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「悪魔の起源 -ジン-(2013)」トビー・フーパーの遺作になった幽霊屋敷系オカルト中東ホラー

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原題:جن 監督:トビー・フーパー 製作国:アラブ首長国連邦 上映時間:86分

ロメロが亡くなったと思ってたら先日トビー・フーパー監督が亡くなった。
僕は特にジョン・カーぺンターのファンだが、この辺の映画監督は世代なので大体観てた。
映画史に残る重要文化財級の傑作「悪魔のいけにえ(1974)」は勿論、個人的には子供の時から何度も観た「スペースバンパイア(1985)」が一番好き。
あとはスピルバーグと一緒に作った「ポルターガイスト(1982)」や、「悪魔のいけにえ2 (1986)」「死霊伝説(1979)」あたりも好き。その他の作品も、地味だが面白い。
しかしこの「地味」というのがネックで、90年代以降はあまり大作を撮れなくなりB級ホラー映画を職人的に撮ってる人という印象だった(ジョン・カーペンターもそう)。
だが黒沢清トビー・フーパーを訪ねた著作で書いていたが「悪魔のいけにえ撮って、他にもヒットした映画を何本も撮ってて街でも彼はマエストロで人生をエンジョイしてるんだ、同情するのは間違っている」みたいな意味のことを書いていた。
確かに悪いけ一本だけで普通の映画100本分くらいの価値がある。
本作はフーパー監督が亡くなったことによって遺作になってしまった。
失礼ながら「何か地味そうだな‥」とか「中東の映画とか、ピンと来ないな‥」と思って積んだままで観てなかった。
つまり色々書いてきた僕自身も、トビー・フーパーの映画をじわじわ観なくなって、あまり観られなくなった監督にしてしまった原因の一人だったんだと改めて気がついた。
ちなみにトビー・フーパーを大尊敬している黒沢清監督は本作も大好きらしい。


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夫ハリドと妻サラーマの金持ちそうな夫婦。
二人の間に出来た赤ん坊が亡くなっててしまい、サラーマは失意で鬱状態
夫は「故郷で暮らして心を癒そう」とアラブに帰国。
NYで暮らしたい妻を夫は説得して、砂漠の中にある高級マンションで暮らし始める。
このマンションがあった場所には以前、いわくつきの建物があった。
そこは、人間の男が黒衣の悪霊「ジン」の女の精霊と不倫して、人間とジンのハーフの赤ん坊が産まれた呪われた場所だった。
その建物を取り壊して高級マンションを建てたらしい。
マンションが建つ前、肝試しをした青年たちはジンに殺される。
そして冒頭、サラーマの説得に協力したNYのカウンセラーは、既にジンに憑依されていたので映画開始5分くらいで夫婦の命運は早くも尽きた。
夫婦の帰国を出迎えてマンションを見学したサラーマの家族も、マンションを出たところで速攻ジンに呪い殺された。
一人で留守番するサラーマは他人の気配や物音を感じ夫に電話するが、夫はジンの白昼夢を見たりして電話に出れない。
そして死んでしまったハリドとサラーマの赤ん坊は、どうやらサラーマの過失による事故で死んだことがわかってくる。
まあ、とにかくジンが呪うマンションに妻が留守番してて、夫も後で帰ってくるがどうなるか、という幽霊屋敷系オカルト映画。

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とりあえず妻のサラーマ役の女優さんが凄い美人。
色んな国の美人の中でも、中東の美人が一番美人な気がする。
カットが変わったり、電気が点いたり消えたりするのを利用してジンが現れるシーンは職人監督の風格があった。
それと砂漠にある高級マンション、その外は数m先も見えないくらい砂塵に囲まれていて何も見えない。夫婦は完全に閉ざされた超高層へと閉じ込められた。この辺りの舞台設定も渋い。見慣れないアラブ風の造りのマンションも見慣れないために非現実感を増している、そんなあれやこれやが渾然一体となって凄く幻想的。それらが良いところだった。
何となくJホラーの影響がある気がする。「呪怨」で見た廊下の向こう側から電灯がパンッパンッと消えていくシーンや、監視カメラで黒い影が蠢くシーンとかあった(それが呪怨が初の演出じゃないかもしれないが)
でも、かなり低予算っぽいし、たまに出てくるCGは、CG使ってない怖いシーンの見事さと反比例するかのようにショボかった。
寝室を覗いたらぬいぐるみが組体操して置いてあって、電気が消えてまた点くと全部消えていたシーンは「ポルターガイスト」を思い出して懐かしい気持ちになった。
映画が進むと、夫婦の赤ん坊はジンの血が入っていて普通の人間ではなかった事がわかる。
この辺の事実や夫の幻覚の内容で大体どういう展開になるのかわかってくる。
悪霊が近づいて→うわーっと襲われる被害者のアップが映ったらカットが変わって被害者死んでる‥みたいな感じで、殺される瞬間がないので物足りない。
血すら出ないのでこれがアラブのレイティングなのかもしれない。
そのまま捻った展開なしに終わる。
これが近年流行りのジェームズ・ワン系のオカルトなら、終盤で人間たちが力を合わせて悪霊を打ち負かすのだが、これはアメリカ映画ではないので悪霊が勝って終わる。
どうせならクトゥルー神話的な、とても太刀打ちできない強大なパワーで滅ぼされるのなら逆カタルシスあるが、本作はジンが間接的に人間を自滅させる系の攻撃なのでこれもかなり地味で、終わった時に「え、終わり?」と思ってしまった。別に「だからダメだ!」と批判したいわけではないのだが質素な感じだった。
だけど本作の裏テーマは、赤ん坊を(過失で)失った夫婦の自己嫌悪をホラーへと転換した映画って感じだったのでションボリした感じで映画が進んで、そのまま終わるのも、らしいっちゃらしいかもしれない。
‥と納得はしたものの、やっぱ悪霊退散させるか、もしくは逆にめちゃくちゃにやられるかのどっちかが観たかった気がする。
それにしてもアラブ首長国連邦の映画を初めて観たわ。

そんな感じでした

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