原題:Baywatch 監督:セス・ゴードン 製作国:アメリカ 上映時間:116分
90年代まるまる放送してたドラマ「ベイウォッチ(1989~2001)」の映画版リメイク。
真っ赤な水着に身を包んだ男女のセクシーなライフセイバーたちが筋肉や巨乳やシリコンをぶん回しながらビーチで人命救助してたドラマ。
日本では90年代に放送してて、雑誌とかで見かける度に若き僕は赤い水着を着た女性隊員が観たくて仕方なかったがテレ東とかBSでやってたので観れなかったし、無理に入手して観るほど面白いものでもない事もわかってたのでレンタルして観ることもなかった(ちなみにオリジナル版の人気キャラを演じたデヴィッド・ハッセルホフやパメラ・アンダーソンも、この映画にゲスト出演している)
この赤いハイレグ水着は、それだけだと何とも思わないんだけど「これがベイウォッチ女性隊員の制服です」と決められた時点で凄いエロさを発揮する。多分「制服」という拘束性のある概念自体が女体にグイグイ食い込んでいくイメージになるからだろう。
‥という事に興奮してたのも10代の頃の話でさすがに今、ベイウォッチ水着観ても何とも思わなかった。
この監督はコメディ映画やドラマ制作をしてるらしいが「モンスター上司 (2011)」くらいしか観てない。そういえばモンスター上司もシモネタ多かったな‥
本作は長い間宣伝してたがひっそり公開され制作費をペイできず話題にもならず日本では知らん間にDVDスルーで出た(そしてそれを今俺が観てる)
ザ・ロックが出てるのでメジャー感あるし、何よりも大好きなアレクサンドラ・ダダリオの水着姿も観たいので「いつか借りて観るリスト」に入れてたがどうせ面白くないのもわかってるので観る気にならなかったが酒飲んで酔った勢いでなんとか観た
Story
フロリダのビーチを守る熱血ライフガードのミッチ・ブキャナン(”ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソン)そしてベテラン女性隊員ステファニー・ホールデン、セクシー金髪白人C.J.パーカーなどライフガード達によるチームベイウォッチ(水難監視救助隊)。
毎年行われる新人テストに合格して新加入したのは巨乳のサマー・クイン(アレクサンドラ・ダダリオ)、CJに片思いしているPC得意でコメディリリーフのデブキャラロニー・グリーンバーム。そして競泳の金メダリストだった生意気なマット・ブロディ(ザック・エフロン)。
生意気なマットはミッチに反抗しながらも徐々に成長していく。
ミッチはビーチでドラッグを発見、彼らは頼りにならない警察の代わりにベイエリアにドラッグを持ち込み汚染する犯罪者を探っていく‥
みたいな話
まあ、そんな他愛もない話。
他愛もないのでストーリーについて他に書くことはない。
当然最後はベイウォッチが犯罪組織をブッ潰してビーチに平和が訪れて終わる。
序盤の30分間は、筋肉ムキムキのザ・ロックや真っ赤なハイレグ水着に身を包んだ巨乳ライフセーバー達がスローモーションで走り回り牧歌的なお色気ギャグを展開し、ライフセーバー入隊テストや人命救助したりする。
特に目新しくはないが、彼らは男女ともに見事過ぎる金の取れるセクシーなボディをしており人命救助するし、一応こちらが観たかったものは見せてくれる。30分間。
だが第一幕が終わるとベイウォッチはビーチで発見したドラッグから、ベイアエリアの利権を牛耳ろうとする裏社会の女ボスのヴィクトリアを追跡していく流れになる。
こうなると彼らは本作の売りである水着じゃなくて私服でなんちゃって捜査を始めてしまう。面白くはないがセクシー水着が観れてた本作が突然、そこからはセクシー水着が見れない只のつまらない映画へと変化することになる。
この中盤から終盤にかけての捜査パートは、なかなかキツイものがある(だからこの中盤からラストまで僕は昔の思い出を思い出したりして過ごした)
緊迫した雰囲気で捜査やアクションしたりするのならまだいいが、本作は全編コメディ調で撮られている。
しかし気の利いた楽しいコメディではなく過去からタイムスリップしてきたかのような面白くない90年代のノリが展開されていくので、悪い意味で懐かしい気持ちになった。
ザ・ロックが赤ちゃんの部屋で悪党とぬいぐるみを投げ合ったり(ぶつかるたびにコミカルな音が鳴る)ダダリオちゃんが敵を油断させるためにシャツをめくり上げてブラに包まれた巨乳を見せたりする90年代どころか80年代みたいなシーンもある(いかにダダリオちゃん好きとは言ってもこんなスベってる巨乳を観ても嬉しくはない)
本作のターゲットはきっとオリジナルを観てた40~60代の中年~初老層だと思うが、こんなしょうもない80年代の香港映画みたいなノリでいいのか?
2000年代にジャド・アパトー一派やハングオーバー一派などが前進させた面白いコメディが僅か2時間で10~20年後退したかのような気分になった。
「そもそも何で海難救助隊員がギャングと闘ってるの?」という疑問も湧いてくる。
それは制作側も充分承知しているようで劇中で何度も「警察に任せた方が良くない?」と言わせる(その度に僕は「ごもっとも」と呟いた)
実際その通りだから戯画化っつーかギャグっぽいノリにしてるんだろうね。
一応、警察はいるがボンヤリしていて頼りない。「警察に言ったところで三下のチンピラをぶち込んで終わりでは意味ないから俺たちベイウォッチで巨悪を暴くぜ」という理由付けがされてはいる。
とにかくビーチを護らんとせんベイウォッチが独走して犯罪組織を追い詰める。
まあ、そうしないと話が進まないのでそこに文句をつける気は特にない。
ちなみに結末をネタバレすると、最終的にミッチは犯罪組織の女ボスを巨大花火で撃って爆殺!女ボスは全身バラバラになって死ぬ(ザック・エフロンが落ちてきた手足を触ってしまい「ひ~キモい!」と言うシーンまである)。
いかに殺人も辞さなくてドラッグを蔓延させてる極悪犯罪者とは言え、ミッチのような一般市民が勝手にブチ殺して全身バラバラにしてもいいんだろうか?ミッチはお咎めなしどころか警官から「なんか正直スマンかった」と謝られたりもする。
まあコメディなので細かい事言っても仕方ないって感じか(その辺も昔の映画っぽい)
そんな感じで80~90年代の映画みたいなグダグダしたノリが展開されてて、面白くはないのだが何だか懐かしい気持ちになった。そしてそれら過去のグダグダした映画の名前を挙げようとしたが記憶から完全に消えているので思い出すことができない(インディ・ジョーンズとかバック・トゥ・ザ・フューチャーとかああいう映画だけを挙げて「80年代っていいな~生まれてたかった」とか言う若者がいるけどあんな映画は千本に一本の傑作ですからね‥)
微妙な本作を観ながら「10代の時はグダグダのつまらない映画や海外ドラマ観ながらエロいシーンが来るのをRECボタンに指をそえて観てたなぁ」と懐かしくなった(だがそれは僕が自分の思い出システムに接続して生まれた感情であって決して本作が良いわけではない事を再度言っておこう)
本作は当然ヒットせず制作費をペイできなかった。
本作同様ドウェイン・ジョンソンとアレクサンドラ・ダダリオ主演の「カリフォルニア・ダウン (2015)」とか、ああいうシリアスな無茶苦茶アクションの海難救助ものだったらヒットしたのかも。
そして、調べたところデブキャラのロニー以外は、オリジナルのドラマに出てた人気キャラ達を新たにキャスティングしたらしい‥がオリジナル観てないので違いとか全くわからん(ちなみにデヴィッド・ハッセルホフが演じてはのは本作でザ・ロックが演じている主人公ミッチで、パメラ・アンダーソンが演じてたセクシーキャラはデブのロニーと仲良くなる金髪セクシーボディのCJ)
デブのロニーがCJの巨乳を見て勃起したチンコが椅子に挟まって抜けなくなる‥など、とても2017年とは思えない牧歌的なお色気ギャグが何度も展開される。
こういった昔みたいなお色気ギャグは特に面白くはない(そして当時も面白くはなかった)しかし、このご時世にお色気ギャグは勿論ハイレグ水着や巨乳が大作映画で観れることなどないので「貴重なものを観てるなぁ」というノリで盛り上がった。
大人なのでエロいものを観たければAVやポルノを見ればいい。だから別に映画でわざわざエロいものが見たいわけではなく「巨乳とかを強調したら叩かれるご時世に、ふんだんに映していて尊いなぁ」という感情だ。わかる?
アレクサンドラ・ダダリオやCJの巨乳を使ったしょうもないギャグなどもまた「珍しいもの観てるな」と思えた(そもそも今は女性層の人気が取れない巨乳女優が人気出る事自体が少ないのでダダリオちゃんは貴重な存在)
近年の欧米のエンターテイメントでは、あからさまにセクシーな表現やポリティカル・コレクトネスに反した表現があると叩かれる。
「女性キャラが不必要に衣装の面積が少なすぎる!もっと普通の格好にしろ!」とか「美男美女の白人ばかりじゃなくて黒人やアジア人などの様々な人種とかデブとかゲイの多種多様なキャラも入れろ!」とかそういうやつ。
それ自体は良い事だと思うので「何かしたくないのに無理やり色んな人種に改変してるなぁ」と思ったりしてもあまり文句はない。アメコミの女性キャラも必要以上にセクシーな格好してたキャラはどんどん露出面積が減ってるが「まあ、肌が見れないのは残念だけど闘うのに肌をやたらと露出してるを実写で見ると変だからまあいいか」と納得したりする(だから脚を出してるワンダーウーマンやX-MENのサイロックは凄く貴重なキャラを観た気持ちになった)
しかしそうなると今度は、少しでもポリコレに反したものを見つけると難癖を付ける事によって金をせしめる連中が出てきて必要以上にポリコレ狩りを始めている。
本当に女性やマイノリティへの不当な扱いを正そうとしているちゃんとした人たちは良いのだが、物事の隆盛からはそういったおかしな奴らの跳梁を許してしまうという負の側面もある。
そんな中、本作の中で久々に観た「大作の中で走り回るセクシー水着女性達」を観ると「鍛えられてるエロい肉体ってカッコいいな」とも思った。
そもそも巨乳とかケツとか自体はネガティブなものではなくセクシーで素晴らしい事なのに、何でもかんでも全部隠せ!という風潮や自主規制の嵐は、それはそれでおかしいよね。
「このエロい身体を見よ!とセクシーさを誇示するポジティブセクシー表現」と「不当に虐げられた性的搾取されてるハラスメント的セクシー表現」とを区別できればいいのに、その定義が難しいのがもどかしいな。人類は一体いつ進化するのか。それともこのまま衰退して世界の破滅を迎えてしまうのだろうか。
とにかくそんな結果、ハリウッド映画に残った文句をつけられないセクシー衣装はタンクトップだけになった。
タンクトップ着た女性がアクション映画に出てくると「これはタンクトップですが、これは実はエロい記号です」と言ってるように思えて可笑しい。
タンクトップについてはまた今度話す。
結論だけ言うと、もっと男女ともにエロい表現もほどほどに増やした方が映画として自然じゃないか?と言いたい。
アレクサンドラ・ダダリオは相変わらず乳がバカでかいし表情がクルクル変わる演技もポジティブな陽気に溢れてて可愛かった。何とか大ヒット作に出て売れてほしい。
本作は登場人物の肉体美と序盤だけ良かった。最初の30分と最後の5分だけ観れば充分
映画本編は大体面白くないので上記のような事を考えて自問自答したり、この感想を書いてる方が本編よりずっと面白かった。
しょうもないと思っても映画観るのをすぐに止めたりせず無理やり最後まで観るのも良いと思った。何故それがいいのかは具体的には説明できないが絶対にそうなので俺の言うことを信じてそうしてくれ。いつか自分だけの真の面白さを掴み取れるようになるために‥そうなれれば安上がりに幸福を追求できるようになる
そんな感じでした