gock221B

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「新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)」凄く面白かったけどゴアシーン皆無で腹立つ奴も苦痛無しで死ぬのがストレス溜まった

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原題:부산행 監督:ヨン・サンホ 製作国:韓国 上映時間:118分

物凄く大ヒットして世界中での公開やハリウッドリメイクが決まり、色んな映画祭の賞を撮ったし国際的高評価も獲得した、釜山に向かう高速鉄道を舞台としたゾンビ映画
原題を訳すと「釜山(プサン)行き」。
同じ監督による「ソウル・ステーション/パンデミック(2016) 」という本作の前日譚を描いたアニメ映画も作られ、こっちも高評価で日本公開もされる模様。

pandemic-movie.com予告編を観るかぎりアニメ版は街の話っぽい、韓国のアニメなんて初めて知ったが面白そうだ。
この監督は元々アニメの人なのかデビュー作もアニメで、長編映画監督作2本目の本作だけが実写映画(3本目の監督作が上記のアニメ版新感染)。
以降のストーリー説明や感想は中盤の終わりくらいまでネタバレしてます

 

 

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主人公は、ファンドマネージャーの仕事が忙しすぎて妻と別居中の男ソグ。
そして父が仕事ばかりしてコミュニケーション不足なせいで母のいる釜山に行きたがってる優しい娘ユアン
ユアンは父との暮らしに不安を感じているせいか学校の音楽の時間でも最後まで歌う事ができなかった
ユアンが母に会いに行くために父娘で乗った「釜山行き」高速鉄道KTX101でゾンビ事件が起こる。
父娘以外に乗っている他のメインキャラは、
ガチムチの屈強なオッサン。その妊娠中の美人妻。
高校の野球部キャプテン。その恋人の味わい深い顔の美脚チアガール。
自分勝手な高速バス会社のオッサン。パーマかけたオバチャン姉妹。
ホームレスの男。鉄道の運転手。主体性のない乗務員。美人CA‥など。
鉄道が出発する時、街では既にパンデミックが起きておりホームにまでゾンビが来てたのだが乗客たちは気づいていない。
そしてゾンビになる寸前の少女が高速鉄道に飛び乗り、鉄道と映画が出発する。
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ゾンビになった少女に噛みつかれた美人CAは絶命して即ゾンビ化する。
美人CAのゾンビ演技はカッコよかった。少女は死霊のはらわた風ゾンビ演技。
狭い鉄道内なので乗客は連鎖反応であっという間に半数くらいがゾンビ化する。
メインの登場人物たちもそれに気付いて驚いて逃げる。
しかし本作のゾンビはかなり弱かった。
本作のゾンビは走るゾンビなのだが、狭い車内なので「走るゾンビ」のアドバンテージは意味をなしていない。
しかも、本作のゾンビはめちゃくちゃ頭が悪い。犬や猫以下。
本作のゾンビはドアを開けることができず、視認できなければ自分たちが今の今まで人間を追っかけてたことも忘れてしまうので、車両間の引き戸を締めて窓に新聞紙を貼ればそれだけで安全になる。鍵を締める必要すらない。
拳を握ったり肘打ちする知力すらないのでガラスすら破れないのだ。
徒手空拳なら人間の方が強い。勿論、大勢で囲めばゾンビが強いが、映画本編の殆どは直進or後退しかできない鉄道内なので本作のゾンビは分が悪い。
人間より強いところは、噛み付けば一発でゾンビの勝ちが確定するところ。そして痛みを感じないので視認されたら視界を塞がない限り追われ続けるし、ドアを塞がれたらガラスすら破れないが何十人も溜まれば質量でドアが破壊されてしまう。そして数少ない広い場所でのシーンでは、まるでアメーバのような「群体でひとつの生き物」って感じの脅威を見せる。狭い場所より屋外の方が数倍強い。
だがロメロのゆっくりゾンビの方が強いだろう(ロメロゾンビはメインキャラの死角にワープするメタ能力を持っている)
しかしゾンビ映画ではゾンビの強さは面白さに直結しないので問題ない。
ゾンビ映画とはゾンビを観せる映画ではなく、ゾンビがいる世界の人間模様を観せる映画なのでゾンビはむしろ弱い方が面白い。もしゾンビが強すぎれば、ゾンビに対抗することが映画のメインになってしまう(それはゾンビ映画じゃなくモンスター映画)
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途中の駅で降りるが、そこも既に鎮圧に失敗した韓国軍がゾンビの大群になっていた。
生き残った乗客の殆ども「噛まれる・死ぬ・生き返る」でゾンビ化する。
メインキャラ達はふた手に別れて逃げながら、さっきまで乗ってたKTX101に戻る。
韓国軍がゾンビ鎮圧に成功した釜山まで行かないと安全な駅はない事がわかり、生き残った僅かな乗客と元乗客のゾンビたちを乗せたKTX101は再び釜山までノンストップで進行する。

 


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主人公ソグ、屈強なオッサン、野球部キャプテンなどの9号車に固まってる男キャラ達は、4車両離れたトイレに隠れているソグの娘ユアン、オッサンの身重の妻を救い出し、そこから更に野球部キャプテンの彼女(チアガール)が避難している2車両先へと避難する計画を立てた。
‥今の俺がした状況説明、飛ばし読みしただろ?まぁいいや
↑それにしても、この屈強なオッサンの風貌は良すぎだろ。顔もガタイも最高だ。
このオッサンと焼き肉食ったら通常の3倍は旨く感じそうだ。
このオッサンはゾンビ映画によく出て来がちな、腕っ節も人間力もあって優しいという観る人が皆好きになるタイプのキャラ。
映画冒頭では忙しい日々に忙殺されて自分本位な人間になっていた主人公も、娘の涙や屈強なオッサンの行動や説教で利他的な正義の父親へと生まれ変わる。いいぞ
3人でゾンビをぶん殴りながら1車両移動してドアを締める。これを数回繰り返す(ゾンビはドアを開けられない)
ゾンビには噛みつきという一撃必殺技があるものの、それしか攻撃方法がないので噛みつきにさえ気をつけて三人でぶん殴って進めば何とか行ける。
更に、ゾンビは暗闇では何も見えない事がわかったので、鉄道がトンネルに入るのを待って素通りしたり、暗闇では物音のする方に殺到するのでそれを利用したりして、ソグの娘やオッサンの奥さん達が隠れるトイレまで難なく辿り着くことが出来た。
一緒にトイレに隠れていたオバチャンの片割れとホームレスも引き連れ、ここまでに学んだゾンビ攻略法でもって犠牲者ゼロで、チアガールやオバチャン片割れや乗客の生き残りが待つ安全車両に辿り着く面々(ホームレスが凡ミス連発して、その度にピンチになるのが可笑しい)
しかし疑心暗鬼に陥った高速バス会社のオッサンが
「あいつらゾンビの中を6車両も全員無傷で来れるわけがない。あいつらの中の誰かは感染してるに違いない。だから車両には絶対入れるな!」
と扇動し、主体性のない乗務員や怯えた乗客たちによってドアは堅く閉じられていた。
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何と!決死行の末に全員無傷でたどり着いたというのに、高速バス会社のオッサンのせいで入れず、本当なら助かったはずの善人たちが犠牲になってしまう!
高速バスめ~。高速バスを嫌いになりそうだ。
主人公の娘は、小心者たちだけが持つ全く必要のない悪意を生まれて初めて目の当たりにしてショックで涙を流す。少女を泣かせて喰うメシはうまいか?
何とかガラスをブチ破って入る主人公たち(ゾンビはガラスをブチ破れないのでブチ破った時点で人間の証明になってるのがいいね)
キレた主人公は高速バス会社のオッサンをブン殴るが、オッサンは「ひ、ひぃ~!こいつのこの目は感染した目だ!隣の車両に行け~!」と逆ギレし周囲の乗客も「そうだそうだ~」と騒ぎ立てる。
主人公チームは呆れ果てたのか一緒に居たくないと思ったのか、それともその両方なのか奥の車両に移る(これで次の展開がわかりワクワクした)
そして今までただ座って、ことの推移を黙って見てみたオバチャンは‥
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‥という、この中盤のクライマックスがめちゃくちゃエモくて最高!
ここが一番良かった。
イーライ・ロスの映画終盤でよくありそうな展開というか、「アフターショック」でイーライ・ロスのキャラが良い事した瞬間みたいなエモさ。
この時のオバチャンが言う「くだらない人間ばーっかり‥」という静かな台詞も、デビルマンの「地獄へおちろ人間ども!」に匹敵する熱さ。
スティーブン・キングが本作を絶賛してたが確かにキング作品と通じるものがある。
この後、鉄道から降りて本編はまだまだ続くんだが、ここがクライマックスでよかった。
この直後から→主人公のラストバトル→ラストシーン‥で終わる方が良かった。
ここまで通路、引き戸、トイレ、網棚、トンネル‥などの少ない要素なのに色んなアイデアや人間の醜さを充分観せてきたんだし、その鉄道から降りてしまうのも何かテンションが下がる、どうせなら最後まで鉄道内に居てほしかった気もする。
それに自分の好きな映画1、2は「デス・プルーフ」「ゴースト・オブ・マーズ」と、偶然なのか直進する映画ばかりで、単純な脳をしている俺は「直進」という狭い範囲で最善を尽くす映画に弱いのかもしれない。

 

 

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この映画、良いところは死ぬほど良かったけど相反するイマイチな部分も多かった。
そのイマイチだったところの感想。
▼この映画、ゾンビ映画だし韓国映画なのにゴアシーンが全く無い。
しかも人が死ぬ瞬間になるとカメラが避けて映らない事が多い(このまま地上波で普通に放映できそう)
おかげでレイティング下がって超大ヒットしたので正解なのかもしれないが、内容的にはゴアは欲しかった(特にオバチャンのくだりでは絶対欲しかった)。
本作のゾンビは脳や人肉を食ったりせず、ただ噛みついて味方を増やすだけの上品ゾンビなので、ゾンビって言うより吸血鬼映画と言った方がいいかもしれない。
さっきのオバチャンのくだりも最高に惨たらしくなってほしいのだが全然観せない。
別に自分はスプラッター描写が好きすぎるわけではないのだが、終盤は死ぬほどムカつく奴が要らんこと‥善人を何人も犠牲にして自分だけ助かろうとするのでイライラが溜まっていく。「こいつさぞかし酷い最後を迎えるんだろうなぁ」と思って観てたのに、そいつが死ぬ瞬間も映さないし、しかも一切苦痛も屈辱もなく死ぬのでめちゃくちゃストレス溜まった(善人が死ぬところは結構見せてるのに)。
▼別に映画に勧善懲悪性を求めてるわけじゃ全然ないが最初から最後まで悪い事し続けるゴキブリみたいな奴が楽に死ぬってアリか?
それにしてもこの嫌な奴は「嘘だろ?」ってくらい、あまりにも要らんことばっかりするのでムカつきを越えて逆に笑えてきた。だから「この嫌な奴を早めに殺さない主人公たちが悪いのでは?」と、「痴漢される側にも問題あるのでは?」にも似た間違った感情まで浮かんできた。
主人公含め、その嫌な奴に怒りをぶつける善人キャラが全くいないまま映画が終わって「‥嘘だろ?」とも思った。
感情が激しいらしい韓国人ならもっと理不尽な暴力に対して怒れよ。
ポン・ジュノのキャラだったら死ぬまでドロップキック連打してるぞ。
やっぱり「死霊のしたたり」ラストみたいに嫌な奴がグチャグチャになる場面は必要。
▼いちいち具体的に書かないが、物語を進めたい方向に進ませるためにか「こんな時に普通そんな事するかな?」「こいつがこんな時にこんな事するかな?」とか「何でこいつ、ここで急にダメになったの?」という感じで、キャラクターが製作者の都合で強引に動かされてるようなシーンが妙に多かった。
普通そんな場面が多い映画は嫌いなんだけど本作の場合、面白い部分が良いので「‥まぁいっか」と、そういう都合展開には目を瞑って楽しめた。少々の矛盾は凄みで突っ切るというジョジョっぽい映画だった。
▼要所要所の演出がくどいのが、まるで邦画みたいでイマイチだった。
オバチャンの名場面も、高速バスのオッサンがオバチャンを見るカットが何度もあって「おい!オバチャンが!」「オバチャン何してる!」「オバチャンを止めろ!」とスローモーションで繰り返して、せっかくの名場面なのに結構くどい。
▼そして終盤で主人公がギャンギャン泣き喚くシーンが長すぎてイラッとした。
そんなに泣かなくても思ってる事はわかるから実際に泣かなくていいのに。
だけど、そういう時に泣きわめくっていうのは韓国の文化なんだっけ?
だがそれならラスボスと化した嫌な奴に対しても怒りを燃やして欲しかった。
ゾンビになりきる前のラスボスの両目に両親指をねじ込んでドロップキックで落として欲しかった(そしてラスボスが鉄道の車輪に巻き込まれてグシャグシャになる)
お前は今まで何体ものゾンビを倒してきたのに何でラスボスには‥まぁいいか。
きっと最後に主人公が対峙したのはラスボス個人じゃなくて、主人公の仕事に関係する運命の因果が主人公を襲ったんだろう。そう思った。
◆総合すると面白いゾンビ映画を久々に観れたしジーンともした。
鉄道内での対ゾンビも楽しかったし、中盤のオバチャンとラストは激アツだった。
本作は大作映画だが、シュチュエーションはB級ホラーそのものなのでジョン・カーペンターなどのB級ホラー好きの自分は好きな設定だった。
膨大なゾンビ映画全作の中でも、かなり上位だろう。
 
そんな感じでした

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shin-kansen.com

www.imdb.com 

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