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「オクジャ / okja (2017)」ポン・ジュノ/今まで千回くらい作られた凡庸ストーリーそのままで傑作になってるのが凄い🐷

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原題:Okja/옥자 監督&脚本:ポン・ジュノ 製作総指揮:ブラッド・ピットほか
製作国 アメリカ/韓国 配信時間:120分 配信局:Netflix

 

最近、久々に韓国映画観たらめっちゃ面白くて、そういえば何年も観てなかったなと思って、その間未見だったやつを全部観ることにした。
ポン・ジュノの映画は「殺人の追憶」の時から普通に好きで「母なる証明」まで全部観てたがそっから観てなかったので本作と「スノーピアサー」観ることにした。
本作はネトフリで話題になってたが「うーん、子供と動物のふれあいかぁ‥」と食指が伸びなかった。ポン・ジュノなので面白いに決まってたのだが一番興味ないあらすじだ。。
カンヌにノミネートもされたが、審査委員長が「劇場公開しない映画はカンヌにふさわしくない」と言って物議を醸して謝罪してた。
殆どネタバレしてます

 

 

Story
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韓国の山間の家で祖父と暮らす少女ミジャ(アン・ソヒョン)は共に育った大切な存在、新種の巨大豚〈スーパーピッグ〉のオクジャと平穏な毎日を送っていた。
ある日、多国籍企業ミランド社が来てオクジャをニューヨークに連れ去ってしまう。
CEOのルーシー・ミランティルダ・スウィントン)が、ある計画のためにオクジャを利用しようとしているのだ。
ミランド社はミジャの祖父にスーパーピッグを預けて育てさせ、成長したので金品と引き換えに返してもらっただけなのだが、それが理解できないミジャは
連れ去られたオクジャの後を追ってNYへと旅立った。
ミジャは
ジェイポール・ダノ)と、彼が率いる動物解放前線ALFと共闘して、オクジャを自由にするため奔走するが―― 

 

 

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「きっと面白いんだろうけど‥」と思いつつ、最初に言ったように「自然の中に住む子供の元から希少動物が連れ去られて、子供がその動物を助けるために奔走する」‥という、映画やアニメ‥特に昭和のどうでもいいアニメの中で死ぬほど擦り倒され、それでいてそのほぼ全てつまらなかったストーリーなので、さすがの天才ポン・ジュノといえど観る気が起きず放置していた‥だが、観てみると実際その想像通りの凡庸なストーリーのままなのにめちゃくちゃ面白いので驚いた。
あらすじを聞いて誰もが「最後こうなるかな?」と想像するそのままのラストが訪れるのだが、それなのに凄く面白かった。「この凡庸なあらすじで、ポン・ジュノ氏はどう捻りを入れて傑作にしたのか?」という点が見どころだ。
まず最初にオクジャが全然可愛くないのが良かった。
外見はカバを可愛くなくした感じなんだけど遺伝子組換えのスーパーピッグ‥ってことで後から「豚」だとわかった。豚って‥特に子豚はルックス結構カワイイじゃないですか。だけどオクジャはあまり可愛くない。可愛くなくもないのだが犬や猫のようなモロな可愛さではなく、太ったオジサンのように「見ようによっては可愛い」程度だ。カバみたいなルックスって事は、割と可愛い豚が持ってる可愛い要素をわざわざ剥ぎ取ってるんですよね。
で、オクジャはケツの肉とかダルンダルンで「食用家畜感」が凄いんですよね。観てるうちに「背中の肉でしゃぶしゃぶにしてポン酢醤油につけたら結構うまそうだな‥」と思えてきました(今オクジャしゃぶしゃぶについて書いてるだけで唾液が分泌されました)
だけど、お互い幼い時から共に育った少女ミジャにとっては、オクジャはかけがえのない親友なわけです。
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そして悪‥とされているティルダ・スウィントン演じるミランダ社CEOのルーシー。彼女はキラキラ系女子大生がそのまま中年になったようなキャラ。ファッションも薄いピンクが基調。
彼女は、血も涙もないCEOではなく仕事をしてるだけで、オクジャのことは商品としか思ってないがミジャを気遣う余地は一応ある。
ルーシーは、契約して育ててもらってた農家からスーパーピッグを返してもらった(しかもオクジャは素晴らしいスーパーピッグだったので純金の塊もくれていた)だけなので別にそれほど悪いことしてたわけじゃないんですよね。
まぁ悪い事を挙げるとしたら「遺伝子組換の豚」であることを隠して「新種の豚が見つかった!」と嘘の宣伝をした事くらいなんですよね。強制交尾とか屠殺や解体は‥まぁスーパーピッグたちには気の毒だが我々が豚や牛や鶏にやってる事と変わりませんよね(だけど終盤、スーパーピッグたちのIQが妙に高い事がわかるので可哀想になるけど)
で、ミジャのじいさんがミジャに対して「将来、オクジャは連れて行かれるんだよ」と言い含めてなかったがために起きた事件という感じです。
だから「ミランダ社の虚偽の宣伝」「ミジャのジジイの気の利かなさ」が生んだ事件と言えます。
終盤、ルーシーはミジャたちに敗北し、ティルダ・スウィントン一人二役で演じるルーシーの姉と入れ替わります。
この姉は甘さのあるルーシーと違って冷酷な経営者。
ガンダムダンバインエルガイムなどのサンライズ富野ロボットアニメのように、ティルダ・スウィントンは乗り換えイベントで後期型ミランド姉に乗り換えるのです。
ちなみに後期型ミランドこと姉は「スノーピアサー」におけるティルダ・スウィントンが演じた悪役同様「出っ歯の体制側オバサン」と似たキャラだ。前期型ミランドことルーシーはよく見たら歯の矯正をしてるっぽいので本当は出っ歯だったんだろう。
どういうわけかポン・ジュノアメリSF映画では、ティルダ・スウィントンの歯が出てれば出てるほど強キャラになるらしい。
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ポール・ダノはALF(動物解放前線)のリーダー役。
この動物解放過激派集団は実在する組織だそうです。実際のALFはどういうものかは知らないけど劇中に出てくる彼らは家畜や動物園の動物などの気の毒な動物を、テロリスト顔負けのハイテク装備で逃がしている組織のようだ。
だけど「人間も動物の内のひとつ」という考えなので、作戦実行の際に出来るだけ体制側の人間をも傷つけないようにしてました。
確かに殺される動物から見ればヒーローだが‥食肉問題‥一体どうなんだろう、、とか考えだすとすぐには答えが出ない大きな話になってしまうので、家畜問題やALFについては一時的に思考停止して話を進めよう。
昔は「変わった役やりたがりのサブカル演劇青年だなぁ」くらいにしか思ってなかったけど最近、いつまでも自分を変えないポール・ダノを見るとカッコいいと思うようになってきた。多くのアメリカ人俳優がマッチョになっていく中、一人だけ痩せっぽちなままなので「ガリガリポール・ダノの方が、マッチョ達よりも精神的な筋肉が付いてんじゃないか?」とすら思えてきて、ついでに「マッチョよりガリガリもしくはブヨブヨの、あるがままの体型の方がカッコいいかも」と思ってる最近です。
話を戻しますが他のALFのメンバーは、環境を考えるがあまりトマトを食うことも躊躇して倒れそうなメンバーとか、任務を優先するあまりALFの掟を破って破門されるメンバーとかいた。破門メンの伏線は回収されるが餓死しそうメンはどうなったんだろ?彼が何か食う場面が欲しかったな。
活動内容の是非は置いといて、ポール・ダノのかっこよさ、そしてアナーキーな活動内容と近代的装備で楽しそうに活動してる彼らを見てると、自分がもし若い時に誘われたら動物の事どうでも良くても楽しそうだから入るだろうな。と思いました。

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そんな感じで「本当は食用家畜だったオクジャをペットとしか認識してないミジャ」と「スーパーピッグたちを開放したいALF」が手を組んで「スーパーピッグを食用品に加工して売りたいミランド社」と闘うという構図。
で、話は最初に戻るが冒頭(ここまでのブログの文章は冒頭の話をする前に脱線しただけに過ぎない)韓国の山で暮らすミジャ達の元に、ジェイク・ギレンホール演じる動物学者が訪ねてきてオクジャを連れ去る、キレたミジャは貯金と純金製のスーパーピッグ像を懐に入れてNYまで飛ぶ。
このミジャがNYに行くまでの冒頭が、観る前に「あまり面白くなさそうだなぁ」と思ってた通りの進行だったので不安だったが、道中のくだりカットしてミランド社に着いたミジャがガラスをぶち破って都会にビビって暴走するオクジャを追いかけ‥、子供ミジャと巨大豚がジブリアニメのように街を立体的に爆走し、チェイスする様がめちゃくちゃ面白かった。
ミジャは本当にただのアジアの田舎の子供然としてるので、こんなジャッキー・チェン的なアクションするとは思ってなかったので凄く意表を突かれた。
誰がどこを走ってどうなってるか分かりやすい構図もバッチリだし、途中でALFとミジャが初対面にして電撃的に手を組む展開も瑞々しいし、アクションが終わったらこけたりぶつけたりした影響でかミジャの顔面が腫れ上がってるのも良かった。‥このミジャの顔が腫れたとこを観て「今のアメリカ大作映画で子供がアクションして怪我して血を流したり顔が腫れるなんてありえないからNetflixだからこそできた描写だろう」と思ったので、今まで観たNetflixオリジナル作品の中で、初めて「Netflix入ってよかったな」と思えました。そして「子供とカバか‥」と放置してたのを後悔した。
ポン・ジュノ監督はジブリ作品っぽくしたかったらしく、ミジャとオクジャのチェイスは確かにジブリっぽかった。
そんな感じで全く興味なかったストーリーに強引に引き込まれたわけだが色々あって、ALFの作戦に乗ったミジャは、ミランド妹とジェイク・ギレンホールには勝利するものの、強者の証の出っ歯を装備した後期型ミランドことミランド姉のリアリズムと屠殺工場という一度動き出すとスーパーピッグをジャーキーにするまで止められない装置によって敗北寸前まで追い込まれる。
またこの工場内が凄くて、オクジャと殆ど同じ見た目のスーパーピッグが思いっきりバラバラにされたり屠殺銃で頭を撃ち抜かれたりして屠殺されている。悲しそうなスーパーピッグたち‥というか見た目同じなので無数のオクジャがぶっ殺されてるという光景。
だけど僕らが普段食っている、めちゃくちゃうまくて今後も永遠に喰いたいと思ってる牛や豚もこうやって死んでるわけで‥と、複雑な気持ちになりつつも今「牛や豚の屠殺」と書いただけで可哀想さより唾液が分泌されましたからね。
総合して、人間としての業を感じずにいられませんでしたね。
そしてミジャがオクジャを救う方法も誠実で良かったし(「ホステル2」と全く同じ)
続編を、作ろうと思えば作れるやり方で終わってましたね。

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そんな感じで観る前は期待してなかったけど凄く良かったですね。。というかポン・ジュノの映画って「ここが良くなかったなぁ」って部分が殆どなくないですか?まぁ個人的な好き嫌いもあるだろうが、凄い映画的テクニックを披露する時もドヤ顔じゃなくて、すっ‥と自然にやるしめちゃくちゃカッコいい監督だなと思い出しました。
そんな風にさりげなく凄いことをする感じがポン・ジュノ=ミジャ=本作と3つともそうなのでそれが三位一体となって重なって本当に良いなと思った。
あと何度か言ったようにオクジャがあまり可愛くないのが凄く良い。
Netflixオリジナル映画って、たくさん観たけど「駄作はないけど傑作も一本もない、全ての作品が60点」ってイメージで「やっぱTV映画はこんなもんか」と思ってたけど本作はNetflixオリジナル映画の中で初めて傑作だと思いました。

🐷そして今回の記事だが、ここ最近は「感想書くの面倒だけど面白かったから書いとくか‥」と嫌々で記録のように書いてたけど今回はスラスラ書けたし、文章が一繋がりになって書けたので気持ちよかったです。自分しかわからんかもしれんがミジャ疾走と共にラストまで楽しめた本作とシンクロした気持ちになれて楽しかったです。

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

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