gock221B

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『ブルータル・ジャスティス』(2018)/メル・ギブソン演じる絶滅危惧種の白人初老男性の今はもう誰にも求められてない、時代に取り残された暴力マッチョっぷりが今のジェームズ・ボンドみたいで儚いセクシーさを感じて良かったです🚛


原題:Dragged Across Concrete 監督&脚本&音楽:S・クレイグ・ザラー 音楽:ジェフ・ヘリオット 製作国:アメリカ、カナダ 上映時間:159分

 

 

S・クレイグ・ザラー監督は、監督脚本だけでなく音楽とかも自分で作って、本当はヒットするような内容の映画いくらでも撮れそうなのに全くヒットしなさそうな自分が撮りたい映画を撮って、映画ファンだけが観てる監督……ということは殆どの人が観ていないという事。だがコンスタントに日本に入ってきてるから生きるためには充分な人気はあるということ……そんな微妙な立ち位置。今現役の監督の中では『コールド・バレット 凍てついた七月』(2014)とかお馴染みの(お馴染みじゃない)ジム・ミックルが一番似てる気がする(だがジム氏はあまりにヒットしない為かドラマの仕事しかしてないっぽい)。他には『ウインド・リバー』(2017)テイラー・シェリダン……は既に大御所化してるから違うか、あとタイ・ウェスト……は日本での知名度は低いが『X エックス』シリーズが大ブレイクしてるから違うか……『バーバリアン』(2022)……も、ちょっと感性が新しいから違うか。
これらの監督作品は暴力が激しすぎて、あと女性が好きがゆえにシビアに女性が死んでしまうという作風が共通してる。一言で言うと『ボトムズ』『ダークライン』〈ハップ&レナード〉シリーズなどが面白い作家ジョー・R・ランズデールの暴力小説をそのまま映画化した感じの人。さっきから日本でマイナーな人を、日本でマイナーな人と比べたりして全く伝わってなさそうなのでやめよう。そもそも、こういう40代後半以上の中年男性「だけ」が好きそうな作品のことを書いても全くアクセスがないので、書いてもあまり意味はない。ただこれが趣味だからやってるだけ。だけど人気サブカルラジオ番組『アフター6ジャンクション2』の宇多丸氏がザラー好きで推してるから比較的、日本の民は観てるかもしれない。
この監督の映画は以前『トマホーク ガンマンvs食人族』(2015)を観ました。よかったです。

ネタバレあり

 

 

 

 

もうすぐ60歳になろうとしているベテランすぎる白人初老刑事ブレット(演:メル・ギブソン)とその相棒であるイタリア系白人トニー(演:: ヴィンス・ヴォーン)は、強引で暴力的な逮捕が原因で6週間の停職処分となった。
ブレットの元相棒たちはとっくに出世しておりブレットの上司の警部(演:ドン・ジョンソン)も、ブレットの不器用さを嘆く。
というかメル・ギブソン演じる主人公ブレットは、どう観てもレイシストやDVで干された、かつての大スター、メル・ギブソンを当て書きしたようなキャラクターにしか見えない。『リーサル・ウェポン』シリーズのリッグスが、あのまんま成長やアップデートせず死なずに初老になったらこうなってただろうなとしか思えないキャラクター。相変わらず顔や全身の、一見かわいいけどよく見たら怖い嫌な顔してるイカつさが凄く良い。カイゼル髭みたいなヒゲも、煙草吸ってたらめちゃくちゃ美味そうに見える。
ブレットは金がなくて治安の悪い地域に住んでいる、元警官の妻は痛め止めを飲まないと料理もできないくらい脚が悪く、娘はもう5回も近所の不良に絡まれており、このままではいずれレイプされてしまいそうだ。
家族のため大金を必要としていたブレットは停職中に麻薬密売人の金を強奪する事を思いつき、キャリアウーマンの恋人と結婚したがっているトニーを誘い、とある犯罪者グループに狙いを定めて監視&尾行する。

出所したばかりの黒人青年ヘンリー(演:トリー・キトルズ)は幼馴染に誘われ、そのブレットが監視している犯罪者グループに加入する。ヘンリーも足が不自由な弟、娼婦の母を抱えており何としても金が欲しい。
しかしブレットが監視し、ヘンリーと幼馴染が参加した犯罪者グループは、自分以外は無感情で殺戮しまくる残忍な男たちだった……。

みたいな話。
この前半・中盤は、彼らの私生活や事情をたっぷり描く。
また、犯罪者グループが後半、強盗する銀行で働いている子持ちの女性(演:ジェニファー・カーペンター)の家庭状況もたっぷり見せる。というかあまりにたっぷりし過ぎていて人によっては退屈だと思いそうな領域に足を踏み入れている。
以前、『トマホーク ガンマンvs食人族』(2015)を観た時も割とそうだったが本作は更に”そんな”傾向が加速している。でも、どうしてもこの間で撮りたいんだろうなというサムシングが伝わってきたので別にこれが良いとも思わないが、逆にこれに文句はなく観ていた(ただし洗濯や料理をしながら……)。
ブレット達が監視していた犯罪者グループは常にマスクをしており、戯れに?コンビニ強盗するが不必要なまでに居合わせ市民を銃殺する。「残酷な人間」というよりも「特に感情を持たない暴力そのものが人の形を取ってるだけ」といった感じで描かれてる。ヘンリー青年と幼馴染以外は割と最後までそんな感じ。『トマホーク ガンマンvs食人族』(2015)の食人族も、本当に只、殺して犯して妊娠させるだけの暴力マシーンとして描かれてたので、本作のヘンリー青年と幼馴染以外の犯罪者グループは只の暴力機構なんだろうなと思った。

 


後半、ヘンリーが臨時雇いされた犯罪者グループは、銀行強盗する。
赤ちゃんが生まれたばかりの銀行ウーマンは、復帰初日だったが巻き込まれて両手をふっ飛ばされ、顔面を撃たれてグチャグチャになって死んだ。
更に人質の殆どは撃たれて死亡もしくは重症となった。
ブレット&トニーは、停職中に違法薬物の売人から金を巻き上げてやろうとだけ思ってたのだが、思いもよらない凄惨な強盗現場に居合わせてしまい、正義の職務と保身と打算で精神がバラバラになりつつ、とりあえず犯罪者グループを追跡する。
犯罪者グループは銀行から拉致した職員の女性にも酷い扱い。ドン引き状態のヘンリー青年と幼馴染は互いに励まし合い乗り切ろうとするが「この様子じゃ逃亡の準備を手伝わされた後、俺等も惨殺されるな」と悟り、反抗。
こうして追ってきた〈停職中のブレット&トニー vs.ヘンリーと幼馴染 vs.無慈悲な犯罪者グループ&哀れな人質の中年女性銀行員〉という三つ巴のラストバトルが起こる。
殺風景な駐車場に停めた二台の車間で殺伐とした撃ち合いしてるだけのシンプルさだが、殆ど全員テンパらず冷静だし先の読めない死闘が観れた。正直、前半~中盤はたっぷりしすぎて半分退屈だったが後半のこの陰惨なラストバトルは文句なく面白かった。

ヘンリーと足の悪いゲーム好きの弟は全編「ショットガンサファリ」というハンティングゲームを意味ありげにプレイしていたので「誰がハンターで誰が獲物か考えろって意味か?」と思った。
全体的に殺伐とした暴力描写とかアメリカの社会やマイノリティについて考えさせようとしてそうな雰囲気といいブラックジョークといい……、故コーマック・マッカーシー原作のコーエン兄弟監督作『ノーカントリー』(2007)や、リドリー・スコットの『悪の法則』(2013)を思わせる映画だった。特に『ノーカントリー』を思わせる内容だったので、あれが好きなら本作も好きかも。
冗長なので死ぬほど好きなわけじゃないが、それでもかなり楽しめた映画でした。
やっぱメル・ギブソンいいですね。「もう誰にも求められてない時代に取り残されたマッチョ暴力刑事」っていうのが、今のジェームズ・ボンドと同じ様なセクシーさを感じました。

 

 

 

 

そんな感じでした
〈S・クレイグ・ザラー監督作〉
『トマホーク ガンマンvs食人族』(2015)/食人族の無音の接近が怖すぎる。他の何にも似てない映画💀 - gock221B

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Dragged Across Concrete (2018) - IMDb

www.youtube.com


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