gock221B

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「哀しき獣 (2010)」めっちゃ面白かったが、この監督が謎を作る時はわざと複雑にしてる感じしますね‥🚤

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原題:황해 監督&脚本:ナ・ホンジン 製作国:韓国 上映時間:140分

 

以前観たこの監督のデビュー作「チェイサー」も、先日観た三作目「哭声/コクソン」も面白かったので、未見だった二作目のコレも観た。
何か公開時に映画好きの人の間でめちゃくちゃ話題になり過ぎてて、映画好きの人が興奮して瞳孔バキバキにしてオススメして来る時ほど、観る気が失せるものはないもので、そのクサみが脱臭されるまで放置してるうちに本作の存在を忘れてたが、Netflixにあったので存在を思い出して観た。すると実際めちゃくちゃ面白かった。
そういう事は凄く多いので僕は自分がオススメする時は、平熱で、その話し相手が好きそうなものや好きそうなポイントだけ薦めるようにしている(そして薦めた事はその瞬間以来忘れてしまうのが吉だ。オススメとは薦めた時点で達成だ。相手が実際に観ることを期待してはいけない)

 

 

Story
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北朝鮮、中国、ロシアに国境を接する中国領“延辺朝鮮族自治州
ここに暮らす韓国系中国人グナム(ハ・ジョンウ)。
生活は苦しく、韓国に出稼ぎに行った妻からの仕送りはおろか音信も途絶えた。
妻を韓国に送り出すために作った借金、賭け麻雀での負けも込み窮地に陥る。
そんな時、裏社会の顔役ミョンさん(キム・ユンソク)から「韓国で一人の男を殺害すれば借金を棒引きにしてやる」という取引きを持ち掛けられる。
選択の余地のないグナムは、妻に会える事も期待して取引を受け入れ、黄海を渡り韓国への密入国を果たすのだが――

 

 

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「チェイサー」主演2人が本作でも主演した。主人公グナムは別人過ぎてわからなかった。ミョンはチェイサーの主人公。
中国の朝鮮族自治州とかいう聞き慣れない地域。詳しいことはよく分からんがここでも「朝鮮族が!」と下に見られてる朝鮮族の男グナム。映画冒頭で子供の頃飼ってた犬が狂犬病になった思い出のモノローグ(もちろん狂犬の話は本作における朝鮮族の男たちの事を指している)
グナムの妻は借金して作った金で韓国に出稼ぎに行ったが、仕送りも連絡もなく「韓国で男ができたからもう帰ってこない」と噂されている。グナムは借金を抱え、愛する娘は母に預けて勝つあてのない麻雀をしている。
そんなグナムに目をつけたヤクザのミョンは彼を暗殺者としてスカウトする。
韓国に行き、ある男を殺してくれば借金を棒引きしてくれると言う。
その際に、ミョンはグナムを評してこう言う。
ミョン「おかしな奴だ。気は荒いのにヤクザじゃないし、やられてばっかりなのに、ちっとも惨めじゃない。不思議だ
何気に、言われたら一番嬉しい人物評かもしれないな、と思った。
一言で言うと「お前はまだ爪を隠している未知数の男だ」と言ってるようなものだ。
しかもそれを山路和弘のカッコいい吹き替えで言うし、このミョンは不思議な男で裏社会の顔役らしいが一切偉ぶる様子がなく実際は凶暴な男なのだが、この時点では普通の良いオッサンに見える。
荒々しい地域なので観てても「いったい何時の時代かわからないな」と思っていたが、密航船で原題になっている黄海を渡って韓国に着くと、スマホとか出てくるから現代だとわかった。

 

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韓国に到着したグナムは、暗殺するターゲットの男‥太った教授を探る。
教授が帰宅する時間や、彼が持ちビルのシャッターを降ろす時間などを数日かけてチェックする。
それと並行してだったか、後だったか忘れたが出稼ぎに出て消息不明になった自分の妻の行方も探る。
この探偵パートが凄く面白い。グナムが食う如何にも韓国っぽい飯や、コンビニで食う辛ラーメンとかソーセージとか、チクワとか、ふかし芋とかがあまりにも美味そう。
張り込み中に吸う煙草すらうまそうだ(というか張り込みシーンで口にするものは大抵うまそうに見えるからな)
だが中盤でミョン一派が食う牛足みたいなのは、ただ茹でただけに見えて味が薄そうでうまそうに見えない。どんな味なんだろ。
食ってるグナムの唇もカッサカサで妙に白いし、このグナムに母性本能をくすぐられて食わせたくなる女性も一定数いそうだ。
暗殺ターゲットの男が、グナムをホームレスだと思って金くれたりと意外と良い人っぽいところも良い。そんな中、グナムとは別口の暗殺者も来て教授と相討ちになる。グナムは暗殺した証拠として持ち帰るよう言われた死んだ教授の親指を切り取るが、警察隊が到着。ビルを取り囲まれる。そして学校の1クラス分くらいの警官隊に追いかけられる!しかも警官隊がグナムを追いかけてるのグナムに手を届きそうな距離で追いかけてる。「こりゃ逃げるの絶対無理だろ‥」って感じなのだが逃げ切れてしまう。この後、グナムは何度もこんなワールドウォーZ状態で追いかけられるのだが何とか逃げ切れる。「まぁパトカー同士が衝突したから‥」「何か数十人に追いかけられながらめちゃくちゃ刺されたり斬られてるが‥まぁアドレナリン出てるから痛みを感じないのかもね‥」などと受け入れられるギリギリの線だ。
というかやっぱり無理だと思うのだが、この映画は勢いあって面白いので「‥まっいいか、細かいことは‥」と凄みで押し切られてしまう。
アクションの大きな流れはそのように大雑把なのだが、アクションしてない時はさっきの張り込みみたいな細やかな描写したり、大雑把アクションの後では怪我した箇所を手当したり逃走しすぎてスニーカーが破れたりと妙にリアリティあって細かい。
それのせいで無茶するアクションがあまり気にならなくなるという愉快なバランス
難を言えば、逃走シーンになるとカメラが人物にめっちゃ寄ってグラグラ揺らすし細かいカットだしで、凄く観にくい。位置関係もよくわからなくなるし。グナムの混乱した視界や精神を表現したのかもしれんが単純に観にくいので、アクションシーンはもっと位置関係わかるカット割りや引いた画で客観的に観せてほしかった。俺はね

 

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結局グナムはハメられて帰国できなくなるし妻は男と同棲してたっぽいし行方もわからいしで踏んだり蹴ったり。
ミョンとその朝鮮族の荒い手下も韓国上陸。
ミョンは自分とは別の、教授を暗殺した社長に会いに来た。いや、グナムを殺しに来たんだっけ?
この辺の、誰が誰をどうこうしようとして‥みたいな因縁はいたずらに複雑で分かりにくい。後で調べると監督は、奥行きやリピーターを作るためにわざと分かりにくくしたり説明シーンをカットとしたとの事。道理でわかりにくいもんですね。
こういう、説明せずわざとややこしくしてる系の入り組んでる映画は、ややこしいところは無視して主人公に注視する事にしてる。
要は「グナムは暗殺に成功したがハメられた。探してる妻も生きてるかどうか‥」
「ミョンは社長から大金をせしめたい。グナムも始末する」
ってとこだけ観てたので、最後に教授の妻と銀行員が会ってる場面観てもサッパリわからなかった。その後、検索して真相を知って「ふーん」と思いました。
まぁ「二匹の狂犬が突っ走りなか女たちは冷静」っていう作品のテーマっぽいところ以外は別に装飾に過ぎないと思うので別にどうでもいいです。
ミョンは中盤、船から海に飛び込んだグナムを追え!と行ったら部下達が遠回して下船する中ひとりだけ海に飛び込んで追いかけたり、後半では牛骨で敵を皆殺しにしたりと非常に男らしい。冷酷で恐ろしい男ではあるんだが前述したように、偉ぶらないところや自分から率先して仕事するところが好感持てる。
とりあえず部下は当てにせず自分がどんどん行くってところと「舐められるわけにはいかん」という妄執が凄まじかった。
策を弄さなさすぎるのも新鮮だった。それでいて敵対する者が策を弄したら「なんだよ‥こざかしい奴だ‥」とかボヤくのがおかしい。現代に蘇った兀突骨(ごつとつこつ)大王みたいな蛮族を思わせる。
それで、色々あって狂犬達は我に返ったかのように静かになって終わる‥
この監督の映画、3本とも冒頭から終盤までずっと面白いのだが映画が終わると「なるほどね‥」と妙にテンション下がって終わるね。僕はラストが良ければガーンと評価がって、ラストいまいちだと下がるタイプなんだが、この監督の映画、三本ともラストになるとどれも「ナルホドね‥」と妙に下がりますね。別にそのラストに文句あるわけじゃないんだけど、どれもそうなるわ。理由は自分でもよくわからん。
どれも何だかあまり考察する気になれないっていうか‥、何かデヴィッド・リンチみたいに「自分を出したら自然と不思議になった」っていうんなら彫りたくなるんだけど、この監督の場合どれも(特にコクソン)謎のための謎、謎のためにわざと複雑にしてる感じがするんですよね。だからと言って悪く言う気もないんだが、その代わり観たもの以上に考察する気になれないっつーか。。
最後のボートから捨てるとことか嫁のカットとか、どれもわざとらしくて「面白かった!」とは思っても感動したり深読みしたくはならない感じですね。俺はね。。
それより前半の地味な張り込み、中盤以降の野性味あふれる朝鮮族の凄い勢い!両方のグルーヴ感がよかったですね。その他はまぁ‥装飾にしか感じなかったです。
とにかくこの映画観たらセブンイレブン行ってフランクフルト買って道端で食わずにはいられねーだろう。
すげーつまんない感想になったな。
観たことを即物的に書く以上に何か言う気にならないから観たままになってしまった感じでした🐮

 

そんな感じでした

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