gock221B

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『ダフト・パンク ドキュメンタリー UNCHAINED』(2015)/常に謙虚な姿勢で音楽に向き合い続けるのが一番アナーキー🤖🤖

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原題:Daft Punk Unchained 監督:Herve Martin-Delpierre
製作国:フランス 制作局:BBCワールドワイド 放映時間:84分 ※TV

 

 

 

これはフランスのドキュメンタリー番組。Huluにあったので観た。10代~20代の時、90年代だったしエレクトロニック・ミュージックが好きだった。
といっても音楽やダフト・パンクに詳しいタイプでは全然ないので以下は非常にざっくりした文章であることを最初に言っておきたい。
90年代の若い時は、「ミニマルテクノとかドイツやオランダの奇抜なテクノとか‥なんかそういう味付けの濃い硬派っぽい印象のものだけが凄い」と思い込んでいて、ダフト・パンクは何となく軟派なイメージだと聴かず嫌いして聴いてなかった。本当はダフト・パンクも硬派だったのだがあまりに楽しそうだし気づきませんでした。
そんで30代なかばになった数年前に大ヒットした『Get Lucky』をラジオで聴いて「この曲、ダフト・パンクだったのか。ふーん楽器でディスコ的な曲作ったのね」と思い、よく色んなラジオ番組とか街で流れてるのを聴いてるうちに気に入りました。

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ほとんど毎日のようにラジオから流れてくるこの曲の魅力に抗えなくなりアルバム『Random Access Memories』も買った。よかった。

open.spotify.comそれで気が済まなくなりアルバムに入っているから要らないのに「Get Lucky」のシングルもわざわざ買って一年以上ほぼ毎日聴いてたが未だに喫煙所とかで煙草吸いながら聴いたり電車で聴いたりトイレに座って聴くと「今のはなかなか充実した時間だったな」と思う。今もこれを書きながら流してみてもやっぱり飽きてない。普通ヒット曲って買うまでもなくコンビニとかメディアで流れてるのを耳にしてるだけで「もういいよ」とばかりに胸焼けがして聴きたくなくなるもんだが、なかなかここまで飽きない曲というのは初めて聴いたわ。
人生で一番多く聴いた曲は、これか『ツインピークスのテーマ』のどちらかになりそうだ。自分の葬式のとき『Get Lucky』を流して欲しいくらいだ。
そんな感じで「ダフト・パンクって良いね」と、世間の人からすると「知ってるよそんなこと20年前から‥」と言われそうなことを思った。
勿論、過去のアルバムも全部聴いてそれらも良かったのだが未だに2年くらい「Random Access Memories」ばかり聴いていて過去作はまだあんまり聴いてない。というかそれ以前にアルバム聴こうと再生したつもりが気がついたらGet Lucky5回連続で聴いたりする時もあるので『Random Access Memories』すらまだ数回しか聴けてない。「『Random Access Memories』に飽きたら過去作を聴こう」と思ったが2年くらい経ってまだ『Random Access Memories』に取り掛かってないのでいつになるのかわからない。
そういえば僕は「富士そば」のカツ丼が大好きで「カツ丼に飽きたら他のものを食おう」と思ってるのだが15年くらいカツ丼に飽きないので他のものが食えない。それに似ている。

 

 
本作はBBCワールドワイド・フランスが制作。
フランスのアングラから出てきて人気者となるが質素な暮らしを続ける2人。
スターになったことないから想像だが、有名アーティストになっても質素な今まで通りの暮らしを続け「エクスタシーを食ったら批判精神が薄れて音楽制作の邪魔になる」と言って狂乱の90年代ヨーロッパでMDMAも喰わない彼らがかっこいい。
‥いま食わないからカッコいいと書いたが、別に食ってたらカッコよさが減るわけではないという事も併せて書いておきたい。車が全然走ってない横断歩道でも信号が変わるのを待つカッコよさと、黄信号が赤に変わる瞬間だが走って渡る人‥との差みたいなもんだ。
やがて彼らはロボットになって素顔を隠し、松本零士とアニメを作ったり3枚目の「Human After All」が1、2枚目のファンには不評だったが原点回帰した事で音楽的には成長できたと自負していたり(バンドの三枚目でよくある現象)、凄いLIVE「ピラミッド大作戦」の時はYouTubeが出来たあたりだったのでLIVEに圧倒された観客が携帯で動画を撮影したものが拡散されまくるという当時では珍しい現象が起きたり、微妙な映画「トロン:レガシー」の音楽を担当して新しい自信を付けたり、オーケストラと共演したり、4年かけて「Random Access Memories」を制作したり、ついこないだの2014年、グラミーを受賞するまでの20年間、ダフト・パンクが歩んできた道のりを描いている。
ダフト・パンクのドキュメント映像などで構成するほか
2人について語る、ファレル・ウィリアムスジョルジオ・モロダーナイル・ロジャース、ポール・ウィリアムス、カニエ・ウェストミシェル・ゴンドリースクリレックス松本零士、フォトグラファーのピーター・リンドバーグ‥などのインタビューもある。
「ロボットマスク作る時の若いダフト・パンクだせえ!」とか、ファンには周知の事実なんだろうが「素顔はイケメンなんだな」と知ったりした。
仮面があるということは素顔があるという事は当然なのだが、これを観るまで特に素顔を検索してみようだとか考えたこともなく普通に音楽ロボットとして接していた。
仮面については何度か語られるが要は「音楽を聴いて欲しい。タレントとしてあーだこーだ言われたくない」ということなんだろう。
実際にイケメンだったと言うのがよかった。だって不細工だったら性根の良くない人に「そんなカッコいいこと言っても本当は不細工だから仮面をかぶったんでしょう?」とか言われかねないからだ。イケメンが仮面を付けているという事実は自然と反論が不可能になっておりスマートだし、何か後回しにしたいものを包み隠しているわけではなく攻めの仮面であることがわかった。
よし、これで誰もが皆、彼らの目的通り音楽に集中できるな。
印象的だった各著名人のインタビューで一番心に残ったのはカニエ・ウエス
名字がパンクなんて凄いよな。俺も死ぬまでパンクでいたい」
と真面目な顔で言う蟹江氏。
大勢のアーティストが金と富に欲をかられてパワーを失った
金と富を失うのが怖くて、誰も声を上げようとしない
声こそが俺たちの武器なのに
何も足す必要も引く必要もない完璧な意見が心に響く。
ブライアン・デ・パルマ監督の仮面を被ったミュージシャン、ファントムが主人公の『ファントム・オブ・パラダイス』(1974)のスワン役を演じたミュージシャンで『Random Access Memories』にも参加した(知らなかった)ポール・ウィリアムスも出てきて、
仮面をつけると人は正直になる」とダフトパンクが仮面を付ける意義について語るのも印象深かった。「仮面」を「匿名」と言い換えても同じですね。
MVや『インターステラ555』で作画を担当した松本零士も当然出てくる。
ダフト・パンク松本零士作品の中では「キャプテン・ハーロック」が一番好きみたい。「子供が観るもの」とされていたアニメで「完全に反社会的な大人の海賊」が主人公だったことが衝撃だったらしい。
失われたダンスやディスコのスピリットを復活させ、ジョルジオ・モロダーナイル・ロジャースのスピリットを受け継ぐために4年かけて『Random Access Memories』を完成させる様子も丹念に描かれる(俺が一番観たかったところ)
記憶に新しい2014年の第56回グラミー賞で、史上初めてエレクトロニック・ミュージックがグラミー賞5部門を制覇して、ステージ上でのパフォーマンスでは、ファレル・ウィリアムスナイル・ロジャースら制作に参加したミュージシャンと、ゲストでスティーヴィー・ワンダーが参加した『Get Lucky』のパフォーマンスについても時間を割いている。
謙虚なダフトパンクグラミー賞の受賞コメントという晴れ舞台を「僕らはロボットだから‥」と、ファレル・ウィリアムスとポール・ウィリアムスに譲る。
ファレルとポールは戸惑いつつも「‥えっと、このロボットたちは感謝を伝えたいみたいだよ!」とスピーチする。
なんだか暖かい気持ちになった。

 

 


このドキュメンタリーだが、手堅い造りでダフト・パンクの2人は常に謙虚で真面目なため「有名アーティストのドキュメンタリー」にありがちな破天荒な要素は皆無。
ひたすら真摯に音楽に取り組んできた20年間が要約されてるのみなので、ダフト・パンクに興味ない人が観ても面白くないだろう。
だから誰が観ても面白いドキュメンタリーとは違って本作はファン向けですね。
最後まで観ると、むしろ常に理性を保って長年きちんと音楽を作り続けてきている事に対して「そっちの方が凄いんじゃないか?」と思えてくる。
だが、ダフト・パンクが派手な生活やドラッグで身を持ち崩したりせず常に冷静に音楽制作に情熱を傾け続ける姿勢や賢さに感動したわけだが、別に「真面目だから、ドラッグやらないから素晴らしい」なんていう現代日本人的な事を思ったわけでは決してないという事は強く言っておきたい。別に彼らが無茶苦茶な人生を歩んでいたりする様子がドキュメンタリーで描かれていても同じように「なるほどね」としか思わなかっただろう。
ずっと残る作品やLIVEが素晴らしいのであって、後は「こうやって、やってきた」という道程を「なるほどね」と言って受け止めるだけだろう。
そもそも今調べて気づいたが無為徒食の自分はダフト・パンクと同い年だった。一体この俺という人間は何なんだ?と自己嫌悪に陥りそうになったがダフト・パンクには一切関係ないので考えるのを一時やめた。
ドキュメンタリーで描いていない都合の悪い事もあったのだろうがそんな事はどうでもいい事だ。
そもそもドキュメンタリーとは真実を克明に記録したものではなく製作者が事実を使って作り上げたフィクションのようなものだと思う。ドキュメンタリー見る時はこのことを頭の片隅に置いた上で一旦それを忘れて見るのがベストだと思う。
一番最後に出てくる人は2人の友人兼プロデューサーだった。
「ギクシャクしたり批判される事もあるけど2人はずっと音楽に取り組んでるよ」
「2人はスターだが、売れてないミュージシャン以上にきちんと挨拶する。警備員のおじさんに対しても他のミュージシャンに対するのと同じような丁寧な態度で‥」
本作を観てきて感じた事を、最後にこのおじさんがそのまま言った。
要は「最後にものを言うのは人柄」「謙虚に歩め」という事だ。
「アホの中年男性である今よりも更に数倍アホだった若い時に聞きたかった台詞だ……」と、思いつつ若い時はアホだったからそんな台詞聞いても「うるせえ!」としか思わなかっただろうから、もうどうしようもない。どうやらタイムスリップしても自分を引き上げることができない事がわかった。
もう一度『Get Lucky』聴いて明日からでも自分が何か良いことできるかどうか考えることにしよう……もしくは何の考えもなく、単純に『Get Lucky』を聴いて楽しもう。

 

※追記:彼らは2021年2月22日にYOUTUBE上で自爆して解散した。
残念な気持ちはあるが『Random Access Memories』を作った今は、もうクリエイティブな制作で出来る事ないだろLIVEくらいしか……と思ってたので理解できる。
「これ以上のものは望めない」という充実した時にスパッとやめて彼らのストーリーは綺麗に完結して見事だね。洗練を求めた彼らがこうやって綺麗に完結するのは納得だわ。
でも別にヨレヨレになるまでダラダラ続けてもそれはその個々人の勝手なのでスパッ!とやめるのもダラダラ続けるのも、どちらも等しく価値があるミュージシャンの晩年だと思ってますけども。ダフト・パンクはスマートで洗練されたミュージシャン人生を歩みたいタイプなのでこうなるのは納得。

とにかくダフト・パンクお疲れさまでした。

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そんな感じでした

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Daft Punk Unchained (2015) - IMDb

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