gock221B

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『ONE PIECE』〈シーズン1〉(2023) 全8話/同じスタジオのビバップのドラマ同様コスプレ感強いが、キャスティングと原作の大事な任侠要素がちゃんと描けてたから良作になった👒


製作総指揮&原作:尾田栄一郎ONE PIECE』(1997-連載中) 企画&製作総指揮:マット・オーウェンズ、スティーヴン・マエダ 監督:マーク・ジョブスト、ティム・ソーサム、エマ・サリバン、Josef Kubota Wladyka 製作総指揮:マーティ・アデルスタイン、ベッキー・クレメンツ、藤村哲哉 制作会社:トゥモロー・ スタジオ、集英社 配信サービス:Netflix 製作国:アメリカ 配信時間:各話約60分前後、全8話 シリーズ:『ONE PIECE』実写ドラマのシーズン1

 

 

👒ご存知、現在も連載中の人気漫画『ONE PIECE』(1997-連載中)の実写ドラマ化。
日本漫画の実写化の失敗率の高さ、そして制作するスタジオは配信して数日後にシーズン2打ち切りが発表されてしまった悲しいNetflixドラマ『カウボーイビバップ』(2021)を作ったスタジオという事であまり期待していなかった。
だが、配信されたら『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2022) 『ウェンズデー』(2022) の記録に超える大成功という誰も想像してなかった結果に。原作漫画が多くの国で親しまれてたのと「漫画原作実写だけどそんなに悪くないぞ」という口コミが合わさった結果だろう多分。原作者の尾田栄一郎が脚本やキャスティングにかなり厳しくした事や制作スタッフが『ONE PIECE』らしさを頑張ったのも良かったのか?その辺については本文で考えよう。

👒原作漫画『ONE PIECE』(1997-連載中)

僕は一応、第一話から連載中の最新話まで全部読んでるタイプの40代中年男性です。
最初に読んだのはよく覚えてないけど20代後半くらいの時?に偶然読んだら師匠の徳弘正也ゆずりの人情味に感動したり戦闘シーンでのパースの効いた爽快アクション(今は登場人物や背景が複雑過ぎてこれはもう見れなくなった)、それまでのジャンプ漫画と違いメインの1~3人だけでなく仲間や脇役に至るまで満遍なく活躍する事に感激して「天才やん」と楽しんで読みました。
それまでのジャンプ漫画は主人公「だけ」や仲間もせいぜいメインの1~5人だけが活躍するものが殆どだったので本作の「仲間や脇役などが満遍なく活躍する」という要素は「これこれ!こういうのが子供の頃から読みたかったんだよ」と感動した。表紙や背表紙にも色んなキャラが描かれたり扉絵で過去のキャラのその後が絵物語で語られ後に再登場したりするのも冴えすぎてると思った。また作者の尾田氏は自分と年齢も近いので彼が作品に取り入れてる俳優やミュージシャンや古い邦画やタランティーノ映画やディズニー作品などからの影響も見て取れるのも楽しかった。
しかし「アラバスタ編」まで読んだら満足してしまい読まなくなった。この「アラバスタ編で満足して読むの辞めた」という人は凄く多い。決してそれ以降がダメというわけではないが「アラバスタ編」がそれまでの連載での魅力がアベンジャーズのように集結した面白さだったので「もうこれ以上は多分ないな」と自分のピークを感じてしまったんだろう。
その約10年後ふと久々に立ち読みしたら、それまでの敵や味方が勢ぞろいするという『アベンジャーズ』(2012)状態の「インペルダウン編」~「頂上戦争編」は「ルフィがバギーとMr3とボンちゃんと脱獄?人選が神……」とあまりに楽しくて久々に熱くなった(未だに「インペルダウン編」が一番面白いと思う)。だが戦争が終わるとしばらくつまらなくなったしインペルダウンでハンニャバルが放つ「海賊否定論」が説得力ありすぎてルフィに否定的な気持ちになり再び読むのをやめた(この当時はハンニャバル海賊否定論がネットでも人気だった。今となっては天竜人を丹念に描くことによって「正論を言ってると思われたハンニャバルもまた、ろくでもないお上に盲目的に従っていただけ」という事がわかってきたので最近では「ハンニャバル海賊否定論」も話題にならなくなった)。

連載も長期化して一昔前は「私マンガ好きだよ?ワンピース全巻持ってるし!」といった感じで、漫画好きだと思わせて読んでるのワンピースだけの人を揶揄するのが流行っていたが、長期連載化した今となっては「私マンガ好きだよ?ワンピース全巻持ってるし!」と言われたら「え、100巻くらいあるワンピース持ってるとか君、相当な漫画好きだね」という感じになってきてしまい前述の冗談も聞かなくなった。
そんな一昨年だか去年あたり「ワンピース最終章が始まって膨大な要素が一気に収束して今後ずっと面白い」と噂を聞いて「いい機会だから読み返して追いついてみよう」と昨年末……くらいだったか?ワノ国編ラストあたりの時に読んでなかった箇所を一気に読んで追いついた。
一気に読んだ結果、増加の一途を辿る登場人物の数や絵は確かに複雑化してて物凄く読みづらくなったがキャラデザインとかは基本的にカワイイままだし面白かった。ただ前述の、本作に対して良いと思っていた「仲間が満遍なく活躍する」という要素が、作品世界や登場人物が際限なく膨れ上がったにも関わらず律儀にそれをやり続けてるせいで各章ラストの「麦わらの一味 vs.敵の幹部たち」の総当たり戦が異常に長すぎて正直ウンザリした。連載初期みたいにゾロの斬撃やサンジの足技だけにクローズアップしてパースの効いた爽快感あるアクションも減った(同時に色んなものも同時に描くようになってゾロやサンジだけ描くわけにはいかなくなった)。ルフィ&ゾロ&サンジといった戦闘メンバー以外も闘うのも、たまには良いが毎回毎回全員が満遍なく闘うのは本当にやめてほしかった。また色んなキャラの回想も満遍なくある。
後半……「魚人島編」「パンクハザード編」「ドレスローザ編」「ホールケーキアイランド編」「ワノ国編」など、どう考えても毎回の全員が満遍なく活躍するバトルが長すぎて「麦わらの一味が活躍する本編はつまらなくて、編と編の間の世界情勢だけが面白い」という印象になっていった。相変わらず凄く良い部分も同時にあるので、要らんところは切って散漫な部分だけ何とかすればいいのにと思った。クソ長すぎる「ワノ国編」だが「ワノ国編」だけのサブキャラも膨大におり中の一つ〈赤鞘九人男〉なんて九人も居る意味がない。裏切り者とか時が過ぎて顔が変わった奴とか猫と犬とか……どの赤鞘も作者が長年構想して描きたくてたまらなかった奴らだったんだろうが、赤鞘が多すぎて互いを食い合い一人ひとりの印象が薄くなって読み終わると全く印象に残っていない(正直、錦えもん一人だけでいい)。そして「ワノ国編」は作者が思い入れたっぷりだったせいか終盤あたりでは城のどこかでデカい音が鳴ると、どこかにいるゾロが「何だ?」と言って、また別の場所にいるサンジが「何だ?」と振り返って……みたいな感じで一話の間に全く無意味に思える場面転換がやたらあって「ひどい時は10回くらいある時あった」物語が進むのはラスト2ページくらいだけみたいな極端な回も多くて「要らんところ切れや!モタモタモタモタしてる間に『鬼滅の刃』とか『チェンソーマン』等の新しくて要らん要素を切って短くしたおもろい漫画が始まって完結してるんだが!」と「ワノ国編」は読んでるこっちがキレそうになった。
そう長期連載化する事によって『ONE PIECE』はもう新しいジャンプ漫画ではなくなった。『ONE PIECE』『NARUTO』から始まったと思われる長期連載型ジャンプ漫画……これは最近の漫画だと『僕のヒーローアカデミア』くらいしかないのだが、近年では『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『チェンソーマン』等の「一気に駆け抜けて終わる」「どんなに人気あるキャラも物語のためなら殺す」という、子供の頃ジャンプ黄金期を経験した自分には信じられない要素が多いそれらに感動して20年ぶりにジャンプ毎週読むようになってしまった。そういった新しい波がジャンプ編集部に来ていた事もあって同時に連載してた『ONE PIECE ワノ国編』のクソ冗長さが際立った。単行本でも読んでも冗長に感じるが、これを連載で読むと永遠につまらない回が繰り返されて死にそうになった。
そう、連載初期の時には「『ONE PIECE』は一週毎に行き当たりばったりじゃなく計画的に話を作ってるし、仲間や脇役までも全員が満遍なく活躍してて凄いなぁ!昔のジャンプ漫画にはない要素ばかりだ!」と褒めまくっていた要素が、長期連載化した事によって今では短所にもなってきていると感じた(もちろん未だにそれらが良く機能してるところも多いのだが新世代のジャンプ漫画が台頭してきてるので悪いところの方が目立ってきていた)。
長期連載漫画には、ダラダラ引き伸ばして小銭やアシスタントに払う金を稼ぐ大御所漫画家も多い(板垣とか福本とか?)。だが尾田氏の場合は彼らと違って「絵も物語も描きたくてたまらない!漫画大好き!」という数少ないやる気満々タイプな大御所漫画家で、漫画『ONE PIECE』は日本一売れてる上に長年の実績がありすぎるわけで……その作者が漫画描くやる気ありすぎてキャラや物語世界への愛もありすぎた結果、尾田くんがずっとやりたかった「ワノ国」を始めとする近年の『ONE PIECE』は尋常じゃなく冗長すぎる漫画になってしまった。

で、今連載中の最終章はそれまでの連載よりもテンポが1.5倍くらいに早くなって、過去の伏線を回収したり、麦わらの一味のクソ長い戦闘はなくて黒ひげやローやシャンクスやサボやコビーなどに視点が目まぐるしく変わり、どんな時でも面白かった「世界情勢」も増量されてるし本当に文句なく面白い。もう今では日曜日の夜0時に読んでる。こんなに読んでるの過去に好きだった「アラバスタ編」「インペルダウン編」以来だし、僕の中で「三度もピークを迎えたんだな」と尾田くんの底力を改めて感じた。
今は『呪術廻戦』『ONE PIECE』『暗号学園のいろは』を読んでる
今は日曜夜になると『呪術廻戦』『ONE PIECE』『暗号学園のいろは』の順番に読んでます。ヒロアカと一ノ瀬家の大罪はつまんないから読まなくなりました。

👒好きなキャラ
主人公ルフィは、悟空みたいに性欲がないあっけらかんとしたタイプの主人公だが、いざという時には非情なまでにドライな態度になったり本気で呆れたら完全に無表情になる冷徹さが好きだ。そういった傾向は『ドラゴンボール』(1984-1995)後期の正義のヒーロオーデはなく独自の欲求に従ってるだけのドライな孫悟空に似ている。
ルフィ以外の好きな麦わらの一味はサンジとロビン。あとジンベエ(皆がボケて脱線したストーリーをマジレスで元に戻す事が多いので読んでて気持ちいい)。好きな他の海賊はボンちゃんとモリア(デザインと名前がめちゃくちゃカッコ良いし、メインストーリーの陰で酷い目にばかり遭ってるのも色気がある)とベッジ(脇役っぽいルックスから出る男らしい活躍のギャップ、だがもう全て良いとこ出し切ったから終わった感がある)、あと黒ひげ海賊団(結局勝つのだが全員ダメージを喰らえたり心底悪い奴じゃない懐の深さ感)。好きな海軍は黄猿(キャラ、デザイン、モデル、能力、真似したい感じ、「田中邦衛の顔のキャラが人気になりフィギュアが売れる」という異常な状況を生み出した事象など……全く隙がない完璧なキャラ)、モモンガ(メロメロを防御して渋かったから)、たしぎ(かわいいから)……ですかね。他の海軍大将だが赤犬と緑牛は「菅原文太原田芳雄が体制側にいる」って全く魅力ないからダメです。青キジは真意を伏せてておもろいから好きです。勝新が好きなので藤虎も応援したいところだがわかりやすい任侠キャラで正直あまり面白くない。
女子に大人気のローも読んでみたら確かにキャラはめちゃくちゃ良いので人気がわかりました。ただオペオペの実の能力が何でも出来すぎてつまらないです。

予想通りドラマ本編より前フリの、原作についての方が長くなってしまった。
まぁ20年以上続いてる膨大な漫画の感想なので多少長くなるのも仕方ない。

ネタバレあり

 

 

 

 

Story
海賊王になるため、悪魔の実ゴムゴムの実〉を食べて伸縮自在な身体を持った少年モンキー・D・ルフィ(演:イニャキ・ゴドイ)は、かつて海賊王ゴール・D・ロジャーがその存在を明らかにした〈ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)〉を求めて冒険の旅へと東の海(イーストブルー)に飛び出した。
ルフィは千両道化のバギー(演:ジェフ・ワード)を始めとした極悪な海賊たちを倒しながら、世界一の剣豪を目指すロロノア・ゾロ(演:新田真剣佑)、航海術に長けた泥棒ナミ(演:エミリー・ラッド)、嘘つき狙撃手ウソップ(演:ジェイコブ・ロメロ・ギブソン)、蹴りが得意な料理人サンジ(演:タズ・スカイラー)らと次々と出会っていく。
その〈麦わらの一味〉を、伝説の海兵モンキー・D・ガープ中将(演:ヴィンセント・リーガン)と海兵見習いのコビー(演:モーガン・デイヴィス)が追うが――

そういう感じで、主人公ルフィが冒険の旅に出る。
海賊アルビダの船でこき使われていたコビーが一番最初に出会った重要キャラ。
本作は原作漫画よりもコビーとガープと出番が多い。これは明確に良いところだった。
コビーは原作漫画で最終的には信頼しながらもルフィと対をなす存在だし、ルフィの祖父ガープは、海賊になろうとするルフィを止めるために追いかけてくる。「この世界で海賊は海軍に追いかけられ続ける」というのを説明できてて良い。このイーストブルー編で他に出てくる他の海兵がモーガンやネズミなど悪役しか出てこないので立派で強い海兵も居るんだぞと示すのにガープはピッタリだ。最後にルフィと対峙してルフィの親離れのドラマを作ることもできたし。この役割はただ強いだけのスモーカーじゃなくてガープでないと上手く行かなかっただろう。
コビーと知り合う「vs.海賊アルビダ」。ゾロとナミと知り合う「vs.海軍大佐・斧手のモーガン」(ついでにヘルメッポも)。コビーとヘルメッポがガープ中将の部下になる「vs.海賊バギー」。ウソップとゴーイングメリー号と出逢う「vs.百計のクロ」。海上レストラン・バラティエでサンジと出逢いゾロが敗北する「vs.王家七武海ミホーク」。ナミの村や夢を搾取し続けた魚人海賊団をルフィ達が義によって退治する「vs.アーロン」。「ルフィ vs.ガープ」の孫vs.祖父対決……を経てルフィに懸賞金が付き晴れて海賊「麦わらの一味」となったルフィ達。これで「東の海(イーストブルー)編」が終了、シーズン2はグランドラインに向けてバギーやスモーカーから逃げるとこから始まるのかな、というのがシーズン1の流れ。
「海賊に憧れて悪魔の実を食った幼いルフィが赤髪のシャンクスに助けられ絶大な影響を受ける」回想は最初の数話で挟み込まれる。その後の「ゾロとくいなの回想」「ウソップと母親とカヤの回想」「サンジとゼフの回想」「ナミとベルメールとアーロン一味の回想」なども丁度いい長さとタイミングで挟み込まれる。
普通、回想シーンって、未来は未確定である「現在」から、結果が固定されている「過去」に時間が後退してしまうのでかったるい感覚があるものだが本作では凄く丁度いい短さで丁度いいタイミングで挟み込んで消化するやり方がかなり巧み。この各回想の丁度良さは本作の優れた部分の一つだろう。
またイーストブルーの強敵のうちクリーク海賊団だけはミホークにボコられてそのまま終わってしまう。本作が発表された時は10話だったのが制作費が足りなくなって8話になった……という事はクリークのくだりを泣く泣くカットしたんだろう。ちなみにギンはバラティエでちゃんとピラフ喰う、ありがてえありがてえとは言わないが「やはりギンのくだりはクリーク以上に重要なんだな」と思った。あと本当ならバギーやスモーカーと絡んでイーストブルーを脱するくだりまで描く予定だった気がする。これで本来の全10話になるしね。
またアーロンの幹部ではっちゃんだけ何故か出てこない。タコの魚人はっちゃんは後でも出てくるし割と重要なはずだが。多分「六本腕での六刀流で暴れるタコ人間」というのは制作費がめっちゃかかりそうだからカットされたのかなと思った。『スター・ウォーズ ep3/シスの復讐』(2005)で、4本腕でライトセーバー4刀流で闘うグリーヴァス将軍の腕が、当時CGで描くのが大変過ぎて(というか初の全編CGで作られた映画が前作EP2だからまだまだCGが発展してない時)グリーヴァスの二本の腕は早々にオビワンに切り落とされてあっという間に普通の2本腕にされたのと似たようなものか。おかげでゾロとサンジふたりがかりでクロオビと戦ったのでクロオビが少しだけ強いイメージになり、ウソップ一人でチュウを倒すというアンバランスな感じになった。
ウソップはここまであまりに活躍シーンが少なかったから最後に強敵のチュウを一人で倒したのは丁度よかったかも。
ウソップは「嘘つき」を強調させるためウソップ海賊団(子供達)も居た方がよかった気がする。

 

 

👒アクションや強さ表現
ルフィ達のアクションは「普通の人間より少し強い」って感じの塩梅で、堺正章夏目雅子主演の『西遊記』(1978)や僕が大好きな『デアデビル』(2015-2018)を思わせる。
どちらも等身大の人間によるアクションメインのものだ。旅して訪れた先で悪を倒して善良な市民を助けていくところなどが「『西遊記』(1978)っぽい」と思った原因かも(あと単純に監督の一人が『デアデビル』〈シーズン2〉の人という事もあるだろうが)。
CGやワイヤーもたまに使って伸びるルフィの身体やゾロの壁走りなど頑張っていた。
「このドラマは、こういう感じで普通の人間よりちょい強いくらいのリアリティラインで作るのかな?」と思ってたが、このシーズン1に出てくる達人たち……ミホークは斬撃を飛ばして数十m離れた海賊船を真っ二つにしたり、海軍の船の砲撃よりもガープが弾を素手で投げた方が強かったので「ルフィたちは駆け出しだから(メタ的には制作費が限られてるから)」これくらいの強さ表現なんだと思った。ただゾロが落とされた井戸を全力出さないと登れないのは少しショボい気もした。
戦闘も、ルフィが怒ったりやる気出したら数倍強くなってそのまま倒してしまうのは少年漫画っぽくはあったが少し古臭い気もした。
またルフィ達と対峙したら敵が急に弱くなったり、逆にゾロやサンジが急に弱くなったりと、お話の都合で強さが上下してる感じがあって戦闘は全体的につまらなかった。

 

 

👒デザインとキャスティング
キャラクターの服装や船などのデザインは「ほぼ原作通り」だった。
同じスタジオのドラマ『カウボーイビバップ』(2021)も「原作アニメまんま」だったが、ハッキリ言って漫画っぽい原色の服着てて、犬やネズミの帽子被ってるのはコスプレ感が強くてちょっとどうかと思った。
個人的には「麦わらの一味」のデザインだけを原作まんまにして、その他の脇役や普通の人たちは汚しを入れてコスプレっぽいキャラが浮かないようにした方がいいと思った。
「アメコミそのまんまだ!」と人気が出たMCUも、実はコミックそのままなのは主人公ヒーローだけでヴィランは現実的なデザインにしたり本名だけ呼んで漫画っぽいコードネームを言わなかったりして「なんか子供っぽいな……」と思われないように工夫してる、そういえばヒーロー名も劇中では殆ど呼ばれないよね。
とにかく本作は、これほどまでに漫画に寄せなくて良いと思った。
特に漫画で電伝虫がああいう形なのは、カートゥーンっぽい絵柄だからハマってたわけで、そのまま映像化したらクローネンバーグ映画みたいで不気味だった。ナミが通信に普通のカタツムリみたいな電伝虫つかってたけど、ガープの電伝虫なども全部ああいう普通の貝殻でいいと思った。
だがキャスティングは尾田氏が参加しただけあって、めちゃくちゃ良かった。
ウソップは予告編の段階で既に「似すぎてるから肌が黒くてピノキオ鼻じゃなくても最高にウソップ」と言われていたが、尾田氏が本作で一番の難関だと思われたルフィ役のイニャキ氏を初めて観た時に「ルフィだ!」と思っただけあって、本当に長くて細い手足など見た目だけでなく、ルフィの雰囲気が凄く出てた。このイニャキ氏演じるルフィ、凄く可愛いルックスなんだけど笑ったりしたら妙な怖さがあるんだよね、メキシコやブラジルでギャングをしてる可愛い子供みたいな怖さがある。この微妙な怖さが凄くルフィっぽい。
ナミや真剣佑ゾロやサンジどれも良かった。サンジは原作よりムキムキ過ぎて二回りくらいデカく見えたがスタイル良いから別にこれでいい。原作やナミのファンだったというエミリー・ラッド氏演じるナミは本当に可愛いんだけど、今のアメリカの映像作品で「美しい白人が大きな胸やミニスカートで美脚を強調」するなんて事は全くなくなったので、胸と美脚が目立つこのナミは珍しくて新鮮な可愛さを数年ぶりに感じた。

 


👒懸念されてた実写映像化や面白さ
原作漫画はすんなりそのまんま実写に出来る感じではなく悪魔の実の奇想天外なアクションや、凄くカートゥーンっぽいキャラデザインなどを考えると「よっぽど金かけても難しいんじゃなか」という印象があって実写映像化を心配してたが、評判通り「面白い」領域に入ってる気はした。
と、いうのも原作漫画も今思い返すと、能力やアクションや派手な舞台装置や謎……よりも「義によって恩人を助けて悪をくじく」といった古き良き「任侠ものの日本映画」みたいなストーリーがメインだった。
だから本作はそこを、前述の丁度いい恩人との回想、そしてタイムラインが現在に戻ると恩人を酷い目に遭わす悪漢を私刑にしてやっつける!
……という僕が思う「『ONE PIECE』の大事なところ」が上手く描けてた、だから成功したんだと思った。
本作を観てて、前述通り妙に子供っぽいところも多いので時に退屈だったところもあったが、カヤがクロになじられて泣く場面、サンジやゾロの回想、万策尽きたナミがルフィに助けを求める名場面などは、やはりグッと来た(とはいえ出ていくサンジがゼフに土下座する場面は欲しかった気もするが、土下座は日本独自のものだから無かったのかな?)
というわけで、ピッタリ過ぎるキャスティングと、義理人情や任侠要素といった人間ドラマがちゃんと描けてたからヒットしたのかなと思った。
で、同じスタジオの『カウボーイビバップ』(2021)は、本作の悪いところだけで良いところが無いドラマだったので失敗したのだろう。実際『カウボーイビバップ』(2021)と本作はかなり似てた。
だがストーリーを知ってるせいか「早く次!次!」という感じで2日で全部観るなんてことはなく、10日くらいかかった。まぁ、ほどほどの面白さという感じかな……。アクションが一切ヒヤヒヤしない緊張感のなさのせいかも。
まとめると、原作愛に溢れたほどほどの面白さのドラマといった感じか。
個人的には、これで終わりにした方が良かった気もしたが、大ヒット作の常としてシーズン2制作決定してしまった。
次は衣装デザインとかを、もう少し汚して違和感なくしてほしい(海軍の制服とかピカピカすぎて恥ずかしい)。正直べつに漫画そのまんまじゃなくて良い気がするんだ。

 

 

 

 

そんな感じでした

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One Piece (TV Series 2023– ) - IMDb
ONE PIECE.com(ワンピース ドットコム)

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