gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

「ザ・コンサルタント(2016)」映画全編が、殺人会計士である主人公のキャラ紹介かつ面白いという変わった映画だった

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原題:The Accountant 監督:ギャヴィン・オコナー 制作国:アメリカ 上映時間:128分

ここ数年、年に一本はあるアクションスターではない既に成功しているスターが殺人マシーンを演じる系映画‥「イコライザー(2014)とかジョン・ウィック(2014)」とかと同じ種類の映画の新しい一本。
実際どれも面白く、こんなものを作られたらエクスペンダブルズはますますエクスペンダブルズで固まらないと生きていけない。
一言で言うと「昼はレインマン会計コンサルタント、夜は殺人マシーン」という映画。

Story

田舎町で会計コンサルタント事務所を構える物静かな男クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)。
コミュニケーション障害を持っているが数字に対しては超人的な能力を発揮する彼は、裏社会と繋がりを持ち彼らの仕事を請け負っていた。
アメリカ政府当局もその存在には気づきつつ、なかなか正体を掴めずにいたが財務省の捜査官レイモンド(J・K・シモンズ)は部下メリーべス(シンシア・アダイ=ロビンソン)と共に謎の殺人者「会計コンサルタント」を追う。
そんな中、ウルフのもとに義肢などの開発を行う大手メーカー、リビング・ロボ社の財務調査という依頼が舞い込む。
社長のラマー(ジョン・リスゴー)に頼まれて、同社の経理担当デイナ(アナ・ケンドリック)が一年かけて見つけたという使途不明金の解明に乗り出したウルフは、天才なので一晩で不可解な点を見つける。矢先、調査は一方的に打ち切られてしまう。
そしてその日からウルフとデイナは、暗殺者ブラクストン(ジョン・バーンサル)率いる集団に命を狙われ始める。。

みたいな話。

序盤
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序盤はベンアフ演じる主人公の描写が丁寧にされる。
冒頭は、幼少期にパズルの最後の1ピースを無くしてパニックを起こしていると、幼女が拾ってくれる。その最後のピースをはめるとそれはモハメド・アリのパズルだった。
‥という事がわかる。しかもウルフは、このパズルを裏返してやっていた。
この時点ではわからないが何かの伏線なんであろうカッコいい始まり方。
彼は、数学の天才だが自閉症アスペルガー症候群で、感情や暗黙の了解などがわからず、たとえ話やジョークを真に受けてしまうシーンがちょくちょくある(だけど知能は高いので知識や経験によってそれらの察せなさを補って普通に生活できている)
神経質ゆえに規則性のある私生活だったり、パニックになるとソロモングランディの詩を唱えて気を静める様子が描かれる。
そんな感じで、田舎では目立たない物静かな会計士‥という感じで働いている。
だが今現在のベンアフなので筋肉パンパンの‥身体が完全にゴリラ。
これは「会計士が実は殺人マシーン」映画で、中盤以降でアクションもこなすので身体がパンパンで普通なのだが、ハッキリ言って映画の前半は「只の物静かな会計士だが実は‥?」というネタフリの部分なので「素手で他人の身体を引きちぎれそうなほど異常にデカいパワー系コミュ障の大男」が眉間にしわ寄せてウロウロしたり家でスネを棒でゴリゴリやって鍛えたり「何やってんだこいつ‥」という辺りがはっきり言って怪しすぎる。
本作が意図していないであろう異様なパワー系の恐ろしさを醸し出していた。
最初から「自閉症だがヒーロー、が主人公の映画」とわかって観ているからいいが、それを知らずに観ていたらと想像すると怪しすぎて凄く可笑しい。
パッと見、AVGN(ジェームズ・ロルフ)に似ている。
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The Angry Video Game Nerdとは (アングリービデオゲームナードとは) - ニコニコ大百科
The Angry Video Game Nerd - Wikipedia
あと、のっそり加減が「パンチドランク・ラブ(2002)」のアダム・サンドラーにも似てる。パンチ~も情緒不安定なのっそりした男だった。
端正な顔のこういうキャラは皆このスタイルになるのだろうか?


すごく不思議な映画。
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第一幕でたっぷりとウルフのキャラ紹介がなされたが、この映画はちょいちょい回想を挟みつつ、何だかんだ言って最後の最後までウルフのキャラ紹介が続いて終わる。この映画が丸々一本「ウルフのキャラ紹介」といっても過言ではない。
ただの「昼は一般人、夜は殺人マシーン」映画の一本だと思ってたけど、映画内の配分が凄く変わってて実に不思議な映画だった。
だけど、もっと知りたくなるので奥行きある映画だなと思った。
そして財務省の捜査官2人や、暗殺者とかのキャラも、やはり凄く奥行きがあった。
悪の黒幕は若干、薄っぺらいステレオタイプな悪役だった気がしなくもないが、彼は割とどうでもいいキャラなのでいい。
ウルフが射撃場にさせてもらってる老夫婦も何となくいい感じだった。
アナ・ケンドリック演じるヒロインは残念ながら、ウルフに割く時間や他のキャラに割く時間が多すぎて只の可愛い女でしかなかった。だけどやはりスターだけあって魅力だったわ。
最後に対決する暗殺者は、ネットフリックスのMARVELドラマで今パニッシャーやってる奴(フューリーとかボーダーラインにも出てるくせっ毛の鼻でかい変わった顔してるアイツだ)
つまり本作はバットマンvs.パニッシャーでもある。
結果も1995年に翻訳された「バットマン:パニッシャー」と同じだった。
中盤以降はウルフの戦闘シーンが展開されるので、過去に訓練を受けている描写などが増えてくる。そして普通、そんな回想は前半だけだが本作の場合最後までそれが続く。
てっきり「イコライザー」や「ジョン・ウィック」みたいに、後半はヒロイン救出したり敵を殲滅していくのが定石なんだが話は不思議な方向‥どんどんウルフのプライベートな問題へと進む。
それが最高潮に達した時に出会ったラスボスとの決着の付け方があまりに最高だった。
ウルフは途中から自分の私的な問題へと進んでいき、無視された悪の組織が「おい、俺達を無視するなよ」って感じで立ちはだかってウルフが「あ、ごめんごめん」って感じでささっと皆殺しにする。こんな映画めったにない


ウルフの強さ
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ウルフの戦闘シーンは数少ないが凄く良かった。
数学が得意な自閉症だけあって合理的すぎる戦闘スタイル。
必要最低限の運動量、最速最短の軌道で確実に殺すので強すぎる。
心臓や顔面などのモロ弱点を2、3発撃ち抜いて、100%絶命したであろう倒れた相手の頭部を更に撃って120%確実に殺している。
これは確実に死ぬ!
一人の人間を2、3回殺していると言っても過言ではない殺し方。
もしスーパーマリオみたいに命が3つあったとしても死んでそうな殺され方。
ソフト(戦略)の説得力はそれで、ハード(身体)はベンアフのゴリラボディだから、これは強い。
これ系の映画だと「イコライザー」や「ジョン・ウィック」などに比べて、本作のウルフは合理的すぎる才能ある自閉症マッチョだからこその強さであって、映画の魔に憑りつかれたような無敵の強さではなかった。敵の攻撃もちょいちょい喰らうしね。
とは言え、強さでは他の映画ほどではないがピンチにならなさ加減ではこのウルフが最高だったね。
キャラの奥行きはウルフが一番深いので、俺はウルフが一番好きだね。
サイドキックもいてヒーローっぽくもあるし続編があったら観たいな。
本作はウルフのキャラ紹介に費やす時間が長かったせいかアクションが結構少なかった。
ウルフの殺人バンの描写はあったが、殺人ハウスの設備を使うところが観たかった。


そんな感じでした 

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「ネオン・デーモン(2016)」エル・ファニングと美しい画は良かったが物凄くカンヌで賞を獲りたさそうすぎる映画👱‍♀️

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原題:The Neon Demon 監督: ニコラス・ウィンディング・レフン
製作国:アメリカ/フランス/デンマーク 上映時間:118分

 

これはエル・ファニングが出ずっぱりの、カッコいいポスター群の映画として認識していた http://www.impawards.com/2016/neon_demon.html
レフン監督作は「ドライブ」を観て「まあいいかな」と思っていたが「ブロンソン (2008)」「ヴァルハラ・ライジング (2009)」「オンリー・ゴッド (2013)」とか観てどれも全く好きじゃなかったので正直あまり合わない監督というイメージ。

Story
16歳の美少女ジェシーエル・ファニング)は、トップモデルになる夢を叶えるために田舎町からロスへとやって来た。

その美貌ですぐに一流デザイナーやカメラマンの心を捕えて順調に出世するが、ライバルのモデルたちはジェシー激しい嫉妬を抱き、常軌を逸した復讐を仕掛け始める。

というそんな戦後の少女漫画みたいなストーリー。
穢れなき天才少女がのし上がっていって、それを妬んだ凡人達が彼女の脚を引っ張って彼女が持っている才能を得ようとする話。
彼女が持っているものとは何かというと、それは処女性なのだが彼女以外のキャラは全員穢れているので「穢れの無さ」を獲得するのは不可能(唯一、最初に撮影してくれるカメラマン青年だけはジェシー同様の穢れてないキャラ)。不可能なので「ジェシーの血」を物理的に求める。だけどそんなものはやはり得れるものではないので‥という日本昔話めいたお話。

ジェシーは、ちょいちょいゼルダの伝説トライフォースみたいな三つの三角形を幻視するのだが
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これはジェシーにだけ見えてる自分の穢れなき才能のビジョンって感じか?

それでトライフォースみたいなビジョンを観たジェシーは後半、自分の凄さを知って自信満々になってお決まりの転落コース。
この調子に乗ったエル・ファニングが凄くカッコよかったので、このまま突っ走って欲しかったがこの無敵モードは一瞬で終わってしまい終盤は凡人キャラだけで話が進んでいってしまい退屈だった。
正直、彼女が普通に無双するところがもっと観たかった。

この映画の登場人物は老人の死体以外、全員が美男美女(モーテルの薄汚いオッサン役でさえキアヌ・リーブスが演じている)
これはもう「本作では容姿の美しさは美しさではない」と言いたいのだろう。
おそらくジェシーとボーイフレンドのカメラマンだけが美しい存在なんだろう(だから二人が序盤でドライブデートするシーンは凄く美しかった)


観る前からわかるが本作は全体的に寓話的で御伽噺ぽい、アート映画っぽい感じ。
観てると変なところが多く
「何でライバルに刃物で斬られたのに事務所の人に相談しないの?というか何で病院行かないの?」「何でモーテルに猛獣が侵入してきたらジェシーが金払わないといけないの?」「何でその怪しいモーテルに住み続けてるの?」「何でモーテルで事件が起きても警察呼ばないの?」「その度に、事務所に言わないのは何で?」「ヤバそうな屋敷で尾を引きそうなトラブルがあったのに何で居続けて挑発するの?」
とか、そんな疑問が出てくるがそれは「これは寓話的な映画だから‥」と、映画全体が言っているので恐らくツッコむだけ野暮だろう。ポスターとか予告編観ればそういう映画だと言っているしその上で観て「不親切だ」とか言っても仕方がない。
何というか、映画全体からカンヌで賞を獲りたい感じがバンバン出ている。
カンヌで賞を獲りたさそうな映画というは具体的に言うと、綺麗な画面、アート映画っぽい演出、奔放な性描写、タブー描写、自分本位な映画作り、曖昧な終わり方‥これら全部を足したものがそうだ。

レフンは確かデヴィッド・リンチが好きだったと思うが「マルホランド・ドライブ」に色んなとこが何となく似てる。あと「ブラック・スワン」を足したような。。

でもぶっちゃけて言うとそれらの映画に比べて少々、薄っぺらいんですよね。。
物凄く単純な‥日本昔ばなしなら10分で語り終えそうな話を二時間に引き延ばしても画面が持つのだからやっぱりきっと才能があるのだと思うが。。

だけどエル・ファニングが魅力を凄く出していて(特に、いつものプレーンな彼女じゃなくて自信満々モデルになった姿をもっと観たかった)あと画も綺麗。
綺麗だけど、このブルーピンクのキツい照明が当たりまくって80年代っぽいシンセが流れる‥という映像は、本当は好きだったんだけど、ここ数年で大流行しすぎて食傷気味で、全然新鮮じゃなかった(映画もMVもゲームもグラフィックデザインもこればっかり)。
これ誰が始めたんだろう?レフンの「ドライブ」かな?

文句ばかり言ってるようだが割と楽しめた。特に前半は。
だが性描写やタブー描写を増やして寓話っぽく終わる感じが、本来はショックを与えるためなんだろうけど逆にありきたりで退屈に思えてしまった。
全編が寓話っぽい作風のせいで、ショッキングな事が起きても「ああ、人を食うっていうメタファーで本当に食うパターンをやったのね」と、逆にショック性が薄らいでしまうというか‥これがリアルな映画だったら「衝撃のラスト」という感じがしたのだろうが、この映画の作風(窓から蚊が入るかのように貴重な猛獣が入ってくる)本作だと何が起きてもあまり意外な感じがしなかった。
こういう奇抜な映画ならむしろエル・ファニングが駆け上がっていくだけの内容の方がよかったかもしれない。
やっぱり、ドライブだけがエンターテイメント性を高めた映画で、それ以外の方がレフンっぽい映画なんだろうなと思った。
そういえばジェナ・マローンがレズ死姦する時にタンツボキスしてたのが妙にリアルでエロかった。あの死体はエロかった
あと前半、調子に乗る前のエル・ファニングが汚れてないカメラマンと街の灯りを見下ろしてデートする場面は凄く綺麗だった。
だが、まとめて考えるとやはり失敗作だと思う

そんな感じでした

👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️

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「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント (2016)」そんな終わり方?👴

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原題:The BFG 監督:スティーブン・スピルバーグ 製作国:アメリ 上映時間:118分

少女と進撃しない巨人との触れ合いを描いた児童書が原作。
「チャーリーのチョコレート工場」の作家らしい。
昔、アニメ映画にもなったらしい‥というか検索したらYOUTUBEにあった。
www.youtube.comチラッと見た感じ、このアニメ映画のビジュアルに本作スピルバーグ版はそっくりだったな~。児童書からじゃなくてこのアニメを実写化したのだろうか?よくわからん

Story
ロンドンの孤児院に暮らす孤独な10歳の少女ソフィー。
好奇心旺盛な彼女は真夜中に起きていて、恐ろしげな巨人に”巨人の国”へと連れ去られてしまう。
しかしその巨人、ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(BFG)は心優しい巨人だった。
ソフィーとBFGは仲良しになったが巨人の国にはBFGよりも大きくて人間を食べてしまう野蛮な巨人もいっぱいいた。
彼らに気づかれないよう注意しながら、BFGと一緒に楽しい時間を過ごすソフィーだったが。。

ソフィーは、やんちゃでやぼったい格好してるけど眼鏡をかけていて賢そうな少女。深夜に眠れずに思いを巡らせていた。そして彼女には野良猫?だか孤児院の猫だかがよく懐いてた。
話は逸れるがこの孤児院の猫めっちゃ可愛いかった。
でもこの序盤にしか出てこないので残念。ラストで、ソフィーがこの猫を飼ってて欲しかった。「ソフィーは孤独で猫しか友だちがいない」という記号としての猫なのだろう。
またソフィーが孤児院の院長や他の孤児と話すシーンは一切ない。
だから、この映画はまるで孤独なソフィーが深夜に空想した話に見える(終盤まで)。
夜更かしして窓の外を見てると、夜の町で暗躍していた巨人と目が合う。
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この巨人と出会う序盤が幻想的でかなり好み。
この巨人の大きさは‥俺が観たところガンダムより一回り小さいくらい?
ちょうどいいデカさだ。
窓から巨大な手がヌッと入って来て掴まれるのも、空想家が夢想しそうな「夜が手の形になって私を掴んだ=不安にまとわりつかれた」的な空想の可視化みたいで凄く良い。凄く児童書や絵本でありそうな画。
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ソフィーを掴んだ巨人はそのまま巨人の国まで走って持って去る。
深夜に出歩いてる市民に見つかりそうになったら、木のふりしたり壁のふりしたりして色々と工夫して隠れるのだがこれが凄く楽しい。
何というか良い子って感じの幼児がすごく喜びそうな描写。屁で飛んだりとかもね
その後の巨人の家や、巨人が夢を集めたり夢を合成する描写など、さすがスピルバーグって感じで、子供のツボがよくわかってるなと思った。
アクションとかカメラの移動とかカット割りとか、本当に横綱っぽさが半端なかった。
ちなみにこの主人公の優しい巨人‥BFGは「ブリッジ・オブ・スパイ」のあのスパイのおじさんマーク・ライランスが(顔を)演じている。何とも言えん泣き笑いみたいな表情をしていた。

この巨人は、地球の誕生と共に生まれていたり人間の夢を捕まえてコレクションしたり子供達に幸せな夢を見せていたり、巨人といってもただのモンスターみたいな存在ではなく、ちょっとした神とか天使とか妖精とか自然物のメタファーみたいな幻想的な存在なんだな、と思った。
で、BFG以外の子供を喰ってしまう悪い巨人たちもかつてはちゃんとした巨人だったが今は堕落してしまったっぽい。彼らは堕天使みたいなもんか。

悪い巨人たちはソフィーを喰いたがっており「ああ、じゃあBFGとソフィーが力を合わせて悪い巨人たちを倒して終わる感じ?」と想像した。スピルバーグだから残酷に倒すのかもしれん。
だがいつもなら観たい展開だが、すっかりメルヘンチックな気分になってたので血なまぐさい闘いは見たくないな~と思ってたら意外な展開になった。
ソフィーとBFGはイギリス王室の女王陛下に直談判に行って、助けてもらう事になった。
ここまで「ソフィーの見た夢」みたいな幻想的な雰囲気で来てたのに、いきなり国の最高権力者&軍隊という超ド級の超現実と手を組んだのには驚いた。
しかし「ああ、BFGとソフィーが悪巨人倒して終わりか?」と、勝手に想像していたありがちなストーリーに行かず急カーブを切ったので意外性があって面白かった。
だが自分達で悪を倒さず、偉い人にチクって解決って‥。
天才スピルバーグが子供向けに振った時にたまにやる子供騙しモードに入った?
王室での食事シーンは楽しかった。

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この映画はやっぱり、人間と巨人が一緒に飯食ったりするシーンが楽しい。
そういえば巨人の食い物のオバケキュウリの気持ち悪さも絶妙だったな(すげー気持ち悪い中身だったり気持ち悪い音がする)
童心が蘇るわ。幼少時、通っていた小学校のじめじめした図書室でムーミンの原作とかの幻想的な児童書を本気でワクワクしてた思い出のようなものが蘇った。
色々あってハッピーエンドになって、それはいいのだがソフィーはあれでいいのだろうか?いや、ソフィー本人は勿論いいんだろうけどさ。。
定石通りいくなら「BFGと別れて、しかしBFGとの冒険の思い出があるからソフィーは自信を持って行くのだった」的な、水木しげる「テレビくん」みたいなラストが手堅いところだと思うが本作はああいう感じで終わってしまう。
まあ、女王陛下はひょっとしてソフィーの空想で、実は孤児院の院長の事を女王陛下だと空想してるだけかもな、と空想したりした。
ざっくりいうと「読書少女ソフィーがBFGを夢想しながら勇気ある子に成長した話」と思っておくか。。


そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

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オ・ヤサシ巨人BFG (ロアルド・ダールコレクション 11)

オ・ヤサシ巨人BFG (ロアルド・ダールコレクション 11)

  • 作者: ロアルドダール,クェンティンブレイク,Roald Dahl,Quentin Blake,中村妙子
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『ルーム』(2015)/ジャック少年の世界が広がっていく様に感動……する話なんだろうけど前提となる設定が辛すぎて正直ちゃんと観れてないうちに観終わってしまった感じ🏠

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原題:Room 監督: レニー・アブラハムソン  原作:エマ・ドナヒュー『部屋』(2010) 
制作会社:A24 製作国:アイルランド/カナダ  製作国:アイルランド/カナダ 上映時間:118分

 

 

男に誘拐されて7年間ひとつの部屋(小屋)に監禁されている女性ジョイと、その間に生まれて部屋の中しか知らない5歳の息子ジャック。
母子は、部屋からの脱出を計画し実行する。。

というあらすじ。
エグい場面はないものの「7年も監禁されて可哀想‥」という気持ちが強すぎて「ルームは観るのやめとこ」とか思ってたが凄い評判いいから無視できずに気になってたので義務感のような気持ちで観てみた。
去年「クリーピー」を観て大ファンのはずの黒沢清作品なのに好きになれずショックを受けたが後で気付いたが、自分は「監禁」とか「レイプ」とか「強制的にx年間を無駄にさせられる」とかが本当に苦手。特に女性とか子供が‥。全部合わせるとケッチャム原作の「隣の家の少女」とかになるのか?現実の監禁事件とかレイプ事件とか嫌だわ~昔と違ってネット時代だから、海外行って一晩中レイプされて苦しみ抜いて絶命した被害者の女の子のTwitterとかで普通すぎる現代の女の子っぷりをうっかり見てしまったら、もう仕事行くのやめて2日くらいお布団で寝てしまいたくなるほど鬱になる。だから正直悲惨な事件のニュースとか見ても、心を閉ざしてあまり考えないようにしている辛いから
まあ悲惨な事件は誰でも嫌だと思うが。本当に嫌で加齢と共に嫌になってきて出来れば物凄い名作って評判がないかぎり観たくない。
ホラーとかジャンル映画感が強いものだったら、脳を切り替えて悲惨な出来事も全て一つのエンターテイメントの型として消化できるので割と平気だが。要は「本当にあった我々の世界の隣で起きた、我々も考えなきゃいけない悲惨な事件」っぽいものにはあまり触れたくない。ひたすら悲しくなるので

 

まあ実際観てみると、外界に脱出できた後の母子、その心境の変化がメインで、いざ観てみるとそんなに嫌な気分になるものではなかった。
実際にはまだ観てない時期に「まだ観てないけどルームの女性かわいそうっぽいな~」という自分が生み出した「嫌な予感」の方が嫌だったといっても過言ではない。
ジャックの世界観が宇宙が広がっていくかのように広がっていく様と、それと相反するようにママ、ジョイの世界観が監禁されてた小屋サイズに収縮していってしまう。
この辺の場面は、ジョイが街の人とかにもっと判りやすく具体的に辛い扱いを受けたり酷いことを言われたら嫌だな~と観る前は思ってたが、割と上品でウェルメイドな感じで良かった。
とは言え「ジョイの精神は未だにあの絶望ルームの中に囚われたまま」という事を提示する一瞬の回想シーンが終盤に差し込まれた時は胸が傷んだ。これ↓
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ジョイに限らず俺にもそういうものはあるし、誰にでも「個々の中の時がその時期で止まってしまってる」という風景はあるだろう。正直あまり考えたくはない
そこで「ママって実は弱いんだ」と悟ったジャックが、ママを守る決心をしてママを連れてルームに行き、ルームの家具達に別れを告げるところは凄く良かった(ジャックに促されてジョイも別れを告げ、あれで彼女はかなり癒やされたはず)
そしてジャックが後半、レオおじさんと一緒にシリアルを食べたり大好きな犬に会えて友だちになったり挙句の果てにはリアル友達が出来るシーンは観ていてめちゃくちゃ幸せな気分になった。

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まあ、こういう賞レースに食い込みがちなウェルメイドな名作は正直誰が観てもほぼお同じ感想になってしまうので正直他に書くことがない。
とりあえず観なきゃな~という謎の義務感があったのだが観れてスッキリはした
それにしても面白くもクソもない感想になった。まあジャックが世に放たれて良かった。
あとポスターが良いよね。世界が部屋になってるの、今はじめて知ったよ

そんな感じでした

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部屋 上・インサイド (講談社文庫)

部屋 上・インサイド (講談社文庫)

 
部屋 下・アウトサイド (講談社文庫)

部屋 下・アウトサイド (講談社文庫)

 

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『トマホーク ガンマンvs食人族』(2015)/食人族の無音の接近が怖すぎる。他の何にも似てない映画💀

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原題:Bone Tomahawk 監督:S・クレイグ・ザラー
製作国:アメリカ 上映時間:132分

 

 

面白いという噂を聞いたしカート・ラッセルも好きなので観てみたが、実際めちゃくちゃ面白かった。
タイトル通り西部劇+食人族ホラーという感じの映画。
前半の荒野探索が長く、ホラー部分は凄く短いのだが凄くインパクトある。
しかもあまり似てる映画が思いつかない。
無理やり何か他の映画に喩えて言うならイーライ・ロスが超低予算で西部劇版「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」をゴアシーンありで撮った、みたいな感じ?
あまりジャンル映画のお約束に沿って作られてないオンリーワンでオリジナルな感じが良かった。

 


STORY
アメリカの荒野にある小さな田舎町で、複数の住人が忽然と姿を消した。
さらに空き家の納屋で、惨殺された男性の遺体が発見される。
現場の遺留品や遺体の状態から、犯人は言葉を持たず「女は実の母親ですら犯して殺して喰う」という洞窟に住む恐ろしい食人族として恐れられている原住民であることが判明。

市長と同格以上の権限を持っている保安官フランクリンカート・ラッセル)は、片足を骨折している攫われた女医の夫アーサーパトリック・ウィルソン)、老いた副保安官南北戦争でインディアンを殺しまくった経験を持つ武装紳士ブルーダー‥それら4人組のチームを結成し、さらわれた者達を救うために荒野を進んで食人族の棲家である洞窟へと向かう。
そこで彼らを待っていたのは想像を絶する地獄の様に恐ろしい光景だった――

 
冒頭、夜盗の二人組が盗みを行ってると突然音もなく現れた食人族にブッ殺される。
夜ではなく真っ昼間、しかも真正面から出てくる。だが逆光で少年漫画に出てくる未知の敵キャラの様に「真っ黒いだけの人影」が出てきて夜盗を殺す様に、ワクワクが高まった。
次に登場人物達のキャラ紹介が始まり食人族達は当分出てこないが凄く面白い。
中盤、攫われた女医達を救うために4人組が捜索に出かける。
この小旅行でメインキャラ4人の考え方や人となりが更にわかって面白い。
夜、寝ていたら突然知らないメキシコ人2人が近寄って来る。
保安官たちは警戒して銃を向けて、メキシコ人たちの銃を捨てさせる
保安官「よーし、じゃあゆっくりとこっちに向かって歩い‥」バンバンバン!
「こいつらは夜盗」だと確信した武装紳士ブルーダーが勝手に撃ち殺してしまった。
揉める4人。。
次の人の夜、寝ているオドワイヤー氏が物音で目覚めると、、
‥ブルーダー紳士がいきなり野党にブスブスと刺されている!
馬鹿な!いきなり刺されているーっ
仲間は慌てて撃ち殺しブルーダーも軽傷で良かった。
しかし全員の馬は盗まれてしまった。。
最初の夜のメキシコ人たちは夜盗だったのか?それとも無実の者だったのか?
翌日に復讐しに来たやつは前日、無抵抗で殺されたメキシコ人の仲間が復讐に来たのか?それとも最初から夜盗だったのか?全然関係ない奴だったのか?
全てわからない。そこが面白い(まあ、夜盗だろうけど)

 

そして本作はこのように、何かに襲われる時は何の前触れもなくカットが変わると敵が音もなくこちらに猛ダッシュで近寄って来てたり(そいつと目を合うとめっちゃ怖い)あるいは気付いた時は既にブッ刺されてる最中だったりして、めちゃくちゃ怖い!
現実でも、誰かに襲われる時は高まったBGMが流れたりSEが鳴ったりカメラが襲撃者にズームしたりはしない。
その現実のように、本作の襲撃されシーンは何の前触れもなくて気づくと襲われており、臨場感がめちゃくちゃ高い。
後半は、食人族の洞窟に辿り着いて本当の闘いとなる。
ここからが本番でめちゃくちゃ面白いし衝撃的なんだが、まだ観てない人がこの感想で知ってしまうのは勿体ないので書かんとくわ。
「こいつは死ぬかな?」「こいつは生き残るのでは?」という予想も上手い事外されるし、脚本がかなり練られてる。
カート・ラッセルパトリック・ウィルソンのギャラに製作費をつぎ込んでしまったのか映画の前半は歩いたり寝てばかりの渋い映画だが、とにかく起きる出来事やら会話やらがリアルで飽きさせない(そういえば、せっかく持ってる事を強調してたダイナマイトも一回も使わなかった
でも終盤のゴアシーンは何も派手な事が起きない中盤を補って余りあるほど恐ろしい。

 

この映画に限らず、食人族って怖くて嫌いだわ~。
しかし悪人や殺人鬼と違って、食人族は彼らの常識だとされる食人をしてるだけなのでピュアな野蛮人ではあっても邪悪な人間ではない。
だけど文明人の仲間がまるで食材みたいに雑に引きちぎられたり食われたりするとムカ~ッとして「ぶっ殺してやる!野蛮人ども!」と思わせられる。
悪人やゾンビに対して思う感情とは違うムカつきが湧いてくる。
「我々の種が攻撃されてる!何とかしないと」的な本能から来る感情か?
よくわからない
そして次の瞬間に「いや彼らは彼らの常識に乗っ取って行動してるだけで‥」と自分の中の「原住民にも理解ありたい自分」が目を覚ます、そして次の瞬間に「知るか!ブッ殺してやる!なるべく銃器などの近代的な道具でな」と思ってしまう。
食人族系の映画は大体いつもそんな感じで思考が右往左往する。
だけど、この映画の食人族は同情や理解を示す必要がないほど邪悪な食人族として描かれてる感じだった。
〈そういう習慣の異文化の原住民〉なんていう生易しい原住民ではなく「こいつらは根絶やしにしとかないとダメだな。俺らが寝てる時にいつ食われるかわからん」と思ってしまうタイプの食人族。
興味あったら自分で観てほしいので面白い後半について殆ど書けなかった。
それにしても、この映画は怖かった。。
一切理解できない文化を持つ‥犯して殺して喰う以外のコミュニケーションを持たない食人族が、真顔かつ無音で猛ダッシュしてくるのは怖すぎる(裸足なので音がしない)
しかも、この監督はこれが処女作って凄いね。
中盤までは西部劇っぽくて、終盤は一気にジャンル映画っぽくなって、妙に骨太のアメリカ映画っぽく終わる。
とにかく観てほしい

 


そんな感じでした

〈S・クレイグ・ザラー監督作〉
『ブルータル・ジャスティス』(2018)/メル・ギブソン演じる絶滅危惧種の白人初老男性の今はもう誰にも求められてない、時代に取り残された暴力マッチョっぷりが今のジェームズ・ボンドみたいで儚いセクシーさを感じて良かったです🚛 - gock221B

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Bone Tomahawk (2015) - IMDb

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