gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

「ハウスメイド (2010)」思いのほか魅力的な先輩メイドのオバチャンを主役にした方が良かったような‥👩

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原題:하녀 監督:イム・サンス 製作国:韓国 上映時間:107分


何だか凄い名作だと名高い古い韓国映画「下女 (1960)」のリメイク作品らしいが、その「下女」とやらを観てないので比較とかは当然できん。
シークレット・サンシャイン」でしか観たことないが有名な女優さんらしいチョン・ドヨン主演。今回は完全ネタバレスタイル

 

 

Story
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上流階級のメイド
として働くことになったウニチョン・ドヨン)。
先輩メイドビョンシクユン・ヨジョン)の下、家事全般と妊娠中の妻ヘライ・ジョンジェと6歳の優しい娘ナミアン・ソヒョン)の世話を懸命にこなしていく。
そんなある日、主人のフンイ・ジョンジェと肉体関係を持って妊娠してしまうウニ。
そんな彼女の異変をいち早く察知したビョンシクは、それをヘラの母親パク・チヨン)に報告。
いつしか屋敷の中には女たちの憎しみが渦巻いていく――

 

 

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チョン・ドヨン演じる主人公ウニは、よく居そうな普通の女性。
めちゃくちゃ綺麗な身体だし基本的には美人なのだが、たまにいとうあさこそっくりにも見える。だけど美人妻が「あんな女のどこが!」と怒りやすいように、わざと庶民っぽく見えるよう、どスッピンぽかったり逆に化粧したらケバくなったりと「少し性的だけどパッとしない女性」っぽさを出そうとしている(こんな説明をしたが別にいとうあさこを貶めてるわけではない事を一応書いておく)
メイドになる前は大柄の女友達と一緒に住んでいた。よくわからんが少し浮世離れした雰囲気だし多分フリーターとか無職だったのでは?
彼女は良く言えば純粋、60歳くらいのメイド長ビョンシク(以下オバチャン)やお屋敷の妻の母に言わせれば「バカな娘」。
ウニがもし現代の日本人だったら西東京(できれば中央線)に住んでそうなフワフワした女。
基本的には優しいがそれはキャプテン・アメリカ的な「正しさも兼ね備えた堅い心優しさ」ではなく、欲のなさから来る消去法としての優しさ(ちなみに僕も同じ種類の曖昧な優しさを持った小物です)
そういう意味での「普通の女性」(関係ないが僕が付き合う女性や友達も大抵こういうタイプ)
よく言えば天真爛漫、悪く言えば少し抜けたおバカ‥という感じで、パンツ丸出しで風呂掃除したり野ションベンしたりと若干、田舎の童女っぽい振る舞い。もし豪華なホテルに泊まれば真っ先にベッドの上で飛び跳ねそうな女。そういう意味では同性には嫌われるが男好きするタイプ。掴みどころがないがかと言って不思議ちゃんでもなければ物凄い天然とかバカってわけでもない。
やはりオバチャンが言うように「欲がない娘」という言い方が丁度いい。

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彼女は若い時の東野幸治みたいなサイコパスっぽい雰囲気の旦那様に誘われ、数秒くらいは驚いてたが特に抵抗もしないのを見た旦那は行けると思い「しゃぶれ」と大きく出た。するとウニも「この匂い好きぃ!」とか言って旦那の股間に顔を埋めるではないか。旦那はしゃぶらせながら興奮してきたのかアゴをしゃくらせながら腹筋をバキバキにしつつマッスルポーズでパンプアップ!
思わず「この男、こんな事が楽しいのか‥」と憐れになった。
旦那の愛撫の仕方も「最初っから女の乳首や股間をササッ‥サササッ‥と触る」というもので「この男は今まで即物的なSEXしかしてこなかったんだな」と思わせるほどSEXが下手。ちなみに妻とやる時も寝ながらワイングラスを回転させて跨った妻が腰をうねらせているという退屈なSEXだった。
そんなこんなで何度か関係を持ったようで、それをオバチャンが「家政婦は見た!」よろしく「はぁ‥何やってんの」という感じで見て見ぬふりをする。
オバチャンは、ウニ本人も気づいていない彼女の体調の変化から妊娠を確信し、とりあえず奥方のオカン(凄い美人なのでオカンだと思わなかった)に報告。これは悪意から来るチクリではなく自分の職場が近い将来混乱すると自分が困るから保険としてのチクリって感じだろう。
オカンは事故を装って、脚立に乗っていたウニを落下させ流産を狙う。
‥このオバハンめちゃくちゃするやん!
結果的には流産しなかったしウニ本人も妊娠に気付いてしまう。
妻とオカンは金を掴ませてウニに円満退職してもらおうとするが、ウニは了解せず退職もしないので、妻がウニがいつも飲んでるウィダー・イン・ゼリー的な食物を、毒性のあるものにすり替え、ウニは流産する(同時に旦那もやっと全てを察知する)

 

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先輩メイドのビョンシク通称オバチャン。
最近息子が刑事になったという彼女は何十年もメイドをしていたらしいが、この嫌味な家族の事は当然好いてはいない。そしてイライラした若妻に八つ当たりされたら「あの小娘‥イラつく!イラつく!」と下着姿になってふて寝する。初老の女性の下着姿を見て、まるで母親や親戚の半裸を見たかのような気まずい気分になったが、同時にこのオバチャンのことを段々好きになってくる。
そして「ほんと、バカな娘‥」と言いつつウニから目を話せなくなったオバチャンは徐々にアニメに出てくる素直になれない系美少女的なツンデレ優しさをウニに対して発揮し始め、ウニが流産した時には自分もこの家族の道具に成り下がっていたことを心から反省し(この時のオバチャンの顔の演技が凄い!オバチャンの目が数倍大きくなったように見えた)、最終的には「ハッ!虐げられたウニの痛みは私の痛みでもあったんや!」と大事なことに気付いて完全に彼女の側に立ってクソ一族に背を向ける。
そんな終盤はもうオバチャンの虜だ。

 

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オカンは傷ついた娘に「憎むのはあの女(ウニ)にしなさい。旦那様を恨んではダメよ」と言う。何故ならばクソ野郎の旦那の横暴に耐えて家の女王として君臨すれば後からやりたい放題だからだ。「私のお母様も、金持ちに嫁いだ女は筆舌に尽くしがたい屈辱を味わう。それに耐えれば私たちの天下よ」と言う。
ちなみに直接的な加害者は若妻とその美人のオカンなんだが、妊娠と流産のくだりが旦那にバレるとオカンは旦那に呼び出されて尋問される。
旦那は「何と酷いことを‥あんたらは私の子供を殺したんだ!」と怒るので「あれ?旦那ひょっとしてウニと死んだ胎児を憐れむ優しさがあったのか?」と驚いていたら
旦那は「私の子供を産めるのはアンタの娘だけとでも?」と言い、
オカンは「イイエ‥違うわ‥」と言う。加害者の女たちもまた旦那の‥というか男性優位社会の被害者に過ぎなかった。ちなみに、なぜ妻本人は呼び出さずオカンにだけ言ったというと、こんな感じに言いたい放題してしまうと残りの人生でSEXしたり共に暮らすのが気まずくなって楽しくないから。「お義母さんの方で娘を私の支配下に置いといてください」という事だろう。
ところで映画の冒頭では若い女が飛び降り自殺するところから始まる。
そしてオバチャンはウニに対して「この家の者は恐ろしいから」としきりに言うので、「あの自殺した女はこの屋敷でウニと同じ様に物として扱われた女なのか?」と思った。もしくは現代韓国の階級社会を現したらしい本作として「ウニみたいな気の毒な女はいっぱいいるのだ」という匂わせなのか、どっちかわからない。まぁどちらでも意味は同じなのでどっちでもいいか。。

 

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この家族の中でウニを人間扱いしていたのは優しい長女ヨナだけだった。
ヨナは「おばあちゃんが貴女を突き落としてごめんなさい」と真実を告げ、ウニは大柄の女友達の家で「イラつく‥イラつく‥笑」とオバチャン同様、家族への復讐心が鎌首をもたげてくる。
この終盤のウニは終始半笑いなのが怖い。
最終的にオバチャンは家族に反旗を翻し、ウニは自滅的な復讐を遂げる。
ここが評価の分かれるところで、現実的に考えると自分自身をなげうって、反省などするわけない夫婦と義母への当てつけで自滅するほどの価値はない。
このクライマックスを観た最初の数秒間は「どうせ自滅するなら夫婦とオカンもブチ殺して、良い子のヨナはオバチャンが育てればいいんじゃ」とか一瞬思ったが、まぁ当然そのままそんな展開が繰り広げられたところで面白くもなんともない。
ところで、この自滅シーンは不自然すぎて笑えるほどド派手な事になるので「あぁ、これは現実的に考えるんじゃなくて、もっと『寓話的に捉えてくれ』って事ね」と受け取った。
それにしても紐はともかくウニが発火の準備してるようには見えなかった上に数秒で炎上したので「ウニはX-MEN的な女性?」と思った。
それに夫婦とババアをブチ殺してしまったら「ウニ=自分にだけは優しかった両親を殺した殺人メイド」として優しいヨナの記憶に残ってしまう。
ウニとしては「両親と祖母が酷いことをした、優しく可哀想だったウニおばさん」という印象をヨナに見せつける必要があったのだろう。
ヨナがウニの霊を見るラストシーンを見るにつけ、ヨナはウニの永遠の呪いに完全にかかった(もしくは家族の中で唯一、正気を持ったままの人間になった)
ヨナって名前は当然「ヨナ書」のヨナから来てるんだろうし、この御家は将来ヨナの手によって潰される、もしくは両親とババアの望まぬ形で改新されてしまう事は確定だろう。
だけど、いくら寓話的だとフィクションラインを下げて見たとしてもウニの復讐はちょっと無理ありますね。。ウニのリターンがなさすぎるし。「韓国は階級社会」と言っても現代ならもっと復讐の方法はあったと思うし、それならもっと時代設定を「主人に近づく方法がないし、自死以外には復讐手段がない!」って感じの中世とかが舞台ならもっと自然に観れたかもしれない。
「貧者は金持ちに踏みつけにされる階級社会」というテーマと「ウニは自分がやられたように、この家に致命傷となる毒を呑ませた」という匂わせラストが大事なので、本作を観てスッキリしないのは構わないんだけど、ラストがもう少しだけあり得るものだったら名作になったような惜しさがある。
もしくは善性に目覚めてポジティブな行動を取るオバチャンを主人公にして「家政婦は見た!」的な映画にした方が良かったかもしれない。
‥とは言え本作を観た今はオバチャンのこと好きだが超ミニスカのチョン・ドヨンじゃなくて、このオバチャンがポスターやジェケにバーン!と鎮座ましましている映画を観たいか?と訊かれたら多分観ないだろうからコレで良かったのかもしれない。
名作、傑作の類じゃないし一回観れば充分だけど、歪で面白い映画ではありました。
それにしても奥様がウニに酷い事をする以前から、ウニが奥方に対して「貴女の旦那と不倫してすみません」と思ったり態度に出したことが一回もなかった事に今気付いて可笑しくなった。

 

そんな感じでした

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『スノーピアサー』(2013)/楽しかったがポン・ジュノの良さがアメリカナイズドで薄くなってた気もする🚃

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原題:Snowpiercer 監督&脚本&原案:ポン・ジュノ 制作:パク・チャヌク
原作:ジャン=マルク・ロシェット、ジャック・ロブ 『Le Transperceneige』(1982)
製作国:韓国/アメリカ/フランス 上映時間:125分

 

 

 

かつて、レンタルビデオ店というシステムがあった頃、僕も御多分に漏れず、とある有名だった顧客の個人情報を横流ししていたレンタルDVD屋Tの会員になっていた(今思えばツタヤの「年一回の更新料」ってあれは一体何だったんだ?)
そこで本作も借りてたんだが「やばい!返却日だ」って事で冒頭だけ観て返却してしまった。それで本作冒頭の暗く狭苦しい列車内の印象が付いて「スノーピアサーはまぁいいか‥」と思ってる間に存在を忘れてしまっていた今日この頃、久々に韓国映画を観てるうちに本作がHuluで配信されてるのを観つけたので観た。

 

 

 

Story
人類は地球温暖化を食い止めるため人工冷却物質を散布するが、それは予想外の結果を招き、地球は第二の氷河期に突入してしまう。
17年後の2031年、〈スノーピアサー〉と呼ばれる氷や雪を粉砕して直進する列車の中で生活する乗客たちだけが最後の人類となっていた。
その列車は永久機関のエンジンを積み、1度も止まることなく1年をかけて地球を1周する〈走る箱舟〉。
その前方車両では富裕層が優雅に暮らす一方、後方車両に押し込められた貧困層は、未だ劣悪な環境で苦難の日々を送っていた。
そんな中、最後尾に乗るカーティスクリス・エヴァンス)が革命を起こし、反乱軍を率いて前方車両へと侵攻していくが――

 

 


↑そんな、わかりやすいあらすじ‥これが全て。
前方車両は富裕層。一番先頭はラスボスであるスノーピアサー開発者と永久エンジンが存在する。前方は富裕層が贅沢な暮らしをしていて、中間部では食料などを作っている。そして最後尾には汚いナリの貧困層が憤懣やるかたない表情でいる。
これ以上ないほど分かりやすい‥分かりやすすぎる現世の縮図。
僕らは当然、最後尾でプロテインバーを食っている貧困層
特技を持った者や子供たちは前方車両に連れ去られてしまい、逆らおうものなら手を列車の外気で凍らされて粉砕される四肢粉砕の刑が待っている。
あまりに一目瞭然の分かりやすい設定なので小学校で上映してほしいくらいだ。
過去に、二回くらい反乱を起こしたようだが失敗に終わっている。
その何度かの反乱があったおかげで「スノーピアサー警察の銃弾は殆ど残っていないだろう」と当たりをつけ、クリス・エヴァンス演じる貧困層リーダーは反乱を企てる。
そのために全ての扉を開けることの出来るソン・ガンホ演じるエンジニアの男と、「グエムル -漢江の怪物-」でグエムルに攫われてた子役が演じる少女による父娘を仲間にして進む。
ちなみに貧困層が毎食食わされていた焦げ茶色の羊羹みたいなプロテインバーは、気持ち悪い虫をグシャグシャにして固めたものだった。
気持ち悪いしまずそうだが栄養は満点だな。。
将来、食糧難になった時、昆虫食は売られるかもしれない。俺としては味が良くて虫の形してなければ別にOKだ。今だってファストフードやチルド食品が何で出来てるかなんかわかったもんじゃないし栄養あってうまければ何でもいい。
反乱と言っても、武器もなく前と後ろしかない世界なので、とにかく人海戦術で仲間が殺されようがどんどんこちらも殺していって前へ前へと殴り込みをかけるのみ、という単純な戦法しか無い。
扉が開いている時に、用意していた巨大なパイプを突っ込んで閉じられなくしてスノーピアサーのオマワリどもをぶっ殺していく。殺せ殺せ!
そして「スノーピアサー警察の銃弾は殆ど無い」という読みは当たっていたようで、警察たちは手斧を持って斬りかかってくる。
クリス・エヴァンス人海戦術&機転を利かせた戦術で多くの仲間を失いながら辛勝。
ティルダ・スウィントン演じる警備部主任っぽい女を捕える。
ティルダ・スウィントンは「オクジャ」でも演じていた「出っ歯の体制側のオバサン」を演じている。美しい女性の役ばかりしてきたせいか「不細工なオバサン」を喜々として演じている。「オクジャ」での出っ歯オバサンは最強だったが本作の出っ歯オバサンはあまり強くない。

 

 


中盤は、スノーピアサー中間部を突破していく。
水道局、植物園、水族館などがあり、画面には出てこないが鶏や牛を育ててる場所もあるっぽい。子供たちを教育する教育機関もある。
水族館には寿司バーがあり黒人の板さんが握ってくれる(ここで、わざわざ板さん役に黒人俳優を配してるあたりポン・ジュノのユーモアセンスを感じた)
物語が弛緩しそうになるとスノーピアサーの白人ヒットマンが投入され襲ってくる。
長ーいスノーピアサーの車体を利用して、カーブを通行中に後方車両から中間車両を狙ったりして飽きさせない。
この白人ヒットマンターミネーター並みに頑丈で何度か刺したくらいでは死なず、かなりキャラが強かった。
本作のクリス・エヴァンスキャプテン・アメリカではなく、ただのホームレス同然なのでヒットマンにかなり苦戦する。
そうこうしてる間に前方車両の富裕層ゾーンに突入、着飾った人達がプールに浸かっていたりサウナに入ってたりバーで飲んでいたり、この世界にある揮発性の粘土みたいな薬物できまっていたりする。
ここだけじゃなくスノーピアサー全体に言えるのだが、幾ら永久機関を積んでて長い車体とはいえ「ちょっと無理ない?」というギミックがめちゃくちゃ多い。
だけど、このスノーピアサーとは、まぁ現世の縮図なので細かい事には目を瞑って楽しむのが吉だ。
閉鎖されたディストピア空間、体制側が子供や市民をクラシックな雰囲気で映像で教育していたり新年や祝い事がやたら決められていて不気味な明るさで祝う‥だけど貧民は虐殺‥などの総合的な雰囲気がゲームの「バイオショック」の雰囲気にちょっと似てるなと思った。

 

 


そんな感じで苦労して先頭車両の直前に到着。
ドアの先にはスノーピアサー開発者にしてこの世界の神と言えるウィルフォードが待つ。
ここでクリス・エヴァンス演じる主人公の過去の独白が始まる。
かなり勢いがここで途切れてしまうが、まぁこんな感じでしょう‥と思ってるとウィルフォードとの接見が始まる。
ここでウィルフォードが、この手のSFのラストにふさわしくスノーピアサーの秘密について大演説が始める。
まぁ‥理には叶ってるが結構無理めな秘密。しかもそれほど驚きでもない内容だし、この後半までの疾走感が大演説2連発でかなり落ちてしまった。
そうこうしてるうちにクライマックスに突入するのだが、各人の行動が、何というか‥あらかじめ決められた結末のためにわざとそうしてるかのような強引なクライマックスだと感じた。
富裕層ゾーンに来るまでのアクションや色んなギミックは面白かったし全体的にも面白い映画に入ると思うし最後まで変なところはなく理には叶ってるんだが‥何だか終盤テンション落ちる感じがポン・ジュノっぽくないなぁと思いました。
こちらとしては「ポン・ジュノの映画」という時点で「物凄い映画」と「凄い終わり方」を期待してしまうので「あれ?本当はもっと凄い映画になるはずだったのでは‥?」と思ってしまう感じがありました。大作だし奇抜な設定ではあるのだが映画が終わってみるとポン・ジュノ作品の中で最も凡庸な映画に思えました。
勝手な推測だがアメリカやフランスの制作が入ってるから、ポン・ジュノは今まで通りの采配が出来なかったのではないだろうか?
だがこの数年後に撮った「オクジャ」は凄くポン・ジュノっぽい名作だったので、きっと本作の現場での経験を元にして成功したのではないだろうか。
全部僕の想像ですがね。。だが観客&視聴者は出来上がった作品(結末)を観て判断するしかないのだ。

 

 


そんな感じでした

「オクジャ / okja (2017)」今まで千回くらい作られた凡庸ストーリーそのままで傑作になってるのが凄い🐷 - gock221B
「パラサイト 半地下の家族 (2019)」想像通りの事が起きるが常に少しその上を行き続けるのが良かったです🏠 - gock221B

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Snowpiercer (2013) - IMDb

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Le Transperceneige

Le Transperceneige

  • メディア: ペーパーバック
 

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「オクジャ / okja (2017)」子供向けアニメっぽい話が始めるが終わりの方では何なんこの話‥と不思議な気分にさせられる🐷

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原題:Okja/옥자 監督&脚本:ポン・ジュノ 製作総指揮:ブラッド・ピットほか
製作国 アメリカ/韓国 配信時間:120分 配信局:Netflix

 

 

 

最近、久々に韓国映画観たらめっちゃ面白くて、そういえば何年も観てなかったなと思って、その間未見だったやつを全部観ることにした。
ポン・ジュノの映画は「殺人の追憶」の時から普通に好きで「母なる証明」まで全部観てたがそっから観てなかったので本作と「スノーピアサー」観ることにした。
本作はネトフリで話題になってたが「うーん、子供と動物のふれあいかぁ‥」と食指が伸びなかった。ポン・ジュノなので面白いに決まってたのだが一番興味ないあらすじだ。。
カンヌにノミネートもされたが、審査委員長が「劇場公開しない映画はカンヌにふさわしくない」と言って物議を醸して謝罪してた。
殆どネタバレしてます

 

 

 

Story
韓国の山間の家で祖父と暮らす少女ミジャ(アン・ソヒョン)は共に育った大切な存在、新種の巨大豚〈スーパーピッグ〉のオクジャと平穏な毎日を送っていた。
ある日、多国籍企業ミランド社が来てオクジャをニューヨークに連れ去ってしまう。
CEOのルーシー・ミランティルダ・スウィントン)が、ある計画のためにオクジャを利用しようとしているのだ。
ミランド社はミジャの祖父にスーパーピッグを預けて育てさせ、成長したので金品と引き換えに返してもらっただけなのだが、それが理解できないミジャは
連れ去られたオクジャの後を追ってNYへと旅立った。
ミジャは
ジェイポール・ダノ)と、彼が率いる動物解放前線ALFと共闘して、オクジャを自由にするため奔走するが―― 

 

 

 
「きっと面白いんだろうけど‥」と思いつつ、最初に言ったように「自然の中に住む子供の元から希少動物が連れ去られて、子供がその動物を助けるために奔走する」‥という、映画やアニメ‥特に昭和のどうでもいいアニメの中で死ぬほど擦り倒され、それでいてそのほぼ全てつまらなかったストーリーなので、さすがの天才ポン・ジュノといえど観る気が起きず放置していた‥だが、観てみると実際その想像通りの凡庸なストーリーのままなのにめちゃくちゃ面白いので驚いた。
あらすじを聞いて誰もが「最後こうなるかな?」と想像するそのままのラストが訪れるのだが、それなのに凄く面白かった。「この凡庸なあらすじで、ポン・ジュノ氏はどう捻りを入れて傑作にしたのか?」という点が見どころだ。
まず最初にオクジャが全然可愛くないのが良かった。
外見はカバを可愛くなくした感じなんだけど遺伝子組換えのスーパーピッグ‥ってことで後から「豚」だとわかった。豚って‥特に子豚はルックス結構カワイイじゃないですか。だけどオクジャはあまり可愛くない。可愛くなくもないのだが犬や猫のようなモロな可愛さではなく、太ったオジサンのように「見ようによっては可愛い」程度だ。カバみたいなルックスって事は、割と可愛い豚が持ってる可愛い要素をわざわざ剥ぎ取ってるんですよね。
で、オクジャはケツの肉とかダルンダルンで「食用家畜感」が凄いんですよね。観てるうちに「背中の肉でしゃぶしゃぶにしてポン酢醤油につけたら結構うまそうだな‥」と思えてきました(今オクジャしゃぶしゃぶについて書いてるだけで唾液が分泌されました)
だけど、お互い幼い時から共に育った少女ミジャにとっては、オクジャはかけがえのない親友なわけです。

 

 


そして悪‥とされているティルダ・スウィントン演じるミランダ社CEOのルーシー。彼女はキラキラ系女子大生がそのまま中年になったようなキャラ。ファッションも薄いピンクが基調。
彼女は、血も涙もないCEOではなく仕事をしてるだけで、オクジャのことは商品としか思ってないがミジャを気遣う余地は一応ある。
ルーシーは、契約して育ててもらってた農家からスーパーピッグを返してもらった(しかもオクジャは素晴らしいスーパーピッグだったので純金の塊もくれていた)だけなので別にそれほど悪いことしてたわけじゃないんですよね。
まぁ悪い事を挙げるとしたら「遺伝子組換の豚」であることを隠して「新種の豚が見つかった!」と嘘の宣伝をした事くらいなんですよね。強制交尾とか屠殺や解体は‥まぁスーパーピッグたちには気の毒だが我々が豚や牛や鶏にやってる事と変わりませんよね(だけど終盤、スーパーピッグたちのIQが妙に高い事がわかるので可哀想になるけど)
で、ミジャのじいさんがミジャに対して「将来、オクジャは連れて行かれるんだよ」と言い含めてなかったがために起きた事件という感じです。
だから「ミランダ社の虚偽の宣伝」「ミジャのジジイの気の利かなさ」が生んだ事件と言えます。
終盤、ルーシーはミジャたちに敗北し、ティルダ・スウィントン一人二役で演じるルーシーの姉と入れ替わります。
この姉は甘さのあるルーシーと違って冷酷な経営者。
ガンダムダンバインエルガイムなどのサンライズ富野ロボットアニメのように、ティルダ・スウィントンは乗り換えイベントで後期型ミランド姉に乗り換えるのです。
ちなみに後期型ミランドこと姉は「スノーピアサー」におけるティルダ・スウィントンが演じた悪役同様「出っ歯の体制側オバサン」と似たキャラだ。前期型ミランドことルーシーはよく見たら歯の矯正をしてるっぽいので本当は出っ歯だったんだろう。
どういうわけかポン・ジュノアメリSF映画では、ティルダ・スウィントンの歯が出てれば出てるほど強キャラになるらしい。

 

 


ポール・ダノはALF(動物解放前線)のリーダー役。
この動物解放過激派集団は実在する組織だそうです。実際のALFはどういうものかは知らないけど劇中に出てくる彼らは家畜や動物園の動物などの気の毒な動物を、テロリスト顔負けのハイテク装備で逃がしている組織のようだ。
だけど「人間も動物の内のひとつ」という考えなので、作戦実行の際に出来るだけ体制側の人間をも傷つけないようにしてました。
確かに殺される動物から見ればヒーローだが‥食肉問題‥一体どうなんだろう、、とか考えだすとすぐには答えが出ない大きな話になってしまうので、家畜問題やALFについては一時的に思考停止して話を進めよう。
昔は「変わった役やりたがりのサブカル演劇青年だなぁ」くらいにしか思ってなかったけど最近、いつまでも自分を変えないポール・ダノを見るとカッコいいと思うようになってきた。多くのアメリカ人俳優がマッチョになっていく中、一人だけ痩せっぽちなままなので「ガリガリポール・ダノの方が、マッチョ達よりも精神的な筋肉が付いてんじゃないか?」とすら思えてきて、ついでに「マッチョよりガリガリもしくはブヨブヨの、あるがままの体型の方がカッコいいかも」と思ってる最近です。
話を戻しますが他のALFのメンバーは、環境を考えるがあまりトマトを食うことも躊躇して倒れそうなメンバーとか、任務を優先するあまりALFの掟を破って破門されるメンバーとかいた。破門メンの伏線は回収されるが餓死しそうメンはどうなったんだろ?彼が何か食う場面が欲しかったな。
活動内容の是非は置いといて、ポール・ダノのかっこよさ、そしてアナーキーな活動内容と近代的装備で楽しそうに活動してる彼らを見てると、自分がもし若い時に誘われたら動物の事どうでも良くても楽しそうだから入るだろうな。と思いました。

 

 


そんな感じで「本当は食用家畜だったオクジャをペットとしか認識してないミジャ」と「スーパーピッグたちを開放したいALF」が手を組んで「スーパーピッグを食用品に加工して売りたいミランド社」と闘うという構図。
で、話は最初に戻るが冒頭(ここまでのブログの文章は冒頭の話をする前に脱線しただけに過ぎない)韓国の山で暮らすミジャ達の元に、ジェイク・ギレンホール演じる動物学者が訪ねてきてオクジャを連れ去る、キレたミジャは貯金と純金製のスーパーピッグ像を懐に入れてNYまで飛ぶ。
このミジャがNYに行くまでの冒頭が、観る前に「あまり面白くなさそうだなぁ」と思ってた通りの進行だったので不安だったが、道中のくだりカットしてミランド社に着いたミジャがガラスをぶち破って都会にビビって暴走するオクジャを追いかけ‥、子供ミジャと巨大豚がジブリアニメのように街を立体的に爆走し、チェイスする様がめちゃくちゃ面白かった。
ミジャは本当にただのアジアの田舎の子供然としてるので、こんなジャッキー・チェン的なアクションするとは思ってなかったので凄く意表を突かれた。
誰がどこを走ってどうなってるか分かりやすい構図もバッチリだし、途中でALFとミジャが初対面にして電撃的に手を組む展開も瑞々しいし、アクションが終わったらこけたりぶつけたりした影響でかミジャの顔面が腫れ上がってるのも良かった。‥このミジャの顔が腫れたとこを観て「今のアメリカ大作映画で子供がアクションして怪我して血を流したり顔が腫れるなんてありえないからNetflixだからこそできた描写だろう」と思ったので、今まで観たNetflixオリジナル作品の中で、初めて「Netflix入ってよかったな」と思えました。そして「子供とカバか‥」と放置してたのを後悔した。
ポン・ジュノ監督はジブリ作品っぽくしたかったらしく、ミジャとオクジャのチェイスは確かにジブリっぽかった。
そんな感じで全く興味なかったストーリーに強引に引き込まれたわけだが色々あって、ALFの作戦に乗ったミジャは、ミランド妹とジェイク・ギレンホールには勝利するものの、強者の証の出っ歯を装備した後期型ミランドことミランド姉のリアリズムと屠殺工場という一度動き出すとスーパーピッグをジャーキーにするまで止められない装置によって敗北寸前まで追い込まれる。
またこの工場内が凄くて、オクジャと殆ど同じ見た目のスーパーピッグが思いっきりバラバラにされたり屠殺銃で頭を撃ち抜かれたりして屠殺されている。悲しそうなスーパーピッグたち‥というか見た目同じなので無数のオクジャがぶっ殺されてるという光景。
だけど僕らが普段食っている、めちゃくちゃうまくて今後も永遠に喰いたいと思ってる牛や豚もこうやって死んでるわけで‥と、複雑な気持ちになりつつも今「牛や豚の屠殺」と書いただけで可哀想さより唾液が分泌されましたからね。
総合して、人間としての業を感じずにいられませんでしたね。
そしてミジャがオクジャを救う方法も誠実で良かったし(「ホステル2」と全く同じ)
続編を、作ろうと思えば作れるやり方で終わってましたね。

 

 


そんな感じで観る前は期待してなかったけど凄く良かったですね。。というかポン・ジュノの映画って「ここが良くなかったなぁ」って部分が殆どなくないですか?まぁ個人的な好き嫌いもあるだろうが、凄い映画的テクニックを披露する時もドヤ顔じゃなくて、すっ‥と自然にやるしめちゃくちゃカッコいい監督だなと思い出しました。
そんな風にさりげなく凄いことをする感じがポン・ジュノ=ミジャ=本作と3つともそうなのでそれが三位一体となって重なって本当に良いなと思った。
あと何度か言ったようにオクジャがあまり可愛くないのが凄く良い。
Netflixオリジナル映画って、たくさん観たけど「駄作はないけど傑作も一本もない、全ての作品が60点」ってイメージで「やっぱTV映画はこんなもんか」と思ってたけど本作はNetflixオリジナル映画の中で初めて傑作だと思いました。

 

 

 

そんな感じでした

「スノーピアサー (2013)」ポン・ジュノ/終盤までは楽しかったがラストがこの監督にしては凡庸なような‥🚃 - gock221B

「パラサイト 半地下の家族 (2019)」想像通りの事が起きるが常に少しその上を行き続けるのが良かったです🏠 - gock221B

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Okja (2017) - IMDb

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「哀しき獣 (2010)」めっちゃ面白かったが、この監督が謎を作る時はわざと複雑にしてる感じしますね‥🚤

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原題:황해 監督&脚本:ナ・ホンジン 製作国:韓国 上映時間:140分

 

以前観たこの監督のデビュー作「チェイサー」も、先日観た三作目「哭声/コクソン」も面白かったので、未見だった二作目のコレも観た。
何か公開時に映画好きの人の間でめちゃくちゃ話題になり過ぎてて、映画好きの人が興奮して瞳孔バキバキにしてオススメして来る時ほど、観る気が失せるものはないもので、そのクサみが脱臭されるまで放置してるうちに本作の存在を忘れてたが、Netflixにあったので存在を思い出して観た。すると実際めちゃくちゃ面白かった。
そういう事は凄く多いので僕は自分がオススメする時は、平熱で、その話し相手が好きそうなものや好きそうなポイントだけ薦めるようにしている(そして薦めた事はその瞬間以来忘れてしまうのが吉だ。オススメとは薦めた時点で達成だ。相手が実際に観ることを期待してはいけない)

 

 

Story
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北朝鮮、中国、ロシアに国境を接する中国領“延辺朝鮮族自治州
ここに暮らす韓国系中国人グナム(ハ・ジョンウ)。
生活は苦しく、韓国に出稼ぎに行った妻からの仕送りはおろか音信も途絶えた。
妻を韓国に送り出すために作った借金、賭け麻雀での負けも込み窮地に陥る。
そんな時、裏社会の顔役ミョンさん(キム・ユンソク)から「韓国で一人の男を殺害すれば借金を棒引きにしてやる」という取引きを持ち掛けられる。
選択の余地のないグナムは、妻に会える事も期待して取引を受け入れ、黄海を渡り韓国への密入国を果たすのだが――

 

 

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「チェイサー」主演2人が本作でも主演した。主人公グナムは別人過ぎてわからなかった。ミョンはチェイサーの主人公。
中国の朝鮮族自治州とかいう聞き慣れない地域。詳しいことはよく分からんがここでも「朝鮮族が!」と下に見られてる朝鮮族の男グナム。映画冒頭で子供の頃飼ってた犬が狂犬病になった思い出のモノローグ(もちろん狂犬の話は本作における朝鮮族の男たちの事を指している)
グナムの妻は借金して作った金で韓国に出稼ぎに行ったが、仕送りも連絡もなく「韓国で男ができたからもう帰ってこない」と噂されている。グナムは借金を抱え、愛する娘は母に預けて勝つあてのない麻雀をしている。
そんなグナムに目をつけたヤクザのミョンは彼を暗殺者としてスカウトする。
韓国に行き、ある男を殺してくれば借金を棒引きしてくれると言う。
その際に、ミョンはグナムを評してこう言う。
ミョン「おかしな奴だ。気は荒いのにヤクザじゃないし、やられてばっかりなのに、ちっとも惨めじゃない。不思議だ
何気に、言われたら一番嬉しい人物評かもしれないな、と思った。
一言で言うと「お前はまだ爪を隠している未知数の男だ」と言ってるようなものだ。
しかもそれを山路和弘のカッコいい吹き替えで言うし、このミョンは不思議な男で裏社会の顔役らしいが一切偉ぶる様子がなく実際は凶暴な男なのだが、この時点では普通の良いオッサンに見える。
荒々しい地域なので観てても「いったい何時の時代かわからないな」と思っていたが、密航船で原題になっている黄海を渡って韓国に着くと、スマホとか出てくるから現代だとわかった。

 

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韓国に到着したグナムは、暗殺するターゲットの男‥太った教授を探る。
教授が帰宅する時間や、彼が持ちビルのシャッターを降ろす時間などを数日かけてチェックする。
それと並行してだったか、後だったか忘れたが出稼ぎに出て消息不明になった自分の妻の行方も探る。
この探偵パートが凄く面白い。グナムが食う如何にも韓国っぽい飯や、コンビニで食う辛ラーメンとかソーセージとか、チクワとか、ふかし芋とかがあまりにも美味そう。
張り込み中に吸う煙草すらうまそうだ(というか張り込みシーンで口にするものは大抵うまそうに見えるからな)
だが中盤でミョン一派が食う牛足みたいなのは、ただ茹でただけに見えて味が薄そうでうまそうに見えない。どんな味なんだろ。
食ってるグナムの唇もカッサカサで妙に白いし、このグナムに母性本能をくすぐられて食わせたくなる女性も一定数いそうだ。
暗殺ターゲットの男が、グナムをホームレスだと思って金くれたりと意外と良い人っぽいところも良い。そんな中、グナムとは別口の暗殺者も来て教授と相討ちになる。グナムは暗殺した証拠として持ち帰るよう言われた死んだ教授の親指を切り取るが、警察隊が到着。ビルを取り囲まれる。そして学校の1クラス分くらいの警官隊に追いかけられる!しかも警官隊がグナムを追いかけてるのグナムに手を届きそうな距離で追いかけてる。「こりゃ逃げるの絶対無理だろ‥」って感じなのだが逃げ切れてしまう。この後、グナムは何度もこんなワールドウォーZ状態で追いかけられるのだが何とか逃げ切れる。「まぁパトカー同士が衝突したから‥」「何か数十人に追いかけられながらめちゃくちゃ刺されたり斬られてるが‥まぁアドレナリン出てるから痛みを感じないのかもね‥」などと受け入れられるギリギリの線だ。
というかやっぱり無理だと思うのだが、この映画は勢いあって面白いので「‥まっいいか、細かいことは‥」と凄みで押し切られてしまう。
アクションの大きな流れはそのように大雑把なのだが、アクションしてない時はさっきの張り込みみたいな細やかな描写したり、大雑把アクションの後では怪我した箇所を手当したり逃走しすぎてスニーカーが破れたりと妙にリアリティあって細かい。
それのせいで無茶するアクションがあまり気にならなくなるという愉快なバランス
難を言えば、逃走シーンになるとカメラが人物にめっちゃ寄ってグラグラ揺らすし細かいカットだしで、凄く観にくい。位置関係もよくわからなくなるし。グナムの混乱した視界や精神を表現したのかもしれんが単純に観にくいので、アクションシーンはもっと位置関係わかるカット割りや引いた画で客観的に観せてほしかった。俺はね

 

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結局グナムはハメられて帰国できなくなるし妻は男と同棲してたっぽいし行方もわからいしで踏んだり蹴ったり。
ミョンとその朝鮮族の荒い手下も韓国上陸。
ミョンは自分とは別の、教授を暗殺した社長に会いに来た。いや、グナムを殺しに来たんだっけ?
この辺の、誰が誰をどうこうしようとして‥みたいな因縁はいたずらに複雑で分かりにくい。後で調べると監督は、奥行きやリピーターを作るためにわざと分かりにくくしたり説明シーンをカットとしたとの事。道理でわかりにくいもんですね。
こういう、説明せずわざとややこしくしてる系の入り組んでる映画は、ややこしいところは無視して主人公に注視する事にしてる。
要は「グナムは暗殺に成功したがハメられた。探してる妻も生きてるかどうか‥」
「ミョンは社長から大金をせしめたい。グナムも始末する」
ってとこだけ観てたので、最後に教授の妻と銀行員が会ってる場面観てもサッパリわからなかった。その後、検索して真相を知って「ふーん」と思いました。
まぁ「二匹の狂犬が突っ走りなか女たちは冷静」っていう作品のテーマっぽいところ以外は別に装飾に過ぎないと思うので別にどうでもいいです。
ミョンは中盤、船から海に飛び込んだグナムを追え!と行ったら部下達が遠回して下船する中ひとりだけ海に飛び込んで追いかけたり、後半では牛骨で敵を皆殺しにしたりと非常に男らしい。冷酷で恐ろしい男ではあるんだが前述したように、偉ぶらないところや自分から率先して仕事するところが好感持てる。
とりあえず部下は当てにせず自分がどんどん行くってところと「舐められるわけにはいかん」という妄執が凄まじかった。
策を弄さなさすぎるのも新鮮だった。それでいて敵対する者が策を弄したら「なんだよ‥こざかしい奴だ‥」とかボヤくのがおかしい。現代に蘇った兀突骨(ごつとつこつ)大王みたいな蛮族を思わせる。
それで、色々あって狂犬達は我に返ったかのように静かになって終わる‥
この監督の映画、3本とも冒頭から終盤までずっと面白いのだが映画が終わると「なるほどね‥」と妙にテンション下がって終わるね。僕はラストが良ければガーンと評価がって、ラストいまいちだと下がるタイプなんだが、この監督の映画、三本ともラストになるとどれも「ナルホドね‥」と妙に下がりますね。別にそのラストに文句あるわけじゃないんだけど、どれもそうなるわ。理由は自分でもよくわからん。
どれも何だかあまり考察する気になれないっていうか‥、何かデヴィッド・リンチみたいに「自分を出したら自然と不思議になった」っていうんなら彫りたくなるんだけど、この監督の場合どれも(特にコクソン)謎のための謎、謎のためにわざと複雑にしてる感じがするんですよね。だからと言って悪く言う気もないんだが、その代わり観たもの以上に考察する気になれないっつーか。。
最後のボートから捨てるとことか嫁のカットとか、どれもわざとらしくて「面白かった!」とは思っても感動したり深読みしたくはならない感じですね。俺はね。。
それより前半の地味な張り込み、中盤以降の野性味あふれる朝鮮族の凄い勢い!両方のグルーヴ感がよかったですね。その他はまぁ‥装飾にしか感じなかったです。
とにかくこの映画観たらセブンイレブン行ってフランクフルト買って道端で食わずにはいられねーだろう。
すげーつまんない感想になったな。
観たことを即物的に書く以上に何か言う気にならないから観たままになってしまった感じでした🐮

 

そんな感じでした

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「哭声/コクソン (2016)」めっちゃ面白いのだがキリスト教と儒教の素養がないせいか凄くピンと来ない👼👿

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原題:곡성 監督&脚本:ナ・ホンジン 製作国:韓国 上映時間:156分

 

「チェイサー」とか「哀しき獣」のナ・ホンジン監督による三作目(と言いつつ「哀しき獣」観てないけど‥)
オッサンが活躍するバイオレンスを撮る人という印象で本作もまたオッサンてんこもりだが予告観てもどういう内容なのかサッパリ想像つかないし國村隼が出てくるのもあって観たかったが、そのうち忘れてしまっていた。そんな忘れてた今、Huluで配信されてて「そーいえばコクソンとかいうやつ観てなかったな」と思い出したので昨夜観た。
結構前の映画だし今回は完全にネタバレスタイルでいく(未見かつ途中まで読んで観たくなった人は読むの止めて映画観ればいい)
それと、このブログは自分の個人的な感想だけを書く感じでやってるんだが、本作は非常に奇抜な映画だったので書きながら考えたいので、あらすじ殆ど書いていく系という僕の嫌いなスタイルで考えたい

 

 

Story
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韓国の田舎の村コクソン。いつの頃からか山の中の一軒家に日本人國村隼)が住み着いていた。
この、よそ者に対する不気味な噂が広まるにつれ村人が自分の家族を惨殺する事件が多発していく。
そして殺人を犯した村人は、濁った眼に湿疹で爛れた肌になり正気を失うのだ。
気のいい村の警官ジョング(クァク・ドウォン)は、自分のの肌に殺人者と同じ湿疹を見つけ、更に娘は殺人者たちのように正気を失っていく。。
ジョングは娘を救うため、仲間の牧師謎の女ムミョン(チョン・ウヒ)、祈祷師イルグァン(ファン・ジョンミン)らと出会いつつ、山の日本人を追い詰めていく。
この山の中の國村隼‥。彼がいつ、そして何故この村に来たのかを誰も知らない――

 

 


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👿國村隼演じる山に住む謎の日本人(以下このキャラのことは「國村隼」と表記)がキーマン。
國村隼が村に現れて以降、殺人事件が増えた」
 ↓
「だから國村隼が何らかの手段で村人を狂わせてるのでは?」
そんな風に思わせる黒沢清の「CURE」みたいな感じで話が進んでいく。
術にかかったものは原因不明の湿疹が身体を爛れさせて性格も凶暴になり、行き着く先は永遠の発狂状態と家族皆殺し。
その事件を成り行きで何となく追う田舎の警官ジョング。
事件の真相を知ってるっぽい不思議な女性とバッタリ会ったりしつつ、どんどん事件を捜査していくジョングは「やはり、國村隼が真犯人だろう‥」と睨み、彼の山小屋を探ると、黒山羊の頭蓋骨を祀った祭壇や今までに死んだ人達の写真があり、そして何と自分の娘の靴もあった!この怪しい男に娘も狙われているのか?
ジョングは、帰宅してきた國村隼に対して「この村から出て行け!」と脅した。
「何で脅すだけなのか」というと何の証拠もないからだろう。
だけど「殺人事件の死体を間近で撮った写真がいっぱいあるから、とりあえず警察署に引っ張って行ってばいいのに」とは思った。
だけどまぁ國村隼はどうやら「クリーピー 偽りの隣人」に出てくるサイコパスキャラの様に、誰も手出しできない存在っぽいから警察に連れて行ったところで何の意味もなかっただろう。本作はちょいちょい不自然なところもあるが「その辺は目を瞑って観てくれ」という雰囲気が充満してるので気にせず観る事にした。
帰宅すると娘は既に凶暴になりかけており、翌朝ジョングの家の前に黒山羊の死体がぶら下げられていた。どうやら既に呪われたようだ。このままでは破滅が待ってるだけだ。
ハッキリ言って最初から終盤までめちゃくちゃ面白い。
そして「ただのサスペンスミステリーなのかホラーなのかSFなのか判断できない」というノリでこの中盤辺りまで来た。だがここで悪魔と関係する山羊の頭と呪いが出てきたことで。どうやら本作はキリスト教的な価値観のホラー‥もしくはホラーに見せかけたサスペンスなのかのどっちかのようだ。
👿全然関係ないが主人公ジョングはアラフォー中年男性っぽいけど、長年連れ添った安藤サクラ似の妻と未だにしょっちゅうSEXしてる。妻の台詞からも「男はいつまでもSEXするもの」みたいな感じが伺えるし、しかも妻が誘うスタイルって「M字開脚ウンコ座りで、手コキのリズムで洗濯しながらメス顔で夫を見る」という、あからさますぎて長年連れ添った女性にやられるとウンザリしそうな挑発。それで次のカットでは、もうカーセックスしてる辺り「この夫婦仲いいな」「韓国人って精力旺盛なんだな」と思った。やっぱり肉いっぱい食ってるのが良いのかな。

 

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ジョングは祈祷師を呼ぶ。
この祈祷師もキャラが強い。佐藤浩市が演じそうな猿系髭面イケメンで態度がデカいし祈祷料金も高いというブラックジャックタイプの拝み屋だ。
だがキャラの強さに比例して呪いに対しても強そうな霊的頼もしさがある。
祈祷師は「娘にかかった呪いは國村隼が原因だ。あんた奴を挑発しただろ?國村隼は人間ではない。悪霊だ」と言う。
ジョングは「でも國村隼には実体もある人間でしたよ?肉も骨もある人間が悪霊だなんて変じゃないですか?」と疑問を口にする。
祈祷師は「國村隼は普通の人間だったが悪霊に憑かれてるうちに悪霊になった」と、ゴニョゴニョと曖昧な感じで言う。
このジョングが言う「肉も骨もある者が悪霊って変じゃないですか?」という疑問は結末に関係することなせいか丁寧に何度も口にする。
祈祷師は娘に憑いた悪霊を取り除くため國村隼に「殺(サツ)」の呪いを飛ばす。
一方その頃、國村隼もまた山小屋で拝みまくっている。ジョングの娘への呪いか?
帝都物語」の陰陽道合戦みたいなものが始まってしまった。
この祈祷師の祈祷‥韓国のこういうの初めて見たけどお国柄が出ていてめちゃくちゃうるさい。炎をおこして音楽家たちに演奏させ、自分自身はシャウトしまくって踊りまくる、そしてそこら辺にある肉とかに包丁ぶっ刺したりして最終的には悪霊に見立てた藁人形的な役割の木製呪具に何本も刃をぶち込む。
韓国に本当にこういう祈祷があるのか、それともこの監督が考えたオリジナル祈祷なのかはわからん。ただ見た感じ、祈祷師は自分の理性的な意識を飛ばしてチャネリング状態に持っていき、むき出しになったソウルパワーを対象に飛ばして悪霊のケツを蹴り上げる術のようだ。
「映画まだ中盤だし、こんな祈祷が國村隼に効くわけが‥効いとる!?」
何と、祈祷師の祈祷で國村隼は血まみれ。致命傷を負って倒れた。
祈祷師の勝利は目前だが、同時に苦しむ娘の様態に耐えきれなくなったジョングは暴れて祈祷を止めさせ、娘を病院に連れて行く。
山小屋では祈祷によって瀕死だった國村隼が復活‥!「殺(サツ)」の祈祷、失敗!
病院で何も分からんから祈祷師に頼んで効いてたのに‥「娘への影響が心配で祈祷を止めさせる」って事は「祈祷に効果があるとわかってる」って事だし、そんな効果がある祈祷を止めさせて効果がなかった病院に連れて行くって‥行動が矛盾してるな。祈祷師も特に反論したりしない。
ジョングは「神や奇跡を信じきることができない凡人。人間の代表」って立場を表現するためのキャラクターのようだ。

 

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祈祷をやめてしまい國村隼も復活したので娘は悪化するばかり。
ジョングは仲間と共に國村隼を直接ぶっ殺しに行く!
國村隼を殺しに行くって事は呪いを信じてるって事だし、それならこないだの事を謝って祈祷師にまた祈祷を頼めばいいのに何故こうなるんだろ。
「祈祷すれば娘にもダメージがある」と思ったのか、それとも「自分の手で相手を殺さないと安心できない」という確実性のためなのか‥または単なる物語上の都合なのか‥
結末から逆算して考えると、ジョング自身が「疑って」「殺す」という罪を重ねる必要があったので物語的理由によって、こういう流れになっただけか。
とにかくジョング達が山小屋に行くと、今までカリスマ的な強い印象だった國村隼はビビって山奥に隠れる。無敵の國村隼ではないのか?
そして山には、前半に出てきた不思議な女性が出てくる。前半ではアホっぽかったこの女がカリスマっぽい雰囲気になってて國村隼とは雰囲気が逆だ。
まぁ色々あるが、とにかくジョング一行は國村隼殺害に成功。それを丘の上から見る謎の女‥。
しかし何故か娘や村人に憑いた悪霊は一向に去らない。殺ってはいないのか?
混乱するジョングの前に女がいる。そこへ祈祷師から電話がかかってくる。
祈祷師「俺の判断が間違ってた!國村隼は悪霊じゃなかった!國村隼は悪霊から村を守ってた良い祈祷師だった!それを殺してしまった!女が悪霊だ!
ここで終われば、アメリカのホラー映画でよくありそうなわかりやすい話だ。
しかし女はそうではないと言う。
(というか映画内で「悪霊👻」って言ってるから「悪霊」って記述してきたが、どう考えても「悪魔👿」を取り扱ってるので以降は悪魔と書くことにする)
そして國村隼と女、双方に「聖人っぽい部分」「悪魔っぽい部分」がある、映画内の描写も、わざとそう見えるように撮ってるので観ててもどちらか片方だと断言できないまま観ていくことになる。
僕の、そんな気分が最大限になったところでジョングは叫ぶ。
お前は一体何者なんだ!答えろ!
この映画は全編「もっと相手を詰めて問いただせよ!」って場面が凄く多い。
しかも登場人物はすぐキレてそれを台無しにしたり、訊かれた相手も超然とした顔で問いに答えない‥という場面が多いので観てるこちらにストレスがたまっていた頂点で、ジョングが「問いに答えるまで許さん!」という態度にやっと出た。
視聴者と主人公の気持ちが一つになったので気持ちいいシーン。
一方、ジョングの仲間の牧師は、実は生き延びて洞窟に潜んでいた國村隼の元に居た。牧師もまた「お前は悪魔なのか?お前の正体は何だ!?」と問う。「悪魔なら殺す!そうじゃないなら黙って立ち去る」という。
國村隼は「お前は既に俺のことを悪魔だと決めてるのに何故わざわざ訊くんだ?笑」と笑う。牧師は速攻で國村隼に呑まれてしまった。
女と國村隼は別々の場所で今までと同じ様に似たような思わせぶりなことを言う。
今は「女が悪魔」っていう流れで進んでるので「女が悪魔としての正体を表し、國村隼は聖人としての正体を明かすのだろう」と思って観ているがどうも様子が変だ。國村隼もまた恐ろしい雰囲気を発している。國村隼は聖人ではないのか?そしてまた悪魔だと思われた女もまた「ジョングの家族を助けようとしている」と言う、そしてガチで心配した顔をしている。
國村隼が悪魔なのか?女が悪魔なのか?あるいは二人とも悪魔なのか‥。
電話で祈祷師は「女が悪魔。國村隼は善」と言った。
普通、映画のクライマックスで祈祷師みたいなお助けキャラがあんな雰囲気で断言したら、それはイコール真実なのだが、この辺まで来ると「本作の登場人物の台詞は信頼できない類のもの」って雰囲気が充満してるので祈祷師も信じられなくなってる。
女はジョングが罪を犯したと言う。
その罪とは「疑うことなかれ」と「殺すなかれ」‥つまりジョングが國村隼を疑って殺したから原罪がジョング家族(そしてコクソン全体)に降り注いでいるという事らしい。
一つ言えるのは、女の前にいるジョング、國村隼の前にいる牧師‥どちらも相手の正体を問いただしている。だが女も國村隼も自分の正体を明かさない。明かさないっていうか自分の正体とは「お前の」心だ、と言ってるように見える。
後の描写を見ると女が神で、國村隼が悪魔に見えるが、それもそう決まったものでもなさそうだ。
きっと女も國村隼も、二人とも神で二人とも悪魔なんだろう。
ジョングは彼を助けようとしていると自称する謎の女を信じず家に帰ってしまう。
牧師は形式上、正体を問いだしてはいるが既に「國村隼=悪魔」だと魂の中で断言してしまっている。そして國村隼もそれに気付いている。
その結果、ジョングは神を無視した報いを受け、國村隼は牧師が決めた通り悪魔としての正体を見せて牧師の写真を撮る‥というバッドエンドになった。
(ここまでの展開とか國村隼の顔の怖さを思えばそうなるとはとても思えないが)もしここでの牧師が國村隼の事を本気で神だと思っていれば、國村隼はきっと神としての正体を表してくれたのだろうと思う。
‥などと思っていたら今まで完全に人間だと描写されていた祈祷師が、ジョングの家にやってきてジョングの写真を撮り、彼らを助けるでもなく殺すでもなく立ち去る。「写真を撮る」‥悪魔と化した時の國村隼と同じ行動だ。
写真を撮るという行為の意味はよくわからないが今までの推移を観た感じでは「死」とか「良くない結果にピリオドを打つ」という感じで描写されてるので良くない事なのは間違いない。
そして祈祷師の車のトランクには、國村隼の家にあった被害者たちの写真が大量にあった。
祈祷師もまた、女や國村隼と同様「神もしくは悪魔」という人外の存在だった事が明らかになり、ジョングは娘を助けることを呟き続け暗転。話が終わる

 

 

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そんな感じで最初に言ったように、あらすじ書きながらどういう話だったのか自分でも考えようとするうちに内容ほぼ全部書いてしまった。
クライマックスの10分はそんな感じで「こうだ」という真実がコロコロと、どんでん返しで入れ替わる。
‥いや、どんでん返しではなく本編ラストの「牧師が見る國村隼の正体」同様に、真実の見え方がコロコロと変わっているだけだったんだろう。
とりあえず最初に、バカの好きな考え方‥強さ議論で考えてみよう
祈祷師:「祈祷で國村隼を退治寸前だった」→「しかし國村隼の正体がわからなかった」
國村隼:「祈祷師に敗北し、女を見て逃げた」「だが誰にも殺すことができない」
  :「一瞥しただけで祈祷師に完全勝利」「怖いキャラが居ない」
強さだけで見ると 女>>>祈祷師>國村隼
こう書いてると女が神で、祈祷師が天使か何か?國村隼が悪魔に思えてくるが、勿論そんな単純なことであるわけないだろ。
そもそも神/悪魔という焦点が2人もいるのはまだついて行けてたが、最後に祈祷師がぶち込まれて手に負えなくなる。
監督はクライマックスで観客を、劇中ラストの牧師やジョングと同じ気持ちになってほしくて、観客の意識を安定させないために視点を揺さぶったり3人目の人外を入れたのかなと思った。
‥と思っていたが、聖書を読み込んでる方と話したところ「三位一体(さんみいったい、神と父と精霊)を表すために三人なんじゃない?」と言われた、きっとそうなんだろう。
だけど三位一体もそうだけど聖書や各種キリスト教については、アメリカ映画やアメコミやアメリカ文学などのアメリカのメディアで匂いだけ触れてるだけで一度も聖書を通して読んだことないので「三位一体」の事すらよくわからない。
そして、ジョングの娘に悪魔が憑いたあたりで「あ、これはキリスト教テーマの映画だな」と思った。
しかもキリスト教のざっくり要素(神、悪魔、聖痕、原罪、裏切り等‥)だけを話に入れた程度なら、人間としての普遍的な概念に置き換えて楽しめるのだが、映画のテーマにここまでガチのキリスト教を入れて来られるとちょっと僕にはよくわかんないです。
僕は無視論者だし聖書のことも「ベストセラー世界記録継続中の古い小説」程度にしか思ってないので、ここまでガチで聖書を元にした映画にされると作中で起こる事象や言いたげな方向だけがわかったところでピンとこないので乗り切れず理解が進まなくなる。
アメリカ映画に入ってるキリスト教要素はさっき書いたように普遍的な要素へと咀嚼されてるものが多いので飲み込みやすいのだが、パク・チャヌクの「渇き」などを始めとするキリスト教を扱った韓国映画は、それ以外にもキリスト教より更によくわからん「儒教」とやらの考えも入ってくるので余計に理解しがたくなってくる。
ストーリー自体はどれもわかりやすいのだが、登場人物が「何でここでそんな事するの?」「理屈はわかるが何でそこまで‥?」などと疑問に思うことが多い。
比較的分かりやすい部類のパク・チャヌクオールド・ボーイ」のラストの主人公ですら「知らなかったんだから別にそこまで気にしなくても良くない?」と思ってしまう。そう言うと自分のことがアスペに思えてくるが、そう思うんだから仕方ない。

👼👿そんな感じで感想というより、ただあらすじ追っただけで真の理解はできなかったしキリスト教に興味ないのでこれ以上理解する予定もない、一瞬知った気になれても意味ないので他人の解釈も聞く気もないし‥そんな理解できない事への長い言い訳になってしまい何時にも増して価値のないページになった。
恐らくリテラシーが必要で、‥たとえばデヴィッド・リンチ作品を全然観てない人が「ツインピークス a Lomited Event Series (2017)」の最終回いきなり観るとか、黒沢清一本も観てない人が「LOFT」や「叫」観るとか、「アイアンマン」すら観てない上にアメコミリテラシーゼロなのにいきなり「インフィニティ・ウォー」から観るとか‥それくらいのリテラシー不足から来るピンと来なさ加減だった。
真の理解はできなかったが本作が面白い映画だったのは間違いない。
理解出来ずにこれだけ面白いんだから、キリスト教儒教に通じてる人は、きっとめちゃくちゃ楽しめたことだろう‥見えない枠の端を思いました。

 

そんな感じでした

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👼👿👼👿👼👿👼👿👼👿👼👿👼👿👼👿👼👿👼👿👼👿👼👿

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