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『ラブ、デス&ロボット』〈シーズン3〉 (2022) 全9話/好きなシリーズだしアルベルト監督作あるからネトフリと再契約させられた💓💀🤖


原題:Love,Death + Robot (Season.3) 総監督:ジェニファー・ユー・ネルソン 企画:ティム・ミラー 製作総指揮:デヴィッド・フィンチャーティム・ミラー、ジェニファー・ミラー、ジョシュア・ドーネン、 製作国:アメリカ 制作:Netflix、ブラー・スタジオ 配信時間:各話4~17分、全9話

 

 

 

 『デッドプール』(2016)『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019)の監督として知られるティム・ミラーと、『ファイト・クラブ』(1999)などでお馴染みの巨匠監督デヴィッド・フィンチャーが製作総指揮を務める大人向けのアニメシリーズ。
タイトル通り、SEX、バイオレンスとモンスター、ロボットとSF……を扱ったものが殆ど。あとはドラッギーなものも毎シーズン必ず多い。一言で言うと「白人のオッサンが好きそうな要素が多いオムニバスのアニメ」。白人のオッサンが好きそうなカルチャーで育った日本の独身おじの僕は当然好きです。
そんな話の内容もオムニバス形態も、昔あったカナダ&アメリカ制作のアニメ映画『ヘビーメタル』(1981)にノリが非常に似てる。僕は『ヘビーメタル』大好きだったので当然これも好きです。あとたまたま前から好きだったアルベルト・ミエルゴやRobert Valleyなどの素晴らしい画風のアーティストが参加してるのも嬉しいです。Netflixつまんないので退会してU-NEXTに乗り換えたんですが、コレ観るためだけに再契約した。
多少のネタバレあり。

 

 

 

 

第1話『ロボット・トリオ:出口戦略』 
原題:Three Robots: Exit Strategies 監督:Patrick Osborne    脚本:ジョン・スコルジー 原作:ジョン・スコルジー 制作スタジオ:Blow Studio 配信時間:10分

シーズン1の『ロボット・トリオ』の続編。3体のロボットが、人類が滅亡した後の地球を訪問して愚かな人類が如何に滅んだのか見学する話。
特に加もなく付加もなくという感じ。こういう、ロボットが「人類ってバカだね」と愉快に風刺する話は、まぁ確かに人類はバカだが、あまりに定番過ぎて最早何も言ってないも同然という感じもする。ディストピアものの映画やアニメはいっぱいあるが、このジャンルは正直、坂本慎太郎のアルバム『ナマで踊ろう』(2014)を聴くのが一番染み渡る、あとヴェイパーウェイブの名盤、Macintosh Plus『Floral Shoppe』(2011)どういうわけか、このテーマは音楽の方が刺さる気がする。
この可愛いロボット達を観ると凄く『ラブ、デス&ロボット』観てる気分になれるので、ロボ達を毎シーズンの第1話にしたらいいんじゃない……いや、トリオの本編は大して面白くないんでそれよりも「次の話は航海に出た船の話だよ~」「やっぱり人類は愚かだね」……みたいに『世にも奇妙な物語』のタモリみたいなストーリーテラーにしてはどうか?『ヘビーメタル』(1981)でも話と話の間にナレーションで誰かがそれやってたな。なんか妙に長い感想になったが正直あんまり面白いとは思わなかった。

 

 

第2話『最悪な航海』 ★★
原題:Bad Travelling 監督:デヴィッド・フィンチャー    脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー    原作:ニール・アッシャー 制作スタジオ:ブラー・スタジオ 配信時間:21分

デヴィッド・フィンチャー監督回。
巨大な漁船に、人喰い巨大ガニが襲来。そんな帆船で反乱と裏切りが起きる話。
カニは船底に住み着いており巨体故に上がってこない、だが空腹に耐えられなくなれば、ぶち破って上がってきそうな雰囲気。クジで負けた主人公はカニ退治で船底に落とされる。主人公は、他の船員を定期的に喰わせるから……と見逃してもらう。
凄くゴアシーンの多いバイオレンスな感じの3DCGアニメ、20分だけど満足しました。

 

 

第3話『死者の声』 
原題:The Very Pulse of the Machine 監督:Emily Dean    脚本:Philip Gelatt    原作:マイクル・スワンウィック『死者の声』(1998) 制作スタジオ:ポリゴン・ピクチュアズ 配信時間:17分
日本のアニメスタジオ制作。
木星の衛星イオでの探査で事故に遭った女性の宇宙飛行士。自分のスーツの酸素は漏れてしまっているので事故で死んだ仲間のスーツと接続し、その遺体を引きずって安全な場所まで移動しなければならない。そして自分の傷に対処するためモルヒネのような薬品を射って移動する。モルヒネ射った主人公はキマった状態になり惑星の自然が幻視によって様々な姿を見せる。そして死んだ仲間の遺体が話しかけてくる。
遺体は「自分はこの死体を通じて話しかけている、この惑星そのものの意思だ」と言い主人公との融合も望む。
やがて物語は終わるが、主人公が惑星と融合したのか、それとも全て薬の幻覚だったのか、わからない感じで終わる(最後に第三者視点で惑星に異変があるが、それも主人公の幻覚かもしれないし)。まぁこういう感じの話はフワッと終わってよくわからない方が良いです。

 

 

 

第4話『小さな黙示録』 
原題:Night of the Mini Dead 監督&脚本:Robert Bisi / Andy Lyon   原作:ジェフ・ファウラー、ティム・ミラー 制作スタジオ:Buck 配信時間:7分
ロサンゼルスで起きたゾンビ・パンデミックを描いたもの。凄く上空からの俯瞰視点で描いてて、映像は早送りで点のように小さいゾンビ達が超スピードで「ワーワー!」と人を襲う愉快な短編。各地の人類の抵抗が描かれる。楽しい以外にこれといって書くことないけど楽しかったです。ただもうちょっと長くても良かった。

 

 

第5話『絶体絶命部隊』 
原題:Kill Team Kill 監督&脚本:ジェニファー・ユー・ネルソン   脚本:Philip Gelatt 原作:ジャスティン・コーツ『Kill Team Kill』 制作スタジオ:Titmouse 配信時間:13分

『カンフーパンダ2』(2011)、『カンフーパンダ3』(2016)でのジェニファー・ユー・ネルソン監督の作品。
米軍の小隊が、CIAの実験で生み出されたサイボーグ熊と闘う。
唯一の2Dアニメ(といっても、これも3DCGの上に2Dっぽい絵を貼ってるだけだと思うけど)。田亀源五郎が描いたかのような小隊長が出てくるのだが、あまりに田亀源五郎すぎるルックスなのでビックリする。でもオッサンばかりのキャラクターやキャラデザも凄く良い感じ。本当にサイボーグ熊と13分間闘うだけなのであまり書くことないが僕はかなり好きでした。

 

 

第6話『巣』 
原題:Swarm 監督&脚本:ティム・ミラー   原作:ブルース・スターリング『巣(蠅の女王)』 制作スタジオ:ブラー・スタジオ 配信時間:17分
サイバーパンクスチームパンクの大御所ブルース・スターリングの短編SF小説『巣』(1982)が原作。製作総指揮もしてるティム・ミラー監督作。
蟻のような生態系で何万年も生命を維持してきた昆虫のような巨大宇宙生物の”巣”。2人の男女の科学者は、この「完璧な生態系」を持つ宇宙生物昆虫から人類繁栄のヒントを得ようと、この生態系を研究する。
みたいな話。女性研究者は虫たちと楽しく過ごしていたが、男性研究者はこの生態系を複製し利用しようと野心を見せる。女性は最初反対しかけるが「この生物は感情がない、この皆はこのままにしとくけど複製したものを使うのは良いだろう?誰のためだろうと働ければ良いんだから……」みたいな事を言い反論できない女性は従う。意思があったら尊重しなければならないが機械みたいなものだからいいだろって事なら、まぁね……と言うしかない。
勿論その目論見通りには進まない、野心を持ったからにはな。実はこの生態系の女王蟻は人間より遥かに賢かった。しかも女王蟻は「自分は、この生態系の『脳』の役割に過ぎない。我々全員が一つの生き物だ。我々のことは『群れ』と呼んでくれ」と言う。男性研究者は「くっ!だが、いずれ人類はここに来てお前らを負かすぞ!」と負け惜しみを言うが女王蟻は「そうかもしれないね?だが我々の長い生命の時間に比べて人類の時間はあまりにも短い……というか人類はここに来て我々を負かせるほど発展する以前に滅びるだろうけど」と言う。勝負あった。
クトゥルー神話などもそうだけど、人類より遥かに高度な生命体が出たら……そしてその生命体が人間とかけ離れてる姿をしてるほど不思議な快感がありますね。幸せに生きたい自分ごと全ての愚かな人類を皆殺しにしてくれるという他力本願的な快感なのかも。
『最悪な航海』『死者の声』に続いて、ここでも人外の高度な生命体が人間の身体を使ってコミュニケーションしてくるという描写があった。別に良いけど凄い被るね。各スタジオが個別に作ってるからか。

 

 

第7話『メイソンとネズミ』 
原題:Mason's Rats 監督:Carlos Stevens   脚本:Joe Abercrombie 原作:ニール・アッシャー 制作スタジオ:Axis Animation 配信時間:10

スコットランドに住む農夫のじいさんの納屋で遺伝子組換え肥料を食って急激な進化を遂げたミュータント・ネズミの暴動!
そういう話。じいさんが飼う猫があっという間に死んでしまうので人生の殆どの間、猫飼ってる猫好きの僕は一旦そこでテンション下がったが、ギャグなので気を取り直して最後まで楽しんだ。割とベタなオチのものが多いが本作のオチはかなり好きな感じ!

 

 

第8話『地下に眠りしもの』 
原題:In Vaulted Halls Entombed 監督:Jerome Chen   脚本:Philip Gelatt 原作:アラン・バクスター 制作スタジオ:ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス 配信時間:15分

人質救出のため山奥の洞窟に潜った特殊部隊の兵士たちに、古代の神が襲い掛かる。
一言で言うと『エイリアン2』(1986)みたいな小隊vs.モンスターの群れ的な感じです。『ラブ、デス&ロボット』に毎シーズン一話は入ってる話。印象薄かったですね。

 

 

第9話『彼女の声』 ★★★★★
原題:Jibaro 監督&脚本:アルベルト・ミエルゴ   原作:無し(オリジナル) 制作スタジオ:PINKMAN.TV 配信時間:17分

アルベルト監督は元々、このシリーズで2作手掛けてるRobert Valley同様に、僕が「アートが世界一カッコいい!」と思ってたアーティストだったがRobert Valley同様にシーズン1での傑作『目撃者』で監督&脚本を手がけてエミー賞アニー賞を受賞した。
アルベルト監督が手掛けた一番有名な仕事は『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)のビジュアル担当。後は『ウォッチドッグス レギオン』(2020)の予告編か。
アルベルト・ミエルゴ公式サイト
ネトフリはあまり観るものないけど、この男の作品は早めに観て早めに感想書かんと気が済まんという理由だけでネトフリ再契約した。

唄で人を死に追いやる力を持つ沼に棲む女を退治しに騎士団が攻めてくる、女の声で騎士団は全滅するが”耳の聞こえない騎士”はノーダメージ。沼の女は耳の聞こえない騎士に魅了されてアピールするが――
という話。沼の女は孤独だったがために耳の聞こえない男に特別なものを感じて心を許すが、それはただ「たまたま耳が聞こえない」という物理的な理由に過ぎなかったため、沼の女と耳の聞こえない騎士の利害は一致せず、あいも変わらず今も世界中で起こってる男女間……いや、性別を問わないパートナー間に起きるすれ違いによって悲劇で終わる。
ストーリー的には殆ど台詞もないし只それだけの話だが、やはりビジュアルが最高!
そして動きも素晴らしい。沼の女が超音波を発する直前の身体のくねらせや、それにたじろぐ騎士達のリアクションの動き……上手く言葉で言い表せないがオンリーワンの魅力を感じた。この監督を好きという理由もあるが、この17分間を観るためだけにネトフリに再加入した甲斐あった。でも比べるなら前回の『目撃者』の方が好みかな?
もう『ラブ、デス&ロボット』シリーズとか『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズとか、どうでもいいからオリジナルの長編アニメを作って欲しい。

 

 

 

そんな感じでした。今回もアルベルト監督作が良かった。あとは『死者の声』と『巣』が良かったかな?あまり響かなかった星1だった作品も全部好きなので、コンスタントに……毎年一本更新して欲しい。ブルース・スターリングの『巣』が作られたが僕が好きなフィリップ・K・ディック作品が全然出てこないな?制作する気もないのに映画会社に抑えられてるのかな?ウィリアム・ギブソン作品もどんどんアニメ化して欲しい。もう今更サイバーパンクとかスチームパンクの実写大作とか作らんだろうし、このシリーズで観たいよね。

 

 

 

 

 

 

そんな感じでした

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『ラブ、デス&ロボット』- Netflix
Love, Death & Robots (TV Series 2019– ) - IMDb

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