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「アメコミ・ヒーロー大全 (2017)」全2話/小学生みたいな邦題から繰り出された神番組。アメリカ近代史とヒーロー80年

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原題:Superheroes Decoded 放映局:ヒストリーチャンネル 放映時間:Part.1=81分、Part.2=83分

 

ヒストリーチャンネルで作られたドキュメンタリー番組。
Huluで配信されてたので少し再生したら凄く面白かったので引き込まれて全部観た。
凄く良かった。
あまりにアホみたいな邦題だったのでスルーしてた。こんな良い内容だったんなら、もっとかしこまった邦題にして欲しかった。
1938年の「スーパーマン」誕生から始まり、2013年の「Ms.MARVEL(カマラ・カーン)」誕生まで、DCとMARVELの色んなヒーローをアメリカの社会情勢とどう結びついて誕生、没落、復活、活躍してきたかを、あらゆる関係する著名人の証言と共に語られる。
証言で出てくるのはコミック関係者(スタン・リー。クリス・クレアモントジョー・カサーダ、グラント・モリソン。ジェフ・ジョンズ。トッド・マクファーレン。「Ms.MARVEL」原作者の中東系女性作家コンビほか)、アメコミ映画&ドラマ関係者(ルッソ兄弟パティ・ジェンキンスジョン・ファヴローリチャード・ドナーほか)、関連著作の著者やコメディアンや社会学者やアメコミ好き著名人(ゲーム・オブ・スローンズ原作者が何度も熱弁してくれる)‥など色んなアメコミ関係者&アメコミ好き著名人が語ってくれる。
ナレーションはバットマンの吹き替えをよく行っているケヴィン・コンロイ。
前・後編で合計2時間44分もあるが全く飽きずに観れた。
それぞれのヒーローの成り立ちやアメリカ社会との結びつきが、それぞれのヒーローのストーリーやキャラクター形成と如何に結びついているかがわかる。
アメコミに馴染みの薄い日本人からしてみれば「面白いかどうかと言われたら、まあ面白いけど、アメリカでは一体何でまたあんなに大ヒットしたんだ?」と思われやすいDC「ワンダーウーマン (2017)」やMCUブラックパンサー (2018)」が、何故あんなにアメリカ本国で大ヒットして尊敬されたのか、この番組を観れば理解できる。
面白すぎて、観ながらメモ書きしたものを推敲して張っただけで、感想というより観たまんまを書くかたちになってしまった。本編は編集などが凄く面白いので、うっかりこれを読んでしまったとしても観て欲しい。
アメリカ近代史と結びついてるDCとMARVELのヒーロー」だけを取り扱ってるので「ピーナッツ(スヌーピー)」やオルタナティブ・コミックなどのヒーローじゃないコミックや、新聞漫画、風刺漫画、「スポーン」やイメージコミックス、アラン・ムーア作品、などは一切出てこない。
DCヒーローについての話を青字MARVELヒーローについての話を赤字にした

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パート1「誕生」
アメリカの歴史と、アメリカの神話たる正統派ヒーローを中心に語られる。
DCコミックのヒーロー‥主にスーパーマンバットマンワンダーウーマンの元祖ヒーローのDC三人組が多く語られるので、やはりこの3人は基本なんだなとわかる。
MARVELからはアメリカの歴史と密接に結びついたキャプテン・アメリカと、若者ヒーロー代表スパイダーマンの2人がDC三人組と同じかそれ以上に多く語られる。

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★30年代、アメリカの失業率は過去最大の約25%に達し貧富の格差が広がっていた。
1938年ジェリー・シーゲルジョー・シャスターによって(後の)DCコミックからスーパーマン誕生。
有史以来、ヒーローは大勢いたが、一番最初に明確なスーパーパワーとキャッチーな名前とシンボリックなルックスを持った最初のヒーローが彼だ。
スーパーマンは悪どい官僚をこらしめた。彼の敵は「1%の富裕層」。移民が多く入って出来上がった国アメリカにとって「違う惑星からの移民」であるスーパーマンは80年近く経った今も、浮き沈みを経過しながらヒーローの代表のままだ。
このスーパーマンのオリジン(誕生譚)が、まるでギリシャ神話のゼウスのように「若い国」アメリカの神話となった。
ラジオドラマ、フライシャー兄弟のアニメ映画、実写映画‥スーパーマンは絶対的な国民的ヒーローとなった。
スーパーマンに続けと凄い数のスーパーヒーローが生まれ、そして殆ど消えていった。

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続く1939年アメリカの都会の犯罪への恐怖を反映してDCコミックからビル・フィンガー&ボブ・ケインの手によって、恐怖でもって悪者を恐れさせる闇のヒーローバットマン誕生。
復讐のヒーロー、バットマンアメリカの理想を体現したスーパーマンの対極だった。
この2人のヒーローはアメリカの分裂を表している。

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★現実世界では本物の悪が誕生してしまう。ドイツではホロコーストナチスによるユダヤ人大量虐殺)が起こってしまう。
NYのイムリーコミックス(今のMARVELコミックジョー・サイモンジャック・カービーキャプテン・アメリカ誕生させる。
キャップは、2人の「アメリカを戦争に参加させてヒトラーを倒したい」という政治的な想いから生まれた。やがてアメリカもその願いどおり戦争に突入。
ヒトラーナチスをぶん殴るキャプテン・アメリカは米軍兵士に好んで読まれた。

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★キャップの成功により、似たような戦意高揚ヒーローが生まれては消えていた。
1941年ナチスの銃弾をも跳ね返す史上最強の女性ヒーローワンダーウーマン誕生。
男が戦争に行っている間、アメリカの女性たちは各工場で人手不足を補い「女性には仕事なんか出来ない」という風潮を跳ね返した。ワンダーウーマンは、そんな女性たちの権利獲得の象徴となった(その後の彼女については後述のパート2で)

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彼らヒーロー達に強い影響力がある事を悟った政府は、彼らを政治利用し戦意高揚のために利用する。
※ 「キャプテン・アメリカ:ファーストアベンジャー (2015)」の前半は、そんな様子が丸ごと見事なフィクション化されている
かくして第二次世界大戦でスーパーヒーローはアメリカの神話となった。
しかし大戦が終わり、国内に目が向くとヒーロー達の人気は衰える。
MARVELチーフエディター「ナチスをぶん殴っていたキャップが銀行強盗をぶん殴ったところで、かつての興奮は帰ってこなかった」
彼らの人気はしばらく衰えた。しかしヒーローは時代と共に浮き沈みするものなのだ。

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終戦後、平和なアメリカでスーパーヒーロー達は暗黒期に入った。
精神科医フレデリック・ワーサムによるコミック弾圧が行われる。
ワーサム「バットマンロビンとずっ~と一緒に居て一緒に住んで同じベッドで寝て池で同じボートに乗って月見たりして‥こいつらホモやろ!汚らわしい!ホモが!子どもたちがバットマン読んで『自分もホモかも』とか思ったら‥どうするんや?!アメリカ全国ホモ禁止!」などとギャーギャー騒ぎたてるので「‥お前、ホモだろ?」と言いたくなる状態のワーサム。
このガイキチが発端となり、子供向けじゃないコミックは弾圧された。
各出版社は生き残りのため業界による自主的な行動模範コミックス・コードを定める。
「ゲイを思わせる描写禁止!」「表紙に『犯罪』の文字禁止!」「流血禁止!」「政治家を疑う展開は禁止(なんじゃそりゃ)」
これによってバットマンの相棒ロビン、キャップの相棒バッキーが消えた(原作のバッキーは少年)
そもそもこの「ゲイを思わせる描写」というのは男同士が愛しあってる描写などならともかく「男が少年と一緒に闘う」「少年と一緒に飯を食ってる」ってだけの描写を見て「お食事してる!ホモは許せん!」と騒ぐワーサムの頭の方がどうかしてるわけだが、どういうわけか、この時期のアメリカ自体がそんな保守的な風潮だったらしくヒーローコミックのピンチが訪れた。
以前は反体制だったスーパーマンバットマンも体制側の保守的なキャラに改悪。
バットマンやスーパーマンが孤独じゃなくされ、ゲイを匂わせるロビンが消され、女性や犬や猫や馬や猿などの動物キャラの仲間が追加され「明るい大家族を持つ健全なヒーロー」に改悪される。
かっこよかった反体制スーパーマン、闇の騎士バットマンはもういない。
強くてカッコよかったワンダーウーマンも、結婚やファッションにしか興味のない、すぐ泣く「どこにでもいる女」キャラに改悪される。
こうしてヒーローコミックは自主規制を余儀なくされ、保守的でクソつまらないヒーローコミックばかりとなる(スーパーマンがピクニック行ってスーパーパワーでソーセージを焼いたりジュースを冷やしたりする地獄絵図が繰り広げられた)
この時代に生きてないので想像しかできないが「ダサくされる」って、ヒーローにとって最もキツい試練だったのかもしれないね。

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MARVELコミックスタン・リー、上司からチームもののコミックを描くよう言われてファンタスティック・フォー誕生(以降FF)。他にも色んなヒーローが生まれる(ハルク、アイアンマン、X-MEN‥これらは後編で語られる)
カウンターカルチャーの盛り上がり。
それまでスーパーヒーローといえば憧れの存在でしかなかった時代に「等身大の悩みを持った10代の少年」という今までになかった画期的なヤング・ヒーロー「あなたの親愛なる隣人」スパイダーマン誕生。
スパイダーマンは少年読者のリアルな共感を得る事に成功した。

60年代、コミカルでキッチュでビザールなTVドラマ「バットマン (1966~1968)」が始める。
ダークなバットマンが好きだった古参ヲタは嫌がるが、子供や一般大衆は大喜び。

ベトナム戦争公民権運動。揺れるアメリカ。
ブラックパンサーやファルコンなどの黒人ヒーローが誕生し、ワンダーウーマンが女性運動の象徴となる(これらについては後述のパート2で語られる)

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1972年、ウォーターゲート事件。国民のアメリカや政府への信頼が揺らいだ。
その時のキャプテン・アメリカのライター、S・エングルハートはそれまで政治的なストーリーを書いていなかったが「この件を無視して今後キャプテン・アメリカを書くことはできない」と思いウォーターゲート事件にキャップを挑ませた。
「Captain America #175 (1974)」で「キャプテン・アメリカは、シークレット・エンパイア(秘密の帝国)という悪の組織と闘い、黒幕を追い詰めて覆面を剥がすと‥何と、悪の黒幕はアメリカ合衆国の大統領だった(顔は描かれていないが明らかにニクソンを思わせるキャラクター)」‥というストーリー。
現実のアメリカ国民同様、キャプテン・アメリカアメリカに失望し自我が崩壊
キャプテン・アメリカ」の名前と星条旗コスチュームを捨て、彼は数十年もの長期間、「ノーマッド(国を持たない男)」を名乗る。
アメリカに失望するあまり大人気キャラがトレードマークの名前とルックスを捨てるという前代未聞の出来事。
※この「アメリカそのものの内部に敵が入り込んでいた」というストーリーラインはMCUの傑作キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー (2014)」のモデルとなる。

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リチャード・ドナー監督による映画「スーパーマン (1978)」が作られて大ヒット。
カウンターカルチャーに乗り遅れていたスーパーマンの人気も復活。
国民が政府を信用できなくなっていたこの時代、人々はクリストファー・リーブ演じるスーパーマンの世界一誠実そうで信頼できる雰囲気に安心感を得た。
スーパーマンの生みの親ジェリー・シーゲルジョー・シャスターは、スーパーマンの権利を昔、二束三文で売ってしまっていたので「スーパーマン」のコミックや映画が大ヒットしているにも関わらず貧窮していた(富野みたい)。色々な人の働きかけでスーパーマン全ての関連作にクレジットされ、懐も名誉も潤って2人に笑顔が戻った。

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80年代レーガン大統領。アメリカは再び楽観主義の時代に入る。
冷戦の再燃で新たな愛国心が生まれた。
久しぶりにスティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカに戻る
派手で魅惑的な欲望の時代。貧富の差が広がり貧困や犯罪、暴力が増えた。
フランク・ミラーの傑作バットマンダークナイト・リターンズ (1986)が発表され、業界に衝撃走る。ダークナイト・リターンズはバットマンそのものを更新した。
老年に達したブルース・ウェインが再びバットマンになり、ジョーカー等の宿敵との最後の闘い。新世代の悪党との闘い。そして体制側のスーパーマンとも闘う。街を奪還するために。
そして、そんな「ダークナイト・リターンズ」のダークさを反映したティム・バートン映画「バットマン (1989)」も大ヒット。
※注:「ダークナイト・リターンズ」とよく並んで語られるアラン・ムーアウォッチメン (1986-1987)」もこの頃。この番組は、DCとMARVELの「キャラクター性の強いヒーロー」をメインに扱う番組のようなので「ウォッチメン」などは扱わなかったのだろう。
また天才アニメーター、ブルース・ティムが「ダークナイト・リターンズ」のようにダークで、モダンでミニマルな傑作アニメバットマン (1992-1995)」を制作、続けて「スーパーマン (1996-2000)」「ジャスティス・リーグ (2001-2004)」「ジャスティス・リーグ・アンリミテッド (2004-2006)」なども制作して現在まで続くDCアニメの礎となった。‥と、ブルース・ティムもこの章で語って欲しかった。

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楽観的で安心感ありすぎる感じが時代にそぐわなくなってきていたスーパーマン
そんなスーパーマンの死を描いたコミックザ・デス・オブ・スーパーマン (1993)が発売。
スーパーマンの死はアメリカに衝撃を与え、彼の死は現実世界のニュース番組で報道された。
といってもスーパーマンが生き返る事を確信してない者はいなかったと思うが‥、それでも彼が一度でも死ぬということ自体が衝撃だったのだ。
スーパーマンに訪れた「」は、今まで品行方正で強すぎて緊張感がなくなっていたスーパーマンという存在自体に揺さぶりをかけ、彼の事を忘れかけていた人たちの視線を再び集めた。

かくして時代遅れになりかかっていた古典的ヒーロー、スーパーマンバットマン超巨頭は80年代後半~90年代にかけて見事に「クールなヒーロー」として復活を果たし、現在まで人気が落ちたことはなかった。
それにしてもこの2人は歴史が長いせいか浮き沈み激しいね。

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“9.11”アメリカ同時多発テロ事件が発生、アメリカに激震走る。
キャップはコミックの中でテロリストと戦う。
テロの恐怖に怯える中、テロが行われたNYを舞台で9.11直後の時期、サム・ライミ監督の映画「スパイダーマン (2002)」公開、大ヒットする。
NYを拠点とするスパイダーマンの映画が作られたのも、9.11直後に公開されたのも、NY市民同様に傷つき悩み人助けするスパイダーマンが映画されたのも全て偶然だったが、映画「スパイダーマン」はこの時に世界中の人々が観たいものを「偶然」全て兼ね備えていた。
テロリストへの恐怖を反映したかのようなクリストファー・ノーランダークナイト三部作 (2005~2012)が公開され大ヒットする。
恐怖混沌を操るジョーカーを始めとする悪役に対し、バットマン暴力で対処しても事態は全く好転しない様が描かれた。
21世紀になり善悪は以前のように単純ではなくなり、スーパーヒーローたちは複雑化した事態に臨機応変に挑んでいくことになる。

スーパーマン原作者の一人ジェリーは17歳の時、強盗に父を殺された事がわかる。
彼は何故かその事をずっと黙っていた。スーパーマンを生んだのはアメリカではなくジェリーが父を失った個人的な悲しみからだった事がわかり、パート1は終わる‥。
そんな感じのパート1だった。スーパーマンバットマンワンダーウーマンが多く出てくるのは想像つくが、キャプテン・アメリカへの言及がDC三人組と同じかそれ以上に多かったのが意外かつ嬉しかった(製作者にキャプヲタがいるのかもしれない)

 

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パート2「反逆」
権威や差別に服従せず、反逆精神が強いマイノリティのヒーローについて語られる。
この後編ではワンダーウーマンを除いて、あとは全てMARVELヒーローの話題。
MARVELヒーローが如何にアメリカの社会や流行を敏感に作風に反映してきたか、マイノリティーのヒーローや権威に抗うヒーローが如何に多いかがよくわかる。

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学校や社会で目立たない日陰者が共感できる除け者ヒーローたち。
ヒーローと言うよりも「フランケンシュタインの怪物」などのモンスターにしか見えないFFのザ・シングハルクなど、心優しいが怪物のような異形ヒーロー。
異形ではないが、科学オタクでコミュ障で目立たない少年のスパイダーマン
彼らに感情移入して静かに熱狂するアメリカ中の目立たないオタクや陰キャ少年達。
ゲーム・オブ・スローンズ」著者ジョージ・R・R・マーティン、彼は子供の頃「ファンタスティック・フォー」に感動して「面白すぎる!この面白さが半分だけだったとしても世界一面白い!」と励ましのお便りを出したら掲載され、スタン・リーから「ありがとうジョージ、これからも最高でいるよ」と誌面で返事を貰い、それが彼の文章の初の印刷物となった。

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生まれつきスーパーパワーを持った新人類ミュータントチームX-MENの誕生。
X-MENは、ミュータント差別や、人類を滅ぼさんとする武闘派ミュータントと闘う。
劇中でミュータントは「自分たちに取って代わられる」と、新人類を危惧する人類から激しい差別を受ける。
様々な国の人種が集ったヒーローチーム、X-MEN人種差別多様性を描き、当時のアメリカに適合していた(アラバマでの公民権運動など)
「平和主義者プロフェッサーX率いるX-MEN vs.武闘派マグニートー」の対立は、キング牧師 vs.マルコムX」の考え方の相違に似ていると指摘される。

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初の黒人コミック「オール・ニグロ・コミック」は、オール黒人スタッフ、オール黒人キャラクターという画期的な黒人コミック誌だったが「黒人が力を持ったらヤバい」と危惧した差別主義者の白人たちによって一切、印刷する用紙を回して貰えず、第2号の内容は完成していたにも関わらず創刊号だけで廃刊。ひどい!
それまでコミックには黒人が殆ど出てきていなかったが、スタン・リーによってMARVELコミックの脇役やモブに黒人が登場し始めた。
今からすると考えられない話だが当時の黒人読者は、ただそれだけの事で「やった!台詞ないけどMARVELコミックの背景に俺たちと同じ黒人が出てる!」と喜んだらしい。
そんな話を聞くと「ブラックパンサー!早く来てくれ~!」と思わざるを得ない。
そんなMARVELに満を持して初の黒人ヒーロー、ブラックパンサー誕生。
アフリカの隠された超文明国家ワカンダの王。頭脳は世界有数レベルで、たった一人で当時大人気だった白人ヒーローチームのFFの4人と対等に闘う。ワカンダもアフリカなのに科学が超発達している。何から何までクールすぎる。
彼一人が登場しただけでコミック界に多様性がもたらされた。
黒人読者は「遂にコミックのヒーローに自分と似た顔を発見できた!」と熱狂。
同時期に起きた黒人民族主義運動・黒人解放闘争の団体ブラックパンサー党と混同されるのを嫌ったスタン・リーは一時期ブラック・パンサーの名称を「ブラック・レオパード」に変更するが、読者からクレームが殺到してすぐ元に戻した。
ブラックパンサーは人気を博して定着もしたが、平等を求めるアメリカの黒人にとって「アフリカの超国家の王様」は、まだ少し距離があった。
そこでキャプテン・アメリカのサイドキック(相棒)としてアメリカの等身大の黒人ヒーロー、ファルコン誕生。
ファルコンはほぼ毎号、表紙とストーリーに登場。サイドキックとはいえファルコンは自分の意思で行動し、キャップとは対等の立場のキャラだった。
これには黒人読者も「キャプテン・アメリカの相棒がアメリカ黒人ヒーロー!マジで最高の気分!」と大盛り上がり。
キャップとファルコンが協力しあって悪と戦う様は、黒人と白人が協力し会える社会を目指す未来を感じさせた。

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泥沼のベトナム戦争に突入。アメリカの前途ある若者が毎週300人単位で死亡。
そのベトナム戦争への反発として、兵器会社の社長だったが戦争を目の当たりにして心変わりする戦争を否定するヒーロー、アイアンマン誕生。

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ワンダーウーマンの歴史が語られる(このパート2でDCキャラは彼女だけ)
原作者は、変人揃いのアメコミ原作者の中でもかなり変わった人物の一人ウィリアム・マーストンハーバード大学で心理学と法学を学び、ウソ発見器を発明した天才だった(そういえばWWも嘘がつけなくなる真実の投げ縄が武器ですね)。SMが好きで家には妻と愛人を同時に住まわせ二人同時に子供を産ませた。また、彼はフェミニストで男女平等を訴えており、彼はコミックに可能性を感じ、女性の共感を得るため第二次世界大戦中にワンダーウーマンを誕生させる(WWは紆余曲折ありつつも女性の強さのシンボルになり続けてるので彼の目的は成功した)
強く賢く勇気もあって優しいWWは人気を博し、戦意高揚にも利用されたが
終戦後に暗黒期に入る。
★現実世界でも工場などに駆り出されていたアメリカの女性たちも「女は家にいろ!」と家庭に戻され、保守的な50年代に突入。
原作者マーストンもこの世を去っていた事もあり、現実社会とシンクロするかのようにワンダーウーマンも保守的なキャラに改悪された。
ワンダーウーマンは急に恋愛や結婚に夢中になりオシャレにうつつを抜かすようになる。更に以前は強かったのにすぐ泣くような「女らしい」キャラに変更され、特徴的なコスチュームやアマゾン族の闘い方も捨てて流行りのカンフーアクションで闘う‥という魅力が減ったクソキャラにされた‥というか、もはや全く別人のクソキャラ化した。
1960年の女性解放運動の時もWWは何もせず傍観者のまま‥。
そのままワンダーウーマンは10年以上の暗黒期を過ごす。。
★一方、現実世界。勢いを増した女性解放運動のリーダーグロリア・スタイネム
グロリアはDCコミックを説得し、自分が子供時代に好きだった時の強いワンダーウーマンに戻す事に成功。更に1972年、女性の力を想起させようと自ら創刊したフェミニスト雑誌「ミズ」の表紙にワンダーウーマンを起用。
グロリアは、自分が影響を受けた初期の強いワンダーウーマンのコミックを女児向けに再編集して発刊。未来のために30年前の自分のような少女読者を増やした。
※そして、その40数年後、映画「ワンダーウーマン (2017)」が公開され更に新たな少女のファンを増やした。そうして世代が繋がっていく‥
史上最強の女性ワンダーウーマンは完全に復活
そういった経緯により、ワンダーウーマンはただの人気キャラと言うだけではなく、強い女性の象徴、フェミニズムの象徴、「男性抜きで私達は世界を変えられる」という女性たちの自信の象徴となった。
リンダ・カーター主演TVドラマワンダーウーマン (1975-1979)」が大ヒット
ワンダーウーマンもまたスーパーマンバットマンのように時代と共に浮き沈みを繰り返してアメリカと共に生きる。まるで現代アメリカの精霊のようだ。

1964年にNYで初めて開催されたコミコン(日本で言うコミケのようなイベント)
そこからファンイベントが各地で開かれるようになりネットワークが広がる。

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★60年代に人気を博したが何年か中断していたチームが1975年に復活した。
クリス・クレアモント第2期X-MEN、プロフェッサーXやファーストファイブ等の旧キャラに加えて世界各国の様々な人種のミュータントが加入、人気を博す。
時代の怒りと混沌を表す新時代のアンチヒーロー、凶暴なチビのカナダ人ウルヴァリン誕生。これほど「ワル」のヒーローは今までになかったため彼はすぐ人気者となる。過去のトラウマに苦しむウルヴァリンベトナム帰還兵の心情も表現していたという。
「ダーティ・ハリー」などが公開された頃だし、こういう不良ヒーローの第一号だったのかもしれない。
X-MEN初の女性リーダー、初の黒人メンバーにもなるストーム誕生。
女性であるだけでなく黒人でもある彼女は新たなフェミニズムアイコンとなる。
また「天候を操る」という強すぎる能力がクールなため、子どもたちがX-MENごっこをして遊ぶ時にもストーム役をする女の子が仲間はずれにされることがなかった。
第一期からいたX-MENファースト・ファイブの一人ジーン・グレイ
ジーンは優等生すぎて面白みに欠ける」と思ったクレアモントはジーンを、宇宙規模の強大なパワーを持つMARVEL最強キャラの一人フェニックスへと変貌させた。

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混沌の70年代、品行方正なスーパーヒーローは時代遅れとなり、権力への不信感を象徴するスーパーヒーローが増える。
MARVELから再び黒人ヒーローのルーク・ケイジが誕生する。
彼は防弾の肌を持っており銃弾が効かないスーパーヒーロー。
黒人のために闘ったが凶弾に倒れたキング牧師マルコムXなどの黒人指導者、そして治安の悪い街中でも撃たれて死ぬ黒人が多かった。
そのため、ルークは当時のアメリカ黒人たちの夢
撃たれても死なない黒人」として誕生したヒーローだった。
今から見ると「なんじゃこりゃ」だが、ルークのアフロヘア&ヘアバンド&腰にデカい鎖はクールだった(らしい)
ルークの口癖「スウィート・クリスマス」も「意味わからん!カッケー!」と好評だった(らしい)

街の治安はどんどん悪くなっていった。
映画では「ダーティハリー」や「狼よさらば」など悪人を容赦なく殺す映画がヒット。
そんな中、MARVELから悪人を捕まえるだけでなく自分自身の手で普通にブッ殺してしまうアンチヒーローパニッシャーが誕生。
市民の、犯罪を憎む気持ちと警察には任せておけない気分と合致して人気を博した。

80年代レーガンが大統領に。映画界ではシルベスター・スタローンアーノルド・シュワルツェネッガーなど筋肉俳優によるド派手アクションが人気に。
明るくバブリーなこの時代、国への信頼が戻り「アメリカ最強!」という脳筋時代へ突入すると、前述の色々な反体制ヒーローは失速ブラックパンサーも、しばらくの間ただの「アベンジャーズの脇役」となる。
だがスーパーマンバットマンワンダーウーマン達のように人気の浮き沈みはある。
もし仮に「アイアンマンだせえ!w」と言っていた、この時代にタイムスリップして「約30年後にアイアンマンが大人気になるよ」と言って信じる奴はいるだろうか?

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90年代初頭、皮肉屋で物事を斜めに見るジェネレーションXと呼ばれる世代が登場。
皮肉やジョークを飛ばし漫画のルールも破り殺人にも躊躇のないアンチヒーロー
デッドプールが登場。
※僕が高校~20歳くらいの時。番組後半になってやっと僕の世代が出てきた。
日本では2回目?のアメコミブームが到来。「X-MEN」の邦訳やTVアニメや格ゲー、「スポーン」やそのアクションフィギュアが流行。本格的にアメコミの翻訳が始まり、それは現在まで続いている。

90年代は、X-MENやスポーンやアクションフィギュアやイメージコミックが流行し、グリム&グリッティ的な展開(やたらと陰鬱で残虐でそれでいて大して内容がない露悪的なストーリー展開)が流行った。
私見だが、それらは一過性の強い内容のない飛び道具みたいなものなので、こういったアメコミの歴史ものでは飛ばされることが多い。僕が大好きだったクリス・バチャロ画のそのものズバリなタイトルのX-MEN「ジェネレーションX」もスルーされて悲しい。だがスルーされても仕方ないくらい薄い年代だったのかもしれない。
この番組で扱った90年代は「スーパーマンバットマンがクールに復活」「デッドプールなどのジェネレーションX」だけ一瞬出てきただけだった。確かに薄い時代だったのかもしれないがブルース・ティムのDCアニメなども含めてほしかった。

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2000年代インターネットの普及でファン同士の交流や情報交換が進んだ。
X-MEN (2000)」映画化。監督のブライアン・シンガーはゲイだったために、ミュータント差別をゲイ差別のように描いた。
アイスマンが勇気を出して両親に自分がミュータントである事をカミングアウトする場面では、母親が「ミュータントをやめられないの?」とアホな事を言い出す。
これはゲイであることをカミングアウトしたら「‥ゲイってやめられないの?」と言い出すアホの親そのままだ。
「アイアンマン (2008)」映画化。そこから始まったMCUは「現在進行系の覇権握り中コンテンツなので描かなくても知ってるだろ?」とばかりにサラッと話題は次に行く。

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現代。“9.11”アメリカ同時多発テロ事件以降、アメリカ国内の中東系の人々やイスラム教徒への風あたりが強かった。
MARVELのイスラムアメリカ人の担当編集者サナ・アマナットイスラム教に改宗した米国人女性コミックライターのG・ウィロー・ウィルソン2013年アメリカに住むイスラム教徒の女子高生ヒーロー、ミズ・マーベル(カマラ・カーン)が誕生。
MARVELはまたマイノリティ出身ヒーローを誕生させた。
イスラム教徒のヒーローはDCやMARVELにもいたがそれはサブキャラだったりチームの一員だった。個人でタイトルを持ったのはカマラちゃんが始めてだ。
作者はヘイトメールが山ほど届くのを恐れたが、カマラ・カーンは歓迎されベストセラーとなった。
※「今後MCUで作られそうなヒーロー最有力」のカマラちゃんは僕も大好きなので、未来を感じさせる彼女で番組が終わったのが最高だった。
かくしてアメリカ現代史とアメコミヒーローが如何に結びついていたか、を語ったアメコミヒーロー史約80年について語った番組はここで終わる。

 

 

‥という感じで面白すぎて、番組で語られたアメリカとヒーローの歴史をそのまま書いてしまった。感想というより只のメモですね。。
スーパーマンバットマンワンダーウーマンキャプテンアメリカスパイダーマン、アイアンマン、ブラックパンサーなどの黒人ヒーロー、現代のミズ・マーベル‥‥それぞれの章が、彼ら彼女らの歴史そのまま。映画一本分にあたる情報量が十数個一気に叩き込まれるので面白いに決まっている。
昔からよく言われてたけど、アメコミのヒーローは、近代アメリカの神話なんだな‥とつくづく思った。
「スーパーマンで始まってカマラちゃんで終わる‥」という構成もいかしていたし。
アラン・ムーアが完全無視なのが気になるが、ムーアの場合ヒーローそのものに従事するよりフィクションそのものに従事していた印象が強いので省かれたのかもしれない。
Huluに入会してパッと見て退会すれば無料で観れるし興味持った方は観てください。
情報云々だけでなく、番組の編集自体が面白いので(僕もまた何度か観たい)

 

そんな感じでした

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