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「15時17分、パリ行き (2018)」クリント・イーストウッド/当事者達の素材の味を出しすぎて奇跡体験!アンビリーバボー化🚄

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原題:The 15:17 to Paris 監督&制作: クリント・イーストウッド
原作:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン、ジェフリー・E・スターン

製作国:アメリカ 上映時間:94分

 

2015年8月21日15時17分にフランスの高速鉄道タリス内で発生したタリス銃乱射事件で、犯人を勇敢に取り押さえて大惨事を阻止したアメリカ人青年3人の勇気ある行為を、その当事者3人&実際に車両に乗り合わせた被害者たち本人を起用して劇映画化した実録ドラマ。
タリス銃乱射事件 - Wikipedia
一発OK早撮り&俳優に自意識や作為の無いナチュラル演技を好んでいたイーストウッド監督はここ近年、実在したリアル・アメリカンヒーローの実話を映画化していたが、今回ついにプロ俳優を主演させず実際に英雄的行為を行った青年たち&被害者を主演させるというジブリ的強硬手段に打って出た。
もはや有名なプロの俳優は主人公アレクの母親役ジェナ・フィッシャーしかいない。
ネタバレあり(というか既にネタバレされている)

 

 

Story
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幼なじみの青年アンソニーアレクスペンサーの仲良し三人組が、パリ旅行中だった2015年8月21日15時17分に高速鉄道タリス内で遭遇した無差別テロタリス銃乱射事件にいかにして果敢に立ち向かうことが出来たのか、その真実の物語を彼らの子ども時代からの半生と緊迫の事件のリアルかつ詳細な再現を通して明らかにしていく――

 

 

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‥と、そんな感じで、ここ近年イーストウッド氏が好んでやってる「数年前のリアルアメリカンヒーローを作為的じゃないナチュラル演技で一発撮り」シリーズも行くとこまで行ったっつーか、ここに極まれりって感じ。
主演の三人の青年も素人なら、車両に居合わせていた乗客たちも本人。
前半~中盤は、校長室に何度も呼び出されて怒られていたいたずらっ子三人が出逢う少年時代。母子家庭に冷たい学校にママたちは苦労してるっぽい様子。
青年になってからは本人が演じ、白人の2人が軍に入隊。黒人は‥よくわからない、いつもカウチに座っている。楽しそうなのでよし。
坊主頭の白人が「暴漢に遭った時」「蘇生術」など、後の事件で役立ったことを全て学んだという様子が描かれる。
そして三人は事件が起きたパリ旅行に出かける。
旅先でアジア人っぽい女性と知り合って食事をしたりするが、別に誰かと恋仲になったりテロに巻き込まれるわけでもなく、しばらくして笑顔で別れる。
それが事実だったので仕方がない!
もし展開について文句言われても「え‥事実だから仕方ないじゃん」と刃牙で出てあるキョトン顔で答えれば一方的に論破できるのでこーいう時強いっすね実話って‥。
三人はアムスのクラブに出かける。めちゃくちゃ楽しそうで行きたくなる。
そして後日、いよいよ事件が起きた鉄道タリスに乗り込む。
お年寄りが乗り込むのを手伝う親切な三人。このお年寄りや後に出てくる撃たれた中年男性などは妙に何度も映る。きっと事件に居合わせた本人なんだろう。
そんで、もう全部言っちゃうけど
そしていよいよ、武装した一人のテロリスト出現。同じ車両の中年男性が撃たれる。
ちゅ、中年男性~~!
三人は力を合わせてテロリストを取り押さえる。
撃たれた中年男性を蘇生術で応急処置する主人公たち。
次の駅でパリ警察隊と救急隊が到着。テロリストは捕まり、撃たれた中年男性や主人公たちも治療を受けて助かる(中年男性が助かってよかった~)
後日、三人とその親族、居合わせた乗客たちはフランス政府に招かれて勲章を貰う。
三人は「当たり前のことをしただけです」と答え、皆の笑顔で終わる。

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‥そんな話。
けっこう序盤の‥少年時代のくだりの時に既に思った。
「‥いや、この映画何なん!?」
イーストウッドが演出してるので退屈するわけでもなく何とか形にはなってるけど、起きる出来事がアメリカの劇映画にしては、ささやか過ぎるので恐ろしくなってきた。
イーストウッド氏の家に行ったら、イーストウッド氏が直々に蕎麦を打ってくれたはいいけど「これは水につけて食べろ」と強いられて「確かにうまい蕎麦だが、イーストウッドさんに水蕎麦を強いられているという状況が蕎麦そのものより刺激的で、何食ってんのかよくわからなくなってきた‥」という感じか。言ってる意味わかるか?
アメリカ人のネットでのオーディエンス評価が妙に低いのはこのせいか?
さっきも言ったように、起きる出来事は全て事実を元にしているためテロまでの道中で異常な事は何も起こらない。
強いて言うならテロ事件を解決した時に反転して感心させるような「普通の出来事」、三人組は幼い時に問題児として怒られてばかりいてママを困らせていたこと。坊主頭の白人は空間知覚の認識がどうのでパラ部隊には入隊できなかったが代わりに入った部隊でテロに立ち向かう様や蘇生術を習う様子が描写された事くらいだ。
イーストウッドは「映画の中のスーパーヒーローやスターだけじゃなくて、普通の人々‥そう、きみ達もヒーローになれる。そうすれば映画のスクリーンのフレームの方から君を囲みに来るんだよ、このようにな」と言いたいのであろう。
別にイーストウッド氏は意識してないだろうけど最後にフランス政府に勲章を授与されて三人&三人のオカン&リアル乗客たちがニッコニコで終了する様は大抵の映画ファンなら大抵観たことあるだろう「スター・ウォーズ」一作目のラストにめっちゃ似てる。
ますますもって「きみも映画のヒーローのようになれるんだよ?お前にその気さえあればな」というイーストウッドの強い意思を感じた。
ついでにイーストウッドはインタビューでこう答えていた。
「私がこの映画みたいな場面に居合わせたら?ふふ‥私なら座席の下に隠れて出てこないだろうね笑 めちゃくちゃ小さくなってね笑」強者の謙遜ってやつか、かっこいい。

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さっきも言ったように素人たちの演技やストーリーは特に問題なかった。
三人や乗客たちの演技は、僕は英語のリスリングや演技に疎いのでよくわからないしイーストウッドが演出してるという事もあって特に問題はない‥ように思える。
だけど、やっぱりプロの俳優がやった方が良いと思う。
中盤くらいで何だか「間が持ってない」雰囲気を感じた。三人の中でも坊主頭の白人が殆どメインで出てるのだが再現ドラマを見てる気持ちになってきた。
だけど、黒人の青年はかなり面白げな雰囲気をまとっていた。だが残念ながら黒人青年は軍に入ってないしあまり活躍してないので出番が少ない。
そんな感じで「勇敢だ!」とは感心したものの、やっぱりこれでは面白みが足りないと思った。
いや、本作を観てる間の「いや‥文句はないけど何なん!?この映画ww」という不思議な気持ちは面白かった。
だがそれは、そう感じる自分の脳が面白いだけで本作自体が面白いわけではないと思う。
また「スターを使わずとも当人を起用すれば劇映画は作れる」というのは、確かに作れてるとは思うが作ってる本人イーストウッドが大スター&偉大な監督という矛盾したポイントもある(僕もこの映画、イーストウッドが監督じゃなきゃ観てないし)
そんなこんなで色んな事を感じながらも、それなりに楽しみました。
だがその一方で中盤辺りから「奇跡体験!アンビリバボー」の再現ドラマを見てるような気持ちになってきた。
場面と場面の間でビートたけしが出てきて
ビートたけしテロリストが乗る車両に乗り合わせた三人っ!三人はいったい!?どういう行動に出たのでしょ~かっ!?
などと、いつ絶叫するのだろうかと思った。

🚄イーストウッド氏の〈リアルヒーロー素材の味そのまま早撮りシリーズ〉は究極とも言える本作でもう満足したのか(しててくれ~)、次回作は麻薬の運び屋をする老人役を「グラン・トリノ (2008)」以来10年ぶりに監督主演する「The Mule 〈原題〉(2018)」だそうで、これは楽しみだ。
The Mule (2018) - IMDb
絶対に観に行かなければ。これが最後かもしれない(10年前もそう思ったが)

 

そんな感じでした

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