gock221B

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「ハウスメイド (2010)」思いのほか魅力的な先輩メイドのオバチャンを主役にした方が良かったような‥👩

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原題:하녀 監督:イム・サンス 製作国:韓国 上映時間:107分


何だか凄い名作だと名高い古い韓国映画「下女 (1960)」のリメイク作品らしいが、その「下女」とやらを観てないので比較とかは当然できん。
シークレット・サンシャイン」でしか観たことないが有名な女優さんらしいチョン・ドヨン主演。今回は完全ネタバレスタイル

 

 

Story
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上流階級のメイド
として働くことになったウニチョン・ドヨン)。
先輩メイドビョンシクユン・ヨジョン)の下、家事全般と妊娠中の妻ヘライ・ジョンジェと6歳の優しい娘ナミアン・ソヒョン)の世話を懸命にこなしていく。
そんなある日、主人のフンイ・ジョンジェと肉体関係を持って妊娠してしまうウニ。
そんな彼女の異変をいち早く察知したビョンシクは、それをヘラの母親パク・チヨン)に報告。
いつしか屋敷の中には女たちの憎しみが渦巻いていく――

 

 

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チョン・ドヨン演じる主人公ウニは、よく居そうな普通の女性。
めちゃくちゃ綺麗な身体だし基本的には美人なのだが、たまにいとうあさこそっくりにも見える。だけど美人妻が「あんな女のどこが!」と怒りやすいように、わざと庶民っぽく見えるよう、どスッピンぽかったり逆に化粧したらケバくなったりと「少し性的だけどパッとしない女性」っぽさを出そうとしている(こんな説明をしたが別にいとうあさこを貶めてるわけではない事を一応書いておく)
メイドになる前は大柄の女友達と一緒に住んでいた。よくわからんが少し浮世離れした雰囲気だし多分フリーターとか無職だったのでは?
彼女は良く言えば純粋、60歳くらいのメイド長ビョンシク(以下オバチャン)やお屋敷の妻の母に言わせれば「バカな娘」。
ウニがもし現代の日本人だったら西東京(できれば中央線)に住んでそうなフワフワした女。
基本的には優しいがそれはキャプテン・アメリカ的な「正しさも兼ね備えた堅い心優しさ」ではなく、欲のなさから来る消去法としての優しさ(ちなみに僕も同じ種類の曖昧な優しさを持った小物です)
そういう意味での「普通の女性」(関係ないが僕が付き合う女性や友達も大抵こういうタイプ)
よく言えば天真爛漫、悪く言えば少し抜けたおバカ‥という感じで、パンツ丸出しで風呂掃除したり野ションベンしたりと若干、田舎の童女っぽい振る舞い。もし豪華なホテルに泊まれば真っ先にベッドの上で飛び跳ねそうな女。そういう意味では同性には嫌われるが男好きするタイプ。掴みどころがないがかと言って不思議ちゃんでもなければ物凄い天然とかバカってわけでもない。
やはりオバチャンが言うように「欲がない娘」という言い方が丁度いい。

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彼女は若い時の東野幸治みたいなサイコパスっぽい雰囲気の旦那様に誘われ、数秒くらいは驚いてたが特に抵抗もしないのを見た旦那は行けると思い「しゃぶれ」と大きく出た。するとウニも「この匂い好きぃ!」とか言って旦那の股間に顔を埋めるではないか。旦那はしゃぶらせながら興奮してきたのかアゴをしゃくらせながら腹筋をバキバキにしつつマッスルポーズでパンプアップ!
思わず「この男、こんな事が楽しいのか‥」と憐れになった。
旦那の愛撫の仕方も「最初っから女の乳首や股間をササッ‥サササッ‥と触る」というもので「この男は今まで即物的なSEXしかしてこなかったんだな」と思わせるほどSEXが下手。ちなみに妻とやる時も寝ながらワイングラスを回転させて跨った妻が腰をうねらせているという退屈なSEXだった。
そんなこんなで何度か関係を持ったようで、それをオバチャンが「家政婦は見た!」よろしく「はぁ‥何やってんの」という感じで見て見ぬふりをする。
オバチャンは、ウニ本人も気づいていない彼女の体調の変化から妊娠を確信し、とりあえず奥方のオカン(凄い美人なのでオカンだと思わなかった)に報告。これは悪意から来るチクリではなく自分の職場が近い将来混乱すると自分が困るから保険としてのチクリって感じだろう。
オカンは事故を装って、脚立に乗っていたウニを落下させ流産を狙う。
‥このオバハンめちゃくちゃするやん!
結果的には流産しなかったしウニ本人も妊娠に気付いてしまう。
妻とオカンは金を掴ませてウニに円満退職してもらおうとするが、ウニは了解せず退職もしないので、妻がウニがいつも飲んでるウィダー・イン・ゼリー的な食物を、毒性のあるものにすり替え、ウニは流産する(同時に旦那もやっと全てを察知する)

 

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先輩メイドのビョンシク通称オバチャン。
最近息子が刑事になったという彼女は何十年もメイドをしていたらしいが、この嫌味な家族の事は当然好いてはいない。そしてイライラした若妻に八つ当たりされたら「あの小娘‥イラつく!イラつく!」と下着姿になってふて寝する。初老の女性の下着姿を見て、まるで母親や親戚の半裸を見たかのような気まずい気分になったが、同時にこのオバチャンのことを段々好きになってくる。
そして「ほんと、バカな娘‥」と言いつつウニから目を話せなくなったオバチャンは徐々にアニメに出てくる素直になれない系美少女的なツンデレ優しさをウニに対して発揮し始め、ウニが流産した時には自分もこの家族の道具に成り下がっていたことを心から反省し(この時のオバチャンの顔の演技が凄い!オバチャンの目が数倍大きくなったように見えた)、最終的には「ハッ!虐げられたウニの痛みは私の痛みでもあったんや!」と大事なことに気付いて完全に彼女の側に立ってクソ一族に背を向ける。
そんな終盤はもうオバチャンの虜だ。

 

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オカンは傷ついた娘に「憎むのはあの女(ウニ)にしなさい。旦那様を恨んではダメよ」と言う。何故ならばクソ野郎の旦那の横暴に耐えて家の女王として君臨すれば後からやりたい放題だからだ。「私のお母様も、金持ちに嫁いだ女は筆舌に尽くしがたい屈辱を味わう。それに耐えれば私たちの天下よ」と言う。
ちなみに直接的な加害者は若妻とその美人のオカンなんだが、妊娠と流産のくだりが旦那にバレるとオカンは旦那に呼び出されて尋問される。
旦那は「何と酷いことを‥あんたらは私の子供を殺したんだ!」と怒るので「あれ?旦那ひょっとしてウニと死んだ胎児を憐れむ優しさがあったのか?」と驚いていたら
旦那は「私の子供を産めるのはアンタの娘だけとでも?」と言い、
オカンは「イイエ‥違うわ‥」と言う。加害者の女たちもまた旦那の‥というか男性優位社会の被害者に過ぎなかった。ちなみに、なぜ妻本人は呼び出さずオカンにだけ言ったというと、こんな感じに言いたい放題してしまうと残りの人生でSEXしたり共に暮らすのが気まずくなって楽しくないから。「お義母さんの方で娘を私の支配下に置いといてください」という事だろう。
ところで映画の冒頭では若い女が飛び降り自殺するところから始まる。
そしてオバチャンはウニに対して「この家の者は恐ろしいから」としきりに言うので、「あの自殺した女はこの屋敷でウニと同じ様に物として扱われた女なのか?」と思った。もしくは現代韓国の階級社会を現したらしい本作として「ウニみたいな気の毒な女はいっぱいいるのだ」という匂わせなのか、どっちかわからない。まぁどちらでも意味は同じなのでどっちでもいいか。。

 

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この家族の中でウニを人間扱いしていたのは優しい長女ヨナだけだった。
ヨナは「おばあちゃんが貴女を突き落としてごめんなさい」と真実を告げ、ウニは大柄の女友達の家で「イラつく‥イラつく‥笑」とオバチャン同様、家族への復讐心が鎌首をもたげてくる。
この終盤のウニは終始半笑いなのが怖い。
最終的にオバチャンは家族に反旗を翻し、ウニは自滅的な復讐を遂げる。
ここが評価の分かれるところで、現実的に考えると自分自身をなげうって、反省などするわけない夫婦と義母への当てつけで自滅するほどの価値はない。
このクライマックスを観た最初の数秒間は「どうせ自滅するなら夫婦とオカンもブチ殺して、良い子のヨナはオバチャンが育てればいいんじゃ」とか一瞬思ったが、まぁ当然そのままそんな展開が繰り広げられたところで面白くもなんともない。
ところで、この自滅シーンは不自然すぎて笑えるほどド派手な事になるので「あぁ、これは現実的に考えるんじゃなくて、もっと『寓話的に捉えてくれ』って事ね」と受け取った。
それにしても紐はともかくウニが発火の準備してるようには見えなかった上に数秒で炎上したので「ウニはX-MEN的な女性?」と思った。
それに夫婦とババアをブチ殺してしまったら「ウニ=自分にだけは優しかった両親を殺した殺人メイド」として優しいヨナの記憶に残ってしまう。
ウニとしては「両親と祖母が酷いことをした、優しく可哀想だったウニおばさん」という印象をヨナに見せつける必要があったのだろう。
ヨナがウニの霊を見るラストシーンを見るにつけ、ヨナはウニの永遠の呪いに完全にかかった(もしくは家族の中で唯一、正気を持ったままの人間になった)
ヨナって名前は当然「ヨナ書」のヨナから来てるんだろうし、この御家は将来ヨナの手によって潰される、もしくは両親とババアの望まぬ形で改新されてしまう事は確定だろう。
だけど、いくら寓話的だとフィクションラインを下げて見たとしてもウニの復讐はちょっと無理ありますね。。ウニのリターンがなさすぎるし。「韓国は階級社会」と言っても現代ならもっと復讐の方法はあったと思うし、それならもっと時代設定を「主人に近づく方法がないし、自死以外には復讐手段がない!」って感じの中世とかが舞台ならもっと自然に観れたかもしれない。
「貧者は金持ちに踏みつけにされる階級社会」というテーマと「ウニは自分がやられたように、この家に致命傷となる毒を呑ませた」という匂わせラストが大事なので、本作を観てスッキリしないのは構わないんだけど、ラストがもう少しだけあり得るものだったら名作になったような惜しさがある。
もしくは善性に目覚めてポジティブな行動を取るオバチャンを主人公にして「家政婦は見た!」的な映画にした方が良かったかもしれない。
‥とは言え本作を観た今はオバチャンのこと好きだが超ミニスカのチョン・ドヨンじゃなくて、このオバチャンがポスターやジェケにバーン!と鎮座ましましている映画を観たいか?と訊かれたら多分観ないだろうからコレで良かったのかもしれない。
名作、傑作の類じゃないし一回観れば充分だけど、歪で面白い映画ではありました。
それにしても奥様がウニに酷い事をする以前から、ウニが奥方に対して「貴女の旦那と不倫してすみません」と思ったり態度に出したことが一回もなかった事に今気付いて可笑しくなった。

 

そんな感じでした

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