gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

「バンクシー・ダズ・ニューヨーク (2014)」じじい売店アート最高

f:id:gock221B:20161211034538j:plain
原題:Banksy Does New York 監督:クリス・モーカーベル
制作国:アメリカ 上映時間:81分

 

おなじみの覆面アーティスト、バンクシー

バンクシー - Wikipedia

彼が2013年の10月、1ヵ月間ニューヨークの街全体を展覧会場として毎日1点をどこかの路上でゲリラ的に発表すると宣言した。
その作品や作品によって起こる騒動や追いかけるファンや只の貧困者、その結果浮かび上がってくるNYの姿やバンクシーの意図を追いかけたドキュメンタリー。

彼はinstagramで作品の場所のヒントを出したり、もしくは一日の終わりに種明かししたりした。

www.instagram.com

バンクシー作品のおっかけやNY市民達が連日、Twitterやインスタ、Vineなどで
情報が拡散され、作品が設置された場所は人で賑わう。
作品は、何か巨大な機構を皮肉ったものだったり社会的な問題提起を楽しく提示するものだったり、忘れられ打ち捨てられた場所や物事に人々の目を向けるようなものが多く、ストリートアートなので高額で売れるはずの作品は道端に破棄してしまい非営利(活動を見てると、どう考えても正体は大金持ちにしか思えないが) 当然カッコよすぎるわけでとにかく人気。
勿論アンチも多いのだが、バンクシーの場合アンチの存在が彼の作品や目的を浮かび上がらせてバンクシーを更に持ち上げてしまう事になるので無敵の人物と言える。
まるで中学生が妄想で作り出したアーティストが本当にいたような奴だ。

設置される場所は大抵、人が寄り付きもしない橋の下やスラム街だったりする。
バンクシーの作品を好むような身なりのいい金持ちや、バンクシーマニアやヒップスター的な人達は、寄り付きもしないそんな場所に殺到する。
ギャングが「写真を撮るなら5ドルだ!この絵がなきゃこんなとこ寄り付きもしなかっただろ」とカツアゲする。
また、怒った地主がすぐペンキで消してしまったり、バンクシーを快く思っていない芸術家や只のバカが上から落書きして消したりする。
また、バンクシーに興味のない貧困者が壁を切り抜いたりトラックを駆使して持って行ってしまったりする。彼の作品は何百万ドルで売れたりするので、彼の落書きを見つけて持ち帰れば、貧困者ならそれだけでアメリカンドリームだという。凄い話だ。
街の偉い人は彼の行いを非難する。落書きされて怒って消す地主もいるが「バンクシーに落書きされたから客が増えるぞ!」と樹脂プラスチックで落書きを保護して喜ぶコンビニエンスストア店主とかもいる。
NY警察も「けしからん!バンクシーを逮捕する!」と宣言。ルパン三世みたいだ。
バンクシーはそういった街のリアクションを想定しており、称賛するものや怒るもの盗むもの無視するもの騒ぎによって浮かび上がる事などをコントロールしている(としか思えない)。
だから「バンクシーなんて興味ないぜ!」と無視したとしても、リアクションしてしまったその反応も、彼の作品の一部になってしまっているといえるし抵抗できない。
今回の彼の活動の目的は、グラフィティの本場ニューヨークで、グラフィティアートが多くある地域が都市開発で更地にされてしまう事への問題提起だったっぽい(だけど、たぶん「ただ面白いから」というのが一番の動機なんだろうと思う)
そういえば、作品を買い取って展示会を開いた画商がいたが正直、街角から持って行ったものをキレイなギャラリーで見ても面白くもなんともねーだろうと思った。
もし自分ちの近所で、この展示会やってたとしても俺は行かないと思うわ(案の定、このギャラリーのバンクシー作品は一枚も売れなかった)

f:id:gock221B:20161212200126j:plain
バンクシーが一カ月間の間に発表した31の作品の中で僕が好きだったやつ書いとこう。
道端で、じいさんがスプレーアートを一枚60ドルで売っている様子をカメラで撮ったもの
一日いて数枚しか売れず、じいさんは店じまいして殆どの絵を持って帰る。。
当然、売っていたのはバンクシーの作品で、じいさんは只のバイトだ。
店の様子の映像や売り上げの経過を一日の終わりにインスタで発表した。
連日、バンクシーの作品を追いかけまわして「見つけた!」と言って大勢わらわらと集まっていた追っかけや市民が、たくさん置いてあるバンクシーの絵の前を素通りしていく。
この絵を買った人は数人だが、60ドルのこの絵の価値は数十万ドルまで上がったそうで、別に彼のファンじゃない金が欲しいだけの奴も悔しがっていた。


そんな感じで作品は全部面白かった。
ただの落書きだったり、観客と組み合わせて一つになるものとか、瓦礫による石像とかチームを動員しての演劇のようなパフォーマンスだったり、新聞への投書だったり様々で、本作は飽きずに最後まで楽しめた。
ちなみに最後の作品は狙ったのかどうかわからないが、バンクシーと捕えようとしていた実物のNY警察の警官たちと連動した作品になってしまい、見事なオチになっている。
ただ、バンクシーや本作の見せたいものは、凄くハッキリとしていて、こうやって概要を書いて「面白かった」とか「かっこよかった」と書く以外に、改めて書くような感想が全く浮かばない。
「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」の時も同じような事を思ったな。
面白かったが何か出来事の羅列みたいな‥歴史の教科書を読んでる様な気分になった。
このドキュメンタリーの監督が、バンクシー作品の意図を全部口で言ってしまうのが、わかりやすいけど面白さを若干損なってる気がしなくもない。
だけど、凄くわかりやすくまとまってて面白かったよ
イグジット~」の時にも思ったが、本作もひょっとしてバンクシーが作らせた映画なんじゃないかとも思った

そんな感じでした

Banksy

映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』公式サイト

www.imdb.com

www.youtube.com

f:id:gock221B:20161212201335g:plain

「ミラクル・ニール!(2015)」全能のサイモン・ペグの決断。映画の登場人物は作中に失敗しない方が良い理由

f:id:gock221B:20161211024807j:plain
原題:Absolutely Anything 監督:テリー・ジョーンズ 制作国:イギリス 上映時間:85分
サイモン・ペグが全能の力を手にするSFコメディ。
監督はモンティ・パイソンテリー・ジョーンズと同姓同名‥と思ってたら本物だった。
あとモンティ・パイソンの現存メンバーが異星人たちの声を吹き替えている。
主人公の愛犬の声をあてたのはロビン・ウィリアムス(ひょっとしたて本作が遺作?)
f:id:gock221B:20161211060823j:plain
サイモン・ペグ演じる主人公は冴えないが優しい高校教師。愛犬デニスを飼っている。
同じアパートに住むジャーナリストのケイト・ベッキンセールに叶わぬ恋をしている。
一方、宇宙では文明の進んだ宇宙人が会議をしていた。
地球人のYOUTUBEを見て「地球人って野蛮でアホだし滅ぼそうぜ」と言っているが、最後のチャンスを与えようという事で、地球人の一人に全能の力を与えて彼の行いを見て決めよう、という事になりサイモン・ペグが選ばれた。
サイモン・ペグに地球の命運が託されてしまった。。
f:id:gock221B:20161211060314j:plain
そんな話。
万能の力を得るコメディと言えば、ジム・キャリー主演「ブルース・オールマイティ(2003)」と、その続編‥スティーヴ・カレル主演エバン・オールマイティ(2007)」を思い起こさせる。
サイモン・ペグは自分が受け持ってるクラスの教室に行くと子供たちは騒いでいる。
「面倒くさいな‥クラスが爆発すればいいのに‥」
すぐさま異星人のシップからの破壊光線で教室が焼かれて、クラスの皆は爆死。
そんな事が重なり、自分が全能の力を手にした事を悟る
f:id:gock221B:20161211062123j:plain
彼はさっそく帰宅後、好きなケイト・ベッキンセールが自分を愛してくれるよう命じる。
すぐさまケイト・ベッキンセールが現れて、二人はベッドインする。
しかし、この瞬間、異星人の機械が不具合を起こしていて一時的に全能の力は失われていた。
美人のケイト・ベッキンセールはうっとうしい男達に言い寄られていて男性にウンザリしていて、優しいサイモン・ペグをちょっといいなと思って自発的に来たのだ。
(この出来事は劇中、サイモン・ペグもケイト・ベッキンセールも最後まで気づかないというところがいい)
ところで、僕はウディ・アレン映画が好きなんだけど、本作もウディ・アレン映画と少しノリが似てるなと思った(女性経験が多い年取った皮肉屋のコメディアンは皆こういうノリになるのだろうか)そういうところがいいな、と思った。具体的に言うと女性と寝る事や重大な決断を、大袈裟な装飾で飾らない
そして映画界で最も好感度の高いサイモン・ペグ、あとケイト・ベッキンセールも好きなタイプだし、犬が可愛いし映画全体の好感度が高いところがカッコいい。
本作も、サイモン・ペグがラストでさらっと重大な決断をするんだけど、凄く軽快でケイト・ベッキンセールもそれをあっさり受け止めるところが良かった。
このサイモン・ペグ的な人ばかりなら世の中も良くなるのかもしれない。
全知全能の力を手に入れたら普通もっと無茶苦茶しそうなもんだが、サイモン・ペグは最低限しか使わない。
結果的に失敗するが、犬を喋らせるようにしたり同僚や世の中が良くなるように使う。
ケイト・ベッキンセールに対しても最初に使っただけだし(本当は使ってない)そもそも彼女は元々そういう性格だからサイモン・ペグを気にいったわけだし
やはり人間、最終的には人柄がものを言う。そう思いたいね
f:id:gock221B:20161211060711j:plain
でも、欠点がないわけではなく中盤以降、嫌なキャラが大声で厭な事を言ってても反論する事が出来なかったり、主人公が急に上手くいく方法を思いつかなくなったりストーリーの推進剤が誤解やすれ違いばかりになった感じが苦手だった。
一言で言うと「主人公やヒロインが危機に陥るため急にアホになって、悪人が好き放題しまくる」展開。これは観ててストレスたまるしイライラする。このイライラはイライラしてる時間が長いせいか最後に悪人が倒されても消えない。黒沢清の「クリーピー」も同様の理由で好きになれなかった。
これは80年代の映画やアニメにも多くて子供の時の僕はTVを観ててイライラしてたやつ
という事に関して「現実の人間も咄嗟には最適解を思いつかなくなる、だからそういう展開はリアルだ」という擁護意見がある。
だけどこれはフィクションなんだから最低限の最適解は思いついてもらわないとストレスがたまる。
ランボーマクレーン刑事が「現実ではそういう事も充分ありうる」からと言って、闘いと関係なくビルの端から足を滑らせたりしたら全く面白くない。俺の嫌いなこの例を本当にやってしまったのは「007 スカイフォール(2012)」で、敵に邪魔されてるわけでもないボンドがヒロインを助けようとして撃ち殺してしまったシーン(確かに人間なので失敗もあるだろうが直接に邪魔されてないボンドがこんな失敗してどうするんだ。リアルではあるかもしれないが全く面白くない)
本作も、中盤以降は、そんな感じで話の進み方が古い映画を観てる感じだった。
この映画のサイコパスっぽい悪役も、コメディなのに「クリーピー」の香川照之級にムカつく奴で、、まあムカつく方が悪役として成功と言えなくもないが楽しさを感じる妨げになるほど憎たらしかった。
だから凄く好きにはなれなかったが、前半とサイモン・ペグと犬とラスト、などは好感が持てて良かった

 

そんな感じでした
www.imdb.com

www.youtube.com

f:id:gock221B:20161211060039g:plain

『貞子vs伽椰子』(2016)/フレディvsジェイソンのプロットそのままに貞子と伽椰子がプロレス👩🏻👩🏻


監督&脚本:白石晃士 主題歌:聖飢魔II『呪いのシャ・ナ・ナ・ナ』 制作国:日本 上映時間:99分
シリーズ:「リング」シリーズと「呪怨」シリーズのクロスオーバー

 

 

映画製作会社かなんかが作った「『貞子vs伽椰子』という映画が公開される」というエイプリルフールのネタに対して白石監督が「自分が作りたい!」と乗っかって実現した企画。
「リング」も「呪怨」も、そこそこ好きだが初期のクリエイターが離れてから観てない
Jホラーじゃなくてアメリカンホラーっぽいノリ。
というか予告編が発表された時に、

‥と感じた通り「フレディvsジェイソン」のストーリーそのままだった。
具体的に言うと「有名ホラータイトルの個別の2人の最強モンスターが同じ世界観で、それぞれ別の場所で暴れているので主人公の女性キャラが2人のモンスター同士をぶつけて相打ちを狙う」というもの。
本作の宣伝で伽椰子のInstagramを作成して面白おかしい日常を投稿したり、面白動画で闘いを煽ったりして「2人は国民に愛されてるなぁ」とは思ったのだが同時に「二人とも怖くもなんともないキャラになっちゃったんだな」と寂しい気持ちにもなった。つまり盛りを過ぎたキャラなんだなって。
ネタバレあり

 

 

Story
女子大生の有里山本美月)は「観たら2日後に必ず死ぬ」という〈呪いのビデオ〉を見てしまった親友の夏美を救おうと奔走し、強力な霊能者・経蔵安藤政信)と強い霊感を持つ盲目の少女・珠緒による霊能者コンビと出会う。
一方、女子高生の鈴花玉城ティナ)は「足を踏み入れると必ず死ぬ」と言われている〈呪いの家〉に足を踏み入れてしまい呪われてしまった。
そんな強力な2つの呪いを解くために経蔵が企てた秘策は「貞子と伽椰子を殺し合わせる」という作戦だったが――

 

 

流れ作業的な序盤
ちなみに「リング」シリーズ世界と「呪怨」シリーズの世界は繋がっていないので、本作は本作だけの独自のユニバース。本作に出てくる「呪いのビデオ」と「入ると死ぬ家」は「都市伝説の実体化」みたいな曖昧なオリジナルの呪い。
本作での「貞子」と「伽椰子と俊雄」などの悪霊の存在は、我々の世界でいうと「口裂け女」や「トイレの花子さん」のようものらしい。
だから、本作の世界に「山村貞子の過去」や「佐伯家の過去」等の設定は特になく、彼女らは「ただ単に有名な強い悪霊」というだけの存在。本作だけの貞子と伽椰子の設定を新しく語り直してる時間はないからこれでいい。
終盤、「リング」でお馴染みの井戸も出て来るが、この井戸の説明もなく「貞子といえば井戸っしょ」って感じのサービス井戸。
本作の序盤では、山本美月演じる主人公が関わる「呪いのビデオ」事件と、玉城ティナが関わる「入ると死ぬ家」事件。これが同時進行で描かれてやがて結びつく。
山本美月は最初から最後まで凄く強いキャラで、友人を助けるために二日後に死ぬ呪いに自らかかったり、世界を救うために何の葛藤もなく即、死を決断して実行したりする。
フレディvsジェイソン」のヒロインも異常に強い女子だったが作劇の都合上、2人のモンスターと渡り合うには結果的に、聖人や英雄レベルの強いメンタルのキャラになってしまうのだろう。
物語の発端として、山本美月演じる主人公の友達がリサイクルショップで買った古いビデオデッキに入っていた呪いのビデオをつい観てしまう。
ちなみにこの時、山本美月は「スマホに夢中なので呪いのビデオを見逃したので呪いにかからない」というギャグで、現代ならではの呪いのビデオの脆弱性が浮き彫りになった。
確かに昭和は娯楽が少ないのでビデオが再生されたらつい観てしまう。だけど現代では古いビデオテープじゃなくても楽しいものがいっぱいあるのだ。貞子の呪いも新メディアにあわせてアップデートしなくちゃダメだな?
そしてビデオを観た友人は2日後に死んだ。作劇の都合上、死ぬまでの猶予が短い。
一方、玉城ティナは「死んだら死ぬ家」の近所に引っ越してくる。
近所の小学生たち数人が家に入ってしまうが、俊雄に皆殺しにされる(この中のいじめられっ子が玉城ティナと心を通わせそうだったので最後助け出すのかと思ったがそんな事はなかった)。そして玉城ティナも足を踏み入れてしまい家の呪いにかかる。
‥みたいな二つの怪異が起きるが正直あまりにも怖くなさすぎる。
何だか「二つの呪いのルール説明やサダカヤお決まりのあれこれを、ちゃっちゃと済ませときます」って感じで、やっつけ仕事の様に描かれる。
貞子などもシュバッ!というSEと共にショボいCGで現れる瞬間をわざわざ見せたりして最初から最後まで怖くない。
俊雄もオリジナルはめちゃくちゃ可愛い幼児だったのに、本作の俊雄は精通が済んだくらいの12歳くらいの妙にデカい子がやっていて気持ちが悪い。アップになったら舌をピチャピチャさせたり終盤では貞子に対してビビった顔したりしてるなど人間らしさが多いため幽霊に見えず白塗りした子役にしか見えない。
貞子や伽耶子も、小劇団系の達者な美人女優が頑張って演技してる感じだった。
「こんなに怖くないのは金がないせいか?」と思ったが白石監督はいつも金なくても上手く映画を撮るのでそれはない。
恐らく監督はホラーは好きだが「リング」や「呪怨」などのシリーズに全然興味ないんだなと思った。

実際、監督のインタビューを読んだら「Jホラーあまり観ない。わかりやすいアメリカンホラーみたいにしたかった」と言っていた。
確かに怖いJホラー表現を殆ど使ってなかったし、中盤以降はアメリカンホラーみたいな展開になっていく、そして中盤以降の方が楽しい。
だけどこの前半は中盤以降へのフリとしてJホラー表現をふんだんに使って普通に怖くしてほしかった。
この映画自体も充分「面白い邦画」という範疇だし他のよくわからない監督が撮るより絶対面白かったとは思うが、個人的に期待してたJホラー的な表現や「リング」や「呪怨」などの要素があまりに薄くてガッカリした。
また貞子がスマホYOUTUBEから出てくる?とか、現代に貞子がいたら?みたいな色んな現代版アレンジの想像をしてたが、そういう場面も全然なかった。
そういえば、山本美月
呪いのビデオを観たその友達は、「貞子」を追い求めている大学の教授に相談する。
この教授は異常にキャラが立っていた。話がわかる変わり者って感じで好感度が高い。
正直言って、後から出てくるヒーローの経蔵&珠緒より、この教授の方が面白い。
個人的には経蔵&珠緒は居なくていいので、この教授が経蔵の役割をして欲しかった。
教授は貞子が大好きらしく「貞子に会えるなら2日後に死んでもいいよ!」と言い放ち、DVDにコピーしながら喜々として呪いのビデオを鑑賞、貞子の呪いキャリアとなる。
疑ったりせず、すぐに二人を信じて喜々として呪いに巻き込まれてくれるので映画の加速度が増し、どんどん面白くなった。
三人は霊能者のオバハンのところに行く。このオバハンはもちろん白石作品によく出てくる「見た目は凄そうだが霊にあっさり負けるベテラン霊能者」キャラだ。
「お祓い」で呪いのビデオを観た山本美月の友達に、水をぶっかけ水をアホほど飲ませ、ビンタ!この繰り返し‥我慢大会のようなお祓いが面白すぎる。
ちなみに教授は「貞子に会いたい」という理由で、お祓いは受けないスタイル。
この男、ただものではない。
しかし次の瞬間、山本美月の友達に貞子が憑依、霊能者一派を全滅させる。
ついでに頭突きで教授も殺害。
お気に入りの教授が~!
その瞬間、何故か教授の顔がめちゃくちゃになるという謎の演出(なんじゃこりゃ)
教授も「ちょ!貞子!?貞子は?!」と疑問を叫びつつ絶命してしまう。

なんだよ。教授が貞子に会った時のリアクションや台詞とか超楽しみにしてたのに‥。
すぐ殺すんなら、こんなに面白いキャラにして期待させずに普通のオッサンにしといてよ。‥期待させてそれを取り上げるような真似するなよ!
それとも「貞子に会いたがってるという教授の願いが叶う前に死ぬ」という意地悪ギャグだったのだろうか?

ちなみに山本美月は友人の呪いを自分に移そうと呪いのビデオを観るが、旧「リング」シリーズの「他人に見せれば自分の呪いはそちらに移行して助かる」という設定は、本作においては只の都市伝説だった。だから友人の呪いも解けず山本美月も呪いにかかってしまった。
これは旧「リング」の設定を逆手に取った上手いやり方だった。

 



中盤。経蔵と珠緒
オバハン霊能者は既に自分より強力な霊能者、経蔵&珠緒を現場に急行させていた。
経蔵は白石監督の「カルト」の人気キャラ〈ネオ〉とほぼ同じキャラ。
アニメキャラっぽい言動や霊能力が強いところ、登場の経緯や性格も同じ。強キャラだ
貞子や伽椰子を目の当たりにしてもビビらないし、貞子や伽椰子を倒せるほどの強さではないが何とか逃げる事くらいは出来る。「リング」呪怨」世界においては貞子や伽椰子は我々の世界で言えば「死」そのものクラスの絶対的な存在なので「彼女たちを観てビビらない」というだけでも相当な猛者だし、ましてや「少しくらいは対抗できる」に至っては人類最高レベルと言える。
珠緒は盲目の少女で「何でも見通せる」キャラだ。彼女もまた霊にビビらない強キャラ
彼女は「何でも見通せるし、それが全部真実」なので、彼女が発言するだけであらゆる映画説明や展開をすっ飛ばして物語を進めることができる便利なキャラだ。
彼女のお陰で劇中で本来必要だったであろう数十分くらいの展開や説明が処理された。
白石監督映画は いつも制作資金が足りない分を埋めつつ、いつも面白いアイデアを捻り出す能力に優れている。
この非現実的な「無愛想イケメン&盲目幼女」という深夜アニメキャラっぽい組み合わせは、2人の色んな過去を想像させてくれる。
経蔵は貞子や伽椰子の事も既に知っている。彼には秘策があった。
「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ。」
と、白石監督ファンのニコ生ユーザーが大喜びしそうな台詞を放つ。
フレディvsジェイソン」と同じ流れだ。
そんな面白いコンビなのだが、さすがに貞子や伽椰子を倒すわけにはいかんので終盤で急に弱体化する。また、貞子と伽椰子に僅かでも対抗できる力を持つ経蔵が生き残って終わったら「頑張れば貞子と伽椰子倒せるんじゃね」→「貞子と伽椰子たいしたことないんじゃね」という印象になってしまうのを避けるためか経蔵はあっさり絶命する。そして、何時の間にか珠緒も貞子と伽椰子に普通にビビる普通の女の子キャラに成り下がって終わる。残念だが仕方ないね。
安藤政信よりも有名じゃない俳優が演じていたネオが、貞子と伽椰子に対峙しても恐らく同じ様に敗北しただろう。
逆に、白石監督の企画‥たとえばコワすぎ!シリーズなどの白石作品に貞子と伽椰子‥の様なキャラが出てきて工藤や経蔵やネオなどの霊能者がそれを倒す展開は十分ありうるが、本作のような「リング」呪怨」ユニバースで貞子と伽椰子を倒すという事はあり得ない(ネームバリューの差)。
そんな事はわかってるのだが経蔵の敗北にガッカリする。
だが、そんな風に経蔵&玉緒コンビを活躍させることが出来ないのではあれば経蔵は最初から必要なかったかもしれない。
いや、便利キャラの珠緒は残しといて、珠緒の指示で主人公の女子ふたりが事件解決にあたれば良かったのではないか(ついでに個人的に好きな貞子大好き教授も‥)

だけどTwitterでは二人はやはり人気だったようだしファンアートがたくさん描かれて盛り上がってたから成功なんだろう。

 


終盤。貞子vs伽椰子
山本美月の友人は絶望して、教授がダビングした呪いの映像をネットに解き放ってしまった。主人公たちは自分の呪いを解くだけではなく、貞子を消滅させなければ世界滅亡してしまう事になってしまった。
更に、呪いで死にたくない彼女は自殺しようとするが、その瞬間、貞子が現れて速攻の呪殺を行い、山本美月の友人は即死した。
貞子は「呪いの成就を邪魔されると速攻で殺しに来る」という事がわかった。
お祓いの儀式の時も呪いが解除されかねないから邪魔しに来たのだ。貞子は人をただ殺したいわけではなく、自分の呪いで殺したいのだ。だから「呪いにかかった者の自殺」イコール「呪いの邪魔」でしかない。
そして玉城ティナは「入ると死ぬ家」に入りこんでしまい家の呪いに感染。
そして経蔵は二つの呪いをぶつけて対消滅させる事にした。
山本美月は「貞子の呪い」が発動する時間に「入れば死ぬ家」に居れば、呪殺するために現れた貞子が伽椰子と鉢合わせになるだろうという計算。ロジカルだね。
そして山本美月と逆で「入れば死ぬ家の呪い」にかかった玉城ティナもまた、山本美月と同行して「入れば死ぬ家」の中で呪いのビデオを見れば、呪い同士が鉢合わせになって、やはり貞子VS伽椰子状態になるだろう、という二段構えの青写真。
実際にどうなったか‥というと対消滅せず!失敗!
何故なら、お互い不死身すぎて、いくら殺し合ってもすぐに復活してしまう。
メタ的に言うなら、どちらも日本映画がゴジラレベルで世界に誇る人気キャラなので、こんなところで消えるわけがない。
千日戦い続けても決着がつかない膠着状態となった。
ちなみに俊雄は伽椰子ほどの大悪霊ではなかったみたいで前菜代わりに、さくっと貞子にやられた。

【2人の攻撃方法】
貞子
呪い:ビデオを観た人間に憑りついて二日後に殺す。邪魔する奴を操る
攻撃1:伸縮自在の髪を操る。髪を敵の体内に無限に入れて破裂させる
攻撃2:TVの中の貞子空間に引きずり込む
攻撃3:目を合わせて支配、もしくは速攻の呪殺する

伽椰子
呪い:家に入って来た人間を殺す。本作では家の外には出れないっぽい
攻撃:どこからか現れて引きずり込んで、しまっちゃう攻撃。
一体どこにしまっちゃってるのかはわからないが、とりあえず画面外に引きずり込んでしまっちゃう(俊雄も同じ攻撃方法)

こうしてまとめると伽耶子は神の様に強い原作より遥かに弱くされている。
そして貞子の攻撃方法は多彩になった印象。
二人の戦いは、金が無いから小規模だが主人公たちという観客の前で、モンスタープロレスを演じてくれて楽しかった。
恐ろしくもあるのだが、女子同士による髪の引っ張り合いとか引っかき合い的な小競り合い感も感じられて可愛いさも感じた。
しかし両者ともに不死身なために決着がつかない。そしてラストに。。
個人的には白石作品によく出てくる異界が開いてそこに行っちゃったり、平行世界のオリジナルの貞子伽椰子が出てきたりするという規模のデカいものを想像してたが、そんな事は一切なく普通のアメリカンホラーっぽい感じで終わった。
どうせなら「サダカヤになって世界がもっととんでもない事になった」という光景を具体的に見たかった。
サダカヤを演じてるのは誰なんだろう?やっぱり依り代になった山本美月なのかな?

 

 
基本的には面白い映画だったのだが、不満はやっぱり序盤の怖くなさ。そして「リング」呪怨」シリーズへの興味の無さダダ漏れなところか。
そして貞子と伽耶子は、本家の怖くて強い彼女達らしさがなかった。
貞子x伽耶子x白石監督という組み合わせは、物凄い映画になるであろう事を勝手に期待していたが、蓋を開けるとただ貞子と伽椰子で低予算の「フレディvsジェイソン」をやっただけだった。
続編は多分ないだろうが、特に要らない気もする
そういえばエンディングテーマが良かったので、聖飢魔IIのシングルを小学生の時ぶりに買いました。


 

 

そんな感じでした

白石晃士監督作〉
『鬼談百景』(2015-2016)全10話/『赤い女』が一番よかった - gock221B
『オカルトの森にようこそ THE MOVIE』(2022)/ファンサービスに徹した白石ホラーBESTプレイリストみたいな内容で楽しかったが、あまりに全てが分かり易すぎると少し物足りなくなるのが映画ファンという人種🌳 - gock221B
『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』(2023)/シリーズの集大成で既視感ある描写やキャラの数々。そして男の有害性に対峙する工藤に不思議な感動があり、このシリーズはもうこれで終わりでいいかも🏏 - gock221B

 


〈『リング』『呪怨』関連作〉
『呪怨:呪いの家』(2020) 全6話/ソーシャルホラーの側面を強めて換骨奪胎した名作だった。あと可哀想な聖美の最期が本当に素晴らしくて心打たれた🏠 - gock221B

👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻👩🏻

www.youtube.com

www.youtube.com

f:id:gock221B:20180814064122g:plain

『ロスト・バケーション』(2016)/ライアン・レイノルズの嫁さんがビキニ一丁で巨大鮫と一騎打ち🐟

f:id:gock221B:20180718111050j:plain
原題:The Sallows 監督:ジャウマ・コレット=セラ 制作国:アメリカ 上映時間:86分

 

 

出演作がコケてばかりだったが「デッドプール」で遂に大ヒットしたライアン・レイノルズの嫁さんブレイク・ライヴリー主演のサメ映画。
この女優は大コケした低評価映画「グリーンランタン」で夫が演じる主人公の恋人役で出ていた。夫婦揃って大コケしたわけだが二人の出会いとなって愛を誕生させる合コン会場としての役割は果たせてたようだ。



Story
f:id:gock221B:20180718101538j:plain
医学生ナンシーブレイク・ライヴリー)は休暇を満喫しようと、人があまり来ない秘密のビーチを訪れてサーフィンを楽しんでいた。
すると突然、何かにぶつかる、それは巨大なサメだった。軽く噛まれて脚を負傷してしまう。
近くの小さな岩場に避難したものの、傷口からは大量の出血
岸までの距離は約200メートル。しかも徐々に潮が満ち、岩場の面積は狭まっていく。
医学の知識で何とか止血し、生き残る方法を必死で考えるナンシーだったが――


 

f:id:gock221B:20180718102421j:plain
ナンシーは、母が亡くなった失意を紛らわせようと、母が教えてくれた秘密のビーチにサーフィンしに来たのだが、現地ガイドに「このビーチの名前ってあるの?
と訊いても現地ガイドは「秘密です(^_^)」と教えてくれない
ム?
場所を知らないので秘密のビーチを訊き出そうとする奴に隠すのならまだしも、なんで既にビーチを知ってるナンシーに名前を教えてくれないんだ?
まあいいや。きっと後でわかるだろう
サーフィンに興じるナンシー。
現地のサーファー青年二人とも友達になる。楽しくサーフィンする三人。
ナンシーは青年たちに「そうそう、ところでこのビーチの名前は?」と訊くが彼らは「それを教えたら俺たちが怒られちゃう‥笑(^_^)」と、教えてくれない。
ム。。
引っ張りますね。
青年たちはやがて帰るがナンシーは「あと一回だけ」と波を待っている。
水中からナンシーのケツに近寄る影‥
それは‥
イルカだった
イルカに誘われてもう沖に出るナンシー。浜からは120mくらい離れている。
波が来たので乗ると波のチューブ内に巨大サメの影が出現。お洒落な登場!
f:id:gock221B:20180718102348j:plain
ナンシーは脚を酷く噛まれて出血が凄い。
彼女は小さめのクジラの死体に登るがすぐに転覆させられ近くの小さな岩に避難し医療知識を使って脚を応急手当する。このままでは壊疽が怖い。
小岩には同じように羽を負傷したカモメも来た。
そして巨大サメはナンシーの周りをグルグル回っており離れる気配がない。
ビーチまでは200mなので叫べばギリ聞こえるくらいの距離なのだが、ここは一日のうちに数人来るか来ないかって感じで人が滅多に来ないビーチ。
泳げばすぐに辿り着けるが、こんなに血の匂いをさせて泳げばサメに絶対追いつかれる。
では人がビーチを通り掛かるのをじっと待てばいい気もするが、潮が満ちている。
どっちみち明け方までにビーチに辿り着かなければ死んでしまう。

 

 

f:id:gock221B:20180718102542j:plain
ナンシーが避難している小岩には、同じように負傷したカモメがいる。
彼女は、似た境遇のこのカモメと仲良くなり羽を治療しているうちに、医者になりたかった自分を取り戻す。
自分探しと事態の解決法が合致した良いシーンなんだが、ナンシーは少し前に小岩にいた小さなカニを殺してオモムロにパクッと食って動物性たんぱく質を補給してたので「ひょっとしてナンシー、カモメも生で食うんじゃ‥」とハラハラして集中できなかった。
しばらくするとビーチに地元のオッサンが酔っ払って寝ている。
ナンシーは「そこに置いてある私のバッグからスマホで助けを呼んで!」と叫ぶ
しかし酔っ払いのオッサンは、よく聞こえなかったようで「バッグをありがとう」って感じで持って帰る。
ナンシーがっかり
するとオッサンは戻って来て海に入ってきた。どうやら漂っていたナンシーのサーフボードも持って行こうと欲が出たようだ。それはいいが私服のまま海に入ってまでボードまで欲しいとは‥
この男ただものではない
もちろんオッサンは期待通りサメに食われるわけが、オッサン目線でぎゃー!と喰われるのではなく、ナンシー目線でオッサンはス‥と静かに海中に消える。
そしてそのまま踊り食いされてるのだが、カメラは惨劇を見ているナンシーの表情を映し続けている。
このお洒落喰われ描写もいいが、ろくでなしのオッサンが踊り食いされるところがモロに見たかったのに‥
そんな感じでこの後も人が襲われるシーンがあるが、どれも泳いでたらス‥と海中に消えるというもので、僕は人が死ぬ時というのはドラマチックではなく瞬きしてる間にス‥と消えるだけで、誰もそれを知らない間に世界から消えて無くなるだけというイメージを持ってるので、なかなか本作のこの死に方は好きだったよ
実際にはサメに喰われるシーンを撮る予算がなかったのかもしれないが、かえって客観的な死が描けたと言えなくもない
まあ、そんな感じで全編ナンシーが小さな足場の上でサメから避難しつつも、何とか朝までに目の前の浜に戻らないと!という映画だった。
傑作というわけではないが、なかなか面白いハイ・コンセプト鮫映画でした。

 

 

f:id:gock221B:20180718105204j:plain
ブレイク・ライヴリーが全編ほぼ一人で、ビキニで七転八倒したり寝転んだりしてスタイル良すぎる身体をこれでもかと見せつけまくってくるという、この人の履歴書状態。
彼女は確かに美人でスタイルも良くちゃんと演技もしてるのだが気のせいかスターとしての華があまり感じられないのは気のせいでしょうか。
美しい身体の人妻が尻肉をブルブル揺れしたり寝転んでも流れない美乳などをこれでもかと見せつけてくるにも関わらず、あまり性的興奮もしなかった。
自分は美人の白人がタンクトップや水着で闘ってるだけで大抵すぐ好きになるので、こういう事は珍しいなと思った。
かといって別に彼女の事が嫌いなわけではないが、何故か今ひとつ存在感が感じられなかった。
この主人公は強く優しく家族や動物や他人、果ては自分の物を盗む奴の事まで心配できる立派なキャラなんだが、このブレイク・ライヴリーさん本人は美人だが正直そこまで立派な女性にはとても思えないんですよね。
スターの凄みさえあれば一発でそれを納得させられるのだが、その説得力が足りない感じ。
ブレイク・ライヴリーさんの実力がキャラクターを凌駕してないというか。
多分、大御所女優やスカヨハみたいに大スターだったりエマ・ワトソンみたいに聖女イメージが強ければ、この立派すぎる主人公に納得できたと思うんだけど。
このキャラは、こんな立派過ぎるキャラじゃなくて、もっと俗っぽくてバイタリティあるだけの美人キャラにすれば良かったんじゃないかな

f:id:gock221B:20180718104631j:plain
サメはあくまでもナンシーの精神的変化を促すための舞台装置に過ぎない印象(といっても大抵の映画はそうだけど‥)
後半、サメをまくために毒クラゲの群れに突っ込むシーンは「宇宙SF映画で敵をまくために小惑星帯に突っ込む宇宙船」的なシーンを思わせてよかった。
そんな感じで最後まで飽きずに観れる面白い映画でした。
最後まで‥。
あれ‥?
ちょっと‥
ビーチの名前わい!
ビーチの名前の秘密どこいったん!?

てっきり地元民だけが「人喰いサメがいる怖いビーチ」だと知ってるってオチなのかと思ってた。
じゃあ、ガイドや地元民は何でビーチの名前を意味ありげに伏せてたの?
そして何もないんなら映画を編集した時に、何でガイドや地元民が意味ありげに口をつぐむシーンを残したんだろ。
僕が何か台詞を聴き逃したのかな‥?
まあビーチの名前は謎だが、映画そのものはほどほどに面白かったです


そんな感じでした。 

🏄🌊🐟🏄🌊🐟🏄🌊🐟🏄🌊🐟🏄🌊🐟🏄🌊🐟🏄🌊🐟🏄🌊🐟

www.imdb.com

www.youtube.com

f:id:gock221B:20161123194605g:plain

「トゥームレイダー (2013)」周回プレイが楽しくない以外は最高。凶暴なララ/1996年の一作目🗾

f:id:gock221B:20170531034650p:plain
原題:Tomb Raider 開発:Crystal Dynamics 制作国:アメリ
シリーズ:リブート「トゥームレイダー」シリーズ


リブートのやつ。すげー面白かったので止められなくなって週末一気にクリアした

Story
旧シリーズのララは確かアラサー~30代半ばだった気がするが、本作では20代前半に若返り、ちょっとサバイバル術やスポーツや銃撃が得意なだけの元女子大生。トゥームレイダー・ビギンズ的な内容だった。
か弱い女子‥と言ってもゲームが始まって5分後にはインディ・ジョーンズ的な大クリフハンガー大会を展開しているしタンクトップ一丁で爆発に巻き込まれたり高所から落ちても「いった~」くらいで済む明らかに超人なのだが‥(ランボージョン・マクレーン、キャップやバットマンレベルの強さ)。
大学を卒業したばかりの考古学者ララ・クロフトは仲間たちと伝説の邪馬台国を探すために調査に出かけたが嵐に遭遇し船は難破、見知らぬ島に漂着してしまう。
その島こそララたちが探していた邪馬台国だったが、かつての漂着者たちが狂った社会を形成しており一行に襲い掛かってくる。
ララは、先住民と闘ったり宝を探したりしながら島からの脱出を試みる

みたいなストーリー。
まあストーリーは、あって無いようなものでララに訪れる危機また危機一髪!といったクリフハンガー性が全て。
というか昔もそうだったがララ以外のキャラクターの薄さが凄い。
ララを立てるためだけに存在するのだから別にいいんですが。。
調査仲間のキャラは、それぞれララの父、継母、祖父、二人の優しい兄とララよりか弱い妹、あと無職を思わせるクズの伯父さん‥と、ララの家族を思わせるポジション。
それにしてもこのゲームに限った話ではないが、強い主人公が死にそうなほど敵を倒して大変な苦労しながらやっと辿り着いた中継地点に、ろくな武器も持ってない弱い老人女子供が「怖かったけど何とか辿り着けて隠れてた‥」とか言うと「どうやって!?どうやって来たん!?」と詰め寄りたくなる
敵や遺跡は、卑弥呼邪馬台国絡みの狂ったものだが自分が日本人だからか、時代考証が無茶苦茶だったりするのが気になる。これならありがちなヨーロッパ的な孤島にして欲しかった。あとこのシリーズの遺跡は凄い規模で出てくると、本当にそこにある立体なのも相まってうわ~!と思うのだが本作の遺跡は凄くちんまりしていた。まあ孤島自体は凄くて、孤島全部が遺跡と言いたんだろうと良い風に受け取った

円滑なゲームへの導入と止められなさ
f:id:gock221B:20161123000603p:plain
いきなり調査船が嵐に遭ってぶっ壊れて島に漂流するが、ララは狂った島民に襲撃されて気が付くと逆さ吊りにされている。そこから脱出して外に出るが居た場所が次々と倒壊するので走ったりジャンプしながら逃げるというインディ・ジョーンズ的なアクションが展開される。
この、イベント画面を動かすやり方は「QTE(クイックタイムイベント)」というらしい、しょっちゅうだと嫌だけど要所要所に使われてるのは入り込みやすくていい気がする。
この、チュートリアルじゃなくてプレイヤーをいきなり大変な事態の渦中に放り投げ、その過程と共に自然と操作方法を覚えさせてくれるというゲームのやり方や、実際に「ここを押せばああいう行動が出来るかな」とか「あそこに飛びつきながらボタンを押せば掴めるのかも」と頭で思った通りにプレイでき、それでピンチを切り抜けつつ進む気持ちよさはバットマン:アーカムシリーズやバイオショックシリーズ等の名作ゲームと一緒でストレスなかった。
一週目は「次どうなるんだろう」というクリフハンガーの連続でプレイングがやめられなくなるし、二週目は一周目で覚えたテクニックや知識を活かしたくて仕方ない感じだった。かっぱえびせんとか節分の豆食う感じっていうか‥スティーブン・キングミザリー読んだら一気に最後まで読んじゃった的な。
導入場面が終わった後の最初のステージの森が秀逸。
綺麗なので景色を見ながら森を歩くだけで楽しい、燃えるタイマツを持って走り回ると、放課後グラウンドに遊びに行く時のように大人なら夜の街や山奥のレイブやフェスに行く時のテンション上がり方だった。
そして空腹で疲れてるので、死体から弓矢を回収し鹿をやむなく射殺し「ごめんね‥」と言いながらさばいて食う場面も誠実だった(もっとも二週目では経験値獲得のために血走った目で動物を殺しまくったが)
鹿などの動物を狩るのも楽しいし、ただ綺麗なだけではなく宝探し等で、その景色に物理的にコミュニケートしていくので良かった。
戦闘でもララは強くて万事そんな調子でスイスイと進み自然も綺麗だし週末だったので、まるで大学生の様に12時間くらいぶっ通しで終盤までプレイして首が痛くなった(後半の「真昼の蝿が飛んでるスラム街」がマジで汚くてテンション下がる)
というか後日クリアして、そのまままた頭から始めて終盤の浜辺まで半日以上やってしまい、まだ2、3回しかやってないのに33時間もプレイしているという妙な感じになった。こんな一気にプレイさせられるのは始めてだった。
バイオハザード一作目の時にタイムアタックにはまったのを思い出した(バイオでは展開やアイテムを全部覚えて脳内に台本を作って、ポーズ中も時間が流れてるのでポーズすらせず頭から最後まで一気にプレイして時間を競うのが流行った)
レビューを見たら概ね大好評かつ大ヒットで特に一般ユーザーに大人気みたい。
しかしシビアなパズルだった旧シリーズとは完全に別ゲームになっており旧シリーズの硬派なマニアの一部には不評のようだ。
僕は旧シリーズみたいに死んでばっかりなのは、もうやるのしんどいのでこれで丁度よかった。


新しいララの魅力
f:id:gock221B:20161123000251p:plain
見た目や年齢が10歳くらい若返った。
ララといえば映画化の時にアンジェリーナ・ジョリーがハマってたし、アンジーさん自体がララと同じかそれ以上に大物になってしまったために「ララ=アンジー顔」というイメージになった。そのアンジェリーナ・ジョリー呪縛から若干抜けた感じはある続編では、この猫化の猛獣みたいな顔が更に現代風の普通の女の子っぽい顔へと変わっている様子。すごく良いことだと思う。これは演じてる女優が変わったんだと判断した。
ちなみに広告の一つでジェシカ・アルバそっくりのセクシーな顔のものがあるが
f:id:gock221B:20161123001624j:plain
この女優は本作には出てきません。
というか移植するハードやバージョンによっても顔が毎回違うし試行錯誤してる感じなんでしょうね。
個人的には旧シリーズでのアラサーのセクシーな彼女の方が好きだが、これはこれで爽やかでいいと思う。というかリブートなんだから当然若くするのが正解。もし自分がディレクターだとしても自分の趣味は置いといて若くするわ。
冒険家の父が死んでるので父のかつての仲間だったジジイ達にくっついて冒険を始めたばかり。彼らに対しては娘だったり妹ポジションだが、ララが保護するか弱い少女もいてシガニー・ウィーバー的母性も出している。吹き替えの甲斐田裕子さんとかいう声優さんも強さと優しさがいい感じで合わさりつつ、凄くねっとりした声質なのもよかった
性格は、まあ優しく勇気がある清廉潔白なステレオタイプなヒーロー。
このゲームはプレイングしているアクション=ララの性格、というタイプのゲームだと思うので、ストーリーやキャラ付けはこれぐらい薄い方がいいと思う。
だけどキレたり殺されそうになったら、たとえ敵が無力になってたとしても躊躇なくピッケルや銃弾を頭にブッ込んでカチ割ったり「逃げたけりゃ逃げなさいよ!絶対逃がさないから!」と言いながらグレネードを撃ちまくって辺り一面を火の海にしながら敵を全員黒焦げにしたりするという凄くアメリカ的で怖ろしい面もある。
しかし本作の敵はもれなく「クズの悪人」というキャラ付けしかしてない「正義の俺vs.悪い奴ら」ゲームなのでこれでいい。割と好きかな。
初めて人を殺したイベントでは泣いてたが、しばらくすればランボージョン・マクレーンの様にかなり積極的に皆殺しにしていく(まあ僕がしてるんですが)このララの凶暴な性格は気に入りました。
イメージ的には「別に殺したくはないが邪魔だから殺す。殺すというか気が付いたら殺してた」といった感じの、石ころをどかす感覚でブッ殺す殺人マシーンぶりが「逆襲のシャアアムロや「もののけ姫」アシタカみたいでよかった。
ラストでララは、救助隊にわざわざ「君のその傷やその目つき‥何があったか知りたくもないね」とまで言われるので、ゲーム上じゃなくて本当に凶暴な香りがする系女子になったのだと解釈した。
弓矢は最初に手に入り最後まで使える武器だが、このゲームの弓矢はマジで楽しかった
ハンドガン、ショットガン、ライフル、グレネード等の定番のものも楽しいが、弓矢は新鮮だった。後半出てくるコンポジットボウ(何かホークアイとかが持ってる現代的で芸術的な造りの弓)とかもめちゃくちゃカッコいいし。僕は交戦せずにサイレントキルばかりしたいタイプなので弓矢はマジでよかった
キービジュアルも弓矢持ってるのが多いし弓矢推しなのかな。
あとピッケル。この際だから弓矢とピッケルだけのゲームでも良かった気もする
トレードマークの二丁拳銃は最後の最後で出てくる。このラストのこの場面でララ誕生という事なんだろう。その演出はいいが、正直言って二丁拳銃は特に好きじゃないから別にどうでもいい。
女の子がタンクトップだけで爆発や荒事を乗り越えすぎてるが、まあアクション映画とかもそうだから破傷風とかのリアルな事は気にしない方向で‥。そもそもゲーム開始と同時に木の枝が腹を貫通するがその30秒後には全力疾走してるからね。というかゲームだから銃撃やガトリング砲を頭に食らっても痛っ!て感じで一発で死なないしね。ウルヴァリンくらいの強さと超回復力があると思ってもいい。一応、ゲーム後半には服は汚れで真っ黒で、二の腕やデコルテはズタズタになってるが(テクスチャじゃなく3DCG自体のえぐれてる深い傷)グラフィックがリアルになればリアルなほど、超人ぶりが目立つ。まあこの辺を追求するのは野暮だからやめよう
DLCダウンロードコンテンツ)として衣装が6つあるが、どれもえらく真面目なものだった旧シリーズの衣装や水着などは一個もない)。ノリで一応買ったが結局デフォルトのタンクトップが一番いい感じだった。
新シリーズで硬派な感じでやっていきたい意志を感じたので別に文句はないが、せめてOPで着てる汚れてない綺麗な白いタンクトップと綺麗なズボンくらいくれと思った。
ちなみにアメリカ映画やゲームにおける、タンクトップというのはポリコレが進んだアメリカのフィクションで、かなり譲歩したセクシー衣装ですからね。
「スポーティで爽やかで楽ちん」と思われてるだけで、実際のところ僕は「上半身に履くパンツ」と思ってますからね。それを念頭におけば一見何てことないタンクトップが実はセクシーなものだと見えてきます。トラブリューのバカも「何でもないような事が幸せだったと思う」とか歌ってましたよね。
セクシーとはされていない女性が身に着けてるありふれたものを(黒縁メガネとかタンクトップとか)セクシーに思えれば楽しみが増える。僕はこの考え方を錬金術と呼んでます。別にタンクトップのフェチとかいう話じゃないんですよ。「10年後からタイムスリップしてきた気持ちで今を頑張る」と同じように、考え方によって日頃の楽しみを増やす思考法の話です。
この話はそれほど主張したいことでもないし共感もしてもらえなさそうなのでやめる
でも本作のタンクトップは泥水等に浸かって黒ずんでて別にセクシーじゃないけどね。
話は変わるが、このゲームはスタッフに絶対、ヒロインが絶命するフェチがいてララが惨たらしく死ぬGAME OVERシーンが異常に作り込んでるんですよね。あまり好きじゃないです
あと本作は痛そうだったり過酷さを全面に出してるよね。続編は雪山で更に過酷そうだし
個人的にはインディ・ジョーンズ的な明るい感じにして欲しかったが本作は過酷な路線で行く雰囲気だからしょうがない

 

スクエニFUCK
本作がやりたくてゲーム再開したし面白かったので文句はない。
勿論、細かい不満がなくはないが圧倒的に良い部分が勝ってるのでどうでもいい。
それよりもローカライズの問題は書かないといけないだろう。
スクウェア・エニックスはプレステで出す時に日本語吹き替え&字幕を入れてたのだが、STEAM版はPS3版でせっかく付けてあった日本語吹き替え&字幕をわざわざ無くして千円で売るというクソ仕様。ソニーとの間に何かあるんだろうが、あまりにも酷い仕様だ。
わかりやすく言うと「映画レンタルで映画を400円でお貸しします。日本語吹き替えは別売りで300円です」みたいなもの。誰が借りる?
カレー屋で喩えると「美味しいカレーがたった600円!食べるスプーンは500円払ってくださった方のみに差し上げます」みたいなもの。熱々のカレーを素手で火傷して食えと言ってるに等しい。
ゲーム自体はCrystal Dynamicsが作ってて傑作。だがスクエニの売り方が酷いという話
いわばやりたいトゥームレイダースクエニに人質に取られているようなもの。開放するには身代金を払わなければいけない。
出来る限りスクエニに金払いたくないと思ってたが、75%引きセールが来て本編合わせて千円以内にまで下がったので許容範囲と思い買った。
このDLCのSteamレビュー見たら色んな罵詈雑言が書かれていて楽しい。
そんな感じでローカライズ以外は概ね良作でした



一作目「トゥームレイダー(1996)」

f:id:gock221B:20161122211328j:plain
このシリーズは遥か昔の一作目‥「トゥームレイダー(1996)」の時だけ超ハマった。
バイオハザード一作目共々こういう映画っぽい3DCGゲームの元祖だった気がする。
バイオの場合はこっちより綺麗だったが、殆どポリゴンキャラが一枚絵の中を歩き回るのカットが連続していくようなゲームだったのに比べて、こっちは3DCGキャラが好きな方向を向けて好きな方向に行けるというのが凄かった。アクションゲームである程度は動けるというゲームはあったがここまで自由に広い世界を動き回れるものはなかった訳です。
敵と闘うよりも探索。そして探索するために地形をどう進むかっていうゲームだった。
どこでジャンプしてどこの地形の端っこ掴んで登るかという感じがメインで、今思えばアクションというより完全にパズルゲームと言った方がいい感じだった。ロッククライミングやボダリングのゲーム化みたいな。
ステージが始まって遠くに見える空気遠近法で霞んでいる遠くの遺跡。
だけどゲームを進めると、その遺跡に実際に登れたりして「まさか背景だと思ってた、ここに登れるとは!」という感動がありました(ゲームの背景はどこまで行っても背景で実際にそこに行けるゲームなんかなかった)
それはプレイしていた若い当時は「このゲームみたいに少しづつ前に進んで将来楽しい事を出来るかもしれない」という未来への希望を抱かせるものでした。
若くなくても人生において10年に一度くらいは訪れる「やりたいとは思ってたが、自分には無理だろう」という出来事が起きた時の感動を体感させてくれるものだった気がする。
だからトゥームレイダー1作目は過去にゲームして一番感動したゲームだった(後は幼い時にやったスーパーマリオとか思春期の時に出たストIIくらいのもんか)。
そして、このゲームはあまりにも死ぬ。。
転落死、溺死‥何度も死んで進み方がやっとわかる死にゲーで、クリアまでに何ヶ月もかかり、クリアする頃にはすっかり燃え尽きてしまい一作目以降はやらなかった。
主人公レイラ・クロフト(一作目の時、日本ではララじゃなくてレイラと書かれていた)も、かなり荒いポリゴンでこういう感じ‥
f:id:gock221B:20161121035806g:plain
こんな感じで、キャラモデルだけ今の目で見るとキツいものがある。
というか当時の時点でグラフィック荒いとか「顔が怖い」とかよく言われてた。

だけどステージの全てを3DCGで作ってるゲームなんて前代未聞だったので荒くても仕方ない。
それに凄くはまっていたので、毎日プレイしているうちに自分の目にはまるでアダム・ヒューズが描いたセクシーなララ・クロフトの様に見えていた‥かもしれない
f:id:gock221B:20161121035752j:plain
まあゲームプレイ中の90%は後ろ姿しか見えないからあまり気にならなかった。
日本は置いといて、このキャラはマリオに匹敵するほどの人気がある。
ちなみに吹き替え声優はこの一作目のみ碇シンジでお馴染みの緒方恵美だった。

少し前、10年ぶりに旧シリーズのトゥームレイダーもやってみようと、一作目に近いという「Tomb Raide:Underworld」の体験版を試してみたが始めてすぐに「あぁ、やっぱりもうあんなに苦労したり死ぬのは嫌だ」と思って即プレイをやめた。

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾🗾

www.tombraider.jp

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

Tomb Raider on Steamf:id:gock221B:20161122234454g:plain

#sidebar { font-size: 14px; }