gock221B

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「ダウンサイズ (2017)」縮小化の設定やそれを捨てた後半の人間ドラマも悪くないが両者が上手く絡んでない気がした🚶‍♂️🚶‍♀️

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原題:Downsizing 監督&脚本&制作:アレクサンダー・ペイン
製作国:アメリカ 上映時間:135分

 

最後まで観た結論から言うと「まぁまぁ面白いかな?」と「イマイチかな」の境目くらいだったのだが、このページ凄く長くなった。「長文だから面白かったの?」と思うかも知れないが僕が今たまたま、何でもいいから長文書きたかったので長くなっただけだ(というかこのブログ自体も別に映画の感想を本気で書きたいわけではなく、どっちかというと何か書きたいけど自分独自の書きたい事もないのでとりあえず映画の感想を書いてるだけですからね。それと自分だけのブログのテンプレを作りたいだけというか‥)
「感想は一言で言ってほしい!」という人はこの記事の一番下の1行くらいだけ読めばOK。
今日はあらすじをラストまで全部書いてしまうというつまらないタイプの感想にしたので完全ネタバレ状態です 

 

 

Story
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15年前ノルウェーの科学者が人間を縮小化する技術〈ダウンサイジング〉が発明される。
時は過ぎ現代、〈ダウンサイジング〉は人口増加による食糧問題環境問題の解決策となり、個人の消費量が大幅に削減される事により、ダウンサイジングされた者は贅沢な暮らしが出来るようになり、縮小化する人達も増えていった。
低収入にあえいでいた平凡な男ポールマット・デイモン)は、と共にダウンサイジングを受けてダウンサイズされた人達が住む〈レジャーランド〉に住もうとするが――

 

 

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上に書いたあらすじの通りなんだが、本作の〈人体の縮小化〉によって描かれるものは、大局的には〈消費量の削減〉による〈環境問題の解決〉。
主人公などのメインキャラ‥個人レベルで得れるものは〈消費量の大幅な削減による贅沢な暮らし〉。
小さければ口にする量も必然的にほんのちょっと済むため、超高級酒だろうと超高級葉巻だろうがめちゃくちゃ安く手に入るし、ダウンサイジングされた人達が住む〈レジャーランド〉では、「大きな人達の世界(一般社会)」では絶対に住むことの出来ない大豪邸にも住めるし、一生働かず贅沢な暮らしが出来る。
マット・デイモン演じる主人公は約一千万円ちょっとの貯金を持っているのだが、ダウンサイジングしてレジャータウンの住人になれば、その一千万円弱は1億円以上の資産を持ってることになる。
‥というか「貧困にあえいでいる」という設定の主人公が一千万円以上の貯金あるというのが貧困日本人からしたら虚しくなるが、こう考えてみよう。「主人公は様々な事情で現実世界では現状以上のサクセスは見込めないのだが、小さくなれば大富豪になれる」
つまり「現状の向上」「暮らしを良くしたい」という事。そういうところに着目すれば、それは殆どの人間が持つ望みなので我々貧困日本人でも問題なく鑑賞できる。よし次に行こう。
設定の前振りが長くなったが、本作の〈ダウンサイジングの設定、それによって作品世界の人達が得れるもの〉の描写も、じっくり描かれている。そしてここはかなり面白い。
要は本作で描かれるものはそういった「人体の縮小化によって社会、そして個人に何が起きるか」という事。それらオンリーが描かれ、それら以外は描かれない。
だから〈縮小化されたマット・デイモンの映画〉と聞いたらどうしても期待してしまう〈虫にビビったり鳥や小動物に食われそう〉になったり〈溝にハマったり水道で流され〉たり〈通常サイズの人間に鷲掴みにされて人質にされたり〉などといった「アントマン」や「ミクロキッズ」などといった〈小さくなったという物理的状況そのものの楽しさや恐ろしさ〉は一切描かれない、それが目的じゃないから。本作は縮小化による政治的影響だけを描きたかった映画みたいだね。
なかなか面白いんだけど、趣味もなく何一つ思い通りにならない人生を送ってるマット・デイモンの「楽しくない‥」といった演技が何だか見てて辛いものがある。

 

 

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マット・デイモン「何一つ思い通りにならない人生だった。生活を現状より向上させる方法は無い!小さくなる以外には!」
夫婦ともども小さくなればもう元の身体には戻れない。その代り一生働かなくても豪邸に住める大金持ちだ。夫婦は結婚指輪を外し〈レジャーランド〉のダウンサイジング処置施設に向かう。
麻酔打って寝た後は係の人が体毛を全て剃り、歯の銀歯やインプラントなども抜く。浣腸して大便も除去してたようだ。
ダウンサイジングは細胞に働きかけるものなのでインプラントなどの異物をそのままにして縮小すれば大惨事になってしまう(頭部破裂)。体毛を剃るのは何故だろう。体外に伸びた毛って細胞的に人体の一部じゃなくて物質みたいなもんだからか?ウンコもそのままにしたらダウンサイジングしない通常ウンコが腹を突き破って死ぬのかな(恐ろしい死に様だ)皮膚外に出てない毛とか身体の穴に入ったホコリとかは?と思うが細かいこと言っても仕方ないので積極的に考えないようにしよう。
まぁとにかく異物は全部外す(だから重度の骨折などで骨の補強が入ってる者はダウンサイジング処置を受けられない)。
マット・デイモンはダウンサイジング専用マシーンで無事に縮小化。目覚めると身長10数cmの〈小さい人〉になっていた。そこで妻から電話がかかってくる。
何と、クリステン・ウィグ演じる妻は、体毛剃ってる時にダウンサイジングする事が恐ろしくなり逃げ出してしまったのだ。
マット・デイモンは「怖くなった?自分の心の声に耳を傾けた?!おい!俺は今、身長14cmなんだぞ!このクソアマ!」
妻「怒鳴るなら電話切るわ」
やっぱりマット・デイモンはとんでもない目に遭ってるのが似合う(ちなみに本作で最も面白い場面はここがテッペン)
手のひらサイズになったマット・デイモンは呆然としながら夫婦で住む予定だった目も眩む大きな豪邸に到着。妻からは自分の身長ほどあるくらい大きい結婚指輪と離婚届が送られてくる。失意の時って字を書くことすらしんどいのに絨毯くらいデカい離婚届にサインするのはかなり労力を要するだろう。とても気の毒だがそこはかとなく可笑しい。
気の毒なマット・デイモンだが妻の気持ちはわかる。というかダウンサイジングは充分な貯金がないと贅沢な暮らしは出来ない。そんな金があるならシャバで普通に暮らした方が良い。社会の状況によって〈小さい世界〉の安全が何時まで保たれるのかもわからないし単純に〈永遠に小さいまま〉という身体にはなりたくない。「きみの身長を5cm低くする代わりに100万円あげるよ」と言われても「5cmならいいか?」と一瞬思いつつも一晩考えて断るだろう。単純に生物としての本能で、正常な状態から10数分の一のサイズにはなりたくない。
僕は人生の大半、猫を飼ってるのだが動物飼えないのもつまらなさそうだ。

 

 

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一年後、離婚したマット・デイモンはだだっ広い豪邸は虚しかったからか高級マンションに引っ越し、夢も希望も失った彼はダウンサイジングした事を後悔しながらテレアポの仕事しながら冴えない顔で暮らしていた。
それにしても本作のマット・デイモンは冒頭から後半くらいまで、ずっと「つまらないなぁ」って感じなので、観てると本当に気だるくなってきた。
見た目も、常に淡い色のカーディガン着てて、さざ波みたいな七三分けで‥自宅にいる間、ずっと掃除や洗濯ばかりしてそうだ。もしくはオーディオ機器のスピーカーの設置を時間かけてやってそう(ただし音楽そのものには興味ない)そんなタイプに見える。
趣味を持たないタイプ。
彼が住む部屋の上には違法な高級品をレジャーランドに密輸して荒稼ぎし、パーティばかりしているクリストフ・ヴァルツ演じる楽しそうな男が居て、マット・デイモンは彼と仲良くなる。
本編とは関係ないけど彼の巨大パーティに行ってドラッグを食わされたマット・デイモンが時間の感覚が曖昧になって微笑んだまま「ゆっくり」動いたり、自己の内部の会館にどっぷり浸かったまま何とか外部の人間と喋ろうと力を振り絞って「よし‥‥俺は‥裸足にになるぞ‥笑」などと、どうでもいい事を宣言したりする、というマット・デイモンのドラッグきまり演技があまりに上手い(誇張じゃなくてリアルな感じでトリップ演技する人って意外と少ないよね)
また、ドラッグが目に来たマット・デイモンの網膜に突然自分に語りかけてるヴァルツの笑顔が現れ、また残像を残したまま消えていく「網膜に残像が残るのと極彩色の色彩が見える。そして時間の感覚がなくなってるのでそれらの時間や模様の境目が曖昧になっている主観映像」‥など、これらは本編には一切関係ないんだけど、あまりに見事なきまり描写だった。
最近はあまり見かけなくなったが僕は地味にトリップ描写が好きで、数年前は子供番組のセットみたいな中で遊ぶのが流行ってたが本作のコレはマジで良かった。
だけどまぁさっきも言ったように本編には全く関係ない。

 

 

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そしてマット・デイモンは、クリストフ・ヴァルツの部屋をハウスクリーングする義足のベトナム人女性の清掃員とも知り合う。
そのベトナム人女性は、マット・デイモンが数年前ニュースで目撃した政治活動家だった。
彼女はレジャーランド内の貧困者が住むスラム街でボランティア活動をしていた。
ここの人は一体何なんでしょうね?充分な資産もないのにギリギリの金でダウンサイジングした人達?それとも原発作業員みたいに、ダウンサイジングで小さくなってする仕事をするしかなかった生涯貧困者なのかもしれない。よく見たら白人とか全然居ないし「出稼ぎに来た貧しい移民」みたいなものを表現したいのかも。
細かい経緯は忘れちゃったけど、自分の故郷の村がアメリカの会社によって潰されてダムにされてしまう、それに反対する活動してたら捕まって色々あってダウンサイジングされてアメリカ内部に入国した(その過程で家族や仲間も全員死んだ)
一言で言うとアメリカの資本主義によって故郷も兄弟も仲間も身体のサイズも片脚も全て失い、このレジャーランドに流れ着き、ボロい義足で清掃の仕事して貧困生活しながら、自分より更に恵まれない人達に施しをしている。
ところでこのベトナム人女性役の人はタイの女優さんらしいが、演技のことなんて全くわからん僕でもわかるくらい演技が死ぬほど上手い(今調べたらこの役でゴールデン・グローブ助演女優賞にノミネートされたらしい)
マット・デイモンは働かなくても暮らしていけるのだが、彼女の不幸な身の上ややってる善行に思うところあったのか、彼女と違って自分には生きる目的がないためか、それとも流れで何となくなのか彼女の活動を手伝うようになり生きがいを見つけ始め、いつしか2人は男女の関係になる。
そして彼らはクリストフ・ヴァルツに誘われ、ダウンサイジングを発明した科学者夫婦や初期にダウンサイジングした人達に会うためノルウェーに行く。
環境破壊を食い止めるために生み出したダウンサイジングだったが一足遅く、温暖化で南極の氷が溶け続けていてダウンサイジング発明者が言うには「地球はもうすぐ滅びる」と言う。そこでここノルウェーの博士や小さい人達は、地下に作った超巨大シェルターに降りて過ごそうとしていた。そこでは人工太陽まであり地上と全く同じように過ごせるらしい。
マット・デイモンはまたしても状況に感化されて地下に降りようとするが、思い直して愛するベトナム人女性やヴァルツの元に戻り、初めて見つけた生きがい(彼女とボランティア活動して貧しい人たちを助ける)に励むのだった【完】

 

🚶‍♂️🚶‍♀️ 🚶‍♂️🚶‍♀️ 🚶‍♂️🚶‍♀️ 🚶‍♂️🚶‍♀️  🚶‍♂️🚶‍♀️  🚶‍♂️🚶‍♀️  🚶‍♂️🚶‍♀️  🚶‍♂️🚶‍♀️  🚶‍♂️🚶‍♀️  🚶‍♂️🚶‍♀️  🚶‍♂️🚶‍♀️  🚶‍♂️🚶‍♀️  🚶‍♂️🚶‍♀️  🚶‍♂️🚶‍♀️ 

なるべく後半以降のことは書かずに感想書いてるブログだが今回は全部書いた。 
後半「マット・デイモン達が小さい」というのは何度も忘れそうになった。何故かと言うと〈普通のサイズの人間〉が一人も出てこないし、動物とかも殆ど出てこないからね。終盤のノルウェーでは博士がわざわざ「この地域には鳥や虫が一切寄り付かない」なんて言うくらいだからダウンサイジング世界の外部の生物を意図的に一切排除して描いている。
何もやりたい事がなかったマット・デイモンが、全てを失っても利他的な事に生きるベトナム人女性に出会って自分の生きがいを見つけていくドラマ。
あと、ダウンサイジングを通じて現実社会の問題点を浮かび上がらせたり、また「このダウンサイジング世界も通常世界と大して変わらないよ」という事が言いたいのだろう。
だけどマット・デイモンがレジャーランドに住み始めて以降は今言ったように「彼らが全員小さい」という事が作品に殆ど反映されておらず、ただの社会派人間ドラマになっていく。
こうなると小人ならではの描写を観たかった人には期待はずれだし、中盤以降ダウンサイジング要素が姿を消して人間ドラマがラストまで続くので、それはそれでつまらなくはないのだが「‥いや、何なんこの映画?w」とずっと思っていた。しばらくしてようやく「あぁダウンサイズ要素は撒き餌で、人間ドラマだけが見せたかったのね」と気づいた。人によっては「遊びに誘われて行って遊んでたら、実はそれは遊びに見せかけた労働だった」みたいな詐欺に感じる人もいるかもしれない(喩え下手だな)
そうなると「まぁまぁ面白かった『中盤までのダウンサイジング要素』は全部無くても構わないし、最初からその時間を使ってマット・デイモンベトナム人女性の人間ドラマを描けば良かったのでは?」とも思った。
マット・デイモンが貯金をはたいて海外に家を飼ったら妻に逃げられたが、現地で出会った貧しい女性との出会いから人生の意義を知る」とかでも全然描けるやん、と思った。
もっとも、そんな真面目そうな映画だったら観てないなぁ。だからミクロマン映画にしたのか。
ダウンサイジングの設定はそこそこ面白いし、ダウンサイジング要素を切り離しロケットのように捨て去って以降の人間ドラマもまぁ良い話だとは思ったが、この両者の繋がらなさ加減が何だか気に食わないし‥身も蓋もない一言で言うとパッとしない映画でしたね。
それにしても「パッとしない」と思ってる映画の感想の割には最長になったんじゃないだろうか。ダウンサイズする必要がある
 

 

そんな感じでした

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「フラットライナーズ (2017)」真面目な子達が気分転換でハイになった後日バッドになって反省する感じの映画🧠

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原題:Flatliners 監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
製作国:アメリカ 上映時間:110分 ※「フラットライナーズ (1990)」のリメイク

 


〈意図的に数分間の臨死体験をして何が起こるか〉という実験をする「フラットライナーズ (1990)」のリメイク。名前は聞いたことあるが観てなかった。
タイトルは、医療機器が心肺停止の時にピー‥とラインが水平になる事だろう。
〈脳が現実世界に変化をもたらす系SF映画〉は昔からたまにあって、ドラッグ食ってアイソレーション・タンク入って瞑想して人類の起源を探ろうとするケン・ラッセルアルタード・ステーツ/未知への挑戦 (1979)」や、他人の記憶・知覚を追体験するダグラス・トランブル「ブレインストーム (1983)」なども好きだった。脳に電極で刺激を与えてこの世ならざる世界と繋がる高橋洋監督の「恐怖 (2010)」‥は観念的すぎて僕には難解だった。
最近VRとか「この世は仮想現実では?」とか「脳の認識の変化が現実世界に物理的な変化をもたらす」みたいなストーリーに凄く興味がある‥要は思い通りにならない現世からの逃避願望が高まってるんだろう(ここでVRとか脳について膨大に駄文を書いてたが感想と関係ないので削除した)。
主演のエレン・ペイジ、昔から好きだが同性愛者カミングアウトとかMeTooとか色々あって以降、出演作が減った(出ても小規模な映画が多い)。最近、可愛らしい格好や仕草を止めて男っぽい感じなので、きっとシャイア・ラブーフみたいに「ハリウッドのゲームから降りたぜ」と、自分からそうしてるような気がする。
後半、ネタバレあり。オリジナル観てないので比較も出来ません

 

 

Story
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医学生コートニーエレン・ペイジ)は「人は死んだらどうなるのか?」という好奇心で臨死実験に挑む。
「私の心臓を止めて1分後に蘇生してほしい」死後の世界を垣間見た彼女は、脳の力が格段にアップする。
その驚くべき副作用を目の当たりにした同期の仲間たち‥レイディエゴ・ルナ)、マーロー(ニーナ・ドブレフ)、ジェイミー(ジェームズ・ノートン)、ソフィア(カーシー・クレモンズ)は、競うように臨死体験していくが――

 

 

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そういう話。もうめちゃくちゃ観たくて仕方ないあらすじ。
実際、医大生としての日常、エレン・ペイジが仲間を誘って実験をいきなり始める様子、実験を通してそれまであまり仲良くなかった彼らが一気に仲良くなる様子、臨死体験などの様子‥そんな序盤が一番楽しかった。
中盤や後半がつまらないわけではないのだが、序盤の「どうなるんだろう?」というワクワク感に比べると割とベタで凡庸な感じだったんですよね。
臨死体験エレン・ペイジが見たのは橋の上で光る魂のようなものが浮いていてエレン・ペイジは少し性的な恍惚感を感じる。仲間も皆、恍惚としつつ不吉なビジョンを見る。そして仲間の蘇生術で現世に引き戻される。
エレン・ペイジが「幽体離脱みたいに身体から魂が抜けて、この建物を通り抜けて上昇して上空からこの建物の屋上を見た。ここの屋上なんて見たことないのに」という台詞が如何にも臨死体験っぽくて良かった。
それにしても健康で美しい若者である彼らが、わざわざ心臓を止めて数分間死んで蘇るというのは見ていて凄くイケナイ事をしてる感じがした。
臨死体験を終えた彼らは皆、脳内物質が出たからか死から急に生に引き戻されたからか、異常にハイになって大騒ぎしたりセックスしたりする。
めちゃくちゃ楽しそうで羨ましくなった。
そして臨死体験をしたエレン・ペイジは、覚醒したかのように昔ちょっと弾いてただけのピアノが弾けるようになったり過去に医学書で読んだ事を全て思い出せるようになって教授に褒められたりする。そしてチャレンジングな性格となりアパートの壁をぶち破ったりパンを大量に焼いたり20kmもジョギングしたりする。
何もかもドラッグを‥MDMA、LSDケタミンなどを摂取した若者のような行動。
旧作が作られたのもクラブムーブメントやMDMAが大流行し始めた頃だと思うし、中盤以降のバッドな展開も含めて「ああ、これはハイになった後にバッドになる感じをフィクション化したものだな」とわかった。

 

 

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だが良いことばかりだけでもない。
エレン・ペイジは自分の不注意が元で死んだ妹の幻を見るようになる。
仲間たちも皆同じように「10代の時に妊娠させて置いて逃げた女性」「医療ミスで死なせた患者」「自分より成績が上だからネットいじめで追い込んだ優等生」など、過去に自分が傷つけた者の恐ろしい幻を見るようになる。
この辺は、かなり幽霊もののホラーっぽい描写。だがあまり怖すぎない感じ。
医学生が「脳の実験をしたら急におかしなものが見えるようになる」というのは本当のことで、ドラッグ摂取した人も幻を見る。高橋洋「恐怖」でも「脳の特定の部位に電気を加えると何かが見えるようになる」という実験の話が出てきていた(本作では臨死体験の途中で脳内に微細な電気信号が生まれていた)。僕の祖父が老衰で死ぬ直前に部屋中が燃える幻を見えると言ってたのは単純に老齢で脳にダメージが来たためだろう。
それにしても人間、死んだ後、4~7分くらいは脳が生きてるそうだが、その間どうなるんでしょうね。「あれ?死んだ。俺死んだぞー」とか7分くらい意識があるとしたら何か怖いね。その時にならないとわからないが。。
あぁとにかく皆、自分達が過去にしでかした良くない過去のビジョンが現実世界に混ざって見えるようになる。
バッドトリップとフラッシュバックによる苦しみで、これまたドラッグ的な描写。
やがて彼らの一人がその罪悪感によって死へと追い込まれる。
残った彼らは「罪悪感に殺されないようにするには自分達が逃げてしまった過去と向き合うしかない!」と解決に向かう。
次のブロックにネタバレあります

 

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中盤までは良かったのだが後半は、
「床が水浸しになってる!」→「出しっぱなしの水道を止めよう!」→「水道とめたぞ!」→「マジ助かった!【完】」って感じで、あまりにフックが無いように感じた。
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」で主人公ジンと協力する反乱軍スパイを演じた俳優が、頼れる男子役してて適切な処置したり正論を言って各員を正しい方向へと導くのだが‥こいつ正しすぎるやろ!しかも一人だけ臨死体験しない。「危険だし」って、そりゃそうだけども!こういう映画で一人だけやんないってアリかよ。
そして医大生たちも全員、過去に過ちをしているとはいえ、それらも10代の時の気の迷いや事故ばかりで皆それを悔やんでいるからこそバッドになるわけで基本的には良い子達だし論理的にパッと解決してしまう。
5人もいるのだから一人くらいカスが居ないと盛り上がらないなと思った。
というか本当は臨死体験によりもっと凄い変革があれば一番良かったしそれを期待してたのだが無かったね。まぁそんな事を思いつく人はあまり居ないだろうね。
‥ここまでネタバレしないように書いてきたが話が進まないので今からネタバレするが、主人公と思われたエレン・ペイジが後半に入る前くらいに早々と死んじゃうんですよ。妹の霊aka罪悪感にアパートから落とされて。
それで仲間たちは解決に向かうのだが、皆エレン・ペイジほど主人公オーラがないし皆良い子過ぎるのであまり盛り上がらないんですよね。
やっぱりエレン・ペイジとローグワンの人以外の誰かが2、3人くらい恐ろしい死に方してそこから解決策を生み出してギリ助かるって感じにして欲しかった。
最初に言ったように本作は「真面目な医大生が煮詰まったのでドラッグ初めてきめてハイになって万能感に包まれて張り切るが、後日バッド&フラッシュバックに悩まされて『やっぱり自分に向き合わなければ』と正気に戻る」って感じの教訓的な話だったという感想を抱いた。ちょっと真面目過ぎるかな‥。というかそれならエレン・ペイジのキャラも救ってくれよ。
エレン・ペイジが後半「本当は実験とかどうでもよかったの!ただ私は会いたかったの‥死んだ妹に‥」みたいな台詞が悲痛過ぎる。なのに「ペット・セマタリー」みたいに妹(自分の罪悪感)に殺されるなんて‥。可哀想だ。
やはり僕はエレン・ペイジのキャラに同情して救われてほしかったのかもしれん。
ちなみにオリジナルの主人公だったらしいキーファー・サザーランドが教授役で出てくる。そんで犠牲者が出た後に「何が起きてるんだ?」と何か知ってそうな顔してたのは「前作の主人公してたキャストだから経験済みです」ってネタなんだろうね。
二回目観ようとかは思わないけど最後まで楽しく観れる程度には面白かったし、凄く駄目な部分もなかったです。ただ、前半のワクワク感は凄かったけど後半のフックのなさが‥。ヒットせず話題にもならなかったわけがわかった気がした。


そんな感じでした

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『ザ・プレデター』(2018)/人体破壊描写と容赦のない人死にがよかったです👽

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原題:The Predator 監督&脚本:シェーン・ブラック
製作国:アメリカ 上映時間:107分 シリーズ:「プレデター」シリーズ第4作目

 

 

プレデター」シリーズの1と2の続き。
監督のシェーン・ブラックは昔、脚本家や監督になる前に俳優もしており「プレデター」一作目で、女性の捕虜と一緒に居た時にプレデターに狩られた隊員ホーキンスを演じていた。
PREDATOR Movie Clip - Hawkins Death Scene (1987) Sci-Fi Action Movie |1080p HD| - YouTube
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というか、この眼鏡の隊員がシェーン・ブラックだったって今初めて知った。
彼の監督作では「キスキス,バンバン (2005)」がめちゃくちゃ好き。「アイアンマン3 (2013)」は「MCUの一遍」としてはウーン🤔という感じはあるが、これ一作だけをSFアクション映画単体として見つめたならとても楽しい映画だった。「ナイスガイズ! (2016)」もまぁまぁ好き。どれも「上手く視聴者の予想を一拍外した意外な展開」「痛そうな暴力表現と軽快なユーモア」「ご機嫌取りとかではなく、女性や子供をガチで活躍させる」といった共通点がある。特に「女性への優しい眼差し」「女性を活躍させる」といった展開は近年のアメリカ映画の流行りだがシェーン・ブラックの場合ずっと早くからそれをやっていた。
そんな感じでそこそこ好きな監督ではあったものの、本作の予告編を観ても「うーん子供がプレデター呼んで?チームで『プレデターズ』バトル?」と、何だか気が進まなかったのでレンタルでやっと観た。

 

 

Story
元特殊部隊員の傭兵クインボイド・ホルブルック)は南米に墜落した宇宙船のパイロットである獰猛な異星人〈プレデター〉と交戦し、プレデターの装備品を奪って逃走。
クインの息子ローリーは、父が自宅に郵送したプレデター装備品を起動させてしまう。
それは、地球にプレデターの仲間を呼び寄せるシグナル発信機だった。

一方、プレデターの存在を隠蔽したい政府によって監禁されてしまったクインは〈ルーニー〉と呼ばれるならず者の戦闘スペシャリストたちと脱走を図り、彼らととともに危険が迫る息子を守るためにプレデターへと立ち向かう。
進化生物学を専攻するケイシー博士オリヴィア・マン)は、1987年1997年に起きたプレデター地球襲来事件から、彼らを研究している政府の秘密機関〈スターゲイザー〉の秘密基地へと招かれる。 そこで彼女が目にしたのは、クインと交戦後に標本として捕獲された〈フュージティブ・プレデター〉と、その装備品だった――

 

 


そんな感じでプレデター氏、これが三度目となる地球での人間狩りを行う。
プレデター」一作目&二作目の出来事から、本作のアメリカ政府は〈スターゲイザー〉なるプレデター研究機関を作り研究していた。
で、主人公の息子がマクガフィンとなって、主人公たち vs.スターゲイザー vs.プレデター氏の三つ巴の戦いが繰り広げられる。戦いは、研究施設→人の少ない町→森‥と、割と世間の枠組みの外側で行われる感じ。

 


まず冒頭、地球に墜落したUFOに乗っていたプレデターが主人公の小隊を強襲。
ここで殺害された隊員の胴体がぶっちぎれて、吊るされた下半身から大腸がこぼれ、流れた大量の血で下に居たプレデターの顔が真っ赤になるところなど凄くワクワクした。
というのも別にグロが観たいわけではなく、近年のエンタメ大作ではレイティングを下げるために血すら出ない事が珍しくなくなってきたからね(大好きなMCUも、血が一滴も出ず目玉をえぐられたソーの目元が何故か「黒ずむ」という訳のわからん描写をする始末)。
本作は全編プレデター氏による殺人や人間同士の争いによって、人体がグチャグチャになって無為の死を遂げる場面が頻出。しかも何かギャグっぽく人が死んだり、そういう死が描かれた後も冗談言ったりする。

 


スターゲイザーに連れてこられたオリヴィア・マン演じる女性研究者。彼女もプレデターを追ううちに主人公たちと行動を共にしてプレデターと戦う。
人間狩りをしているプレデターを倒そうとしているので、つまりは「人間狩り狩り」といったところか。
只の研究者なのに、逃げればプレデターは追ってこないのに自分から飛び込んでって銃バンバン撃ったり走行中の車両に飛び移ったりして「なんか変だな」と最初は思ったが、まぁきっと今という現在の空気を反映して、お飾りヒロインではなく積極的に自分の意志で戦うヒロイン像を描きたかったのかもしれん。
ちなみに僕は以前からオリヴィア・マン大好き。
ならず者ばかり集まった主人公チームは、寝てる彼女の周囲にユニコーンの折り紙やらお茶やら置く様がプリンセスと小人達のようでもあるし、セクハラ言うやつがいたら彼女がキレたりして、全体的に終始「真面目な学級委員長の女子&いたずらっ子たち」みたいなムード。
また主人公の子供も一見、知能に問題があるが実は驚異的な記憶力を持ってるサヴァン症候群である事がわかり、プレデターの装備を一目で扱えたりもする高い知能を備えており、自分達の進化のためにプレデターが誘拐する。
そんなこんなで今回もまた「女子供大活躍!」なシェーン・ブラック映画だった。

スーパーストリートファイターIIX」で「ラスボスのベガとの最終決戦の開始直前に謎の格闘家、豪鬼が乱入してベガをボコって豪鬼と最終決戦」みたいな感じで、身長3mの長身プレデターが突如出現、最初から居たプレデターを瞬殺。
主人公たち&スターゲイザーは、この黒くて背の高いプレデターと戦わざるを得なくなる。プレデター犬とかも出てくる。ちなみにプレデターは他の惑星の者から良い部分を吸収しているようで、このデカいプレデターもそうやってハイブリッド化した存在らしい。もう、プレデターという存在が浸透しすぎて怖くなくなってるし、CGがあるのでスタントマンが被り物して演じる必要もなく、今までの頭クソでかプレデターじゃなくてカッコよくて強そうで怖い大柄プレデターに変えたのは正解だと思う。
ちなみに今まで「プレデターは何で高威力のショルダーキャノン連射しないんだ?」と思ってたがどうやら「敵が攻撃してきて初めてオートで撃ち返す火気」という後付け設定が追加された。過去作で先制攻撃でショルダー撃ってた気がしなくもないが、その場合そのプレデター魔改造してズルしてたんだと思うことにした。
息子を取り戻したい主人公は置いといて、別にそんな事(プレデターとの殺し合い)を本来ならしなくてもいいヒロインや仲間のチームはガンガン参戦してその生命を散らしていく。
この辺は割とクサイのだが、UFOを墜落させるためにエンジンに突っ込む仲間が、直前に主人公と顔を合わせて「‥ふふふ、ひゃっはあー!」と飛び込むさまが何とも言えずよかった。
だが超装備で身を固めて問答無用で殺し合いを強要しといて、いつものように負けたら「ナイスファイトだったぜ」とばかりに贈り物してくるところは相変わらず「プレデターって独りよがりな流儀むかつくな~『サムライ』だとでも自称してそうな勢いだが俺からすればそのこだわり、純粋さがあるようで実はない穢れた部分だわ」と思い、やはり苦手だった。あと関係ないけど僕はどっちかというとエイリアン派(一作目オンリー)。

そんな感じで「超傑作!」というほどでもなく「やっぱ一作目があればいいな」といつものように思ったが最後まで充分楽しめる映画でした。
PS.やはりシュワ氏のような超人との一騎打ちの方が良い気がする。たとえばロック様(ドウェイン・ジョンソン)とジャングルでタイマン張るとかさ。
だけど本作は面白かったけど、もうプレデターという存在自体がとっくに限界だと思うので、もう続編とかは作らなくていいと思う。

 

そんな感じでした

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「キスキス,バンバン-L.A.的殺人事件 (2005)」ダウニーJrの少年みたいな恋愛観に共感した👩 - gock221B
「ナイスガイズ!(2016)」今回もまた女性に対する優しい視線👬
『アイアンマン』(2008)、『アイアンマン2』(2010)、『アイアンマン3』(2013)/MCUの中で一番偉い1、珍作の2、映画としてなら良い3🔨 - gock221B

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「ブラック・ミラー:バンダースナッチ (2018)」面白い試みだったけど要素が多すぎて掴みどころがない印象でした🎮

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原題:Black Mirror: Bandersnatch 監督:デヴィッド・スレイド
制作局:Netflix 製作国:アメリカ 放映時間:90分 シリーズ:「ブラック・ミラー」スピンオフ

 

 

 

Netflixで人気の近未来SFオムニバス・ドラマ「ブラック・ミラー 〈シーズン1~4〉(2011~2017)」、シーズン5の前にこの映画サイズの特番っぽい新作が配信された。
このブログには「ブラック・ミラー」の感想は特に書いてないが普通に観て楽しんでます。
ちなみに僕は〈シーズン1〉第1話の、大統領が豚とFUCKしなければならなくなる話が一番好きだった(全然人気ないらしいが)。あとは「宇宙船カリスター号」とか「ブラックパンサー」シュリ役の子が主演をした「ブラック・ミュージアム」とかが特に好き。
本作は「インタラクティブな選択方式で、主人公がそれに気づいたりする」という劇場映画では絶対に不可能な構成になっている。ほんのりネタバレあり

 

 

 

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1984年。主人公は、両親との間に溝があり情緒不安定で、定期的にカウンセリングと投薬を受けているプログラマー青年。かれはかつて大ヒットしたゲームブック「バンダースナッチ」を元にしたビデオ・ゲームを開発してゲーム会社に売り込みに行く。ゲーム会社に入社した彼は、開発を進めるが徐々に自らの現実を疑い出すようになる‥という話。
そのゲームブック「バンダースナッチ」の作者は、ゲームブック作成中に発狂して妻の首を斬り落とした。情緒不安定な主人公は「バンダースナッチ」のビデオゲーム化を進めているうちに精神が疲弊し、またゲームブック作者の事を知るにつれどんどん精神が危うくなっていく。
「バンダースナッチ」とは一段上のレイヤーの世界(つまり我々がいる現実世界)と繋がる鍵となっており、登場人物がそれに気付くと狂人扱いされる。我々の現実世界でいうと神や異界をガチで知覚した人みたいなもんだ(といっても神や異界を客観的に観測する方法はないのだから、それが真実かどうかは主観に任されるので、そういった発見をした人は自然と狂人になってしまう)。
‥という「世界の真の構造を知った結果、作品世界内では狂人扱いされる」というのと、「主人公のトラウマや父との関係」というのが2本柱で進んでいく。
更に選択方式によってストーリーが何本にも別れるので自然と複雑になっていく。
このNetflixオリジナル作品は要所要所で主人公の行動を、視聴者が2択でセレクトする箇所が何個かある。
最初は「2種類のシリアルどっちを食うか」という些細な事から始まり、次は「2つのカセットテープのどちらをウォークマンに入れるか」を選択する(選択した方の曲がBGMとなる)。
そして「ゲーム造りを会社で行うか、独りで行うか」など徐々に、主人公の人生に関わるものが増えてきて、終盤は「こいつを殺すかどうか」など激しいものになっていく。
主人公は前半~中盤あたりで、情緒不安定になって幼い時から通っているカウンセラーのところに行って悩みを語る。
主人公「何か、僕の行動‥たとえば『どっちのシリアルを食べるか』『どっちの音楽を聴くか』とか、僕の意思じゃなくて自分以外の者に決められてる気がするんです‥」
つまり俺のこと‥視聴者の事を言っている。
ここが本作で最もワクワクしたところ。
あと、本作は構造上、シークバーが無いので配信経過が一切見れないので「今、どこまで観たのか、残り何分なのか」などはサッパリわからない。これは結構いい気がする。
 

 

 

 

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本作の主人公は「何者かが自分の行動を決めている」という「真実」を確信したが、そんな事を周りの人に言っても狂人扱いされるだけなのでどんどん疲弊してくる。
終盤になると、いよいよ「どこかで僕の行動を見て、僕を操ってるんだろう!何者だ!僕にサインを送れ!」と叫ぶ。
すると主人公に語りかける事ができる選択肢が出るので「君から見ると34年後の未来からNetflixという動画配信メディアで君を操っている」と教えることができる。
ここも後半で一番ワクワクしたところだ。
ここから色々と激しい選択肢が出てくる。
で、多分ゲームと同じようにラストシーンにあたるようなシーンが2つか、3つ出てくる。
‥そういえば書いてなかったけど、序盤で「ゲームを会社で作る」を選択すると、コミュ障の主人公は思うようにゲームが作れず駄作を作って酷評されてしまう。すると主人公は「最初からやり直しだ」と言い、冒頭に戻る。
どうやら主人公は無意識にループ能力も持っているようだ。‥ループと言うか前より少し変わってたりするので正確に言うと「少し前の平行世界に行く能力」を持ってるっぽい。だが主人公は終盤までその自覚がない。
そして主人公の先輩プログラマーもまた「自分はフィクションの登場人物だ」という事を知っており、主人公に対してそれを教えたり世界から姿を消したりする。
で「ラストシーンが複数あるっぽい」とさっき書いたが、いくつあるのか、また一つ観て終わりでいいのか、全部観なきゃいけないのかよくわからない。スタッフロールに繋がるラストシーンっぽいのが2つあったから、その2つがきっとラストシーンなんだろう。まだ他にもあるのかもしれないが僕の場合「現代に時間が飛ぶラストシーン」が気に入ったので「これが俺のラストって事でいいや」と満足した(父親の秘密に関するラストや母親に会いに行くラストは納得いかなかったので忘れたい)。「カウンセラーに電話する」という選択肢で電話番号がよくわからなかったのでそれは試してない(だけどきっと彼女のところに行って殺して刑務所行ってループするだけなのでは?)
それにしても「視聴者が主人公の行動を選択」「それに気付く主人公」「全部知ってるっぽい先輩」「ループ」「平行世界」「タイムスリップ」「悪魔」「メディアを通して伝播する呪い」「父親の秘密」「母の死」など、普通の作品だったら2、3個でいっぱいいっぱいな要素が大量にありすぎたせいか‥そして結末もあまりにたくさんあるので「結局どういう話だったんだ?」と、散漫で印象に残らないという結果になった。どれか一つのラストがラストなのか、それとも全部のラストを見て俯瞰で見て何かを感じ取るのものなのかよくわからなかった‥というかどうでもよくなった。
ややこしいから先輩とか父親とか母親の秘密は全部要らなかった気がする。
というか、やっぱ映画やドラマは(ゲームと違って)一本道の方がいいかもね。
どの皿で飯食うかどのグラスで酒飲むかいちいち訊いてくるマスターみたいで「大将が適当に自信あるものに自信ある酒注いで出してくれよ!」という感じもした。
主人公がカウンセラーに「誰かに操られてる気がする」と語ったところと、僕(視聴者)が「Netflixで君を操ってる」と告げるシーンだけは凄いときめきましたが。
最終的には「本作のごちゃごちゃした散漫さは本当なら面白かったシーンさえも散逸して、何だかどうでもいい印象になったな」という残念な結論になりました。面白い試みだったけど、いつもの「ブラックミラー」みたいな一本道で充分だった。
何か、掴みどころのない感想になっちゃったけど本作がそんな感じでしたからね‥。

 

 

そんな感じでした

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「オーシャンズ8 (2018)」楽しかったのでオーシャンズ9が観たくなりました👩👱‍♀️👩👩👱‍♀️👩👩👸

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原題:Ocean's 8 監督&脚本&原案:ゲイリー・ロス
製作:スティーヴン・ソダーバーグ 製作国:アメリカ 上映時間:110分
シリーズ:「オーシャンズ」シリーズ

 

 

オーシャンズ」シリーズの主人公ジョージ・クルーニーが演じたダニー・オーシャンの妹デビーを主人公にした女性だけのオーシャンズ新作。
オーシャンズシリーズは一応全部観てそれなりに楽しんでたが、良い意味で内容のない通り雨みたいな映画だったので完全に内容全部忘れた。
本作はTwitterのTLで女性がめっちゃ盛り上がってた印象。

 

 

Story
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犯罪界のカリスマだったダニー・オーシャンを兄に持つデビー・オーシャンサンドラ・ブロック)は5年の刑期を終えて仮出所し、服役中に考え抜いたプランを実行に移すべく、右腕のルーケイト・ブランシェット)と共に、あらゆる道のプロを仲間に引き入れる。
集まったのはファッションデザイナーローズヘレナ・ボナム・カーター)、ハッカーナインボール(リアーナ)、盗品プランナータミーサラ・ポールソン)、ジュエリー職人アミータ(ミンディ・カリング)スリコンスタンス(オークワフィナ)らに声をかけ、チームを結成する。
狙うはハリウッド女優ダフネアン・ハサウェイ)が身につける1億5000万ドルの宝石
実現不可能と思われる前代未聞の計画に挑むオーシャンズだったが――

 

 

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一番最初のオーシャンズと展開などがかなり一緒‥らしいが観たのがかなり前なので全然覚えてない。
本作は映画的にはキャラを全員女性に変えたリブート作なんだが、ちゃんとストーリーが繋がっているので純粋な続編でもある。「死霊のはらわた」と「死霊のはらわたII」の関係みたいなもんか。
彼氏だと思っていた悪い男にハメられ、収監されていた主人公デビーが5年かけて実行すべき計画を細かく練って出所してそれを実行する話。
デビーは出所してすぐにスタイリッシュ万引きを華麗にブチかましながら、右腕と言えるルーと合流。二人は更に色んな技術や個性を持った、昔の仲間や新しい犯罪者を集めて実行する‥いつもながらの「七人の侍」方式で作戦を実行し、七人のオール女性オーシャンズが結成された。
前までの主人公であるデビーの兄(ジョージ・クルーニー)は、デビーが収監されてた間に亡くなったらしい。メタ的にはジョージ・クルーニーが「このシリーズもう卒業したい」と言ったから殺したものの物語的には「本当に死んだのかどうかわからない‥というか本当は生きてる」ってぽい感じで描かれていた。「オーシャンズ9」とか10で出てくれそうなら出演させる事が出来る余地を遺した描写。
デビーが兄の墓参りする時に前までのレギュラーキャラだった金持ちじいさん(エリオット・グールド)と話す(僕は「ロング・グッドバイ」の大ファンなので近年、映画に全然出ないエリオット・グールドが見れて嬉しかった)
そして同じく前までのレビュラーキャラだったマット・デイモンカメオ出演もあったらしいが、#Metooを矮小化する発言で怒りを買った女性たちの署名によってマット・デイモンの出演シーンはカットされた。女性を虐げる者達と闘う「ウインド・リバー」の製作者が連続強姦魔のワインスタインだったためにクレジットを外した‥という出来事ほどではないが「女性だけで集まってかましてやるぜ」という本作に、そういう感じのマットデイモンを好意的に出演させるわけにはいかん!という感じになるのは無理もない。マット・デイモンもそうだが、相棒のベン・アフレックもデイモン以上に過去のセクハラやセクハラ擁護などでバッシングを受けてどんどん具合悪くなっていった。さすがにマット・デイモンの人気は大きく揺らいではいないが、こういった件により二人の「時代に乗り遅れた前の人」感がたった一年でめちゃくちゃ高まった体感がある。

 

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話題が大幅に逸れたが、とにかく新生オーシャンズはそれぞれの個性を活かした作戦を実行。
作戦実行の朝デビーは「怪盗に憧れていた幼い自分のためにやる!」と言っていたシーンが地味に良くて僕はここが一番好きでした。
作戦は順調に進んでいって、よくある映画ならあと一歩のところで仲間が捕まるとか、強敵が邪魔してくる場面が入りそうなところだが、そういった事はなく首飾りの強奪は一旦、成功する。
そこで、やり手の保険捜査員が調査を始める。「大物犯罪者のデビー。そして怪しいオーシャンズ。撮影されていないトイレで盗まれた」などの事実に一瞬で辿り着くが、デビーの作戦には仲間にも伏せられていたミッションが十重二重にあり、いくつか囮を生み出して当初想定していたより遥かに多くの利益を得る‥。
という感じだった。
前までのオーシャンズを撮っていたソダーバーグが二年前、貧乏版オーシャンズと言える「ローガン・ラッキー」も似たような展開でしたね。というか、これがオーシャンズ定番の展開だったっけ?よく覚えてないんです。そういえばいつもラストのモンタージュで全容を明かしてたような気もする(ローガン・ラッキーは感想書くタイミング逃した)。
てっきり定番の展開として、悪い元カレが再びハメてきたりするのかと思ってたが「何もかも全てデビーの思い通りになる」という形での意外な終盤だった。何か新鮮な感じがした。
何か内容が軽いという批判も僅かにあるらしいが、それは逆に「オーシャンズのスタイリッシュ強盗を楽しまずに内容がどうとか言う人の方がやばない?」という感じがする。というかそもそも「2018年にオーシャンズが全員女性になってブチかます」っていう企画自体がそもそもそういう人達が言う「内容」なのに何を言ってるんだという気もした。アクション映画やホラー映画は、アクションやホラー演出で内容を物語ってるのにそれに気づかず「アクション映画やホラー映画は内容がない」と言う人と同じくらい間抜けだ。
ヒットしたっぽいから「オーシャンズ9」も作られそうな感じ。普通だったら「ジョージ・クルーニーやブラピのゲスト出演あるか?」と言われそうな場面だが、本作に熱狂した人は本作の新キャラたちや「女だけのチーム」というところに盛り上がってるみたいなので旧キャラは、出たら出たでいいけど別に出てこなくても盛り上がる気がする。
観る前はケイト・ブランシェットが天才キャラなのかと思ってたが実際にはサンドラ・ブロックが超然とした天才キャラだったのが意外でした。
ちなみに僕が好きな新オーシャンズは、スリのコンスタンス‥というか演じているオークワフィナ本人の人間的エネルギーとか画面から飛び出してきそうな顔面の圧、あと二児の母タミーの如何にもママっぽい困り顔が好きでした。
コンスタンスのエンディングは「Getした金でめっちゃ広い部屋借りたから家ん中でスケボーもできるイェー」って感じのもので、まるで90年代格ゲー‥たとえば「餓狼伝説」とかの、その中でも主人公じゃない脇役キャラのどうでもいいエンディングみたいで可愛かった。

 

 

そんな感じでした

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