gock221B

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『アベンジャーズ』(2012)/主人公補正を持ったヒーローが集合して主人公補正を保ったまま最後まで進んで上手くいった貴重な作品🌏


原題:The Avengers 制作スタジオ:マーベル・スタジオ 製作:ケヴィン・ファイギ 監督&脚本&原案:ジョス・ウィドン 原作:スタン・リー、ジャック・カービー 製作国:アメリカ 上映時間:134分 シリーズ:『アベンジャーズ』シリーズ。マーベル・シネマティック・ユニバース第6作目

 

 

 

MCUでこれ1本だけ感想書いてなかったの久々に観て、これで全作の感想書けた。
ちなみに去年は映画3本これはよかったが、映画以外でもDisney+でMCUのドラマorアニメの配信も始まり最初は大喜びしてたが「どれも5話くらいまでは面白いが最後まで観るとイマイチな感じで終わるものが多いな」と感じ、『アイアンマン3』(2013)→『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)という幸先不安だったフェイズ2初頭ぶりに……9年ぶりくらいに久々にMCUに醒めている今日この頃。だがフェイズ2初頭の迷走は続くウィンターソルジャーで持ち直したし引き続き見守っていこう。
このアベンジャーズ一作目は本当に「ティム・バートンバットマンサム・ライミスパイダーマン以来に観たかったアメコミ映画来た!」と大好きだったのだが、監督のジョス・ウィドンのパワハラ・セクハラ問題の数々を受けて前ほど楽しめなくなり長い間観る気になれなかった。ジョス・ウィドンは2012年に世界の頂点に立ったのに10年も経たず絶賛干され状態になったというのが凄い。ワインスタイン同様に落差ありすぎて健康を害す勢い。ジョスは本作に続く『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)が、動員数と評価どちらも下がりMCUから追い出された(ちなみに現在ではウルトロン本編に散りばめられた仕掛けが後続作に影響しまくってるのでユニバースのファン的には映画としてではなくオタ的な意味での面白さは上がった)。ジョスのその後の失敗やパワハラ・セクハラ問題についても書いてたら一記事分くらいになっていつまで経ってもアベンジャーズの感想まで辿り着けないので各自で調べて下さい。
本作の大成功でジョスの権力が増した『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で評価を落とし『ジャスティス・リーグ』(2017)は明確につまらなかった(ジョスの権力が上がったら作品内に女性メンバーの上に男性メンバーが倒れるというエッチギャグが何としてでもねじ込まれるのでわかりやすい)。だから、このアベンジャーズ一作目は自分の中で「ファイギの映画」と脳内補完する事にした。強引だが、MCUは作家性も重んじるが設定面やシリーズ監修面ではスタジオが強いのでこの考え方もあながち間違いでもない気がする。それにこの一作目はジョスっぽい嫌な場面が少ない(強いて言うなら汗びっしょりで縛られたナターシャがギャングに顔ぐいーっと持たれる場面や、汗びっしょりのナターシャがハルクに追い回される場面くらいしかなかったし)。
MARVEL社は以前、倒産危機だった時にヒーローの映画化権を他社に売って糊口を凌いだ。一番でかい弾〈スパイダーマン〉をSONYに、〈X-MEN〉をFOXに売ってしまい(他にもあるが省略)「他のよくわかんないヒーローは要らないよ!」と買われず余ったのがこのアベンジャーズ。一本目の『アイアンマン』(2008)が公開されヒット。その頃「アベンジャーズの前にMARVEL映画を5本作り、それを結集させてクロスオーバー大作『アベンジャーズ』を作る!」という噂が流れた時は「フーン……」という感じだった。「上手くいけば勿論観たいけど、どうせアベンジャーズなんて作るところまでいかないだろうし、もし制作されたとしても、とっちらかった散漫な映画になるかもしれないから期待するのはやめておこう」という、自分が傷つかないよう引いて見て、頭上1mくらいの部分で期待していた感じでした。
まず第一にシリーズが成立させる事自体が難しいのに「単体の作品を次々と作り、それを結集させる」という形でのシネマティック・ユニバースなんてものが殆ど存在していないので非現実的に思えたというのがある。そして他の僅かなシネマティック・ユニバースを見ればわかる通り、配給会社や各監督が自己主張して足を引っ張りあってよくわからない事になってしまう。だからDCはバラバラに作ることになったし、成功してるジェームズ・ワンのホラーはワンが仕切っており一定のクオリティが保たれている。MCUはご存知ケヴィン・ファイギが各部署のスタッフを仕切ってるので一定のクオリティが保たれており今では安心して観てる。でも当時はファイギなんて人の存在なんて知らないし殆どの映画ファンは好きな監督で判断するしかなかったので、MCUが面白いかどうか面白かったとしても次が面白いかどうか全く予想がつかない世界だった。だから皆、半信半疑で薄っすら期待するという感じだったと思う。
だが一作目の『アイアンマン』(2008)は確かに人気が出た。この一発目のアイアンマンこそが成功の鍵だった。僕は断然キャップ派だが、一発目がアイアンマン以外だったらMCUがここまでうまくいったかどうかわからない。ハルクとソーとキャップは本作アベンジャーズ一作目のストーリー通りスーパースターのトニーに引っ張られて「トニーと愉快な仲間たち」といった感じの本作アベンジャーズ一作目が成立した印象。イーロン・マスクジョブズを思わせるITスターのような性格のトニーも新時代の現代ヒーローという感じがあったし、アーマーを着たアイアンマンは只でさえオモチャが売れるヒーローの中でもアーマーのバージョン違いでめちゃくちゃ売れるヒーローと言えた。MARVELスタジオが2003年、MCU制作資金として銀行から金を借りる時に提出した事業計画書に書かれた「映画化予定のMARVEL映画10本」の中にアイアンマンはなかった。リサーチしてたらアイアンマンのアーマーにチビッコが多く食いついたので急遽、予定になかったアイアンマンを一発目にしたらしい。MCUが今あるのもアイアンマンと北米のチビッコのおかげと言える。
アベンジャーズ直前作品『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)も何とか『アイアンマン』一作目と同じ程度にはヒットし、そのキャップFA公開時、本編の後に数分間の『アベンジャーズ』の予告映像が付いていた。好きなキャップの実写化も観れたしアベンジャーズも公開間近。「よし、何とか5作品の綱渡り、ギリギリ成功!このまま『アベンジャーズ』公開して撤収だ!」と盛り上がった。
本作が大ヒットする事までは想像できたが本作でシリーズは終わりだとボンヤリ思ってたら、まさか10年経った今も大人気で継続中だとは、この時は想像してなかった。
ネタバレあり

 

 

 

 

『マイティ・ソー』(2011)アスガルドを追われた悪戯の神ロキトム・ヒドルストン)は、宇宙の戦闘種族チタウリと手を組み地球に侵攻する。
国際平和維持組織〈S.H.I.E.L.D.〉長官のニック・フューリーサミュエル・L・ジャクソン)は以前からチェックしてたヒーロー達……トニー・スターク/アイアンマン(ロバート・ダウニーJr)、スティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカクリス・エヴァンス)、ソークリス・ヘムズワース)、ハルクマーク・ラファロ)、ナターシャ・ロマノフ/ブラックウィドウスカーレット・ヨハンソン)を一週間で結集させ、地球外の驚異から地球を護るためのヒーローチーム〈アベンジャーズ〉を結成。ロキを捕える。
だが考え方が違ったり頑固すぎたり個人主義すぎたり傲慢だったり……と協調性が無い彼らはアッセンブル(団結)できず、その不仲をロキが魔力で煽ってアベンジャーズは結成早々に分断してしまう。
そこへロキに洗脳されたS.H.I.E.L.D.エージェント、クリント・バートン/ホークアイジェレミー・レナー)が強襲。本来、凄い力を持っているはずのアベンジャーズ&S.H.I.E.L.D.は、只の人間であるホークアイによって壊滅寸前まで破壊され、ソーやハルクもヘリキャリアから落下。ロキは、アベンジャーズを集める事に尽力したS.H.I.E.L.D.エージェントのフィル・コールソンクラーク・グレッグ)を殺害して脱出。ロキが捕まったのも、チタウリ軍を地球に転移する作業を進めるための囮だった。
かくしてアベンジャーズとS.H.I.E.L.D.は結成早々手痛い敗北を喫した。
スーパーパワーを持ったヒーローが集まったところでアッセンブルできなければ真の力を発揮できない。(アベンジャーズは、この本作の中盤でしてしまった失敗を『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)でも繰り返した結果、宇宙の半数の生命が消滅してしまう)。
洗脳状態を脱したホークアイも加わったアベンジャーズは、ニューヨークマンハッタン島にて、今度こそアッセンブルしてロキ&チタウリ軍を迎え討つ。これが後にいうNY決戦(The Battle of New York)と呼ばれる事になる防衛戦だった―

……そんな話。
MCUにはストーリー的にも映画の外でのメタ的な意味でも幾つかの特異点があるが〈アイアンマン誕生〉〈サノスの指パッチン&アベンジャーズの指パッチン〉と並び、この〈NY決戦〉も間違いなくMCU内の重要な特異点だろう。

 

 

映画公開して5日後に観に行った(当時のTwitter見て確認した。便利だね)。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)では他のファンの人と同じ様に僕もアッセンブルを始めとする色んな場面で感動してたが本作の場合「NY決戦でアッセンブルしてアベンジャーズの周りをカメラがグルーっと回る」……という有名なシーン……は勿論だが、それ以前に〈キャップとアイアンマンが一つの画面〉に収まり共闘してロキをシバく場面、森にソーも来てアメコミお約束の出会い頭バトルして〈BIG3が一つの画面〉に収まってるとこ等でも既にエンドゲームのアッセンブルと同じくらい感動してた。いや、それ以前に本作が実現すると思ってなかったので実現した事自体にも日々感動して公開前後一ヶ月くらいフワフワと感動したまま生活していた。
最初から、パチンコで言うとチューリップが開いた状態なのでクロスオーバーご対面シーンの他にも「ナターシャが椅子に縛られた状態でギャングを半殺しに!」「コールソンがキャップに熱視線を!」「言い合いしたり喧嘩したり最高!」など、冒頭からずっと感動している状態だった。だからヒーローよく知らずに本作を観た人が「最後の決戦まではダラダラしていた」という感想が当時結構あったのが信じられない想いだった。久々に観てもやはり面白かった。だが良かったところを一々挙げてくとキリないので全体的にざっくりした感想を書きながらまとめていこう。

 

第一幕の活躍が「喧嘩」
まず第一に本作は「明るくて楽しい」というのが画期的だった。
それまでのヒーロー映画に不可欠だった悩み要素が少ないのが良かった(別に面白ければ悩んでもいいけどね)。今までのヒーロー映画でよくあった「ヒーローが悩むが、やがて気を取り直して敵を倒す」というくだりは本作の場合「不仲だったヒーローが団結して敵を倒す」という構成になっている。これが「初めて成功したヒーローチーム映画」としての成功を叩き出した。
チームもの映画の定石といえば(というかアメリカや香港などのエンタメ映画の定石でもあるが)「ヒーローが集結して勝利」→「敗北」→「復活して今度こそ勝利」という流れ。この第一段階の「ヒーローが集結」した第一幕で、まず活躍して軽く勝利するのが普通なんだが本作の場合、活躍っぽい活躍は「BIG3がロキを捕獲した」ところくらいで(しかもロキはわざと捕まったので踊らされた活躍でしかない)、後はすぐ言い合いしたり喧嘩する。ひょっとして当時の一見さんが「後半まで退屈だ」とか言ってたのはアベンジャーズが前半でわかりやすい勝利せず喧嘩ばかりで本格的に活躍するのはラストバトルだったからそう感じたのかも?あと「ヒーローが喧嘩するの嫌」勢も一定数いるし(僕はヒーローのケンカ大好き勢)。
ちょっと善人であるヒーロー達が出会ったばかりなのに一瞬で不仲になりすぎにも見えるが「ロキの杖に付いているマインド・ストーンで精神を操られている」という設定も用意してるので万全だ。
この第一幕では「トニ- vs.キャップ」「ハルク vs.ソー」「ナターシャ vs.洗脳ホークアイ」……など色々な面白い場面が描かれてるし各アベンジャーの一作目を観てない人が本作からいきなり観てもある程度どんなキャラクターなのかわかるよう紹介にもなっている。
つまり、アベンジャーズがギスギスし始めてホークアイに強襲されてヘリキャリアがてんやわんやになってる混乱シーンが、従来のチームもので言う「結集後の初の活躍」に当たる。これが今観ても新鮮でいい。よくわからん中ボスを用意してアベンジャーズがキャラ紹介しながら倒してもつまらん。久々に観ても、やはりこのヘリキャリア大喧嘩が本作のMVP。NY決戦でアッセンブルして抜群のチームワークを見せる前フリにもなっている。
それにしても如何にも馬が合いそうにないキャップとトニーのギスギス感が本当に最高だ。

 

ナターシャとホークアイ
そして僕が当時も今もお気に入りなのは「ナターシャがロキとの騙し合いで勝利して情報を得る場面」「本気で殺る気満々の洗脳ホークアイ一人によって壊滅寸前までいくアベンジャーズ&SHIELD」の2つ。
ナターシャとクリントの2人はラストバトルでも大活躍してたが、それ以上に前半での「主演作まだないけど、この二人も凄いんや!」という力の入りようが凄かった。というかヒーローチームものにありがちだが「超人に混じって活躍を描くせいで人間レベルのヒーローの方がよほど凄く見える」という要素もある。
本作で埋もれそうなのは勿論、単独作がなかったホークアイブラックウィドウ。だから常人二人が超人たちに混じっても見劣りしないよう彼ら彼女らにしかできない活躍シーンをちゃんと作ってる事に興奮した、当時。
同様の出来事は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)で、大人気主人公のキャップとトニーとバッキー、MARVEL一番人気の新顔スパイダーマン以上に、初登場のブラックパンサーを「誰よりも心技体全て揃った最高のヒーロー」として登場させた時に「常にネクストを立てる」MCUの底力を感じて凄く感動した。シビルウォー公開前の「こんな色んなメンツの中でブラックパンサー出しても埋もれるんじゃないか?」と不安だったが、まさかキャップとトニーの長所を合わせて短所を消したかのような完全無欠のブラックパンサーをお出しするとはね。シビルウォーのティ・チャラがあまりに完璧すぎて単独作『ブラックパンサー』(2018)では「ティ・チャラ+シュリの技術+ドーラミラージュの武力=ワカンダ全て合わせてブラックパンサー!」って感じのキャラになってたので「キャップと逆で、ワカンダ全体に分散して下方修正されとる」と思いました。


率先して何度もシバかれる素晴らしいラスボス、ロキ
後半のNY決戦。ここのMVPはやはり「アベンジャーズ全員に痛い目に遭わされ続けるロキ」だろう。「神だから死にそうな致命傷を何度も負える」というのが功を奏した。この時にサノスみたいな固くて強い如何にもボス然とした奴をボスにせず、ロキみたいな柔軟な奴をボスキャラにしたのが賢いですね(まぁ原作通りなんですが)。

 

後の作品ほど強そうに描かれてなかった頃のキャップ
推しのキャップだが久々に観ると、凄い超人たちに比べるとパワー的に劣る様が強調されてます。しかも前述のナターシャやホークアイみたいな上げシーンも少ない。ヘリキャリアで皆が大変な時にコールソンデザインの北米の幼児のパジャマを思わせるコスチュームで右往左往してる感じが……当時よくまとめサイトで「アベンジャーズで一人いらない子がいまーすw」スレが毎日立てられキャップが頻繁にバカにされて悔しい思いをしてました。でも、NY決戦でリーダーシップを発揮してアベンジャーズや警官たちに指示を出す場面は自分が観たかった「指揮能力が高いキャップ」像だったので少しは満足した覚えがある……とはいえアクション・ヒーロー映画でもあるので物理的な活躍もそこそこないと納得しないのが多くの一般客。『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)と本作の、人間に毛が生えた程度のキャップの活躍は、アイアンマンやソーやハルクと比較され悔しい日々を過ごした。
そして御存知の通り2年後に公開された『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)では、彗星の如く登場したルッソ兄弟の超絶演出によりキャップのアクションがクソカッコよく、そして尋常じゃないほど強そうに描写されており『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)公開以降、キャップをバカにする人が激減し、たまにバカにする書き込みがあると強力なキャップヲタが登場して叩きのめすという光景が広がり『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)公開時にはキャップ派がトニー派と互角か凌ぐほどに膨れ上がった。ありがとうルッソ兄弟。設定的にはキャップの強さは変わってないはずだが(エンドゲームでも現在キャップよりNY決戦キャップの方が強かったし)描写によって観客のキャップの強さを測る目自体が変わったという事です。
前半で「ひざまずけぃ!」とイキるロキの前にキャップが現れて交戦する。
キャップは苦戦しつつも立ち向かいやがてアイアンマンも加勢する……というこの場面。今では考えられないが当時は「なんでキャップごときが神のロキに善戦するんだ!」とアメコミファンに叩かれてた。強さ表現が上方修正されたキャップとは別に、以降のロキはやられシーンが増え攻撃手段も幻術や騙しメインになっていったのも影響してか「ロキは物理的にはあまり強くない」ってイメージになっていった。物理的には多分キャップよりパワー強いはずだが『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)あたりではもうキャップの方が強く見えていた。MCUはストーリーや多様性ばかりでなく強さの見せ方を柔軟に変化させるのが上手かったね。

 

集団戦は昔の方がよかったMCU
ルッソ兄弟のアクション演出以降、カッコいいアクションが飛躍的に増えたMCUルッソ兄弟は数人のアクションはカッコいいのだが集団戦が増えてインフィニティ・ウォー~エンドゲームでは、何だか球技感が増してしまっていた(エンドゲームでは実際に球技っぽく演出していた)。
MCUで一番イマイチのラストバトル&集団戦といえば『ブラックパンサー』(2018)、最初に申し訳程度にブラックパンサーがワカンダUFOを槍で落として以降は、何だか運動会みたいなシバきあいが続いた。原っぱで高さがなくワカンダ軍は飛び道具を使わないせいか運動会感が強かった(あとCGが荒かったのもある)……同じく『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)でサノス軍を迎え討つのも同じくワカンダだったため、観に行った当時は勿論大興奮で観てたものの何度か観てるうちに「楽しい映画けど集団戦は『ワカンダ運動会』だな……」という気持ちが少しよぎった。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)のラストバトルもまた、爆撃で更地になった場所で大乱闘してるため(本編は勿論興奮して観てはいたのだが)運動会感があった。インフィニティ・ウォーやエンドゲームの集団戦は「球技」をモデルにしてるというのもある。その点、本作アベンジャーズ一作目や『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)のラストバトルは今観返しても、集団戦という要素では最近のものより上だなと思う。
チタウリのオタマジャクシの上で戦うソーやハルク、その近くを飛ぶアイアンマンが地上で戦うキャップの近くに着地して合体シールドビームを撃つ場面などめちゃくちゃカッコいい。やはり縦の動きを入れずにずっと原っぱで横にしか動いていないと運動会感が強くなってしまうのではないだろうか?
とはいえカッコいい集団戦が出てくる他の映画を思い出そうとしてもあまり出てこない。『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002)コロッセオでのジェダイ軍団の戦いは良かった気がする。アレもコロッセオで高さがない平地での集団戦だったが……多分、首が飛んだりジェダイがバッタバッタと死んでいって殺気があふれてたから良かったのかも?MCUは近年になるにつれ殺気がなくなっていく。レイティング上げたくないせいか血が一滴も出ないというのもそれに拍車をかけている。
せめて次の大集合クロスオーバーMCU作品では、血が出ないのは仕方ないけど縦の動きを増やして、球技はやめて戦いっぽさを増してほしい。


一番の長所は各アベンジャーの立て方か
アメコミに大して興味ない人が本作を「主人公補正を持ったヒーローが集合して上手くいった杞憂な作品」と言うのを何度か聞いた。
それぞれが各作品の主人公であるのに、一同に介したら急にウドの大木になる奴が居たり、急に皆の個性が薄くなる作品がよくありますよね。
シグルイ』で有名な山口貴由の『衛府の七忍』(2015-2020)という漫画。各章で敵である侍に恨みを持つヒーローである怨身忍者を描き、やがて結集して侍と闘うというアベンジャーズ的な漫画だった。敵の侍が活躍し始める中盤……特に沖田総司編が物凄い面白さで「日本で一番おもろい漫画だ!」とまで思ってたが各章の主人公たちが結集したら濃かった主人公たち全員の魅力が打ち消し合い「こないだまでと本当に同じ漫画か」ってくらい信じられないくらいつまらなくなり、そしてそうなって数号後に話の途中で唐突に終わった(個人的に、敵である侍たちが主人公たちの100倍くらい魅力が出てしまい、主人公たちがどうでもよくなっというのもあるが、その場を支配するほどキャラの濃い主人公達が集まって、今までのように場を支配すると話が進まないためか怨身忍者が今までと別人のようにおとなしくなってしまったというのもある)。
主人公補正を持ったキャラが集まって活躍させるのはフィクションでは難しい。一人ひとりの活躍が切り離されている格闘ものやスポーツものスパロボみたいなゲームでなら描きやすい気もする。
本作の場合「主人公補正中の主人公補正を持った主人公」はトニー、次いでキャップとソー。次いでナターシャとホークアイ、次いでフューリー&コールソン&マリア……といった感じで主人公補正の濃度を割り振り、埋もれそうな人間キャラのナターシャとホークアイやSHIELDキャラに「ここ!」といった彼らにしかできない活躍シーンをそれぞれ用意した事が勝因だろう(今思えば一番目立ってないキャラはソーかもしれん)。実のところ本作では極端に言うとトニーだけが主人公で、他のメンバーは「トニーと一緒に戦う仲間たち」状態なんだが、個人個人にそれぞれのヒーロにしか出来ない活躍を割り振ってキャラを立たせているため、まるで「それぞれの主人公が集まって活躍している!」かのように見える。そう思わせてくれるというのが本作の一番凄いところだと思う。
前半にも書いた通り本作の「アベンジャーズ仲間割れ!→アッセンブルできないため敗北!→アッセンブルして敵に勝利!」という三幕構成を、制作費やキャラを何倍にも増やして丁寧に展開したのが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の三作と言える。
これでやっとMCU全作の感想書けたから次は『インフィニティ・サーガ』全体の感想書ける。

まぁ、まだまだ書きたい事あったが長くなったから一旦ここで止めときますわ。
今現在のMCUなうは……明日公開の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)。

 

 

 

 

そんな感じでした

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The Avengers (2012) - IMDb

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