
原題:Predator: Killer of Killers 監督&制作:ダン・トラクテンバーグ 共同監督:ジョシュ・ワスン 脚本:ミチョ・ロバート・ルターレ 製作:ジョン・デイヴィス、マーク・トベロフ、ベン・ローゼンブラット 製作総指揮:ローレンス・ゴードン、ジェームズ・E・トーマス、ジョン・C・トーマス、ステファン・グルーベ 編集ステファン・グルーベ音楽ベンジャミン・ウォルフィッシュ キャラクター創造:ジム・トーマス、ジョン・トーマス 制作会社:デイビス・エンターテインメント、ザ・サード・フロア、ローレンス ・ゴードン・プロダクションズ、20世紀アニメーション、20世紀スタジオ 配給:Hulu(日本はDisney+) 製作国:アメリカ 上映時間:85分 配信開始日:2025年6月6日 シリーズ:『プレデター』シリーズ第6作目
「残念だったなグレンデルの王よ。魔法や首輪を持ってしても私の”息子たち”を止められなかった」ウルサ(本編より)
「ネイティブ・アメリカンの女性がプレデターと対決する」という内容だった『プレデター:ザ・プレイ』(2022)に続き本作では
「ヴァイキング女戦士 vs.プレデター」
「侍&忍者 vs.プレデター」
「WW2戦闘機パイロット vs.プレデターのパイロット」そして……
という「色んな時代の戦士がプレデターと対決!」が展開される、よくばりセット。
「本当は『プレデター:ザ・プレイ』(2022)みたいに実写化したいけど全部はできないからアニメにしたのかな?」と思ったが最後まで観たらアニメじゃないと出来ない必然性もわかった。どれを実写にしても良さそうだが下だと思われてる女性が男たちやプレデターを打ち破る『プレデター:ザ・プレイ』(2022)が確かに一番一般に届く内容なので納得(特に3年前は)。
やろうと思えば「中国拳法家 vs.プレデター格闘家」「ハッカー vs.プレデター戦艦」「犬 vs.プレデター犬」「未来のサイボーグ vs.フルアーマープレデター」……無限にできる。
配信オンリーになってしまったプレデターを、『プレデター:ザ・プレイ』(2022)で華麗に復活させ2025年11月7日に『プレデター:バッドランズ』(2025)も公開する「プレデターに全ベット男」のダン・トラクテンバーグ監督。彼による配信アニメ映画。
アメリカ本国ではHulu日本ではDisney+で配信された。
完全にネタバレあり
🌏️
「星々を巡り、最強の獲物を探し求め、そやつらを仕留めて捕食者(プレデター)の頂点に立て」(プレデター聖典「ヤウージャの書」0522/74)
我々視聴者が〈プレデター〉と呼ぶその異星人〈ヤウージャ〉は高度な文明を持ち、宇宙船で様々な惑星を渡り歩き、その惑星に生息する「攻撃力の高い生命体を狩猟すること」を重要な民族的文化としている人型知的生命体。
ここで言う「攻撃力の高い生命体」とは「頭脳+戦術+環境適応力まで含めた総合戦闘力」つまりヒューマンのことだ。只の攻撃力だけなら熊とか虎とか恐竜とか狩ればいいのに人間ばかり相手にしてるからね。
彼らは高度な文明を持ちながら銃火器などは携行せず限られたハンター武器セットのみで野蛮な狩りをする、戦力を持たない生物を殺傷するのは種族の恥で制裁される、という儀式の文化を持っていた。
限られた武器とい゙っても全て人間の武器の上位互換、更に筋力も人間の上なのに透明になれる光学装備や医療セットなども持っている。
このフェアなのかズルいのかよくわからない異星人がプレデター(ヤウージャ)。
一方的に自分たちより弱いヒューマンに舐めプで殺し合いを強いて、しかも自分が負けたら大爆発する迷惑な異星人で正直僕は苦手な映画の敵。自分はエイリアン(ゼノモーフ)派だ。本能だけのエイリアンと違ってプレデターは文化とか意志とか恥の概念とか色々あるが、しかし人間から見ると随分自分勝手かつ自己完結のロマンを持っているのが「有害な上流男性」っぽくて苦手だ。
まぁ我々ヒューマンが鹿とか狩るけど無関係の小動物とか殺したら白い目で見られるようなもんだ。我々よりプレデターの方が上、だからプレデターは下級を狩る宇宙の上級市民。憎んで当然。
映画に殺意しかない怪物とか異常殺人者とか出てきても、それらは本能なので災害に遭ったような仕方無さで何とも思わないがプレデターはこの半端な「誇り」とか「狩りのルール」がムカつきポイントだ。割と子供の頃からずっと苦手だしなかなか根深い。
凄い卑怯な人間の悪役が出てきても「凄い嫌な悪役を俳優の◯◯さんが演じてるな」などと思ってしまうところがある。プレデターの場合かなり出来上がったキャラクターだから中の人が見えにくく「プレデター、腹立つキャラだぜ」と素直に思える、30年くらい、こうなるとむしろ裏返って好きなのかも。
だが「憎い」がヴィランの条件ならプレデターはそういった感じで自分にとって希少なムカつくヴィランなので優秀ヴィランと言える。
第1章「盾」
西暦841年、スカンジナビア半島。
ヴァイキングのリーダーである女戦士、ウルサ(声:リンジー・ラヴァンチー)は息子や仲間たちと共に、ウルサが幼い頃に殺された父の仇であるクリヴィチ族の長を強襲する。
長はウルサの心の隙を指摘するが気が小さいと思われていたウルサが母の代わりに討つ。そこへ現れた巨漢の怪物はウルサの仲間達を次々と惨殺。息子も重症――
という事で「ヴァイキング女戦士 vs.プレデター」開始。
まずその前にウルサ軍団によるクリヴィチ族襲撃、プレデターによるウルサ軍団惨殺などが、凄くゴアで良い。ウルサは盾に刃を付けていて防御力も完璧だしキャプテン・アメリカみたいに投擲して殺害したりして凄く良い肝っ玉ヴァイキング・ママ。しかし幼い頃と現在でクリヴィチ族の長に怯えを見せたりと、心に弱い部分もある人物である事が事が伺える。しかしプレデターを倒さなければ息子の命もない、ウルサは戦う。
この回に出たプレデターはウルサに合わせてかパワーファイター。衝撃波を飛ばす機械を駆使して巨漢から繰り出す剛力で戦う。プレデターと氷上で戦うウルサは様々な機転を利かせて戦う。3つのタイマンではこれが一番好きかな。
第2章「剣」
1609年の日本。武将の息子である兄弟、兄ケンジと弟キヨシ(声:ルイ・オザワ)。父に後継者を決める決闘を命じられるが兄弟で争いたくないケンジは戦いを拒否。キヨシはケンジに屈辱を負わせて勝利。
20年後、忍者に身をやつしていたケンジは配下を伴って復讐のため領主キヨシの城に侵入。死闘を繰り広げて勝利寸前だったが品定めしていた透明の怪物が襲来、忍者軍団や侍たちを惨殺――
ということで「忍者&侍の兄弟 vs.プレデター」開始。
今回のプレデターは日本の忍者&侍に合わせてか細身で武器が豊富。
プレデター特有のクローも小刀っぽいし腕からのチェーン射出武器も鎖鎌を思わせるニンジャ・プレデターといった感じ。
非常に海外が憧れる日本風味たっぷりの戦い。結末もSNK格ゲー『サムライ・スピリッツ』っぽい。
話のテーマ的には兄弟の愛憎。弟を憎んで死闘を演じたケンジだったがプレデターという共通の敵を前に共闘。息を合わせて立ち向かう中で絆を取り戻す。そして「なるべく身内は殺したくない」というケンジの特性も念押しされる。
vs.プレデター前の兄弟の死闘も普通に良かった。
第3章「弾」
1942年、第二次世界大戦中。
戦闘機パイロットとしてアメリカ海軍に徴兵されたラテン系の整備士、ジョン・J・トレス(声:リック・ゴンザレス)。ヴァンディ大尉(声:マイケル・ビーン)の指揮下、北アフリカ戦線中の戦艦で戦闘機F4F”ワイルドキャット”を整備していたが、大怪我して帰ってきた仲間が「空に何かいる!」とめちゃくちゃワクワクする事を言う。
敵機の仕業ではなくもっと得体のしれないものだと気づいたトレスはワイルドキャットで仲間達に警告しに行く。
しかし時既に遅くヴァンディ大尉と仲間達は空にいる透明の何かに次々と撃墜されていく――
ということで「WW2パイロットのF4F vs.プレデターのステルス戦闘機」開始。
己を犠牲にしてトレスを逃がす上官ヴァンディ大尉役を検索したら『ターミネーター』(1984)や『エイリアン2』(1986)で有名なマイケル・ビーンだった。心なしかキャラデザも、あの頃のマイケル・ビーンっぽかった。多分監督が好きなんだろう。
今回のプレデターは第二次世界大戦で戦う両軍の戦闘機に透明で紛れ込んで撃墜遊びしまくってたようだ。セコない?……いやどの時代のどのプレデターも基本セコいが(いじめられっ子プレデター除く)こいつは中でも一番セコい。他のプレデターは全てにおいて人類の上位互換装備とはいえ単身戦いを挑んでくるのに対してこいつは戦闘機。しかもステルス戦闘機、ステルスどころか物理的に透明になれるし。その中に搭乗してるんだからもはや負けろと言われる方が難しそう(まぁこいつも負けるんですが……)。
FPSゲームで戦ってる両軍を狩る透明の奴とか、もはや無敵だろう。
だが戦艦射撃であっさり正面部の装甲が大破してたからプレデター特有の舐めプ装備「プレデターの機械にしては脆い、原始的な砲撃で壊れるほどの紙装甲の戦闘機」にわざと乗ってるんだろ思われる。だってこいつらの科学力ならもっとワープするUFOとか作れそうだもんね。
トレスもまた他のプレデターに勝った地球人同様にトンチで勝利。ちょっと戦闘中に故障して飛行中の戦闘機の翼の上でエンジンを外しに行ったりなかなか無茶な事してたがトム・クルーズなら出来そうだしまぁいい。
せっかく第二次世界大戦なんだからトレスと戦う前にプレデター戦闘機が戦艦などを次々と沈める場面なども観たかった気もする。
最終章
ウルサ、ケンジ、トレスらは戦闘直後、プレデターに拉致されて冷凍保存されていた。
圧倒的な戦力者を覆してプレデターを打倒した、プレデターのお気に入りの地球の戦士たちのようだ。
彼らを乗せたプレデター宇宙船は砂漠の異星に降り、彼らはコロッセオに放たれる。
ウルサが〈グレンデルの王※〉と呼ぶリーダーらしき巨漢の異星人は、3人に
「命尽きるまで戦え」と言い彼らが得意とする「刃付きの盾」「日本刀」「旧式の銃」が支給される。戦いを放棄すれば3人に嵌められた首輪が爆発すると言う――
※グレンデル=北欧伝承『ベオウルフ』に登場する恐ろしい巨人
という事でプレデターに勝った「ヴァイキング vs.忍者 vs.戦闘機パイロット」開始。
しかしほぼ現代人のトレスは彼らと戦う気など毛頭ない。ケンジもまた2人を殺す気はない、しかしウルサは殺し合いの中で育ち、戦って死んだらヴァルハラに行けると思っている、他の二人を殺せば生かすと言われたらとりあえず殺したい、2人共知らん奴だし。トレスとケンジは3人で協力してバケモノどもを何とかして脱出したがっている。
僕が本作の一番良かったと思うところは3人が全く話せないところ。
ここではグレンデルの王が自分たちの意見を地球人に伝えるため翻訳機も兼ねている爆弾首輪から3人それぞれが使う原語でグレンデルの王の言葉が聞こえてくる。
こんな機械があるのだから「これは何でも翻訳機」って感じで3人がそれぞれ母国語で話しても首輪で話せてもいい、よくある作品ならそうしてそうなところだが、それはやらない。徹底している。だから3人は行動のみで会話する。ここが本作の一番面白いところだった。
ウルサは剣の達人であるケンジと戦いながら彼の腕前を称賛する。
超人のような強さのウルサとケンジに比べて戦闘機に乗らなければ一般人レベルのトレスだったが、プレデターのバイクのような物を奪取。ようやくウルサにもトレスの言いたかったこと(協力して奴らを倒そう)や只の馬鹿だと思ってた彼の才能を見出し微笑。そしてウルサはトレスを見て、プレデターに殺された愛息子を重ねる。
僅かな時間の中で、彼ら3人は殺し合いや共闘というこれ以上ない濃密なコミュニケーションを行い、それぞれの才能や意志を理解していく、世代も国籍も違う言葉が通じない者同士がプレデターというどうしようもない奴らを相手に一つになっていく。
グレンデルの王を倒すことはできなかったものの、彼が強制したかった事は叶わず逃げられてしまったのでグレンデルのTKO負けということにしておこう。
逃亡に成功しつつもまだ会話できないもののケンジはトレスを弟と呼ぶ。彼もウルサの様にトレスの中に弟キヨシを感じていたのだ。
そして更なる続きを感じさせてひとまず終わる。
なんかネタバレがネットで広まってるし配信から2ヶ月以上経った作品だから別にラストのネタバレしても誰も怒らないだろうが何となく書かないでおこう。
そして後で追加されたという更なるオマケを考えると、なるほど実写じゃなくてアニメじゃないとダメだなと思った。だが後からシュワ氏を対プレデター舞台の老指揮官的な役で出して実写も作ってほしいね。では本作ラストの「現代」がいつなのかというとそれはよくわからない。1997から現代までの間で幅がある。
久々に観たがプレデターに変わらぬムカつきを感じた。こんなに長時間ムカつくキャラも珍しい。滅多にムカつかないのに……そんで他人の感想を検索したら「まるでプレデターは誇り高い武士のようだ!」「野蛮なようでフェアプレイ精神がある……サムライだ」とか、30年前同様に未だにそんな事を言ってる人が多いので驚きました。そういう人って、ひょっとしてプレデターに感情移入して観てるのかな?それならまだ理解できるが、無理やり戦わされる人間に感情移入しつつも「プレデターはちゃんと武器もくれた!ちゃんとしてる人たちだ……」とか思ってるのかな?まぁ、どうでもいい。
これだけ嫌いということは倒されたら嬉しいという事なのでプレデター向きの人間かもしれない。『プレデター:バッドランズ』(2025)も楽しみ。
そんな感じでした
『プレデターズ』(2010)/プレデターの一方的な誇り高さやルールって結構イラッとするな👽 - gock221B
『ザ・プレデター』(2018)/人体破壊描写と容赦のない人死にがよかったです👽 - gock221B
〈他のダン・トラクテンバーグ監督作〉
『10 クローバーフィールド・レーン』(2016)/いいから早く外出ろよ……シャマラン映画から面白さとハッタリを抜いた感じ - gock221B
Predator: Killer of Killers (2025) - IMDb
Predator: Killer of Killers | Rotten Tomatoes
Predator: Killer of Killers (2025) directed by Dan Trachtenberg • Reviews, film + cast • Letterboxd
プレデター:最凶頂上決戦 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画
