gock221B

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「サンバ(2014)」 ”最強のふたり”の監督&主演黒人タッグ+シャルロットによる新作。ラスト5分前くらいまでは良かったのだが‥

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原題:SAMBA ※フランス映画

ただ単に、シャルロット・ゲンズブールが出てるやんと思って借りたら、監督は日本でもヒットしたあの面白い「最強のふたり」のコンビ監督オリヴィエ・ナカシュエリック・トレダノ。主演の黒人も「最強のふたりのアイツ‥最強黒人オマール・シー氏だった。
気付かなかった。「最強のひとり」というタイトルならすぐ気づいたものを。。
オマール・シー氏はその後、本編中ちょっと走って後は寝てるだけだったX-MENのビショップ役やジュラシックワールドの面白黒人など大作に出てアメリカでもブレイク寸前という感じ(あまりにちょい役だったので今までこいつだと気付かなかったが)

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黒人サンバは出稼ぎのためにフランスに来て、レストランで働いて10年経つが、ビザがうっかり失効してしまい国外退去のピンチに陥ってしまう。
移民支援協会で担当となったアリス(シャルロット)はサンバに助力する
サンバは色々な日雇い労働などで糊口をしのぐが、最強のふたり同様、基本的な地が魅力的な人物として描かれている。人と話す時は「浮浪雲」の浮浪みたいに無言上目遣い微笑でじっ‥と見つめるので男女問わず大抵の相手に好かれる。

 

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シャルロット演じるアリスは元キャリアで燃え尽き症候群になり移民支援協会で働いている(と言っても勤めているわけではなくボランティア活動のようだ)
そのせいか人生に若干疲れた厭世的な雰囲気がただよっている。
夜も寝れないらしくパンツ一丁でワイン飲んでボンヤリしている。
この人は情緒不安定な役ばかりを演じるので大抵、服着て何もしてなくてもエロい。
アリスは、割と早い段階から彼に好感を抱き、着替え中のサンバのブラックボディに見とれたり、深夜にパンツ一丁でサンバの写真を見つめて「サンバ‥」とかうわ言を言ってたりヤバい
セオリーとして、彼女の様な疲労した中年女性が自由で陽気なサンバの様な男に惚れるのはありがちだが、まだろくに会話もしてない冒頭から彼に惚れていて、好きになるスピードが速すぎる。どうも「サンバの魅了値は高い」という設定っぽいのでわからないでもないが、オマールがサンバ役をやってなかったら単純に欲求不満なエロい女に見えてたかもしれん
もう少し触れ合ったり衝突した後に、こういう風になった方が良かった気もする。
サンバの事が好きすぎるあまり、サンバが他の女性の話をしてるのに自分の事だと勘違いして「私の方もあなたを好きだけど、まだ早いわ」とかフライング告白をうっかりしてしまったりしてアニメのキャラみたいだ
また彼女はサンバに気があるせいか、二人きりになるとすぐ過去の話やマッサージなどのエンター・ザ・SEX(今作った言葉。SEXに繋がりがちなコミュニケーションの事)を始めるのでホーニーな雰囲気になった。

 

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しばらくすると陽気な女好き日雇い移民仲間の自称ブラジル人ウィルソンも仲間になる。
彼は本当はアルジェリア人なのだが、仕事にもモテにも有効なのでブラジル人を自称している(そして実際、シャルロットと移民局で一緒に働いている女性も「ラテン男は最高」とあっさり騙されてくっつく)
ビザが切れてるサンバ達を取り巻く状態がめちゃくちゃ厳しい様子はちょいちょい挿入されるのだが、サンバたちの人柄が明るいので辛くならず楽しく観てられる。
やはり活気や笑顔は大事だな、と子供のような感想を持った。


映画は大きな波がなく終わりそうだが、もう彼らに感情移入してたからこのまま彼らが幸せで終わってもまあいいかとか思ってたら、凄く強引にやってきた嫌な予兆に足を引っ張られる。
まあ、このまま終わったらインパクト残らないからネガティブ展開が起きてもいいかと静観して観てたら割と笑えない事になる。
確かにサンバがした事の因果が返ってきるのでおかしくはないのだが、このネガティブな出来事の描写はかなり強引に感じた。彼は彼で自分の人生が大事で道が開けているのに、まるでサンバを道連れにしなくてもいい自滅をしたがってるようにしか見えない。
彼をもっと悪人に描くか、逆にサンバの過去の行いをもっと悪く描く必要があった気がする。
あそこは、ただの殴り合い等の小競り合いでよかったと思うが、それだと出国→IDについて問いかけるラストにならないから、ああいう悲惨な事になったんだろう。
この最後に足を引っ張る人物がもっと明確な悪人だったらよかったのだが、そうではなく、映画のラストを盛り上げるためだけに悪人ではない人物同士が無理に感情的になって足を引っ張り合ってとんでもない事になる印象で、ハッピーエンド後も凄く後味が悪い(ある意味バッドエンドの方がまだマシだったかもしれない)
最後にシャルロットが言う「IDや身分とは、自分とは一体何なのか」を説く台詞自体は「ああ、これが言いたかったのね」と納得できて良かったのだが、とてもそんな気分になれず勿体なく感じた。もっと他の展開はなかったんだろうか?
とにかく、後味が悪すぎる。
返って来て悲惨な事になる因果が、移民やIDに関わる事ならよかったのだが、そうではなく無理やり困難な状況にするために一人のモブキャラの気を狂わせたしたようにしか見えない、だから後味悪いのかもしれない。
映画の殆どは、いい映画だと思っただけにそこだけが凄く気になる。
レストランで美味い飯を食い終わったら、皿の底に虫の脚らしきものを見つけたような気分と言うか。。
まあ、シャルロット充はできた

そんな感じでした


※追記:‥という感想を書いた翌日、ラストについて友人から「あれはあれでフランス映画っぽくていいんじゃないか」と言われ「そうかもしれん、そのままスッと気持ちよく終わったら喉越し良くても記憶に残らないかもな」と好意的に思い始めた。
また、そんなほろ苦い結末の後のラストに
「君が私を知ってたら、私を証明するものがなくても構わない。あった方がいいけど」という熱いテーマも感じた事も記しておく

そんな感じでした

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