原題:Big Short 監督:アダム・マッケイ 制作国:アメリカ 上映時間:130分
サブプライム・ローンの出鱈目な課金システムによって生まれたバブルに浮かれるウォール街、その破綻から起こるリーマンショックを予感した四人の男が暗躍して巨額の富を得る話。
「マネーボール」と同じ原作者によるノンフィクションを映画化。
ちなみに監督のアダム・マッケイって聞いた事あるなと思って検索したら彼の監督作は全部観てた。
ウィル・フェレルやジャド・アパトーと組んで「俺たちニュースキャスター」、「俺たちステップ・ブラザーズ」「アザーガイズ」「俺たちニュースキャスター」の続編とかを撮ってる。
感想以前の問題
昨夜、ビールを大量に飲みながら吹き替えで観てて金融関係の専門用語があまりにもわからなかった。高卒だし経済に疎いので余りにも訳がわからない。
「惑星ソラリス」の方がずっとわかる。まるで自分が白痴になった気がした。
これでは全然感想が書けない。俺はブログに感想書くのが趣味なんだ。
実際、俺は経済どころか数学も政治も英語も全部、相当なアホで何もわからない。
こないだバーで酔ってる時に白人女性に「how are you?」と話しかけられ横にいた知らない奴に「ハウアーユーってなんでしたっけ?」と訊いてしまったほどだ。
そんな感じでコンフューズしてると、クリスチャン・ベール演じる主人公が言う
「ごめん、難しかった?この世界の人間は専門用語を使いたがるんだ。代わりにマーゴット・ロビーに判りやすく説明してもらおう」
するとバスタブに浸かってシャンパンを飲むマーゴット・ロビーが説明してくれる。
しかし裸で風呂に入ったマーゴット・ロビーが出てきたので「セクシー」とか思ってる間に彼女の解説シーンが終わってしまった。しまった何も聞いてなかった。
ただ「サブプライムはクソ」という台詞だけ耳に残った。
(俺にとって)複雑な経済の逸話をわかりやすくまとめた原作‥を更に演技と音楽とカット割りで判りやすく2時間にまとめて、抽象的で主観的なわけでもなく合理的で客観的に作ってあって評価も高い本作を観て「よくわからない‥」と思ってるんだから自分のオツムの具合はどうしようもない。
もう投げようかと思ったが、これは作者が同じなだけあって自分が大好きな「マネーボール」と似てるし本当は面白いんだろう雰囲気だし あらすじは把握した、頻出する3つの専門用語だけ検索して後日また観た。
だが今夜また観たら、割と普通に観る事ができた。
今夜はシラフだったせいか一度観たせいか、もしくはその両方かだ。
全然、関係ないけど90年代、実家の父親が初代ファミコンをネットに繋げて株をやっていて驚いた。ファミコンってネットに繋がるんだね
主人公4人
彼らがオーシャンズ11みたいにチームを組んでウォール街を出し抜くのかと思っていたが、実話ベースなのでそんな事はない。ゴズリングとカレルは組んだりするが、基本的には四人個別に別の場所で暗躍している流れ。キャラの名前は覚えてない
・クリスチャン・ベール演じる男:
神経科医を辞めて資産運用家になったヘヴィメタルが好きな男。
ある日、不動産市場の動きを見て、サブプライム・ローンバブルの不動産市場は破綻に向かっていると確信。「CDS」という金融取引に目をつけ、サブプライム・ローンの価値が暴落した時に巨額の保険金を手に出来るよう投資銀行にCDS取引を受け入れさせる。
他人と一緒に働いたり会話が苦手な天才コミュ障系キャラ。
彼がメイン主人公っぽい役割なのは全ての発端だからなのと「空虚な中心」が主人公っぽいからなのかな。空虚な本作を象徴している奴なのかも
・ライアン・ゴズリング演じる男:
金の匂いを嗅ぎつけ一発当てようと野心に溢れたドイツ銀行の男。
投資家たちからバカにされていたクリスチャン・ベールの説を信じ、市場崩壊を確信してCDSに大金を投じる。
皮肉や自慢が得意で、映画を観ているこちらに頻繁にドヤ顔で話しかけてくるのでイラッとするが、最後まで観ると実はこいつが一番好きかもしれんと思った
・スティーヴ・カレル演じる男:
強欲ウォール街に怒りを燃やす理想主義のヘッジファンド・マネージャー。
ゴズリングの話を聞いた彼は、多くの低所得者に頭金なしの甘言で住宅ローンを組ませている大手銀行に対して不信感を抱き、CDSでウォール街を殴ろうとする。
真面目過ぎて、人の話に割り込んで大声で演説を始めるが他人が自分の会話に割り込んでくると怒鳴る男。
「コメディアンが真面目な役すると数倍カッコよく見える」という補正もあるがかなりカッコいい。そもそも怒った顔がめちゃくちゃカッコいい。妻はマリサ・トメイだし、このキャラは全体的に好感持てるが、最後まで観ると若干、感情的すぎる気がしないでもない
・ブラッド・ピット演じる男:
伝説のトレーダー。何故か若手投資家2人に協力してくれる厭世的な男。
野心に燃えるが無名の若い投資家コンビが、一線を退いていた伝説の彼を担ぎ出してCDS市場への参戦に挑む。天がアカギを担いで東西戦に挑むようなものか
若手が大儲けして喜ぶと叱責するシーンが熱い。
イケメンのブラピが眼鏡にラウンドひげ、フサフサ金髪のマッチョ中年という一番かっこいいパターン。更に知能と経験と金と家族と、更に弱き人々への熱い正義感と常勝してしまう自分に対しての厭世感まで持ち合わせてるだと?どんだけ
「スターウォーズ」で喩えると、ルークを指南しつつ自分自身もベイダーと皇帝まで倒してあー虚しい‥と言いながらイケメン隠居するオビワンみたいな役割。
ブラピはカッコいい役ばかりやるが説得力があるので文句はないブラピ擁護派だが、それにしてもこの役はカッコよすぎるだろう‥。あまりにカッコいい事しかしないので逆にカッコ悪さを感じた。最後までこのブラピに説教される若手二人のほうが好感が持てる。
漫画で喩えると神域の男・赤木しげる
分かりにくかった理由
前述したがよく知らない専門用語が多いのが分かりにくかったので、よく出てくるが今まで厳密にわかってなかった用語、リーマン・ショック、サブプライム・ローン、CDSとかを調べて(といっても数行で子供に言うように噛み砕いて説明してるやつだが)を読んで、わかった気になって再見したら面白かった。
やはり「マネーボール」同様、人をアリの様に見ているところ(しかし、それは冷酷さではなく愛情からだと思う)が凄く良かった。
もう少し色んなことの意味がわかってれば三国志のようにもっと面白かったはず。
金の流れを使ったディザスター映画とも言える。また今度観てみる。
あと俺が思うに本作は一般市民が出てこず、投資家や銀行家しか出てこないから分かり難いんだと思う。
五人目の主人公として、サブプライムローンで家を買ってリーマンショックで失って自殺する低所得者の一般人がいればもっと分かりやすかったのではないだろうか。俺みたいなアホにはな
合成CDO
後半、合成CDOについて(合成債務担保証券)カジノで賭けをする報道経済学の父リチャード・H・セイラー氏が判りやすく説明してくれる(リチャード氏だけだと話を聞いてもらえないと思ったのかセレーナ・ゴメスも一緒に教えてくれる)
「バスケのゴールが多くきまれば人は『次もきまるはず』と思いがちだ。人は現在起きている事がこのまま起き続けると思いがちだが、それは大きな間違いだ。住宅市場の相場が上がり続けたため皆は下がることがないと思い込んだ。そして『次もきまる』と思った周りの人達は『次もきまる』方に賭け始める。それが合成CDOの始まり」
ギャラリーはさっきからカジノで勝ち続けているセレーナに賭ける。
「そして別の人達が、この賭けがどうなるか賭け始める。これが合成CDOの2段目」
その後ろのギャラリーは勝ち続けているセレーナに賭けている人に賭ける。
それは連鎖し、セレーナに賭けてる人に賭ける人に賭ける人‥と数珠つなぎになり、最初はそこそこだった金が数十万倍にも膨らんだ‥と、なるほど判りやすい。
これでセレーナが負ければ‥バブル崩壊
「ドカーン!」
主人公四人とその仲間は2008年頃、サブプライム・ローンの破綻を予知して儲ける。
と言っても、彼らは別に正義のヒーローではない。
銀行に怒りを燃やしていても悪い奴らを全員逮捕させて、多くのものを失った低所得者を救えたわけでない。ただ数百人の者が逮捕されただけで、彼らが大金持ちになった
その事を踏まえてか、大金持ちになったことを喜んで小躍りする若い投資家コンビをブラピが叱責する。
ブラピ「何がしたかわかってるのか‥?賭けに勝った相手はアメリカ経済そのものだ。多くの人々が家も仕事も年金も老後の蓄えも失う!金融業界は人を一つの数字としか見てない。だが失業率が1%上がれば四万人が死ぬんだ!知ってたか!?知ってたか!?二度と踊るなっ!!」
若手2人はシュンとする。損な役回りだね
正義感に燃えていたスティーブ・カレルは無力感にかられ涙し、クリスチャン・ベールはドラムを叩きまくる。ゴズリングはそんなキャラじゃないのでガッツポーズして大喜び!しかし彼は自分をよく知ってるので自分を良く見せようとはしない。だから俺はここへ来てこのゴズリングのキャラが一番好きになった。
スティーブ・カレルがドカーン!と告げ、いよいよサブプライムローンバブル崩壊。
直後のアメリカはまるで災害で多くの人が死んだ廃墟のように描かれる。
実際に災害のようなもので、災害と違うのは貧困者を食い物にしようとした銀行家や投資家たちが招いた人災だという事、そしてその銀行家や投資家達は1人しか逮捕されず、与えられた税金を自分達のボーナスにして、看板を変えた同じ劣悪商品を一般市民に売りつけて世にのさばり続けている。
800万人の一般市民は失業して600万人が家を失った(いったい何人死んだんだろ)。
その余波は日本にも来てそれはさすがに知ってるわ。
結局のところこの映画を観て思ったことをまとめると、他人の甘い言葉を信用するな、自分を知ってるなら自分を信用しろ、よく見ろ、謙虚でいろ‥という感じか。
まとめると凄く普通っぽい意見ばかりだが、まあ、何事もそんなもんだろ。
というか本作を鵜呑みにせず、自分でも経済のことを調べるようにしよう
そんな感じでした
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