うので、殆ど映画冒頭と全体的な概要しか話してないけどネタバレしたくないので本作の感想はこれで終わっとこう。
登場人物たちに魅力なさすぎて前半こそ辛かったが、そこ我慢したら最後まで面白かったです。
続編はもうちょい魅力的なキャラを追加するか主人公変更とかしてほしい。

 

 

 

そんな感じでした

イーライ・ロス監督作品〉
『グリーン・インフェルノ』(2015)/意味あるシーンだらけで胸焼けしてたら主人公が無意味に川に落ちる場面で笑った🍖 - gock221B
『デス・ウィッシュ』(2018)/ただただ善良な男が善良なまま最初から狂っていた復讐サイコウォーリアー映画💀 - gock221B

🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃🦃

Thanksgiving (2023) - IMDb
Thanksgiving (2023) | Rotten Tomatoes
サンクスギビング - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

www.youtube.com

#sidebar { font-size: 14px; }