gock221B

映画の感想ブログ 😺 おしずかに‥〈Since.2015〉

「カメラを止めるな!(2018)」「カメラを止めるな!スピンオフ『ハリウッド大作戦!』 (2019)」寅さん的な普遍性があり格好つけやオタクっぽさが一切ないところが良いです🎥

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監督&脚本&編集:上田慎一郎 製作国:日本 上映時間:96分
海外での映画タイトル:One Cut of the Dead / 一屍到底 / 카메라를멈추면안돼 / 屍殺片場 / วันคัทซอมบี้งับๆๆๆ / Necoupezpas! / Zombie contro Zombie

 

気がついたら日本全国で大人気になっていて、それだけじゃなくヨーロッパやアジアなどワールドワイドに上映が始まり、こうなるともう大縄跳びに入るタイミングを逃したかのような感じになってしまい完全に観に行くタイミングを逃してしまっていた間にこの大ヒット低予算映画のレンタル配信が始まってたので遅まきながら観ました。
その間、日本中でフィーバーして上田監督や出演者たちが各メディアに出まくったり、原案である演劇の作者が公開初日は「映画化おめでとう!」と喜んでたのに超絶ヒットが延々と続いてるのを見ると徐々に頭がおかしくなって激怒し盗作騒動を起こそうとして写真週刊誌上で全部ネタバレして足を引っ張ろうとしたが逆に宣伝になって映画の勢いは止まらず自分の評判だけが堕ちたので冬のナマズみたいに静かになったり、吉田豪氏による掘り起こしやインタビューで上田監督の痛い過去や飾らない人となりが明らかになって「かつて痛かった青年が、性格そのままに傑作を作ることってあるんだ」という新しい認識を日本に周知させたり
カメラを止めるな!上田慎一郎監督×吉田豪(2)「真っ当に映画の専門学校とか行ってたら、こういう映画を作ってない」|インタビュー
カメラを止めるな!上田慎一郎監督×吉田豪(1)「黒歴史のブログを消すのは負けな感じがしたというか、これも含めて俺」|インタビュー
色々あった。映画は観るタイミングは失っいつつ、ゴシップ好きなのでゴシップはずっと観てた。客観的に、監督や関係者達はそれらを笑顔で受けきって全てプラスに変えた印象。
全体的にネタバレを考慮しない感じで
 

 

Story
映画の撮影クルーが山奥の廃墟でゾンビ映画「トゥルーフィア」を撮影していた。​
そんな中、本物のゾンビが襲いかかってきた!次々とゾンビ化していく撮影隊の面々。
​リアリティを求めるがあまり非常事態でも大喜びで撮影を続行する映画監督濱津隆之)。
37分ワンシーン・ワンカットで描くゾンビサバイバル映画「ワンカット・オブ・ザ・デッド」が始まった‥と思われたが――

 

 

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それでやっと映画観たが、いざ観たら映画は普通に凄く面白くて楽しめました。
まだ観てなくて既に観た人の感想とかも読まないようにしてたが、それでも
前半の微妙なゾンビ映画部分はわざとで、以降のメタ的な展開が本番」「父と娘の話で最後はじーんとする」みたいな事は空気で伝わって来てた。
メタ的な展開なんだろうとは思ってたけど、メタのメタ的な話だったんですね。
そして「ゾンビ映画のあの変な間の数々はこういうわけだったのか!」といった「バック・トゥ・ザ・フューチャー」的な面白さがあるとはね。
後半、いよいよワンカットが始まったら監督役の主人公が秋山ゆずきとイケメン俳優に猛然と説教しまくるところで「ああ、この映画の旨味はこういうところなんだ!」とワクワクがめっちゃ高まった。残りも普通に良い話だったしね。
そういえば前情報を何も知らん人が本作に対して「何か微妙だな‥」と思うらしい前半の「ワンカット・オブ・ザ・デッド」パートも本当につまらないわけではなく、あくまで「つまらない風味」であって普通に見れる面白かった(そもそもワンカットっていう時点で、撮影の段取りを想像させて面白いし)。‥というか日本のホラー映画の殆どに比べたら本作の劇中劇中劇「トゥルーフィア」の方が面白いしね。本当につまらなくしたらお客さんが帰っちゃうので(カメラ外のトラブルという後からわかる仕掛けによって)微妙な感じにわざとしたって感じで「凄く面白いわけではないが呆れて鑑賞をやめる人が出てこない」という最低限の面白さは保証してるさじ加減が絶妙。
でも、多くのキャラ‥奥さん、アイドル、イケメン、アル中、変な奴‥とか他のやつは別に充分だと思ったが一番大きい要素である主人公と娘が「あまり通じ合えてない」っていうフリが少し弱い気もした。
観てると「あまり口きいてない」「あまり尊敬されてない」って程度なので「普通の父娘ってこのくらいだよね?」という感じなので、そこまで断絶してるように見えなかったので、もう少し父娘の断絶を深くしといた方がよかった気もした。本編は96分と短いのだが、もっと二時間くらいに増やして父娘の不仲や他のネタ振りの時間を費やした方が良かったのかもしれないが、しいて言えばって感じで思っただけのことなので取り立てて文句もありませんでした。
あ、父娘といえば中盤で主人公が幼少期の娘を肩車した自分の写真を見ながら号泣してて、ラストで内実ともに娘を肩車してジーンさせてここで終わりでいいのに父の台本から落ちた件の写真を娘が笑顔で再び見せにくる辺り「いや今感動してたからさ‥改めて見せてくれんでもわかるよ」というくどさは感じた。だけど皆の弾ける笑顔を次々とアップにしていったラストは、きっとこの監督が見せたいことなんだろうし別に構わない気もしてきた。
終盤のAPのオバチャンの焦り方、主人公や主人公の娘が本番でいきなりやる気出すところ、奥さんが暴走するところなどが高橋留美子の漫画っぽいなぁと思った(奥さんが暴走しだすところは「ゆらあっ」という高橋留美子の書き文字が背景に見えた)。
そして終盤近く、楽しい場面に流れる〈楽しげなBGM〉、良い場面では〈イイ話げなBGM〉を恥ずかしげもなくバンバン流したり満面の笑みのキャラをドアップにする辺り、監督がマルチビジネスや仲間と無茶してた衒いのない過去や無駄に恥ずかしがらない人間の強さを思い出させられた。「Twitterで自己レスして宣伝する人のほうが人生幸せなのかも‥」と最近考えてたので色々考えさせられた。こういう衒いの無い表現に対しては大抵ダサいと感じるものなのだが本作の場合、本編が普通に面白いので「お、おう‥」と全て受け取ってしまうという初めての体験。「それもそうだなぁ‥そもそも何もしない人の方こそ本当にダサいわけだしね‥」そんな風に思わされた。こんな「ONEPIECE」とか大好きそうな仲間でお揃いTシャツ作ったりBBQに興じたりするクソマルチビジネスを過去にやってたらしい監督の思想そのままに作られた映画に承服させられるとは思わなかった。「凄く嫌なマルチ的なノリを持ったものが面白くて心温まる映画を作れるわけない」という思い込みを突破してそういうものが出てきてしまった、何か「凄み」を感じました。とにかく面白かったのだから文句もない。
合法的で面白ければ、オセロの盤面のように全てがひっくり返ったかのような痛快さを感じました。

 

 

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仕掛けについてのほか「俳優陣が皆、個性的で良い」という評判もその通りで「普通に皆さん良いです」といった感じで脇役に至るまで皆良かったんですが、僕が特に好きだったキャラは、ベタだが溶けたような顔の主演俳優と、ヒロインの秋山ゆずきさんが特に好きでした。
主人公の監督役の人は無欲そうで無色透明なエゴが薄い感じの‥日本の俳優で言うと役所広司とか浅野忠信もそうで、僕はそういう自我が薄そうな俳優が好み。顔は田中邦衛に似てて情報量が多いし見てて飽きない。
ワンカット部分での絶叫の声もよかったが、中盤の現実パートで無理難題を言われて何とも言えない防御の笑顔してる表情も良くて、その顔を見て「後半の面白さ期待できそうだぞ」と期待が高まりました。
ヒロインの秋山ゆずきさんは他の個性的なキャストから感じる演劇臭さがなくて(いや別にあっても勿論いいんだけど一人だけ無いから妙に目立って見えたというだけの話)アイドルや女優が持つ根拠はないが説得力ある自信のようなものを感じて(有名人が放つオーラとはその自信のことなのでは)、彼女自身も「急に名が売れたばかりだから殊勝にしてるけど、本当の性格は気がクソ強いんだろうなぁ」とか感じさせ、良い意味で性格があまり良くない気がした。その、根が図太いことを予感させるミステリアスさやセクシーがありました。
彼女と主人公の娘がダブルヒロインといった感じ‥いや、どちらかというと主人公の娘の方が真のヒロイン度は高い。
脇役だとメガネ片腕ゾンビ役の大学生っぽい青年が、芝居や顔とかいいと思った。

 

 

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あと監督と俳優陣が舞台挨拶を毎日してたり、彼らがインタビューされたり地上波TV出演して喜んでいる姿などが連日TwitterのTLに流れてきて(彼らのことを知らんどころかまだ本編も観てなかったくせに)「みんな夢がかなってよかったね‥」と、1mmも知らん彼らの事を素直に応援させられるサムシングがあった。きっとシルベスター・スタローンの「ロッキー」や「エクスペンダブルズ」みたいに、実人生の売れてない彼らと劇中の展開がシンクロしてる(ように見えた)からだろう。
それにしてもこの監督すごい顔してるよね。監督の顔が不快なのかそれとも「いい顔だ」と思ってるのか自分でもよくわからんが、とにかく凄い顔でじっと見てしまう。イライラはあまりしないので好感持ってるのかもしれない。
結局この監督が本当に優れた監督なのかどうかは仕掛けが凄く多いこの映画一本じゃよくわからなかった。
「仕掛けがない普通の映画を撮ったら一体どういう内容なんだろう?」というのも、この監督の他の作品観てないからイメージしにくい。
だけど比較的ただの繋ぎで説明しかしてないように見える中盤も、退屈せず普通に面白く観れたので、違う映画を作っても面白い‥ような気がする。

そんな感じで普通に楽しめました。さっきも言ったがもう20分くらい長ければ良かったのに、と思った。登場人物の彼ら彼女らの事がもっと観たかったのかも。
それと、この監督や本作の一番いいところは不要なカッコつけや自分の実力以上にウケようという強欲が一切ない(ように見える)ところで、オタクっぽさやシネフィルっぽさを見せつけようとするダサいマウンティング行為もゼロ。
そんな無欲さは主人公に通じるものがあった。ここが一番好きだなと思いました。
この映画は、昭和の「トラック野郎」「男はつらいよ」みたいな「子供からお年寄りまで皆で楽しんで観てね!(^o^)」と本気で思ってる感じで、この一見、若くて成功したくて承認欲求高そうな監督が、そんな他人をひたすら喜ばせようとしてる度100%の映画を撮ったのがカッコいいと思った。‥本人の顔や経歴からして、もっと「俺が俺が!」とうるさいのかと思ってたが全然そんな事はなかった。メディアに出てる時の監督や俳優さん達も大ヒットしてても控えめな態度でカッコいい。
この監督は「トラック野郎」「男はつらいよ」みたいな、老若男女が定期的に観て「おっ、○○さん髪切った?□□さんは色っぽくなったな‥」などと知り合いを見て楽しむかのような楽しいシリーズ映画を撮ったら良いと思った。
監督は既に次回作を撮ってる最中らしいが、こんなにカメ止め一行で舞台挨拶やTV番組出演とかしまくってるの見たら何だかバンドみたいな一塊に思えてきて一行への愛着がどんどん湧いてきたので全員そのまま次回作にも出てきて欲しい気がした。

 

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※追記 カメラを止めるな!スピンオフ『ハリウッド大作戦!』 (2019)」
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制作総指揮&脚本:上田慎一郎 監督:中泉裕矢
製作国:日本 放映時間:60分 シリーズ:「カメラを止めるな!」スピンオフ

 

2019年3月2日 abemaTVでスピンオフドラマが放送されたので追記の形で書いとく。
その前に、映画版は世界各国で上映されたり各賞レースで受賞しまくった。
個人的には台詞一言&出演時間40秒くらいの〈子役の美人ママ役の人〉が舞台挨拶し続けてるうちに「この子役の美人ママいっつもいるなぁ」と目で追うようになり「まさか‥」と検索したら予想通り、立派なドレス着て主演俳優達と並んで日本アカデミー賞のレッドカーペットを歩いてたのがめちゃくちゃ面白かった。
それと、映画「カメラを止めるな! (2018)」の原案となる演劇の権利者が最初は応援してたのに国民的ヒットして国際的な評価まで得ていくうちに頭がおかしくなって争いが始まるというゾンビより恐ろしい事件は無事和解したらしい。
「カメ止め」上田慎一郎と原案舞台の権利者が新クレジットに合意(コメントあり) - 映画ナタリー

 

Story
「あの悪夢から半年。千夏秋山ゆずき)はアメリカ・ハリウッドでウェイトレスをしていた。
ゾンビ事件以来声が出なくなり金髪にして〈ホリー〉を名乗り新しい人生を歩もうとしていた、そんな彼女にまたしてもゾンビ達が襲いかかる――」というノンストップ・ゾンビ映画を撮った者達の話――


で、このドラマ版はというと、スピンオフと言うより完全に続編でした。
しいて言うなら、主人公が濱津隆之演じる映画監督ではなく、真魚さん演じる監督志望の娘に移っており、媒体が映画ではなく一時間ドラマになった。
で、ドラマの構造は映画版を踏襲して〈微妙にゴタゴタしているノンカット、ゾンビ映画の本編〉→〈現実世界でどうやってそれが撮る事になったか、とか登場人物の紹介〉→〈ゾンビ映画がどう撮られたか〉という流れ。
基本的に映画版を楽しんだ人が観るとより楽しめて、初めて観る人もそれなりに楽しめる‥という感じでした。
娘と仲直りしたり自分の仕事をやりきる‥という自己実現してしまった主人公は脇に回り、娘の「恋を取るか(自分の)仕事を取るか」ってのが中心になってる感じ。
ファンが好きなキメ台詞とかも入ってるし全体的にファンサービス多めの続編という感じでした。全体的なノリや登場人物とかの雰囲気がやはり高橋留美子とかの80年代の漫画っぽいなと思った。だから「何で、こんな大変な本番中に恋人に重大なことを言うんだろう」という疑問なども「まぁ全体的に漫画っぽいから細かいことはいいか」と気にならずに楽しめるのかもしれないと思いました。
秋山ゆずきさん演じる劇中ヒロインや酔っぱらいのオッサンなどの全員「前回の撮影を経て多少は成長したかもしれないが基本的には変わってない」という三歩進んで二歩下がる的な感じがリアルで良かったです。
※abemaTVで見逃した人も、ネスレのサイトに登録すればいつでも視聴できるらしい

 


そんな感じでした

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